ラブライブ!サンシャイン!!〜大地と海の巨人〜   作:カズオ

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超時空の大決戦編第2話目です
今まではアニメ本編を下地にすれば書けていたのですがそれが今出来ないのでちょっと大変ですが、連載始めた頃からこういう風にしたいっていうのが固まっていたので楽しく書かせて頂いております。


二章 赤い玉

少年、裕翔から語られたことに遥は驚いた。

 

「それ、本当なんだね?」

 

「嘘じゃないよ!本当に願いが叶う玉なら何かお願いしてみたら?ってお姉ちゃんに言われて、そしたらすぐにウルトラマンは現れなかったけど…」

 

「けど?」

 

にわかには信じられなかった遥は念を押して確認するが少年の意見は変わらない。

 

「そうしたら…デザイナー?って人がさっきの怪獣を僕から赤い球をぶんどって出したんだ…その人は玉が光ったことに驚いて落っことしてどっか逃げちゃったけど」

 

「そっか、じゃあその球少し見せてくれないかな?」

 

「なんで?お兄さんはもう帰りたいの?僕もっとガイアを近くで見たいんだ」

 

「球は僕だけじゃなくて怪獣だって出したんだ。もっと危険なものだって出すかもしれない、だからそれを防ぐためにこの球の事を知りたいんだ」

 

元の世界に戻りたいのも本音ではあるが、今はこの危険な球を何とかする方が先だと感じた遥は、そう訴えかけると裕翔は渋々ながら遥に赤い球を差し出す。

 

「何してるの!」

 

受け取ろうとしたところで飛び込んできたその声に驚いて遥は赤い球に触れようとしていた手を引っ込める。

 

「女子高のグラウンドで寝た次は小学生にカツアゲですか?大した度胸ね」

 

黒髪の少女が腕を組んでこちらを睨みつけていた。その後ろに視線を向けると9人の少女がいた。この世界のAqoursなのだろう、先程のマネージャーらしい少女以外は見知った顔なので。

 

「そんなんじゃありません、さっきの怪獣はこの赤い球が原因なんです。だから僕はこの球を調べてもうあんなことが起きないようにしたいんです」

 

「適当な事を…どうせ何かの撮影でしょう?」

 

彼女はやはりダイヤなのだろう、口調こそ違えど梨子ほど自分の知る彼女との差は感じない。

 

「適当な事なんて言ってません、それにまた現れたらどうする気なんですか?」

 

「それは…」

 

強気に言い返す遥に、ダイヤは何も言い返せなくなってしまうが、

 

「その時はまたウルトラマンがやっつけてくれるよ!」

 

「裕翔君…」

 

そう言って裕翔が間に割って入る。

 

「でも、そうならない方がいいもんね…お兄ちゃん、これ」

 

そういって遥に赤い球を差し出した。

 

「裕翔君、本当にいいの?」

 

そう聞いたのはチサと呼ばれていた少女が、裕翔にそう聞いた。

 

「いいの、だって僕のウルトラマンに会いたいって願いは叶ったもん」

 

そう裕翔が答える

 

「それに、やっぱり怪獣に町を壊されるの…嫌だもん」

 

「ありがとう」

 

「ちょっと待って貰おうか」

 

遥が裕翔から赤い球を受け取ったその時、今度は男性の声がそれを邪魔した。

 

「この人だよ!さっき怪獣を出したの!!」

 

その男性を指さして裕翔が叫ぶ。

 

「失礼だな君は、私は岸間海造(きしまうみぞう)デザイナーだ」

 

そう名乗った男性は年齢としては30半ばくらいだろうか?自分たちの親と同じか少し若いくらいの印象を受けるが、その目に遥は狂気を感じた。

 

「そんな人がなんの用ですか?」

 

遥は海造を警戒しながらそう告げるが、相手は何の事でもないかのようにこう返した。

 

「なぁに、簡単なことだよ。その球は何でも願いが叶うという、そんな危険なものを君たち子供に持たせておくのは大変危ない。だから大人である私が預かろうと言っているのだよ」

 

それを聞いて、他のみんなも海造の危険さを察知したのか少し表情が険しくなる。

 

「その子の話が本当なら、怪獣を出したのはあんたらしいけど?」

 

そう言って食ってかかったのは善子だった。だが海造はなんのことでもないような様子を崩さない。

 

「それが?私は怪獣のデザインを生業にしていてね、本物を知りたかっただけだ」

 

「そんなの間違ってる!それで一体どれだけの被害が出ると思ってるんだ!」

 

そう言って遥が詰め寄る。だがその時だった、赤い球が輝くと浮き上がり海造の手の中に入り込んでしまった。

 

「嘘…」

 

「本当にただの玉じゃない…」

 

驚きの声を彼女たちが口々に上げる中、海造はにやりと笑うと

 

「ほら、球も私の元に来たがっているじゃないか」

 

「ふざけるな!怪獣が出たら、みんなが怪我しちゃうじゃないか」

 

「ガキが偉そうに、まずはお前を踏みつぶさせてやる!!」

 

裕翔が気に食わなかった海造はそう叫ぶと、赤い球は先程とは違い辺りを真っ赤に染め上げる眩い光を放つ。

 

「な…何?」

 

「まさか本当に怪獣が…?」

 

その光が収まった時、彼女達の視線の先にいたのは、渦を巻く用な青と黒の非対称な模様をもつ巨人だった。胸にはオレンジに光るカラータイマー、顔の作りもウルトラマンのようだったがその目は赤く目元には黒い模様がありつま先は反りあがってその先は尖っている。

 

「あれは、ウルトラマン?」

 

「違うよ!」

 

遥のそのつぶやきに裕翔は否定の反応を示す。

 

「ウルトラマンだ、ただし『カオスウルトラマン』だがな。お前の好きなウルトラマンに踏みつぶされてしまえ」

 

そう捨て台詞を吐いて海造は赤い球を持ったまま走り去ってしまうが、その時赤い球が先程より一回り大きく、それでいて球の形が少し崩れて歪な形になっているように見えた。

 

「ま…まて!!」

 

遥は後を追おうとしたが、目の前の巨人に意識を無理やり逸らす。

 

「裕翔くん、君は皆と逃げるんだ。あれはウルトラマンじゃない、ならここに居続けるのは危険だ」

 

「わかった、お兄ちゃん頑張ってね」

 

「あぁ!」

 

遥は裕翔に肩を持つとそう優しく告げると、裕翔は頷いて遥に激励の言葉を贈ると、千歌達に駆け寄っていく。

 

「お姉ちゃん達逃げよう、ここにいたら邪魔になっちゃう」

 

「でもあの人は?」

 

そんな言い合いが始まりそうになるが、巨人もこちらへ歩み寄ってくるので遥はエスプレンダーをとり出し、その中の光を見る。

 

その光は、弱々しいものだったが、それでもやるしかない。覚悟を決めた遥はその光を解き放つ。

 

再び辺りは赤い光に包まれると、先の巨人に立ちはだかるようにガイアが現れる。

 

「何がどうなってるの?」

 

「あれもさっきの人が呼び出したの?」

 

「違うよ」

 

ガイアの登場で、更に混乱する一同だったが、裕翔はガイアがこの世界に現れたのは自分が赤い球で『ウルトラマンに会いたい』そう願ったからだと告げた。

 

「じゃあやっぱり遥くんが言ってたこと…」

 

「本当…なんだろうね…」

 

千歌と梨子はその話を聞いて、遥が本当に別の世界から来たことを信じるしかなくなった。

 

「そんな話本当にあるわけ…」

 

「事実は小説より奇なり、今本当に目の前で起こってるから信じるしかないずら」

 

「そ、そうだよね…」

 

ダイヤはまだ信じられないといった様子だったが、さっき現れた巨人を見ただけでもう信じるしかないと花丸は告げる横でルビィは震えながらそう同意した。

 

 

 

 

ガイアは目の前の巨人に構えるが、その直後にライフゲージが点滅を始める。やはり先程の戦いで急激に消耗していたエネルギーは全然回復していなかった。

 

(やっぱりこの世界だとエネルギーの消耗が激しい…でも負けるわけには…!)

 

巨人もガイアに対して敵意をむき出しにして駆け出してくる。

 

ガイアは巨人の拳を何とかいなして反撃しようとするが、巨人の一撃一撃がとても重く腕で防いでも威力を殺しきれずに後ろへ仰け反る。

 

仰け反ったガイアの首を巨人は片手で掴んで持ち上げるが、ガイアは相手の腹を蹴ってなんとか脱出し距離をとる。

 

そのまま両腕を上に突き上げ、スプリーム・ヴァージョンへヴァージョンアップしようとしたがエネルギーが足りず失敗に終わってしまう。

 

「ッ!?」

 

「グォォォオオオオ!!」

 

ガイアは想定していなかった事態にうろたえるが、相手はそれをチャンスだと思ったのか雄たけびを上げるとガイアへ駆け寄っていき、その腹に渾身の拳をいれ、怯んだところで顔面を殴り飛ばす。

 

「嘘、やられてるわよ…」

 

「なんかエネルギーが足りないのかな?最初から疲れてたよね?」

 

一方的にやられるガイアを見て鞠莉と果南がそう漏らす。その横で裕翔は必死に「ガイア頑張れ!」と応援していた。

 

「このままじゃ…」

 

「遥くん…」

 

千歌と梨子が心配そうに見守る中、ついにカオスウルトラマンの前にウルトラマンガイアは立ち上がる力も失ってしまい、ライフゲージの点滅の速度もかなり早まってしまった。

 

勝ち誇ったように雄たけびをあげながらゆっくりとガイアへと歩み寄るカオスウルトラマンを見て、誰しもがもうだめだと思った、その時!

 

 

銀色の光が両者の間に立ち上り、その中から青い身体をもつ巨人が現れた。

 

(アグルじゃない…他にもウルトラマンが…?)

 

ダメージで途切れそうになる意識をなんとか繋ぎ止めながらガイアはその巨人の背中を見つめる。するとその巨人はこちらへ振り向くと、ゆっくりと右腕をガイアへ向ける。

 

その巨人は青い身体に銀色のラインを持ち、現れる際に纏っていた光もどこか暖かさを感じた。

 

するとその巨人はその手から光をガイアに放出し、その光を浴びたガイアのライフゲージは明滅にペースがゆっくりになる。すると巨人はカオスウルトラマンの方を向く。

 

「ィヤァッ!!」

 

「グオォオオ!」

 

構える青い巨人に対して威嚇するようにカオスウルトラマンも吠えると、巨人に向かって駆け出した。しかい青い巨人はその攻撃を全て捌き、要所要所で平手でカウンターを入れていく。

 

「あれもウルトラマンってやつなの?」

 

「コスモスだ!ウルトラマンコスモスだよ」

 

裕翔はその巨人をウルトラマンコスモスと呼んで、その登場を喜んだ。

 

「コスモス…ウルトラマンってたくさんいるの?」

 

「うん、他にもまだいるよ」

 

チサのその質問に興奮気味に答える裕翔だったがすぐに目の前でおこっている戦闘にすぐ意識を戻す。

 

お互いに有効打をなかなか与えられない状況が続いていたが、コスモスがカオスウルトラマンを平手突きでのけぞらせた後、右腕を上に掲げ赤い光を身に纏っていく。

 

「ハァァア…」

 

そこにいたのは先程までとは違って、赤い身体を持つ巨人だった。赤い身体に左右非対称の銀と青のラインに、頭部の形も先程までとは違っていた。

 

月の優しさを持った青いルナモードから、太陽の力強さを持つコロナモードへとチェンジしたが、そのシルエットはカオスウルトラマンと酷似している。

 

「ダァッ!!」

 

先程までとは打って変わって拳を握り駆け出したコスモスは力強く攻撃を繰り出す。

 

(強い…これがあのウルトラマンの力…)

 

エネルギーこそコスモスのお陰で回復したがダメージは抜けきっておらず、未だ膝をついたままその戦闘を見ていたガイアは思った。自分ももっと強ければ…そう思わずにはいられなかった。

 

だがカオスウルトラマンも負けておらず、攻撃を受け流しては反撃を行っていたが、次第にコスモスが圧倒していった。

 

しかしお互い決着を付けるべく腕を広げ胸の前にエネルギーを球状に収束させていき、それを両腕で押し出す。

 

「ハアッ!ハァァアアアア…デリャァアアア!!」

 

「オォォォオオオ!…タァッ!!」

 

コスモスのブレージングウェーブとカオスのダーキングショットが激突する。

 

本来、カオスウルトラマンはコスモスのコロナモードをベースにコスモスの能力をコピーした存在であり、ダーキングショットはブレージングウェーブのコピーであるため理論上威力は同等なのだが…。

 

「ハァッ!」

 

お互いの光線が拮抗した時、コスモスが出力を更に上げ、カオスウルトラマンを吹き飛ばした!そして地に伏したカオスウルトラマン目掛けて再びエネルギーを収束させると、今度は手をL字状に組み。コロナモード最強の技、ネイバスター光線を放つ。

 

起き上がったところにその一撃を胸に受けたカオスウルトラマンは、もがき苦しんだ後虹色の光の粒子をまき散らすようにして消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君、大丈夫?」

 

変身を解いた遥に、そう声をかけてきたのは一人の少女だった。黒髪をツインテールにした、どこかの学校の制服だろうか?少なくとも沼津周辺で遥の知る限りでは見たことのない制服に身を包んだ少女だ気づけば遥の目の前に来ていた。

 

「ありがとう、でも大丈夫」

 

遥はそう返すが、やはりダメージが残っているのか肩で息をしていた。

 

「とにかく間に合ってよかったよ、それにしても君はこの世界じゃエネルギーの消耗が激しいみたいだね?」

 

そう聞いてくる彼女に遥は自分の事がばれていることを察した。

 

「そうみたい、ところで君は?君が助けてくれたの?」

 

「私は高田菜生(たかだなお)、ウルトラマンコスモスと一緒に戦ってる」

 

「一緒に…君はウルトラマンじゃないの?」

 

少女の言葉の意味が解らないといった様子で遥はそう聞き返す。すると彼女はううんと首を横に振る。

 

「コスモスと一体化しているの、地球に居られる時間が短いから」

 

「世界が違えば、色々変わってくるのか…」

 

「ま、そんなとこ。君も気が付いたらこの世界に飛ばされてたってとこでしょ?この状況を打破するために協力しない?」

 

そう言って菜生は手を差し伸べる。

 

「わかった、よろしく頼むよ」

 

その手を、遥はとったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃああなたも遥くんと一緒で、気が付いたらここにいたってこと?」

 

あの後Aqoursのメンバーと合流した遥と菜生は浦の星のスクールアイドル部の部室へとメンバーたちとともに移動していた。

 

「そうだね、でも私は気が付いたら海辺にいたんだよね。それで戦ってるのを見てこっちに来た感じ」

 

そう笑って答える菜生に一同は信じられないと言っていたメンバーだったが、菜生もかなり驚いているらしい。

 

「だって私が通っている虹ヶ咲学園なんてないって言うし、そもそも私東京に住んでるのにいきなり沼津にいたんだよ?」

 

そういって大げさに手を振る菜生に周りは少々困惑気味だったが…。そして菜生もマネージャーの少女以外のメンバーの事は知っている様子だった。

 

「そういえば、私が知ってるAqoursもマネージャーさんはいなかったな…」

 

これも世界が違うことによって生じた誤差なのだろうか?

 

「あっチサちゃんは春にここに転校してきたんだ!」

 

「九条チサって言います、さっきは疑ってごめんなさい」

 

千歌にそう紹介されたチサは先程遥をかなり疑っていたので、その事を謝罪した。

 

「逆の立場なら僕だって疑うし、気にしないでください」

 

「とにかく!私や遥くんだけじゃなくて怪獣も呼び出した赤い球っていうのを何とかしないとね」

 

そう言って菜生は立ち上がる。

 

「どうするつもりなの?」

 

「とにかく、そのおじさんを探してみるよ」

 

「でもあのおじさん怪獣を出すのにためらわないし、危ないよ!」

 

赤い球を引き渡すように説得する、そう語る菜生に裕翔はそう強く引き留める。

 

「大丈夫だって、コスモスも一緒にいるし。私達、強いから」

 

「教えてください!どうしたら君みたいに強くなれるの?」

 

遥が思わず菜生にそう詰め寄る。先程カオスウルトラマンに歯が立たなかったのがくやしかったのだろう。

 

「君だって十分に力をもってるはずだよ」

 

「でも…僕は、コスモスが来なかったら…」

 

「力で勝つだけが強さじゃないよ」

 

もっと強くありたい、そう訴えかける遥に菜生はそう告げる。

 

「遥くんは皆の為に戦える優しい人だよ、でもだからこそ忘れないで?力でねじ伏せるだけが強さじゃないってことを」

 

「力だけが…強さじゃない…」

 

「君は本当は答えを知ってる、今は色んなことがあって混乱しているだけで。私みたいにウルトラマンが何かを教えてくれることは無かったかもしれない、でも君の仲間がその答えを気づかせてくれたはずだよ」

 

そう言うと、菜生は部室を後にした。

 

「そうだ、皆僕を信じてくれた。だから僕は皆の為に戦えた…」

 

気が付くと裕翔が遥の隣に立っていた。

 

「僕も行くよ、最初に使ったの…僕だから」

 

「わかった、一緒に行こう」

 

遥は裕翔を連れて、海造を探すことにするのだった。

 

 




Twitterとかキャスではずっと言っていたコスモスを出したい、ここで実現させて頂きました。
新キャラの高田菜生ちゃん、虹のあなたちゃんの名前投票で作者が本当に応募した名前だったりします。
菜生ちゃんの物語もいつかしっかり書きたいですね、とりあえず今作では強い先輩ぽい人くらいに思っててもらえれば笑
それではまた次回で
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