男女混合超野球連盟ぱわふるプロ野球RTA   作:飴玉鉛

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なんやかんや初投稿です(雑)


生きろ、そなたは美しい

 

 

 

 

 ええい、公式の天才共は化け物なRTA再開します。

 

 たった今、横浜北シニアによる蹂躙試合が終了しました。点差は、おぉ、もう……と欧米チックに天を仰ぎたくなるので言葉にはしません。カメラを通じて自分の目で確かめて、どうぞ。

 あまりにあんまりな試合展開に、相手チームは真っ白に燃え尽きてます。コイツぁヒデぇや……! まあパワプロくんに言えた口じゃないんですがね。コイツも散々蹂躙して来た側の圧制者なので。

 

 さて、この試合を観戦していたら、一つの事に気づくと思います。いや二つでした。二つの事に気づくと思います(言い直し)

 一つは面子ですよ。サードとレフト以外全員ネームドってどうなってるの? それわたしが高校でやりたかった事なんですが……? サードとレフトはなんか凄く項羽と劉邦と三国志してる名前なんですが……赤壁高校の人?

 しかし赤壁高校に呂布とか項羽とかの名前をもじった人はいないはず。となると乱数で生まれる可能性の獣枠なのでしょう。

 

 ※説明しよう! 可能性の獣とは、どんだけ球速を上げカンストしてもジャストミートしてくる怪物モブ枠の事です。守くんの思考回路的に、打倒パワプロくんのために精鋭を募って「僕の考えた最強のチーム」を結成するはずなんで、多分高校でもあの面子固定でしょうね……。

 

 で、二つ目。なんと猪狩くん、好守に頼ってましたが、この試合で完全試合してます。四回でコールドしてるので参考記録扱いでしょうが――まあそれはどうでもいいです。わたしが指摘したいのはですね、この試合で彼、ストレートを投げてないんですよ。

 ライジングショット、ライジングキャノン。この二つのオリストを投げていない。普通のストレートもです。

 全部変化球ですよ。速い球の軸にスプリットを置いて、後はフォークとカーブとスライダーで打たせて取り、球数をかなーり節約して締めました。

 取り上げたいのはそのスプリットです。なんか球質がわたしのジャイフォに似てなくもないかな、かなりの劣化版やなって具合でして、これは勘ですがあの感じだと多分、最高球速とそんなに落差はない感じでしょう。そのスプリットが145km/hだったんで……今の守くんの最速は149ぐらいでしょうか。

 

 馬鹿かな? (野球)馬鹿だったわ……。いや球速上限を上げるのは別にいいんですがね(よくない) ライバルであるパワプロくん次第で、守くん高校だと155km/h超えてきますし。まあ想定の範囲内ですわ。

 しかし試合全体を見渡しての球数は少なくても、変化球十割ってお前……しかも相当無茶苦茶な練習を積み重ねてるんでしょうね、中2の時点で149ぐらい投げれるようになってるという事は、通常猪狩くんより三割増で練習量増やしてそうで……もうね、アホとしか言えない。投げれるのと投げられないのとでは大きな差がありますが、投げれるとしても絶対に超えてはならないラインはあります。投げてはいけないものがあるんです。

 

 現実はどうかは知りませんが、本作の比率としては変化球三割程度、直球七割程度が一番安全です。ケガ率的に。この配分をできる限り崩さないのが本作でケガしないコツなんです。あの調子で変化球ぶん回してたら肘ぶっ壊れますよ……? しかも149前後の最高球速とか、身体的に多投して良いものじゃありません。投げすぎると肩が壊れます。

 鏡を見ろ? パワプロくんはどうなんだ?

 そう思われるかもしれません。

 ですがパワプロくんは良いんですよ。超得『鉄人』持ってますし、変三・速七の比率を可能な範囲で守ってますし、ついでに140超えの球速は、一試合の中で直球を十割とした場合、一割から二割ほどしか投げてませんから。

 これでもですね、能力キャップ(超えられないとは言ってない)的に程々にリスキーですよ? どれぐらいリスキーかと言うと、過去シリーズのパワプロサクセス、練習コマンドで表示されるケガ率6%ぐらいリスキーです。パワプロの6%は実質20%から30%だってそれ一番言われてるから……。

 

 猪狩くんは下は見ず上を見る努力の天才です。が、あんまりにも上を見過ぎるもんだから、足元がお留守なのが玉に瑕……。このパターンはあれですね、猪狩くんはこのままだとぶっ壊れ、野手転向パターンに入ってますわ……。

 わたしのチャートの都合上、守くんに潰れられたら困るんですよねぇ。個人的に好ましく思ってるというのもありますが、彼の存在は様々な面で非常に有用なんですよ。で、野手になられるとうま味の一部が削れるというか。個人的にも合理的にも不都合なんですよね。なので……しゃあないなぁ。世話の焼ける男の子ですよ。忠告に行くとします。

 

 試合終了と共に席を立つと、聡里ちゃんがピタリと近くをガードしてくれますね。ちなみに礼里ちゃんと聖ちゃんもいますよ。傍から見たら美少女三人侍らせてるヤベー奴ですが、ここ周辺だと聖ちゃん達も女子選手として知られてるんで、普通にチームメイトだから一緒にいてもおかしくないと思われます。なのでそんなに目立たない……わけがない。美少女三人と今ホットな話題に包まれてるイッケメーンなパワプロくんですからね。メッチャ見られますよ。

 しかし野次馬根性丸出しの面々なんか眼中にないんで無視です無視。球場から出て横浜北シニアの面子が出てくるのを待ち構えます。その間に聡里ちゃんや聖ちゃん達に目的を伝えておきましょう。猪狩に用があると。するとパワプロくんが病的にケガ率に気を遣ってる事を知ってる面々は察してくれました。やっぱ……理解のある女の子は……最高やな!

 

 と、横浜北ナインが出てきましたね。まだこっちに気づいてません。猪狩守くんは……いました。よっしゃパワプロくんからの忠告を聞いて屈辱に打ち震えさせてやりますよ……!

 って、んんんぅー? なんか見覚えのある男の子……失礼、女の子が偶然こちらに気づきましたね。顔を明るくして駆け寄って来ましたが――

 

「先生! お久し振りですっ」

 

 ――誰だお前(素)

 

 いえ、誰かは分かってます。オールラウンダーな女子選手で、女性の中だと最優秀の一角との呼び声高き冴木創くんですね。ちゃん付けよりくん付けで呼んでしまう人ですよ。

 しかし初対面でしょ。なんで親しげなの……? なんで先生呼びなの……? 某所の人からセンセー呼びされてますが、ぱわぷろ時空で先生呼ばわりされる覚えはないんですが……?

 誰だコイツという目で聖ちゃん達に見られます。知らぬ。わたしの困惑が伝わりはしたようですが、彼女達はこちらに丸投げしてますね……一見少年に見えますし、ガードゆるゆるですよ……。

 確かに創くんは高校生になっても男の子と間違われますが、この娘も立派な女の子ですからね? 本人も別に隠してるつもりないですからね?

 

 創くんがワンコの尻尾を振りながらこっちに来たせいで(幻視)、守くん達もパワプロくん達に気づきましたね。驚いたように顔を見合わせてますが、すまんな。なんか創くんに対処しなくちゃならんので後回しにさせて下さい。

 

「あー……悪い。お前誰だよ?」

「えっ……」

 

 率直に初対面だろお前と告げると、かなりショック受けたように固まってしまいました。なんだコイツ(素) わたしの良心を殺す気か?カスが効かねえんだよ(無敵) 嘘です。すいません許して下さい!なんでもしますから!

 しかし流石は創くん。ホモをノンケに立ち返らせる罪深き女の子は察しの良さに定評があります。健全なるホモをノンケにするとか罪深すぎますよこの娘は……†悔い改めて†

 

 創くんはユニフォームの胸元から御守を出しました。首に提げてたようですが――君今どこから出した(食い気味) おっぱおから? おっぱおから出したの? それください(迫真)(ファ○チキください)

 

「自分が小3の時――リトルの時です。その時に会った事があります。その時は髪をポニーテールにしてましたから、今の自分を見ても分からないのは無理もないかもしれません。ですがこれを見たら思い出して頂けると思います」

「なんで敬語なんだよ……」

「先生は先生ですので。自分の中で最も尊敬する選手に、丁寧に接するのは当然の礼儀だと思います」

 

 なんだお前(困惑)

 言いながら創くんが御守の袋から紙を出しましたね。A4サイズの紙で、ヨレてますが丁寧に畳まれてます。それを広げてこちらに見せてきました。

 ……なるほど謎は全て解けた。この娘アレですわ。アレですアレ。ほらわたしってこれまでに、周りにいる子達を分け隔てなく指導してきてましたよね? リトルの時からも。どうやら創くんは小学生の頃はポニテで、自己申告ですが女の子っぽい髪型だったようですし、わたしが冴木創だと気づかないまま野球教室にいたらしいです。いや一応全員名前聞いてるんですがその中に冴木創と名乗った娘いなかったぞおい。苗字変わってるの? 複雑な家庭環境なんですかこの娘も。遭遇率低いはずだからどうせエンカウントしねぇと思って攻略wiki見てなかったツケですかこれが。後で確認しなきゃ(使命感)

 

 紙には……うん、確かにわたしの字で練習メニューが記述されています。

 女の子でもホームランが打ちたい! と野望に燃えてたリトル創くんに、こういう練習しなよ、毎日。これができるようになったら次はこれね、その次はこれね、といった具合に教えてたようです。

 まるでわたしのチャートの如く緻密なスケジュールです。

 これを守ってたとか、はえ^~すっごい律儀……。お前覚えとけよとツッコまれたら耳が痛いですが、流石にね、指導歴軽く十年行ってるし今回の周回以前からも何人も何百人も教えてきてるんで覚えてられるわけねぇですよ。

 

 で。

 

 創くん、どうやらパワプロくんを先生って呼ぶぐらい尊敬してくれてるようで。同い年なのに腰が低い低い……。嬉しくなる前に困惑不可避っすわ。しかも御守代わりにその紙を持っているとは……どう反応したら正解なの?

 紙見せられても「あー確かにそんな事もしたな」とはぼんやり思いますが、創くんの事は全く思い出せませんし。かと言って「思い出せない、ごめんね」と言えば、知らん間に立ってたっぽいフラグが折れそうな気もします。

 しゃあない、話を合わせましょう。創くんの事は知ってるんで、なんとかイケるやろ(震え声)

 

「完璧に思い出した。創か、お前」

 

 完璧に思い出した(大嘘)

 

「! 思い出してくれたんですね! これに書かれているメニューは全て熟せるようになりました。シニアに入ってからは通常の練習の他に我流で練習してましたが、高校からはまたご指導願いたいと思っていたんです。近くお会いしに行こうと決めていましたが、こうしてお会いできたのは僥倖、これを機会に連絡先を教えて貰えませんか?」

「お、おう……」

 

 グイグイ押してきますね。わたしとした事がつい頷いてしまいました。良いんですけど。むしろバッチコイですけど。なにこの……なに? 予定になかったエンカウントに戸惑いを隠せないオレガイル。

 スマホを出して連絡先を交換……凄くホクホク顔でスマホを仕舞う創くん。君そんな性格(キャラ)だっけ? ストイック・ザ・ストイックな創くんしか知らないわたしからすると、新たな一面を見せられトキメキを禁じ得ません。

 というか覚えてますよアピールのために、適当に名前で呼び捨てにしましたけど、どうやら普通に受け入れてもらえたようです。よかった……これで戸惑われたら恥ずか死ぬとこでした。

 

「悪ぃけど、今日はお前に会いに来たわけじゃねえんだ。話はまた今度にしてくれ」

「そ、そうでしたか……すみません。では、自分はこれで。今度は自分から連絡入れますので、その時はよろしくお願いします」

「お、おう……」

 

 その丁寧語と低姿勢やめてくれる……?(震え声) 背中が痒いです。

 しっかしあの創くんがね……こうも敬われるキャラじゃないんですけどね、わたし。ですが昔教えてあげてた子が成長して、こうして感謝してくれると胸に込み上げるものが……いやいや今はしんみりしてる場合じゃない。

 切り替えていきます。とりあえず片手を上げて守くんに声を掛けましょう。

 

「よう、猪狩」

「――なんだ。冴木じゃなくて僕に用があったのか」

 

 なーんでそこで嬉しそうにするんですかね……お前ホモかよぉ! まあいいや。彼らも帰る頃合いですし、あんまし長く引き止めるのも悪いです。ので、チャチャッと本題を話して終わりましょう。

 進くんに荷物を預けてこっちに歩み寄ってくる守くん。チラ、と聖ちゃん達を見ますが、守くんこれを華麗にスルー。パワプロくんに視線を固定……(視線が)アツゥイ! 熱視線でやけどしちゃう!(裏声)

 

「次の試合は、僕と君のチームの試合だ。負けるつもりはない――勝ちに行かせてもらう」

「そりゃ誰だって負けるつもりで勝負はしねぇだろ」

「むっ……それは、そうだが……パワプロ、もしかして怒ってるのか」

「おう、よく分かったな」

 

 正統派なライバルムーブで宣言されますが、そのテンションに付き合う気はありません。いつもなら青春してるなぁ! という感じでノッてるんですが、生憎そのテンションが適用される用件じゃないんで。

 眉を落としてこちらを見る守くんきゃわいい。流石天才ですよ、頭の回転が早い早い……パワプロくんの声のトーンで何か怒らせるような事したかなと自分を顧みてますね。

 

「……すまないが、君を怒らせるような真似をした覚えはないね。どうしてそんなに怒ってるのか教えてくれないか?」

「ああ? マジか。自覚なしかよコイツ……あのな、投手の中で一番俺に近い力を持ってんのは猪狩、お前だ。猪狩は俺のライバルなんだろ。そのライバルが潰れるかもしれねえってのに、怒らないわけがねえだろうが」

 

 ……あのね? なんで嬉しそうなの? パワプロくんにライバル認定されたのがそんなに嬉しいの? そういえば守くんからはライバルと何度も言ってたけど、パワプロくんからはそんなに言った事はないからかな?

 それよりパワプロくんの発言に耳を傾けてくださいよ。怒ってますアピールで怒気纏ってるんですけど?

 しゃあないんで、露骨に溜め息を吐いて見せます。すると守くんは気を取り直してくれました。

 

「僕が潰れる? 肩と肘のケアにはかなり気を遣ってる。そうそう故障するような事はないさ。心配し過ぎじゃないか」

「ばっかお前、ほんとお前……ばっかじゃねえの?」

「むっ……」

「どんだけ気をつけていても、ケガする時はするんだよ。ケアだって万能じゃねえ。まだ身体も出来上がってねえってのに、背負う必要のないリスクを背負うのはナンセンスだ。いいか猪狩、俺にとってもお前にとっても、シニアは通過点だ。俺はプロになる、それまでに潰れちまうのは勿体なさ過ぎるぞ。全力なのは結構だけどよ、体壊さない立ち回りぐらい覚えろよ。それぐらい熟した上で天辺(テッペン)獲れる力がなけりゃ、お前が俺に追いつくのなんざ永遠に無理だ」

 

 よし、これぐらい焚き付けたら充分ですね。返答を聞く必要はありません。さっさと退散しましょう。

 聡里ちゃん達を促して帰宅します。こちとら試合の後ですしね。

 や……パワプロくん、準々決勝ではただのカカシだったんですけど。全打席敬遠&レフトに球来ないで立ちっぱなしENDだったんですけど。まるで疲れてないんで、休んでほしいのは聖ちゃん達なんですよね。

 パワプロくんに付き合わないで先に帰ってても良かったんですが、どうも市山田の一件を報告したせいか心配されてるくさいです。大人しく付き添われておきましょう。

 

 ちらりと後ろを伺うと、守くんはこっちをジッと見てました。進くんがそんな兄貴に駆け寄って、真剣な顔で何事かの遣り取りをしてますね。

 変化球中心の配球だったのを話し合ってるのかな? 守くんは素直じゃない人ですが、本気で言えば聞く耳は持ってくれますし……ケガだけはしないでほしいですね。走者的にも、一ファンとしても。

 

 というかふと思ったんですけどわたし、原作の守くんムーブしてない……? ライバル面してツン発言し、その実、内容は相手を気遣ってるデレ発言だったりするの……?

 いやいやそんなはずは……よそう、これ以上はドツボに嵌まる気がします。だから聡里ちゃん達、その生暖かい目はやめるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




クッション薄いのでまだ挟みます。準決勝は少し待って下さい…!

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