ラブライブ!サンシャイン!!〜大地と海の巨人〜   作:カズオ

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31話 二兎追う為に/悪夢の第四楽章

Xサバーガとの戦闘の後、先程の寺に戻った遥だったが。

 

「遥君どこ行ってたの?もうほとんどできちゃったよ」

 

「ごめんごめん、ちょっとうたた寝しちゃった…」

 

広間に遥が戻ってきたことに気が付いたルビィに、どうしていたのか聞かれたのでそう言って誤魔化した。

 

「遥くん結構自由人だよね」

 

「果南先輩すいません…」

 

笑って果南がそう言うと、申し訳なさそうに答えると。鞠莉と果南は何か引っかかったような顔を浮かべる。

 

「遥くんってさ、なかなか先輩呼びが抜けないよね?」

 

「そうそう、いつまでも余所余所しくない?」

 

「いや、でも先輩は先輩だし…」

 

果南と鞠莉が口をそろえてそう言うと、遥は口をまごつかせながらそう答える。

 

「でも折角わたし達先輩禁止でやってるんだから遥くんもそろそろ合わせようよ」

 

「とりあえずさん付で勘弁してください…」

 

「え~?マリーって呼んでよ」

 

「勘弁してください鞠莉さん…」

 

結局、遥が本気で嫌がるので鞠莉と果南も渋々それでいいというのだった。だがこの事は千歌も曜も同様に思っていることだったらしいが、苗字呼びをやめてくれたからと譲歩してくれていたらしい。

 

「よーし、今日はここで合宿ずら~」

 

花丸がそう言うと、「えぇ~」と皆から不満の声が上がったが結局その日はお寺で夜通し曲作りを続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、曲を完成させたことを報告すべく十千万に全員で向かうと、千歌は屋根の上で遠くを見つめていた。

 

「千歌ー!」

 

「みんな!」

 

果南が声をかけると、千歌もこちらに気が付いたようだった。そして曜と梨子が千歌のいる屋根のすぐ下の窓から顔をのぞかせている。二年生もこちらに負けまいと張り切っていたので、どうやらこちらも泊まり込みで曲を作っていたようだった。

 

「曲はできた?」

 

曜がそう聞くと、果南が自信満々に先程完成させた曲が書かれたノートを広げて見せる。

 

「バッチリですわ!」

 

ダイヤがそう言い切る。長い一日となったが、自分たちの問題も解決し曲を作り上げることができた。

 

「じゃあ練習頑張らなくちゃね」

 

そう梨子が嬉しそうに言う、「二曲分あるからね」そう曜も嬉しそうに告げる。

 

そんな時だった、唐突に鞠莉のスマホが着信音を奏でる。こんな朝っぱらから誰だろう?そう思いながら電話にでる鞠莉だったが…。

 

 

 

「ええええええぇぇぇぇぇぇえ!?」

 

暫く電話越しで会話をしていた鞠莉が驚きの声を上げる。

 

「今度は何?」

 

「いい知らせではなさそうですわね」

 

果南がそう聞くと、鞠莉は深刻そうな表情でスマホを顔から遠ざけるとこう告げた。

 

「学校説明会が、一週間延期になるって…。雨の影響で道路の復旧に時間がかかるから一週間後の方がいい。って…」

 

「確かに、その考えは解るけど…」

 

そう告げられ、梨子も理屈は解るのだがそれでも納得できない様子だった。

 

「でもよりによって…」

 

曜も何か言いたげだったが、その続きを口にするか悩んでいる所に。

 

「どうしたのみんな?その分いいパフォーマンスができるように頑張ればいいじゃん」

 

いつの間にか屋根の瓦を歩いてこちらの目の前の端まで移動していた千歌が、そう能天気な声で言う。

 

「どうやら状況が理解できてないみたいですね…」

 

遥がそう呆れた様子で言うが、千歌は首をかしげていた。

 

「問題です、ラブライブ予備予選が行われるのは?」

 

曜が呆れた様子でそう千歌に問いかける。

 

「学校説明会の次の日曜でしょ?」

 

「ですが―」

 

そこまで解っていれば気が付いてもよさそうなのだが未だに気が付かない千歌を見かねて、梨子がそう口を挟む。

 

「そんな時、その説明会が一週間伸びると連絡が届きました。しかし、予備予選の日程は変わりません。さて二つが行われるのはいつでしょう?」

 

「そんなの簡単だよ」

 

そう答える千歌だったが、暫く腕を組んで唸った後…。

 

「ん!」

 

目を見開いた後、驚愕の声を上げるとその拍子に屋根から落ちてしまう。

 

「うわぁー!」

 

「危ないッ!」

 

咄嗟に駆け出した遥が、千歌を支えようとするがうまくいかずに下敷きになってしまう。下手をしたら大けがをする大事故だったが、エスプレンダーから赤と青の光が放出され、千歌の身体を支え落下の衝撃を和らげたお陰で下敷きになった遥も落ちた千歌も特に怪我をしなくて済んだ。

 

「大丈夫?」

 

「僕は大丈夫…光が、助けてくれたから」

 

「同じ日曜だ!!」

 

ようやくリーダーも事の重大さに気が付いたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博樹は淡島の母親の墓を訪れていた。以前来た時から日も経っていないし、他に誰かが訪れた形跡もなく綺麗なままだった。

 

「やはりあれは、破滅招来体の擬態のはず…」

 

本当に母親を生き返らせるなんてことができる訳がない、博樹はそう思った。あの時はそこまで頭が回らなかったが、自分を動揺させるための行為だった。そう自分に言い聞かせていた。

 

「地球の力を捨てた、哀れな人…」

 

「君は…?」

 

ふと後ろから少女の声が聞こえたので振り返ると、そこにはまだ幼さの残る金髪をツインテールにした少女が立っていた。

 

「私はシルビア、あなたは『地球の意思に逆らって力を捨てた』事を後悔している。違う?」

 

「それは…」

 

昨日の戦いで苦戦するガイアを、アグルとして助けられなかった事を悔やんでいた博樹は少女の言葉に何も答えられない。

 

「また、力が欲しいんでしょ?だったら――に行くといいわ」

 

「何?」

 

「そこに行けば、あなたの答えは見つかるハズ…でも、忘れないであなたの使命を」

 

「お前は一体何者なんだ…?」

 

「私はシルビア…それ以外の、何者でもない…」

 

博樹の問いにはそう答えにならない返事をすると、少女はその場を立ち去るが博樹は後を追うことはしなかった。

 

「これは…」

 

少女がさっきまで立っていた場所にはアグレイターが落ちていた。まるで、主人の元に戻ってくるかのように…。

 

「オレの、使命…」

 

アグレイターを拾い上げた博樹はそう呟くと、シルビアに告げられた場所を目指す決心をした。その場所に何が待っていても、今は自分が『人間』としてできることをするしかないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが予備予選が行われる会場」

 

昼休み、体育館のステージ下で地図を広げて位置を確認する。

 

「山ん中じゃない」

 

そう善子が不満を漏らす、会場があるのは街から結構外れた位置にある。しかも、学校からもかなり距離がある。

 

「今回はここで特設ステージを作って行われることになったのですわ」

 

「それで学校は?」

 

「こっちの方角だけど、バスも電車も通ってないから」

 

「じゃあこっちの方向にバスと電車を乗り継いで…」

 

「あぁ~ごちゃごちゃごちゃごちゃしてきましたわ~!」

 

地図を眺めながら学校との位置関係やその間を走っているバスや電車の経路を確認していると、ダイヤがそう言って頭を抱える。

 

「到底間に合いまセーン」

 

そう鞠莉がステージに背中を預けてそう両手を上げてお手上げといった様子だった。

 

「空でも飛ばなきゃ無理ずら…」

 

「クックック…ならばこの堕天使の翼で!」

 

そう花丸が呟いたところで善子がそんな事を口走る。

 

「そっかーその手があったかー」

 

「堕天使ヨハネの翼で空から会場入りずらー」

 

「わーいかっこいー」

 

あからさまな棒読みで、ルビィ、花丸、遥が茶化す。すると善子は慌てて「嘘よ嘘!常識で考えなさい!」と撤回するのだった。

 

「そうだよ、空だよ!」

 

ここで千歌が何かを閃いたように言う、確かに鞠莉の家はヘリを所有しているしそれなら両方に出られる。

 

「かっこいい…」

 

「スーパースターですわ…」

 

その提案に目を輝かせる善子とダイヤだった。「じゃあ、鞠莉ちゃん!」と千歌が鞠莉に振ると。

 

「流石チカっち、さっそくヘリを手配して…なんて言えると思う?」

 

「ダメなの?」

 

「オフコース!パパには自力で入学希望者を集めるといったのよ?それを今更力貸してなんて言えまセーン!オールオアナッシングだとお考え下さい!」

 

そう言って却下されてしまった。ならどうしようかと思った所で…。

 

「じゃあガイアは?ねえ遥くん、ダメ?」

 

なんて聞いてくるが、遥は慌てた様子で

 

「千歌さん、他の生徒もいるんだからそんな事言わないで!」

 

と小声で制する、幸い体育館の反対側でバレーボールに興じているので幸い今の話は聞かれていなかったようでほっとした。

 

「とにかく、そんなことしたら騒ぎになりますよ?第一、ここにいる人以外ガイアの正体知らないんだから」

 

そう言うと「ごめんごめん…」と千歌に謝られる。

 

「常識的に考えて」

 

そこでダイヤが冷静に思いつく中で実現させ得る唯一の提案をする。

 

「説明会とラブライブ予選、2つのステージを間に合わせる方法は一つだけ、予備予選出場番号一番で歌ってすぐであれば、バスがありますわ。それなら、学校説明会にはギリギリ間に合いますわ」

 

「本当?」

 

「ただし、そのバスに乗れなければ次のバスは三時間後、つまり説明会に出るには、一番で無ければなりませんわ」

 

千歌にそう聞かれ、ダイヤはそう釘を刺す。

 

「それって…どうやって決めるの?」

 

「それ「それはッ!」

 

ダイヤが言いかけたところで遮るようにルビィがその方法を告げたのだった。

 

 

 

 

 

「抽選!?」

 

移動した先は市内のTV局近くにあるとあるホールだった。そこで参加グループの代表者が抽選によって、歌う順番を決める。それが今回の予備予選のやり方だった。

 

ホール内には、Aqoursのメンバー以外にも様々な学校の制服に身を包んだスクールアイドルたちが居た。彼女たちが今回の予備予選でのライバルとなる。そしてAqoursは、学校説明会に出る為既に彼女達の勝負は始まっていた。

 

「誰が行く?」

 

果南がそう聞くと、全員に緊張が走る。一番になれなければ学校説明会に間に合わない、そうなってくると代表として抽選に参加する人のプレッシャーは計り知れない。

 

「ここはやっぱりリーダーが…」

 

ルビィがそう言って千歌が行くのが良いのではと提案する。

 

「千歌ちゃん、本日の獅子座、最凶」

 

「自信無くなってきた…」

 

梨子がそう言って星座占いのサイトを見せてくると、千歌が肩を落とす。

 

「じゃあ鞠莉かな」

 

と果南が振るが、鞠莉は「ここはやはり、最初から参加していた…」と言って断ると。

 

「曜さん?」

 

とダイヤをはじめとして曜に視線が集中する。

 

「それが良いずら、運も良さげずら」

 

「いや…本当にいいの?」

と、曜が代表でと話がまとまりかけるが、それに待ったをかけるものがいた。

 

「Aqours最大のピンチは…堕天使界のレジェンドアイドル、このヨハネがッ行きまーす!」

 

「無いずら」

 

「ぶっぶーですわ」

 

「どうしてよぉ~」

 

そう言って手を上げて立候補する善子だったが、花丸とダイヤから即却下されてしまう。

 

「だってジャンケン負けてるし」

 

そう千歌が言う、善子がジャンケンに勝ったところは悪いが見たことがない。そう思っていると、ルビィと花丸が肩に手を置くと。

 

「この前も何もない所で躓いて、海落ちちゃうし」

 

「マルたちがいつもハッピーなのは善子ちゃんのお陰ずら」

 

なんて言って善子の不運体質をいびられる。

 

「善子言うな!普段は運を溜めてるのよ!見てなさい、いざという時の私の力を!!」

 

「あなたがそこまで言うのなら…」

 

そんな様子を見かねて、ダイヤがそう言って彼女の前に立つ。

 

「じゃんけんしましょ。これに勝てたら、よろしいですわよ」

 

などと言って拳を突き出す。それに善子も緊張した表情で拳を出す。

 

「じゃーん」

 

「けーん」

 

「「ぽん!」」

 

善子がパー、ダイヤがグーで善子の勝ちだった。善子も信じられなかったのか暫く自身が出した手を凝視していた。

 

「善子ちゃん凄い!」

 

「善子ちゃんがパーで勝ったずら」

 

「ずらまる、あんた今何かしたわよね?」

 

「知らないずら」

 

勝ったことに喜ぶルビィと花丸だったが、善子が花丸にそう聞くがしらばっくれる。遥からは花丸が善子の尻を叩いたのは見えていたが、あえて何も言わなかった。

 

「これはもしかしたらもしかするかも…!」

 

「解りましたわ、あなたの力信じましょう。さぁ引いてやっしゃい、栄光の一番をッ!」

 

曜がそう期待を込めて言うと、ダイヤも潔く負けを認めてそう言って抽選台を指さす。今日の善子ならやってくれると信じて。

 

そして善子が抽選の台を回すその時だった―その後ろにあった番号を表示するモニターが消え、室内が真っ暗になる。

 

「何!?」

 

「停電?」

 

「みんな落ち着いて!」

 

突然の事態に騒然となるが、遥がそう声をかけてひとまずAqoursのメンバーだけでも落ち着かせると、今度はステージ上にいった善子が心配になる。

 

スマホのライトをつけて周囲を照らすと、善子も「何なのよ良い所で…」と不満げに漏らしながらこちらへ戻ってくる。

 

すると周囲の携帯電話や電話機が一斉に着信音を奏でる。

 

「だめだ、この電話に出てはいけない!」

 

あの時学校の周囲で起こった事件を思い出した遥がそう叫ぶが、他校の生徒たちは不思議そうな顔をして出てしまう。

 

「これってあの時の…」

 

すると電話に出た人たちは皆虚ろな目になると、こちらへ着信音が鳴り続ける電話を向けて歩み寄ってくる。

 

「こっち!」

 

咄嗟に近くにいた果南の手を引いて遥が走り出すと、皆それに気が付いてついてくる。

 

「ちょっと、どうしちゃったのさ」

 

「海開きの後、PV作ってた時に町の人たちを操った怪獣と同じ奴が現れたんだきっと」

 

何があったのか聞かれ遥はそう答える。すると果南も覚えがあるのかそれ以上は何も言わず表情を曇らせた。

 

そんな時、GUARDの制服を着た男性が目の前に現れた。「助けてください!」遥がそう声をかけると、男性はこちらに銃を突き付けた。

 

それに立ち止まる一行だったが、遥は果敢にとびかかって銃を彼女達から逸らす。

 

「ここは僕に任せて早くいくんだ!」

 

「でも…」

 

「いいから行けよ!このままじゃ全員助からない!」

 

今まで一度も見せなかった、怒りの混じったかなり強い口調で叫ぶ遥に誰も何も言えなくなるが、「わかった、でも絶対一緒に練習しようね」千歌がそう言ってみんなを引き連れて逃げる。

 

「解りました、必ず!」

 

そう遥は頷くと、男性隊員と取っ組み合いを続けるが、流石に敵わず放り投げられ壁に激突し立ち上がれなくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

「大丈夫かな?」

 

「大丈夫よ、今までもそうだし今回もきっと…」

 

不安げにルビィが呟くと、梨子がそう告げる。何度も心配になることはあったが、きっと大丈夫そう遥を信じて待つ。この先もずっと、そう梨子は心に誓ったのだ。

 

そんな時、出入り口に続く廊下にようやく出たというところでホールの従業員やら他校の生徒やらに囲まれてしまう。

 

「どうしよ…」

 

「このままでは…」

 

全員に緊張が走るが、抵抗もろくにできないまま捕まってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

その頃博樹はその抽選が行われている会場の目の前まで来ていた。

 

「お前たちに用はない、どけ!」

 

中に入ろうとする博樹を遮るように立つ、洗脳された大人たち。

 

「地球の意思に逆らった、裏切り者め」

 

そう言うが早いか博樹を取り囲むと、手に持った棒切れやらを振りかざして博樹に襲い掛かる。博樹はそれを掴んで殴りかえすなど善戦するが、数で押し切られてしまう。

 

そしてそれを上空に開いたワームホールから見下ろす不気味な顔が奏でる笑い声が辺りに響き渡っていた…。

 

捕まった博樹が連れていかれた先は、ラウンジだった。そしてそこにいたのは、湊麗華だった。

 

「いったい何度、その姿を利用すれば気が済む…!」

 

彼女の前に突き出された後、他の人間は出ていきその場に二人きりになると、博樹は彼女を睨むとそう凄む。

 

「私をホログラムとでも思っていて?生き返ったのよ、ほら…?」

 

そう言うと彼女は博樹の頬に触れる。確かに手のひらで頬を撫でられている感覚に、博樹は驚愕の表情を浮かべ固まってしまう。

 

「折角地球が与えてくれた力、それを正しく使えずなくしてしまったかわいそうな博樹…それを取り戻すのよ、あなた自身の手で」

 

 

 

 

遥はその頃、男性に後ろから銃を突き付けられたまま、両腕を上げた状態で歩いていた。

 

「僕を一体どこへ?」

 

「たった数百年で、二百種以上…」

 

緊迫した表情で遥がそう聞くと、男性は淡々とそう語り始める。

 

「え?」

 

「人類が絶滅させた動物たちの数だ!人類はそのエゴで沢山の動物たちを殺し続け、戦争のための殺戮兵器を作りやがて地球すら滅ぼすだろう」

 

遥はそれを聞きながらどこかで脱出のチャンスを伺っていた。確かに言っていることは事実だが、だからと言ってここでやられる訳にはいかない。

 

「地球上に絶滅していい生物がいるとすれば、それは人間だけだ!」

 

そう言い、銃を背に強く突き付けられる遥だったが、すぐ横に消火器があるのに気が付くと咄嗟に銃口を叩いてその先を自分から逸らす。

 

そして消火器を男性目掛けて噴射した後、消火器で殴り倒す。そしてAqoursのみんなを探すべく駆け出すのだった。

 

(みんな…無事でいてくれ…!)

 

彼女達の悲鳴が聞こえていた遥は、最悪の事態も考えてしまうがそれを思考の隅に追いやろうと頭を振るが、胸のもやもやが消えることは無かった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「オレがもう一度、アグルの力を…」

 

「そう、きっとできる筈よ…」

 

博樹が麗華の言葉を反芻すると、彼女はそうささやく。

 

「離して!」

 

「私たちをどうする気ですの!?」

 

そんな時、果南とダイヤの声が聞こえてきた。捕らわれたAqoursの9人が室内に放り込まれる。

 

「まずは迷いを断ち切りなさい…そうじゃないとまた博樹は地球を救うという使命を忘れてしまう」

 

そう言って麗華は博樹に拳銃を手渡す。博樹は暫く拳銃と麗華の顔を見つめると黙ってそれを受け取る。受け取った拳銃はずしりと重く、弾丸が入っていることが解った。

 

「できるはずよ、邪魔なものは全て排除しなさい。まずはその女、松浦果南を…」

 

そう告げると、メンバーは一斉に果南を見つめる。

 

「ヒロ…まさか、その人は…」

 

果南はそう震える声で博樹に問いかけるが、続く言葉はでなかった。似ていたのだ、昔博樹が見せてくれた写真に写っていた、彼の母親に。

 

「嘘…そんなはずありませんわ…」

 

「そうよ、きっと何かが化けて…」

 

同じくそれを知っているダイヤと鞠莉も驚愕の声を上げる。二年生と一年生は事情が分からず、ただ女性が博樹に果南を殺せと言っていることだけしか理解できなかった。

 

そして博樹は銃口を突き付ける。

 

「お前は母さんじゃない…消えろォ!」

 

「あなたに私が撃てる?ここで撃てば、もう二度と私には会えないのよ。それでもいいの?」

 

「オレは…」

 

博樹は震える声でそう呟くが、その目は少し潤んでいて腕も震えていた。

 

「博樹の悲しみも苦しみも、私しか理解できないのよ?」

 

「ヒロが苦しんだのは人間だからだよ!私たちと変わらない一人の人間だから…」

 

「…その女を撃ちなさい、そしてもう一度戦うの…愚かな人間をこの地球から消し去るのよ!」

 

果南が麗華の言葉に異を唱えると、麗華は少しだけ黙ると、冷たくそう告げた。

 

(間違いない、波動生命体の擬態…)

 

それをカーテンの裏から見ている人物がいた。遥だ、彼女たちがここに連れ込まれるのを見て、反対側からこっそり侵入したのだった。

 

遥は全員から死角になる位置にいるのだが、一瞬だけ麗華の姿が揺らぎ怪獣の姿が見えたのだ。

 

博樹は震える手で、銃口を果南に向けると果南は目を閉じる。

 

「ダメ!博樹さん、撃ってはいけません」

 

「やめてヒロ!」

 

ダイヤと鞠莉がそう叫ぶが、ヒロは腕を降ろそうとはしなかった。

 

そして指を引き金にかけた…その時!

 

「やめろー!」

 

遥が飛び出したが無情にも室内に発砲音が響く。




はい、今回いい所で終わりです。
最近書いてて博樹くんの扱いが悪い一方で遥くんはどんどんみんなに馴染んでいくんですよね…
次の回ももう半分以上出来てるんで次回をお楽しみに
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