亀更新な作者ですが、今回はちゃんと更新出来ている!!
頑張ります。
早速、お気に入り登録をしてくれた方、ありがとうございます。今後とも、よろしくお願いします。
さて、今回は、並行世界でのクリス達の居場所づくりのようなものです。
では、お楽しみください。
頸動脈を捉えている刃は、微動だにしない。
答えを言わねば、殺すことも厭わない。そんな雰囲気を隠そうともしない。
ゆっくりと両手を挙げて敵意のないこと、武器を所持していないことを明示する。
「今この場で答えられないというならば、ここで首を落としても良いのだぞ」
だが、そんな地味な努力は受け入れられず、その声色には一切の容赦は感じられない。かと言って、焦りも感じられない。冷静に、冷徹に、刀の持ち主は尋問する。
「私たちは、敵じゃない。その証明に、さっきカルマノイズを倒してみせただろうが」
ゆっくりと刺激しないように返答をする。言葉を間違えれば、斬られなかねない。
「カルマノイズ・・・黒いノイズのことか。貴様、どこまであれのことを知っている?」
少しだけ、警戒が緩んだのが声色の変化で分かる。ただし、依然として刃は元の位置のままだ。
「あれは、普通のノイズとは違う。無限に人を、物を炭素化する。そして、人が多いところ狙って現れる」
「こちらが入手している情報とあまり変わらんか。では、貴様はそんな情報をどこで手に入れた?」
こちらとしても、これ以上は無償で情報提供するわけにはいかない。この世界の先輩が、どういう状況なのか、それをこちらも知らなければならない。
「これ以上は、あんたの上司を交えたところで話させてくれ。そもそも、あんたを殺そうとしてたら、こうして大人しく話なんかしないだろ」
しばらくの沈黙の後、静かに刀を下ろした。
「いいでしょう。その代わり、拘束はさせてもらいます。仲間にも連絡を取りなさい。一緒に連行します」
刀は下ろしてはくれたが、警戒は一向に解いてくれる様子はない。
私を信じようと、手を繋ごうとした、
どんな神経してやがんだ、あいつは・・・
◇
先輩に拘束された後、通信機で、マリア、響とも連絡をとり、合流した。
先輩の仲間らしき黒服たちも合流し、彼等に3人とも同じような拘束をされ、護送車のような車で連行された。
連行中は4人とも何も話さなかった。この場で何か言葉を交わしても、何の解決にもならないことをみんな察していたのだろう。
あのバカでさえ、黙って乗っていたのだ。先輩の圧がどれ程のものかは、説明しなくても分かるだろう。
車は15分ほど走ると、何かの施設に入ったようで、ようやく止まった。相変わらず手は拘束をされているが、黒服たちに囲まれて歩くようなことはなかった。
ある程度は信頼されたのか、もしくはここで暴れても対処がいつでも可能、ということなのか。
少しだけ、そんな不安を抱えつつ、私たち3人は見覚えのある部屋に通された。
「ここは、2課の本部?」
「そのようね。資料で私もみたことがあるわ」
大きなモニターが壁一面を覆い、その前には、何人ものオペレーター達が並び、目の前に表示されている個々人が、モニターの監視や作業に勤しんでいる。
そして私たちがいるのは、全てのオペレーターと画面を一望できる場所であり、いつも司令が立っている場所。
そこに待ち構えていたのは、見覚えのある、大きな体格と髭を持った、赤いスーツがトレードマークの風鳴司令。そして白衣を着こなす女性、櫻井了子であった。
「俺はこの特殊災害対策機動部2課の司令をしている、風鳴玄十郎だ。まずは、先の戦いの助力に感謝したい。ありがとう」
風鳴司令はそういうと、大きな体を腰から折った。
「感謝しているなら、この拘束具を解いて欲しいのだけれど?」
拘束具を眼前まであげて、マリアが主張する。
「それに関しては、申し訳ない。ただ、君たちの素性を知るまでは、解除することはできない。そこにいる翼から、君たちの報告は受けている。俺の前でなら、全てを話してくれるんだろう?」
そう司令が目配せした先にいる翼は、相変わらず怖い顔でこちらを見ている。腰に下げている刀には、いつでも抜けるように右手が置かれている。
「ああ。その説明は私がする。約束をしたもの私だしな」
私は一歩前に出て、事の顛末を説明した。
私達が並行世界から来たこと。自分たちの世界では、シンフォギアと言う聖遺物のかけらを纏って、ノイズと戦っていたこと。この世界に危機が訪れていること。そしてその危機が私たちの世界にも影響を及ぼし、仲間の命が危険に晒されていること。
「そうか、君たちに敵意はないことはわかった。とりあえず、拘束は外させてもらおう」
そう言うと、司令はポケットから拘束具の鍵を取り出し、一人一人の拘束を解いていった。同時に翼の警戒が一向に厳しくなったのは、言うまでもない。
「翼ちゃん、そんなに警戒しなーいの。玄十郎くんが拘束を解いたと言うことは、ある程度は信頼して良いと判断したからでしょ?司令の判断がそんなに信用できない?」
「それは…」
櫻井了子にそう指摘をされ、渋々刀の柄から手を離す翼の顔は、どことなく最初の、出会った当時の先輩に似ている気がした。あの、全てを背負い込み、どこかで死場所を探していた時の先輩に。
「私たちからも質問をしていいかしら?」
拘束をされていた手首をさすりながら、マリアは司令へ視線を投げる。情報は等価交換、そう言いたいのだろう。
「ああ。何かな?」
「この世界には、ノイズに対抗しうる武器は存在しているのかしら?」
「現状は、私が作った対ノイズ戦用の位相差障壁解析チップのみが、ノイズに対抗できうる武器よ。みんなも、さっきの戦いで見たわよね?」
そういと、櫻井は一つの弾丸を差し出した。よく見ると、その弾丸には小さなマイクロチップが埋め込まれている。
「この弾丸には、ノイズの位相差障壁を着弾時に解析し、突破するような仕組みになっているわ。だから戦闘の際にはこれを撃ちこんで弱らせたところを、叩くんだけど」
櫻井が目配せをして、翼の方へ視線を送る。そういえば、まだ翼がこの組織に置いて、どのような立ち位置なのか、分からない。
「私の刀にも弾丸と同じような位相差障壁の解析回路が埋め込まれている。私はこの刀でノイズと戦っている」
依然として、こちらを見ずに腰に下げた刀を触りながら、翼は言葉だけを投げる。
「鎧もなしで、刀一本で戦ってるって言うのか!?」
「だとしたら、なんだ?」
翼の冷たい視線が、初めて私を貫いた。分かっていた事とはいえ、流石に信頼している先輩と同じ顔と声でここまで冷ややかな対応は、流石にくるものがある。
「翼は少し特殊でな。生身で戦っても、普通の人間より身体能力が向上するように、了子君がバックアップしてくれている」
何らかの実験の末に、シンフォギアには勝らぬとも、今までその身ひとつで、シンフォギアでさえ苦戦する、あのカルマノイズと戦ってきたというのか。
「とにかく、そちらの対抗策は分かったわ。私たちも、この世界のためにノイズと戦わせてもらいたいの。良いかしら?」
「それは、こちらとしては願ってもない事だが、良いのかね?」
「言ったでしょ?私たちも仲間の命がかかっているの。早いところ、この世界のカルマノイズを一掃したいのよ」
話が纏まりそうになったところで、ようやく響が口を挟んだ。
「そういえば、この世界に普通のノイズっていないんですか?さっきのカルマノイズとの戦闘の時には、見ませんでしたけど?」
「現状はあの黒いノイズだけが、我々の脅威と言えよう。古代には、小さな独立性のノイズも発生していたという記録は残っているが、ここ数百年は出現は確認されていない」
ノイズがいない、と言うことは、バビロニアの宝物庫は開かれておらず、ソロモンの杖は起動されていないことになる。それを聞いて、少しだけ安心した。
ただ、黒いノイズの出どころは、2課も依然として分かっていないようだ。
「あいつはどのくらいの頻度で出現してるんだ?」
「最近は、少し多くてねぇ…前は1年に1回出たら多い方だったんだけど、今は1月に3回程よ」
◇
当面の間は、私たち3人の住む場所と食べ物の手配をしてもらう代わりに、カルマノイズが出現した際は、翼と一緒に闘うと言うことで、司令は手を打ってくれた。
翼とは今後、共闘する間柄となるわけだから、一緒に訓練をしようと申し出たのだが、そんなものはいらない、と一蹴されるのが落ちだった。
「この世界の翼は、なかなか私たちを信用してくれそうにないわね」
「なんか、最初の頃の先輩に似てないか?」
「あぁ、クリスちゃんが踏みつけてた時代の」
そんなことを立花響が口走りそうになったので、一発入れておいた。これは仕方ないだろう。私は悪くない。
「痛てて・・・でも、確かにそうかもね。奏さんを亡くした頃の翼さんにそっくりだよ」
今の翼に、過去の話ができるとは思えないが、もう少ししたら、私の方から、先輩を励ましてやれるような、関係性に慣れるのかな・・・
◇
「あ、いたいた!!あなた達、ちょっとそのシンフォギアシステムを見せてくれない?」
廊下の端の方から手を振りながら走ってきたのは、櫻井了子だった。私たちの世界では、フィーネの依代となった女性であり、シンフォギアシステムの生みの親でもある天才科学者である。
本来、別世界への技術提供は、世界バランスを崩すことになるので、控えるようにエルフナインから忠告を受けている。だが、ノイズへの対抗措置としての技術提供は、人類生存のため、司令からの許可が出れば可能ということになっている。
「司令に許可を出してくれるように報告してみるわ。その代償という訳ではないけれど、そちらの位相差障壁への対抗するマイクロチップのデータをいただけないかしら?」
マリアがタダでは渡さないという意思を込めながら、櫻井女史へ申し出る。その回答に櫻井も胸を撫で下ろしたようだった。
「もちろん、そのつもりよ。何事も、等価交換でいきましょ。私たちの世界だけ、得をしてるんじゃ、シンフォギアシステムを開発した人に申し訳ないもの」
いやいや、あなたがその開発者ですよ。と3人が心の中でツッコミ入れたのは言うまでもない。
「しかし、聖遺物のかけらをそんなふうに利用するとはねぇ。私たちの世界でも現存している聖遺物はいくつかあるけど、利用はおろか、起動させることができなくて、みんな倉庫の中で眠っているわ」
私たちの世界では「フォニックゲイン」が、聖遺物の起動の鍵となるのは、今までの経験で理解している。その事実の公表は、司令の許可が降りてからだ。
完全聖遺物の起動は、それこそ、世界のパワーバランスを壊しかねない。
「そういえば、翼さんのバックアップをしていると、司令が言っていましたが、どんなことをしているんですか?」
響が自販機で購入した「あったかいもの」を両手で包みながら櫻井了子に疑問を投げる。
「身体強化スーツというのかしらね。脚力や腕力を補助するパワードスーツのようなものを、翼ちゃんには着て戦ってもらっているの」
これ以上は、そちらの情報と交換よ。と櫻井了子は口に指を立てて言った。
謎が解けるのは、私たちの世界の司令の指示まちということになりそうだ。
◇
司令への指示を仰ぐべく、マリアが一旦元の世界へと帰還することになった。響では情報が正確に伝わるか不安だったこと、クリスはこちらの世界で、説明責任があるため。マリアが行くのがいいだろうということになった。響は文句を言っていたが、私が一蹴した。
それに、誰とでも手を繋ごうとする奴が近くにいた方が、あの先輩との距離ももしかしたら、縮められるかもしれない。
これを書いてて、思いますが、全ての思考をかなぐり捨てて、手を繋ごうとする響はすごいなぁ、と思う作者です。私は、どうにも平和主義なので、争い事からは、静かに身をひきます。
今回は、クリスが翼の手を繋げるのか。楽しみですね。
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仕方ねぇ、書いてやるか。。。という方は、よろしくお願いします。
ではまた次回、お会いしましょう!