ラブライブ!サンシャイン!!〜大地と海の巨人〜   作:カズオ

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お久しぶりです、アニメ12話は個人的に印象深いお話しだったのでそれを崩さないように…といったところで苦労しました。楽しんでいただければ幸いです。
それでは第24話、お願いします。


24話 龍の都/はばたきのとき

「さあ、今朝捕れた魚だよ。みんな食べてね」

 

予備予選結果発表の翌朝、部室に集合したときに果南はそう言ってクーラーボックスに入れて、刺身の船盛を持ってきた。

 

無事に予備予選を突破することができた。今日はそのお祝いと称して果南はこれを持ってきてくれた。

 

「なんでお祝いにお刺身なの?」

 

千歌は呆れ気味にそう聞いてくる。

 

「だって干物じゃお祝いっぽくないじゃん?」

 

「それ以外にもあるでしょ夏みかんとか!」

 

「パンとか」

 

果南に対して千歌は夏みかんを、パンを提案したのはパンを今頬張っている花丸が。どちらも自分が食べたいものだろう。

 

「見てください!」

 

そう言ってずっとPCを操作していたルビィが、その画面を皆に見せる。

 

そこに映っていたのは先日の予備予選でのパフォーマンスだった。他の参加スクールアイドルの映像もあるのだが、予選を突破した他のスクールアイドルと比較してもAqoursのPVは頭一つ抜き出ていた。

 

「凄い再生回数!」

 

その再生回数を見た曜が興奮のあまり声を上げる。なんとその回数158,372回。

 

「それだけじゃなくて、コメントも沢山ついていて」

 

そう言ってコメント欄もルビィは見せてくれるが、そのコメントはいずれも好意的なものばかりだった。

 

<かわいい>

 

<全国に出てくるかもね>

 

<これはダークホース>

 

「ダークフォース!?」

 

最後のコメントに善子は反応するが、「それ違うから」そう遥が言うがそれは周りの言葉に掻き消される。

 

「よかった、今度はゼロじゃなくて」

 

そう言って安堵する千歌だったが今度はスマホが着信音を奏でる。

 

「あ、梨子ちゃんからだ!」

 

そう言って嬉しそうに電話に出ると、スピーカーに切り替えて机の上に置く。

 

『予選突破おめでとう』

 

「ピアノの方は?」

 

『うん、ちゃんと弾けたよ。探してた曲を弾けた気がする』

 

「じゃあ、今度は9人で歌おうよ!全員揃って、ラブライブに!!」

 

千歌と梨子の会話を聞いていた曜がそう言って両腕を広げる。

 

『そうね、9人で』

 

その言葉に梨子はそう応じる。

 

「そして、ラブライブで有名になって浦の星を救うのですわ」

 

ダイヤそう告げる。「がんばルビィ!」ルビィも姉の意見に同調する。

 

「これは説明会も期待できるんじゃない?」

 

「説明会?」

 

果南の口から出た説明会というワードに千歌は首をかしげる。

 

「セプテンバーに行うことにしたの」

 

鞠莉がそう告げると、

 

「きっと今回の予備予選で学校の名前も知れ渡ったはず」

 

「そうね、PVの再生回数からからすると説明会の参加希望者の数も…」

 

ダイヤの言葉にそう応じながらスマホを操作する鞠莉だったが言葉を詰まらせる。

 

「ゼロ…ゼロ…だね…」

 

「嘘…嘘でしょ!?」

 

「一人もいないってこと!?」

 

ダイヤが悲痛な声を上げるが、曜の言葉で全員が今の現実を直視するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「東京へ?」

 

その後の夜、千歌からメンバー全員へ電話があった。

 

あの後、μ'sはこの時期にはすでに廃校を回避していたことを知った千歌は、自分たちと何が違うのか?どうすればいいのか?その答えを知るために、再び東京へ行きたい。そう告げた。

 

「解りました、今度は僕も行きます。僕もその答えが知りたい」

 

『ありがとう、じゃあみんなにも聞いてみるから。日程はまた伝えるね』

 

そう言って彼女は電話を切る。

 

「東京…か」

 

今姉がコンクールの為に訪れている場所、そして遥にとってもかつて自分が暮らしていた土地。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん、心をしっかり、負けてはなりませんわ。東京に呑まれぬよう」

 

東京に着くや否や、ダイヤがそうやってなぜか周りを鼓舞するように声をかける。

 

「大丈夫だよ、襲ってきたりしないって」

 

そう千歌が笑って言うが、ダイヤは千歌にぐいと顔を近づけると。

 

「あなたは解っていないのですわ!」

 

そう言って食ってかかる、何をそんなに敵対視しているのかルビィは何か知っているんじゃないかと思って尋ねると。

 

「お姉ちゃん、小さい頃東京で迷子になったことがあるらしくて…」

 

「なるほど、まあ確かに住んでても普段行かない場所に行こうとすると迷ったりするしね。僕も小さい頃何回かはぐれちゃったりしたなぁ…」

 

そんな事を遥が遠い目をしながら呟く。それなら小さい頃ダイヤが迷うのも仕方がないのかもしれない。

 

「トラウシだね」

 

「トラウマね」

 

千歌が間違った言葉を使うが、隣にいた善子がすぐさま訂正を入れる。

 

「そう言えば梨子ちゃんは?」

 

そう曜が聞くと「ここで待ち合わせのハズなんだけど…」と千歌が周りを見渡すと、コインロッカーの前で荷物をロッカーに押し込む梨子の姿を見つける。

 

「梨子ちゃん?」

 

千歌が梨子に近づいてそう声をかけると、梨子は零れ落ちそうな荷物を必死にロッカーに背中で押さえつけると、不自然な笑みを浮かべ。

 

「ち、千歌ちゃん?それにみんなも」

 

「何入れてるの?」

 

「えっと…お土産とかお土産とか…お土産とか…」

 

中身が気になったのか駆け寄ってそう聞く千歌に、そう言うがやはりどこか様子がおかしい。

 

「わぁお土産!」

 

嬉しそうに駆け寄った千歌に驚いた梨子は、その拍子にロッカーに入れようとしていた荷物の一つを落としてしまう。

 

それが何か見ようと屈みこむ千歌に、梨子は声にならない悲鳴を上げると千歌の目を両手でふさぐ。

 

「わぁ見えないよ!」

 

梨子にとってはとても見られたくない代物だったのだろう。その後なんとか荷物をロッカーに収めた梨子だったが、何もなかったかのように「さぁ行きましょうか」そう切り出すのだった。

 

「ところでどこへ行くの?」

 

曜がそう聞く、遥もμ'sゆかりの地を巡る。とは聞いているものの具体的な場所は何にも聞いていない。

 

「ツリー?ヒルズ?」

 

「遊びに来たわけではありませんわ」

 

鞠莉が思いついた場所を上げていくがダイヤにそうあしらわれてしまう。

 

「そうだよ、まずは神社」

 

千歌が本来想定していた行き先を告げる。

 

「実はね、ある人に話を聞きたくてすっごい調べたんだ。そしたら、会ってくれるって」

 

「ある人?」

 

いったい誰なのか見当もつかないが花丸もなのだろう、そう聞くが「それはあってからのお楽しみ」そういってはぐらかされてしまう。

 

だが、その時顔を近づけると花丸は怯えてしまう、無理もない千歌の顔には梨子に抑えられた跡がくっきり残っていたのだから。

 

「でも話を聞くにはうってつけの凄い人だよ」

 

千歌はそう自信ありげに告げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神社への階段を登り切ると、そのにはSaint Snowの2人がいた。

 

「お久しぶりですね」

 

不敵な笑みを浮かべたまま、そう挨拶してきたのは青紫色の髪をサイドテールにした少女、鹿角聖良。Saint Snowは姉妹でのユニットで彼女は姉だ。その隣で無愛想な表情を浮かべて一言も発さない背の低い赤紫色の髪をツインテールにしている少女が妹の鹿角理亞だ。

 

「お久しぶりです」

 

千歌も笑顔でそう返した。

 

「「な~んだ」」

 

そう失礼なリアクションをとってへたり込んだのは黒澤姉妹の2人だった。

 

「それと、そちらの方はメンバーではないですよね?」

 

聖良が遥の顔を見ながらそう聞いてくる。前にあった時は3年生もメンバーになる前だったがPV等で見てくれていたのだろう。

 

「初めまして、マネージャーの桜内遥といいます」

 

そう言って遥は頭を下げると聖良も「初めまして」と頭を下げてくれる。

 

「ここで立ち話も何ですし、場所を変えましょうか?」

 

聖良の提案で、全員で移動する。

 

 

 

 

「そこの人、ちょっとええかな?」

 

「え?僕?」

 

一緒に神社を後にしようとした時、遥は後ろから声をかけられて立ち止まる。

 

「遥?どうしたの?」

 

「ちょっと呼ばれたから、後で合流するね」

 

梨子にどうしたのかと聞かれるが、ひとまずそう返して声のした方へ向かう。

 

「あなたですか?僕を呼んだのは」

 

そこにいたのは巫女服に身を包んだ、紫の髪を伸ばした女性だった。

 

「ごめんなわざわざみんなと別れさせるようなことして」

 

そう一言入れてから女性は切り出した。

 

「君にお願いがあるんや」

 

「お願い?」

 

「地の龍を倒さないで欲しいんや」

 

唐突に女性はそう告げるが、遥には何の事か解らない。

 

「どういうことです?それに、なんで僕がその龍を倒すって?」

 

「君には何か特別な力を感じるんや」

 

「…どういうことですか?」

 

まさかこの女性は遥がガイアだと知っているのだろうか?そう思うと遥の表情が険しくなる。

 

「さあ?カードが教えてくれるんや」

 

そういってタロットカードをとり出すが益々意味が解らない。なんで巫女がタロット?遥は少し呆気にとられたような表情を見せる。

 

「そもそも地の龍ってなんですか?怪獣ならもっと違うところに連絡した方が…」

 

「怪獣とは違うんよ、れっきとした護り神。でも最近の工事でな、地脈が分断されてしまったからそれに怒ってるんや。」

 

「人間のせい…」

 

そう呟く遥の脳裏によぎるのは今まで倒してきた怪獣たちの姿だった。

 

「そう、だから地脈さえ戻れば龍も静まるはず…だから倒さないで欲しいんや」

 

「僕が何を持っているって言いたいのか解りませんが、そうならないことを祈ります」

 

「ありがとう」

 

そう言って遥の隣を通り抜けた女性の言っていたことが、納得いかない遥は呼び止めようと振り返るが、

 

そこに女性の姿は無かった。

 

「いない…どうして?」

 

ここは開けた場所のはずだ、そんな一瞬で見失うなんてそうそうありはしない。首をかしげる遥だったが、そのまま階段を降りて、皆に合流すべく移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私と理亞は、A-RISEに憧れてスクールアイドルを始めました」

 

UTXという、かつてμ'sと並んでスクールアイドルの今の人気を作ったグループ、A-RISEというスクールアイドルがいた学校。そのカフェスペースに来ていた。

 

「だから、私たちも考えた事があります。A-RISEやμ'sの何が凄いのか?何が違うのか」

 

そう聖良は語る。きっとこの疑問はスクールアイドルを目指した者は皆、一度は同じことを悩んだ事があるのかもしれない。

 

「それで、答えはでました?」

 

千歌の問いかけに、聖良は首を横に振る。

 

「いいえ。ただ、勝つしかない。勝って追い付いて、同じものを見るしかないのかも…って」

 

スクールアイドルの頂点に立ち、かつてのμ'sやA-RISEと同じものを見るしかない。それが彼女達2人の得た答えなのだろう。

 

「勝ちたいですか?ラブライブ、勝ちたいですか?」

 

千歌のその問いに2人は目を丸くすると。

 

「姉さま、この子バカ?」

 

理亞のその発言に聖良は何も言わずに千歌に問いかける。

 

「勝ちたくなければ、何故ラブライブに出るのです?」

 

「それは…」

 

「μ'sやA-RISEはどうしてラブライブに出場したのです?」

 

その問いかけに千歌は答えることができない。どうして既にスクールアイドルの頂点にいたA-RISEがラブライブに出場したのか、既に廃校を阻止したμ'sがラブライブに出場したのか。その答えは千歌には解らない。Saint Snowの2人の様に、優勝して同じ景色を見ることが答えだとも思えない。

 

「そろそろ今年の決勝大会の発表になります、見に行きませんか?ここで発表するのが恒例になっているんです」

 

そう告げると聖良は立ち上がる。それに千歌達も続いてカフェテリアを出る。

 

UTXの外にあるモニターの前には、既に沢山の人だかりができていた。

 

聖良に続いて全員がモニターの前に来た時、丁度モニターが切り替わり、ラブライブ決勝大会の場所を告げる。

 

「アキバドーム…」

 

かつてμ'sが優勝した時の会場、その名前を梨子が呟く。

 

「本当にあの会場でやるんだ…」

 

果南がそう感慨深そうに言うと、千歌も「想像できないな」そう呟いた。まさに憧れの舞台、次の地区予選を突破すれば、その舞台に立てるのだ。

 

「やっと追いついた…」

 

そこでやっと遥が追いついてきた、この人だかりから探すのは大変だっただろう。

 

「どこ行ってたのよ?」

 

「いやぁ…関西弁の巫女さんに話しかけられて…」

 

「何言ってるの?」

 

梨子に何をしていたのかと問われ、それに答えるも梨子には首を傾げられる。

 

その時、突然地響きと共に付近の池から龍の首が現れる。

 

「あれは…?」

 

「龍?」

 

その存在に理亞と聖良も気が付く。

 

「一体だけじゃない、色んなトコに」

 

誰かがそう叫ぶと、皆付近を見渡す。巨大な龍の首が、様々な場所に地面を割き、水面から立ち上る。

 

「電話が繋がらない!」

 

「見て、モニターも!」

 

気が付けばモニターは消灯しており、電話も繋がらず。ガスや水道といったライフラインも全て停止してしまったのだ。

 

だがその龍はそれ以上は何もせず、ただそこに居続けるだけだった。

 

「とにかく、避難しましょう。みんなはぐれないように」

 

「そ、そうですわね。皆さん行きましょう」

 

遥の声にダイヤがそう言って周りに避難するよう促し、全員でその場を離れるのだった。

 

 

(倒すなって言われても…このままじゃ…)

 

遥は先程の女性との会話を思い出す、あれはやはり遥がガイアだと解っての発言だったのだろう。だが遥にこの状況を黙っておくことはできなかった。

 

こっそりと周りと離れて路地裏に入り込むと、遥はエスプレンダーを天に掲げその光を開放する。

 

 

 

「ウルトラマンだ!」

 

逃げ惑う人々の中から、ふとそんな声が上がる。その声に千歌達も一斉に光が立ち昇る方へ視線を向ける。

 

「ガイア…」

 

ガイアの出現に街の人々は歓喜した。怪獣を倒してくれ。そんな声が聞こえる。

 

龍の首は、ガイアが現れると出てきた地底や水面に一番巨大な首を残して戻っていく。

 

何が起こっているのか解らないガイアは、ただ周囲を警戒することしかできないでいると、遂に龍の全身が地上に出てくる。

 

他の龍の首は、その龍の尻尾だったのだ。長い首に額の水色の水晶、4本の脚と龍の首となっている8本の尻尾、それがあの龍の姿だったのだ。

 

「あの龍…本で読んだ事あるずら」

 

その姿を見た花丸にルビィは「本当?」と声をかける。

 

「ミズノエノリュウ…確か、大地の守り神ずら、本当にいるなんて…」

 

「そんな龍が、どうしてここに?」

 

「もしかして、この場所を人間から取り戻そうとしているのかも…」

 

人間よりずっと昔からこの土地に住んでいたミズノエノリュウは、この地を見守ってきた。でも最近の土地開発によって地脈を破壊さた、だからこの土地を取り戻すために現れたのだ。

 

ガイアは龍に向かって駆け出した。あの女性の意図が何であったにせよ、このままでは犠牲者が出る。それだけは見逃せなかった。

 

しかし龍の頭を攻撃すれば、尻尾の龍の攻撃を受け。頭と尻尾、合計9つの龍に攻めたてられガイアは手も足も出なかった…。

 

だがガイアもただやられていたわけではない。龍の攻撃の隙を突き、その首元に渾身の拳を叩きこむと怯ませ、その隙に距離をとる。

 

「大地を守護する者…」

 

先程の女性は神社からガイアの戦う様子を見ていた。だがその表情はとても難しい顔をしていた。

 

「この戦い、どちらが勝利しても意味がない」

 

そんな呟きも届かぬ中、ガイアと龍は互いに睨み合っていた。龍が口から雷を吐くとガイアはそれを咄嗟に避け、両腕をL字に組んでクァンタムストリームを放った。本来の威力には遠く及ばないが、それでも龍を怯ませ時間を作るのには十分だった。

 

そのまま今度は両腕を広げ、フォトンエッジの発射態勢に入るが、龍の尻尾からの雷撃によってそれは防がれてしまう。

 

その後、頭部の水晶が光ったかと思うと、ガイアの体が薄い水色の光に包まれその体が宙に浮く。ガイアが龍の念力によって持ち上げられ、ライフゲージが赤く明滅し、活動限界が近付いていることを知らせる。

 

「お願い、地に戻って。あなたの想いはガイアに届いてる」

 

女性のその訴えが届いたのか、龍は念力を解きガイアは地面に落下する。だがそれ以上は何もしてこようとしない龍を不思議に思ったのか、ガイアは暫く警戒していたがやがてその構えを解く。

 

ガイアとミズノエノリュウは暫く見つめ合っていたが、ミズノエノリュウは青い球体となって出てきた地面の裂け目から地底へと帰って行くのだった。

 

ガイアも女性の声に気が付いており、そちらを向くと女性と目が合った。

 

「ありがとう、キミのお陰で地の龍の怒りは収まった。キミのお陰で龍はチャンスをくれた、そう思うんよ」

 

その言葉にガイアは頷くと、そのまま飛び去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

「あなたは知ってたんですね?僕の事…」

 

あの後再び神社に戻った遥は女性にそう問いかける。

 

「さあ?どうやろうね?でも、全力で倒しにはいかないでくれた。それが全部やん?」

 

「それは…」

 

例え全力で持っている力を全て開放しても、ガイアにはミズノエノリュウを倒すのは難しいかもしれない。そう言いかけるが、女性は続けた。

 

「ありがとう、これでまたウチもここを見守っていられる…」

 

「それって、どういう…?」

 

「じゃ、この星のことは任せたから。ウルトラマンくん?」

 

「え?」

 

その時、突風が吹き遥は思わず顔を逸らして目を閉じてしまう。そして遥が再び目を開いた時、周りには誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局、東京へ言った意味はあったんですの?」

 

帰りの電車でダイヤがそう尋ねる。あの騒ぎの後、9人で音乃木坂へ行ったらしいのだがそこの生徒にμ's何も残していかなかった事を告げられたらしい。まあ遥はまた神社に行っていたのでその事を知らないのだが、当然その事については梨子とダイヤに絞られたようだ。

 

「そうだね、はっきりとはわからなかったかな」

 

そう果南は告げた、結局μ'sと自分たちで何が違うのか?何が凄かったのか?その明確な答えは出なかった。

 

「果南はどうしたらいいと思うの?」

 

鞠莉はそう問いかけた。

 

「わたしは…学校は救いたい、でもSaint Snowの2人みたいには思えない…あの2人、一年の頃のわたしみたいで…」

 

「ビッグになったねぇ果南も」

 

「訴えるよ」

 

果南の胸に顔をうずめながらそう言う鞠莉にそう返して、とりあえず引き剥がす。

 

「ねえ?海見ていかない?」

 

海沿いの駅に電車が停車した時、千歌がそう提案して立ち上がるや否や電車を降りる。

 

「ちょっと、千歌ちゃん!?」

 

それに反応し、全員慌てて電車を降りて千歌の後を追うと、千歌は砂浜に立ち夕日が沈もうとしている海を眺めていた。

 

「わたしね、わかった気がする。μ'sの何が凄かったのか…多分、比べちゃダメなんだよ。追いかけたらダメ、μ'sもラブライブも、輝きも…」

 

「どういうこと?」

 

「さっぱり解りませんわ」

 

千歌の言葉に、善子とダイヤはそう声を上げる、きっと理屈では無いのだろう。でもそれを説明することはとても難しい。

 

「そお?わたしは何となく解る…」

 

果南は千歌の言いたいことが何なのかわかった、そして梨子も

 

「一番になりたいとか、誰かに勝ちたいとか、μ'sってそういうのじゃなかったんじゃないかな」

 

「μ'sの凄い所って、きっと何もない場所を全力で走り抜けたことだと思う。みんなの夢を叶えるために」

 

ずっと探していた自分たちの輝きの答え。そんなものはどこにも無かったのだ、ただ自分たちで走り抜けて見つけなくてはいけない。他の誰も正解なんて持っていないのだ。

 

「μ'sみたいに輝くってことは、μ'sの背中を追いかけるってことじゃない。自由に走るってことなんじゃないかな?」

 

そう告げる千歌の表情はとても眩しかった。

 

「自由に走って行ったら、バラバラにならない?」

 

「どこを目指して走るの?」

 

善子の指摘ももっともだ、何か目的がないと各々が違う場所へ向かってしまう。だから梨子はそう問いかける。

 

「わたしはゼロを1にしたい。あの時のままで終わりたくない、それが今向かいたいところ」

 

その言葉に全員が賛同する、これでAqoursは本当の意味で、一つになれた気がした。

 

 

 

 

 

「ゼロから1へ!今全力で輝こう!!Aqours―」

 

『サンシャイン!!』

 

これから新しい目的に向けて進みだす彼女達の物語は、まだ始まったばかりだ。

 

きっとこれから自分達だけの輝きに向かって、羽ばたいていくのだから。




今回登場した怪獣はミズノエノリュウ、本家ウルトラマンガイアでもガイアを一方的に痛めつけた強豪です。元々東京の地下の神殿に住んでいて、都市開発で地脈を分断されたことに怒って出てくるのも本家通りです(詳しくはガイア第11話をみてね)
それと今回出てきた女性については皆さんの想像にお任せします。本人なのかそれとも…。
いよいよ一期も終盤です、この夏彼女たちが見るものとは?お楽しみに
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