そろそろウルトラサイドも本格的に進んでいきますよ(サンシャインサイド終わりそうとか言ってはいけない)
翌朝、遥と月は前日までの打ち合わせ通りライブの準備の打ち合わせを行っていた通りに準備に取り掛かっていく
「本当にいいんですか?反対されてるって…」
作業の傍ら、遥は月にそう問いかける。
「いいんだよ。だって、こんな機会めったにないよ?」
そう言って月は楽しそうに笑う。そのとき遥は思った、こういう人だから浦の星の生徒、特にAqoursに協力してくれているんだと。
「ありがとうございます」
「お礼を言うのはボクの方だよ」
「え?」
不意にそう告げられ思わず遥はキョトンとした表情をする。
「今までずっとボク達を守ってくれたのは遥くんなんだよ。遥くんがいなかったら、きっと今こうしていられなかったと思うし」
月のありがとうとは、遥がガイアとして戦ってきたことへのものだった。
「そんな…僕は、自分にできることをしてきただけです」
「それはボクも一緒だよ。これが今ボクにできる事だよ」
そう言って遠慮するように視線を逸らす遥に、月はそう言ってほほ笑む。
「今できること…か」
そう呟いて、胸ポケットにしまっているエスプレンダーをポケットの上からなぞる。自分に今できることは、戦う事じゃない。
力を失った時は、その事実が嬉しかったはずなのに今の社会情勢を考えると悔しさを感じずにいられなかった。
再び現れた地球怪獣が攻撃されるのを見ていることしかできない。今の遥に出来ることは、怪獣を救う事ではないのだから。
―よかったら、見て行ってくれませんか?
聖良にそう告げられた博樹は、彼女に指定された場所へと向かう。傷はまだ痛むが、理亞が買ってきてくれた痛み止めのお陰で歩くだけなら支障をきたさない程度には回復できた。
姉である聖良の大切なものを、自分が壊してしまった。自分の失敗のせいで敗退した地区予選の後、姉が見せた涙が脳裏に焼き付いて離れない。
博樹に言われた言葉が、少しだけ焦る気持ちを軽くしてくれはしても、やはり後悔とまだ新しいスタートを切れていないことへの焦りはなくならない。
いつもランニングのゴール地点にしている公会堂前で、上がった息を整えているとそこには高校の制服に身を包んだ聖良がこちらにスマホのカメラを向けて立っていた。
「姉さま、その恰好…?」
だが笑みを浮かべたままこちらにカメラを向ける姉は何も答えない。するとスマホから聞きなれない声が響く。
『これよりラブライブ決勝、延長戦を行います!』
「え?」
今何と言った?突然の事態に思わず固まってしまうがそんな彼女の様子もお構いなく、ビデオ通話の相手は言葉を続ける。
『それでは、決勝に残った二組を紹介しましょう。まずは浦の星から現れた超新星!初の決勝進出ながら、実力はトップクラス!スクールアイドルAqours!』
『おー!!』
なんともノリノリな進行の後、名を呼ばれた少女たちはそう小さいカメラに顔を近づけて声を上げる。間違いなく、Aqoursの9人だった。
『そしてもう一組は北の大地が生んだスーパースター!Saint Snow!!』
一体何が起きているのか理解が追いつかない理亞に、聖良は告げる。
「今から私達だけの、ラブライブの決勝を行います」
そう言って聖良は理亞へ、一着の衣装を手渡す。
「もし、決勝の舞台に立つことが出来たら。この衣装とダンスと曲だって、決めてましたね」
その衣装を受け取ると、「姉さま…」と震える声で続く言葉を探す理亞に、聖良は語り掛ける。
「もしAqoursと競う事になったら、決勝のステージに立つことが出来たら。あなたに、伝えようと思っていた」
その言葉で、理亞は目頭が熱くなる。でも、そのもしは来なかった。自分が壊してしまったから。
「姉さま…」
「泣いてる場合じゃないですよ」
思わず姉の胸に飛び込んで涙ぐむ妹に、姉はそう優しく声をかける。
『一緒に進もう。理亞ちゃん』
すると不意に姉のスマホから聞こえてくる友の声にはっとする。
『甘えてちゃだめだよ、理亞ちゃんに花丸ちゃん、善子ちゃんに遥くんと出会えたから。ルビィも頑張ってこれたんだよ』
そう告げる声はとても芯が通っていて、初めて会った頃のような気弱な印象は感じられない。
『ラブライブは、遊びじゃない!』
初めて会った時に、最下位だったのにヘラヘラしているように見えてそれが気に食わなくて思わず言ってしまった言葉。それを今度は彼女に告げられ思わずはっとする。そして姉と向き合って思わず笑ってしまった。
だがすぐに表情を真剣なものに姉妹は変える。
「歌いましょう」
「うん!」
「2人でこのステージで、Aqoursと全力で!」
もうその表情に、迷いも悲しみの無かった。
―Believe again-
決勝で披露されるハズだった曲。そしてこの曲には、姉から妹へのメッセージが込められていたのだ。
あの日以来、一度も姉と練習することは無かったがダンスも歌も身体が覚えている。それに、姉がどう動くかも手に取るように解る。
姉と果たせなかったラブライブ優勝に固執していた余り忘れていた。スクールアイドルの楽しさを、この時の理亞は感じ取っていた。
「今のこの瞬間は、決して消えません」
パフォーマンスを終え、聖良は理亞へと向き直るとそう告げる。
「Saint Snowは、私と理亞のこの想いはずっと残っていく。ずっと理亞の心に残っている。どんなに変わっても、それは変わらず残ってく。だから追いかける必要なんてない、それが伝えたかった事」
「姉さま…」
抱き合う姉妹の頬には、涙が伝っていた。
「やっぱり楽しいな~スクールアイドル!」
「ですが、今度こそこれで最後ですわよ」
「だから全力で伝えよう、わたし達の想いを!」
鞠莉、ダイヤそして果南の3人を含めた9人のAqoursも今度こそ最後のライブが、今始まる。函館から沼津へバトンはいま受け渡された。
―Brightest Melody―
沼津駅付近のとある施設の屋上庭園を特別に貸してもらって、朝日をバックに少女たちは歌い踊る。
少女たちが見つけた。新しい輝きへの一歩となる曲。
「凄い…」
イタリアや、発表会の時とは違うステージに月はそう一言だけ漏らす。
「スクールアイドルって本当にすごい!このラブライブを観てるのがボクたちだけなんて、そんなの勿体無いよ!」
そう言って彼女はスマホを何やら操作しだす。
「千歌ちゃん?」
朝焼けを見つめる千歌に、梨子がそう声をかける。すると彼女は、晴れやかな表情で告げた。
「わかった。わたし達の新しいAqoursが…!」
このステージを経て、千歌にはこれから自分達が進んでいく道が見えた。そう確信した。
だがそんな時、警報が朝の沼津に鳴り響く。
「この音まさか…」
遥はこの警報を聞いて、すぐに背中に冷たいものが走った。
「みんな逃げて!」
考えるより先にそう叫んでいた。空はたちまち暗雲に包まれていく。
「もしかして…怪獣!?」
そう声にしてから、顔を青ざめる皆を見て咄嗟にエスプレンダーをとり出すがそこに光は無い。
「くそッ!」
そう毒づいてから、遥は急いで建物から全員を逃がそうとするのだった。
一方その少し前、博樹はSaint Snowのライブを唯一その場で見ていた。そのはずだった。
「綺麗…これは貴方が守りたかったもの?」
「さぁ…どうだろうな?」
気がつけば、先日港で見た少女が博樹の隣に立っていた。
「そんなに簡単に、人が変われるはずがない。たとえ、地球から光を授かったあなたでも」
「そうかもな…だが、一つだけ大きな違いがある。人が努力することを辞めない限り、この地球は滅びない」
突如入ってきてそう告げる少女に、博樹はそう答える。彼女に対して、常人とは違う何かを感じた彼は、少女に詮索する事よりも受け答えすることを選んだのだ。
「人間に未来の事なんか解らない、だからそれは今ここに生きているオレ達人間の決意だ」
「同じ星に生きる命に武器を向けることが、決意?」
地球を滅ぼさないために努力するという決意の結果、地球怪獣に武器を向けるのか?そう問い返す少女の目を博樹は真っ直ぐ見つめる。
「人の命が奪われそうなとき、その命を護る為に武器を向ける。だがオレは違う方法があると―」
「信じて、いる?」
「信じられれば、もっと楽になれるのにな…」
そう視線を逸らして答える博樹に、少女はさらに近寄ってくる。
「お知合いですか…?」
博樹が観ているのは解っていた聖良はこちらに歩み寄ると、見知らぬ少女と共にいたのでおずおずとそう問いかける。しかし博樹は首を横に振ると再び少女へと視線を向ける。
「アンタは人間じゃない、どこから来た?」
だがその問いに答えることなく、博樹の胸に手を翳す。
「な、なにを…」
一瞬恐怖を感じ、咄嗟にそう言いかけるが少女の行動の方が速かった。
すると少女の手から緑色の優しい光が放たれ、博樹は傷の痛みを一切感じなくなった。
「治したのか…?」
そう言って包帯を外すと、傷の跡は完全に消滅していた。それを見て、先程包帯を交換してくれた聖良が息を呑む。
「すごい…」
「あなたは一体…」
そう問いかける聖良に、やはり少女はほほ笑むだけで何も答えない。
「どこから来た?名前は?」
「名前?そういう個体を示すものを、わたし達は持たない」
何処から来たのか?何者なのか?その問いには全く答えようとしない少女は、自分達の種族は名前を持たないとだけ答える。
だが急に何かを感じ取ったのか立ち上がると、恐怖に顔を歪める。
「どうした?」
「…来る!」
そう告げると少女は駆け出す。「ちょっと…」と理亞と聖良も博樹と共に後を追うと、彼女は博樹が倒れていた港で立ち止まっていた。
「どうしたんだ?」
そう問いかけると、少女は泣きそうな顔でこちらへと振り返る。
「リナールの力を、アレが全て奪っていく。遥か昔に来て、ずっと眠っていた…」
「何が蘇るというんだ?」
「根源的な悪意…!」
リナールというのは、この少女がいた場所の事なのだろう。そしてそこで蘇ろうとしているものを、少女が震える声で告げると博樹は眉を顰める。
「やめて!リナールの皆が滅んで…」
そうすると、朝日が照らしていた空が突然暗くなり以前見たような海面のようなものが映し出され、その空をトビウオのような生命体が飛び交う。
「これは…?」
「何が起きてるの…?」
聖良と理亞は、その光景に驚くが、一度見ている博樹は落ち着いた様子で少女に近寄る。そして彼女の方に手を添え優しく語り掛ける。
「安心しろ、ここは安全だ。ここはリナールの世界じゃない」
そう告げると、少女は博樹の胸に身体を預けると体の震えが止まる。そうすると、空は再び朝焼けに包まれる。
だがその時、背後からけたたましいサイレンの音と共にG.U.A.R.Dの車両が入り込んで来ると、銃で武装した隊員たちが出てくると博樹へとその銃口を向ける。
「G.U.A.R.Dアメリカだ。ヒロキミナト、そうだね?」
アメリカから、博樹を追ってきた。そうスーツのリーダー格と思わしき男性がそう告げる。「一体なぜ…」博樹に銃を向けていることに、聖良がそう言いかけるがそれを博樹は手で制す。
「キミがしてきたこと、個人的には拍手したい気分だ。青いウルトラマンが復活した時の事は、忘れられない」
そう告げるが、背後の部下たちの銃口は博樹に向けられたままだった。
「キミが地球の怪獣を救おうとしているのも、私は間違ってるとは思わない。だが私はG.U.A.R.Dの隊員だ。その子らを人質にするつもりはないんだろ?まず彼女らをこっちに渡してくれないか?」
そう言って博樹の背後にいる少女や聖良、理亞を指さす。
だがその時だった。突然空が暗雲に包まれ、ゴゴゴ…と周囲に地響きのような音が響き渡る。
「下がってろ」
そう言って博樹は聖良と理亞の前に立ち、海から彼女らを遠ざけるが少女は逆にその前に行こうとする。そしてその音の正体が、海の底から飛び出してきた!
怪獣から飛び出してくる20m近いトビウオのような生物は、真っ直ぐ空へと飛び去って行き暗雲の中へと消えていくが、その数は計り知れない。
そんな脅威を、博樹は険しい表情で睨みつける。すると少女は振り返ると、博樹が倒れていた場所を見つめる。そして博樹もそちらへと視線を向けると思わず息を呑んだ。
そこにはアグレイターが浮かんでいた。そして少女の身体が輝くと、緑色の光の粒子を放ちアグレイターへと注がれていく。
少女から放たれた光の粒子が、全てアグレイターへと注ぎこまれると。アグレイターは以前のような青き光を宿す。
『わたし達には力がない。でも、貴方達にはそれがある。自分に出来ることを、して…』
光を放ちながらそう告げると、少女は光の粒子となって海へと帰って行く。そしてアグレイターは、主に寄り添うように博樹の手に収まる。
「アグレイターに、光が…」
そしてそれと時を同じくして、太平洋からワームホールが開かれる。宇宙からではなく、海の底から新たな脅威が迫ってきたのだ。
そしてすぐさまG.U.A.R.Dの戦闘機部隊が飛び立ち、空の怪物へと攻撃を仕掛けていく。背後では銃を向けていた隊員たちは英語で言葉を交わすと車へと乗りこんでいく。
「私も、自分に出来ることを探すよ」
そういって男性も部下の方へと歩み去っていく。
「君達は避難しろ。ライブ、良かったよ」
そう言って博樹は聖良と理亞にほほ笑む。
「解りました、どうか気を付けて、理亞行きましょう」
そう頷いて聖良は妹の手を引くが、理亞は何か言いたげな表情を浮かべていた。
「あの…」
「どうした?」
「また…またライブ見に来て」
そう告げる理亞に、博樹は一瞬驚いたような顔を浮かべるがすぐにまた笑みを浮かべる。
「わかった」
そう短く告げると、鹿角姉妹は街の方へと駆けていく。それを見送ると博樹はまた海へと向き直る。
「地球の怪獣は、これを恐れていたのか…」
ゾンネルをはじめとした地球怪獣たちは、海底から迫りくる脅威に怯えていたのだ。だから地球の異常を伝えるために、再び姿を現したのに人類はそれを攻撃した。
「クソッ!つくづく人間はおろかだぜ…それでも地球は、オレに光を預けるというのかッ!?」
環境も破壊し、自ら地球を滅ぼす危険性を孕んだ生き物である人類を、それでも地球は受け入れるのか。その問いに答えるかのようにアグレイターの翼が開く。
それを見た博樹は、意を決してその輝きを前に突き出し。再び宿した巨人の名を叫ぶ。
「アグルーッ!!」
青い光を身に纏い、ウルトラマンアグルV2は暗雲立ち込める空へと飛翔した。
遂にアグル復活!
果たしてガイアは蘇るのか?そして海底より目覚めしものは?
また次回お会いしましょう