六道聖にとって力場専一ことパワプロは、隣にいるのが当たり前の存在だった。
何せ親同士が親しく、誕生した日付からして同じで、母親が生んだ病院まで一緒だったのである。
生まれた時からの付き合いと言っても過言ではなく、事実として物心ついた時から私とパワプロは一緒にいた。
一番古い記憶は、パワプロの横でテレビを見ている所。野球観戦をしていて目を輝かせていたパワプロの横顔を、私は今も覚えている。
『俺、将来は絶対プロ野球選手になるんだっ!』
パワプロはそう宣言して野球にのめり込んだ。
兄妹のようにいつも一緒にいた私も野球に興味を持ったのは必然だったのだろう、パワプロとのキャッチボールを始めるのに時間は掛からなかった。
あの思い込んだら一直線なパワプロに、付いていくのはとても大変だった。投手をやりたいと言うパワプロに合わせて、じゃあ私は捕手になると宣言したはいいものの――野球センスに優れていたパワプロの球を零さないようにするだけで精一杯だったのだ。
あちらこちらを走り回り、遊んで、勉強して、いつもパワプロに付いて回る私は、いつしかパワプロから妹扱いされている事に気づいた。しかしそれに不満を覚える事はなく、むしろ当然のように感じて……そうだ。私は最初、パワプロを兄のように慕っていたんだ。
パワプロは凄い奴だ。贔屓目が入っているかもしれないが、本物の天才だと胸を張って断言できる。
ろくに勉強もしていないくせに、テストで百点を取り続ける兄貴分に置いていかれたくなくて、私は野球も勉強も必死になって熟したもので――何年か前のクラスメイトの男子に、まるで親鳥の後を付いて回る雛鳥みたいだと揶揄されても、その通りだろうなと受け入れてしまった。
付いていくのがやっとだ。少しでも気を抜いて、少しでもよそ見をしたら、あっと言う間にパワプロは私の隣からいなくなる。どこか遠くへと行ってしまう。溢れる才能を伸ばし続けて、私の手が届かない世界へと飛び込んでいくだろう。幼心にそのことを察していたから、私は誰よりも必死だったんだ。
練習は辛かったし、痛かった。苦しかったし、泣きたかった。けど――それ以上に楽しかった。
パワプロは不思議な奴だった。パワプロと一緒に野球をするのが楽しくて楽しくて仕方がないのである。
それは多分、パワプロがいるから楽しいのだろう。パワプロがもしいなかったら私は野球を続けられない。しかし野球を止めたくもない。
『パワプロと野球をする』喜びは、何にも変えがたい楽しみだった。それがなくなれば、私の全てが色褪せる。怖かったのは、きっとそれだけだ。
だから――心が折れそうな苦痛も、泣きたくなる過酷さも、何かに打ち込む楽しさも、喜びも。激しい感情の起伏の何もかもはパワプロと共にある。
親に、パワプロへ依存しているんじゃないかと心配された事もある。だがそれの何が悪い? 依存しているつもりはない、ただ共に生きていくことが私の喜びなだけだ。パワプロがサッカーをしていたら、私もサッカーをしていただろう。パワプロが普通の学生として過ごしていても、私はそこにいるだろう。共にいるのが当たり前なだけなのだ。
『聖ちゃんは最高だな! 俺が本気で投げても捕ってくれるのは聖ちゃんだけだし、俺の女房役は聖ちゃんしか出来ないよ。こんなに気持ちよく投げられる相手は聖ちゃんだけだ!』
――私の誇りは、この言葉にある。
そうだ。パワプロは絶対に、世界で一番凄いピッチャーになる。なら私は世界で一番のキャッチャーになる。
未来のナンバーワン・ピッチャーとキャッチャーだ。二人で組んだら最強なのは明らかで、私のその想いは今のところ現実のものになっている。
【江戸川ジーニアス、優勝ぉぉぉ――!!】
――少なくともリトルリーグの世界に、私とパワプロのバッテリーを打ち崩せる奴なんていなかった。本塁打はおろかまともにヒットを打った事のある奴もほとんどいない。パワプロと対等に渡り合えるような打者は、私達の仲間である霧崎礼里ぐらいなものだった。
世界は広い、天才はたくさんいる。一度大会で優勝した程度で慢心すると、必ず痛い目を見るぞとチームの監督に言われた事がある。そうかもしれない、だがそれがなんだ。もし壁にぶち当たっても、パワプロと一緒ならどんな壁も打ち砕けると確信している。その自信だけで充分だった。
小学校を卒業した後も私達は当たり前のように同じ中学、同じシニアのチームに所属した。
ここでも私達は頂点に立つ。先輩だとか、後輩だとか、そんなものは関係ない。野球は年功序列じゃなく、純然たる実力主義であるべきだからだ。そしてその実力でも絶対に負けない。
新入生の実力を見るための紅白戦でも、手を抜くつもりはなかった。常に全力だ。もしミスの一つでもしてしまえば、恥ずかしくてパワプロの女房役を名乗れないだろう。
――そして
代わりに立ち昇るのは激しい気炎だ。幼さ故に中性的にも見える整った容貌へ、燃え上がる闘志で化粧をしたかの如き威圧感が現出する。
傲慢なまでに自信に満ち溢れたマウンドの王、場を支配する絶対者として君臨するのがエースだと、パワプロは負けん気の強すぎる持論を展開していた。
相手が誰であろうと捻じ伏せに掛かる威圧感は、とてもリトルからシニアへ舞台を変えたばかりとは思えない圧力を秘めている。
鋭く光るのは猛禽の如き眼光。その鋭角的な貌に魅入られた。
真摯に、真面目に、ひたむきに野球を楽しむ兄貴分の少年。生まれた時から定められていたように、頂点を見据えて翔ぶ鷹の王。その目はまっすぐ私の構えたミットを――私の目を捉えている。
投球のサインなんて、私達の間には必要なかった。私と彼の直線上には、誰にも阻めない二人の世界があって。さあ、行くぞと。見せつけてやろう、と。パワプロが何を投げたいのかが手に取るように分かる。どこに投げさせれば最高の威力を発揮するのかを感じられる。
(――なんだ、この一年坊)
マウンドの土を踏みつける
微かな所作、表情、打席の立ち位置、バットの握り、手足と背筋の力み具合から打者の状態を推察する。その心情を分析する。
この一年上の先輩は今、パワプロの威圧感に気圧された。なら――何を投げたらいい? 答えは決まっている。私の目を見て、パワプロが頷いた。アイコンタクトだけで意志の疎通は完璧に行われる。
「内角高め、ギリギリの所にストレートですよ、先輩」
「――!」
小声で密かにささやき掛けると、先輩はギクリとして私を横目に見てきた。
何を、と。そんなまさか、と。投げるコースと球種をバカ正直に教える奴がいるのかと、先輩は疑った。
これは紅白戦だ。だがこの先輩はチームの二軍、実力をアピールして一軍に上がりたがっている。この紅白戦にやる気を見せているのが見え見えで、だから些細な揺さぶりでこんなにも動揺している。――容易い相手だ。
パワプロが始動する。
右足を上げて、体重移動を滑らかに行なうために体軸を傾け左腕が撓る。腰から背中へ、背中から肩へ、肩から肘へ、肘から指先へ。連動して撓る様は、まるで肉の鞭が唸りを上げているかのようだ。
そして躍動する。投げ放たれた渾身の
無理もないと思う。パワプロの投球フォームは左のオーバースローだが、独特な形に改良されていて、腕の出処が見づらく球持ちがいい。リリースの瞬間の安定度も抜群で、速球はホップしているかのように手元でノビるのだ。
投球フォームの完成度は、既にプロ級だと評価されている。
えげつない速球である。私にはとても打てない――そしてこの先輩にも。反射的に仰け反っただけで、バットを振れていないのを淡々と見据える。パワプロへ返球して、更にささやく。
「次、行きますよ」
何を、どこになんて事は言わない。迷えば迷うだけ、パワプロの球に反応できなくなる。続く第二球もまったく同じコースに突き刺さり、打者は悔しげに唸った。球速も速いが反応できないほどではないはず、とでも言いたげだ。
口角を釣り上げパワプロが嗤った、その表情で投げたい球を察し苦笑する。ここへ、と。投げるのは一度だけだぞとミットを構える。真ん中低めギリギリだ。
パワプロが頷く。そして大きく振りかぶり、右足を上げた。腰の回転を連動させ、胸を張り背筋を収縮させて力を溜める。そうして溜めた力の爆発が伝わり、速球と全く同じフォームのまま
また高め。捕手の構えたミットとは逆球に見えるだろう。だがここからだ。
ストライクゾーンぎりぎりの真ん中のライン。今度は見逃さないと言わんばかりに打者がバットを振り――ギュル、ギュルルッ――と、そんな擬音が聞こえてきそうなほど鋭角にボールが落ちた。
ストライクゾーン高めから、低めギリギリまで転落したのだ。打者の胸元から、膝の上の位置まで。
私も最初の数カ月は捕球もままならなかったパワプロの魔球。切り札とも言える変化球。速球とほぼ球速が変わらない上に、凄まじいキレと変化量を持つそのボールの名は『ジャイロフォーク』といった。
実戦で投げられる投手は、世界を見渡しても十人もいないのではないか。そう言われる魔球をパワプロは小学生の頃に開発していた。そのあまりの変化量に、打者の視界からボールが消えたように感じられただろう。
唖然として振り返ってくる先輩。それを無視して立ち上がり、ボールを投げ返して私は宣伝するように言った。
「まず一つ、この調子だぞパワプロ」
「おう」
返球されたボールを、横から掻っ攫う形で捕ったパワプロが淡白に返事をしてくる。
だが、その貌には自信が漲っている。薄い笑みがある。
天才が、嗤っていた。
――なんて、似合うんだろうな。
私は定位置に戻り、次の打者を迎えながらマウンドを見る。
佇む相棒の姿の肩越しに、ショートを守る霧崎と目が合った。霧崎は肩を竦め、私は苦笑した。
ああ、分かってる。ジャイロフォークは一度しか投げさせない。あれはまだ今のパワプロには負担が掛かりすぎるからな。
とはいえその一回で充分だ。先輩方のベンチはざわつき、監督は目を見開いている。今のジャイロフォークは強く頭の中に残り続けるだろう。
さあ、まだ初回だ。紅白戦ゆえに三回でパワプロの出番は終わるが、最後まで締まっていこう。
一回表の守備が終わり、攻撃の手番が回ってくる。一番打者は霧崎で、二番が私だ。そしてパワプロが三番だった。
リトルの頃からの鉄板の打順、これで最低でも一点は取る。
「礼里ちゃんがんばえー」
「……ふん」
マウンドの上に立っていた時と打って変わり、いつものパワプロに戻った。
気の抜けた声援を受けた霧崎が打席に向かう。悠然とした足取りは、後続の私達と同じ考えを持っているからだろう。
霧崎はシングルヒットを打って、私の打順で盗塁し悠々と二塁に進む。私はそれをバントで三塁に送り、パワプロがシングルヒットを打って先制点を上げた。いつものパターンだった。
「初見の投手からモーションを盗むとは、やるな」
「今更だ。
ホームに帰ってきた霧崎に感心して声を掛けると、一見冷たい声音で返される。これも
それでも親しみを覚える。小さく笑みを浮かべながら、軽く手を合わせた。パシ、と音が鳴り――よく見ないと分からないぐらい薄く霧崎も微笑む。
しかし続く四番の打順で、投手のくせに盗塁を試み相手捕手に刺されたパワプロを見て、私と霧崎は呆れてしまった。
「六道」
「分かっている。ハァ……あの野球馬鹿。全力なのはいいが監督も呆れているぞ」
溜息を吐いてしまったが、これもまた
最近わざと怒られたくてやってるんじゃないかと疑わしくなる時もあるが、そんな事は関係ない。投手は繊細なんだ、もう少し自重しろ。
野球に対しては常に全力全開なのが、パワプロの魅力の一つなのが悩ましいところではあるのだが――私も、そして霧崎も、随分と難儀な奴に入れ込んでるものだった。
† † † † † † † †
オリジナル変化球と超特殊能力講座をしながら弾道を上げるやきう、はーじまーるよー!
はい、というわけでいきなりですが小学六年生時点のステを、参考のためもう一度お見せしましょう。
【投球フォーム:オーバースロー17(改良済) 投打:左投げ右打ち
球速:120 コントロール:70 スタミナ:50
チェンジアップ:5 スライダー:5 カーブ:5
ミート:70 パワー:30 走力:50 肩力:70
守備:65 エラー回避:60】
特殊能力は敢えて省いてますよ。
で、以下のものが硬式に移ってからの、弄っていない中学一年時点の初期ステです。
【投球フォーム:オーバースロー17 投打:右打ち左投げ
球速:125 コントロール:60 スタミナ:30
チェンジアップ:3 スライダー:3 カーブ:3
ミート:50 パワー:20 走力:40 肩力:60
守備:45 エラー回避:50】
唯一球速が上がってますが、それは空気抵抗の強い軟式から、弱い硬式に変化した事で差が出ただけなので気にしないでください。
球速以外は弱体化しているのがよく分かるはずです。これは酷いグロ画像ですね……。まあ中学生と小学生の差は大きく、高校生と中学生の差はもっと大きいのですけど。特に野手能力はそれが顕著です。
が、まあそこはすぐに埋められる程度の差ですよ。普通の人にとっては簡単でなくても、パワプロくんはステを弄れますからね。こんなんチートや、チーターや!(今更)
本作ぱわぷろ(平仮名)の仕様では、試合をしたからと一気に経験点が入ってくる事はありません。経験点を手に入れたければ地道な練習や運動、特殊なイベントを熟さなければならず、そのためコツコツとコツを集めなければならないです(激ウマギャグ)
なもんで、常にステを弄るのはナンセンスです。体が追いつくまで無茶な能力にしてはいけません。ケガの原因になるので。で、中学生になったのでステを上げましょうね。小学生の頃から溜め込んでいた経験点を消費し、掴んでいたコツも含めて特殊能力も取得します。
するとこんな感じになりました。
【投球フォーム:オーバースロー17(改良済) 投打:右打ち左投げ
球速:135 コントロール:80 スタミナ:72
チェンジアップ:5 スライダー:3 カーブ:3
ミート:60 パワー:40 走力:50 肩力:70
守備:60 エラー回避:60
・センス◎ ・選球眼 ・積極走塁 ・積極盗塁
・ミート多用 ・走塁2 ・盗塁2 ・ケガしにくさ5
・低め1 ・ノビ4 ・重い球 ・キレ3
・リリース ・球持ち】
中1でこれとか化け物やな(感嘆)
体の成長に合わせた云々と解説してましたが、説明が不足してました。すみません。より詳しく言うと小中高とそれぞれ能力上限があり、小から中に上がると能力キャップが解放されるんですよ。それを体の成長云々と言い換えていたんです。分かりづらくてごめんなさい。
で、参考までに言うと中学時代の球速上限は140です(突破できないとは言ってない)。高校時代で163ですね。ご存知でしょうがこれ、現在に至るまでの中高生の最高球速記録でしてね、世の中にはとんだ化け物がいたものです。これを超えるには莫大な経験点を消費しなければならないので、今はこの上限を超えようとは思いません。
そして本題。まずオリジナル変化球についてです。
本作は仕様上、プレイヤースキルが非常に重要な要素として絡んでまして、システムの補助がほとんど無いので素で野球が上手くないといけません。
投球フォームだとか、バッティングのフォームだとか、フィールディングなどの立ち回り方が例えとしては分かりやすいでしょうか? これはプレイヤースキルに依存するので、能力をどんなに高くしてもパワプロくんの中の人がヘタクソなら真価を発揮できません。
なのでわたしは何度も本作をプレイし、原作キャラやコラボ先のキャラに何度も何度も指導してもらって、うーん……ゲーム内時間をリアル時間に換算すると、何十年間ぐらい練習してましたかね……? そこまでして、かつ主人公特権の能力弄りを駆使し、やっと凡人のわたしでも活躍できるようになりました。多分わたしのプレイヤースキルは全プレイヤーの中で中堅、あるいは平均よりちょい上ぐらいだと思います。ですので野球愛とパワプロ愛と根気と根性があれば、誰でもわたしがやれることはやれるはずです。
なお原作キャラはそんな何十年間の努力に追い縋って来れるという(白目) これが才能の格差社会ですよ(震え声)
で。変化球もまた、コツとかは掴めるのですけどシステムの補助は弱く、何度も何度も研究して実践して理論を作って反復し、自力で覚えなければなりません。そうですここでもプレイヤースキル依存です、もう頭に来ますよー。
そんなクソ仕様なので、マジの天才プレイヤー様か、ガチの廃人じゃないと本作のエンジョイプレイは難しいですね。一般的なプレイヤーの方にとっては原作キャラとの絡みが醍醐味でしょう。
というわけでパワプロシリーズ特有のオリジナル変化球を投げたければ、原作キャラに教えてもらって覚える! なぁーんて真似はできませんので、自力で覚えないといけないわけです。そうして一度覚えたら、強くてニューゲームするとステ表記に載っていない変化球を投げれたりします。いわゆるセルフ隠しステという奴でしょうか。
私の場合現実では絶対に投げられないであろう、パワプロ世界で覚えているオリジナル変化球が二つあります。一つが別作品のコラボ先の主人公、茂野吾郎氏が投げる『ジャイロフォーク』と――もう一つはまだ秘密という事で。
このジャイロフォークの完成度は、伝授してくれた本人からも太鼓判を押された代物で、切り札の一つに数えられます。あ、この吾郎氏はコラボ期間を終了しているので本作にはもう出てきません。(パワプロ時空の事件に巻き込む事は)ないです。やったぜ。
なーのーで。わたしの努力の集大成と言える投球技術を駆使すれば、パワプロくんは小中学生時代を無双して終われます。リトル時代の蹂躙劇をほぼお見せしなかったのはそのせいです。才能の化け物()なパワプロくんに蹂躙されて、絶望し心が折れた子供たちの様子はお見せできないので……。
なお高校時代からは原作キャラがスゲェ勢いで追いついてくるから油断してはいけませんよ(怯え)
そういえばジャイロフォークをはじめて投げた時は、あの聖ちゃんですらまともに捕球できず、泣きそうになってる顔を拝めたものです。泣いてる聖ちゃんはか"わ"い"い"な"ぁ"!
というか、そんなガチで泣くほどの事だったんですかね? 寧ろ今は(手を抜いてるとはいえ)捕れるようになってる事に驚きを禁じ得ないのですが。流石は抜群の集中力を持つ聖ちゃん、みずカs――ゲフンゲフン、橘みずきのクレッセントムーンを捕れるだけの事はありますよ。正直な話、わたしのジャイロフォークは初見だとプロの捕手すら後ろに逸らすはずなんですけどね。子供の時から何度も捕球練習してるとはいえ、捕れるだけ凄いですよ。
――対して超特殊能力。ノビ5の上位能力『怪童』などは、なんとシステムの補助が息を吹き返しバッチリ補正してくれます。
ですが悲しい事に、高校に上がるまでに取得できる超特殊能力は数に制限がありまして、たったの二つしかゲットできません。超特殊能力を取り過ぎたらヌルゲーになるという開発陣のバランス調整でしょうか……? ともあれ仕様に文句を言っても仕方ないので、大人しく納得しておくしかないでしょう。
なのでわたしが取得する超特殊能力は決まりきっています。『ケガしにくさ5』の上位版『鉄人』と『ジャイロボール』の上位版『ハイスピンジャイロ』です。前者は言うまでもなく故障防止策として。後者は『ジャイロフォーク』の威力とキレを高めるためです。『ノビ4』との組み合わせで体感球速が実際よりかなぁーり速くなるでしょう。
そして以下のものがわたしのプレイヤースキルを反映し、超特を持った真のパワプロくんの能力です。中学時代はずっとこれで通します。仮に上げたとしても、最大で球速を147にするぐらいですね。
【投球フォーム:オーバースロー17(改良済) 投打:右打ち左投げ
球速:135 コントロール:80 スタミナ:72
・ジャイロボール ・ストレート (・ジャイロフォーク:5)
・チェンジアップ:5 ・スライダー:3 ・カーブ:3
ミート:60 パワー:40 走力:50 肩力:70
守備:60 エラー回避:60
・センス◎ ・選球眼 ・積極走塁 ・積極盗塁
・ミート多用 ・走塁2 ・盗塁2 ・鉄人
・低め1 ・ノビ4 ・重い球 ・キレ3
・リリース ・球持ち ・ハイスピンジャイロ】
うーん……まあ普通ですよね。あ、ぱわぷろ(平仮名)のガチ勢プレイヤー基準だと、です。もっとエグい人は探せばいますよ。
ですが、本作中だと文句なしにトップクラスです。――もう一度言いましょうか? トップクラスなんです。つまりこのパワプロくんレベルの原作キャラが、実は何人かいるんですよ。
代表的なのがパワプロシリーズの永遠のライバルキャラの一人、猪狩守ですね。変化球とコン・スタでは勝ってるんですが、今の球速では負ける上に、猪狩守の隠しステのせいで特殊能力では並ばれてるんですよ、これ……。他にもチラホラと化け物はいますが言及は避けておきましょう。
そしてそしてぇ〜?
皆様お待ちかね、彼女を作る所をお見せしましょう。
パワプロくんの入ったシニアチームは『八王子パワフルズ』です。わたしがここを選んだのは、同じ地区の中学に通っている娘がここでマネージャーをしているからなんですよ。
目当ての娘はずばり、氷上聡里ちゃんで――ん? 聖ちゃん、礼里ちゃん、どちらも最後に『り』が付きますね。礼里ちゃんの字とも被ってます。……どうでもいいですけど。
さて。氷上聡里ちゃんとは、SPを目指しているクールビューティーです。正直な話、SP目指してて合気道も倣ってるのになんで野球のマネージャーやってんの……? と思われるかもしれませんが、パワプロシリーズの彼女系列にそんなこと気にする意味はありません。キャラごとの個性の差別化のためでしょうからね。
とはいえわたしがこの娘を目当てに来たのは、もちろん訳があります。パワプロくんを育成する過程で、中々バイオレンスで闇の深い事件に遭遇するのはほぼ必然でして、身近なバッドイベントを挙げるとパワプロの能力に嫉妬したチームメイトに肩を壊される(物理)事があるんですよ。
そういうのを防ぐには、こちらも物理で対処するしかありません。オカルトに物理は無力ですが、物理にはより強い物理で対処できるので。
なので氷上聡里ちゃんは非常に助かる存在です。まず女の子なのにクッソ強い上に、そういう不穏な気配を敏感に察知して、彼女になっているとパワプロくんを守ってくれます。ついでに超特『変幻自在』のコツまで掴ませてくれる有用な彼女キャラなんですよ。
ぱわぷろ(平仮名)世界でケガをしないようにし、身の安全を確保するのは当たり前のことです。とはいえ虎穴に入らずんば虎子を得ずというように、多少の危険は承知の上で挑まなければならないイベントはあります。
そういう意味で、氷上聡里ちゃんとは是非ともお近づきになりたい。この想いに嘘なんてないんだから……!
が、氷上聡里ちゃんはチョロインではありません。パワプロくんと同い年ですが、身持ちが固いです。なので氷上聡里ちゃんはじっくり落としましょう。
なので他の娘で――この際モブ娘でもいいので彼女にします。原作キャラでなくても彼女にできるのが本作の強みでして、モブ娘を彼女にすると経験点をランダムでくれて、超特のコツはくれませんがランダムでコツを少しくれたりするんですよ。
試合とかだと大量経験点は入らないのに、野球に関係ない男女交際では経験点が入るこの仕様はどうなってるんでしょうね……? やはり弾道が上がるからでしょうか?(意味浅)
とりあえず紅白戦が終わりーの、監督からお言葉をいただきーの、素直に褒めちぎってくれる同期と先輩とお近づきになりーの。負の感情を滲ませる面々は放置し、聖ちゃんと礼里ちゃんを労ってテキトーに先に帰って貰います。んでマネージャーの仕事をしてる氷上聡里ちゃんを手伝いましょう。
赤みを帯びた髪をアップにしてる、綺麗系の可愛い女の子です。マネージャーとして入ってきたばかりで不慣れな彼女に声を掛けました。
「――や。見た感じ、野球チームのマネージャーやるの初めてっぽいね。まだ分かんない事あるなら手伝うよ」
「あなたは……確か、
お、流石に一番目立つと名前を覚えてくれてますか。これは幸先がいいですよ。とは言ってもがっついてはいけません。あくまで自然と仲良くなります。
なので特別な事は何もしません。普通に不慣れ感のある彼女によくしてあげて(意味深) 親切にしてあげるだけでいいですよ。わたしはロリコンではないので、その手の欲を持つ事もありませんし。やはり大人の女性こそが最の高でしょう。
なので純粋な(経験点とコツ目当ての)善意で接するだけです。
「――ありがとう、手伝ってくれて」
「いいって。困った時はお互い様だ。それに出来ない事は互いにフォローし合う方がいいだろ」
「……!」
この娘が望む関係は、守り守られではなく、互いを尊重し合うものです。一度は彼女にして長く付き合ったので、聡里ちゃんのウィークポイントは知り尽くしてますよ。普通の会話に織り交ぜてこまめに
――なおこの娘も彼女にして経験点とコツを吸い尽くしたら関係を清算します。無駄な彼女持ちとかメリットないですから。
とはいえそれでお別れとはいきません。彼氏彼女ではなくなる予定ですが、SPとしての彼女には傍にいてもらいましょう。
そんな事が可能なのか、ですって? 可能なんですよねこれが。『前の』パワプロくんで聡里ちゃん相手にも試したんですが、なんとか成功に漕ぎ着けられました。円満に別れて円満な関係を継続する方法は、確かにあるんです。わたしの腕の見せ所さんは、この彼女枠相手の立ち回りになるでしょうね。
とはいえすぐに彼氏彼女にはなれないので時間を掛けましょう。で、その空いた時間が勿体無いので別枠で彼女を作ります。
お忘れかもしれませんが、パワプロくんはイケメンです。彼個人の学力ステは目を覆うほど酷いものですが、中身のわたしが自力で学力面を補うので無問題。更にスポーツ万能で野球のエース(予定)ですよ。人当たりもよく笑顔満点です。これでモテないわけがないよなぁ? 普通に学校生活を送ってるだけで、経験点を貢いでくれる娘が沢山来てくれますよ。自発的にね。
その際に彼女なんか作ってんじゃねえよとやっかまれる事もありますが、言い訳はこんな感じでしましょう。『俺なんかに告白してくれた娘を無下には出来なかったんだ。でも俺野球に集中してるから、付き合ってる内に向こうが飽きて来ると思う。そのうち別れる事になると思うぞ』とね。
嘘は言ってない。
で、そんなこんなで早速一人目が釣れました。
「力場くん、好きですっ。わたしと付き合ってくれませんか!」
体育館裏に呼び出されてのこのこ出向くと、こんな感じで告白されます。
コイツ誰だっけ?(素) モブ娘の名前とか初見で分かるわけないよなぁ?
あ、わたしは悪くないですよ。だってマジで初対面ですもん。とはいえわたしは来る者拒まず去る者追わずなスタンスです。オーケーと答えましょう。
「うそ!? ほんとに!? や、やったー!(自慢できる!)」
心の声、聞こえてますよ? いや聞こえないけど分かりはします。でもこういうミーハーな娘は簡単に別れられるんで問題ありません。逆にバッチコイですよ。
さぁてメアド交換してラインIDも交換して、名前を教えてもらいルンルン気分で一緒に下校します。今日は八王子パワフルズでの練習がお休みの日ですからね。キャピキャピしてる女の子を連れて楽しく会話をしましょう。面倒臭いですが、これも経験点のため……悪く思うな(葦名並感)
ん? ちょっと遠くに礼里ちゃんと聖ちゃんペアが居る――って怖っ!? なんか凄い目でこっち見てるぅー!?
な、なんですか、あれ。非攻略キャラの二人なんですけど……? なんで彼女との交際を陰口し、監督の評価を下げさせてくるチームメイトみたいな目をしてるんですか? うっわ、本気で怖い……。
えぇ……(困惑) どうなってるんでしょう。ちょっとわたしのチャートにはない反応なんですが。……あ、そうか。いつもはやってる練習をサボってるように見えたんですかね。ならしゃあない、少し彼女たちからの評価が下がってしまってる可能性があるので気をつけておきましょう。
用意してる言い訳もバリエーションを増やして、高度な柔軟性を持って臨機応変に対応します。
――という所で今日はここまで。
色々ありましたが家で就寝します。次回は明日です。また見てくださいね、ばいばーい!
面白い、続きが気になると想って頂けたなら評価等よろしくお願いします(乞食)