コスモスとヘルズキングの戦いは、コスモスがエクリプスモードへとチェンジしたことにより、コスモスが圧倒的に有利な状態で進んでいった。
ヘルズキングの拳や蹴りをコスモスは完全に腕や脚でさばききっていた。それでいて先程までと違いコスモスの拳はヘルズキングの装甲に阻まれることなく、着実にダメージを重ねていく。
接近戦での戦いが不利だと悟ったヘルズキングは、両腕の装甲を展開し光弾を高速で連射し始める。しかしコスモスは高速で移動しながらこれを叩き落す。
「ハァッ!ヘヤァ!!」
拳を握りしめたコスモスはファイティングポーズをとると高速移動し一瞬で間合いを詰めると、連続蹴りを放ちヘルズキングを再び吹き飛ばす。そして止めを刺すべくコスモスは両腕を胸の前で交差させ、左右の腕をゆっくり体の外へ向けて円を描くようにし、今度は右ひじを支えるように左手を添える。
「ハアァァアア…ヘヤッ!!」
そして右腕を前に突き出すことで放たれるウルトラマンコスモス最強の一撃―コズミューム光線―その一撃を受けたヘルズキングの身体を粉微塵に粉砕するのだった。
そして海底でスキューラと戦うティガは、紫と赤のマルチタイプに再びチェンジすると格闘戦を挑んでいた。しかし、スキューラの方が水中での活動に向いているので地上で戦っていた頃のようにはいかない。
ティガのパンチを口を大きく開けて躱すと、バランスを崩したティガをその口で挟む。顎の力も凄まじくティガは両腕で上あごを持ち上げようとするが持ち上げることができないでいた。
「タァッ!」
ティガは再び額の前で腕をクロスさせるとエネルギーを集中させ今度は全身を赤く染め上げ、肉弾戦に特化したパワータイプへと変化し強化された腕力で無理やり顎をこじ開けて脱出すると、再びマルチタイプにチェンジすると、両腕を突き出し交差させるとそれを水平に開きエネルギーをためる。
そして、腕をL字に組みティガ最強の光線―ゼペリオン光線を放った。これを受けたスキューラは耐えられず爆散するのだった。
そして宇宙で繰り広げられているダイナとバジリスの戦闘も、決着の時が近づいていた。
一度はバジリスの鎌に切り付けられ、距離を取られてしまったもののバジリスの光弾を全て腕で弾く。そのまま再び距離を詰めると首を掴んで頭部を殴りつけ、反撃の鎌を今度は躱して逆に腹部へ蹴りを入れて吹き飛ばす。
そしてバランスを崩して回転するバジリス目掛けてダイナは、腕を十字に組んでソルジェント光線を放つ。
「ダァツ!」
これをまともに受けたバジリスは全身が炎上し、大気圏に突入するとすぐさま爆散した。
そしてその頃、地上でのガイアとキングオブモンスの戦闘も、終盤へと差し掛かっていた。
スプリーム・ヴァージョンになったガイアの猛攻によって、それまで不利だったのがウソのようにガイアが攻め立てる。キングオブモンスの首を掴むと投げ飛ばし、起き上がろうとしたところを膝に蹴りを入れ妨害し再び投げ飛ばす。
これまでは元々活動していた世界と違う地球だったためか、エネルギーの消耗が激しくスプリーム・ヴァージョンになれるかすら怪しい状況だったので苦戦を強いられたが裕翔やAqoursのみんなの願いにより、赤い球によって本来の力を取り戻したガイアの敵ではないのだ。
起き上がったキングオブモンスは口から破壊光線を吐き、再びガイアを吹き飛ばそうとするが、パワーアップしたガイアのウルトラバーリアによって全て弾かれてしまう。
するとキングオブモンスは飛び上がり、そのまま空中へ逃走しようとする。しかし、この時宇宙でバジリスが、海底でスキューラが倒されたことで、キングオブモンスの翼と腹部の牙が完全に破壊されてそのまま地面に墜落してしまう。
「デヤッ!ハァァアア……ディヤァアア!!」
ここを勝機と見たガイアは、そのまま起き上がろうとするキングオブモンスにフォトンストリームを放った。そして今度こそ、赤い球に破壊の意思によって生み出された獣達は、完全に消滅したのだった。
「やった!ウルトラマンが勝ったんだ!!」
裕翔がそう言って喜ぶと、皆「よかった…」と言って安堵した。
裕翔やAqoursの前に立ち、彼女らを見下ろすガイアの周りにティガ、ダイナがゆっくりと降り立つ。それぞれの場所で勝利を収めたあと、この場に戻ってきたのだ。そしてコスモスもまた、その隣へと歩み寄ってきた。この4人のウルトラマンが、この世界を救ったのだ。
「ありがとう、ウルトラマン…」
千歌のその言葉に、ウルトラマンたちはゆっくりと頷いた。
そして、ガイアとコスモスの身体が光に包まれると小さな球体となり、皆の目の前に降り立つと中から遥と菜生が現れる。
「遥兄ちゃん、菜生姉ちゃん!」
そう叫んだ裕翔が2人に駆け寄った。
「僕怖かったけど…本当は怖かったけど…」
「かっこよかったよ、裕翔君」
「そうそう、裕翔君のお陰で私たちは勝てたんだから」
涙を浮かべながらそう訴えかける裕翔に、遥と菜生はそう言って裕翔の機転による願いを褒めた。
「球、小さくなっちゃったね…」
千歌とチサが、気が付けば足元に転がっていた赤い球に気が付いた。恐らくティガとダイナが現れた願いを叶えた時の爆風で落としてしまったのだろう。球は力を失ったのか初めて赤い球を目撃した時と同じ手のひらくらいのサイズに戻っていた。
「どうする?今度は新しい街を作ってもらう?どんな願いも叶えられるよ?」
そうチサが提案するが、千歌は「ううん」と首を横に振った。
「ダメだよ、この球があったら今度こそ世界を滅ぼしちゃうよ。だから球がなくなるように願うかな…」
そう答える千歌に一瞬驚いた表情を見せるチサだったが、満足したように優し気な笑みを浮かべた。すると赤い球はうっすら輝くと浮き上がり、チサの手の中に入り込む。
「…キミだったんだね」
菜生がそうチサの方を見ると、チサはこくりと頷いた。
「数えられない世界の破滅を見てきた…でも、その旅もやっと終わるかもしれない…」
「どういうことですか?」
そう遥が聞くと、チサは自分の秘密を明かした。
「私とこの球は一つの存在なの、『心に思い描いた事を全て現実にする』それを可能にする為に造られた存在…。でも人の欲望に終わりはない、その結果沢山の世界が人の欲望の為に滅んだ…造られるべきじゃなかったんだよ、私…」
「そんなことない!チサちゃんは私たちの友達だよ?これからも…」
自分は造られるべきじゃなかった。その言葉に特に千歌が反論する。無理もない、彼女たちはこの春から夏休みの終わり前の今まで、ずっと一緒に過ごしてきたのだ。彼女が人間でない。その事実も彼女たちは受け入れきれるはずもない。
「チサちゃん、本当なの?」
梨子は恐る恐る聞くと、チサは笑って
「ごめんね?ずっと黙ってて…千歌ちゃん、私はさっきの願いを叶えて欲しいな?」
「でも…でも…それを叶えたら、チサちゃんは消えちゃうんでしょ?」
そう言って球を千歌に手渡したチサだったが、千歌はチサと別れたくない。だからその願いを口にすることができなかった。
「千歌ちゃん…」周りのみんなもその続きの言葉をいうことができなかった。
「皆、もうどうすればいいか解ってるはずだよ?もう今日の事は繰り返しちゃいけないんだ」
そう菜生が優しく諭すように言う。
「千歌先輩、僕からもお願いします。チサさんを救ってあげてください」
遥もそう告げると、千歌も意を決したのか「すぅ」と息を吸うと、一息に願いを言い切る。
「球よ、消えろー!」
そう叫ぶと、球は青く光るとチサの身体も光の粒子に包まれる。
「ありがとう、皆は未来を守ったんだよ」
そう告げると、九条チサの姿はもうどこにもなかった。
そして球は浮かび上がるとティガとダイナの間に浮遊し、2人の巨人を光に包む。
「裕翔君、ごめんね?僕たちも元の世界に帰らないと」
遥は腰を落として裕翔に視線を合わせると、そう告げると。裕翔も目に涙をためながらも笑顔で
「うん!ありがとう、怪獣を倒してくれて。これからも僕、ウルトラマンのこと応援してるから!」
そう返事をするのだった。そして遥は笑顔で頷くと裕翔の頭を撫で、立ち上がると梨子と視線を合わせる。
「ねえさ…梨子さん達も、ありがとうございました。みんなが信じてくれたから、僕たちも最後まで戦えました」
「本当に帰っちゃうの?まだいてくれても…」
そう曜が口を挟むが、菜生がそれに対して。
「私のいた世界も、遥くんがいた世界も、まだ崩壊の危機に瀕してるから…私たちはそれぞれ自分の世界に戻らないといけなんだ。それに、またいつか会えるよ」
そう笑顔で告げたのだった。
そして梨子は遥の前に出ると、遥の目をまっすぐ見て今までずっと遥をどことなく避けていた彼女だったが遥にとっては、意外な言葉を投げかけた。
「ねえさんって呼んで?遥くんは、弟なんでしょ?」
「え?でもこの世界じゃ…」
「住む世界は違っても、遥くんは私の大事な弟なんだって気づいたから…ごめんなさい、ずっと避けちゃって…」
そう申し訳なさそうに告げる梨子に遥は「ありがとう、姉さん」そう告げるのだった。
「寂しいけど、ずっと応援してるから。遥くんの世界の私によろしくね」
「ありがとう…また、また会いに来るから…!」
涙ぐみながら、遥はそう返すのだった。
「そうだ、千歌先輩お饅頭ありがとうございました。これのお陰でこの世界に来た証拠が残ったから、僕はまたここに来れたんです」
「そっちの世界には、あれ売ってないんだね。また食べにおいでよ」
「はい、いつか…必ず」
千歌としてはなんの意図もなくただ持っていた饅頭を上げただけだったのだが、それが予想外の形で遥が時空を超えた証拠になったのだ。
「私ともここでお別れだね」
そう菜生が告げると、菜生と遥の体も少しづつ光に包まれ始めた。
「きっと球の影響は全部無かったことになるんじゃないかな?だから球の力で元の世界に帰れるよ」
そう菜生は笑って告げる。
「菜生さんもありがとうございました、コスモスがいなかったら僕は負けてました」
遥は菜生の方に向き直るとそう告げる。すると菜生も「私も一人じゃきっとどうしようもできなかったよ?またいつか一緒に戦おう」そう返すのだった。
「裕翔君そして、Aqoursの皆さんありがとうございました。さようなら、またいつか」
「お互い、それぞれの世界のラブライブ頑張りましょ~!」
そう遥と菜生がそれぞれ告げると、2人は光と共に消えてしまった。そして後ろにいたティガとダイナ、そして球も消えてしまい、世界は眩い光に包まれていった。
そして…
気が付けば遥は家の前の砂浜に立っていた。ついさっきまで沼津の駅前でAqoursのみんなと裕翔、そして菜生といたはずだったが、赤い球によって光に包まれた後その光が収まるとここに立っていたのだ。
「帰ってきたんだ、僕はあの世界を護れたんだ…」
「遥(くん)!」
「姉さん、千歌先輩まで…」
遥をずっと待っていたのか、梨子と千歌が遥を見つけると駆け寄ってくる。
「本当によかった…心配したんだから!」
「ごめん姉さん…でも僕、勝ったよ。別の世界のAqoursを守れたんだ」
梨子は抱き着くと、そう涙ながらに言うのだった。無理もない、いつも心配かけていた遥が、今度は別の世界という全く梨子たちが干渉できないところにいたのだから。もし帰ってこなかったら?そんな不安と戦っていたのだ。
「でも気になるな~別の世界の私達って」
「千歌先輩はあんま変わりませんでしたよ?でも姉さんは凄かったな~」
千歌が、別の世界の自分たちに興味がわいたらしく実際行ってきた遥にそう聞くと、遥は少しおどけたように答えるのだった。
「どういうこと?私が凄かったって?」
「え~っと、すっごい大人しくておどおどした感じが新鮮だった…かな?」
梨子にそう問いただされると遥は目を逸らしつつそう答えるのだった。
「それどういう意味よ!?」
「他意はないんだってば~」
「あっ待ちなさい!遥~」
少しおちょくるような言い方が過ぎたのだろうか、梨子にすごまれるように問いただされるので遥は逃げ出した。
千歌はただその様子を笑って眺めるのだった。
これを読んでいる人も、信じられないかもしれませんがあの光が収まった後あんなにボロボロだった沼津の街並みも駅も、まるで最初からウルトラマンと怪獣が戦ったりしてないみたいに元通りになってました。
その事を覚えていたのも、私達Aqoursの9人と裕翔君だけ…。そして私と同じタイミングで転校してきた九条チサちゃんのことも、他の人は誰も覚えていませんでした。
でもあの日の事は夢じゃなかった。裕翔君の願いが、この不思議な出会いを起こしてくれて千歌ちゃんの願いでみんな元の居場所に帰る事が出来たんです。
それに夢じゃない証拠もあります。あの時、実は遥くんから貰ったものがあるんです。それはピアノの譜面、向こうの私はコンクールで賞を取るくらいピアノが堪能らしくてちょっと羨ましい。同じ人物のはずなんだけど、私は特に遥くんの世界のみんなと違いが激しいらしいんです。
遥くんから貰った譜面、まだ曲の名前も決まってないし本人は未完成って言ってたけどいい曲だと思ったし、いつか本人の演奏で聴いてみたいって思いました。
話が脱線してしまったけど、私はあの日の事を忘れることは絶対にありません。住む世界は違うけどその世界から来た私の大切な弟。きっとまたいつか会えるって、そう信じて…。
―世界は滅びたりしない
―君たちが明日を信じる限り
ありがとうございました、これでガイア劇場版超時空の大決戦のお話を終わります。
今回これを書くにあたって5話で終わらせる事と基本的な話の設定は出来上がっていたので、こうして無事完結させられてほっとしています。
そして菜生が主役の物語も現在制作中なので、いつか皆さんの目に入ればと思っています。
それでは次回、サンシャイン2期に入っていきますので、そちらでお会いしましょう。