いよいよ今日からですね、作者は金銭的な事情で見送りましたが…参加される方は是非楽しんできて下さい。
それでは本編どうぞ!
翌日、千歌から大会までは各自自由行動でという風に提案され。各々が思い思いの場所で過ごしていた。
(善子ちゃんには悪い事したよね…)
あてもなく久しぶりの東京の街をさまよっていた遥が思い浮かべていたのは善子との昨晩の会話だった。
初めて異性から口にされた『好き』という言葉は、とても嬉しかったが。反面どう答えればいいのか解らなかった。
善子は勿論大事な友達で、何があっても助けるなんてカッコつけたセリフを言った事もある。でも遥は自分が花丸に好意を向けている事を、善子の質問で自覚してしまった。
だから彼女の気持ちに応えることが出来なかった。果たしてそれで良かったのか?そう思う気持ちが離れなかった。
仮に彼女の気持ちを受け取ったとして、嘘で彼女を喜ばせてもそれはきっと意味がない。あの時の遥はそう思っていた。
気がづくと、自身や姉が行っていたピアノ教室の近くまで来ていた。もうやめて5年以上経っており講師意外に知る人物などいる筈もない。
それでも遥は外からその光景を少し眺めていた。
(懐かしいなぁ…)
ただ姉の背中を追って、同じことが出来るようになりたかった。それだけで始めたピアノだった、だが様々な要因が重なって遥はそれを投げ出してあろうことかできないフリまで始めてしまった。
でもその事さえ、今ではいい思い出になっている気がする。Aqoursとの出会いが、姉と理由も経過も違えど再び向き合うきっかけになった。
それに周りなど気にせず頑張れば良かったという後悔すら生まれた。
函館で理亞やルビィ達と曲を作った事、三年生と一年生全員で曲を作った事。それも遥はピアノをやってなかったらその輪に入ることを頑なに拒んだだろう。
「あれ?遥くん?」
そう感慨に耽っていると、当時の講師の女性が遥に気が付いて出てくる。
「お久しぶりです、先生」
「やっぱり遥くんだったのね、大きくなったわね。梨子ちゃんは元気?」
そう聞いてくる女性に、遥は「はい」と答えると相手も満足そうに笑う。
「それ制服?この辺じゃ見ないわね…高校はどこに?」
「えぇっと…今静岡の沼津ってとこに引っ越してて、浦の星学院って学校に通ってます」
「あぁ!えっとAqoursの?」
「そうです、よく知ってますね?」
「いやたまたま映像見て梨子ちゃんに似てる子がいるなって思ってたの、まさか本人?」
「ですです、僕はマネージャーやってて」
まさか知ってくれているとは思わなかったのでこれには嬉しくなってついにやけそうになる。
「じゃあピアノは?」
「続けてますよ、それに僕も最近またやろうかなって」
「そっか…でも良かったわ、またいつか聴かせてね?」
「はい!」
ここへ来た理由は何となくだったが、数年ぶりの恩師との再会を経て幼い自分は間違ってなかったと実感できた。
これ以上いて邪魔をしてもいけないと思い別れた遥は、まだ時間に余裕があったのだが他に行くあても無く先に集合場所を目指そうと思い移動を開始する。
今から向かえば、メンバーより早くたどり着けるし応援に来る母親に顔を見せるくらいはしておこうと思い、その一歩を踏み出した。
「やっぱり、来てくれたんだ?」
「…最後くらいな、わざわざこっちに来ても海を見てるのは、何ともお前らしいな」
東京に来てくれた博樹に、本番前に会えないかと連絡すると。二つ返事で了承してくれた。
靴を脱いで足を海水に付けて立っている果南の少し後ろまで歩み寄った博樹に気が付いた果南にそう言われるも、博樹は素っ気ない。
「こうやってふたりで海を見るのって、いつぶりだろうね?」
「さぁな?基本鞠莉とダイヤもいたし」
そう相変わらず素っ気ない言葉を返す博樹の視線も、果南の視線も海を見ていた。
「ねえヒロ」
「ん?」
「ありがと、ほんとに来てくれて」
「約束は約束だからな」
そうこちらに視線を向ける果南に、博樹は視線を合わせずに答える。
「二年間ずっと約束ほったらかしてどっか行ってたくせに?」
「それは…」
そう意地悪い笑みを浮かべて告げる果南に対して、博樹はバツの悪そうな表情で頬をかく。
「今度こそダイビングするんだからね?約束だからね?」
「解ってるよ、卒業までにな」
「絶対だよ?」
「あぁ」
しつこいくらいにそう釘を刺す果南に、博樹はそう短く答える。その表情は少しだけ笑っていた。
「時間はいいのか?送っていくぞ?」
「いやいいよ、鞠莉とダイヤと合流してから行くし」
「そっか、じゃあまた終わったらな」
そう言って果南と別れると、博樹はバイクに乗って走り去る。
もう少しでアキバドーム前にたどり着く、そう思った時だった。
空にかつてない大きさのワームホールが開き、そこから無数の体長60cm少々の大きさの昆虫のような生命体が飛来する。
「なんだ…これ…?」
一瞬のうちに空を覆い尽くしたそれは、あっという間に周囲を暗闇に包み込む。
「遥くん!」
「みんな!」
その直後に、Aqoursの全員と合流することが出来た。
「これは一体…?」
「わかりません…でも最初にワームホールが見えました。きっとあの虫みたいなのは、そこから出現し続けている」
ひとまずドーム内に入り、そこで情報を整理するべく遥はアルケミースターズのネットを使い状況を確認する。
ドーム内にある巨大モニターでは、緊急ニュースの様子が流れており市民に外出禁止を呼びかけていた。
「これは…」
ネットを使って遥は手に入れた情報を見て絶句した。
世界中で同様の現象が見られており、海外では既にG.U.A.R.D.の攻撃部隊による攻撃が開始されるも昆虫もどきの物量。そして戦闘機の装甲を破る程堅い甲殻による体当たりによって、オーストラリアの部隊はすでに全滅したことが明かされていた。
そして、東京上空に開いたワームホールから更に世界各地へとワームホールが繋がっていることも明らかになり。XIGの新型ファイター率いる部隊が、そのワームホールを攻撃すべく。出撃準備に入っていた。
従来のファイターより運動性、攻撃性能を大幅に向上させた機体。ファイターSSの発展型であるSTが一機、SGの発展型であるGTが二機という今までと似たような構成だが今までと比較にならない性能を持つファイターに期待するしかないといった状況だった。
「遥くん、何かわかった?」
「あの生物は、これまでの破滅招来体が送り込んできた怪獣の特徴を併せ持ってるってことと…従来の戦闘機じゃ、あの物量は突破できないってことくらいです…」
千歌にそう聞かれた遥は、そう苦虫を噛み潰したような顔で告げる。
「そんな…」
折角ここまで来たのに、ライブどころでは無くなってしまった事。そして現状がかつてないほど厳しい事を突き付けられて、全員の表情が暗くなる。
「そうだ、理亞ちゃん達は?」
そこでルビィが鹿角姉妹の姿が見えないことに気が付く。両親たちは先程連絡が付いて、ドーム内に避難していることは解っていたがふたりとは連絡を取っていなかった。
「ダメ、繋がらない…」
千歌がすぐさま聖良へと電話をかけるが、電波状況が悪くなり電話どころか遥の端末もインターネットから切り離される。
『緊急情報が入りました、たった今XIGによって東京上空のワームホールへ攻撃を行いましたが。失敗に終わったとのことです…』
そうニュースではアナウンサーの女性が暗い表情で告げる。
「なんでテレビ回線だけは生きてるんだ…?」
そう遥は訝しむが、誰もその理由が解るわけもない。
―もう終わりだよ!
―なんでウルトラマンは来てくれないの!?
―G.U.A.R.D.は何やってるんだよ!
そんな声が辺りに響き渡る。人類史上最大の危機ともいえるこの状況で、誰しもが恐怖や不安に打ちのめされていたのだ。
「ウルトラマンの事なんて知らないくせに…」
そんな人々の勝手な叫び声に、思わず善子がそう呟く。
「きっと口にすることで、恐怖を誤魔化しているのですわ…」
それにダイヤがそう答える。すると曜が周囲を見渡すてあることに気が付く。
「遥くんがいない!」
遥は人気の無くなった通路を、ドーム外を目指して歩く。その目は真っ直ぐと前を見ており、もう誰にも止めることは出来ないだろう。
そんな時、急に視線の隅から何かが投げつけられ、思わずそれを両手でなんとかキャッチする。
「食えよ、いざという時に腹が減ってたんじゃな」
そう声をかけてきたのは博樹だった。遥は今投げ渡された物に視線を落とすとそれはハンバーガーだった。そして珍しく笑みを向ける博樹の手にも同じものがあった。
「そんな気分にはなれませんよ…」
そう言って遥が顔を逸らすと、博樹は先程と打って変わって真剣な表情になる。
「行くんだろ?空のイナゴもどきを一掃しに」
その問いかけに遥は頷くと、言葉を繋ぐ。
「その奥のワームホールを閉じる事さえできれば、この状況は抜けられる…現在の兵器で対処できないなら、もうウルトラマンの力に頼るしかない」
そう告げる遥の話を無言で聞いていた博樹は、ある提案をする。
「遥、お前があのイナゴを一掃しろ。その隙にオレがワームホールに突っ込む」
「博樹さん…」
それは即ち、博樹は単独で破滅招来体の拠点に突入すると言う事に他ならない。無謀な策だった。
「オレはアグルの力が戻ってから、ずっと考えてきた。なんでオレ達はふたりなんだ?いや、幸いにも二人いるというべきか?」
「え…?」
その問いかけは、遥は一度も考えた事が無い内容で答えることが出来なかった。
「どちらかが居なくなっても、もう一人いる」
博樹が出した答えは、一人が犠牲になっても。その後はもう一人が守ることが出来る。そう言う意味だった。
その言葉で、博樹の真意を理解した遥はごくりと唾をのむ。博樹はこの戦いで死ぬ気なんだ。命と引き換えに地球を救う。だから後は頼むと、そういう意味なのだろうと。
その時、後ろから近づいてくる足音が聞こえた。第三者に今の会話を聞かれてしまったのか?そう思い振り返ると、そこにいたのは花丸だった。
「出口で待ってる」
そう言って博樹は踵を返すと、ドームの出口へ先に向かって行く。
「花丸ちゃん…」
「なんで…なんで黙って行こうとするずら?」
そう言いながら花丸は遥へ歩み寄っていく。まるで責めるような口調で告げる花丸に、遥はうまく答えられない。
「どうしてみんなに黙って行くの?約束してくれたよね?『居なくなったりしない』って…」
そう泣きそうな表情で訴えてくる花丸に、遥は何と言って良いのか解らなかった。
「ごめん…」
ただ一言、それしか言う事が遥には出来なかった。言えば必ずみんなは遥の身を案じて、引き留めるのと思ったから。遥は皆の視線が外れている隙に、その場を抜け出したのだから。
「行ってきますくらい、言ってくれてもいいのに…マルには頑張れって言う事しか、できないけど…」
泣きながら、段々小さくなる声でそう告げる花丸に対して。遥は意を決して言葉を紡いだ。
「花丸ちゃん…行ってきます」
そう優しく告げると、花丸は泣きながら頷くと無理に笑みを作る。
「行ってらっしゃい…」
そう震える声で返す花丸に、遥は無言で頷くと振り返って博樹の後を追う。
「最後かもしれない…よく味わえよ」
「最後になんかしません!絶対にふたりでみんなの前に帰るんです」
真剣な表情でそう告げる博樹に、遥はそう返すと貰ったハンバーガーに噛り付く。そう強気で言い返しても、今の遥には不安で味など感じることは出来なかったが。
「どうなってるのよ一体!?」
「とにかく早くドームへ行きましょう、皆さんが心配です」
鹿角姉妹は、ホテルからドームへ向かう道中。この騒動に巻き込まれてしまい、すぐ近くの避難場所も人であふれかえっていたため無人の街をドームへと走る。
「姉さま…あれ…」
理亞が怯えた表情で指さす先を見ると、うめき声をあげる魚と人を足したような半透明の不気味な幽霊のような影がいた。
だがその半透明は存在は、ただうめき声を上げるだけでこちらへ何かしてくるといった様子は無かった。
「うわぁぁああああ!」
その時、誰かの叫び声が聞こえともかくそちらへと進路を変える。
「君!大丈夫ですか?」
そこでは物陰で怯える幼い少年の姿があった。聖良はその子へ駆けると優しく声をかける。
「姉さま!」
そしてその後を理亞も追いかけるのだが、顔を上げた少年は彼女達とは別方向に再び魚人を見つけてしまい再び悲鳴を上げて顔を伏せる。
「どうしたんです!?」
聖良は少年を庇うように立ち上がると、別方向から覚えのある声が聞こえてきた。
「遥さん」
「聖良さんに理亞ちゃん、無事だったんですね?」
そう遥は2人の姿を確認すると、そう言って安堵する。と、その隣にいた少年の前に屈みこむ。
「外に出ちゃだめじゃないか」
「ねえどうしてウルトラマンは来てくれないの?」
その言葉に、遥と聖良は一瞬困ったような顔をするが博樹が少年の前に膝まづくと優しく声をかける。
「安心しろ。ウルトラマンは、必ず来るよ」
「本当?」
そう聞き返す少年に、「あぁ」と頷くと2人は立ち上がる。
「ドームにみんな避難してます、この子と一緒に避難してください」
「遥はどうするの?」
聖良と違い、遥の正体を知らない理亞がそう遥に問いかける。
「僕たちは、自分にできることをし行く。ドームへ早く、ルビィちゃんが心配してたよ」
そう言って笑いかけると、背を向けて博樹と共に歩み去る。
「信じましょう、遥さんを」
「姉さま…」
呼び止めようとした理亞を、そう言って聖良が制すと。少年を引き連れてドームを目指す。
人気の全くない広場に、遥と博樹は並び立つ。その視線の先には、暗雲立ち込める空がある。
遥は、手にしたエスプレンダーに視線を落とすと光は弱々しく輝いていた。
「光が…地球が弱ってる…」
そう呟く遥を見て、博樹も閉ざしていた口を開く。
「お前が居なければ、オレはここにいることは無かった」
「え?」
「悪い意味じゃない。オレは今、お前とここにいることを、誇りに思っている。感謝している、遥」
そう言って隣の遥の方を見る博樹の表情は、晴れやかなものだった。きっと遥が居なければ、博樹は-アグルは人類を護る為に行動することはなかった。だから今、こうして戦えることが博樹には誇らしかった。
「僕だってそうです…行きましょう!!」
そう返すと、2人は再び前を向く。すると2人の周囲にはどこからともなく光が漂い始める、まるでふたりがともに立ち向かうのを応援するように…
そして二人で右腕を掲げ、それぞれが身に宿した光の巨人の名を叫ぶ。
「ガイアーッ!!」
「アグルーッ!!」
そして空に赤と青。二つの光が舞い上がると、その中からガイアとアグルが現れた。
2人の戦士は頷き合うと、そのまま遥か天高く目指して飛翔する。
ドーム前まで来ると、少年の両親が必死に少年を探しにいこうとしている場面に遭遇するが、少年の姿を確認すると安心したように駆け寄る。
「ありがとうございます」
「いえ、たまたま出会っただけですから」
そう何度も頭を下げる両親に、聖良がそう返す。
「おねーちゃんたちありがと!」
少年もそう礼を言うと、その時ガイアとアグルがその頭上を飛んでいく。
「ガイア、アグルがんばれー!」
そう言って少年はふたりの巨人へ手を振る。
雲のように密集しているイナゴ擬きは、ガイアとアグルが向かってくるのを確認すると群れでこちらへと突っ込んでくる。
「ジュワッ!」
ガイアは両腕からガイアスラッシュを乱射すると、その大軍を殲滅しようとする。だが無限と言って良い相手物量を前に、完全に撃ち落とす事は出来なかった。
ガイアが作った道を、アグルは突っ切って行こうとするが全身にイナゴが組み付いてくる。
全身を虫に這われるような不快感、そして噛み付かれる痛みに耐えられず。アグルは墜落し、地面の上をもがき苦しむ。
そしてガイアの体にも、アグル程ではないが少しづつ虫が付着していく。
地を転がるアグルは、全く振り落とせない虫を吹き飛ばすべく。よろよろと立ち上がると両腕を組み全身にエネルギーを集中させ、それを一気に解き放つ。
そしてその時背後に墜落してきたガイアが同様に苦しむのを見て、『遥!』と声をかけジェスチャーで解決法を伝える。
「ハアァァ……デヤッ!」
同様にして全身に付着した虫を吹き飛ばすと、ガイアとアグルは並び立つ。するとふたりの目の前に、先程の虫が降り注ぎ、一体の怪獣となる。
頭頂部は魚の口のような器官があり、周囲には四つの目。そして顔面にも怪しく光る一つ目。更に背には翼のようなものが付いている不気味な怪獣へと変化する。
「ジュワッ!」
「ハアッ!」
ふたりはその怪獣へと駆け寄ると、二対一なのを活かした連携攻撃で攻めたてる。
背後から抑え込むアグルに対して、ガイアは正面から怪獣を攻め立てる。しかし、怪獣の腹部の甲殻が開き、中から口蓋が出現するとガイアの右わき腹へ噛み付く。
「ウワァァア!」
ガイアはその攻撃に悲痛な叫びをあげるが、脱出するべく口蓋を掴むと怪獣の腹を蹴りつける。しかし口蓋は触手状になっており自在に伸縮するので脱出することが出来ない。
するともがくガイアに夢中になっていた怪獣のその触手をアグルセイバーでアグルが切り落とすと、ガイアを庇うように怪獣との間に入る。
今の攻撃が堪えたのか、怪獣は苦しむような仕草をするのを見て、ガイアはアグルの自信を庇う手を下すと前に出る。
「ハアッ!ウアァァァアアア…デヤッ!」
そして放ったフォトンエッジによって、怪獣を粉砕した。
その様子が、ニュースによって流される事によってパニックになっていた人々も落ち着きを取り戻しウルトラマンへ声援を送る。
この2人だけが、現在人々の希望となれるのだ。
「遥くん…」
「ヒロ…」
その様子を、Aqoursの9人は手放しで喜ぶことが出来ずにいた。
そして今度こそワームホールを閉ざすべく、飛び立とうとするふたりの前に、今度は先程の怪獣が再び立ちはだかる。
先程と違い、左手を鎌へと変化させた怪獣はその腕を使い2人のウルトラマンを攻め立てる。
アグルは正面から鎌を回避して怪獣へ蹴りを放つと、ガイアはその隙に背後に回り込んで怪獣の背へと拳の連打を叩き込む。
しかしその時、もう一体怪獣がガイアの後ろに現れると腹部から口蓋を伸ばしガイアの首に絡みつく。
「ぐわぁ…」
首を絞めつけられ苦しむガイアに気が付いたアグルは、目の前の敵を蹴り倒すと駆け寄って再びその触手部分を切り落とそうとするが、その隙に起き上がったもう一体に背後から同様に絡め取られてしまう。
今度は全身を絡め取られ身動きの取れないふたりに、怪獣は鎌をちらつかせながら歩み寄ってくる。
『遥、行くぞ!』
『あぁ!』
その掛け声によって、同じ向きへと同時にふたりが駆け出したことで2体の怪獣は引っ張られて激突する。
「ジュワァ!」
「デヤッ!」
その隙に拘束から脱出した二人は、それぞれアグルストリームとクァンタムストリームを放ちそれぞれ怪獣を撃破する。
すると今度は目の前に再び虫が降り注ぐと、三体の怪獣となって2人の前に立ちはだかる。
「これではキリがありませんわ…」
その映像を見ていたダイヤが、悔しそうにそう漏らす。
威嚇するように腕を振る怪獣の、膝の関節部が怪しく光るとそこにも目があることが確認できる。そして何かが来ることをさっしたふたりはすぐに構えを取る。
すると怪獣の胴の目、両膝の目の3か所からビームが放たれた。合計9本のビームは、ふたりのウルトラマンを爆炎に包み込む。
2人の戦士は、その攻撃に耐えきれず地に伏すとうめき声をあげ。すぐには立ち上がれない。
さらにこれまでの戦闘で消費したエネルギーとたった今のダメージによって赤くライフゲージが点滅を始める。
「遥…」
「立って…立ち上がるのよ…」
梨子と善子が、その様子をみて涙ながらにそう繰り返す。
「もういい…逃げるずら…逃げてよ遥くん…もういいから!」
肩で息をして、後ずさるガイアとアグル。この物量攻撃に、さすがのウルトラマンも打つ手なしか。
誰しもがもうだめだと思ったその時―!
天が白く輝くと、天から光が三本降り注ぎ。三体の怪獣を跡形もなく吹き飛ばすのだった。
そしてその光が降りてきた場所から、白銀の光を身に纏った巨大な天使が舞い降りる。
そしてその天使が手を差し伸べると、2人のライフゲージは青い光を取り戻す。
「あれは…?」
「天使…?」
天使はその微笑みを崩さぬまま、白目の存在しない真っ黒な瞳で2人のウルトラマンを見つめていた。
実は、今回もサブタイで本家知ってる人は何が起きるか解る回になります。
全部オリジナルで考えれればいいんですけど、やっぱりこの時はこのサブタイが使いたい!って気持ちが勝っちゃうんですよね…
着実に終わりに向かっていくガイアとアグル、そしてAqoursの11人の少年少女の物語―もう暫くお付き合いいただければ幸いです。
それではまた次回、お会いいたしましょう!