ラブライブ!サンシャイン!!〜大地と海の巨人〜   作:カズオ

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函館編3話目、もうしばらく続くんじゃ…
それではどうぞ


45話 曲を作ろう!/伝説との闘い

「ライブ?」

 

「ここで?」

 

「理亞ちゃんと一緒にライブをやって、見せたいの。聖良さんとお姉ちゃんに…」

 

翌日の朝、ルビィが花丸と善子の2人に理亞と一緒にライブをやってお互いの姉に見てもらおう。そう昨夜理亞に提案してきたことを告げる。

 

「できるの?」

 

「わからないけど…でも、もしできたら理亞ちゃん元気になってくれるかなって…」

 

「準備とかは?」

 

「それは…」

 

昨日やろうと提案するところまでで、具体的にいつどこでどうやってというのは決まっていない。善子に現状を問われる。だが正直に言えば無理だと一蹴されてしまうかも、そう思うと口ごもってしまう。

 

「面白そうずら」

 

「そうそ…え?」

 

そこで焼き鳥を食べていた花丸がそう口を開くと、同意しかけていた善子は思わず固まってしまう。

 

「マルも協力するずら」

 

「本当?じゃあこの後理亞ちゃんと会うことになってるんだけど一緒に来てくれる?」

 

「もちろん。善子ちゃんも行くずらね?」

 

そう頷いてから善子へ振ると、いつもの堕天使モードに入る。

 

「クックック…そんな時間あるわけなかろう。リトルデーモンを探すという崇高な目的があるのに…ただ、どうしてもと―」

 

「じゃあ遥くんも誘ってみよう?」

 

そう善子の話を無視してルビィと部屋を出ていこうとする。

 

「待ってよーてかヨハネー!」

 

善子が追いついてくるころには、エレベーター前で出くわした遥を誘っている所だった。

 

「ってことなんだけど…」

 

「わかった、僕もルビィちゃんの気持ちわかるから」

 

事情をルビィから聞いた遥は、そう快諾するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

待ち合わせ場所のハンバーガーショップに来た理亞は、明らかに不機嫌そうだった。

 

「3人も来るなんて聞いてない」

 

「あっでも花丸ちゃんもよし…ヨハネちゃんも遥くんも、とても頼りになるから…」

 

善子と言いかけた時に、本人から視線を感じたので慌ててそう言いかえる。

 

「関係ない。わたし元々、みんなでワイワイとか好きじゃないし」

 

そもそも遥に至ってはまともに会話した記憶すらない。いきなりよく知らない人間に囲まれれば確かに嫌かもしれない。なんて思いながら遥は苦笑した。

 

「それを言ったら、マルもそうずら。善子ちゃんに至ってはもっと孤独ずら」

 

「ヨハネ!何さらっとひどい事言ってんのよ…」

 

そう善子がすぐさま文句を飛ばすが、理亞にとっては他の事の方が気になったようで。

 

「ずら?」

 

そこではっとした花丸は手で口を覆って誤魔化す。

 

「これは、オラの口癖というか…」

 

「オラ…?」

 

「違うずら…マル…」

 

「ずら丸はこれが口癖なの、だからルビィといっつも図書室に籠ってたんだから」

 

口癖を意識して喋れなくなった花丸に、仕返しとばかりに暴露する。

 

「そうなの?」

 

そう意外そうな顔で聞き返す理亞に、「ずら…」と恥ずかし気に頷く。

 

「春まではみんなそんな感じだったよ、僕も引っ越してきたばっかりで知り合いなんて居ないから一人で図書室にいたし」

 

なんて遥もそう告げる。

 

「わたしも…学校では結構そんな感じだから…」

 

そう理亞も恥ずかし気に告げる。お互い学校も違うし、内浦と函館とかなり住んでいる場所が離れているのもあって、スクールアイドルとしての姿しか知らない。

 

意外なところで似ているのかもしれない、などと思っていると花丸は善子に反撃と言わんばかりに暴露する。

 

「善子ちゃんに至っては、図書室どころが学校にも―」

 

「いちいち言わんでええわい!てかヨハネ!」

 

「ごめんね善子ちゃん」

 

「だからヨハネよ!」

 

などと最早お約束になりつつある漫才染みたやり取りをしていると。ふっと理亞にも笑みが零れる。

 

うまく打ち解けたかは解らないが、当初の目的であった曲作りの話に入る。理亞が昨晩考えたという歌詞を4人は読むと微妙な表情になる。いつも姉が作っていたという前置きはあったが。

 

「私は負けない、何があっても。愛する人とあの頂に立って必ず勝利の雄たけびを上げようぞ…」

 

「だから言ったでしょ、曲も詩も殆ど姉さまが作ってるって」

 

何も言わない4人にそう理亞が言う。まぁ予想通りといえば予想通りだったが…。

 

「まだ何も言ってないけど…」

 

「しっかしなんの捻りも無いわね。直接的すぎるっていうか」

 

苦笑いするルビィとは対照的に、善子はそうはっきり言うと理亞に睨まれる。

 

「何?文句あるの?」

 

そう言われて善子も黙ってしまう。以前三年生と曲を作った時に彼女はまず誰も読めないような歌詞を書いていたのでそもそも人の事言える立場じゃない。

 

「でも、歌いたいイメージはこれでわかったずら」

 

「そうそう、ここから膨らませていってみんなで作ればいいんだから」

 

そう花丸と遥がフォローを入れる。この2人なら言葉の引き出しも多いし、何より遥は一応作曲もできる。やっぱりこの2人にも相談して良かったとこの時ルビィは思った。

 

「ルビィも手伝うから、一緒に作ってみよう?」

 

「あなた達、ラブライブの決勝もあるのに歌作ってる暇なんてあるの?」

 

「それは…」

 

痛い所を付かれたといった感じでルビィが言い澱むが、再び花丸が助け船をだしてくれる。

 

「ルビィちゃんは、理亞ちゃんの手伝いがしたいずら」

 

「理亞ちゃんや、お姉ちゃんと話してみて思ったの。ルビィ達だけでもできるって所を見せなくちゃいけないんじゃないかな?って、安心して卒業できないんじゃないかって」

 

ルビィもそう今思っているままを口にする。

 

「げッリリーだ!」

 

そうこうしていると、善子がスマホをみて思わず立ち上がる。

 

「どこにいるの?もう帰る準備しなくちゃダメよって…」

 

「もうそんな時間?」

 

「どうするの?」

 

そう理亞も心配そうに聞いてくると、花丸はすまし顔で告げる。

 

「今は冬休みずら」

 

「でもどこに泊まる?ホテル今朝までだったじゃん」

 

そう遥が聞く。流石に今から自分達だけで泊まる場所を確保するのは厳しいものがある。

 

「ウチに泊まっていいわよ、女4人くらい」

 

そう理亞が申し出てくれたのだが、4人は首をかしげる。

 

「僕…男なんですが…」

 

「ええぇえ!?」

 

理亞の驚いた声が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

ここに残る旨をAqoursの残りのメンバーに告げると、最初こそ反対されたが、千歌の「一年生同士で色々と話したいこともあるだろうし」の一言のお陰で了承を取れた。

 

「ここが理亞ちゃんの部屋?」

 

招待された彼女の部屋は、綺麗にまとまっていた。それに作曲できるからという事で、無理をいって遥も泊まれるように客間を使わせてもらえるように親に頼んでくれたらしい。

 

「好きに使っていいけど勝手にあちこち―」

 

「綺麗ずら」

 

「勝手に触らないで!」

 

勝手に触るなと言いかけたとたんに、花丸が本棚に置いてあったスノードームを持ち上げるものだから慌てて取り返す。

 

「雪の結晶?」

 

「そう、昔姉さまと一緒に探したの。ふたりでスクールアイドルになるって決めたあの瞬間から、雪の結晶をSaint snowのシンボルにしようって。」

 

そう言ってスノードームを戻すと、その隣には衣装に身を包んだ2人の写真が飾られてあった。

 

「それなのに…最後のラブライブだったのに…」

 

やはり彼女の中には先日の事が色濃く残っていた。そう呟く理亞に、ルビィは「綺麗だね」と一言だけ告げる。

 

「当たり前でしょ、姉さまが見つけてきたんだから。ほら、あんたの姉より上でしょ」

 

「そんなことないもん!お姉ちゃんはルビィに似合う服すぐ見つけてくれるもん!」

 

「そんなの姉さまだったらもっと可愛いの見つけてくれる」

 

「そんなの…」

 

そう顔をお互い近づけてヒートアップしていくのを、3人は意外なものを見る目で見つめているのに気が付きルビィは出かけた言葉を引っ込める。

 

「こんな強気なルビィちゃん…」

 

「初めて見た!」

 

「そ、それは…」

 

花丸と善子にそう言われ、思わず顔を背けるが続く言葉が出ない。

 

「ホント、姉の事になるとすぐムキになるんだから」

 

「それはお互いさまだよ…」

 

「そうかも」

 

呆れ気味に告げる理亞に、ルビィはそうかえすと。理亞はそう笑った。似た者同士なのだ、三年生の姉を想って何か贈り物をしたいと。

 

「皆さん、本当に戻らなくて平気なんですか?」

 

そこで、ドアをノックして少し間をあけた後聖良が顔を覗かせるとそう聞いてくる。

 

「他のメンバーに頼まれて、どうしてもこっちでやっておかなくちゃいけない事があるずら」

 

「そうですか…」

 

そう用意していた言葉を花丸が告げると、聖良は府に落ちないといった様子だったがそれ以上追及することは無かった。

 

「こちらこそ、急に押しかけてしまってすいません」

 

「いえいえ、うちは全然平気なんですけど…ご飯が出来たら呼びますね」

 

「お構いなく」

 

そう言うと聖良は部屋から出ていく、そしてこのやり取りをしたのは遥ではなく善子だった。

 

「何とか誤魔化せたわね…」

 

「善子ちゃんが、ちゃんと喋ってる…」

 

そう安心したように呟く善子の後ろで、思わず遥はそう口にすると、花丸とルビィもコクコクと頷いていた。

 

「ヨハネ!アンタたちに任せておけないから仕方なくよ、仕方なく!堕天使は世に溶け込む術を知っているのだ!」

 

なんていつものポーズをとりながら告げる。まぁ確かにクラスでも堕天使が出てこないようにはしているのだが…

 

「皆意外な一面があるずら」

 

「隠し持っている魔動力と言ってもらいたい」

 

「相変わらずずら」

 

遥はピアノ、花丸は読書家だから身に付いた引き出しの多さ、ルビィも裁縫など、そして意外としっかりしていて常識人な善子。皆普段見せないだけで意外な側面を持っている。

 

「でも、そうかも」

 

「え?」

 

そう呟くルビィに、理亞がそう不思議そうに聞き返す。

 

「ルビィ、最近思うの。お姉ちゃんや上級生から見れば頼りないように見えるかもしれないけど、隠された力があるんじゃないかって」

 

そう、普段上級生に引っ張ってもらってきた自分達にも、気づいていないだけで特別な力があるのかもしれないと。そう言うと、花丸が嬉しそうにそう告げる。

 

「じゃあ決まりずら」

 

「何が?」

 

「歌のテーマずら」

 

 

 

 

 

その日は、5人でアイデアを出し合いながら歌詞を作っていったのだがやはり聖良に勘付かれる訳にはいかないので、そこにはかなり神経を使った記憶がある。

 

翌日も、日中はお店もあるので流石にずっと居続ける訳にもいかず理亞を覗いたメンバーで図書館で良い単語はないかなど調べていた。

 

「遥くんも残ってくれてありがとう」

 

そう不意にルビィに告げられる。確かに一人男子で肩身の狭さは正直感じるがそれは今に始まったことでもないので、気にしないといった様子で答える。

 

「いいのいいの。それにほら…ふたりの気持ちは僕もわかるし」

 

歳の差こそ違えど、遥も梨子という姉がいる。だからこそ、2人の気持ちは理解できたし協力したいと思ったのだ。

 

「だからさ、ちゃんといい曲作らないとね」

 

そう言って、呼んでいた音楽関係の本へを視線を戻す。

 

自分の悩みに自分なりに答えを見つけた事によって、遥には周りに目を向ける余裕ができていた。

 

 

 

その日だった。遥は、例の破滅招来体攻撃の為の施設は奥の山を切り崩して建設されていることを知ったのは。

 

たまたま目に留まった新聞がきっかけだった。森の中から不気味な声がする。地元の人々にはそれが、遥か昔からこの地に住んでいるといわれる魔物。シャザックのものだと言われていること。

 

山を壊したから、魔物が怒っているのだと。

 

「なんか、この前のミズノエノリュウみたいずらね…」

 

「そうだね、また同じことを繰り返そうとしているのかも…」

 

それを覗き込んだ花丸に、遥もそう同意する。

 

「でもまた街に怪獣が出たら、遥くんは戦うずら?」

 

「多分、そうすると思う…あの施設が破壊されたら、街にもかなり被害がでると思うし…」

 

そう答える遥は、難しそうな表情を浮かべていた。怪獣を倒す事が、必ずしも正義とは限らない。遥はそう思うようになっていた。でも、人々を守るためには戦わねばならないこともある。

 

 

 

夕方、理亞から買い物を手伝ってほしいと言われ。泊めてもらっているからとみんなでついていた帰りだった。そのシャザックが、街に現れたのは。

 

突然街中に浮かび上がるように現れた怪獣に、場は騒然となる。

 

「怪獣!?」

 

「とにかくみんな逃げよう!」

 

騒然となる街の人々に対し、冷静に遥はそう告げる。

 

「でもなんでいきなり…」

 

「きっと、普段は不可視の電子ベクトルの中に居るんだ。だから基本、姿は見えない…」

 

「だからそんな事観察してる場合じゃないでしょ」

 

そう怪獣について考察しだす遥に、善子がそう告げる。すぐに変身したかったが、街の人…それに理亞の目の前でガイアになるわけにはいかない。

 

そんな時、XIGのファイターが飛来し攻撃を開始した。

 

「あの怪獣も、ミズノエノリュウと同じなんだ…人間が自然を壊さなきゃ出てこなかったはず…攻撃しちゃいけない!」

 

「でも、けが人が出ていい訳じゃない」

 

そう憤る遥かに、理亞はそう告げる。あの施設の目的はニュースで明らかにされており、さらに人々もそれを望んでいる。

 

人間を守る。その為に怪獣は排除しなければならないのか?すぐに変身しに身を隠しに行くこともできず、理亞にも言い返せず唇を噛む遥を余所にファイターは怪獣を攻撃する。

 

その時だった。怪獣を守るように青い光が立ち昇り、その中からアグルが両腕を広げ怪獣を庇うように立ちはだかった。

 

「アグル…」

 

アグルは振り返ると、怪獣に向かって駆け出し街の外へと追いやろうとするがそれ以上に積極的に攻撃をすることは無かった。

 

しかし、なんとか森まで押し戻す事に成功したが背中の棘を活かしてアグルの攻撃を防御し、逆にダメージを与え始める。

 

そしてそれが有効だと察したのか、まるまると転がりはじめ不規則にアグルの周りを移動しながら体当たりをし始める。

 

だがアグルもやられるままではなく、3度目程攻撃を受けはしたもののその次で逆に棘を掴み投げ飛ばす。

 

そして岸壁に激突した怪獣は、体勢を解き痛みにもがき始める。

 

そこに怪獣を戦闘不能にさせようと思ったのか、リキデイターの発射体勢に入る。その時だった―

 

怪獣の鳴き声よりも甲高い鳴き声が響き渡る。そして、今まで戦っていた怪獣の半分ほどの大きさの怪獣が現れる。

 

「あの怪獣の…子供?」

 

それを見届けていた人々がそう呟く中、アグルも発射できる状態にあったリキデイターの構えを解き、エネルギーを霧散させるてしまう。

 

そしてアグルを威嚇するように体をゆする子供怪獣を庇うように、親怪獣は前に立つと同様にアグルを威嚇する。

 

しかし、アグルはそのまま棒立ちで何もしなかった。いや、できなかったのだ。親を失って生きていく辛さを、博樹は知っているから。

 

すると子供の怪獣も、アグルに戦う意志がないのを察したのか親の手を引いて森の奥に帰ろうとする。そして親怪獣もそれに応じ、手を繋いだまま森の中へと―不可視の世界へと消えていった。

 

 

 

「あの怪獣、親子だったのかな」

 

「そうなんじゃない?でも良かったじゃん、被害も無かったみたいだし」

 

その帰り、そう呟くルビィに遥はそう笑顔で応じた。

 

「おんなじ地球に住む命なんだし、争わずに済むことに越したことないんだよ。それにあの怪獣は、子供を守りたかっただけみたいだし」

 

その言葉は、どこか自分に言い聞かせるようだった。




今回の怪獣は本編にも出たようにシャザックです。
本家ではカナダに生息してたんですけどメタな話カナダに行く用事がないのでこうなりました。
突然現れたアグルですが、本編の外でもガイアとアグルは色んな場所で人々を守るために戦っているのです。
それでは次回、お会いしましょう。
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