世界中に眠る地球怪獣を、アグルの力を使って呼び覚ました博樹だったが、自らが呼び覚ましたはずのギールを自ら倒してしまうのだった。
そしてゾンネルもまた、アグルによって呼び覚まされたのだった。
どうする?ウルトラマンガイア!?
アグルが沼津の病院前でギールを撃破した頃、ガイアはアメリカでゾンネルと対峙していた。
(遅かったか…)
軍の戦車部隊が出動したというニュースは、家を飛び出す前に見ていたのだが現地に到達したときには、もう全滅してしまってた。夜の闇に浮かび上がるのは月の光に照らされる怪獣と、燃え盛る戦車の残骸のみ…。
いくらウルトラマンといえど、一瞬でたどり着くことは叶わない。だがそれでも数分でたどり着いたはずなのだが、それだけあの怪獣が協力だという事だろうか?
(それでも…)
負けるわけにはいかない、そう覚悟を決めたガイアは両手の拳を握りしめゾンネルへと駆け出すのだった。
だがゾンネルも大人しくやられる訳もなく、口から火球を吐いてガイアを牽制してくる。戦車部隊を殲滅したもので、その威力はかなりのものだが、ガイアは後ずさり回避し、ガイアスラッシュを放つが堅牢な外殻には傷一つ付かない。
それならばとガイアは顔面に蹴りを見舞い、肉弾戦でダメージを稼いでいくが1度距離が離れてしまったところに火球をもろに食らってしまい体制が崩れたところに、さらに追い打ちをかけるように突進攻撃をくらい吹き飛ばされてしまい、岸壁に激突してしまう。
『ピコン…ピコン…』
そのタイミングでエネルギーが危険域であることをライフゲージが赤く点滅し始めたことでそれを知らせる。
このままでは負ける…。そう思い止めを刺そうと歩み寄ってくるゾンネルに、フォトンエッジを放とうと両腕を広げエネルギーを頭部へ集め屈みこむ。
『やめてください…その怪獣だって、被害者なんです…』
「…ッ!」
以前アグルが呼び覚ましたゴメノスを怒りのままに撃破した時にダイヤに言われた言葉が脳裏によぎった事で、発射寸前で行っていたフォトンエッジを中断してしまう。
その結果、エネルギーはあたりに霧散してしまった。
だがゾンネルはそんな事などお構いなしにガイアへ向かってくる。
しかし、ガイアもここで倒れるつもりはなく、再び腕を広げてエネルギーを集中させる。その予備動作はフォトンエッジに酷似していたが、ガイアが放ったのはそれではなく。普段ならそのまま振り下ろす両腕をそのまま前方へ突き出し、緑色の光線を放った。
『ガイアヒーリング』本来傷を癒したり回復させる目的で使用する技なのだが、今回ガイアはゾンネルに使用することによって、ゾンネルを癒すだけでなく、その怒りを鎮めようとしたのだった。
それを受けたことによって脚を止めたゾンネルだったが、暫く立ち止まってガイアを見つめ首を傾げたりしていたが、そのまま振り返ると本来自分が眠っていた場所へと去っていった。
ガイアはそれを見届けると、再び光となって日本へ沼津へと帰還するのであった。
「果南ちゃん、どうしてスクールアイドルやめちゃったんだろ?」
「生徒会長が言ってたでしょ?東京のイベントで歌えなかったからだって」
放課後、練習中にふと千歌がそう口にしたので、そう善子が返す。
「でも、それくらいで諦めるような性格じゃないないと思う」
「そうなの?」と聞き返す梨子に対して「うん、小さいころはよく一緒に遊んでて―」
『ここでやめたら後悔するよ、絶対できるから!』よくそう言っていたことを話す。
「そんなことが…」
「とてもそんな風には見えませんけど…ハッ!すみません…」
相槌を打つ遥の隣で、そう漏らすルビィだったが、千歌は「もうちょっとスクールアイドルやってた頃のことがわかったらなぁ…」と呟き曜も「聞くまで知らなかったもんね~」と続く。
ここにいる全員が、ダイヤからその事を聞くまで知らなかったのだ。
「ん?」
ダイヤから?遥がそう思ったタイミングでみんな同じことを感じたのか視線が一斉にルビィへと向く。
「ピギッ…」
一斉に全員の視線が向いたことに驚いたのか思わず声を上げてしまうルビィだったが、2年生三人が口々に畳みかける。
「ルビィちゃん、ダイヤさんから聞いてない?」
「小耳に挟んだとか?」
「一緒に住んでるんだもの、何かあるはずよ?」
上から順に、千歌、曜、梨子にそう問い詰められたルビィは耐えられなくなったのか、踵を返して走り去ってしまう。
「あっ逃げた!」
「ギラン」
千歌がそう言うや否やなにやらそんな擬音を口にすると駆け出した善子がルビィにコブラツイストをかける。
「堕天使奥義!堕天流鳳凰縛!!」
なんだそれは…そう呆れている遥をよそに花丸は善子に歩み寄るとその頭にチョップをかまし。
「やめるずら」
「あっ…ひゃい…」
そう言って辞めさせたのだが善子の返事もえらく気の抜けた返事だったので思わず笑ってしまったのであった。
「…なによ?」
「いや、別に?」
笑ってる遥かに善子がジト目でそう聞いてくるので慌てて誤魔化すのだった。
「ルビィが知ってるのは、東京のライブで歌えなかったことくらいでそれっきりスクールアイドルの話はしなくなったので…ただ…」
「ただ…?」
その後、家に鞠莉が来てダイヤと何やら話している所をお茶を出しに行った時に聞こえた姉の言葉を皆に伝える。
『逃げてる訳じゃありませんわ。だから、果南さんの事を逃げたなんて言わないで』
「逃げたわけじゃない…か」
そう呟いた千歌だったが、ここで自分たちが考えてもその答えは出ないだろう。
やはり、その事は3人に聞くしかない。そう思ったのだった。
「果南ちゃん、今日から学校くるって」
朝登校中のバスで、曜がそう切り出す。
「それに鞠莉先輩も退院したらしいですよ」
遥も昨日ダイヤからメールでそう聞いていたのでその事を伝えると「本当!?よかった」そう口々に言う。
これでまた、自分たちの日常が戻ってくる。そう思うことができた。
「でもどうしたらいいんだろ…」
千歌は教室のベランダでそう頭を悩ませていた。
どうすれば3人の過去が解るのか、普通に聞きに行っても絶対に口を割らないであろう。
でも何がきっかけになったのかも気になるので話はしたい。でもそうすると絶対過去のことを掘り下げて聞いてしまいそうで…。
「何悩んでるの?」
そう言って千歌の隣にきたのは梨子と曜だった。
「果南!」
鞠莉は彼女の名を呼びながら、かつて自分たちが新曲として作っていた曲の為に制作していた衣装を目の前に広げて見せる。
「はぁ…」
ため息が出た。記憶が戻ってくれたのは嬉しかったし安心したが、今度はまたこの調子では呆れてしまう。
そして果南は鞠莉へと歩み寄ると…。
ふと千歌達3人は上を、三年生の教室のある方を見上げると、何やら1着の服がひらひらと舞い落ちてきた。地上まで落ちていくであろうそれを見つめる3人だったが。
「くんくん」
それが自分達の視線の高さまで落ちてくるとそうやって鼻をならす人物がいた。
「制服ぅ!」
その正体は曜だった。そう叫んでその服目掛けて飛びついていった。
だが思い出して欲しい、ここは二年生の教室のベランダ。つまりは二階である。
「「ダメェェェエエエ!」」
「あっ…」
千歌と梨子は同時に叫ぶと曜の腰に抱き着くと、なんとか転落を免れたのだった。
「これって…」
「スクールアイドルの衣装…?」
改めてその制服をよく見ると、どうやら衣装のようだった。そしてそれは3階から落ちてきた訳で…。
3人は3年生の教室を目指して階段を上るのだった。
「離して!離せって言ってるの!」
果南は自分の腰へしがみついて離さない鞠莉を引き剥がそうとしていた。
「離さない!良いって言うまで離さない!!」
鞠莉も鞠莉で離されてなるものかと意地になっていた。
その周りではクラスメイト達がどうすればいいものかといった様子で二人を見ていた。
「強情も大概にしておきなさい!たった一度の失敗でいつまでもネガティブに…!」
「うるさい!いつまでもはどっち!?もう二年前の話なんだよ!大体、今更スクールアイドルなんて私たちもう3年生なんだよ!」
「二人ともおやめなさい!みんな見てますわよ!」
その近くでダイヤが仲裁に入ろうとしているが、ヒートアップした二人は止まらない。
「ダイヤもそう思うでしょ?」
「おやめなさい!果南さんはもうスクールアイドルをやることはありませんわ」
鞠莉はダイヤに同意を求めるが、ダイヤにそれは無いと拒否されてしまう。
「どうして?あの時の失敗はそんなに引きずること?チカっち達だって再スタートを切ろうとしてるのに何で…」
「千歌とは違うの!」
そう果南が言い返すが、そのやり取りを見ている人間の中に千歌がいることには気が付いていなかった。
「いい加減に…しろぉぉぉおおおおお!!」
突如教室に怒声が響いたと思いそちらを見ると千歌がドカドカと教室内に乗り込んできた。
「もう!いつまでもなんだかよくわからない話をずぅっとずぅうっと…!隠してないでちゃんと話しなさい!」
「千歌には関係な…「あるよ!!」
果南の言葉を遮ってそう断言する千歌にダイヤも「いや、ですが…」と困惑気味だったが千歌はもう止まらない。
「ダイヤも鞠莉さんも、三人そろって放課後部室に来てください」
「いや、でも…」
何か言いたげな果南だったが千歌はさらに言葉を強める。
「いいですねッ!!」
「はい…」
千歌の迫力に圧されたのか3人はそう折れてしまった。
「千歌ちゃん凄い…」「三年生に向かって…」
その様子を見ていた曜とルビィに言われ、そこで千歌は自分のしたことに気が付く。
「あ…」
「だから、東京のイベントで歌えなくて」
放課後、嫌々部室に訪れた果南は気に食わないのか椅子にふんぞり返ってそう言い放った。
「それはもうダイヤさんから聞いた」
千歌がそう言い返すと果南はダイヤを睨みつけるが、ダイヤはそれに一瞬怯むがまた口を結ぶとそっぽを向いてしまう。
「でもそれで諦める果南ちゃんじゃないでしょ?」
「そうそう、チカっちの言う通りよ、だから何度も言ってるのに…」
鞠莉がそう言って千歌の後ろで彼女の肩を持つ。
「何か事情があるんだよね…?」
その問いには果南は答えない、恐らく図星だろう。
「ね?」
そう言って念を押すとようやく返事が返ってくる。
「そんなものないし、さっき言った通り私が歌えなかっただけ」
「あー!イライラするぅう!」
千歌がそう言って頭を抱えると「その気持ちよーく解るよ、腹立つよねコイツ」そう言って鞠莉は果南を指さす。
「勝手に鞠莉がイラついてるだけでしょ?」
そう果南が言い放つが「でも」とルビィがここで口を挟む。
「前見かけたとき、踊ってたような…」
以前たまたま練習中にランニングしている所をみかけ、後を皆でつけた際踊っている所を見かけたらしい。らしいというのは、遥はその場面には最初にバテてしまったためついていけなかったからだ。
よほど恥ずかしかったのか、顔を赤らめるとルビィを睨む。ルビィは「ピギャッ!?」と悲鳴を上げるとそれ以上は何も言わなかった。
「お~赤くなってる」
「うるさい」
鞠莉がそう茶化して顔を覗き込むが、果南は顔を背ける。
「やっぱり未練あるんでしょう?」
そう言われると無言で果南は立ち上がると、
「うるさい、未練なんてない。もう嫌になったの、スクールアイドルは絶対やらない…!」
そう断言し、果南は部室から出ていく。そんな彼女を、誰も止めることはできなかった。
「ダイヤさん」
突然梨子に声をかけられてダイヤはピクッっと一瞬だけ体を震わせる。
「何か知ってますよね?」
「いっいえ…?わたくしは何も…?」
「じゃあどうして果南さんの肩を持ったんですか?」
「そっそれは~…」
痛いところを突かれたのかそう誤魔化すように言いながら立ち上がると、次の瞬間全力で部室の外へ走り去って行った。
「善子ちゃん!」
千歌が善子を呼ぶと察したのかダイヤを追いかけると、この前ルビィにしたように再びコブラツイストを決めるのだった。
「だからヨハネ~!」
やはりそこは譲れないらしい…。
「やっぱり姉妹ずら」
そう呟く花丸の視線の先には「ぴぎゃぁああああああ!」と悲鳴を上げるダイヤがいた。
「わざと!?」
長くなるからと黒澤家へと場所を移したのだが、そこで2年前に真実が語られたのだった。
「そう、東京のイベントで果南さんは歌えなかったんじゃない、わざと歌わなかったのですわ」
その発言に鞠莉の反応は下級生よりは冷静だった。
「どうして?」
そう鞠莉は聞くが善子は「まさか闇のまじ…」茶々を入れようとしたので花丸が口を押えて黙らせた。
「どうして?」
「あなたの為ですわ」
「わたしの?」
ダイヤは答えるが、鞠莉には意味が解らないといった様子だった。横で聞いている遥も解らなかった。なぜそれが彼女のためと成り得るのか?ただ悔しい思いをして終ってしまうだけだと思うのだが…。
「覚えていませんか?あなたはあの日、足を怪我していたでしょう?」
その日は、足を練習で捻挫していたのでテーピングをして本番に臨んだのだ。だが、それは練習のせいで負ったものでとてもその状態で満足のいくパフォーマンスはできないことは明らかだったが、彼女は2人を押し切ってステージに立ったのだ。
「わたし、そんなことして欲しいなんて一言も…」
「あのまま続けていたら、どうなっていたと思っているんですの?」
鞠莉の言葉にダイヤはそう反論する。
「あのまま続けていたら、事故になることもあり得た…」
「でも…」と鞠莉が言い淀んでいると「だから逃げたわけじゃないって…」そうあの日のダイヤの言葉にルビィが納得する。
「でも、その後は?」
「そうだよ、怪我が治ったら…つづけたって…」
そう曜と千歌が口を挟むが、鞠莉の声は降り始めた雨による雨音によってかき消されそうだった。
「そうよ…花火大会に向けて、新しい衣装もダンスも完璧にして…なのに…」
夏祭りでには完治させ、練習を積む時間も十二分にあったハズだった。それなのに、なぜ…。
「心配していたのですわ、あなた留学の話を全部断っていたでしょう?」
「そんなの当たり前でしょう!!」
思わずそう叫んでいた。自分にとって浦の星でスクールアイドルをやることが自分にとって最も大切なものだったのだから。
「果南さんは思っていたのですわ。自分たちのせいで鞠莉さんの未来の色んな可能性を消してしまうのではないかって…」
「まさか…そんなことで…」
鞠莉はそれで全てを悟ってしまった。元々もっと他の高校へ進学することも勧められていたがどうしても浦の星がいいと言って譲らなかった。スクールアイドルの活動は最初は二人と違って元々興味は無かったのだが、今日の逆で果南に「やるって言うまで離さない」と言ってハグされて最終的に折れた形だった。
でも留学の話を断っていたことを後から知って、自分を誘ったことに対して責任を感じてしまったのだろう。だからあんな終わり方になってでも…そういう事だったのだろう。
ふらふらと立ち上がって、玄関の方へ向かおうとする鞠莉にダイヤは「どこへ行くんですの?」と問いただす。
「ぶん殴る!一度も相談しないでそんなこと…!」
「おやめなさい、果南さんはずっとあなたの事を見てきたんですのよ」
できればあんな別れ方はしたくなかった。3人が納得できる形で終わらせたかった。でもそれは不可能だと思った、だからこれが一番マシな終わり方だと…そう思ったのだ。
そして果南も鞠莉を思うからこそ、自ら悪役になってまで鞠莉の為にと行動をした、ずっと鞠莉を見てきたから…。
「あなたの立場も、あなたの気持ちも、そしてあなたの将来も…誰よりも考えている」
「そんなのわからないよ、どうして言ってくれなかったの?」
そう真相を語るダイヤに鞠莉は聞く。
「ちゃんと伝えていましたわよ?あなたが気が付かなかっただけ…」
鞠莉は黒澤家を飛び出していった、バケツをひっくり返したかのような土砂降りの中、傘もささずに自分がどんなに濡れても気にも留めずに。ただ走り続けた、転んでしまってもすぐに立ち上がって…。
今彼女の中にあるのは、あの日々の思い出。3人でスクールアイドルとして活動していた毎日、あれはやっぱり3人みんなにとってかけがえのない日々だった。それを取り戻すために…彼女は走ったのだった。
「ヒロ…どうして…?」
果南は家に戻ってきていた。結局あの日鞠莉の記憶が戻ったとき、一応検査だけと再び病院に戻っていたが、博樹は怪獣を倒した後そのまままた行方が分からなくなっていた。
地球は救うが人類を守る必要はない。そう言い続けてきた彼がどうして再び自分たちを守ってくれたのかわからない。もし叶う事なら、また一緒に笑いあえる日が来てほしい。
自分が鞠莉の事をあんな風に突き放しておいてそれは虫のいい話かもしれない。それでも今の彼をそのままにしておくことはできない。そう感じていた。
そして彼と…湊博樹と初めて出会った日の事を思い出していた…。
というわけで次回、博樹の過去をようやく明かします。
彼はどうして3人と出会ったのか?どうして居なくなったのか?
次回、ご期待ください。