本編中には登場した怪獣の名前が一切今のところ登場しておりませんが、本編中の人々にとってははじめてみる存在になるので、あえてそうさせていただいております。
ちなみに第一話で初めて登場した怪獣がコッヴ、第二話がギールというどちらもガイアに登場した怪獣です。今後もガイアに登場した怪獣を出していく予定なので楽しみしてていただければ幸いです。
それでは、第三話です。
今日は日曜、梨子や千歌と共に海の音を聞きに行く約束をしていた日だ、正直遥はついて行っていいものかと思っていたが折角誘われたのだから断る訳にもいかずについて行く。
その道中で、先日出会ったグレーの髪の先輩とも合流しお互い自己紹介を簡単に済ませてから淡島のダイビングショップへ向かったのだが…
「うへ…気持ちわる…」
「大丈夫遥くん?ごめんねまさか船苦手だったなんて知らなかったから…」
見事に船酔いを起こしダイビングショップの前でノックダウンしてしまったものだから高海先輩は申し訳なさそうな顔をしていた。
「いや、船なんて初めて乗ったもんだから…僕も知らなかったんで、気にしないでください…」
「本当に大丈夫?遥…」
姉や曜さんにも心配されてる中、目の前のダイビングショップから青い紙をポニーテールにした女性が出てくる。
「いらっしゃい。千歌、その子がこの前言ってた子?…ってあれ?そこの人は?大丈夫?」
「あっ果南ちゃん、紹介するね。この人がその海の音が聴きたいって言ってた桜内梨子ちゃん、彼はその弟の遥くん。ただ彼船初めてだったみたいで船酔いしちゃって…」
「それは大変、とりあえずお店の中で休んでてよお水も持ってくからさ。私は松浦果南、ここは私の家がやってるお店なんだ。今日はよろしくね。」
「はじめまして、桜内梨子です。今日はよろしくお願いします。」
「さ、桜内遥です…すいませんお言葉に甘えさせていただきます…」
とりあえずお店のソファに横になった遥は今回は同行出来ないということになってしまった…
それから暫くして、気分も落ち着いてきた遥は少し外に出て歩いてみようと思い外に出た。店から少し歩いたところで、黒のジャケットに身を包んだ青年が海を眺めているのを発見する。恐らくダイビングの予約を入れている客だろうと思い、特に声をかけずに通り過ぎようとしたところ、青年はこちらを振り向くと、こう告げた。
「もうすぐ宇宙から巨人を観察していた奴が地球へ降りてくる、巨人を倒すために。そして海に眠っていた怪獣がその影響を受けて目覚めるはずだ。」
「どうしてそんなことがわかるんですか?貴方は一体…?」
突然そのような事を言う青年に対し、遥は訝しげな顔で問い返す。
「簡単だ、奴らは地球を破滅させたいからさ。その為にまずこの星で知性を持った種である人間を滅ぼす、それに邪魔なんだよ。巨人の存在が」
青年は、淡々とただそう告げると、遥の横を通り過ぎようそのまま歩き去ってしまった。
「なんだったんだ…あの人…?どうして僕にそんなことを…」
そう悩んでいると、ダイビングに行っていた姉達を載せた船が戻ってきたのでダイビングショップに戻ると、姉達は嬉しそうに『海の音が聴こえた』と言っていた。
良かった、これでまた姉さんが前に進んでくれればと、そう思ったのだった。
その日はそのまま解散となり家に帰ったのだが、帰りの船では再び遥は船酔いに苦しむ事になるのだった…。
「姉さん」
「何?」
「姉さんは、スクールアイドル高海先輩達とやるの?」
ダイビングから帰った日の夜、梨子に対して遥はそう聞いた
「まさか、私にはピアノもあるしそんな時間ないよ。」
梨子は首を横に振ってそう答える。
「そっか、ピアノ…頑張ってね」
「うん、ありがとう。遥はもうやらないの?ピアノ」
「僕はいいかな?今は他にやりたい事あるし、大学で勉強したい事があるからその為に頑張りたいんだ」
逆に自分はもうピアノはやらないのか?そう聞かれたので遥はそう返した。遥も幼少期は梨子がやっていたピアノを一緒に習っていた時期があったのだ。
梨子と違いコンクールに出て賞をとったりというのは無かったが、学校行事でクラスの合唱の時にピアノを担当したりといった活動はしていたのだが、元々外で遊ぶタイプでは無かったこと、姉にとても似ていて女顔だった事、勉強が頭1つ飛び抜けてできていたことも相まっていじめを受けていた時期があり、その時以降、鍵盤に触れることをやめてしまったのだ
それもあって家族が引っ越すタイミングで、東京の高校に行かず一緒に着いてきたのだった。
「やっぱり、あの時のこと気にしてるの?」
「いや、今はそうじゃないけど…あの後機械弄るのにハマったじゃん?だから今そっちの方が楽しくて、そういう勉強しに大学行きたいからさ?だから今はいいんだ。」
「そう…でも最近は巨人の方に興味があるんでしょ?ネットの勉強友達とその話してるのがたまに聞こえるってお母さんが言ってたし、それに名前までつけてたし。えっと…なんだっけ…?」
「彼らとは将来やりたいことが似通ってるからよく一緒に話すんだよ、それにみんな今回のことは気になってる。ガイアだよ、『ウルトラマンガイア』茶化さないでよ、僕も思いつきでそう呼んだだけなんだから」
「そうなんだ…まぁでもあんまり夜更かししないでよね?偶に夜遅くに何か喋ってるの聞こえて目が覚めちゃうことあるんだから」
「そっ…それはごめん…気をつけるよ」
「よろしい、じゃあおやすみ」
「うん、おやすみ」
そう言うと梨子は部屋に戻っていった。
その後遥は先日PCとネットをようやく繋いだので、ネットで知り合った。自分が将来勉強したい分野を専攻している海外の友人とネット電話をしていた。
「って事があってさ新しい部屋、壁あんまり厚くないみたいだからあんまり遅い時間まで話せないかもしれない」
『それなら防音材を買ってきて壁の前に配置するといい、まぁ僕達も遅くならないように気をつけよう』
「ありがとうダニエル、僕もちょっと考えてみるよ。あまり迷惑かけたくないし」
今日話している相手はダニエルというアメリカで活動している青年で、遥より年上だが、温厚な性格で色んな分野に顔が広く遥によく色々レクチャーをしてくれている相手だ。
『そうか、ボクとしてもハルカは教えがいがあるからね、そっちの時間であまり遅くならないようにしよう。それとこのことはまだ公表されてないんだが、最初の怪獣騒ぎの時と似たような反応が大気圏の上で確認されているんだ。』
「宇宙ってこと?」
深刻そうな顔に変わったダニエルに対して遥はそう返すと、
『そうだ、ただ違うのは地球の中に入ってこないことと、ここ暫く留まっているんだ、まるで何かを監視しているように』
「監視…もしかして、ウルトラマンとか?」
『かもしれない、現状それはあの巨人が活動している時、必ずその上にいたんだ、2回とも今君が住んでいるところのすぐだ、気をつけてくれ』
「わかった、でも世界はそれにどう対応するんだ?」
『簡単に言うと軍備強化だ、今度また日本に現れたとしたら自衛隊、米軍は直ぐ攻撃態勢をとるだろう』
「そうなんだ、ありがとうダニエル。今日は申し訳ないけどここらで寝るよ」
『わかったよハルカ、それとあの巨人君の言っていた『ウルトラマンガイア』を正式名称として採用されたよ。』
「ホントに!?…まさかそれ提案したのダニエル…?」
まさかのダニエルの発言に思わず大声が出てしまった。家族に聞こえてしまったかもしれないがその後に続いた言葉は小声になった。
『みんな正式な名前が欲しかったんだけど思いつかなくてね、そういえばと思って提案したらまさかの正式採用だ。やったねハルカ君が名付け親だ』
ダニエルはいたずらっぽくそう返す、彼はとても優しいしいい人なのだが時々こういう茶目っ気が出る。
「まぁいいや…今日言われたこと、覚えとくよ」
『ありがとう、頭の片隅にでもいいから入っててくれると嬉しい』
「うん、おやすみダニエル」
『あぁ、グッナイハルカ』
そう言うとPCを切りベッドに横になった遥はエスプレンダーを取り出して眺める。
「大丈夫、きっとみんなを守れる…たとえ何が来ても…」
次の日、学校に来た遥は入学式の次の日以降一つだけ席が空席になっているのが気になり、隣の席の花丸に何か知らないか聞いた。
「国木田さん、あそこの席、ずっと空席になってるみたいなんだけど何か知らない?」
「え?桜内くん覚えてないの?喜子ちゃんの自己紹介のこと」
「自己紹介?」
遥はホントに聞いてなかったんだね。とあきれられながらも大まかに教えてもらった。何やらよくわからないことを口走ったかと思うと教室から飛び出してそれっきり来なくなった…ということらしい。
その後日は、そのまま一日が終わり、下校するバスで、梨子と千歌と曜と同じになる。
「あっ遥くん、こんにちわ」
「こんにちわ、高海先輩、渡辺先輩。それに姉さんも一緒なんだ?」
先輩二人に挨拶をすると、そういえばこの三人で帰ってるところを見たのは今日が初めてな気がする。そう思っていると。
「えっとね、梨子ちゃんが曲を作ってくれるって言ってくれたから、これからわたしの家で詞を作るんだ!」
そう千歌が教えてくれた。
「なるほど詩ですか。というか、スクールアイドル?でしたっけ、楽曲も自分たちでやらないといけないなんて大変ですね」
「そうなんだよ~…でもこれができないとラブライブには出られないし…あっラブライブっていうのはね…」
と、バスを降りるまで延々とラブライブについて説明されていた。そして自分の家の最寄りのバス停で全員バスから降りる、先輩も近所に住んでいたのか。などと思っていたら遥の家の隣の旅館へ入っていこうとしていた。
「ここでするの?」
そういったのは梨子だった。まさかここに泊まるつもりなのだろうか?家でやるのではなかったのか?そんなことを思っているといると、中から一人の女性が出てきた。
「いらっしゃい。千歌。その子が言ってた子?」
「あッ紹介するね。志満姉だよ。」
「初めまして、桜内梨子です。」
なるほど彼女の実家が旅館なのか、それなら中から姉が出てくるのも納得がいく。が、梨子は礼こそすれど旅館の入り口の近くの犬小屋にいる大型犬のほうを見ていた。
「よろしく。美人さんね、それとこちらの方は?」
と遥のほうを向いた。
「初めまして弟の遥といいます。」
どこに行くのか気になって旅館の前にいた遥は近寄って挨拶をした。
「あれ?遥君だ。遥君も一緒に考えてくれない?人数多いほうがアイデア出ると思うし。」
そう千歌に言われるが、さすがに年上の…それも異性とというのは気が引けたので遠慮して家へ戻る。
家に帰ると、緊急のニュースをやっていた。何があったのかと思い見ると。この近く、富士の樹海に先ほど、謎の金属性の物体が、宇宙から飛来したという話だった。
「ダニエルが言っていたのはこのことだったのか…?」
そう呟いた遥は、自室でPCを使い、より多くの情報を得ようとするが、すぐさま調査に向かった研究チームが今向かっているという情報しかなかった。
今から変身して向かうことも考えたが、あまりにもウルトラマンの姿は目立つし、どうしたものかと考えていたところ、その金属の物体が人型をとなって暴れだした、自衛隊も待機していたので攻撃を開始するが歯が立たない。
このままではますい、そう思った遥は窓を開け無言でエスプレンダーを掲げると、光がほとばしり、樹海のほうへと向かっていく。
金属生命体の前に現れたガイアは、目の前の生命体の姿に驚く。
なんとガイアのライフゲージと同じものを胸に持ち、一つ目に銀色の身体ではあるがおそらくガイアを意識しての姿であることが、ファイティングポーズをとったガイアに対し、鏡写しではあるが、全く同じ態勢とったことからも伺えた。
まず、先に仕掛けたのはガイアだった。金属生命体に対して拳を打ち出すがそれを相手も腕でガードし、ガイアに反撃の蹴りを入れようとする、ガイアはその足をつかみ、相手を投げ飛ばす。
そのあと距離をとった金属生命体は、体をさらに変化させる。肩や腰が西洋風の鎧のようになり、右腕が槍へと変化し、その姿はさながら西洋の騎士といったところだろうか?
その後、ガイアは槍のリーチと、鎧に阻まれ一気に防戦一方へと追い込まれた。
槍によって胸を疲れたガイアが後方に倒れこむと、金属生命体は体を8本の槍に変化させ、空中からガイアへ襲い掛かる、ガイアはとっさに起き上がるが、完全に囲まれてしまい、断続的に発射される電撃に苦しめられ、胸のライフゲージは活動限界が迫っていることを知らせる赤の点滅を始めた。
ガイアは力技で金属の槍をどかすのは無理だと判断し、一瞬の雷撃の感覚をついて空中に脱出し距離をとって着地すると、金属生命体は再び先ほどまでの人型へ戻る。
ガイアはそのすきに、左腕は曲げた状態で右腕を胸の前で横に広げ、左腕を右腕の内側へ抱えるように組み、右腕が盾にまっすぐになるL字を組むと、右腕の肘から手までの範囲から、熱線を発射した!
金属生命体は、その攻撃をもろにくらい、周囲を爆発させながら倒れ、土煙を上げる。
ガイアは相手が倒れて見えなくなると、その場に崩れ落ち方を上下させていた。先ほどの猛攻に対し、辛くも逆転の一撃を見舞う事はできたのだが、もう立ち上がる力すら残っていなかった…。
すると土煙が晴れた中から、なんと金属生命体が出てきた!そのまま悠然とガイアの前まで歩み寄ってくると、槍を構え動けないガイアへ止めを刺そうと振りかぶった、その時。
横から青い光線が、金属生命体めがけて飛んでくると、そのまま消し飛ばしてしまったのだ。
大爆発に巻き込まれたガイアは、はっきりしない視界の中、光線の向かってきた方を向くとそこには巨人がいた。青い体を銀にふちどられた、黒のプロテクターに覆われた、青い巨人が…。
(もう一人の…ウルトラマン…?)
ガイアはその巨人と目があったが、そのまま青い巨人は後ろを振り返り、そのまま景色に溶け込むようにして消えてしまったのだった。
何とか変身を解き、光のまま家の前までたどり着くことができた遥はそこで両腕をついて息も上がって汗もかなりかいていて、まさに満身創痍といった状態だった。
「クソッ…イメージではもっとうまく戦えるはずなのに!!」
遥は悔しかったのだ、青い巨人がもし現れなかったら自分は敗北し、おそらく誰もあの金属生命体に敵わなかったであろう事実が。
自分ならみんなを救える、そう慢心してしまっていた事実が、とても悔しかったのだ。
「ど、どうしたの遥!?何があったの?」
ちょうど今帰ってきた梨子が、はるかに気が付くと大慌てで駆け寄ってきた。遥は何とか立ち上がると、平静を装って
「ちょっと運動しようかと思ったんだけどさ?張り切りすぎたみたい…ハハハ…」
と笑ってごまかしはしたが、その日はすぐ部屋で休むようにその後しばらくして帰ってきた母親にも言われてしまったので、その日はすぐ寝ることにした。
その夜、梨子は放課後作詞をしに千歌の家に行ったとき千歌が作りたいといっていた。μ'sの『ユメノトビラ』という曲のライブ映像を見ていた。本当に自分と変わらない普通の高校生だった人達がステージの上で歌い踊る姿がとても輝いて見えた。気が付くとその動画は終わっていた。
梨子はおもむろに立ち上がると、ピアノの前に立った。自分にとっては大切なピアノ、でもあの日以降一度も触れることができなかった…。梨子はピアノの前に座ると、おもむろに先ほどの曲を口ずさみながら、弾き始めたのだった。
歌が、ピアノの音が聞こえる…、遥はその音で目が覚めた。これは姉の歌声、そして大好きだった姉のピアノの音色だった。とても心の癒される思いでその音色を聞いていた遥は、姉は一歩前へ進めたことを感じた。そして己も決心した。
もっと強くなる、そしてもう二度と負けないと_!!
そう決意した遥は、そのまま姉の音色を聴きながら再び眠りに落ちるのだった。
読んでいただいてありがとうございます!
今回の怪獣は、アパテーという金属生命体で、原作でもガイアをあと一歩まで追い詰めた怪獣になります。
そしてやっと出せました、もう一人のウルトラマン。彼は何者で、何が目的なのか?今後の展開をお楽しみに!
それではまた四話でお会いできるのを楽しみにしております。ありがとうございました!!