初めての作品でここまでやってこられたのはひとえに読んでくださる皆様のお陰です、ありがとうございます。
それでは48話どうぞ!
「ヒロ!どこにいるの?」
あの後アグルが戦闘を行っていた辺りを果南は目に涙を浮かべて必死に走り回った。無理もない、目の前でアグルがライフゲージを抉られるところを見てしまったのだから。
そして、アグルが消滅した場所のすぐ近くに、ふらつく身体を引きずりながらこちらに歩いてくる人影を見つけた。
「ヒロ!」
「果南…?」
「大丈夫?ケガしてない?」
そう言って駆け寄ると、博樹の肩を持って支える。
「すまない…大丈夫だ…」
「救急車呼ばないと…」
そう言って反対の手でスマホをとり出そうとするのを「いや、いい」と言って腕を掴んで止める。
「でも…」
「疲れただけだ…それに、なんて言って呼ぶつもりだ?」
「それは…」
怪獣と戦って負傷したなんて言える筈もない。それにダメージこそ負ったが博樹本人に外傷はない。アグルのエネルギーさえ回復すれば大丈夫だといって果南を安心させようとする。
「博樹さん、大丈夫ですか?」
「ヒロ大丈夫!?」
そこにダイヤと鞠莉も合流してくる。
「あぁ、何とかな…」
そう言って笑って見せるが、顔は赤く汗が浮かんでいて、時々咳き込んでいる博樹を見るとやはり大丈夫には見えない。
「待ってて、今迎え呼ぶから。ウチで手当てするわ」
そう言って鞠莉がスマホを使い、家と連絡を取る。
その時、目の前に一台のジープが停まり、中から体格のいいG.U.A.R.D.の中でも上位の階級の証である白い軍服をきた男が降りてくる。
「久しぶりだな、湊博樹」
「柊…」
かつてティグリスを地底貫通弾で葬った男、柊を博樹は睨む。
「ヒロ、知り合いなの?」
「まぁな…」
果南に聞かれて、博樹はそう返事する。
「G.U.A.R.D.の士官の方とお見受けしますが、何の用ですの?」
そうダイヤが博樹と柊の間に立ってそう問いかける。その体格差は明らかで、ダイヤからすれば見上げるような大男であるはずの柊に、彼女は引かなかった。
「お嬢さん、私は別に彼を取って食おうという訳では無い」
「ではこんな時に何を?」
「お前の力を、オレに貸せ」
ダイヤの肩を持って彼女を引き下がらせると、そう博樹に手を差し伸べた。
「…何?」
だが、博樹はそんな柊の言動を警戒するのだった。
「何言ってるんですか?ヒロはさっきの騒ぎに巻き込まれてケガしてるんです!良いから帰ろ?」
「そいつがウルトラマンだとしても?」
果南も柊に何か嫌なものを感じたのか、そう言ってダイヤとふたりで博樹を連れていこうとすると、そう言われる。
「ウルトラマンはさっき消えちゃったじゃないですか…」
「いや、変な事を言って申し訳ない。お嬢さん忘れて頂きたい」
そう果南がしらを切ると、柊はそう言って立ち去って行く。
「良かった、行ってくれて…」
そこで緊張の糸が切れたのか、果南がそう呟く。
「…ごめんな、怖い思いさせた」
「いいんだよ、好きで庇ったんだから」
そう珍しく『ごめん』という言葉を使って謝る博樹に、果南はそう笑う。
「最後のは流石に冷や冷やしましたわ…」
ダイヤも同様にそう言って胸をなでおろした。
流石に地底貫通弾を阻止しようとして殴り込んだ事は言えなかったが、博樹は力を使い果たしており、いつ戦闘を行えるだけのエネルギーが回復するかも正直解らなかった。
そこに鞠莉が家の人間を引き連れ戻ってきたので、ひとまずは鞠莉の家で簡単に治療を受けるのだった。
―遥さん、無理はしないでくださいね
―え?
別れ際に、そう聖良に言われた遥はその意図を瞬時に悟ることが出来なかった。
―みなさん、あなたの事も大切に思っています。だから…
―解りました、約束します
聖良には正体を知られてしまったから、だからこそ彼女は遥の身を案じてそう伝えたのだ。それをやっと察した遥は、そう笑顔で返した。
『G.U.A.R.D.スポークスマンから「ブリッツブロッツ」と発表された怪獣により、G.U.A.R.D.フォーラムは完全に破壊されました。現在、怪我人等の正確な情報を―』
翌朝、ニュースでは昨日の出来事でもちきりだった。
「今年もこんな状況が続くのかしら…」
「そうかもね…」
そのニュースに母がそう漏らすのを聞いて、遥もそう呟く。
「でもあの怪獣は、今までと違った…主要施設を狙って現れて、ウルトラマンの弱点を突く戦い方。破滅招来体も、本腰を入れてきたのかも…」
「姉さん…」
そう梨子が呟く。確かに今まで送り込んできた怪獣たちと違って、高い理性を持っていることは明白だった。
「ガイアも負けてしまったら、地球はどうなるのかしら…」
母親は遥がガイアだという事を知らない。伝えるべきだと思ったが、父の一件以降。絶対に知られる訳にはいかなくなってしまった。
あれ以降、母はガイアにも複雑な感情を抱いていることを遥は察していたから。
「大丈夫だよ、絶対に滅んだりしない。滅びるために産まれてくるなんて間違ってる」
そう言って遥は笑って見せた。少し前まで外に出れないほどふさぎ込んでいた遥が、そう言って見せることで母も安心してくれるから。僕はもう大丈夫だと。
「そうよね、遥もアルケミースターズと頑張ってるもの」
そう言って母も少し元気になってくれた気がした。
「博樹さん、大丈夫でしたか?」
「うん、特に大きなけがもなかったし」
その日の練習で、遥は果南にそれを確認する。あの時自分も一緒に戦っていればと、思わずにはいられなかった。
「でも、暫くは戦えないと思う…」
「そうですか…」
「あの怪獣、また出てきたら。遥くんは戦うの?」
昨日の今日では、アグルのエネルギーも回復はしないだろう。それに敵も一人戦えるウルトラマンが減っている現状を狙わないとは考えにくい。そこで果南はそう確認するように遥へ問いかける。
「そうですね。戦わないで傷つく人が出れば、絶対後悔しますから…」
「そっか…でも無理しないでね?私は昨日、アグルが負けた時怖かった。ヒロが死んじゃうんじゃないかって…」
「果南さん…」
そう果南の泣きそうな表情を見て、遥は息を呑む。
「もし遥くんがそうなったら、きっとみんな同じことを思うよ?だからさ、逃げてでも無理だけはしないで」
「わかりました、僕もみんなに心配かけさせるような真似はもうしません」
「約束だからね?」
「はい」
そう返事をすると、果南も満足げに頷いたのでこの話はここまでにして練習に戻っていく。
「何話してたの?」
「博樹さんが気になってね、でも大丈夫みたい」
その時ルビィに果南と何の会話をしていたのか聞かれたのでそう返しておく。
その日の練習は、昨日貰ったSaint Snowのメニューをこなすべく年末休みで鈍った体を元に戻すことを目標に行われた。この感覚なら、明日から貰ったメニューに入っていけるだろうという実感を得られたところで終了となった。
その日の帰り、全員で談笑していると。ブリッツブロッツが、今度は高エネルギー弾頭弾の分解を行っているジオサテライト№3を狙って、再び沼津の空に現れた。
「また出た…」
今度は事前に施設を襲撃することは想定できていたので、既に警戒態勢だったXIGからチームライトニングのファイター三機、そしてスティンガーという大型陸戦兵器を使用するチームは―キュリーズが出撃する。
高速飛行で、怪獣を翻弄するライトニングだったが梶尾のSSが怪獣の飛び上がりからのチョップで無理やり叩き落され、残るSGも両腕からの光弾で撃墜される。
これまでファイターチームで最も実戦経験のあるだけでなく、撃墜されたことのなかった梶尾すら撃墜された事、そして夕べアグルを退けたことがブリッツブロッツの実力を物語っている。
「嘘…戦闘機があっという間に」
「僕行くよ!このままじゃ…」
善子がそう漏らすのを横目に、遥がそう告げる。スティンガーの砲撃も、手刀で叩き落し攻撃するブリッツブロッツを見て、少し焦っていた。
そんな時だった。突然地震が起きる。
「何!?」
「地震?」
「いや、違う…来る!」
そう言い切る遥かの視線の先で、大地を引き裂きティグリスが地底から出現する。
「あの怪獣…確か地底貫通弾で死んだはずでは…」
突然のティグリスの登場に、ブリッツブロッツだけで手一杯なのにと場は騒然となる。しかし、ティグリスはブリッツブロッツへと攻撃を開始する。
「あの怪獣…どうして?」
「守りたいものがあるんです、アイツにも」
そう呟く千歌の隣で遥は、単純にそれだけだ。そう直感的に思った、地球は怪獣たちにとっても故郷なのだ。それを守るただそれだけの為に、ティグリスは現れたのだと。
ティグリスは、ブリッツブロッツへ突撃した。だがブリッツブロッツも、顔面に回し蹴りを放ちそれを防ぐ。しかしティグリスはそれに怯むことなく攻め続ける。
そしてティグリスの喉元を狙って放たれた手刀を、噛み付いて防いだ。その反撃にブリッツブロッツは慌てて脱出すべく、ティグリスの身体を殴り続けるが怯まない。そこで噛み付かれていない手で、ティグリスの角を掴むと力任せに引っ張り角を引きちぎった。
そのダメージに、思わず悲鳴を上げながら後退するティグリスは、ブリッツブロッツの手を離してしまう。
「あの怪獣…」
「姉さん、行ってくる」
その様子を見て、悲し気に呟く梨子に遥はそう告げる。
「気を付けてね?」
そして返ってきた、自分を心配する声に笑顔で頷くと。怪獣たちが戦っている方を向く。
「ガイアーッ!」
遥は駆け出すと、地球の光を開放した。ティグリスを追撃しようとしていたブリッツブロッツは、いきなり現れた光に思わず顔を逸らす。
そしてその光の中から、ガイアが現れたのだった。
ガイアを倒すべき敵だと認識したブリッツブロッツは、ガイアの方を向いて構えるとガイアは逆に駆け出して肉薄する。
そのままの勢いで繰り出した蹴りは躱され、直後にお互いが繰り出した回し蹴りげ激突する。そしてガイアの拳は防がれ、そのままその腕で顔面を叩かれる。
そして今度は逆に駆け寄ってきたブリッツブロッツに回し蹴りを見舞うも、体勢を落としてくぐられるとそのまま顔面に拳を貰い、ガイアの体が地を転がる。
そして追撃にと放たれた蹴りを、ガイアはその足を両腕で抱え込みそのまま捻るようにして倒れ込み、ブリッツブロッツを地面に叩き付ける。
そしてお互い起き上がると、ガイアは自身に向かってきた拳を腕で逸らし逆に胸元を殴りつけてから投げ飛ばした。
「お願い遥、勝って…」
「遥くん…」
一進一退の攻防を、梨子たちはただ見守る事しかできない。
「ジュワ!ウァアアア…」
お互いの攻撃が交錯し、地を転がったガイアは前転して距離を取ると振り向きながらフォトンエッジの発射態勢をとる。
「遥くん、ダメ!」
それを見た花丸が、反射的にそう叫ぶ。その瞬間、ブリッツブロッツの胸が開き赤い結晶が顔を覗かせる。
「デュワッ!」
しかしその声はガイアに届かず、そのまま放たれた光の刃は胸の結晶体に吸収され。威力を増幅させ打ち返される。
ガイアはその打ち返される一瞬の間にバリアを展開し、防御に入るがその威力に段々押されていき最後はバリアを突き破られてしまった。
「遥!」
ガイアの体が宙を舞うのを見て、梨子がそう叫んだ。そして地に叩き付けられたガイアは、胸のライフゲージが点滅し始める。
「怪獣はライフゲージを狙ってるよ!」
そう果南が咄嗟にガイアに向けて叫ぶ、昨日博樹が教えていたのだ。相手は必ずウルトラマンの弱点であるライフゲージを狙って攻撃すると。
だがガイアは今のダメージで、膝を付いたまま立ち上がれない。そんなガイアへブリッツブロッツは勝負あったと言わんばかりに悠然と歩み寄ると、ガイアの胸へ手を伸ばす―
その時だった、戦いの様子を見守っていたティグリスがブリッツブロッツへ体当たりしたのだ。自身も負ったダメージで辛いはずの身体に鞭を撃って、ガイアを護る為に。
そしてガイアを庇うように立ちはだかり、再び突撃するとブリッツブロッツも同様にティグリスへ駆け寄る。
そしてすれ違いざまに、ティグリスの前脚での攻撃を回避しつつその首に手刀を叩き込む。そしてティグリスの首元から盛大に血が噴き出す。
「お前の努力は無駄にはしない!撃てェ!」
その掛け声とともに、スティンガーがガイアを守る為に砲撃を開始すると、似たような形の青い巨大装甲車バイソンも現れる。
かつてティグリスを死なせた柊も、地球の為に立ち上がった怪獣を見て怪獣は殲滅させねばならないと考えていた心境に、変化が起きたのだ。
集中砲火によってブリッツブロッツは態勢を崩され、反撃に出ることが出来ない。
「立って…立ち上がって…」
Aqoursのメンバーたちが祈るようにして見守る中、ガイアはふらつく身体をゆっくりと立ち上がらせる。地球に住むみんなの想いを、無駄にしない為に。
「デヤァッ!」
立ち上がると、ガイアはそのまま腕をL字に組んでクァンタムストリームを放つ。それは見ていた全員の予想通り、怪獣の胸の結晶体に吸収される。しかしガイアは技の照射をやめない。
「ガイアのエネルギーを溜めてる…?」
ただ跳ね返すのではなく、一度エネルギーを体内にため込み増幅させていることを見抜いたガイアは、わざと長時間照射する事で、吸収できる限界を超えさせようとしているのだ。
だが、相手もそれに気づくと苦し気に腕を動かし手の甲から光弾を放ってガイアを攻撃し、技を中断させる。
だがすでに遅く、ブリッツブロッツは溜めすぎたエネルギーによって動きが鈍ってしまっていた。体をスパークさせながら苦しむ怪獣に、スティンガーとバイソンはその胸部の結晶体へ残弾を全て叩き込む。
そしてブリッツブロッツの胸部が、その攻撃に耐えられずに破壊されてしまった。
「遥くん、今だよ!撃って!」
その皆の声を受け、ガイアは頷きスプリーム・ヴァージョンへと姿を変える。
「ウォォオオオ!ダァツ!!」
そして残った力全てを込めて放ったフォトンストリームによって、ブリッツブロッツはその体を爆散させたのだった。
そしてガイアの勝利を見届けたティグリスは、立ったまま静かに息を引き取った。
「勇敢なる戦友に、敬礼!」
ティグリスの亡骸に、そう言って柊は敬礼をするのだった。
「で、何の用?まさかイタリア行くななんて言うんじゃないよね?」
その日の夜、鞠莉と博樹は果南とダイヤに呼び出されていた。と言っても住んでいる淡島なので、大した距離でも何でもないのだが。
「一年前だったら、そう言ってたかもね」
鞠莉に聞かれて、果南はそう笑いながら答える。
「じゃあ相談せずに勝手に決めた事?」
「それも違いますわ」
今度はダイヤにそう否定される。
「話とこうと思って」
「実は私も、東京の大学に推薦が決まりましたの」
果南がそう切り出すと、ダイヤが先にそう告げる。
「わたしは海外でダイビングのインストラクターの資格、ちゃんと取りたいんだ」
「じゃあ…」
続いて果南がそう告げると、鞠莉はそう言いかけると果南は頷いて続ける。
「卒業したら、3人バラバラ…」
「簡単には会えなくなりますわね…」
そう果南は寂しげに告げるとダイヤも同様に告げる。
「ヒロは?」
「そうだな…戦いが終わるまでは、考えないようにしてる」
「そっか…」
博樹はそう答えると、寂しげにそう一言だけ果南は返した。
「でもまさか、あれだけ喧嘩しといてそれぞれ勝手に決めてるなんてな」
そう博樹が意地悪く笑って見せる。
「お互い、相変わらずですわね」
そうダイヤも皮肉っぽく言うが、全員に笑みが零れる。
「そう言えば鞠莉、よく抜け出してたっけ?」
ホテルの中庭まで戻ってきたところで、果南がそう思う出したように呟く。
「それなら全員同罪デース」
「鞠莉さんが黙って出てくるからでしょ」
そう言い返す鞠莉に、ダイヤが苦笑しながら言い返す。
「だって言ったら絶対ノーって言われるからね」
鞠莉の親は、3人と遊ぶことを快く思っていなかった。箱入り娘だった鞠莉をどこでもここでも連れまわす事で変な影響を受けないか心配だったのだ。
もっとも今となってはとんだお転婆娘になってしまったので、心配は的中してしまったのかもしれないが。その結果鞠莉の部屋はどんどん上の階へと変わっていったのだが。
「今考えると、親御さんの苦労が解りますわ」
「だって3人と遊んじゃダメなんていうんだもん」
「しまいには勘当だったか?」
そんな言葉どこで覚えてきたんだとオロオロする親の姿は今でも思い出すと笑える。
「小学生が親に勘当を言い渡すなんて聞いた事ありませんわ」
「それを教えてくれたのダイヤだよ」
「そうでしたっけ?」
そう言い返されてダイヤはバツの悪そうな顔でほくろのあたりをかく。
「子供だったよね」
「今も子供だろ」
「そうかも」
果南がそう言って笑うも、博樹にそう言われるがそう返すと博樹も笑う。
「でも楽しかった、果南とダイヤとヒロ、3人と出会って色んなことを教わった。世界が広い事、友達といると時間が経つのも忘れるほど楽しい事、喧嘩の仕方に仲直りの仕方。皆が外に連れ出してくれなかったら、私はまだ何一つ知らないままだった、あの部屋から出てこられなかった」
籠の中の鳥のようだった鞠莉に外の世界を教えたのはこの3人だった。活発な果南に真面目だけどなんだかんだ付き合ってくれるダイヤ、文句は言っても色々知恵を貸してくれた博樹。この3人がいたから、今の鞠莉が居るのだと。
「あの日から、4人いれば何でもできる。今の気持ちがあれば大丈夫だって、そう思えた。Thank you」
離れ離れになる前に、鞠莉が伝えたかった言葉だった。あの日の天体早見表を夜空にかざして、鞠莉がそれを告げると、ぽつぽつも雨が降り始める。
「雨…ですわ」
「また?まったくダイヤは」
「まって私?雨女は鞠莉さんでしょ?」
「why?果南だよ」
「訴えるよ、ヒロも雨男なんだから」
「はいはい」
誰のせいという醜い押し付け合いが始まりかけるが、博樹は面倒くさそうに受け流す。だが全員の表情は笑っていた。
「もしかしたら、神様が願いを叶えさせたくないのかもしれませんわね」
「ずっと一緒に居られますように?」
「そんな心の狭い神様は勘当デース!」
その言葉に思わず笑い声が漏れる。
「これで終わりでいいの?あの時と同じで、流れ星にお祈りできなくていいの?」
「果南…」
「私は嫌だな、それに今は4人だけじゃない。探しに行こうよ、わたし達だけの星を」
その後、鞠莉の運転するワーゲンバスでAqoursの皆も誘ってドライブがてら星を観に行こうと提案し千歌の家の前に全員を集合させた。
もちろん皆には運転手が鞠莉だったことを驚かれたが。免許は取得しているし初心者マークも貼っているし法的には問題ない。
「最初は4人だけの予定だったけど、ヒロが『オレはまだ本調子じゃないし連れてくなら皆にしろ』ってさ」
そもそも9人乗りなので、折角ならAqoursで行け。バイクは持ってるが雨の中外に出たくない。と博樹が頑なに譲らなかったのだが。
暫く車を走らせてたどり着いたのはとある峠の駐車場だった。標高は800mあり、天気が良ければ満点の星空が見渡せるのだが、天気はあいにくの雨。
「何をお祈りするつもりだった?」
「決まってるよ」
「ずっと一緒に居られますように?」
果南に聞かれた鞠莉はそう告げると、ばっちりそれを当てられる。
「これから離れ離れになるのに?」
「だからだよ、だからお祈りしておくの」
ダイヤに意地悪く聞かれても、笑ってそう答える。
「いつか必ず、また一緒になれるようにって…でも、無理なのかな?」
「なれるよ!」
そう思わず泣きそうな声になる鞠莉に、千歌はそう即答すると「それ貸して」と言って早見表を手に車を降りる。
「絶対一緒になれるって信じてる。この雨だって全部流れ落ちたら、必ず星が見えるよ。だから晴れるまで、もっと…もっと遊ぼう」
そう雨に撃たれながら早見表を天に掲げる千歌。思えばメンバーみんなで予定もなく集まって遊ぶ事なんて今まで無かった。だから、だからこそと。
すると皆車を降りて千歌の周りに、早見表を囲うように立って手を伸ばす。
「晴れなかったら、神様だって勘当デース!」
鞠莉がそんな事を言って、みんなを笑わせる。
すると雨空に、赤と青二筋の光が浮かび上がるとガイアとアグルが現れる。
「2人とも…」
そう呟く鞠莉の視線の先で、2人のウルトラマンは頷き合う。
「「ハァァアア……ダァッ!」」
お互いまだダメージが残っているのか、ライフゲージが明滅したままだったが胸の前で腕を組みエネルギーを収束させると、腕を開くのと同時に開放して雨雲を吹き飛ばすのだった。
「凄い…」
そう呟くメンバーたちの視線の先に、流れ星が夜空を駆ける。
三年生3人は、手を合わせてそれに祈る。
『ずっと一緒に居られますように』
それを見て、ウルトラマン二人は満足げに頷くと光となって消えていった。その光はさながら。赤と青の流れ星だった。
―見つかりますように。輝きが、私達だけの輝きが、見つかりますように
如何でしたでしょうか?
破滅魔人ブリッツブロッツとの闘い、そしてティグリス。
やりたいことが多すぎて一期書いてた頃より文字数が増えてしまいました(汗)
根源的破滅招来体の攻撃もどんどん本気になってきた終盤戦!ガイアとアグルは地球を守り切ることはできるのか?
それではまた次回でお会いしましょう。