男女混合超野球連盟ぱわふるプロ野球RTA   作:飴玉鉛

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善人ダイジョーブ博士と最悪の。

 

【ぱわぷろ(平仮名)について語る野郎どものためのスレ66】

※紳士の社交場です、淑女の方は別スレへどうぞ

 

 

 

555:あれから聖ちゃん攻略できた奴おりゅ?

 

556:(ひじりんとレイリー攻略の)なんの成果も、得られませんでしたぁ!

 

557:不朽の名作から語り継がれる伝説の無能コメ乙。

 

558:あの古典のハゲは意外と有能だって何度言えば(ry

 

559:どうなってんの? あの娘らマジで難攻不落なんですけど。

 

560:非攻略対象なんだろ。攻略できねえって結論出たじゃん。今更なに無駄なことしてんだよ。

 

561:(情弱な)間抜けは見つかったようだな。

 

562:今話題沸騰中のRTA走者で、小学生スタートしてる猛者いるからソイツの動画見てみ。ひじりん達、攻略されてるぞ。

 

563:マジで!? やべぇちょっと見てくるわ。

 

564:いってらー。

 

565:ところでソイツってひじりん達どう攻略したの?

 

566:分からん。

 

567:は?

 

568:ひじりんを矢部くん枠にランダムで据えられて、レイリーを幼馴染にして、普通に育成してたらいつの間にか攻略してたみたい。

 

569:ん? いや、じゃあ簡単じゃん。

 

570:それが何回も同じ感じでプレイしても攻略できんのよ。マジで、なんであのRTA走者がひじりん達を攻略できたのか分からん。

 

571:この再現性の無さ……乱数次第とかいう糞仕様ですねクォレハ……。

 

572:あの走者は乱数に愛された男。

 

573:ひじりん達は乱数でしかイケない女だった……?

 

574:だから乱数頼りの糞仕様はやめろとあれほど(ry

 

575:ところでその走者って何者?

 

576:ぱわぷろ(平仮名)界のヒロイン攻略動画纏めてて、ぱわぷろ恋愛講座で先生と呼ばれてる智将だぞ。

 

577:智将?www

 

578:智将(笑)

 

579:草生やしてるけどマジで勉強になるから見てみ。次から次へとヒロインを落として彼女にして、円満に別れて次のヒロインに乗り換える達人だぞ。リアルでやったら確実に刺されるけど。ってかぱわぷろでも一回ミスってハリネズミみたいになってたな。

 

580:wwwwww

 

581:なんかワロタ。

 

582:おまけに野球センスねぇらしいけど、ガチ勢らしく普通におれらが足元にも及ばないPS持ちだしな。

 

583:ガチ勢の中だと中の上ぐらいって評価だゾ。

 

584:PSクソザコなワイ低見の見物。ところでマジでひじりん攻略できないのなんで?(マジギレ)

 

585:センセーに訊いてきたら?

 

586:報告。ちょっと前センセーにコンタクト取ってみたら回答あったぞ。

 

587:kwsk

 

588:原文コピペ『わたしも初め、乱数次第でしか落とせないのかなー? と首を傾げてたんですが、どうもそんな感じじゃなさそうです』

 

589:続き! 続きはまだ!? はよ!!

 

590:あせんな童貞。

 

591:おっ、自己紹介かな?

 

592:煽るな。平和に行こうぜ。おれらは情報共有する、ぱわぷろ(平仮名)世界を満喫する同志だろ。

 

593:ごめん。

 

594:許す。

 

595:意外と民度の高いおれらになんか草。

 

596:野球好きパワプロ好きに悪いやつなんかいないんだよ!!(迫真)

 

597:おっ、そうだな(極悪人プレイでゲス笑いしてる動画主を見ながら)

 

598:続き……いい?

 

599:オナシャス。

 

600:小刻みにレスするのもあれだから、纏めて載せるゾ。以下長文の原文コピペだ。

 

601:『本作で採用されてるシステムの一つに、プレイヤーの脳波をキャッチし、プレイヤーキャラの感情表現として処理するものがあります。多分、特に洞察力に優れている六道聖、霧崎礼里などはプレイヤーの下心を感じ取って敬遠するのかもしれませんね。聖域ヒロインと目されてきたヒロイン陣も、恐らく下心に対しては敏感に感じ取り、拒否感を懐いてしまうのかも。なのでこちらは完全に彼女達への関心を持たず、普通に接していきながら、彼女達の方から好かれるようにしなければならない……かも。結果ありきで検証はしてませんので、わたし個人の主観的な分析です。間違っている可能性も高いので、あんまりあてにしないでくださいね』

 

602:……は?

 

603:ちなみにこの手の分析でセンセーが間違ってた事はない模様。

 

604:は?(威圧)

 

605:いや……これ無理だろ(素)

 

606:だな。おれら下心満載で声掛けしまくってるし……。下心抜きで接するとか無理だわ……。

 

607:だが待って欲しい。それだと聖域以外は尻軽扱いされるのでは……?

 

608:まあ……チョロい娘ばっかだし……いやでもよく分からんな……。

 

609:仕様の関係上尻軽扱いされるとか許されざるよ(木場静火LOVE勢)

 

610:そこ、おれも気になってセンセーに訊いたぜ。

 

611:ほーん。で?

 

612:男も女も普通は下心ありきなんで、多少の下心ぐらい許容できる娘ばかりなんだと。聖域ヒロインは過剰反応するぐらいで。

 

613:あー……なんか納得したわ。

 

614:伊達にセンセーとは言われてねぇな。

 

615:野球に本気であればあるほど、恋愛にうつつを抜かしてらんねえってなるんか。

 

616:分からんでもない。オリンピック出るようなアスリートはそんな感じって聞いたことある。

 

617:おいwww なんかセンセーの動画オモロイことなってるぞwww

 

618:まぁたガバですか……(チャート)壊れるなぁ。

 

619:乱数(呪い)に愛された男(ガチ)

 

620:なんだこの展開www ふざけんな(声だけ迫真)

 

621:さとりん可哀想……。

 

622:おれちょっとオオガミ・ジャジメント両方ぶっ潰すわ(氷上聡里LOVEガチ勢)

 

623:おい、その先は地獄(パワポケ時空)だぞ。

 

624:これからの展開に期待。

 

 

 

 

 

 

 

 

  †  †  †  †  †  †  †  †

 

 

 

 

 

 

 

 

 生の感情丸出しで戦うなどこれでは人に品性を求めるなど絶望的なRTA再開します(早口)

 

 えー……前回はちょっと予想外の事態が発生したせいで、危うく野球ゲームが武侠バトル物にシフトするところでした。

 原因を調査すると、わたしの行動やそれに関連する人達との関係等々、特に問題は見られません。

 わたしのチャートは経験則、つまりはこれまでの試走で安全だと確定したものだけで組まれています。なので前回、聡里の腕を折りやがった糞――失礼、裏社会の人はわたしの失敗により襲来した訳ではない事が確定しています。

 前回のBADイベントは、恒例のクソ乱数大戦犯パイセンが引き起こしたランダムイベである事が明らか。いわば天災の類いですね。諦めて泣き寝入りするしかありません。深入りすれば逆に沼にハマってしまいますので。

 

 にしても、流石聡里ちゃんでした。何故かこの手のBADイベントは、プレイヤーがどれほどの超人ステを持っていても、事前に察知できない謎仕様なんですよ……。或いは仕様ではなくオーバーテクノロジーか超能力による、対象に気配を気取られなくするオカルトでも働いてるのかもしれません。なのでそういうのを丸ごと無視して、ほぼ確実に気付いてくれる聡里ちゃんの存在は助かります。

 ですがまあ、まだまだ弱弱な聡里ちゃん。高校時代に入るとわたしより強くなる天才少女ですが、今はまだ危険探知機的な役割しか果たせません。全盛期の聡里ちゃんなら奇襲にも問題なく対応し、鎧袖一触に蹴散らせる程度の相手にも負傷してしまいます。んで、聡里ちゃんが負傷してしまったせいで、前回はガラにもなくマジギレして荒ぶってしまい、お見苦しいところをみせてしまいました。

 

 申し訳ありませんが、バトルシーンの部分はカットしております。本動画はバトル物ではないので、そこのところはあしからず。

 

 聡里ちゃんの事は暴漢に襲われ腕が折られたと皆に説明しています。包帯でグルグル巻きにして痛々しいです――闇討ちする? しちゃう? と物騒な報復が脳裏を過りますが自重しましょう。個人でどうこうなる相手じゃない。

 前回のアレの正体は大まかに察しが付いています。というのもこの時期、プロペラ団を吸収して巨大化した『オオガミ』と、日本支部の『ジャジメント』の抗争が激化しておりましてね。優秀な兵隊が一人でも多く必要になってきているようなんですよ。本作では本来、猪狩守くんあたりを狙うんですが、その猪狩守くんには鉄壁のガードがあるんでその弟、猪狩進くんが捕獲されるようになっていたりするんです。

 

 で、わたしはリトルで無双してましてね。猪狩守くん以上の注目を集めてるんで、こっちを狙ってもおかしくはないんですが……それを防ぐためにみずきちゃんや木村美香ちゃんと親しくなろうとしていました。みずきちゃんとは高校で邂逅する予定で、中学時代の今は美香ちゃんが本命だったんですが出会う順番が逆転しているのが現在。しかし別段支障が出るようなものでもなく、やはりみずきちゃんのジッジやパッパのガードがわたしにはついてるんで、狙うなら猪狩進くんになるのが順当です。

 

 なのにわたしの所に来たのは……いや、マジでなんでなのでしょう。

 繰り返し言いましょう。パワプロくんは一般人ですが、既にみずきちゃんのパッパとジッジが手を回し、密かなガードを置いてるんでリスクを犯さず襲ってこないはず。ちゃんとそのガードがいる事も確認しています。

 こちとらまだ中坊、知名度はありますがまだガキです。将来性はあるにしろ橘財閥を敵に回してでも手出しする価値は、客観的に見るとまだありません。オオガミとジャジメントの抗争の中で、敵を増やすとか馬鹿のする事でしょうからね。……それともわたしのガードが少なかったから、かなり狙い目だと思われたんでしょうか? ……これは一刻も早く木村美香ちゃんを攻略して、さらなるガードの増員を狙うしか対処法は思いつかないです。

 

 とはいえ急いては事を仕損じるとも言います。こういう時、焦ってはいけません。慌てず騒がず、落ち着いて行動しましょう。

 

 聡里ちゃんはケガしてるんで、今は一緒に行動しません。嫌な流れが来てるんで、これを断ち切る必要があるんですが、怪我人を巻き込んだらケガが深刻化して再起不能になることも普通にあるからですね。なので聡里ちゃんは親御さんの送迎で登下校してもらってます。

 そういう意味もあり、迂闊な単独行動も避けないといけません。二人とか三人だとまだ怖いんで、最低四人で纏まって行動しましょう。みずきちゃんとあおいちゃん、聖ちゃんと礼里ちゃんの四人を連れ、わたしを含めた五人で動けば当座の危機は凌げるはず。状況が落ち着くのを待ちましょう。裏社会の抗争もそんなに長くは続かないはずなんで。

 

「美少女()()も侍らせて帰るとか、キャップ、男子から妬まれちゃうんじゃないのー?」

 

 ニシシ、と擬音が聞こえてきそうな小悪魔な笑顔で、みずきちゃんが言って来ます。んなわけねぇだろ、とは言えません。けど周りの評価より今は身の安全の確保が大事です。優先順位を間違えたらいけませんよ。

 ですが何か返答しなけりゃならんのですが、打算は言えないんですよね。みずきちゃんがいれば、橘財閥のガード要員も本気にならざるをえないんで、かなり安全になるんですが……うっかりその事を口に出すと、みずきちゃんからの評価がガタ落ちします。

 

「ちょっと、みずきちゃん。パワプロくんはボクらのこと心配して家まで送ってくれるって言うんだから、そういう事言わないの。パワプロくん、目の前で氷上さんがケガしたの見てるんだから……」

「うっ……ご、ごめんキャップ。流石に不謹慎だったわ」

「別にいいって。安心しろよ、俺がいる限りあおいちゃん達に手出しはさせねえから」

 

 なんて返そうかと一瞬悩むと、あおいちゃんが擁護してくれました。

 女神か……女神でしたわ(再確認)

 

 って、ん? ……三人?

 あるぇ? 帰る前に校門に集合を掛けてて、さっきまでいた娘がいなくなってる……?

 聡里ちゃんがケガした経緯を改めて聞きたいとか言われて呼び出されてた間に……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……なあ、礼里ちゃんは?」

 

 恐る恐る訊くと、聖ちゃんが無表情で答えてくれました。

 

「礼里は……先に帰ったぞ。止めても聞かなかったのだ」

「……はぁ? なんでだ」

 

 いやマジでなんで? 意味が分からん……。危機意識ウス過ぎか?

 

「理由を訊いても要領を得なかったな。なんでも……」

「嫌な予感がする、って。ボクも止めたんだよ? でも先に行かないと、パワプロくんが危ない気がするって言うんだ」

「あ、私も止めた。ホントよ? けど幾ら言っても無視されちゃった」

「………」

 

 えぇ……?(困惑) 待ってくださいよ。

 礼里ちゃんは、はっきり言うと超能力者の素養を持つ娘です。パワプロ時空のみならそこまででもないんですが、パワポケ要素も融合してる本作だと、そういう素養は礼里ちゃんに限らず強調される傾向にあるんですよね。

 なので、その手の嫌な予感とかいうのでも、割と正鵠を射てるケースは多いんですよ。超特『読心術』こそゲノム大付属中学に入ってないんで持ってませんが、その下位特を礼里ちゃんは持ってるとは以前も言いましたやね? 要するに生まれた時から、天然素材のままオカルトの領域に片足を突っ込んでるのが本作の礼里ちゃんなんです。その礼里ちゃんが()()()()()()()? ()()()()()()()()()()()()()()と言った? で、先にどっか行った?

 

 ……。

 ………。

 …………やばくね?(素)

 

「聖。礼里の奴はどっちに行った?」

「せ、専一……?」

「教えろ。早く追わねえとマズイ気がする」

 

 おっと、ちゃん付け忘れてた。

 ちゃん付けで通してきたんで聖ちゃんを戸惑わせてしまいましたが……些事です。

 あっち、と礼里ちゃんの家がある方角を指差す聖ちゃんに頷き、急いで走りましょう。単独行動許すとかどうなってんの?(憤怒)

 裏社会の事なんか知らないんで、聖ちゃん達の危機意識が薄いのは仕方ないですが……わたしの本気が伝わってなかったのはショッキングです。わたしが走り出すと慌てて追い掛けて来る三人娘達にも意識を向けつつ、礼里ちゃんの通学路を辿っていきましょう。

 

 礼里ちゃんの思考回路、性格などは把握しています。何年一緒にいたと思ってるんですか。完全に理解してますよ……礼里ちゃんは意外と尽くす女です。献身的です。ぶっちゃけ自分の身も顧みないで戦いに挑む事もあります。

 本来の礼里ちゃんは、パワプロくんと幼馴染にならないと、ゲノム大付属の中学に入学しそこで怪しい実験をされてしまいます。そこで身体能力を強化されて超能力が覚醒、超特『読心術』に開眼するわけですが、住田とかいうフランケンシュタインっぽい大男を弟分にしてるわけです。彼と常に行動を共にして、感情が無くなってるか薄くなってる住田くんを元に戻そうと模索し続けてる感じなんですよ。

 で、闇野とかいう奴のとこで色々あって、パワプロくんがラスボス化し、住田くんの魂をアイテム化してゲットすると――礼里ちゃんは危険も顧みずに、戦いを挑もうとしているラストを迎えます。本来のこのルートからも分かるはずです、礼里ちゃんが如何に勇敢で献身的なのかが。

 

 多分礼里ちゃんは、虫の知らせか何かでパワプロくんに危険が迫っているのを感じ取ったんでしょう。どういう理屈かとかそんなのは説明できません。超能力とかいうオカルトに科学的な説明とか無意味ですよ。

 強いて言えば直感が働いた、という一言で通ってしまいます。そういうものなんです。礼里ちゃんは恐らく、誰か一人有望な人員を確保したら、オオガミだかジャジメントだかが一先ずは離れていく事をオカルトパワーで感じてるのだと思います。正解だよ畜生!

 ――あっ、それをわたしから感じ取ったのかも? ってことはわたしのせいなのこれ!? 礼里ちゃん、パワプロくんの代わりになろうとしてやがんな。人身御供になろうとしてやがるな!? だぁれがそんな真似許したんじゃ勝手な事してるんじゃねぇぞ!?

 

「礼里ぃ! どこだ、いたら返事をしろ!」

 

 話に聞く限り、礼里ちゃんが勝手にいなくなった時間と照らし合わせると、そろそろ追いついてないとおかしい。なのに見つからない、追いつかない。

 ヤバイ。今更ながら焦ってきました。

 わたしの様子がおかしいと気づいたらしい三人娘も、戸惑いながらもわたしに倣い大声で礼里ちゃんへ呼び掛け始めてくれました。橘財閥のガード要員はどうしてるんですかね、仕事しろよ頼むから。無能とか勘弁してください。

 いません。

 探しても見つからない。

 礼里ちゃんの家に着きました。インターホンを押して親御さんが出てくると礼里ちゃんが帰ってきてるか訊きましょう。……帰ってない?

 親御さん、なんだか様子が変ですね……いや、今は構ってる暇はない。後回しです。とにかく行動は迅速に、です。

 

「ね、ねえ……もしかして、これって……ヤバイ感じ?」

「ヤバイな。みずきちゃん、これ洒落じゃ済まねえぞ」

「………」

 

 空気を肌で感じて、嫌な予感が身近に迫り青い顔してるみずきちゃん達に言いながら電話します。

 ……。

 ………。

『現在お掛けになった電話番号は――』………。

 礼里ちゃん、電話に出ねえ。警察に速攻電話します。

 事情を説明して捜索依頼しますが、親でもねえわたしからやったんじゃ意味ないんで、わたしが電話した後に親御さんたちにも電話をするように頼みましょう。

 

「悪い、あおい達は帰ってくれ。俺と聖だけで探す」

「え……で、でも……」

「ボ、ボクも手伝うよ……? なんだか、危ないんだよね……?」

「危ないから帰れって言ってるんだ。はっきり言って二人を守りながら探して回る余裕はねえ。聖にも帰って欲しいんだけどさ……あおいはみずきの家にでも泊まってくれ。今日だけでいい。聖は俺といた方が安全だ」

「き、キャップ……? どういうこと? 私達にもできる事は――」

「ねぇよ。頼むから余計な心配させてくれんな」

 

 行くぞ、と聖――ちゃんの手を引っ張って走り出します。わたし一人だと奇襲に謎パワーで気づけないかもですが、聖ちゃんがいたら謎パワーが分散して気付けるようになるかもしれません。危険に巻き込むのは不本意ですが、みずきちゃんとは違い、お寺という家の防御力皆無なとこに置いとくわけにもいかないでしょう。

 聖ちゃんは顔面蒼白ですが、気丈です。気力を振り絞って付いてきてくれてます。聖ちゃんもみずきちゃんとこに泊まって貰うのも手ではありますが、聖ちゃんが大人しく言うことを聞くわけない。わたしが一人で走り回ってたらそれを追って来る。そういう娘です、なので最初から一緒にいた方が良い。

 

 聡里ちゃんに続いて礼里ちゃんとか……ふざけんなよ……?

 もし礼里ちゃんになんかあったらお前……再走覚悟で色々覚悟完了しちゃいますからね?

 

 ――結局、深夜0時まで探しても、礼里ちゃんはどこにもいませんでした。

 もちろん、家にも。

 

 すみません、ちょっともうこれ以上は無駄なんで――

 一旦帰って落ち着き考えを纏めましょう。

 礼里ちゃんは確定で捕まってます。もうわたしや聖ちゃんが狙われる事はありません。これはそういうイベです。

 ……しゃあない、かな? 聖ちゃんを帰らせて……親御さんに聖ちゃんを連れ回した事を誠心誠意謝り、わたしも帰ります。んで、パッパとママンに謝り……覚悟、決めますかね。

 ホントはやりたくなかったんですが……オオガミとかジャジメントの拠点は分かるんで虱潰しに襲撃して、礼里ちゃんを救出します。

 今日は体力使ってるんでそれを回復させて、作戦実行は明日です。というわけで今回はここまで、一度ログアウトしてリアルの方でじっくり作戦を練り、起きたら作戦を開始します。

 情報集めなきゃ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

  †  †  †  †  †  †  †  †

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――告白すると。私は、甘く見ていた。

 危険。専一が危ないという、予感。()()()()()()()()()()()そんな気がして、いてもたってもいられなくなった。

 専一の心を感じたから、というのもある。私が――いや、専一以外の誰かが()()()、危険は去るという確信を言語化できない領域で得ていた。

 理論的ではない、あやふやな感覚だったが私はそれに従っていて――これも確信だったが、専一が必ずなんとかしてくれるという予感もしていたんだ。

 だが、甘かった。

 私の感じた『危険』のレベルが、私の想像を遥かに超えたものだったのだ。

 

 

 

「科学ノ発展ニ犠牲ハ付キ物デース」

 

 

 

 何者かに連れ去られ、私は意識を取り戻すと、白衣を纏った丸眼鏡の老人に見下されていた。

 手術台に寝かされている。手足を台に固定されている。

 私を見下ろす――無数の視線。これは、駄目だ。何もかもが終わる。不思議とこの白衣の老人から悪意は感じなかったが、ここにはいない誰かの目線を感じる。悪意と愉悦に塗れたものを。

 

 ――デスガ、コレハアンマリデス。

 

 辿々しい日本語で、老人が呟く。――肉声じゃない。直接、頭の中に声がする……? 思念が、嘗てなく鮮明に感じられた。

 老人は、それを理解しているようだ。まるで私に語り掛けているような思念がある。

 

 ――科学ノ発展ニ犠牲ハ付キ物……ソレハ間違イアリマセン。デスガ本人ノ同意モナク無理矢理実験スルナド……。

 ――オ嬢サン。貴女ノ脳波ヲ強化シテイマス。一時的ニデスガ貴女ノ異能ノ才能ガ覚醒シテイルデショウ。ヨク聞キナサイ。

 ――コレカラ実験シマスガ、安全マージンヲ取ッタ物デス。ホボ確実ニ成功スルハズデス。今ハ見ラレテイルノデヤルシカアリマセン。

 ――デスガ隙ヲ見テ手術ヲ終ワラセ、貴女ヲ逃ガス用意ガアリマース。

 ――次、意識ガ戻ッタラスグニ逃ゲナサイ。デナイト貴女ハ人格ヲ破壊サレ兵隊ニサレテシマイマスヨ。分カリマシタネ?

 

 メスが、私の額に迫る。ちくりと痛みが走り、私は意識を失って――ふと気がつくと、私は走っていた。

 いつの間にか見覚えのある、元の街を走っていた。

 夜、家に帰る。だが家に帰ると、両親は私を見るなり妙な――

 

 

 

 ――私を売った?

 

 

 

 心が克明に感じられ、意識が暗転する。

 気がつくと、誰かの手を引いたまま走っていた。

 最初から誰かを引っ張っていたようだ。息が乱れていて、私が連れている人は死にそうな息遣いだったが構う余裕はない。

 私は、気がつくと――もう、心の拠り所になる奴の家に、忍びこんでいた。

 心細い。怖い。嫌だ。なんなんだ、何があったんだ。怖い、寒い。私は汗を掻いてる自分を忘れ、眠ってるソイツに縋りついた。

 

 売った? 一生遊んで暮らせる金? なんだそれは、そんなもので私は。偽善だった、こんな事があっていいはずがない。

 ああ――助けて。専一……。

 

 

 

 

 

 

 

 

  †  †  †  †  †  †  †  †

 

 

 

 

 

 

 

 

 はい、作戦練ってきました。再開しますよ――ぉぉおおお!?

 

 なんで礼里ちゃんがわたしのベッドの横で手を握り締めて寝てるの!?

 って床で死んだように気絶してるの、明らかに体力がなくて無理に走り回らされた感じの――ダイジョーブ博士じゃないですかヤダー!?

 

 な に が あ っ た し

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第二次アンケートがパワプロくん対象とは一言も言ってなかったですよね……結果次第で礼里ちゃん離脱し、高校時代に敵チームで登場する事になってました。

ダイジョーブ博士は無理矢理協力させられてた人。外道ですが邪悪ではない人が引っ張ってこられました。礼里ちゃんは全ステが原作仕様にランクアップし、男女の性差を超えてしまいました。それと、超特も…。

面白い、続きが気になると思って頂けたなら評価等よろしくお願いします。

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