男女混合超野球連盟ぱわふるプロ野球RTA   作:飴玉鉛

39 / 62
古巣の選手の名前由来
田井中(劇中名前だけ)たいなか→田と井の中の(かわず)
市山田(ピッチャー)しやまだ→じゃまだ→邪魔だ
弱木田(キャッチャー)よわきだ→弱気だ


アニメじゃない♪ので初投稿です。
ちなみに本日二度目の初投稿です(矛盾)


走者は皆ニュータイプ!

 

 

 

 うるせぇアニメだろうがとツッコんでいくRTA再開します。

 

 ――またしても対戦相手を蹂躙してしまいました……。

 

 28対0ですよ。2回戦目より点差はマシですが、完全試合ペースで叩き潰す大人げない試合展開でした。

 古巣の皆、正直すまんかった。これからの逆風にも挫けず野球辞めないでこれからも頑張れよ!(無責任な激励)

 ぶっちゃけ無双モードは最初は楽しいんですが、やり続けたらマンネリ化を避けられないので、あんまりやりたくないんですよね。なのでやはり、中坊時代の動画はこの大会限りとして、残りは別枠に上げます(掌クルー)

 大過なくイケばですが、流石にここまできたらもう大丈夫でしょう(慢心)

 

 で。今回骨の髄までしゃぶり尽くし、ボロ雑巾になるまで利用し切るつもりでいる、三回戦で撃破した対戦相手、古巣の皆さんの事なんですが。わたしとしてはですね、古巣の皆さんにこれといって怨みは無いんですよね。

 負の感情は皆無と言ってもいいです。恨み辛みは毛筋の先ほどもありませんよ。だってわたしがその気になって立ち回っていたら、彼らに恨まれずこの宮本シニアと同じような関係性を作れていた自信がありますから。

 その場合蛇島くんだけは弾いちゃう事になりますが、それはそれ、これはこれです。――なのに彼らが悪者になってしまったのはですね、ぶっちゃけあそこには聡里ちゃん目当てで入っただけで、彼女を攻略する以外はどうでも良いと思っていたからでして。襲い来る諸々のイベを踏み台に、聡里ちゃんと親密になるための場所としか思ってなかったからなんですよ。その旧チャートは死んだので火葬し、地下深くに埋葬したので今更未練など持ち得ませんが。

 で、おまけに他人の潰し方の狡猾っぷりが、本作ではパワーアップしてる蛇島くんがいるので、わたしがテコ入れしないと古巣の皆さんのモラルがダダ下がりしてしまいます。とにかく直接的な暴力や間接的な嫌がらせまで、あの手この手で潰しに来るんです。全部返り討ちにして聡里ちゃんの好感度の養分にできるから可愛いものですが、これは酷いという他ない堕落っぷりですよ。

 

 というわけで、わたしからのヘイトはゼロ。試合で蹂躙した分、そこそこの養分になってくれて良かったな程度の認識ですよ(邪悪)

 しかしこのままなぁなぁで済ませたら、かえってこちらに災禍が降りかかります。ので、心苦しいですが彼らには徹底的に破滅していただく。わたしだけならともかく、周りの皆に迷惑掛かったら嫌ですからね。

 

 わたしがこれからやる事を簡単に言いますと、叩いて潰して切り分けて塵の分別をきちんとして処理する、という感じですかね。

 

 パワプロくんはこれから大々的に表舞台に立ちます。その現れ方はセンセーショナルで、話題性に富み、パワプロくんの人柄を大々的に喧伝して、かつドラマ性がこれでもかって詰まってないといけません。

 プロになるにあたり、最初から注目を集めているのと集められていないのとでは、最終的なタイムに大きく響いてくるからです。なので如何にしてスター性を獲得するかに心血を注ぎましょう。

 そのためなら心を鬼にする事を嫌ってはなりませんし、ましてや自らの手を汚す事を厭うてはならないのです(マブラヴ並感)

 

 まず試合終了直後のインタビューで布石は打ちました。インタビューに来た葉山とかいう人に『()()を責めるのは止めてやってほしいですね』と複数形で言ってやり、故意死球は投手一人による独断ではない事を示唆しました。――ちなみにわたしが左投げ右打ちという、一見ナンセンスなスタイルでいるのは、こうした場面での故意死球を誘発し狙いを絞り易くするためです。もちろん野球的な意味もありますが。

 左投げの投手の肩や肘に当てれるなら美味しいからね、狙いたくなる心理を逆手に取るのですよ。で、誘発できたら故意死球は絶好球になりますので、来たらこれ幸いと狙い打ちます(暗黒微笑)

 

 なお本作では申告敬遠は出来ません。

 

 あれれ〜? なんでかな〜?(死神) 目障りな選手を潰すための手立てを残しておきたいのかな〜? そこんとこどう思います? オオガミとジャジメントの皆さん? おう、こっち見ろよ。

 

 ――話が逸れました。

 布石を打ち、マスコミの皆さんの関心と邪推を買い、インタビューを受けたら包み隠さず話しつつ、パワプロくんにも非があるんだよ〜(嘘) 彼らを責めないでやってね〜(善人) というムーブを行ないます。

 するとマスコミの皆さんは悪の発掘と断罪という大義名分を掲げ、わたしが何かをするまでもなく勝手に古巣の皆を調べ出します。テレビ中継もされてる大会での暴挙ですからね、連日連夜の報道とインタビューで古巣の皆は精神的にフルボッコされていきますよ。んで、マスコミの皆さんの根掘り葉掘り調べまくるスタイルは、悪として古巣の皆を叩きたいが故のものなので、万が一パワプロくんに都合の悪い事が分かっても目を瞑ってくれる素敵仕様です。

 で、ですね。

 これだけでは足りません。わたしはパワプロくんの追っ掛けの女の子たちを利用します。普段めちゃんこウザったいんだからこういう時ぐらい利用させてもらいますよ。付き纏ってくる娘達との話に付き合ってやると、やはりというか故意死球の話題を出してきて話を聞いてきたがるんですよね。今ホットな話題だからでしょう、無神経な事だ……(すっとぼけ)

 

 わたしはそこで、仕方な〜く話しますよ。敢えて部分部分は暈して。するとどうなると思います? ……彼女達はファンクラブ()としての使命感を燃やして、自分達のネットワークに聞いた話を大きくして拡散してくれます。

 パワプロくんにそんな酷い事するなんて許せない() わたし達がパワプロくんを助けなきゃ() そしてあわよくばお近づきにグヘへ……。げに恐ろしきは集団となった女の子達である。自分達の行為を正当化デキたらどこまでも突っ走れる性質とか、狂気以外の何物でもないんだよなぁ……。

 そして今は、このホットな話題で視聴率やらなんやらを稼ぎたいマスコミの皆さんにインタビューを受ける率が高いんで、古巣の彼らと同じ学校に通っていたり、パワプロくんが転校前に通っていた学校にいた娘達はあることないこと騒ぎ立ててテレビの電波に乗るんですよ。ボヤ騒ぎ程度で済むはずの話題すら大火事になります。気分はサイコミュを積んだMSのパイロット、決め台詞はやはりこれ。イケっ、ファンネル達!(ファンの皆&マスコミ)

 

 特にファンネルで集中砲火され、叩かれているのは市山田くんですねぇ。故意死球二回連続は流石にマズイです。実行犯としてやり玉にあげられ、今や彼らの野球人生は終わったも同然ですよ。

 酷いなぁ。けど挫けたら駄目だゾ。まだ這い上がれるから(実体験) まあ普通は無理なんですがね……特にわたしの邪魔をしたり周りの人を巻き込まれたら堪らんので、骨すら残しませんよ(比喩)

 ここまでは順調です、後は自立式ファンネル達が勝手に対話()してくれて灰燼に帰してくれます。叩いて潰した段階ですね。次は切り分けて塵の分別をして処理する最終段階ですよ。

 

 ――試合から数日。次の試合が翌日に迫った夜。パワプロくんは一人で夜のジョギングをします。礼里ちゃんが付いて来そうだったので、ノックダウンさせてヤりました(意味深) 一人じゃないと駄目だからね、仕方ないね。

 

 すると、やはり来ましたよ。街道の曲がり角から金属バットの不意打ち。ひらりと躱します。

 

 古巣にいた頃にも襲撃してきた面子です、あんな目に遭ったら確実に来るのは確定的に明らか。一人になった所を狙いたがるのが見え見えなんだよなぁ。

 市山田を筆頭に――蛇島くんはやはりいません――あのシニアの中核たちが攻め込んできました。が、こっちは素手でも関係ありません。フルボッコしてやります。

 ペッ、雑魚が……わたしとて仮にも走者の端くれです、素人の群れなど相手にもなりません。途中で何か言ってた気がしますがどうでもいい。この展開も読み通りで笑いが止まりませんよ。この人たちなら絶対来るってわたし、信じてた! 後は仕上げに取り掛かって、はい終わり! です。

 

 呻いて地面に倒れてる人たちは、全員無傷。痛い思いしただけです。無傷での制圧とか楽勝でした。

 彼らは今、ある意味で一枚岩です。パワプロくんへの逆恨みという感情を共有していますからね。こういう手合いの粘着っぷりは、本人に来るならまだしも他の連中にも飛び火しかねません。わたしならともかく? ガードの付いてないチームメイトが狙われたら激おこ不可避ですし? わたしが彼らのケアをしてなかったせいでもあるんで、手心を加えて上げたいんですが、下手に手を抜くとマズイことになりかねないので容赦しません。

 

 ボイスレコーダーのスイッチオン。

 わたしは倒れてる彼らに向けて言います。一枚岩になってるなら、分断すればいいじゃない(アントワネット並感) コイツらの絆はボロボロなので簡単なんだよなぁ……。

 

「……お前ら、なんでこんな事するんだよ。俺は……! お前らの事、許したいって思ってたのに……!」

 

 白々しいな、おい(素)

 自分で自分の台詞にツッコミを入れたくなりますが、まあいいや。

 彼らの反応とか文句とか恨み言とかは耳に入れません。

 どうでもいいからね、仕方ないね。

 そんな事より早く()()を言うんだよ、おうあくしろよ。そのために市山田に集中して声かけてんだから。

 

「謝れよ。そうしたら、許してやる。今回のことも、黙っといてやるよ。なあ……俺にお前らを、許させてくれよ……」

「………」

「黙ってたんじゃどうにもならねえぞッ。お前らがどれだけ束になっても俺には勝てねえよ。いい加減、自分のした事と向き合って、謝れ。そうしたら世間も許してくれる。俺も今まで通りに許してやってくれって頼んでやるッ」

 

 上から〜目線で〜神経〜を〜逆なでる〜(音痴)

 お前らが下で俺が上だスタイル。おう、わたしの事許さなくていいからあくしろよ。

 ナチュラル煽りで市山田の苛立ち指数を刺激し続けておきます。そろそろかな? そろそろだろ。そろそろ……来たわね。

 

「うる、せぇ……! なんで、なんでだ……」

「あ?」

 

 市山田が屈辱と怒りでフラフラと立ち上がりましたね。ですが適度にボロボロなので思考が纏まってません。

 遂にあの疑問が、出て、出て……早く出せよもぉぉぉ!!(逆ギレ) こっちだって暇じゃないんだから。この後の予定も詰まってるんだから!

 

「なんで、二回も……避けれたッ!?」

「……あの死球の事か?」

「そう、だっ!」

 

 やったぜ。成し遂げたぜ。まあ市山田からすると当然の疑問ではあるでしょうね。普通基準だと打てるわけないし、打つ練習するわけもないですし。

 ニュース見る度に市山田は疑問だったでしょうね。なんでピンポイントで対策してるんだ、と。お前らが分かり易すぎるだけだよ(マジレス)

 その本音を隠し、わたしは沈痛な顔をして、市山田から目を逸らします。ここで繰り出すのは必殺の一撃。

 

「……連絡取ってたからだよ」

「は……? 連絡……?」

()()()()と。ほら……あの人、()()()だからな。もしかしたらお前が俺になんか仕掛けてくるかもしれねえからって、注意してくれてたんだ。でなけりゃ幾ら俺でもあんな完璧に打てたりしねえっての」

「蛇島……先輩が……?」

 

 分断。仲間の絆を分けて、断つのじゃ。今です!(孔明)

 ついでに煽っときましょう。

 

「蛇島先輩も、俺に愚痴ってた。お前、聡里ちゃんに惚れてたんだろ? その事で煽るような言い方をしてしまってたって。お前の事でも相談に乗ってやってた。……今更だけど、言っとくけどさ。俺と聡里ちゃんはお前らの思ってるような仲じゃねえからな?」

「……は?」

 

 市山田の根幹。ずばり横恋慕拗らせたイタい奴。市山田はパワプロくんと聡里ちゃんが付き合ってるとか思ってたんでしょう。それでどんどん拗らせて闇落ちした感じでしょう。他にもあるでしょうが根幹はそこですよ。

 なのでそこを叩き折っときます。なーに嘘は言ってません。市山田の思い到れる程度の仲じゃありませんから()

 

「聡里ちゃんはお前らの陰険なやり口に気づいて、嫌気が差してチームから離れたんだよ」

 

 プラス、パワプロくんに誘われたから移籍するのに付いてきてくれたんですがね。そっちが本命ですが嘘ではない。

 

「身から出た錆だ、馬鹿が。いいか市山田、俺と聡里ちゃん、()()()()はお前らの事が頭痛の種だった。()()()()()()()()()()()()()から良いようなものを、それがなかったらもっと大事になってたぞ」

「……あの、野郎……」

 

 別におかしな事は言ってない、はず。ですが市山田達にとっては違います。

 なんせ蛇島くんは外面だけはいいですからね。蛇島くんはチームの中で一番被害を受けてません。流石に強豪校への内定は取り消されるでしょうがね。

 とはいえ受けた被害はその程度です。いい先輩だからって我慢してて、なんであの先輩だけっていう思いを燻らせてたはず。市山田ならね。いや他の面子もか。蛇島くんによってモラルがズンドコに落ちてる面々は、恩義()があるから蛇島くんを逆恨みしませんでした。が、恨める要素が出たら話は別。

 

 蛇島くんのしてた事(してない)は彼らからすると密告です。裏切りです。コイツはめちゃ許せんよなぁ?

 (ちなみに蛇島くんとは連絡とか取って)ないです。嘘は嫌いなんですが、これから本当にしていくのでまあええやろ(外道)

 

「もうこんな事はするんじゃねぇぞ。マスコミとかが来たら、俺はとにかくお前らを擁護する。実際気にしてないし。いいな、もうこれ以上は変な考え起こすんじゃねえぞ」

 

 捨て台詞のように言って、市山田たちを放置して帰りまーす!

 おっとその前に寄る所があるんでした(すっとぼけ)

 確かこっちだったはず。んー……走って走って走ってー……着きました。表札には『蛇島』とあります。メインの人達の家の位置情報はインプットしてるわたしに抜かりはありません。

 インターホンを押しーの。郵便受けにボイスレコーダーと予め用意してたメモ用紙をドンッ!(投函)

 

 人が出る前にすたこらさっさと退散です。後は歩いて帰りましょう。

 

 蛇島くん、わたしのメッセージ、聞いてくれるかな?(乙女)

 ドキドキしちゃう……。

 

 てくてくと歩きながらこの行為の解説でもしときますかね。

 

 あのボイスレコーダーにはわたしと市山田くんの遣り取りが入ってます。あれを聞いたら保身に長けてる蛇島くんの事、メモ用紙に書いてあるパワプロくんのスマホの番号に速攻で掛けてくるでしょう。

 なぜって? 市山田くん達のヘイトが自分に向くからです。

 市山田達の心理として、強い奴は避けたい負け犬根性の持ち主。そんで精神的にズタボロで、パワプロくんからは肉体的にズタボロにされました。これは勝てないと確信した市山田達は、かといって逃げるのはカッコ悪いと思う。なので勝てないパワプロに挑むより、名分のある弱い方へ流れていきます。

 その弱い方が蛇島くんなんですよねぇ。なんせ蛇島くんはパワプロくんに内通してた裏切り者(嘘)です。叩くには充分なターゲットにされますよ。善人ムーブしてたのが仇となったな……。

 しかもパワプロくんは本人達に直接『弁護してやる』的な事を言って、逃げ道を用意してくれるという印象も煽りながら刷り込んでます。落ちるとこまで落ちたら振り切れるのが人の情――しかし、蜘蛛の糸。落ちた先に垂らされたそれを見つけたら、助かれるなら助かりたいと願うのも人の情です。

 

 纏めると、

 

 1,パワプロには勝てねぇよぉ!!

 2,けど芋引くのはヤダよぉ!!

 3,パワプロはおれらを助けてくれる……?

 4,じゃあやめよう(チキン)

 5,でもこのままじゃ虫の居所が悪いから蛇島(パワプロの仲間)締めてやろうぜ。裏切り者だしメチャ許せんよなぁ?

 

 ――というわけです。

 

 とかなんとか解説してたら着信音。相手は非通知。蛇島くん、おひさー!

 

『……力場くんですか』

「おう、久し振りに声が聞けて嬉しいよ、先輩」

 

 口調だけ素で応対します。口調だけですからね? 心にもない台詞ですから。なので汚い言葉が出ても聞き流してくださいお願いしますなんでも島村!

 にしても、かなーり苦々しそうな声ですねクォレハ……。気持ちは分かりますよ、幾ら善人ムーブをしてたおかげで被害を最小限に抑えられても、評判の悪くなったチームの所属というのはかなり痛い。

 そのせいでせっかく内定が決まってた強豪校への推薦取り消しされたでしょうしね。強豪校ほどそういう風評被害は恐れる傾向が強いですし、蛇島くんは有り体に言って切られたわけですよ。そりゃ機嫌も最悪になるでしょ。

 更に最悪を更新したのが、このパワプロくんのやり口です。わたし? わたしはわるくないよ。わるいのはパワプロくんだよ……(責任転嫁)

 

「俺のプレゼントは気に入ってくれたか? いつぞやの借り、十倍にして返させてもらった」

『いきなりご挨拶ですね……それはいったいなんの話ですか? あのボイスレコーダーも……話がまるで見えてきません』

「ボンクラの真似なんかしなくたっていいぜ。俺は全部分かってる。アンタが自分より目立つ才能を目障りに思う質で、周りの奴らの妬み嫉みを助長して俺を潰そうとしていた事。あの試合で市山田の単細胞を使って俺の肩を壊そうとした事。全部な。すっとぼけたって意味はねえって……もう分かってるよな」

『…………』

「アンタ、詰んだぜ。俺が詰ませた。高校の内定消されたろ? それだけで済ませたんじゃ、俺の腹の虫が収まらねえんでな。ついでに目障りな雑魚どもをけしかけてよ、アンタを物理的に潰すようにしてやった。潰されるのは肩か膝か……それとも腰かな? いやいや全部っつう欲張りセットもあるかもな。頭殴られんのだけはガードしろよ? 死にたくなけりゃな」

『な……にが……。……何が、目的です』

 

 流石に声が震えてますね。蛇島くん、かなり悪知恵が回るんですが、まだ中3ですし仕方ない。あのボイスレコーダーを聞いて、パワプロくんの言ってる事が現実になると悟ったんでしょう。かなり恐怖を覚えてますよ。

 更に恐いのは、良い子ちゃんだと思って舐めてたパワプロくんが、自分よりも遥かに狡猾で悪辣だったことでしょう。パワプロくんがやったのは蛇島くんのやってた事――ちっちゃなチームのスケールから社会のスケールにグレードアップしてからの仕返しですからね。そりゃ怖くもなるというものです。分かりづらいなら少年野球やってたらメジャークラスが叩き潰しに来たというニュアンスで理解してください。

 ですがまあ、わたしも鬼ではありません。蛇島くんは利用できるので、とことんまで追い詰めた今、わたしの手駒に飼い慣らしてあげましょう。飼い犬ならぬ飼い蛇になるなら助けて差し上げる(イキリ)

 

 ……いや子供相手にこんなイキり方するとかクソダサいんで二度としたくないなこれ(素)

 

 イカン、素になったら駄目です。酔え、酔うのだ……! 自分に……! そしてイキれ、中二病の如く……! それがこの世界のジャスティス……!

 

「自分がこれからどうなるか、理解しただろ? 助かりたけりゃ俺の言う事を聞け。アンタは性根は糞だが、才能だけはあるからな」

『……?』

「俺からアンタに提示するメリットは二つだ。一つは市山田達に狙われねえ、狙われても撃退できるガードが付く事。今一番気に掛かってるのがそこだろ」

『……ええ』

「二つ目。プロへの道をまた開いてやる事。――野球、好きなんだろ?」

『………!』

 

 蛇島桐人。ぶっちゃけ内野手としては、メイン勢の中でもトップクラスに優秀です。過去作では勧善懲悪的なノリのパワプロシリーズですが、パワポケ要素の混じった本作だとそのハンディキャップが外れてるんで、蛇島くんはかなり極悪な立ち回りを可能にしています。なので――例えば……うーん、かなりの古典での例えで恐縮ですが、2018年版のパワフェスとかで絡みのあった冴木創さん。彼女を嵌めて故障させるのに過去作では失敗しますが、本作だと九分九厘成功させるんですよね。しかも嵌めてきたのが蛇島くんだと悟らせない、間接的な手口で。例えに出した冴木さんゴメンナサイ……。

 打撃能力も長ずれば非常に高くなり、能力だけならマジでチームの中核足り得るようになるんですよ。その嫉妬深さと執念深さが全力で足を引っ張ってるのがネックなんですが、それさえなければマジで味方として欲しい。

 

 が、改心してない蛇島くんを同じチームに置くのはナンセンス。中坊時代はこうして手玉に取れますが、様々な経験を経て成長されると割と手古摺らされる事が多々あるんですよね。しかも本作のパワプロくんポジからだと改心させるのはかなり厳しい。RTAだと時間をかなり食うのがまず味でしかない。

 なので徹底的に叩き潰して関わらないようにするのがベストなんですが。もう一つ別の形のベストな選択肢があるんです。

 それが今、わたしのしてること。すなわち未熟な内に叩いて首根っこを抑えつけ、苦手意識を植え付けて上下関係を作り上げる事です。そしたら改心してなくても蛇島くんを味方に引き込めます。しかも改心してないので、もしどこかで後ろ暗い事に手を染めなきゃならなくなった時は利用できる頼もしい暗黒星人と化すのです。

 

 蛇島くんは頭が良いですからね。ですが頭が良すぎるのも考えもので、自分に付いたガードの存在が、そのまま自分の首輪になると勝手に思い込んでくれます。何せ蛇島くん視点だとパワプロくんは自分より上の『悪』ですから。

 

 ――で。そんな蛇島くんも、野球への情熱は本物だったり。プロになりたいしプロの世界で活躍したいという思いは強い。そのために対抗馬を潰そうとしてたりするわけですよ。

 今の蛇島くんは、強豪校への推薦が取り消され、途方に暮れてます。今更よその強豪校が自分を取ってくれるわけがないとも理解してますね。なのでプロへの道はかなり狭まったと悲観的になっていて、高校、大学、社会人リーグと舞台を移してもプロへの道は絶望的に遠のいたと考えている、と。

 そんな中でのパワプロくんの台詞。これは彼にとって殺し文句です。

 

「どうする? 俺の出す条件を呑むか?」

『……まだデメリットと、条件を聞いてませんが?』

「呑むのか呑まねえのかハッキリしろよ。デメリットは自分で考えろ。条件は呑むなら教えてやる。――まさか先輩、アンタは俺と対等な立場でお約束ができるとでも思ってんのか?」

『……呑みましょう。どのみち私は詰んでるんですからね。市山田たちが私を襲うのを、防ぐ手立てが思い浮かばない。警察? 学校? 親? そんな薄い守りで安心などできない』

 

 嫉妬深さと用心深さが等号で結ばれる蛇島くんの思考形態だとそうなりますよね。うんうん、分かる分かる。

 

「んじゃ、条件を言う。簡単だ、まず進学先は聖タチバナ学園高校にしろ」

『聖タチバナ……? 今から受験をしても……いや、ギリギリなんとかなる、か……』

「なるさ。そこにはあおいちゃん――俺のいるチームのエース様が入学する。もちろん、その次の年には俺も。これだけで分かる事があるだろ?」

『ッ……! 今回の件の被害者である貴方と親密さをアピールすれば、私への世間の見方が変わる……!』

「そうだ。アンタはあのシニアで唯一俺の味方だった、ってふうに見られる。そしたら風評被害はゼロになるし、プロへの門戸も再び開かれるだろうよ。それがメリットの一つだ。もちろん下手な真似は何もせずに、良い子ちゃんにしてなけりゃなんねえけどな」

『……ええ、分かってます』

「守備位置はファーストにコンバートしといてくれ。他はほとんど埋まる予定だ。俺の力は分かってるだろ? 今の聖タチバナに野球部はねえけど、俺や俺の仲間が入ったら甲子園も狙える。そこにアンタが加わるとなれば尚更だ。無名の高校が甲子園出場、そんで優勝……プロになりたいアンタからすると、まさしく逆転サヨナラホームランだろ」

『……他の条件は』

「先輩後輩なんざ関係ねえ。俺が上で、アンタが下だ。言いたいこと……分かるよな」

『フ……フフ……ええ、ええ。分かりましたよ、ボス。貴方が私の飼い主になるというわけだ。そして私に付けるというガード……それがそのまま私を見張る首輪になる、と』

「分かってるじゃないか。言っとくが、ガード要員の身の上を詮索すんなよ? そんな真似をしたら反抗してきたと見做すぞ。ケガ……してもいいってんなら、お好きにどうぞって言ってやるがな」

『冗談キツイですよ……私は自殺志願者ではない。やれやれ……とんだ怪物に手を出してしまったようで……』

 

 諦めたように笑う蛇島くん。

 うん、そのガード要員ね、実は橘さんとこのガードなんだ。だから詮索されたらそのままただのガードだって露呈するだけなんですよね。間違ってもわたしの言いなりになる駒じゃないんです。

 とはいえそんな事は蛇島くんには分かりません。今の蛇島くんには、パワプロくんが謎の人員をガードに付けられる怪人物に見えてることでしょう。そのパワプロくんの不興を買えば身の安全の保障がなくなり、ガード要員がそのまま処刑人に早変わりすると思ってるので、詮索は『絶対に』しない。蛇島くんは慎重派で、見えてる地雷を踏むような馬鹿じゃありませんからね。賢いって事がそのまま罠を突破する武器になるとは限らないという例です。

 

「アンタのガードになる奴は、一度だけアンタに顔を見せに行く。不審者と間違われたら堪らねえからな。その道のプロだから雰囲気の違いで分かるだろうぜ」

『……それは、今夜には訪ねてくるのですか?』

「ああ。んじゃ……良い子にしてろよ、先輩? 今度は来年……チームメイトとして会おうぜ」

『ハ、ハハ……そう、ですねぇ……』

「心配しなくても、俺は優しい。従順なやつには、な……」

 

 言って、電話を切る。んで、ガッツポーズ。

 

 ッシャオラァ! 闇野フルボッコに使える人材確保ォ! 手を汚せる暗黒星人が誰か欲しいなと思ってたんでこれは嬉しい収穫ですよ。

 とはいえこのままだと片手落ちです。すぐに電話を掛けます。今度は橘さんのいるオフィスビルに。

 受付さんが電話に出ると、力場専一から話があると橘さんに伝えてくださいと丁寧にお願いします。すると暫く待たされて、はい、橘さんが直接電話に出てくれました。

 

『こんばんは、力場くん。どうやら大変な事になってるみたいだね』

「こんばんはです、橘さん。ニュースの件でしたら大丈夫ですよ。周りが勝手に騒ぎ立てるせいで迷惑はしてますが」

 

 挨拶は大事。古事記にもそう書いてある。

 テキトーに雑談して場を温めて、それから話を切り出していきます。

 

『それで……突然連絡をくれたのはどうしてかな?』

「一つ困った事がありまして。最近のニュースでも流れてるアレで、俺の先輩が困った事になってるみたいなんですよ。なのでその事で助けて欲しくて電話しました。虫の良い話で恐縮なんですが……お願いします、助けて下さい」

『構わないよ。君には借りがある。それを返せるならお安い御用だ。流石に無理な事は無理だけどね?』

「無理な相談だったら諦めて、他の手を考えますよ。……お願いを聞いてくれますか?』

『聞かせてほしい。他ならぬ君のお願いだ、出来る限り善処するよ』

「……実はさっき、古巣の元チームメイトから闇討ちされたんです」

『……なんだって?』

「一人でジョギングしてたんですが……ああ、一人になりたかったから橘さんや木村さんの付けてくれていたガードさんは撒きました。俺が勝手にやった事なんで責めないで上げてください」

『……一応、彼らもプロのはずなんだけど。それを簡単に撒いてしまえる君に私はどう反応したものやら……』

「柳生さんが俺に執心してる理由ですよ、それが」

『なるほど……納得した』

 

 サンキュー柳生ジッジ。名前出すだけで話が進む進む……。

 

「で。闇討ちされたのを返り討ちにしたんですが、ソイツらが先輩に逆恨みしてるって事が分かりましてね」

『把握した。つまりその襲撃犯達を逮捕して少年院に叩き込みたいと――』

「違います。そこまで大事にしたくありませんので」

 

 むっ、と口ごもる橘さん。ぽややーんとしてそうな雰囲気なのに過激だなこの人も……。分かってましたけどね。

 とりあえず要点を纏めてお伝えしましょう。

 パワプロくんは、元チームメイトにも正道に立ち帰れるチャンスを上げたいので、下手に刺激せず蛇島という先輩にガードを付けるだけに留めて欲しいとお願いします。で、蛇島くんは今、とってもピリピリしてるので、こっちも刺激しないようにパワプロくんの名前を出して、ガードに付くから安心してねと伝えて欲しいとお願いしました。

 橘さんは笑ってOKを出してくれます。これで貸し借りはなしだねと。もちろんですよ。ぶっちゃけ貸し借りとか使う宛はないんで。必要だったのは面識と、ファーストコンタクトで得られた印象のアドバンテージだけでしたし。

 

 後は……今回の件で関わってる人の相関図を頭の中で並べ……思考パターンを想定して……うん。クリアですね。蛇島くんの封じ込め&対闇野部隊員&普通に野球仲間の補強もデキました。この手の計算をしくじった事はないので安心してくれていいですよ。綱渡りでしたが、ミスる要素はないです。

 

 あー……疲れた。なんで野球ゲーでこんなに暗躍ムーブしてんですかわたしは。野球させろ(憤怒) させて(懇願) それもこれも全部パワプロって奴の仕業なんだ!(集中線)

 

 というわけで本日はここまで。また次回も見てくださいね! ばいばーい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんか忘れてる……あっ、解説……(間抜け)
ま、まあええやろ……()

感想評価本当にありがとうございます。
まさか日に二万字イケるとは……前話は掲示板ネタなんで実質五千字ぐらい? なら一万五千ぐらいでしょうか……。
流石に疲れましたので寝ます。お休みなさいませ……。
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