ラブライブ!サンシャイン!!〜大地と海の巨人〜   作:カズオ

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お待たせ致しました。
予定より話数使ってて頭を抱えています、そしてまだウルトラマンは出ませんがよろしくお願いいたします。


Ⅳ自分を作ってくれたもの

「鞠莉、結婚するの」

 

対した事でもないように告げる果南の言葉に、驚愕する一同は鞠莉に詰め寄る。

 

「け…結婚!?」

 

「いつの間に?」

 

「誰と誰と誰と誰と!?」

 

そう鞠莉に詰め寄る曜と花丸に梨子だったが、鞠莉はそれを手で制する。

 

「しないよ。果南、ふざけないで」

 

そう言って鞠莉は抗議するように果南の方を振り返るが、彼女はソファに座ったまま落ち着いた様子だった。

 

「でも、実際このままだったらそうなるんでしょ?」

 

「だから、そうならないようにしてるんじゃない」

 

そう言い放つ果南に鞠莉はそう言い返すが、話が見えてこない。

 

「つまり…どういう事なんです?」

 

そう言って遥はダイヤの方を見る。この場合、一番適切に説明してくれそうなのは彼女だったから。

 

「つまり縁談の話がある。ということですわ」

 

「それも相手は一度もあった事が無いような人」

 

そう答えるダイヤに、鞠莉は不機嫌そうに補足する。確かにそれは嫌だな、と全員が納得する反面なぜそうなるのかという疑問がわく。すると果南がティーカップを皿に音を立てて下すと、不機嫌そうにこう言い放った。

 

「鞠莉の自由を奪いたいから」

 

その一言に「え?」と一同は固まるが、その事についてダイヤも口を開いた。

 

「鞠莉さんのお母様は、昔から私達の事をあまりよく思っていないのですわ」

 

「それまでは言う事を聞いていた鞠莉が、わたし達と知り合ってからはどんどん勝手に行動するようになって」

 

「しまいには勝手に浦の星に戻って、理事長に就任して。…スクールアイドルに対しても、あまりいい印象は持っていないのかも」

 

そうふたりから説明されるが、それでもあまり聞いていて納得できるものではなかった。そしてこの卒業旅行も、自由に行動することを認めるまで戻らないという家出のような状況らしい。

 

「まさかここまで必死に追いかけてくるとは思わなかったけど」

 

そう言って果南は頭の後ろで手を組んでやれやれといった様子だった。

 

「ヒロが結婚してくれれば、こんなことしなくてよかったのにな~」

 

「勘弁してくれ…そもそもオレじゃ納得しないだろお前の親は」

 

かつて博樹のやったことのせいで鞠莉が怪我を負った事は両親も知っている。そんな相手と結婚すると言っても絶対に認めないだろう。

 

そう言って博樹はやれやれといった様子で立ち上がると、自室へ戻ろうとする。

 

「じゃあ遥?」

 

「えっ?僕ですか?」

 

「お願い、ママが納得するまでふりで良いから…!」

 

ならばと鞠莉は矛先を遥かに変えるが、遥はそう言って動揺する。

 

「争い事はやめましょう。みな、心穏やかに」

 

なんてやっていると、そんな声がバルコニーから聞こえてくるので外へ出ると、手すりの上に善子が立っていた。

 

「何やってるずら~?」

 

「危ないよ~」

 

そう花丸と遥が注意するが、彼女には届いていないようだった。

 

「それがこの、天使ヨハネのねが…いいぃぃぃ…!?」

 

やはりというかなんというか、善子は足を滑らせて転落してしまう。そんな彼女の悲鳴を聞いて全員バルコニーへと出てくる。

 

「大丈夫!?」

 

下を見ると、善子は幸い木に引っかかって枝で軽く擦った程度で済んでいる様子だった。こういうところだけ運がいいのかなんなのやら…

 

「ほんと堕天使ね」

 

「何上手い事言ってんのよ、助けなさいよ~!」

 

そう言ってからかう梨子に、善子はそう叫ぶ。自分から危険なことをしておいてと思いもするが、そのままにしておくのは可哀想だ。

 

「まったく世話が焼ける…」

 

そう言いながらも、博樹が渋々善子を木から降ろす。

 

「やっと元に戻ったずら」

 

すっかり普段の様子にもどる善子に、花丸がそうからかうと笑いが起こる。

 

「堕天使降臨!」

 

幸い服が破れたりは無かったが、色んな所に枝やら葉っぱやらをくっつけたまんまの善子はそう言って普段通りのポーズを取る。

 

「ていうか、元がこれっていうのがそもそも問題だけど…」

 

「お黙りなさい!リトルデーモンリリーよ!」

 

「リリー禁止!」

 

呆れた様子の梨子とそんなやりとりをする善子に、博樹が近寄って一言だけ告げる。

 

「次やったら助けないからな」

 

「はい…」

 

そうあまり接した事のない博樹にすごまれて善子はそう短く答える。

 

「ときかく、これからどうするか。千歌たちも巻き込んじゃったから、ちゃんと考えないと」

 

「そうですわね」

 

そんな様子をしり目に、果南とダイヤがそう話していると。「バタン!」と大きな音と共に扉を開け放して何者かが入ってくる。

 

「マ…ママ!」

 

その人物とは鞠莉の母親だった。ここまで早く居場所を特定されるとは思ってもいなかったので場に緊張が走る。

 

「こんな所で隠れてるなんて、またハグゥの入れ知恵デスカ?」

 

「違うわ!私が考えたの。ママがしつこいから…」

 

他の人間には目もくれず、鞠莉へと歩み寄ってくる母へと鞠莉はそう言い放つ。

 

「しつこくしてこなかったから、こうなったのです。小学校の頃、家から飛び出した時も。学校を救う為に浦の星へ戻った事も、パパに言われてぐっと堪えてきました。しかし、その結果がこれデス!」

 

「これって…」

 

「わからないのですか?何一ついいことは無かったではありませんか。学校は廃校になり、鞠莉は海外での卒業資格を貰えなかったのですよ。それにそこの小僧のせいで大けがまで…」

 

そう言い放つ鞠莉の母に、一同は目を逸らす。そして鞠莉の母は一瞬だけ博樹を睨みつける。特に博樹はその事に対してかなり責任を感じているので、その視線すらもぐっと耐える。

 

「まって!でもスクールアイドルは全うした。みんなと一緒にラブライブは優勝したわ!」

 

「それが?」

 

そう冷たく返すと、Aqoursのみんなの視線が冷たいものへと変わり鞠莉の母へと向けられるが彼女はお構いなく続ける。

 

「一体、スクールアイドルというのをやって一体何の得があったのです?くだらない」

 

「くだらない…?」

 

その一言に、千歌が食って掛かろうとするがすぐさまダイヤがそれを引き留める。

 

「だから、わたし達が鞠莉を外の世界に連れ出したの」

 

「シャラップ!とにかく、鞠莉の行動は私が―」

 

そう果南が告げる、ダイヤと共に鞠莉の両隣に立つが、母はそう遮ると鞠莉の手を引いて連れ戻そうとする。

 

「くだらなくなんかない!もしスクールアイドルが素晴らしいものだって証明することができたら、わたしの好きにさせてくれる?」

 

それを鞠莉はさらに遮ると、ダイヤと果南が鞠莉の腕を引く。そんな様子に、すこしだけ母も驚いた様子を見せるがすぐにその表情を引き締める。

 

「ママの前でスクールアイドルが人を感動させることが出来るって証明することができたら…私の自由にさせてくれる?」

 

「縁談なんてやめて」

 

「私達と自由に会う事を認めて頂けますか?」

 

そう鞠莉に果南、ダイヤが訴えかけると、残りの6人も彼女達の後ろに立ち、真剣な眼差しを鞠莉の母親へと向ける。

 

「いいでしょう。ただし、ダメだったら私の言う事をきいてもらいます!」

 

そう言って鞠莉の母は鞠莉の手を離すと、そのままリビングを出て帰って行った。

 

「さて、ひとまずやり過ごしたがどうする気だ?」

 

「当然、ライブをやるわ」

 

あえて試すようにそう問いかける博樹に、鞠莉はそう宣言する。

 

「まずは場所を決めるところからになりますけどね」

 

そうダイヤが補足する。やるとしても、なるべく人目に付くところでやる必要がある。だからまずはその場所を選定するところから入らなければならない。

 

「ヒロもこない?」

 

「…いや、オレはやることがあるからやめておく」

 

「そっか…」

 

果南がそう言って誘うが博樹はそれを断る。

 

「博樹さん…」

 

「遥、後で話がある」

 

そんな博樹に何か言いたげだった遥に、博樹はそう告げると遥はそれに無言で頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボンジョルノ!」

 

「こんばんは。はボナ・セーラだよ」

 

ビデオカメラに向かってそう敬礼する曜に、カメラを構えていた月がそう指摘する。

 

翌日、一日かけてローマを回りライブを行う場所の選定を行っていたAqoursの面々はレストランで夕食を摂っていた。

 

「オッティモずら」

 

そう言って目の前のステーキをおいしそうに頬張る花丸と向かい合って座っていた善子は、彼女のそんな食べている料理の隣で積み重ねられた空になった皿を見て眉を顰める。

 

「一体どうなってんの?こんなに食べてるのに全く変化ない…人なのか?」

 

「このラザニアもおいしいずらよ~」

 

そんな善子に対して花丸はラザニアをスプーンで掬って善子に差し出す。

 

「うまっ!」

 

一瞬迷う素振りを見せたが、結局誘惑には勝てずそれを口にした善子はそう言ってほほを抑える。

 

「遥くんも食べるずら?」

 

「え?いやいいよ。なんかこうしてるの久しぶりだなって…ほら、東京行ってたし昨日も結局ドタバタしてたじゃん?」

 

そんなやりとりを笑ってみていた遥に、花丸がそう聞いてきたので遥は首を振ってそう答える。こんな時間がずっと続けばいい。今までずっとそう思って戦ってきた。その戦いが終わってまたこうしていられることが嬉しいのだ。

 

「なんか…懐かしいずらね」

 

そんなやりとりをして少ししみじみとした表情になるが、すぐにダイヤが思わず大声を出したことで遮られる。

 

 

 

「何言ってるんですの、貴方が言い出したんですよ?ライブをしてスクールアイドルの素晴らしさをお母様に見せると」

 

「わーかってるわかってる」

 

そう言って噛み付くダイヤに、鞠莉がその隣でうっとおしそうに手を振って見せる。どうやらどこでライブをするか今決めたいようだった。

 

「でも、どこもきれいだし。人も集まってるし、ステージとして歌えれば結構盛り上がってくれそうだけど」

 

「そうね。泉もきれいだったし、階段も素敵だし」

 

そう告げる果南に、梨子もそう同意する。

 

「ならコロッセオとかは?」

 

「ビデオカメラならボクに任せてよ!」

 

「それいい!」

 

そう提案する曜と月に、千歌がそう返す。これで反対意見が出なければそれで決定、といった空気が場に流れた時に花丸が持っていたナイフとフォークを置いて待ったをかける。

 

「ちょっと、聞いてほしい事があるずら」

 

「私達一年生でも話し合ってみたいんだけど」

 

そう善子も続く。遥はそんな2人の様子を見守っていると、今度はルビィが立ち上がって上級生に本心を告げる。

 

「今回のライブの場所を、ルビィ達に決めさせてほしい!今までは千歌ちゃんやお姉ちゃん達に頼ってばっかりだったから…だから、このライブは任せて欲しいの」

 

上級生たちは、そんな一年生の気持ちを尊重してくれた。イタリアで行うライブの場所は一年生が決める。それでこの場はお開きとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで?どこにしようか?」

 

翌日、一年生で集まってそう遥が切り出すと「ふっふっふ…」と善子がいつも通り目元でピースサインを作る。

 

「このヨハネアイでッ!」

 

「実はもう、場所決めてるんだ!」

 

そんな善子を遮って、ルビィがそう告げるとある場所を提案する。

 

「「おぉ~」」

 

そんなルビィの提案した場所に、一同は感嘆の声を上げる。

 

そしてその場所でライブを行う事となった。

 

その場所とはスペイン広場。最終的にそこで決定になった理由は、なんとなく沼津の海岸にある石階段に似ていたからだった。

 

そのスペイン広場の石階段をステージとして再び9人揃った少女たちは歌った。歌詞は当然ほとんど日本語で、現地の人々に歌詞の意図が伝わったかは定かではない。だがそれでも笑顔で踊る少女たちに心惹かれるものがあったのか、その場にいた人々はそんな少女たちの姿に見入っていた。

 

―Hop? Stop? Nonstop!―

 

軽快なリズムに合わせて踊る、見ている方も楽しくなれるような曲だ。歌詞が伝わらなくても、そんな雰囲気は伝わっているのだろう。

 

音楽は世界共通とはまさにこのような事を指しているのだろう。ほぼゲリラライブとなったが、通りがかった人や近くで休憩していた人、様々な人がパフォーマンスを終えた彼女達に拍手を送る。

 

「鞠莉」

 

そんな彼女達の前に、鞠莉の母が歩み寄ってくる。

 

「私がここまでみんなと歩んできたことは、全て私の一部なの。私自身なの」

 

鞠莉は自身の母の眼を見てはっきりと告げる。

 

「パパやママが私を育ててくれたように、Aqoursやみんなが私を育てたの。何一つ手放す事なんてできない、それが今の私なの」

 

今までの出来事全てが、今の鞠莉を創り上げた大事なものだから。それは何か一つでも欠けてしまっては自分はきっとここまで成長することはできなかったから。だから、みんな大事なんだと。そう鞠莉は母へと伝えた。

 

すると鞠莉の母はふっと笑うと、そのまま鞠莉達の横を通り過ぎそのまま歩み去ってしまう。

 

「どうなったの?」

 

「さぁ?」

 

そう問いかけてくる曜に、鞠莉はそう短く答える。するとふと目の前に一枚の花弁が舞い降り、鞠莉はそれを両手を添えて受け止める。

 

「でも、わかってくれたんだと思う」

 

だから何も言わなかったのはきっと、鞠莉がこの先も果南やダイヤと居る事にも結婚を断る事も認めてくれる。そう言う意味での沈黙だったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「博樹さん…」

 

時間は数日戻り、フィレンツェの博樹の家で遥は博樹とある話をしていた。

 

「ゾンネルが現れた事だろ?」

 

博樹をまっすぐみつめる遥に、博樹は言わなくても何の話がしたいかは言わずとも解るといった様子だった。遥はそう言い当てられた事に、苦笑いしつつも真っ直ぐ頷く。

 

「やっぱり博樹さんも知ってたんですね…。僕はやっぱり戦う以外の方法で解決させたいんです」

 

「遥、解ってると思うが言うぞ?オレ達はもうウルトラマンじゃない、ただの一般人だ。自分でどうこうできるなんて思うな」

 

博樹は無情にも、遥にそう言い放つ。だが、博樹の言っていることは間違っていないのだ。今の遥にも博樹にも、単身で怪獣を同行できる術は持っていないのだから。

 

「…わかってます。僕たちはもうウルトラマンにはなれない、得に僕はただの学生です。でもやっぱり、一緒に地球に生きる命なんだからって思うと、やるせないですよ…」

 

解っている、頭では理解できているのだ。だが心の中で何かが違うと叫んでいる。そんな感覚を覚える遥は、俯きながらそう答える。

 

「だがやつらがまた現れたのには何か意味があるはずだ。オレはそれを調べてみる」

 

「博樹さん…」

 

「オレだって排除すればいいなんて思っていない。だが、オレ達にできる事なんてほんの少しだ。それだけは忘れるな」

 

そう再三念を押して博樹は部屋を出ていく。

 

「オレは一緒には行けないが、果南達の事は頼むぞ」

 

最後にそう付け足して。

 

「もちろん、僕はAqoursのマネージャーですから」

 

そう返す遥に一度だけ振り返ると、その表情には笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、G.U.A.R.D.は海底から奇妙な通信をキャッチしていた。

 

海溝8000mから送られてくるそれは、知的生命体の言語であると言う事がG.U.A.R.D.の科学顧問によって結論付けらるのだが、この時の遥と博樹がそれを知ることは無かった。

 

そしてその通信が、地球へ迫る新たな危機が迫っていることへの警告であることをまだ人類は知る由もなかった。




いかがでしたでしょうか?
実は1話冒頭で出たゾンネル出現のお話、アレも結構今後重要となりますのであのシーンの存在だけでも覚えていていただければ幸いです。
それではまた次回で
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