病院、行ってまいりました。
検査、受けました。
健康そのものだそうです。
耳がイカレてるとか、精神に異常をきたし妄想と願望がゴッチャになり、現実を正しく認識できなくなっているとか、そういう事は特になかったです。つまり先程の二人の告白はわたしの願望の発露とかではなく、まさに現実のものだったわけですね。
途中離席してタイムロスしてしまいましたが、走者の精神状態が不確かなまま走るよりは良かったと割り切りましょう。
さて、そうなるとですね。わたしとしましても色々込み上げるものがあります。歓喜と興奮の余り叫び散らしましたよ。非攻略対象だからと諦めていた事が叶うと判明したわけですからね。誰だよ非攻略対象だの聖域だのとかほざいてた奴ら。
で、落ち着いたのでwikiにも情報と証拠動画を挙げて来ました。今頃全国のパワプロファンは混乱の坩堝に叩き落とされている事でしょう(ゲス顔) 聖域解除されてたとか衝撃的ですしおすし。どうやったらこのルートに入れるかの検証は彼らに任せましょうね。まあ彼女達のはじめての男(意味浅)はわたしなんですがね!(マウントゴリラ)
とはいえ色々と言いたい事はあります。どんなフラグを踏んで条件を揃えたらこうなるのかまるで見当が付かない、とか。やはり超低確率のランダムイベなのか、とか。まあ色々です。しかし一番言いたいのは――よりにもよって今でなくてもいいでしょ!? という一言に尽きますね。
なんで今!? 今まで何回も試走でアタックして玉砕したのはなんで!? 完全に諦めて彼女枠固定したチャート組んでるのになんで今来るの!?
あーもう(チャートが)メチャクチャだよ。彼女枠を使っての経験点稼ぎ、最初から考え直さなきゃですよ。ですがここまで来たら思い切って、全部組み直すとかできませんし。今回の件を除けば上手く行ってたんで、今更この流れを変えるのは無理筋なんですよね。
プロへの下積み時代とはいえ、これはないです。プロまで一緒に来てくれる娘を厳選して絡む予定なので、下手にチャートを変更してしまえば破綻する可能性がありますよ。
どうすっかな〜俺もな〜。
嬉しいは嬉しいです。非攻略対象だと割り切っていたとはいえ、彼女達と恋人になってチュッチュしたいお! とかキモオタ全開な事も思ってましたし。
個人的には大歓迎ですよ。ですが、ねえ? 完全に彼女枠を使っての取得経験点とコツを計算し、どんなマイキャラを育てるか計画組んでる中、経験点をどれだけくれてどんなコツをくれるのか不明な女の子が現れるとか……しかもそれがパージできない重要人物とか……やめてくれよ(懇願)
前代未聞ですよ? 彼女いるのに女の子からアタックしてくるとか。しかもしかも、今の恋が終わるまで待ってます。ただ次は私を選んでね(予約)とか据え膳ですわこれ。おう、考えてやるよ(考えてやるとは言ってない) いやマジで考えますわ。
――で。
病院行って健康状態を確かめて戻ってきたわけですが。
なんとパワプロくん、敷かれた布団で寝かされてました。
隣には……聖ちゃんと、礼里ちゃん。添い寝されてます(白目)
えぇ……(困惑)
なんだお前ら(素)
多分変態だと思うんですけど(名推理)
語録三段活用余裕です。ヌッ!
一応、左右密着して寝られてるんで身動きせず、首だけ動かして服を見てみます。
……着てますね。礼里ちゃんも。ボッチャマ……聖ちゃんも着てますね服。
ホラ、見ろよ見ろよ。どうやら今生のパワプロくんの童貞は無事みたいですよ。ですがこれ、マジで据え膳じゃありゃしませんか?
やべぇよ……やべぇよ……わたしの自制心が。やっちゃうよ? やっちゃうよ!? よし、じゃあブチ込んでやるぜ。でもやっぱり僕(の性癖)は……王道を往く、イチャラブ系ですかね。なのでやっぱやーめた。
日和ったわけじゃありません。本気出せばこのまま突撃できますよ。本気、出そうと思えば(王者の風格) しかしわたしはロリコンですが紳士です。流石に青い蕾に手を出す、鬼畜にも劣る外道になる気はありません。
据え膳だからとペロリと食べるとかありえませんね。相手がjkなら話は別なんですけど、パワプロくんをそこらの中坊と同じ性欲魔人と一緒にしないでいただきたい。
節度、守ろうやぁ(ネッチョリ)
とはいえ紳士なわたしは少女二人を起こしてまで抜け出ようとは思いませんよ。このまま狸寝入りしておきます。良い匂いとやらかい感触堪能します。超美少女二人にサンドイッチされて寝るとか最高かよ。
フゥゥゥゥ〜。
わたしは……子供の頃、○○サイトの『エロ同人』ってありますよね……。あの絵……非エロ同人誌で見た時ですね。あの『少女』が見せていたあどけない『顔』……。あれ……初めて見た時…… なんていうか……その……下品なんですが……フフ……勃起……しちゃいましてね……。
寝てるだけなのに、弾道、上がってしまいました(小声)
おれは悪くぬぇ!
「………」
「………」
† † † † † † † †
「しっかしあおいちゃん、いいケツしてるよな」
武蔵府中シニアの一員になったばかりの、力場くんのセクハラ発言だ。唐突にブチ込まれた暴言にボクは顔を引き攣らせた。
ここのシニアは女の子ばかり、なんて事もない。普通に男の子の方が多い。けど力場くんは、
だから力場くんの声はよく響いた。何事だと視線を集めてしまう。ボクは顔が赤くなるのを感じながらも、投球練習を止めてこっちを見ていた力場くんに歩み寄った。
「力場くん? 今なんて言ったの……?」
「ん? いや、あおいちゃんいいケツしてるなって」
笑顔で威圧しながら訊ねると、力場くんは衒いなく返してきた。
ビキィ、と空気に亀裂が走る。近くにいたみずきちゃんがそれとなく避難していくのを尻目に、ボクはコンプレックスを刺激された事で頭に血を上らせてしまった。
けど、力場くんの様子は別に、セクハラや揶揄を目的にしているわけでもなさそうで。ボクは深呼吸をして発言の真意を確かめる。
「それって、どういう意味なの?」
「字面通り、そのままだけど。ほら腰回りが強いと安定感が出るだろ? でもさ……あおいちゃん勿体無いぜ。もうちょい体格に合った強味出せば、球速も2キロか3キロ速くなるんじゃないか?」
「――え、なにそれ。あたしにも詳しく聞かせてほしいなっ」
セクハラじゃない。どころか、力場くんは野球的な意味で言ってきたんだと分かると一気に冷静になれた。先輩に対するタメ口、甚だ無礼! とかなんとか言えるほどボクは偉くないし、そんな事よりも遥かに聞き流せない事を言われたんだ。冷静にもなる。
ボクの球速が上がるの? ウソ……。ボクとキャッチボールしてた太刀川広巳ちゃんも、興味を持ったみたいで近づいてきた。広巳ちゃんはボクより一個年下なのに、近い内に身長が170を超えそうなほどの恵体で、今のところは力場くんより身長が高い。
「体格に合った強味を出せば球速が上がる……それって早川先輩だけじゃなくて、あたしにも同じ事が言えるのかな?」
「おう、広巳ちゃんか。あおいちゃんや広巳ちゃんだけじゃないぜ。他の誰にも当て嵌まる。ちょい見てろよ、あおいちゃんの投球フォームが
ボクは右投げで、広巳ちゃんと力場くんは左投げだ。なのに、力場くんはボクと同じ右のアンダースロー――ボクと同じフォームをなぞった。
完璧に投影されてる。まるで、ボクがボールを投げる時みたいだ。凄い選手だとは知ってたけど……こんなに早くフォームを完コピされると流石にショックだった。
なぜか聖ちゃんが捕手のマスクを被って近づいてくるのを横に、ふむふむと広巳ちゃんが頷いた。確かにこんな感じだよね、と。
「当たり前だけどさ、投球フォームは下半身と上半身、どちらの回転も不可欠だろ? で、その間にある骨盤の捻りは球速とコントロールに直結する。ここを改善するだけで効果が分かるはずだ」*1
「へぇー……ね、ね、あたしは?」
「ちょい待ってくれ。先にあおいちゃんの方な。聖ちゃん、ちょいあおいちゃんの球受けてくれ」
「うむ、承知したぞ」
「うわっ!? 六道さん、いつの間に来てたの? びっくりしたなぁ……」
聖ちゃんに気づいてなかった広巳ちゃんが飛び上がるほど驚いたのに、力場くんは肩を竦めて聖ちゃんにお願いする。
離れて座った聖ちゃんがミットを構えた。それを見て力場くんがボクに言ってくる。
「とりあえず一回、普通に投げてみてくれ」
「う、うん……」
言われるがまま、普段通りに投げてみた。もちろん渾身のストレートを。
するとスピードガンも持たずに、聖ちゃんが捕球したボールを力場くんが評してくる。
「135キロってとこか」
それは、今のボクの最高球速。聖ちゃんが返球してくるのを受け止めたボクの背後に、力場くんが回ってきて腰を両手で掴んできた。
わひゃっ!? と悲鳴を上げて飛び跳ねるも、力場くんから下心は感じない……どころか、かなり真剣な表情だ。逆にこっちが失礼な態度を取ってしまった気になってしまう。
「コンマ1秒、コンマ1ミリのズレがクオリティーに繋がるからな。あおいちゃん、もう一回今度はゆっくり投げるフリしてくれ」
「うっ、うん……っ!」
言われるがまま、赤面しつつもボールを振りかぶる。そしてアンダースローで投げようとするのに、力場くんはボクの腰を掴んだまま動かしてきた。
「腰の回転はこうして、はいストップ。腕の振りの角度はこう、肩の位置はもうちょいこっちに引いて、足の幅を半々ぐらい開く。んで、腕を振りながら、リリースのタイミングは――ここ。分かった? あおいちゃん」
「う、うん……」
「うっし。じゃ、今の感じを忘れないで投げてみてくれ」
「わ、分かったよ……こんな……感じかなっ?」
手取り足取り、とはこういう事を言うのかな。まるで恥ずかしげもない教導に、ボクはどもりながらも従っていた。
年下の男の子なのに。特に不満とか、ナマイキだとか、そういうの負の感情を懐きもしない。――元々カッコイイなとは思ってたけど、最近急にフェロモンが出てきた感じがして……正視するのが難しくなってきてた。
そのおかげかは知らないけど、力場くんの声は耳によく残り、触られた箇所に熱が残ってる気がして、忠実に動きを再現できる。案外、力場くんはコーチの才能まで持ってるのかもしれない。
ビュ、と風を切り腕を振り切る。一直線に駆けたボクの直球は、聖ちゃんの構えたミットに綺麗に収まって――って、今……!? 制球力が、上がってたよね!? 球速も――!
「今のが137ってとこか」
「すっ……凄い! 凄いよ力場くん! あたし! 次あたしにも教えて!」
はしゃぐ広巳ちゃんをよそにボクは唖然として自分の手を見詰めてしまう。
たった一度、だけど確実に効果が出た。これは……投球のコツを教えて貰ったんだ。確かな成長、技術の進歩を体感して興奮が沸き起こる。
高揚した。ホントに、すごい。ボクは力場くんへの感謝と、ほんの少しの尊敬の念が芽生えてくるのを改めて感じる。年齢なんか関係ない、みずきちゃんが力場くんを引き抜いたのは正解だった。
「聖ちゃんっ! ごめん、ちょっと今の感覚忘れたくないの! ボクの球、受けて!」
「うむ、承知したぞ――と、二度目だなこれは」
さっきと全く同じ返事をした聖ちゃんが、自分で自分に苦笑している。そんなことはどうでもよくて、ボクは大急ぎでさっきの感覚を反芻しながら投げ込みを再開した。
力場くんが、広巳ちゃんの腰を掴んで回転の度合いを教えて、フォームの改善を進めてる。体に触られても広巳ちゃんは照れもしないで、真剣に楽しみながら投げ込みを再開していた。広巳ちゃんも、力場くんと同じで野球の事ばかり考えてるから、とても馬が合うみたいでもう打ち解けている。高校での四人目の投手は、広巳ちゃんになりそうだなと思いながらも、ボクは直球のクオリティーを上げるのに勤しんだ。
そうだ。直球の威力を上げられたら、ボクが開発しようとしてるオリジナル変化球――マリンボールの威力もグンと跳ね上がる! 手は抜けない!
「――ちょっとキャップ! 次は私! 私にも教えなさいよ!」
「いいぜ、みずきちゃん。ただしジュース奢れよ」
「なんで私には
ボクと同じく、オリジナル変化球の開発を目指してるっていうみずきちゃんも同じ事に気づいたみたい。慌てて引き返してきて力場くんに絡んでる。
それを皮切りに、シニアの皆も寄ってきた。投手陣は同じ様に、打者は打撃フォームの指南を強請ってた。その様子に年配のコーチが苦笑いしてる。
――いつの間にか、力場くんは皆の中心にいた。
男も女も関係なく、屈託のない笑顔で接して。自分の持ってる技術を、惜しむ気配もなく伝授していた。
能力もそうだけど、その心の在り方も凄いと思う。とても魅力的な男の子で――なんだか力場くんが来てから、皆の空気がかなり良くなった気がした。
「はい、水分補給もちゃんとして。専一くん」
「サンキュー、聡里ちゃん」
紙カップに水を注いで、新しいマネージャーの氷上聡里ちゃんが力場くんに水を渡す。それを受け取り、一気に呷った力場くんの――喉。喉仏がうっすらと浮き上がりはじめてる喉が、水を嚥下するのを、ボクは無意識に目で追ってしまっていた。
汗で貼り付いた黒髪。張り付くシャツ。他の女の子も――広巳ちゃんですら――我知らず、力場くんを目で追ってる時がある。
男子連中はそういうのに無頓着だけど、女子陣は敏感だ。なんとなく聡里ちゃんが警戒心を持ってる気がするけど、それはいいとして。
(なんか最近の
――奇しくも、ボクとみずきちゃんは同じ事を思っていた。
モテモテ・フェロモン散布中……。
『人気者』になった! 『ムード○』になった! あおいちゃんの好感度が8上がった! みずきちゃんの好感度が8上がった! 広巳ちゃんの好感度が8上がった!
次回は小説パートによる、一回の視点変更を含みます。
クラスでの日常生活→シニアでの出来事(予定)
次もまた見てください。よろしくお願いします。
高校編での仲間(意味深)は誰が良かろうなのです?
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友沢亮などの優秀な男性選手
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柳生鞘花、冴木創などの優秀女性選手
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他はモブでええやろ(無慈悲)
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作者の裁量に任せるで!(有情)
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こんなにも辛いのなら、愛など要らぬ!