「うーん上がってないなぁ…」
そう言って千歌が見ていたのはスクールアイドルのランキングの出るサイトだ。
このサイトに登録されているスクールアイドルはライブ等の活動を動画として投稿することで人気によってランキング付けされるのだが、現在の順位は4768位、スタートが5000位だったことを考えれば上がってはいるのだが。
「まぁ下がってもないけど…」
そう感想を述べる曜の横で「ライブの評判はいいんですけどね…」とルビィがフォローを入れると、コメントを読んでいた千歌が。
「新加入のふたりもかわいいって」
「そうなんですか!?」
そういうとルビィが嬉しそうに反応したのに対して曜が。
「特に花丸ちゃんの人気がすごいんだよね」
「花丸ちゃん応援してます、花丸ちゃんが踊っているところ早く見たいです、だって」
それにつづいて梨子がコメントを読むと、花丸は目を輝かせて
「おぉぉ…これがパソコン?」
「そこ!?」
自分へのコメントではなくパソコンに興味津々な花丸に思わず曜は立ち上がって反応してしまう。
「もしかして、そこが知識の海につながっているというインターネット?」
「花丸ちゃん、もしかして触ったことないの?」
まるではじめてみるかのような反応をする花丸に対し千歌が問うと、
「マルの家お寺で…電化製品とかあんまりなくて…」
そういって苦笑いを浮かべる花丸。いや、さすがに電気製品はあるだろうと思いはしたが口には出さずにいた。
「触ってみる?」
「いいんですか!?」
そう言われると目を輝かせてパソコンに近寄ると、花丸は一つだけ光っているボタンが気になり…
「ずらっ」
押してしまった、当然そこは電源ボタンなわけで画面は消えてしまう。
「どこを押したの!?」
「いやぁ一つだけ光ってるボタンがあるなぁと思いまして…」
そう言い終わる前に曜と梨子がPCに駆け寄ると「衣装のデータ保存したかな…」とうつぶやいているのを聞くと、泣きそうな顔になり。
「マル、何かいけないことしました…」
「いや、大丈夫大丈夫」
そう言って曜はフォローするが、スリープモードになっていただけだったのでデータ類は問題なかった。
練習着に着替えて屋上へ移動した一同だったが、花丸がパソコンに夢中なのでなかなか始められない。
「おぉ!こんなところに弘法大師空海の情報が…!」
空海の情報について調べているのだが、おおよそ女子高生の調べる内容かは首をかしげるところはあるが。
「こうやれば画面が切り替わるからね」
「すごいずらぁ~」
そうやって使い方を教えていた遥のよこで花丸は目を輝かせていた。
「もう、これから練習だっていうのに…」
そういってしびれを切らした梨子が言うと。
「まぁまぁちょっとくらいいいじゃん」
そういったのは千歌だった。
「それよりランキングどうにかしなくっちゃ」
「年々スクールアイドルは増えてますもんね…」
そう続けると、ルビィがそう言ったのだが、千歌はあちこち景色を指さして。
「しかもこんな場所の地味アンド地味アンド地味なスクールアイドルだし」
「そんなに目立つことって大事なの?」
そういう梨子に対して曜が「人気は大事だよ」というと、千歌は腕を組んで
「う~ん何か目立つことか…」
そう言ってしばらく考えていると梨子がふと思いついた案を言ってくる。
「名前をもっと奇抜なのにしてみるとか?」
そう言われると千歌は不敵な笑みを浮かべると。
「奇抜って…スリーマーメイド?」
「もうそれは忘れてって言ってるでしょ!」
そんな感じでわいわい騒いでいると、ふと花丸の視界に人影が見えた。それはすぐさま校舎の中に戻っとしまったので、それを追いかけて花丸も校舎の中へと入ってしまった。
次の日、遥は学校に行くとずっと空席だった席についている少女がいた。確か、津島善子だったか、花丸に教えてもらった名前を何とか思い出す。
周りには人だかりができていて、クラスのほぼ全員に質問攻めにあっていた。
「津島さん学校来たんだね」
そう花丸にルビイが言うと、花丸は「まるがお願いきいたずら」と得意げに答えた。
「お願い?」と遥が聞くと、「危なくなったら止めて…と」と花丸が答えるが、何が危ないんだろう?と思いながら、善子の様子をみていると。
クラスの女子の一人が、「津島さんって趣味とかないの?」と聞くと「う、占いとか…?」と答えると、占って欲しいという声が上がり始めると、「今占ってあげるね」と鞄をあさり始める。
…のだが、まず自身の黒髪をシニヨンにまとめているのだが、そこに黒い羽根をさしたかと思うと、鞄から魔法陣の書かれた布を取り出し床に敷くとマントをはおりろうそくを取り出すと、「火をつけて」と頼むと、誰がつけてあげたのかわからないが火をつけると
「天界と魔界にはびこるあまねく聖霊。煉獄に落ちたる眷属たちに告げます。ルシファー、アスモデウスの洗礼者堕天使ヨハネと共に…堕天の時が来たのです!!」
そう言って両腕を広げると、クラスメイトはおびえた表情をし花丸は冷めた視線を送っていた。
「どうして止めてくれなかったのよ~!せっかくうまくいってたのにぃ…」
そうスクールアイドル部の部室でわめいているのは彼女…津島善子だった。
正直なんでここにいるんだと思わなくもないが、花丸が止めるのを条件に来ていたのでこんな文句を言っているのか。
「まさかあんなもの持ってきてるとは思わなかったずら…」
そういう花丸を横に状況のわからない梨子は
「いったい何があったの?」
そう聞くが、遥は「僕にも全然…」と答えるとルビィが
「ルビィも最近花丸ちゃんに教えてもらったんですけど、善子ちゃん中学時代はずっと自分を堕天使だと思い込んでて今でもその癖が抜けきってないみたいなんです…」
俗にいう中二病というやつだろうか?彼女の言動を見ると自己紹介の時もこの堕天使が顔を出したんだろう。そう納得していると机の下から出てくるとこちらに背を向けたまま。
「わかってる、そもそもそんなもんいないんだし…」
そう絞り出すような声で言うと。
「だったらなんであんなもの学校に持ってきたの?」
そう梨子が指摘する。あんなものというのは喜子が先ほど占いに使った道具たちだ、そういわれた善子はピクリと反応すると。
「そ、それはぁ…まぁヨハネのアイデンティティみたいなものだし…それがなかったら私が私でいられないっていうか…ハッ!」
そういって何やらポーズをとった後に再びしまったといった感じの表情になる。
「なんか…心が複雑な状態にあるってことは理解したわ…」
そう目を細めて言う梨子の横でルビィが「そうですね」といってノートPCの画面を見せてくると。
「実際ネットで占いやってますし」
そう言って見せてきた画面には何やら黒い翼のついた衣装を着た善子が『またヨハネと堕天しましょう』となにやらポーズを決めてしゃべっている動画が流れていた。
「わーやめて!!」
そう叫ぶとノートPCをたたむ喜子が、花丸に顔を近づけて
「とにかく私は普通の女子高生になりたいの!何とかして~!」
そう涙目になりながら訴えかけてくる。
「かわいい…」
そう漏らした千歌に「え?」と全員の視線が集中する。
「これだ!これだよ!」そう言って身を乗り出すと
「津島善子ちゃんいや、堕天使ヨハネちゃん。スクールアイドルやりませせんか?」
そう言ったのだった。
放課後、ひとまず堕天使風の衣装を作ろうということになったのだが、遥は衣装のことは正直わからないので、用事があるといって抜け出すと淡島へと向かった。
ホテルオハラのある方面へと向かうと、やはりあの青年。湊博樹がいた。
「やっぱち、ここに来ればあなたがいると思いました・
そう言って声をかける遥に気が付くと
「何の用だ?ようやく俺の言ったことが理解できたのか?」
そうかえしてくるが、その目は鋭くこちらをにらんでいた。
「それは無理です、この前の戦闘かなり必死に何かを守っているようでした。もしかしてここにあなたにとって重要な秘密があるんじゃないんですか?」
そう遥が問いかけると。
「そんなものはない、オレはただアグルの聖地を守っただけだ。」
「『アグル』?それがあなたのウルトラマンの名前?」
アグル、それが彼の変身するウルトラマンの名前らしい。つまり彼はこの地でアグルの力を授かったのだろう。
「それにあなたのこと聞きました。かつてアルケミースターズとしてクリシスを開発したメンバーの一人だって、どうしてあなたは辞めたんですか?少なくともその当時は人類の為にと思っていたんじゃないんですか?」
「その時はそうだった…だが今は違う!クリシスは今の地球の状況を予測していた。『根源的な破滅をもたらす者が近い未来地球へ来る』とな」
「それがどうして…?」
「クリシスは答えてくれた。地球を破滅から救う方法を、それが人類の滅亡だ!」
「バカな!そんなことあっていいはずがない!」
博樹の口から明かされた事実を遥は認めることができない。
「ほかに…ほかに方法があるはずだ!」
「あったとして、今から探して間に合うのか?現にもう破滅をもたらす者は地球の外から次々とやってくる。これが確実に地球を救う方法だ!オレはそのためにこの力を手にしたんだ!!」
彼は間違いなく天才だった、だからこそ二年前にそれだけの偉業を成し遂げた。そんな彼でもほかの方法を模索することは叶わなかった、だから今こうして遥と対立している。
でもほんとうにそうなのか?それで本当に地球は救えるのか?遥はどうしても譲らない。
「わかった、お前とはどうやらわかりあうことはできないようだ。だが、もし邪魔をしたら容赦なく叩き潰す」
そういうと彼は去っていった。
すると、
「あれ?遥じゃない?どうしたのこんなとこで」
そう声のする方を向くと、小原鞠莉がいた。
「いえ、ちょっと用事があって来てたんです」
そう遥が答えると、鞠莉は「なるほどと」うなずくが。
「でもこの辺に用事って?今さっき人とトークしてたように見えたけど?
「えぇ…まぁちょっとあって、というか鞠莉先輩は知ってますかね?湊博也さんって人なんですが」
正直彼女のことは得意ではないのだが、もしかしたらと思い聞いてみると。
「知ってるわよ?だって二年前まで一緒の学校だったんだから」
「本当ですか?彼にいったい何があったんですか?」
そう鞠莉に言われ遥はおもわず話に食いついてしまう。
「クリシスって知ってるかしら?」
「えぇ、一応知ってます根源的な破滅をもたらす者から地球を救うには人類を滅ぼすしかないって予測をされたことも」
「そう、なら話は早しわ。そのせいよ、正確には、それを実現できる能力も持っていたから…かしら…」
「能力…?」
そう聞き返すと、鞠莉は真剣な表情で続ける。
「そう、彼は天才だったの。あぁいうものの開発に15歳で関われるくらいには、だからこそ人類を滅ぼす方法も思いつけた…」
「そんな…」
「それからよ、ヒロがそうなったのは」
「でも私たちはそれを見てることしかできなかった…だから…」
そう言いかけた時、突然地響きが起こると、山の中に散乱していた金属生命体の破片が一つに集まり、再びその姿を現す。
「生きていたのか…」
「あれはこの前の…?」
「とにかく逃げましょう!ここじゃ危ない」
そう言って鞠莉の手を引いて走り出すと、鞠莉から「ちょっとストップ」といった声が聞こえるがそんな余裕はない、早く彼女を安全なところに連れて言いて変身しなければ、遥の中にはそれしかなかった。
だが金属生命体はこちらにすぐ気が付き、右腕の大砲をこちらに向ける…。
「危ない!」
そう言ってとっさに鞠莉をかばおうとするが、すぐさま砲弾がこちらへ放たれる。
そのころ、遥の前から去った博樹は、海を見ていた。
「この力は、地球を守るために授かったんだ、だから俺は…」
そう言って、変身の際に腕につけているアイテム『アグレイター』を見つめる。
彼がこの力を手にしたのは、今から二年ほど遡る。それはクリシスを完成させてすぐのことだった。
ダニエルや、ほかのアルケミースターズのメンバーたちと、完成したクリシスのテストを行っていたとき、銅突にクリシスは
【今から約二年後、地球に根源的な破滅をもたらす者が宇宙よりやってくる】そういったものだった。
当初は、まだ発見されていないバグがあったのか。そもそも設計に不備があったのではないか?そう思われていたが、その予測はどうやっても覆ることがなかった。そこで、どうすれば破滅を回避できるのか?その答えを模索する方にシフトしていったのだが、どうしてもその結果は覆せず、ふと博樹は思ってしまった。
『現状の社会を顧みれば、人類こそが地球を滅ぼしてしまうのではないか?』と、その結果クリシスに人類が地球上からいなくなれば、根源的な破滅が回避できるのではないか?そう問いた結果…
それだけが唯一地球を救う方法だという答えが返ってきた。
やはりクリシスは完成していない。博樹以外のメンバーはそう結論付けるが、博樹だけはその結果を信じてしまった。そしてその日突然自分の周りがまばゆい光に包まれたとき、彼は見てしまった。
荒廃した地球、砂漠化し建物は朽ち果ててしまった人間はとてもではないが住めそうにない世界に一人たたずむ青い巨人を。
「これが人類の行きつくはてなのか?」
そう問いかけても巨人は何も答えず、気が付けば自分の部屋に戻ってきていた。そしてPCの画面に『AGUL』とだけ表示されていた…。『アグル』それが巨人の名前なのだろう。
数日が経過したある夜、本当にこのままではさっき見たビジョンの通りなってしまう、ならどうすればいい?海辺で一人考えていた彼は海の中にこの前見たものに似た光を見つける。それを見た彼はその光に惹かれるように海に飛び込んだ。この時、彼はアグルの力を手にしたのだった。
そして、人類を滅ぼさないと地球を救えないそう決意した博樹は、アルケミースターズを辞め、一人で根根源的破滅招来体に備えてきた。
当時をふと思い出していた彼は、金属生命体が復活したことに気が付くと、再び海の中にあの時と同じ光を見つけ、また飛び込んだ。
すると青い光に包まれ、彼は巨人の名を呼ぶ。
「アグルゥウウ!!」
しかし、その砲弾は空中で爆散し、その直後青い巨人―アグルがこちらをかばうように現れた。
「どうして…?」
「ヒロ…」
なぜ自分たちを?そう思った遥にその横で鞠莉が小さくつぶやいた声は聞こえていない。
金属生命体のほうを向いて立ち上がると、アグルは両手を握りしめ金属生命体に殴り掛かる。
だが金属生命体のほうも、前にガイアが戦ったものと同様に、アグルの行動を学習しているのかアグルの攻撃を的確にさばき反撃してくるが、アグルもそれに対応し一進一退の攻防が繰り広げられる。
だが、互いの腕をぶつけ合い拮抗した際に、金属生命体がアグルの姿へと突然変化する。
違いと言えば偽物のほうが目が細く少しピンクがかっていることだろうか?
アグルが突然の事態に動揺すると、この前のように口元を歪ませ笑うと、アグルの顔面に拳を見舞うと、アグルはたまらず後方へのけぞり、それに対し一気にニセモノが攻め立てる。態勢の崩れたアグルの腹部に蹴りを見舞いアグルの身体が吹き飛ぶ。
遥はアグルに加勢しようと思い、鞠莉に「ここにいてください」というと一気に駆け出し、鞠莉の呼びとめる声に振り返ることなく、鞠莉の視界の陰まで移動すると、エスプレンダーを構えるが、こちらに気が付いたアグルが手を突き出しそれを引き留める。
そのすきにこちらへ走ってくるニセモノに気が付くと、アグルは空中に飛び上がりニセモノに渾身のけりを放つと、更に倒れたニセモノを掴んで投げ飛ばす。暫く一方的に攻撃していたが、一瞬の隙をついて距離をとったニセモノはすぐにエネルギーをためアグルが放ったものと同じ光弾を作り出す。
ニセモノはアグルの技も使えるのか…そう思うのもつかの間、それがアグルに放たれ、アグルの身体が爆発に包まれる。
しかしアグルはその攻撃を受けきっていた!偽物はそのことに動揺するが、すぐさま今度は腕を上下に広げ、頭部にエネルギーをため始めた。
それを見たアグルも同様にエネルギーをため始めるがニセモノはすぐにそのエネルギーをアグルに向けて放った、だがアグルはまだための動作のままだった。
このままではアグルに当たる―そのタイミングでアグルもその力を解き放つが、二つの光線はアグルのほぼ目の前でぶつかり、なんとそのままニセモノの方へと押し切ってしまった。
完全に光線を押し返され、アグルの光線を頭部にうけたニセモノはその体を爆散させ今度こそ消滅した。
「まさか、強くなったのか…?」
そうつぶやく遥の前でアグルは光に包まれ、そして消えた。
その日、鞠莉と別れ家に戻った遥だったが、帰り着いたタイミングでなぜか姉が隣の旅館の窓からベランダへ飛び移っている姿が見えたりしたのだがそれはまた別のお話し。
ありがとうございました。
ルビまる加入回は一話だったのにヨハネには二話使いますごめんなさい…
それにアグルやっと名前が出てきましたね、本当はパワーアップした今回の描写はもっと先の展開でやるべきだったかなとも思いましたが、さきの予定的にここらでやっておくのがベストだと判断しました。
リアルの都合でこの先更新ペースが落ちるとは思いますが、楽しみにしていていただけると幸いです。
それではまた次回で