男女混合超野球連盟ぱわふるプロ野球RTA   作:飴玉鉛

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大事な事を説明し忘れてたので初投稿です。


ガチ勢の真髄は投打にあり

 

 

 

 Q.美藤さんってよく力場くんと話してるけど、どうやってそんなに仲良くなったの? おしえて!

 

 A.『いっけなーい! 遅刻遅刻! 私、美藤千尋! どこにでもいるごく普通の十三歳! でもある日、曲がり角でイケメンにぶつかっちゃってもう大変! しかもそのイケメンが私のクラスに転校してきちゃって!? 私これからどうなっちゃうの〜!?』

 

 

 

「――ってのが美藤さんと力場くんの馴れ初めなんだよね!」

「そんなわけあるかぁっ!!」

 

 クラスメイトで、ソフトボール部の元チームメイトである太刀川広巳の解説に、同じ級友の女子達が黄色い歓声を上げる。

 それを掻き消すように叫んで、私は全力で否定した。

 何が馴れ初めだ。私とアイツはそんなのじゃない。今時そんな使い古された少女漫画的な展開があってたまるか!

 

「でも力場くんが転校してきた初日の朝、登校中にぶつかったのは本当なんだよね?」

「うっ……」

 

 混ぜっ返されて言葉に詰まる。た、確かにそうだが……! あれはちゃんと前を見て歩いてなかったアイツが悪い!

 それにその時はアイツの隣には隣のクラスの氷上もいたんだぞっ。ぶつかりはしたが転んでもないし、氷上にはなんとなく睨まれた気がするし……こ、怖かったんだからな!

 というか太刀川の奴、普段は全然こういう話題は出さないし、野球に関係ある事しか興味がないくせして、なんだって食いついてくるんだ。

 

 言葉に詰まってしまったからなのか、目をキラキラさせてクラスメイト達が私を見てる。ま、マズイ……私は賢いから分かるぞ、これはなんだかマズイ空気だ。何か、別の何かに話を逸らさなければオモチャにされる……!

 

 ――私は別の話題を探すために視線を泳がせた。

 するとつい、女子間で話題になってる奴が目に入ってしまう。

 

 アイツは今、野球部の男子と駄弁っていた。

 ソフトボールこそ至高と信じる私にとっては嘆かわしい事に、野球人口の多い昨今、クラスの男子の半分は野球部に関係した事のある奴ばかりで、違うのはその本気度ぐらいなものだろう。

 どれぐらい本気で野球に向き合ってるかで、アイツに絡むかどうかの頻度が変わってる気がする。

 比較的本気度の高い男子ほど、アイツに色々と聞いている。今もアイツを囲んでる男子の一人が、バットを振るモーションを取っていて、アイツはその男子の腕や肩、腰の高さ、膝の曲げ具合や足の幅などを正し、仮想のバットの位置を口頭で直させていた。

 アイツは聞かれたら自分の技術を惜しみなく、誰にでも教えていた。それがどれだけ凄い技術でもだ。正直傍から聞いていて、私にとっても勉強になる。なんだって自分の技術をああも惜しまず教えられるのか、不思議だ。

 

『う、うぉぉぉ……!? こ、これスゲェ! スゲェいい感じがする!』

「だろ? お前の体格だとこんな感じで、ミートが巧くなってけばその内ホームランも狙えるようになると思うぞ。ま、これから体が大きくなってくだろうし、感性的に合わねえって感じるとこも出てくるかもな。それに合わせて自分で改良してってくれよ」

『おう!』

『……なあパワプロ、教えてくれるのは有り難いんだけど……いいのかよ?』

「何が?」

『何がって……同じチームにいたとしてもレギュラー奪い合うライバルだろ。オレなんか別のシニアチームだぜ。敵に塩を送ってるようなもんじゃん』

 

 と、丁度、私が気になっていた所を一人の男子が訊いていた。

 それにアイツはあっけらかんと答える。爽やかなのとは違う、かなりの自信を内包した強気な笑みだ。

 

「俺がお前らにコツを教えてんのはさ、別に打算がないってワケじゃないんだぜ? どんどん俺から色んなもん吸収して巧くなってくれよ。俺は俺の技術を吸収して、お前らが自己流に改良したもんを見てそれを吸収する。で、お前らを三振に切って取ってやれば、俺が成長してるって実感できるんだよ」

『……はは、なんだそれ! 要するにオレらがどんだけ巧くなっても勝つ自信があるってことじゃん!』

「当たり前だろ? チームを勝たせるエースが、自分に自信も持てないようでどうすんだよ。お前らだって自分のチームのエースは頼れるヤツの方がいいに決まってるよな?」

『それは言えてるな。ウチのチームのエース様ったら自信があるのかないのか……なあパワプロ、お前オレのとこに来ねぇ? ウチのエース様と交換したいんだけど』

「アホ。仮にもチームメイトだろ、悪く言ってやんな。それに俺は今のシニアに移って来たばっかなんだよ。またすぐ移ったら優等生な俺に問題があるみたいに思われちまうじゃねえか」

『優等生って自分で言うのかよ! アハハハ!』

 

 なるほどな。転校してきたばっかりだから、上手く馴染めているか心配してやっていたが、特に問題はなさそうだ。

 普通に軽口も叩いてるし、受け入れられてる。人の輪の中に入っていくのが上手いのではなく、アイツが自然と人の輪の中心になっていってるようだ。

 隣の席のよしみで気を配ってやっていたが、もう心配してやる必要は……んん? なんだ、視線を感じるぞ?

 

 嫌な予感がして視線を前に戻すと、太刀川を含む女子達が薄ら笑いを浮かべながら私を見ていた。

 

「美藤さん今、絶対力場くんのこと見てたでしょ」

「みみみ見てない! 見てないぞっ! その生暖かい目をやめろぉ!」

『力場くーん! 美藤さんが呼んでるよー!』

「呼んでないだろバカぁっ!」

 

 ――元気印の王子様がやって来た。

 女子の間でそう噂され、密かにファンクラブが作られている奴が、クラスメイトの呼び掛けに気づいて近づいてくる。逆に太刀川は口をつぐんだ。んん?

 

「なんだ? またちーちゃんがバカ言ってるのかよ?」

 

 雑誌で読んだがこの年頃になると、男子と女子の間には簡単に踏み越えられない空気の壁ってヤツが出てくるらしい。男子が女子に話しかけづらくなるとかなんとか……なんでだろうな。

 でもコイツにはそれらしき所はない。普通に男も女も関係なく平然と絡んでくるし、男女両方の下の名前で呼んで気安く接してくる。

 そういうとこイイ! とはクラスメイトの言だ。ただし※に限るとも……。

 

「って誰がバカだこのバカっ! そ・れ・と! 何度も言ってるだろ! 私をちーちゃんと呼ぶな! 私には美藤千尋って立派な名前があるんだっ!」

「えぇ? じゃあさ、俺は千尋ちゃんの事ちーちゃんって呼ぶから、ちーちゃんも俺のことパワプロって呼んでいいぜ。それなら対等(フェア)だろ?」

「フェア? ……むむ、フェアなら仕方ない……のか?」

「仕方ないだろ。な、ヒロピー」

「ひ、ヒロピーってあたしのこと?」

「そだぞ。太刀川広巳、広巳ちゃんだからヒロピー。同じ野球部のよしみで、フレンドリーにいこうぜ」

「そ、そうだね! あ、あはは……」

「そうなのか……フェアなら仕方ないな……」

 

 太刀川の奴が同意したって事は……これがフツーという事なのか……?

 周囲の反応を伺うと、微笑ましげな顔をされてる。な、なんなんだ。なんで力場……パワプロと顔を見合わせて笑ってるんだ?

 

「そういやそろそろ冬だなー。冬休みだなー」

「藪から棒になんだ」

「いや、冬休みが近いって事は……あるだろ? テスト」

「っ――?!」

「ちーちゃんは大丈夫か――って聞くまでもなさそうだな、その反応」

 

 わ、忘れてた……だが聞くまでもないとは分かってるなパワプロ。ふ、確かに大丈夫だ。ちょっと不安だがなんとかなる、そう……私ならな!

 

「勉強見てやろうか? なんなら勉強会開いてやるから、ちーちゃんも参加してもいいぜ」

「フンっ、余計なお世話だ。この私が赤点なんか取るわけないだろっ!」

「そっか。じゃ、ヒロピーはどうする? それと、清香ちゃん達は」

「え、あたし? あたしは……うん、参加しよっかな」

『するするー! 力場くん教えるの上手いしこれで平均点簡単にクリアできるかもだし! あ、他の娘にも声かけていい?』

「おう、どんどん呼んでいいぞ。俺も参加したいって野郎集めるから。んじゃそういうことで、ちーちゃんは一人で頑張ってくれ」

「無論だ! 私に構う必要なんかないんだからなっ!」

 

 ――私がパワプロに()()()()()()()、一ヶ月前の事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

  †  †  †  †  †  †  †  †

 

 

 

 

 

 

 

 

『せーのっ!』

 

 力場くーん! というグラウンドの柵の向こうで、女子達の声援が飛ぶ。

 前のシニアでもそうだったけれど、容姿の優れたスター選手の宿命なのか、()()()()はとても女の子達に人気があった。

 私はセンくんの邪魔をしたくない。この場合の邪魔とは、女の子達からの顰蹙を買って面倒を生む事も含まれる。痴情の縺れとは違うけど、変に思い込んだ女の子が危険な行動に出るケースは想定できるものだからだ。だから私はセンくんに、私という『彼女』がいる事を周知しようと思わなかった。

 けれどモヤモヤするものはある。周りに可愛い女の子達が多いのも、原因の一つではあるけれど。彼にそんな気はないと知ってても、平気で女の子と触れ合ってしまうのが主な原因だ。

 

 だけど私は恋人であっても、同時に彼の身を守るSPでもある。――俺がプロになったら聡里ちゃんを専属で雇うよ――と、彼は言ってくれた。なら今の内からSPとしての心構えは持っておくべきだと思う。

 そしてSPだからこそ、より直接的で分かりやすい脅威である、男子達に目を光らせるのは当然だ。前のシニアでセンくんを闇討ちし、潰そうとしていた人達がいたという前例を知っているから余計に力が入る。

 野球選手を志していたって、全員が全員、野球しか興味がないなんて事はない。人間なのだから異性への関心はあるだろうし、分かりやすく女子に人気のあるセンくんに嫉妬して、その嫉妬がセンくんの能力の高さ全てに向けられるようになり、やがては前シニアと同じ轍を踏む事にならない保障はなかった。

 

 今の所は、私とセンくんで話し合った対策も活きてるみたいで、男子達はセンくんに仄暗い感情を懐いてないように見える。

 橘みずきさん、早川あおい先輩、太刀川広巳さん――野球部ではないからここにはいないけど、美藤千尋さん――そして六道さんと霧崎さん。彼女達と特に親密に接しているのを見ても、男子達は『モテモテだなパワプロの奴』と心に余裕を持って振る舞えていた。

 それは、やはり対策のおかげだと思う。センくんと私が話し合って決めたのは、男子陣が負の感情を募らせる原因が、センくんに他者からの関心が集まり過ぎて承認欲求が満たされない所にあり、そして能力格差から生じる劣等心にあると見たのは間違いじゃなかった。

 

 センくんにはこれまで以上に、チームメイトの指導に力を割いてもらった。練習の邪魔になるのは心苦しかったけど、身の安全には替えられない。そして男性陣の大部分を巻き込んで、女性陣と触れ合う機会を掴ませるための場、コンパを開いてもらう事で男性陣に『自分にもチャンスがある』と感じさせて、センくんに負の感情が向かないように仕向けた。

 結果は今のところ上々だと思う。とはいえ、そのせいでますますセンくんに女子達の関心が集まってしまったのは誤算だった。しかも私から言い出した事だから、センくんに文句を言える筋合いなんかないのが辛い。

 

 ――けど、センくんの夢のためなら。センくんのためになるなら。私は、我慢する。尽くす女だな聡里ちゃんは、なんて囃し立てられて嬉しかったわけでは断じて無い。

 

「うっし、そろそろ木製(コイツ)に変えっかな」

 

 野次馬の女子達――見れば学校の違う女子もかなりいた――へ適当に手を振り返して、練習に入って行ったセンくんは木製のバットを取り出していた。

 にわかに場がザワつく。金属バットと木製バットの違いがよく分からないけど、違いが分かるらしい橘さんが真っ先に噛み付いた。

 

「ちょっとキャップ! なんでそんなの持ち出してんのよ?」

「ん? みずきちゃん知らねえの? 近い将来プロの球界でDH制が撤廃されるらしいから、投手だから打撃はヘボくていいなんて理由はなくなったんだ。俺は本気の本気でプロ目指してるし、今の内から木製バットに慣れてた方がいいだろ」

「それはそうだろうけど……学生の内は金属バットで率残してた方が絶対いいでしょ?」

「俺は投手だぞ。打撃の率よりピッチングのクオリティーが良ければいい。最悪打撃の率が落ちてもピッチングを見てもらえたら文句はねえよ。ってなわけでみずきちゃん、バッティングピッチャー頼む」

「はあ!? なんで私がそんなのやんなくちゃ――」

「高速シンカーの投げ方、後で教えてやっからさ」

「うぐっ……し、しょうがないわねっ!」

 

 ――うわぁ。みずきちゃんの操縦の仕方、完璧に心得てるね力場くん……。

 早川先輩の呟きは、多分みんなの心の声でもあったと思う。渋々バッティングピッチャーをする事になった橘さんを中心に、グラウンドへ皆が守備位置についた。皆の守備練習もついでにやるという事なんだろう。

 みずきちゃんが、左利きなのに右打ちとして打席に立つセンくんに向けて構え、そしてボールを投げる。すると、かこーん……と、気の抜けた快音が鳴り響いた。

 

「あ」

「あ」

『あ』

 

 全員が空を見上げる。

 センくんは低めに来た球を、綺麗な所作で掬い上げる様に打ち抜いたのだ。

 そのままボールは柵を超えて、辺りに沈黙が流れる。

 

「……すまん。あんまりにもヘボい、もとい気の抜けた、もとい打ち頃の球が来たもんだから……つい、やっちまったぜ」

「やっちまったぜ、じゃなぁーいっ! 何よそれ!? 木製使い始めたばっかでしょ!? 気を遣って打ちやすくしてやったってのに、なぁーにさらっと柵超えしてんのよこのバカーっ!!」

「いや驚くのそこじゃないよね、みずきちゃん。力場くん……普通にホームラン打ったんだけど……」

 

 ――俺、実は外野手……打撃の方が得意なんだ。これ、聡里ちゃんしか知らないぜ。二人だけの秘密だな――

 呆れるほどの天才っぷりと、衝撃的な事実。それに私は密かな優越感を感じていた。私しか知らない、センくんの秘密。良い響きだった。

 とはいえ打撃の方が得意なら、なんで投手をしているのかと訊いてはみた。するとセンくんは、これまた呆れるほど爽やかに言ってのけていた。

 ――だってピッチャーの方が目立ててカッコイイし。や、個人的にそう感じるってだけだからな? それに二刀流の最強選手って響き、いいだろ?――

 子供っぽいくせ、出鱈目な才能と努力、実力で実現するセンくんに、私はほとほと参ってしまっている。幾ら呆れても呆れ足りない、自己顕示欲というか承認欲求の塊というか……でも、そんな所も、私は好きになっていた。

 

「聡里ちゃん。来月、クリスマスだな。俺、聡里ちゃんのサンタ姿見たいな」

「……もう。今は練習中でしょ、集中して。ケガしたらどうするのよ」

 

 それから一段落して、ベンチに来たセンくんに紙コップに注いだ水を渡すと、彼は誰にも聞こえない声量でそれとなく声を掛けてきた。

 私はそんなセンくんに冷たく注意して――サンタさんの服、どうやって手に入れよう――なんて事を考えはじめてしまっていた。

 

 

 

 

(――予定より早く良い環境になったのはヨシだけどフラグ管理キツすぎぃ! ま、まあいいや。それよりそろそろ彼女候補増やしてマネージャーに加えないと、動画の中だと空気になりつつある雅ちゃんが可哀想な事になります。早急に雅ちゃんの問題を解決する為に――ついに待ってた時期が来た事もあってイベ起こしますよ! 次に仲間にする彼女候補は――すばり『木村美香』ちゃんですっ! 見とけよ見とけよ〜?)

 

(あっ、そうだ〈唐突〉 わたしが彼女枠頼りのヒモ野郎と思われるのもアレなんで、そろそろやりますよ……友情タッグトレーニングと、女の子選手ばっかり集めてた理由である、本作で採用されてるシステムを利用した――『女の子パラダイス』――打者能力自動up、あーんど、特能を低確率で取得できる夢のシステムです! ……弾道も上がります〈小声〉)

 

 

 

 

 

 

 

 

 




大事(主観)な説明は次回にやります。


感想評価など、ありがとうございます!
次回もまた見てください。よろしくお願いします。

高校編での仲間(意味深)は誰が良かろうなのです?

  • 友沢亮などの優秀な男性選手
  • 柳生鞘花、冴木創などの優秀女性選手
  • 他はモブでええやろ(無慈悲)
  • 作者の裁量に任せるで!(有情)
  • こんなにも辛いのなら、愛など要らぬ!
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