東方運命録   作:無名の一

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今回から少し長くなります。


3話 「博麗神社」

体は■で出来ている。

 

血潮は■で、—は硝子。

 

幾たびの――を超えて■■。

 

ただの一度も――はなく、

 

ただの一度も■■されない。

 

―――は常に■■ ━━━で━━に酔う。

 

■に、その――に意味はなく、

 

―――は、きっと■で出来ていた。

 

 

誰かの声が聞こえてくる。

意識がはっきりしないせいなのか、途切れ途切れにしか聞こえてこないその声からはなぜだか悲壮感が漂っていた。

一体、何がどうなっている?

そう思いながら目を開くと、、そこに広がっていたのは何もない荒野だった。

もしかしたら、実際には何かがあるのかもしれないが、今の俺には認識することはできない。

「ここは・・・」

答えるものなどいないというのに、気が付けば俺はお決まりのセリフを言っていた。

「まさか、奴以外にここに来るものがいるとはな。どうやら、とんだ変わり者らしい」

あるはずのないと思っていた返答。

先ほどまでは誰もいなかったはず、と考えながら皮肉めいた言葉が聞こえてきた方向を向くと、そこに立っていたのは一人の男だった。

アンタは一体何者なんだ?

そう問おうとしたが俺の口は動いてはくれない。

男の顔は見えない。なぜなら、ずっと俺に背を向けているからだ。けれども、その男の背中は途方もない強さと同時に彼が辿ってきたであろう数奇な人生を想像させた。

おそらく、俺はその背中に圧倒されたのだろう。

そうして何の言葉も出ない俺に、男はやはりこちらを向くこともなくこう言った。

「悪いが、こちらにとっても時間がないのでね。手短に済まさせてもらおう。すまないが、私には君がどういう人間で、私とどういう関係なのかはわからない。だが、もしこれから先、お前が正義の味方なんてものになろうと思うならば、その先は地獄だぞ」

おい、待ってくれ。どういう・・・。

俺はその言葉に質問しようとしたのだが、その男の言葉を境に俺の意識はだんだんと現実へと引き戻されていった。

 

 

目を覚ますと、外はすでに明るくなっていた。

どうやら、あれは夢だったらしい。

けれども、あれは夢とは思えないほどリアルだった。

そんなときだった。

早苗が俺の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。

そういえば、今日は朝からどこかに出かけるといっていたはずだ。

とすれば、早く着替えて朝食を食べに行くか。

そんなことを考えているうちに、いつの間にか俺は夢のことをわすれていた。

こうして、俺の幻想郷での2日目が幕を開けた。

 

 

「博麗神社?」

朝食を終え、身支度を済ませた俺は早苗が言った言葉を聞き返していた。

どうやら、今日はそこにいる博麗霊夢に会いに行くらしい。

そういえば、ここも神社だ。ということは、今から神社から神社に行くということだ。なんかややこしいな。

そんなことを考えながら早苗の後をついていくと、彼女は玄関を少し出たところで足を止めた。

どうしたのだろうか?

思い返してみると、先ほど行先は聞いたが手段はまだだ。

なんか嫌な予感がする。

「さて、行きますか」

「・・・ちなみにどうやって行くのか聞いても?」

意気揚々と出発しようとする早苗だったが問いたださずにはいられない。

すると、案外答えはすぐに帰ってきた。

「そうですね、こうやって」

そういって、早苗は何かしらのしぐさをしたが特に何も起こらない。

・・・と思っていたがそんなわけがなかった。

ふと浮遊感を感じ、恐る恐る自分の足元を見る。

するとどうだろうか。俺の足は地面から離れ浮かんでいた。

「・・・ちょっと待って。ひょっとしなくても俺浮いてない?そんなことないよね、俺の目がおかしいだけだよね!?」

自分でもちょっとパニックになっているのはわかる。

うん、どうしよう?

「大丈夫ですって。私が風で浮かばせてるだけですから」

早苗がフォローを入れるが、違う、そうじゃない。

それに、ふと早苗を見ると彼女は普通に飛んでいた。

たしか、昨日早苗はここでは常識が通用しないといっていた。だが、いくらなんでもこれは捨てすぎだろう。

俺の知ってる常識では、人は単体では飛べないはずだ。

うん、さよなら、俺の常識。こんにちは、非常識という名の常識。

そんなふうに軽く現実逃避をしているうちに、気がつけばどんどん高度が上がっていった。

そうして、俺たちは博麗神社にむかっていったのだった。

 

 

side???

「・・・暇だ」

「仕方ないでしょ。それに、そう感じていることが今が平和だっていう証明なんだから。」

「霊夢が珍しくまともなことを・・・。異変か?」

「失礼ね。大体私はいつもまとも・・・って何よその目は」

「いや~、べつに~」

そういった感じで、二人の少女は縁側でお茶を飲みながら、たわいのない会話をしていた。

ちょくちょく酷い言われようもあるが、おそらく、彼女たちにとってはこれが日常なのだろう。

そんな感じで少女たちは会話を楽しんでいたのだが、次の瞬間、彼女たちの日常はいつもの日常ではなくなった。

突然のことだった。

彼女たちの目の前、ようは地面に何かが落ちてきた。

「な、なんだ?」

土煙が立っているため、よく見えない。

けれども、少ししたら風によって土煙がなくなり視覚が確保されてきた。

そして、そこにいた、いや、倒れていたのは見覚えのない一人の少年だった。

 

 

side back to カズヤ

体に鈍い痛みが押しよせてくる。

どうやら、俺は気を失ってしまったらしい。

意識が戻ったのはいいが、体のいたるところが悲鳴を上げている。

いったい何が起こったのだろう。

顔を上げると、目の前には神社があった。

おそらく、ここが早苗の言っていた博麗神社だろう。

よく見ると誰かがいるが、まだ視点がうまく定まらない。

そんなとき、頭上から

「だ、大丈夫ですか!?」

と早苗の声が聞こえてきた。

「ちょっと早苗。これはどういうことか説明してもらっていいかしら?」

ああ、俺にも説明がほし・・・ん?

ようやくピントが合ってきたのだろう。

声のしたほうを見ると、そこには早苗とは違った巫女服を着た少女がいた。

「霊夢さん!?え~っとですね、これはその・・・」

目をそらして答える早苗だったが、その少女はやれやれといった様子で

「まあ、いいわ。長くなるんだったら、話は中に入ってからよ」

といって早苗と一緒に神社へ入っていった。

俺も行くべきだろう。

そう思って立とうとするが、うまく体に力が入らん。

すると、そんな俺を見かねたのか、先ほどとは別の少女が声をかけてきた。

「大丈夫かお前?ほら、手かしてやるからさっさと行こうぜ」

そう言って差し出された手を取ると、ぐいっと体を引き上げられる。

「ありがとう、おかげで助かった。えっと・・・」

「別にこれくらい構わわないって。私は霧雨魔理沙。ただの魔法使いだ。よろしくな」

「俺はカズヤ。よろしく」

とりあえず俺も軽く自己紹介をして神社へと入った。

 

 

居間につくと、早苗と霊夢の話は終わったらしく、二人でお茶を飲んでいた。

霊夢というのは先ほどの巫女服の少女のことだ。

というのも、移動の合間に魔理沙から話は軽く聞いておいた。

にしてもだ。

こうやって、二人の巫女を見て思ったことがある。

なんで脇出してんだ?

俺は記憶喪失であるが、そもそも巫女服の知識といったものはない。

だから巫女服がどんなものなのかも知らないが、これが普通なのだろうか?

となかなか馬鹿らしいことを考えていた俺に二人は気づいたらしく、

「ああ、来たわね。待ってて、ちょっとお茶を入れてくるわ」

と霊夢は言い残し、この場を去ってしまった。

「そういや、何を話してたんだ?」

「そうですね。まあ、カズヤくんのことについていろいろとですかね」

「ふ~ん、カズヤのことねぇ。ってやっぱりお前何かあるのか?」

なぜか魔理沙と早苗の話が俺に振られた。

「そういや、まだ名前しか言ってなかったか。実はさ・・・」

 

少年説明中・・・

 

「なるほど、眼が覚めたら記憶がなくて自分が何者かわからないと。大変そうだな、お前」

「まあな」

簡単な説明だったが理解してくれたらしい。

とそうこうしているうちにお茶を持った霊夢が戻ってきた。

「話も一段落したようだし、早苗の質問への私なりの結論を出してもいいかしら?」

そういえば、早苗は霊夢に何を言っていたんだろうか。

そんな思いを抱きながら首を縦に振る。

どうやら俺が最後だったらしい。

数秒もたたないうちに霊夢の口が開いた。

「まあ、早苗が何を質問したのか気になるかもしれないけど、簡単に言えばカズヤを外の世界に送ったほうがいいのかっていうものだったわ」

・・・なるほど、確かに今の俺はあやふやな存在だ。

元居たところも、いるべき場所もわからない。

そんな俺がこのままここにいていいのだろうかということだろう。

「・・・で、結論は?」

覚悟はできている。

何と言われたってそれは仕方のないことだろう。俺は静かに彼女の話を聞いた。

「そうね。私の結論だと、このまま守矢神社にいていいんじゃないということになったわ。別に迷惑でもないんでしょう?」

「ええ、まあ」

「それに、カズヤは記憶喪失なんだから、そんな状態で外の世界に送ったって何の解決にもならないわ。アイツも言ってたでしょ。幻想郷は全てを受け入れるって。だから、たぶん大丈夫よ」

アイツっていうのが誰だかはわからない。

ただ、霊夢の話によると、俺はここにいてもいいらしい。

あんだけ覚悟したつもりだったが、少しほっとしてる自分がいる。

ふと、横を見ると早苗も心なしか安心したようすだった。

魔理沙はどうだろうと思い、ちらりと彼女に目を向けると、彼女はう~んと首をひねっていた。

何か霊夢の言ったことに不満があったのだろうか?

などと思っといると、

「やっぱり今日は霊夢が変だ。霊夢がまともなことを言うなんてやっぱり異変じゃ・・・」

「ないわよ。何よさっきから。まるで私がいつもはまともじゃないみたいじゃない」

と予想外の展開が起こった。

そーっと早苗を見ると少し目をそらしている。

なるほどなるほど、どういうこと?

などと考えていると、いつの間にかちょっとした言い争いになっていた。

本来争いなんていいものじゃない。

けれども、俺はそんな彼女たちのやり取りを見て少しほほえましく思ってしまった。

「・・・仲いいんだな」

そんな中、一つの声が彼女たちの間に割って入った。

他ならぬ俺の声だ。

あ、やべ・・・

いつの間にか声に出てしまったようだ。

だが、後悔してももう遅い。

言い争いは終わったが、今度は俺に矛先が向いてきた!

・・・と思ったがそんなことはなかった。

単に肯定する魔理沙と何か言いたそうだが事実だと受け止めている霊夢がいただけだった。

 

 

とまあ、ここで話も一段落したみたいで、俺たちも帰ることになった。

ただ、せっかく神社に来たとのことで俺は財布から五円玉を手に取り、さい銭箱に投げ入れた。

さて、帰るか。

どうやら、帰りは途中までは歩くらしい。

早苗と一緒に階段を下りる。

「そういや、なんで俺落ちたんだっけ?」

ふと気になったので聞いてみた。

するとどうやら、早苗が最後の最後で風の制御をミスり、2、3メートルの高さから落下したんだとか。

よく、骨が折れていなかったなと自分でもつくづく思う。

そんなことを考えていると、半分くらいまで行ったところで上のほうから霊夢の喜びに満ちた声が聞こえてきた。

「どうしたんだ霊夢のやつ?」

「ん~、カズヤくん何かしました?」

「何かといわれてもなぁ。ただ、お賽銭を入れてきただけだし」

「・・・多分、それです」

「・・・え?」

おいまじか、たった五円だぞ。そんなもので喜ぶか普通?

「おそらく、このごろ参拝客が少なかったからじゃないでしょうか。彼女にとってお賽銭は重要な資金源ですし・・・」

「ふ~ん、そういうもんなのかねぇ」

ただ、五円でなぜあんなに喜ぶのか。

数時間後に俺はその理由を知ることになる。

「ほら、行きますよ」

気が付くと、俺は早苗に腕をひっぱられていた。

「ちょっと待って。行くってどこに?」

「それは行ってからのお楽しみです!」

どうやら、俺の一日はまだ終わってくれないらしい。




補足ですが、基本的にこの小説は主人公の一人称視点で進んでいきますが、主人公以外の視点になる際は三人称になります。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます!
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