セイスノのライブが今日明日は北海道で行われているそうですね、参加される方は楽しんできてください。
物語もいよいよ大詰め、完結するその時まで楽しんで頂ければ幸いです。
アグルとフェイトはお互い見合うと、両者の間に緊張が走る。先に動けば負ける。そんな雰囲気が漂っていた。
しかし先に仕掛けたのはアグルだった。アグルは駆け出すと、様子見は無しだと言わんばかりの勢いで拳の連打を浴びせる。
だがフェイトはそれに動じることなく防いでいく。だが、それでもアグルへの反撃にはなかなか出られず。暫く防戦一方となる。
だがアグルの大振りの一撃を屈んで回避すると、そのまま足を払いにいく。だが、アグルも飛び上がるとそれを回避して距離を取る。
だが距離を取ってしまえばフェイトの得意な間合いとなる。右腕から漆黒に染まった鞭を発生させるとアグルへ振り下ろす。
「ぐっ…」
アグルはそれを素早い身のこなしで回避していく。だがそれにも限界は来る、段々と振るう速度を上げてくる相手に、内心毒づきながらアグルセイバーを展開し鞭を弾き飛ばす。
「ラァアアッ…ゼアッ!!」
そしてセイバーを解除すると右腕を大きく一回転させると、オレンジ色の光輪が生まれる。そしてその輪の中に腕を突っ込み指先に収束させて光線を放つ。
―プロミネンスキャノン―アグルとしては珍しい、ガイアのような高い熱量を持つ技をアグルは使用した。威力は他の技と比較して高いものではないが、発射速度と弾速に優れた技となっていて、ここで牽制として放ったのだ。
だが、やはりたやすくあしらわれてしまうがそれでも良かった。アグルセイバーを長時間維持して相手の攻撃を防いでエネルギーを消耗するより、ここで隙を作って再び距離を詰めようという算段だったのだ。
「デヤァァアア!」
その隙にアグルは飛び上がって二弾蹴りを食らわせる。
「くっ…」
ダメージによってフォイトの身体がよろめく。ようやく与えられたクリーンヒット、この隙をアグルは見逃さなかった。
体勢を立て直すより早く、アグルはフォトンクラッシャーを放つ。
「デリャッ!」
今回は防御が間に合わずフェイトへと渾身の一撃が炸裂する。すると爆発が起こり、周囲は煙に包まれる。
そのことでアグルは一瞬気の緩みができる。そしてその隙を一閃、漆黒の光線がアグルの胸に直撃しその巨体は宙を舞う。
そして周囲が晴れると、フェイトがこちらへ右腕を突き出したまま立っているのが明らかになる。
『流石にゾグを倒したことはあるわね、でもそれじゃ私には届かないわ…』
そう静かに告げるフェイトには、先程のダメージの影響をまるで感じられなかった。アグルもすぐさま立ち上がるが、先のダメージが多少は堪えたようで少し肩を上下させていた。
そんなアグルに対して、フェイトは突き出したままの右手を逆さにするとクイクイっと手を動かしてアグルが普段やるような挑発を行う。
『かかってきなさい…まず貴方から、絶望の底に落としてあげる』
普段と打って変わって自分から攻めねばならず、相手の防御能力の高さにアグルは苦戦を強いられることになってしまった。
再び駆け出して先に仕掛けるアグルだったが、拳も蹴りも捌かれてしまい逆に腹部に蹴りを受けて後退してしまう。
だが、果南達の学校で過ごす最後の日を邪魔させるわけにはいかない。その一心ですぐさまアグルは、アグルスラッシュで牽制しつつ距離を詰めるとフェイトもそれに合わせて回し蹴りを見舞う。
「ラァアアッ…オラァッ!」
だがアグルはそれを飛び上がって躱すとそのまま相手の肩を踏みつけて更に高く飛ぶ。そしてそのまま逆さになった体勢で背中目掛けてリキデイターを放つ。
「ぐっ…あ…」
背中にリキデイターを直撃させたことで、遂にフェイトが膝を付く。この決定的な隙を、アグルは見逃さなかった。技を放った勢いのまま前転をしつつ着地すると、すぐさまフォトンスクリューの発射体勢に入る。
「ウオォォオ……デヤッ!!」
今度こそフェイトの身体を貫くべく放った一撃は、彼女の胸に直撃しその身を削る。
『私は…負けられない…!』
そう言ってフェイトはアグルから受けた攻撃を跳ね飛ばす。そして胸の前に真っ黒な塊を創り上げるとそれを両腕で押し、圧殺波動を放つ。
アグルはバリアーで防ぐも、徐々に押され最後は態勢が崩れたことによってバリアーを維持できずまともにそれを受けて吹き飛ばされる。
そして学校のすぐ近くまで飛ばされ、ようやく学校がその歴史に幕を降ろした余韻に浸っていた人々を現実に呼び戻す。
「う…ぐぉっ………」
アグルは今のダメージからすぐには起き上がれず、遂にライフゲージの明滅が始まる。
「ヒロ!」
果南はアグルーいや、博樹に向かってそう叫ぶ。ずっと気づかない場所で、自分たちの大切な場所を護る為に奮闘していた彼が苦しんでいる姿に、胸を締め付けられる思いで。
「真っ黒い…ウルトラマン……」
「なんて禍々しい…」
初めて目撃したフェイトの姿に、鞠莉とダイヤも思わぞそう感じたままの言葉を述べる。
『もう式は終わったのね…思ったより頑張ったわ』
「どうしてそこまで人を憎むんだ!?君の事は聞いた。でも、彼女達は関係ないはずだ!」
アグルを見下ろしてそう述べるフェイトに、遥は思わずそう叫ぶ。
『関係ない?人類全てが、私にとっては憎む対象なの。貴方には解らない…大切なものすべてが、敵になった私の気持ちが!』
「それは…」
『人間なんて自分がよければそれでいい下等な存在…貴方だって認識したでしょう?どうしてゾグに負けた後、守る対象だった人間から逃げ回ったのか…』
そう言い返す彼女に、遥はそう答えあぐねていると、さらにそうたたみかけてくる。
「遥はそれでも、みんながそうじゃないから…だから戦ってきたの!滅ぼすんじゃなくて…みんなで生きていきたいって!」
そうはっきりと言い返したのは梨子だった。ずっと遥の身を案じて、そして戦う遥を見守る事しかできない事にもどかしさも感じていた彼女が。
「姉さん…」
『そう…その為なら、父親だって手にかける。素敵な正義感ね…やっぱり私達は平行線…言葉じゃ分かり合えないのね』
そんな遥たちの様子に、フェイトは呆れたようにそう言い放つ。遥の父もクラウスも人間でなくなったから倒した。彼女にはそうとしか受け取られなかったのだ。だが遥はそれをわかったうえで、あえてその事へは反論しなかった。
「それでも…それでも僕は、自分の大切なこの場所を護る為に戦う!」
『私に勝てるとでも?私は貴方が恐れる存在…人間であり、ウルトラマンであり…根源的な破滅をもたらす者』
「絶対に僕は負けない…!ここは、僕が初めて自分の意志で…ウルトラマンになった場所だから!!」
ガイアの光を授かった遥が、初めて自分の意志でその光を解き放ったのはここ―浦の星学院だった。そしてここで全ての決着を付けて、大事なものを全部守り切る。
その覚悟で、遥はエスプレンダーをとり出す。その中の光は、遥の意志を尊重するように輝きを増していた。
「遥くん、気を付けてね…」
「大丈夫、この世界は…滅んだりしない!」
そう優しく声をかける花丸に、遥は笑顔でそう宣言する。
この場所には、学校の皆がいる。遥はみんなが自分の背中を見つめる中、真っ直ぐフェイトを見つめたまま真っ直ぐ駆け出し光を解き放つ。
「ガイアーッ!!」
その場にいた全員が、エスプレンダーから放たれた光に思わず目を覆う。そしてその光が晴れた時、アグルとフェイトの間に夕日を背にしてガイアが立ちはだかる。
そしてガイアは駆け出すと銀色の光に包まれると超加速し、一瞬のうちにフェイトの目の前に飛び込むと飛び上がって回し蹴りを放ち相手を吹き飛ばす。
フェイトも地を転がりながらもすぐに立ち上がると、ガイアへ鞭を展開すると振りかざす。するとガイアもガイアスラッシュを放ちそれを牽制する。
「デリャッ!ハァァアアアア……」
その間にすぐさまヴァージョンアップポーズをとり、ガイアはその身を切り札でもあるスプリーム・ヴァージョンへと進化させる。
「ハアッ!」
ファイティングポーズをとるガイアに対して、フェイトはゆったりと構える。するとガイアは駆け出して顔面目掛けて拳を振るう。フェイトは腕でそれを防ぐが、想像より重い一撃に体勢を崩される。以前と違い、ガイアの攻撃には殺意が宿っていた。
今度こそ必ず彼女を倒す。その一心で、ガイアは拳を振るう。ガイアの背後には学校が、そして守りたい人達がいる。フェイトを、シルビアの過去を知った事で彼女へ同情する気持ちも捨てることは出来なかった。
それでも、ガイアは攻撃を辞めなかった。彼女はもう死んでいるんだ。破滅招来体に利用されて、最期の刺客として利用されただけなんだと自分へ言い聞かせて。
フェイトは、そんなガイアの様子を察したのか。以前と違って攻撃を捌くのではなく、回避する選択をとる。そして距離を取ると、再び鞭を振るって格闘の間合いの外からガイアへ攻撃する。
ガイアは不規則に襲い掛かる鞭を側転や前転を駆使して回避するも、右手首に巻き付かれてしまう。
そのまま振り回され、ガイアの身体は宙を舞い地面へと叩き付けられる。
「ぐ……うぉ…」
そのままじわじわと絞め殺すように、抵抗の弱まったガイアを鞭を巧みに操ってダメージを与えていく。
「遥くん……」
そんなガイアの様子を、花丸は泣きそうな顔で見つめるしかできなかった。
「信じよう、ガイアは負けないって」
「そうだよね。遥くんは…ガイアは負けない」
そんな彼女を、ルビィはそう言って励ます。そして、そんな彼女達の気持ちに応じるかのようにガイアは左手で右腕に巻き付いた鞭を掴む。
そして自分の手や腕から光の粒子が漏れ出すが、その痛みに耐えフェイトを投げ飛ばす。だがフェイトもすぐさま技を解除して静かに着地してやりすごす。
そしてアグルに放ったものと同様の圧殺波動を放とうとする。
「ハアアッ!」
「デリャアアッ!!」
だがそれを見てガイアも咄嗟にクァンタムストリームで迎撃する。なんとか相殺する事には成功するも、若干威力負けしておりガイアは態勢を大きく仰け反らせる。そしてこのタイミングでガイアのライフゲージが明滅を始める。
無理もない、幾ら地球怪獣たちの力を得て膨大なエネルギーを得ていたとしても。切り札であるスプリーム・ヴァージョンの維持には、膨大なエネルギーを消費する。
ウルトラマンの力は有限なのだ。このままではいくら善戦しても、やがてこちらのエネルギーが先に尽きる。
『私の勝ちね』
そう言ってフェイトは今度は腕を広げてエネルギーを胸の前に収束させていく。そしてそのエネルギーを両腕に纏わせてから腕を十字に組む。
そしてそこから放たれる先程までとは比較にならない力の奔流がガイアへと殺到する。
「ドワアアア!」
だがその一撃は青き光の奔流に阻まれる。横から放たれた、アグルのアグルストリームによってその一撃は逸らされ無人地帯に着弾すると大爆発が起こる。
アグル最強の一撃をもっても、フェイトの一撃を打ち消すまでは出来ず。逸らす事でガイアへ当たるのを防ぐので精いっぱいだった。
アグルはその隙にガイアの隣に駆け寄ると、ガイアへと手を差し伸べ。ガイアがそれの手を取った事で彼を立たせる。
『行くぞ、オレたち二人なら勝てる』
『うん!』
2人ともライフゲージが明滅を始めているが、まだ負けたわけではない。
同時に駆け出してフェイトへと肉迫すると、まずアグルが相手の腹部に拳を放つ。そして相手の反撃の一撃を屈んで避けると、その背中にガイアが手を付いてフェイトに蹴りを入れる。
前回の対戦とも打って変わり、アグルが攻撃を見切ってその隙をパワーで優るガイアが攻める。
だがそんな戦法も、やがて限界が来る。既に長時間戦闘を行っていたアグルのエネルギーが尽きかけているのだ。
フェイトが鞭を剣に切り替えて斬りかかるも、それをアグルセイバーで防ぐ。暫く互角の切り合いが続くが、エネルギーが限界寸前まで消耗した事でアグルセイバーは折れてしまう。
そしてそのままアグルの胸を三度切り付け、そのままアグルの胸へ漆黒の剣を突き立てるべく切先を向けて鋭い突きを放つ。
だがガイアがすかさず割って入り、その腕を掴むと背負い投げの要領で投げ飛ばす。フェイトは咄嗟に受け身を取れず、背中を勢いよく打ち付けうめき声をあげる。
そして膝を付いて肩を大きく上下させているアグルへ、ガイアは駆け寄る。するとアグルは、右腕をガイアのライフゲージへ翳すとエネルギーを譲渡する。
『どうして…?』
以前ゾーリムと戦った時のように、自身へ力を渡すアグルにそう問いかける。
『もうオレに力は残ってない……だから、後は頼む…ウルトラマンガイア…!』
『…ッ!』
そう告げると、アグルの身体は輪郭を失い。最初からいなかったかのように消滅する。
「ヒロ…」
消えていくアグルを見て、果南はただただ幼馴染の身を案じる。
『青いお兄さんは限界だったみたいね、貴方はあとどれだけ持つかしら?』
そんな様子を、立ち上がった彼女は嘲笑うように告げる。そしてガイアは、アグルが消えたことに動揺を隠せないでいた。
「遥さん、どうか…どうか博樹さんの想いを、受け取って!」
その声に、暫し呆然としていたガイアはハッとしたように声の方を向く。ダイヤはガイアの方を向き、はっきりとそう告げるのだった。
(ダイヤさん…そうだ、まだ終わってない…アグルの想いを継いだんだ……ここで、負けるか!!)
ガイアは―いや、遥はそう自分を鼓舞すると握りしめた右拳を眼前にもってくると力強くそれを振り下ろすと同時に駆け出す。
フェイトは剣を横薙ぎにして、ガイアを切り裂こうとするがそれを屈んで回避するとそのまま足を蹴って転ばせようとする。
だが相手もそれを飛び上がって回避すると、再び両腕で漆黒の光球を創り上げ圧殺波動を放つ。
それをガイアはフォトンクラッシャーで相殺すると、今度はシャイニングブレードを放つ。
だがそれはフェイトに回避されると、急降下キックをガイア目掛けて繰り出してくる。今度はガイアが側転でこれを回避すると、すかさず回し蹴りで反撃に出る。
その一撃が彼女の腹部に炸裂し、思わず後退する。二人がかりでなんとか互角へもっていっていた先程までと違い、今度はガイアが圧し始めていた。
だがフェイトもガイアの攻撃を見切ると、腹部に蹴りを入れてガイアを退ける。フェイトもアグルとの連戦で、ようやくエネルギーの底が見え始めたのか肩で息をしていた。
再びエネルギーを収束し始めた彼女を見て、ガイアも右腕を天に掲げ両腕を大きく回して地球のエネルギーを身に纏う。
「ハァァアアアアア!」
「デヤアアアアアア!」
真っ黒な光と、白銀の光がそれぞれ、フェイトとガイアの周囲に集まっていく。
「これでフィニッシュね……」
鞠莉は静かにそう呟く、これですべてに決着が付く。それは誰が見ても明らかだった。そして学校の皆から少し離れた場所で、博樹もその光景を見守っていた。
「遥…無事でいて……」
梨子は両手を握りしめて、そう祈っていた。そんな梨子の肩を、千歌と曜は優しく持つ。
「大丈夫だよ」
「うん、みんな信じてるもん。遥くんの事」
そう告げると、みんなが見つめる先で光は一転に収束する。そしてお互いにその力を解き放つ。
「ヤアアアッ!」
フェイトが腕を十字に組んで解き放った最強の一撃、
そしてガイアも、アグルの力。そして皆の想いを受け取った一撃。
両者の全身全霊の一撃が激突し、そのエネルギーが拮抗する。
「遥くん、頑張るずらーッ!」
その花丸の叫びが、ガイアに聞こえたかは定かではない。だが、確実にガイアの一撃の出力は上昇し次第にフェイトを圧し始める。
だが、フェイトも負けじと出力を上げる。そうして両者が放った光線は次第に威力を高めていき、辺りは眩い光に包まれ、辺りを真っ白に塗りつぶす。
―そして……
次回、Ver.2〜輝きへ〜完結
最終話また、会おうよいつか/Beat on Dream on