ラブライブ!サンシャイン!!〜大地と海の巨人〜   作:カズオ

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最近ちょっとずつメンタルが回復したのでモチベも戻ってきました。
6月中に1期終われればいいなぁとか思ってます。それでは本編


12話 失くしたもの/突きつけられたもの

昨日の戦闘に巻き込まれて鞠莉が怪我を負ったのを目撃したアグルは、そこで動きが止まってしまいガイアがゴメノスを倒した後も暫く動くことができなかった。

 

人間に価値は無い、人類は滅ぶべき、口でそう言っていてもやはり鞠莉やダイヤ、果南とは長い付き合いであり、やはり彼女たちが傷つくことを心のどこかで恐れていたのだ。

 

だがそれを自覚した時にはもう遅すぎた。ガイアが変身を解いた後に自身も変身を解き、救急車で搬送される鞠莉を遠目に眺めた後、破損したパーセルをそのまま放置されていたことに気が付く。

 

このデータを活かせばもっと効果的なものを作れるのかもしれない、だがそうしようという意思は全く浮かんでこなかった。

 

彼の中にあったのは後悔と、操ることでなく、怪獣たちの意思によって人類の滅亡も行われるべきだという発想だった。

 

だから彼はデータを保存してあるチップをそのまま踏み割るとどこかへと去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻って病院。鞠莉が目を覚ましたとの連絡を受けて病室に向かった遥、ダイヤそしてダイヤから昨日のことを聞いた果南の三人だったが、鞠莉には不思議そうな顔で「どちら様ですか?」そう告げられたのだった。

 

「鞠莉さん、ふざけている場合ではないのですよ?」

 

「そうだよ、流石に怒るよ」

 

ダイヤと果南は口々に言うが、鞠莉の表情は悲しげなものとなり…

 

「ごめんなさい、本当に解らないんです…」

 

そうつぶやく鞠莉の声は震えていて、とても嘘をついているようには聞こえなかった。

 

「そんな…」

 

彼女になんと声をかけるべきか悩んでいた三人は、医師に呼び出され別室へと移動していた。

 

「鞠莉さんは、頭部に強い衝撃を受けたことによる一時的な記憶障害だと思われます」

 

そう切り出した担当の医者に、ダイヤは「ということは、鞠莉さんは治るのですか?」そう一抹の希望をもって聞き返す。

 

しかし医者は暗い顔をしたまま首を横に振った。

 

「今のままでは、いつになるかも見当は付きません…なにかきっかけがあれば、戻るとは思うのですが、それが何なのか、どのタイミングでなのかも今の状況ではわからないのです」

 

そう告げられた。

 

「どうしたらいいんだろ?どうしたら思い出してくれるのかな…?」

 

検査があるからと一旦面談は終わりとなったので気持ちを整理しようと外へ出た三人だったが、果南がそう切り出した。

 

「悔しいですが、見当もつきませんわ…もとはと言えば私を庇ったせいなのに…」

 

「そんな、先輩は悪くないですよ!悪いのは…」

 

アグルがガイアの邪魔をしたせいだ。そう言いかけた遥だったが果南がそれを遮るように言い放った。

 

「悪いのはウルトラマンだよ、あそこで争わなきゃ鞠莉達が巻き込まれることも記憶を失う事もなかったんだよ」

 

「果南さん…」

 

果南に何かを言おうとしたダイヤだったが、果南のつらそうな表情を見ると何も言えなくなってしまったが、ちらりと遥のほうを見た。

 

果南は遥がガイアであること、ましてや博樹がアグルであることを知らないのだ。だが、今そのことを知ってしまえばきっと果南は遥も博樹のことも許せなくなってしまうだろう。だからこそ何も言うことができなかった。

 

「そうです、悪いのはウルトラマン達です…」

 

そう言ったのは遥だった。

 

「僕はウルトラマンが許せない、あんなところで争ってみんなを危険にさらしたウルトラマンが」

 

「遥…」

 

そう言った遥の表情はとても険しく、その声は震えていた。

 

「それに僕だってあの場にいたのに何もしてあげられなかった…僕はそれが悔しいんです…」

 

「そんなの相手は怪獣だよ?仕方ないよダイヤも遥も自分を責めないで」

 

果南は二人をフォローするためにそう言ったつもりだった。いや、実際そうなのだがウルトラマンの正体を知らない果南には知る由もなかった、その言葉が結果的に余計に遥を苦しめてしまったことを。

 

「そうですね…」

 

遥はそう返したが、その表情は二人には見えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、鞠莉の検査が終わり、再び面会を行うか?医師からそう聞かれたが今の鞠莉になんと声をかけるべきか、気持ちの整理が付かないままだった三人はそれを断り帰路についた。

 

ちょうどその入れ違いで病院へと入っていく人物がいた。湊博樹だ、彼自身も責任を感じていたため、鞠莉の状態を確認しておこうと病室へと足を運んだのだ。

 

「どなたですか?」

 

病室の前までたとりついた博樹に鞠莉が中からそう声をかけたので、博樹は病室の中に入る。

 

頭以外にもけがのせいで包帯を巻いていたがその姿は比較的健康そうであったので安堵したのだが、その安堵もすぐに打ち崩される。

 

「ごめんなさい、私記憶喪失みたいで、あなたのことも分からないんです…」

 

「…ッ!」

 

その言葉に顔を引きつらせる博樹だったが、鞠莉はさらに続けた。

 

「さっき来た人たちにも同じよな反応をされました。悔しいですよね、きっと大切な人なのに名前すらわからないなんて…」

 

そこまで言ったところで、それを遮るように博樹はただ一言「すまない…」そうつぶやいたのだった。

 

「え?」

 

なぜ自分が謝られなければならないのか?それが藤儀でならないような反応をする鞠莉に博樹はつづけた。

 

「おれが君を巻き込まなければこんなことにはならなかった、だからこれは俺のせいなんだ。謝って済むことじゃない、恨んでくれてかまわない。だがこれだけな君に伝えておかなければと思ったから来た。」

 

そう淡々と語る博樹に彼女は微笑みかけると。

 

「そんな風に自分を責めないでください、何があったのか今の私にはわからないけど、あなたの辛そうな顔は見たくない、そんな気がします」

 

「そうか…」

 

そう励まされるも博樹はそれだけ言うと病室を後にした。背後から鞠莉の「また来てください」そんな声がしたが、振り返ることはなかった。

 

それに博樹はもう自身は戻れないところまで来ている、そう思っていた。

 

「だから俺は…もうこうするよりほかにないんだ」

 

その手にはアグレイターを強く握りしめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうすぐ帰ってきますわね、千歌さんたち」

 

病院を出た後、それぞれ自分たちの家に戻った遥たちだったが、Aqoursのみんなを迎えに行くべく沼津駅に移動すると、そこで再びダイヤと出会った。

 

「そうですね、思えばこの二日間いろんなことがあってずっとあってないような気すらします」

 

「そうですわね、私自身整理が追い付いていませんわ…でもひとまず忘れましょう、きっとこのままあってしまえば、彼女たちに心配をかけてしまいますもの、このことは気持ちが落ち着いてからお伝えするべきだと思いますわ」

 

「強いんですね、先輩は…」

 

彼女たちに余計な心配はかけたくない、学校を残すためにと言って活動し、その成果として東京のイベントに呼ばれた彼女たちには。そんな気遣いが見えるダイヤに対して遥はそう思った。

 

「遥さんも立派ですわ、今までずっと一人で戦ってこられたのですから。だからあまり自分を責めないでください、私でも相談くらいならできると思います。ですからご自身大事にしてください」

 

「わかりました、とにかく今はみんなにちゃんとおかえりって言います、後のことは今は考えません」

 

そうこう会話をしていると、駅のほうから6人が出てきたが千歌のクラスメイト達のほうが先に千歌たちに「おかえり~」と言って駆け寄っていった。

 

「どうだった、東京は?」

 

そう聞かれた千歌は最初こそ「あ~、うん…」となんとも言えない反応だったが、すぐ普段の様子に戻ると。

 

「すごかったよ、なんかキラキラしてた」

 

そう答えるのだった。それにほかの子らが「ちゃんと歌えた?」「緊張して間違えたりしなかった?」などと質問を重ねてくる。

 

「うん、それは何とか。ね?」

 

そう曜が答えると梨子に目配せをし、梨子も「そうね」と合わせていた。

 

「ダンスのミスもなかったし」

 

「そうそう」

 

そう言って話を切り上げたのは千歌だった、遥は彼女たちが何かを誤魔化しているような雰囲気を感じ取ってはいたが、そこでは何も言うことはできなかった。

 

「今までで一番のパフォーマンスだったねってみんなで話してたところなんだ」

 

「じゃあじゃあ、ラブライブ優勝本気で狙えちゃうってこと?」

 

千歌の言葉にクラスメイトの一人がそう反応すると、千歌の表情は固まった。そんなことには気が付かないクラスメイト達は興奮した様子で「そうだよね、東京のイベントに呼ばれるくらいだもんね」などと言って盛り上がっていた。

 

千歌たちの様子に気が付いていた遥は何と言って彼女たちに声をかけるべきか悩んでいるとダイヤは彼女たちのほうへ行き。

 

「おかえりなさい」

 

「お姉ちゃん…」

 

ただ一言いってほほ笑みかけるダイヤに最初に反応したのはルビィだった。すると彼女は涙を浮かべながらダイヤの胸に飛び込んだ。

 

そのまま泣き始めてしまったルビィの頭をなでながら「よく頑張ったわね」そう言うダイヤの顔はとても優しかった。

 

「おかえりなさい、姉さん」

 

「うん、ただいま。遥」

 

暫く姉妹の様子を見ていた遥も、ようやくおかえりと声をかけることができた。ただいまと返す姉もまたその表情は何とも言えないものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「得票、0ですか…」

 

クラスメイト達と別れ、川辺に移動した彼女たちだったが、ルビィは疲れてしまったのかダイヤの膝を枕にして寝てしまっていた。そんな妹の頭をなでながらそうつぶやくダイヤに千歌は「はい…」とだけ返事をした。

 

「今のスクールアイドルの中ではやはりそう言うことになってしまったのですね…」

 

そうつぶやくダイヤに対して、

 

「先に行っておきますけど、あなたたちは決してダメだった訳ではないのです。スクールアイドルとして十分に練習を積み観客を楽しませるに足るパフォーマンスもしている」

 

なら何が足りないのだろう?そもそもあれだけ活動に批判的だった彼女がこれだけの評価をAqoursに下してくれているのか?それがメンバーには分からなかった。

 

「でも、それだけではだめなのです、それだけでは…」

 

「どういうことです?」

 

そう聞き返した曜にダイヤはこう問いかける。

 

「7236…何の数字かわかりますか?」

 

「それはヨハネの…」

 

「違うずら」

 

「ツッコミ早ッ!!」

 

その問いに善子が普段の調子で反応するが花丸が即座に否定する。

 

そんな様子を見ながらほほ笑んだダイヤは答えを述べる。

 

「去年、ラブライブにエントリーしたスクールアイドルの数ですわ、第一回大会の十倍以上」

 

「そんなに…」

 

そうつぶやいた千歌の表情はとても暗かった、実際ランキングに登録している数よりずっと多い、それなら今回のイベントに呼ばれなかったグループにもまだレベルの高いグループはいるのかもしれない、遥はそう思った。

 

「スクールアイドルは確かに、以前から人気がありました。しかし、ラブライブの開催によってそれは爆発的なものになった。A-RISEとμ'sによってそれは揺るがぬものとなり、アキバドームで決勝大会が行われるようになり、レベルの向上を生んだのですわ」

 

そう説明してくれるダイヤの話を聞いて、やっぱりこの人はスクールアイドルが好きなんだな、そう思った。

 

「あなた達が支持されなかったのも、わたくし達が歌えなかったのも仕方のないことなのですわ」

 

さりげなく放たれた一言に一同は「え?」といった反応をする。

 

「歌えなかった?」

 

「どういうこと?」

 

そうそれぞれ反応するメンバーたちにダイヤは過去のことを語り始める、ルビィも気が付けば目を覚ましていた。

 

「二年前、すでに浦の星には廃校の噂がありましてね…」

 

ダイヤの口から語られたのは、二年前高校に入学したころに既に廃校の噂が立っていたこと、それを阻止するべく、当時μ'sに憧れていたダイヤはスクールアイドルをやってラブライブに優勝することで学校を有名にし、かつての音ノ木坂のように廃校を阻止しよう。と言ったものだった。

 

そして意外だったことは鞠莉は最初はスクールアイドルに興味がなく、ダイヤと果南が無理やり誘って仲間にしたことが語られた。

 

そしてAqoursと同じように東京でのイベントに招待され、ここで名前が売れればラブライブ優勝はより現実的なものにできる、そう思ってそのイベントに出たこと。

 

「でも、歌えなかったのですわ」

 

そう告げる彼女の顔は、とても悲しげだった。

 

「他のグループのパフォーマンスと、会場の空気に圧倒されて、何も歌えなかった」

 

いや、実際悲しかったのだろう。スクールアイドルを夢見て活動を始めたのに厳しい現実に打ちのめされてしまったことが。

 

当初千歌たちがスクールアイドルを始めた時に批判的だったのは、自分たちと同じ苦しみを受けてほしくない。そんな優しさの裏返しだったのだろう…。

 

「あなた達は歌えただけ立派なのですわ」

 

「じゃあ、今まで反対してたのは…」

 

「いつかこうなることがわかっていたから…」

 

同じゼロという結果でも、実力を出し切って出た結果か、発揮できずに出た結果では意味合いは変わってくる、でもそれはなんの慰めにもならないし、そういった意図はないのだろう。

 

ダイヤの口から明かされた、二年前の出来事、そして今のスクールアイドルの現実。それを受けて彼女たちはどうするのか?とにかく今日その答えを出す必要はないし、何よりみんなには休んで一度気持ちを整理する時間が必要だ。

 

ともかくその日は解散となり、家が近い曜と善子は徒歩で、ダイヤとルビィは家の車で花丸を送ってから帰るらしい。

 

梨子と遥は千歌と共に十千万の車で送ってもらうことになったのだが、車に乗り込もうとする千歌に背後から曜が声をかけた。

 

「千歌ちゃん、スクールアイドルやめる?」

 

こう聞くと必ず千歌は「やめない!」と返してくれる、千歌と曜のお決まりのやり取りだと言っていた。だが、今回ばかりは千歌は何も答えず、そのまま車に乗り込んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「早くお風呂入っちゃいなよ~?」

 

帰りの車を運転してくれて美渡にそう言われるが千歌は屈みこんでしいたけをなでていた。

 

「梨子ちゃんと遥君もちゃんと休んでね?」

 

「「はい、ありがとうございました」」

 

「千歌ちゃん、大丈夫?」

 

梨子は千歌にそう声をかけた。千歌がきっと一番つらいはずそう思っての心配だったが千歌は梨子のほうを振り返る。

 

「うん、ちょっと考えてみるね?わたしがちゃんとしないとみんな困っちゃうもんね」

 

そう悲し気な笑みを浮かべて語る彼女に対して、なにも声をかけることができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇダニエル、記憶喪失ってどうやったら治ると思う?」

 

『どうしたんだい突然?』

 

「ちょっとね…」

 

その夜、ダニエルと連絡を取っていた遥だったが、アルケミースターズならなにか鞠莉を救う方法を知っているかもしれない。そう思った遥だったが、ダニエルは。

 

『う~ん、こうすればぜったい思い出す。そういった方法は今のところ聞いたことないね。悪いけど僕はわからないな、こういう事例に詳しそうな知り合い入るから今度聞いてみるよ』

 

「ほんとに!?ありがとうお願いするよ」

 

『それくらい大したことじゃないよ』

 

そう言って笑ってくれるダニエルを見て、遥は少しだけ気持ちが軽くなった気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方博樹はアグルの力を使って、あらかじめ手に入れた世界中に眠っているであろう地底怪獣の位置情報を元に世界を飛び回り、地底にエネルギーを送り込んでいた。

 

「もうこれしかない…怪獣たちの力で地球を…その結果が人類の滅亡でも構わない!もう俺は止まれないんだ」

 

そうつぶやく博樹だったが、何度もアグルの力を短時間で行使したせいか、顔色は悪かった。

 

そしてその情報はダニエルのもとにも届いていたのだが、こればかりは無駄に不安を煽るだろうと判断され、遥の耳に入ることは無かった。




今回初めて戦闘描写無しで書いてみたのでちょっと物足りなかったかもしれません…
でも今のみんなのメンタルで怪獣出しちゃうのもなぁってのとドラマパート重視でいきたかったのでこういう風にさせて頂きました。近いうちにド派手に戦う回もやる予定なのでお楽しみに!
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