ラブライブ!サンシャイン!!〜大地と海の巨人〜   作:カズオ

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大変お待たせいたしました…申し訳ないです。
リアルが忙しいのでこれからもあまり以前のような頻度での更新は厳しいかもしれませんが、気長に待っていただけると幸いです。
それと今回はオリジナルのパートに力を入れてみたのですが、過去最長になってしまいました、楽しんでもらえれば幸いです。


第10話 何かがいる…/夜空を照らす

「どうして聞かなかったのよ?」

 

放課後、下校時間となり下駄箱で、昨日のPVをダメ出しされたとき、鞠莉にこの学校、町の魅力を聞かなかったのはなぜかと善子は千歌に問いかける。

 

「なんか聞いちゃダメだっておもったから」

 

「何意地張ってんのよ?」

 

「そんなんじゃないよ、自分たちで気づけなきゃPV作る資格なんてないよ…」

 

確かにそうだ、ほかの誰でもない自分たちが学校を存続させるためにこの街の宣伝をしようと始めたのだ。自分たちがこの街のよさに気づけなければ、それは他人に求められた動画になってしまう。

 

「そうかもね」

 

そう応じた梨子の横で曜は敬礼をし「ヨーソロー!それじゃあ千歌ちゃん家で作戦会議だ!」そのおかげですこしだけばは明るくなった気がした。

 

「あ!忘れ物した…先行ってて!」

 

そういうと千歌は走って校舎の中へと戻っていった。

 

「全く、さっきまでカッコよかったのに…」

 

「まぁ千歌ちゃんらしいわね…」

 

やれやれと頭をかきながら呟いた遥に梨子がそう言うので、「全くだ」と同意する。

 

「ちょっと追いかけよっか?もしかしたら見つかん無くて困ってるかもだし」

 

「そうね、あんまり時間かけられても困るしね」

 

曜の提案に善子が同意し、全員で千歌の後を追って部室へ向かう。

 

 

 

「私たちも学校続いてほしいって…なくなってほしくないって思ってるんです」

 

体育館へ着くと、そう言っている千歌の声が聞こえた。

 

「一緒にやりませんか?スクールアイドル」

 

一体誰を勧誘しているんだろう?そう思って千歌の視線の先を見るとそこには黒澤ダイヤがいた。

 

まさかあれだけ部を認めないと言っていた彼女をさそったのだろうか?怒られるのでは?そう思い恐る恐る彼女のほうを見るが、彼女は表情を一切出さずに、すとん。とステージから飛び降りると。

 

「残念ですけど、あなた達のその思いは嬉しく思いますわ。お互い頑張りましょう。」

 

そういうと、千歌の横を通り過ぎ去っていった。するとさっきまで彼女が経っていた場所に一枚の書類が落ちていることに気が付いた千歌がそれを拾い上げる。

 

<署名のお願い>

 

そう書かれていた、彼女も学校を存続させるために行動しているのだ。『お互いに』と言ったのはそういう意味だったのだ。

 

彼女が去っていった方を向くが、彼女はもういない。するとそれを見計らったかのように曜が口を開く。

 

「ルビィちゃん、生徒会長ってスクルールアイドルのことが…」

 

「はい、ルビィより大好きでした…」

 

それを聞いた千歌が再び勧誘しに行こうとダイヤが向かっていった方へ行こうとするが、ルビィがすぐ立ちはだかり。

 

「今は言わないで!」

 

そう言ったのだった、普段は気の弱い彼女がここまで強気に意見を言うことは珍しい、すぐに「ごめんなさい…」と付足されたが、よほどの事情があるのだろう。そう思いさらに追及することは誰もしなかった…。

 

 

 

 

 

 

ダイヤはあの後廊下を歩いていると、鞠莉に遭遇し、

 

「逃げていたって、何も変わらないわよ?進むしかない、そう思わない?」

 

そう彼女の前を通り過ぎようとしたタイミングで声をかけられた。するとダイヤも立ち止まり。

 

「逃げているわけではありませんわ、あの時だって…それより、あなたが戻ってきたころに彼も戻ってきたそうじゃありませんか、何を考えているんですか?あなた方は?」

 

「ダイヤ…」

 

それ以上鞠莉は何も言うことができなかった。

 

「学校のため、スクールアイドルをやる為、それ以外のことがきっとあるのでしょう?どちらにせよわたくしはそのどちらにもかかわることはしませんので」

 

そう言うとダイヤは立ち去っていったが、鞠莉にはそれを追うことはできないし、彼の目的も何も話すことはできはしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しいたけいないよ」

 

千歌の家に移動したメンバーたちだったが、しいたけを警戒して部屋に入ろうとしない梨子に遥がそう言って早く入るように促していた。

 

「ね、千歌ちゃん」

 

そう曜がいうともぞもぞと布団の中でうごめく。なんで千歌は布団にくるまっているのだろうか?そう思いながらようやく梨子は部屋に入ってきて、ベットに腰掛ける。

 

「それよりもPVよ、どうすんの?」

 

そう切り出す善子に花丸も「まだ何もおもいついてないずら」と言って同意する。

 

「それはそうだけど…」

 

と梨子が言葉を詰めらせたところで「あらいらっしゃい」という声が聞こえてくる。長女の志満がお茶を持ってきてくれたのだ。

 

「ありがとうございます」と言って遥が受け取ると、「みんなで相談?」と聞かれ「はい」と梨子が答えると、

 

「相談はいいけど、明日はみんな早いんだからあんまり遅くなっちゃだめよ?」

 

そう言われたところで、「明日って何かあるの?」と梨子と遥が口をそろえて首をかしげる。

 

「海開きだよ」

 

そう言う千歌の声が『廊下』から聞こえ、千歌が部屋に入ってくる。

 

「じゃあ…」

 

そうつぶやく梨子の顔が青くなり、後ろの布団がめくれ上がり、中からしいたけが出てくる。

 

「わん」

 

そう吠えると梨子が悲鳴を上げたのはまた別のお話し。もちろんいないといって騙した遥は家に帰っても暫く口を聞いてもらえなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふわぁああ…ねむ…」

 

まだ時計は朝の4時前なのだが、遥はあくびを噛み殺しながら起き上がる。

 

「海開きだからって、こんな朝早くなくてもいいんじゃ…」

 

そんな不満を漏らしながら学校指定のジャージに着替えると家を出て海岸へ向かう。梨子は先に行ってしまったのか、家にはいる様子がなかった、「まだ起こってるのかなぁ…」そんなことを思いながら海岸へ向かうと、町の人や学校の生徒で砂浜を埋め尽くす勢いだった。

 

「遥君、こっちだよ」

 

ふとそんな風に自分を呼ぶ声がしたのでそちらを向くと、花丸、ルビィ、善子の三人が一緒に清掃活動をしていた。

 

「おはよう、国木田さんに黒澤さん、津島さんも」

 

「お、おはよう」「おはよ、あとヨハネ」とそれぞれ言葉を交わすと清掃活動にとりかかる。

 

「そういやアンタ、二年生は名前で呼ぶのに私たちは苗字呼びなのはなんでなの?」

 

急にそんなことを善子に聞かれる。

 

「えっ?なんでって言われてもなぁ…名前で呼べって言われて無理やり…ほら、クラスメイトはみんな苗字で呼んでるし」

 

「ふーん…」

 

「な、なんだよ?」

 

「ま、いいんじゃない?無理に呼ばなくても」

 

「なんだよそれ…」

 

そんな会話をしながら清掃作業をしていると。

 

「あのーみなさん!」

 

そんな声が聞こえ、声のしたほう向くとそこにいたのは千歌だった、階段のてっぺんというみんなからよく見える位置にいた。

 

「わたし達、浦の星学院でスクールアイドルをやっているAqoursです!わたし達は学校を残すために、ここに生徒をたくさん集めるために皆さんに協力してほしいことがあります、みんなの気持ちを、形にするために!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沼津をPRする動画は、新曲のMVも兼ねてやることになった。スカイランタンをみんなで作って飛ばす、ということになったのだった。

 

放課後などの時間を使っての作業となり、Aqoursのメンバーは曲の振り付けや衣装作成も行っていたので、なかなか多忙なスケジュールとなったが、順調に進み打ち上げるタイミングや撮影場所も打ち合わせが終わり、スカイランタンももう少しですべて完成というところにまでこぎつけていた。

 

そんなある日の放課後の時間。遥と千歌は部室で最後の確認を、ほかのメンバーは教室でほかのクラスメイト達と残りのランタンの作成を行っていた。

 

「明後日くらいには本番いけそうだね」

 

「ですね、打ち上げも町の人たちや学校の皆が手伝ってくれますし、絶対成功しますよ」

 

そんな会話を千歌と交わしていた遥だったが、その時に突然自分の携帯が着信音を奏で始める。

 

「おかしいな?マナーモードのはずなんだけど…」

 

そう思いつつ画面を見るとそこには非通知着信の文字が並んでいたが、遥は無意識下で危険を察知していたのか。

 

「非通知なんて取らないよ身に覚えもないのに…」

 

そう言って鞄に再び携帯を放り込むと、色んなところから着信音が鳴り響き始める。

 

「あれ?誰だろ…非通知?」

 

「なんか…嫌な予感がします、千歌先輩、とらない方がい…」

 

「もしもし、高海です…」

 

とらないように促そうとしたが既に千歌は電話に出てしまっていたが、彼女はそこまで言いかけると無表情になり…

 

「あれ?先輩?」

 

悪ふざけにしてはタチが悪い、本当にどうしたというのだろう?そう思いつつ千歌に声をかけるがまるで反応がない。すると今度は部室の外からも着信音が鳴り響く…。

 

「おかしい、なんでみんな同じ音なんだ…」

 

「電話だよ…」

 

ふと疑問に思った遥の隣で千歌がそう言って自身の携帯をこちらに突き出してくる、彼女の携帯は再び着信音が鳴っていた。

 

「いや、それ先輩のだから…」

 

そういって遥は後ずさるが千歌はどんどん寄ってきて「電話だよ」と言い続けるのだった。絶対におかしい、やはりさっきの電話がまずいのだろう、そう思って遥は自身の携帯の電源を切ろうとするが再び着信が入り、着信拒否しても切れず、電源も落とせなかった。

 

「なんだこれ…」

 

本格的に危機感を覚えたころ、部室の扉が勢いよく開いて一人の少女が飛び込んできた。

 

「大変!みんなが!!」

 

「国木田さん!?」

 

「みんな一斉に電話が鳴ってそれに出てから様子がおかしいずら」

 

「全く急に走って生徒会長あたりに見られたら大変よ…ってなにがあったの?」

 

どうやらその時は教室から離れていたらしい善子が花丸が走っていったのを目撃したらしく部室に入ってくる。

 

「花丸ちゃん、善子ちゃん、電話だよ…」

 

そういって千歌が携帯を差し出してくる

 

「千歌ちゃん…?」

 

「全く電話がどうしたっていうのよ…」

 

そう言って善子が携帯に手を伸ばすが。

 

「とっちゃだめだ!!」

 

そういって遥がとっさに千歌を突き飛ばした。

 

「何すんのよ!!」

 

そう文句を言う善子に対して遥は、「電話をとってから様子がおかしくなったんだ」そう言ってこことの顛末を伝えるが、「ふざけてるんじゃないの?」そう言って納得しないがもう一人部室に飛び込んでくる。

 

「大変だよ花丸ちゃん、二年生も三年生もみんな様子がおかしいの!」

 

「そんな…」

 

ルビィの報告に花丸はそう言って肩を落とすがそんな余裕はなくなった。

 

「ちょっと…後ろ…」

 

そう言って恐る恐る部室の外を指さした善子のその指先の方向を振り向くとそこにいたのは、さっきまでの千歌のように携帯を持って近寄ってくる生徒たちだった…。

 

「ピギッ…」

 

「な、なんか様子が変よ…」

 

「だから言っただろ…ともかく逃げよう」

 

「逃げるってどこに?」

 

「こっちだ!」

 

そう言って遥は他の生徒たちが来た方の反対側の扉を開けると三人を引き連れてその場を走り去る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「参ったなぁスマホ忘れて出てきちゃったよ…」

 

果南は、母親から買い出しを頼まれて内浦のほうへ来たのだが携帯を忘れて出てきてしまい、再び海を渡って家に戻るのも時間がもったいないと思って仕方なくそのまま向かっていた。

 

すると町の大人たちが、くわやら何やらを持って出てきた。

 

「こんばんわ、こんな時間に収穫ですか?」

 

と言って普段から大人と接する機会の多い果南は挨拶をするが、直後に異変を察してその場から走り去る。

 

「何?何が起こってるの?」

 

理解ができない、いや最近の怪獣騒ぎやら何やらも正直理解の範疇を超えてはいたわけだが今回はここに住んでいる人たち全員の異変だ。

 

ともかく誰か他にこの異変に気が付いている人に相談できればと思いとにかく逃げた。

 

するとこのあたりの交番に努めている警官を見かけたので。

 

「お巡りさん、みんなの様子が変なんです!」

 

そう言って声をかけると警官はこちらを振り向くとにっこりと笑う。よかったこれでひとまず助かった。そう思ったのもつかの間、警官は果南に携帯していた拳銃を突きつけた。

 

「え…?」

 

その後、発砲音が周囲にこだましたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひとまず図書室に逃げ込んだのはいいけど…」

 

「いつまでもこのままってわけにもいかないわよねぇ…」

 

その後図書室に逃げ込むと鍵をかけて、ひとまずやり過ごした遥たち一年生だったが、このままずっとここにいても何も解決はしないだろう。そう思って口から出かかった言葉を引っ込めたルビィを善子が代弁する。

 

「図書室のパソコンを使って、何か情報が得られればって思ったんだけど…」

 

「無理ずらか?」

 

「そうだね、インターネットは切断されてるし、携帯電話は使えない。助けを呼ぼうにもこれじゃあね…」

 

何とかして突破口を…そう思ってパソコンを使う遥の様子を眺めていた花丸だったが、電子機器に疎くてもこれでは何の役にも立たないことは察せてしまった。

 

「まさか…これも天界からの刺客…」

 

「バカ言ってる場合じゃないずら」

 

突然わけのわからないことを言い出す善子に花丸がそう切り返す。

 

「わかってるわよ…」

 

「でもどうしよう…お姉ちゃんも心配だし…」

 

「そっか、姉さんも…」

 

暗い空気が漂い始めるが、現実はそれすらも許さなかった。突然ドアを無理やり開けようとしたような音がした後、ドアへ体当たりする音が実内へ響いた。

 

「もうばれたんだ…」

 

「グラウンドにも人影が見える…」

 

「屋上へ行ってみましょ?あそこからなら遠くの様子もそれなりに見えるだろうし」

 

そう善子が提案したのに反対の意見は出なかったので、四人は窓から一旦外へ出ると、再び構内へ忍び込み、屋上へと上った。

 

「こうやって物を置いとけば入ってこれないだろ…」

 

そう言って屋上へと入る唯一のドアの前に、道中に拾った掃除用具や机を幾つかドアの前に置き、即席のバリケードを作った。

 

これなら簡単には入ってこれないし、町のほうに異変に気が付いた人がいれば、ここから助けが呼べる。そういう算段だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拳銃の発砲音が聞こえた瞬間果南は目をそらしたが、だが痛みも何も感じない。もしや自分はなにも感じることなく死んでしまったのか?そう思い恐る恐る目を開けるがそこにいたのた、倒れた警官と、その後ろに立つ青年がいるだけで、自分の身を銃弾が貫く、そんなことは起こらなかった訳だ。

 

その青年は果南にとって見知った青年―湊博樹だった。

 

「ヒロが、助けてくれたの?」

 

「やつらは人間に興味を持った。ここはその実験場に選ばれた」

 

「何を言ってるの…?ヒロ、全くわからないよ…」

 

「果南が知る必要はない、命が惜しかったらこの街から逃げるんだな」

 

果南を助けたのにも関わらずそう突き放すように言い放つとそっぽを向きそのまま立ち去ろうとするが、果南はそれを追いかける。

 

「そんなことできないよ、私たちここで育ったんだよ?それにダイヤと鞠莉もきっと同じような目に合ってる、お願い助けに行こう?」

 

「無駄だ、存在価値のない人間はそのうち消える」

 

「え…?どうしてそんなこと言うの?幼馴染じゃないのさ!どうしてそんなことが言えるの!?おかしいよ!!」

 

博樹の言い草に思わず果南はそう強く言い返すが、博樹は何も答えなかった。

 

「もう頼まない!私一人で行くから」

 

そう言って拳銃を拾い上げる果南に対して「せっかく助けてやった命をわざわざ…」そうつぶやく博樹に、

 

「人間の存在価値なんて誰が決めるのさ…ヒロやっぱり変わっちゃったんだね二年前、みんなの前から消えた時から…」

 

そう言って学校のほうへ走り去る果南の顔は、とても悲しげだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後遥たちは完全に日が沈んでしまってあたりには校庭のあたりにある街頭程度でぼんやり周りが見える程度の屋上で途方に暮れていた。

 

「ごめん、私が屋上がいいなんて言い出したばっかりに…」

 

言い出しっぺだっただけに責任を感じてそう言いだしたのは善子だった。

 

「しょうがないよ善子ちゃん、マルたちだってそれがいいと思って賛成したわけだし…」

 

「でもルビィたち、どうなっちゃうのかな…」

 

善子を慰める花丸の隣でそうルビィが漏らす。

 

「ねぇ、天国って本当にあると思う?」

 

そう言いだしたのは花丸だった。思わず「え?」と遥が聞き返す隣で善子は「あるに決まってるじゃない」と普段の様子で言う。

 

「フフッそうだね」

 

そういってルビィが笑うと、ようやく少し場の雰囲気が明るくなった気がした。そのとき―

 

ここから少し離れた森に突然浮かび上がるようにして怪獣が現れた。その外見は依然沼津で建物を砂に変えた怪獣が二本の足で立ち腕を二つつけたような見た目だった。

 

「あれはあの時見た…」

 

「うん、クラゲみたいな姿をしてたやつずら…」

 

そうつぶやく面々の前で怪獣は目を数回光らせると、操られているかのように様子のおかしかった生徒たちが凶暴化し、屋上のドアを無理やりこじ開けにかかり始めた。

 

「どうしよう…」

 

「まずいわね、とんでもない勢いでたたいてるわよアレ…」

 

このままじゃここに入ってこられるのも時間の問題か…そう思い再び恐怖が勝り始める三人だったが、すぐさまドアは破られ人がなだれ込んできた。

 

そして数の暴力によって押さえつけられる四人だったが抵抗も虚しく形態を押し付けられ、虚ろな表情になる善子、花丸、ルビィの三人の近くで暫く抵抗していた遥だったが、すぐに抑え込まれてしまった。

 

「くっそぉ…ガイアー!!」

 

エスプレンダーを取り出しガイアに変身すると、その時の光によって周りの人は後ろに倒れこんだ。

 

そのままガイアは怪獣の前で巨大化し、怪獣へと肉薄する。

 

そのまま怪獣の首を蹴り上げ、ひじ打ち、拳を撃ちつけ有利に勝負を運んでいたガイアだったが、突然飛び上がった怪獣に対応しきれず、怪獣の腹から発射される光弾によって空爆を受けるが、とっさに放った小さい光弾で怪獣を打ち落とすと、怪獣の身体が振動をはじめ、再び周囲にあの着信音が鳴り響く。

 

すると町の人々が怪獣とガイアに前に立つ、まるでガイアから怪獣を守るかのように…。

 

するとガイアも人々を巻き込むわけにもいかず攻撃の手を止めてしまった。

 

すると怪獣の両腕が伸び、ガイアの右腕と首を絞めつけ、電撃を流し始めた。

 

この攻撃によってガイアのライフゲージが点滅を始めた。

 

このままガイアが敗北するようなことがあればここの人たちは恐らく助からない、だがガイアがこのまま怪獣を倒してもその余波に巻き込まれて助からないであろう…

 

そのとき!

 

 

 

「みんなを元に戻せ!」

 

そう言って一発の弾丸が怪獣の首に当たった。だが所詮人間と怪獣では圧倒的なサイズ差がある、人の命は奪えても、怪獣にとっては蚊に刺された程度にも感じないだろう。

 

しかし怪獣にとっては自身の能力から逃れていた果南が気に入らなかったのか、ガイアの腕を離すと果南の方へ向くと、腹部から光弾を彼女に向けて発射した。

 

ガイアはすぐさま助けに行きたかったが、怪獣のうでが首を強く締め付けていて抜け出せず、動くことができなかった。

 

果南は向かってくる光弾から顔を背けるが、今度こそ誰も助けてくれないだろうと本能的に理解してしまった。

 

(あー、今度はダメかなぁ…ゴメンヒロ、せっかく助けてくれたのに…)

 

しかしその攻撃が彼女に届くことは無かった、空中で破裂したその光弾は青い光によって彼女に届くことは無かったのだった。恐る恐る目を開ける果南が見たのは、青いまばゆい光の中から現れてこちらを見つめる青い体を持つ、もう一人の巨人だった…。

 

「あれは…」

 

そうつぶやく果南の前で、うずくまっていた巨人はすっと立ち上がると怪獣の方を向き、くいくいっと手招きをして怪獣を挑発する。

 

すると怪獣はガイアを放り投げると、アグルへと突進を行うが、アグルは高速移動で怪獣の背後に回り込むと怪獣の背に回し蹴りを見舞う、すると体制を崩した怪獣は今度は飛び上がり攻撃を仕掛けるが、最小限の動きでかわされ、尻尾を掴まれそのままジャイアントスイングをくらい、かなり堪えたのかすぐには起き上がれなかった。

 

するとアグルは右腕を掲げ、エネルギーを額のクリスタルに収束させると、腕を振り下ろしそのエネルギーを怪獣めがけて放つ。

 

それをまともに受けた怪獣は粉々に爆散するが、付近にはまだ操られていた人々がいたため、ガイアはとっさに人々の盾となって爆発から人々を守るが、アグルはその様子を冷ややかに見つめた後そのまま飛び去ってしまった。

 

「青いウルトラマンも、私たちの味方なのかな…?」

 

そうつぶやいた果南にこたえるものなどどこにもいはしなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に覚えてないの?あの日の放課後のこと」

 

「そうなんだよね~気が付いたら屋上に倒れてて…」

 

「私も、教室でクラスのみんなといたはずだったんだけど、気が付いたら夜になってて…」

 

後日、学校やAqoursのメンバーにあの日のことを聞いても誰一人として操られていたことはおろか、電話に出たということすら覚えていなかった。

 

「マルたちみんながおかしくなった後大変だったずら。でも、最後はどうなったのか覚えてないんだ…」

 

「ルビィも…」

 

「私もよ、はっ…まさかこれも天界の仕業…!?」

 

「街の人も覚えてないって言ってたし、ほんと不気味だよね」

 

そんな感じで誰一人として覚えていなかった。もちろん、遥がガイアに変身したことすらも。

 

「まぁとにかく今は最高のパフォーマンスをすることに集中しよ!」

 

「ヨーソロー!せっかくみんなに手伝ってもらって準備してきたしね」

 

「撮影は僕が、任せてくださいみんなスタンバイOKです」

 

「それじゃあいこう!」

 

 

 

 

 

 

 

新曲のタイトルは『夢で夜空を照らしたい』その曲名の通り、夕暮れの空を照らす無数のスカイランタン、それはこの街のよさに気が付き、そしてそこに住む人々の協力によって作られた景色だ。

 

ここに住む人たちの温かさ、優しさ、それに触れたことによってこの景色は作られたのだ。そしてこの景色を失わないために、学校を残すために彼女たちのスクールアイドルとしての活動はこれから続いていくのだ。

 

 

 




ありがとうございました。今回は前回までと比べると結構異例な回になったと個人的には思っています、これから反響次第ではオリジナル要素強めもいいかなと思ってます。
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