ゲームしてたら異世界に来てました。   作:ハイキューw

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11話 安心安全、更に安心

 

 

 

流石は光……ピカピカの実の力と言うべきだろう。

本当に時速30万km! までは出さないが、あっと言う間にグリセア村にカズキは到着した。

あまりに早過ぎた為、村を通り越してしまったのは また別の話。

 

 

グリセア村上空。

カズキは空から村の様子を見ていた。村が野盗に襲われた、と言う事もあって村の入り口には数人見張りが立っていて、村の中でも警戒しているのだろうか、何人も家家の間を往復しているのが解る。

 

カズキは、報告通り、村が無事である事はまだ見える範囲ではあるがこの目で確認出来たので、心底安堵していた。

 

次に問題なのは、到着したのは良いがどう着陸? するかだ。

 

「うーん……、いきなり降りて行ったら十中八九大パニックになるな……。村の人達との付き合いもたった1日だし(しかも子供たちと遊んでばっかり)、オレの顔覚えてない人もいるかもだし……。バリンさんかバレッタさんは居ないかな……?」

 

カズキは目を凝らしながら、村を観察。

数分後――バレッタと思われる女性が家から出てきた。幸いな事に丁度1人きりで、周囲も問題なさそうだった。

 

まだ、この世界では航空技術が全く進んでいないのも幸いして、空への警戒が無かったのも、今回にとっては良かったと言える。

 

光の力については、まだバリンとバレッタにしか披露していない。

名をメルエム()と名乗っただけだから、いきなりこんなの見せたらそれこそパニックになるかもしれないので、より慎重に降りていく。

 

そして、降りた場所で カズキは、バレッタを確認すると、彼女の後ろ付近に付いた。

勿論、いきなり後ろから肩を叩いたり、至近距離から声を掛けたりして驚かせる! なんて事はしない。少し離れた位置におりて、バレッタを呼んだ。

 

「バレッタさん、バレッタさん」

「! え? あれ?? カズキさん!?」

 

声が聞こえた方を直ぐに振り返るバレッタ。神経過敏になっている様子も今の所は見受けられないが、野盗に村を襲われたのは事実。……彼女自身も襲われた可能性が極めて高い事をカズキは知っているので、細心の注意を払い、余計な事は詮索しない様に決めて、彼女に合流を果たした。

 

「一足先に、戻ってきました。カズラさんもさっき出発の準備をしてましたので、準備出来次第にはなりますが、恐らく今日の夜には戻ってきてくれますよ」

「ほ、本当ですか! あっ、いえ……」

 

バレッタは、カズラが戻ってきてくれる事にぱっ、と顔を明るくさせたが、直ぐに表情を引き締めなおした。

 

「申し訳ありません。私たちの村の事で こんな手数をお掛けしまして……」

「いえ、そこは心配しないでください。……兎も角、無事でよかったです。村の他の人達は大丈夫ですか?」

「あ、はい。大丈夫です。誰も怪我はしてません。カズラさんが、カズラさんとカズキさんが授けて下さった力のおかげで乗り切る事が出来ましたので」

 

カズキのほっとした顔を見ると、バレッタも自然と顰めていた顔が和らいでいく。

 

カズキは、【力】の話を聞いて、少し首を傾げたが―――直ぐに思い出した。

日本の食事の効果の事を。

 

「あはは。それはカズラさんの力ですよ。私は一緒に居るだけに過ぎませんから。……ですから、これからも頑張るつもりです!」

「あ、あの…… ありがとうございました。カズキさん。こんなに早くに、村の為に来てくださって。……本当に、本当に嬉しい、です」

 

バレッタは頭を下げると同時に、ぽた、ぽた、と涙を流していた。

カズキは一瞬悩んだ。……彼女が本当に傍にいてもらいたい人は、間違いなくカズラだ。でも、そのカズラはどう頑張っても後数時間は此処に来るまでに時間がかかる。

 

泣いている彼女を抱きしめる役は、カズラのもの。カズキはそっと手を伸ばしてバレッタの頭を撫でた。

 

そして、仄かに身体を発光させながら……、カズキとしてではなく、メルエムを意識してバレッタに伝える。

 

 

「本当によく―――、よく頑張りましたね。……安心してください。……大丈夫(・・・)ですから。私は勿論、彼も――大丈夫(・・・)

 

 

意味深に、メルエムの光を出しながら、何度も何度も【大丈夫】とバレッタに言い続けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、バレッタ経由で カズキが――メルエムがこの村へと戻ってきた事が村中に伝わった。皆、心の底から安心したんだろう、歓声が上がり メルエム様! の声が何度も何度も村の中で木霊する。

……カズラの時同様、メルエムの名ではなく なるべくカズキの名前で宜しく、と伝える事が非常に難儀だったのは言うまでもない事だ。

 

そして、その後――グレイシオールであるカズラが村へと向かってきてくれてる事も説明する。

 

「カズラさんは、恐らくは今日の夕刻以降になるでしょう。ジルコニアさんの元、アイザックさん、ハベルさん達が指揮を執ってくれているので、そう遅くはならない筈です」

 

その言葉に、また歓声が上がる。

カズラ―――即ち、グレイシオールの祝福の力のお陰で、この村は助かった。

遥か昔、グリセア村を襲った大飢饉と日照り続きによる干ばつから、村を直接的に救ってくれた神様だ。メルエムの名は、光であるという言い伝え以上に伝え聞かされている訳ではないので、順列をつけるワケではないが、やはりグレイシオールの方がグリセア村の人達にとっては心のよりどころになっているのだろう。

やや違う声の質で、カズキはそう感じた。

 

「(ここが神話になる場面だったりするかもしれない、かな。……メルエムっていう神様の名が新たに刻まれて~って感じ?)」

 

もしかしたら、もしかしても無く、間違いなく神話の一ページを担う役どころ。カズキはそう考えると、何処か照れくさそうに苦笑いをするのだった。

 

 

「カズキさまー、あそぼーー!」

「あー、ぼくもっ!!」

「あそぼー! あそぼー!!」

 

 

その後、カズキはあっという間に村の子供たちに囲まれる。

 

「ちょっ! こら、お前たち!!」

 

慌てて、その子たちの親だろうか、何人かが止めに入ってくるが、カズキは笑顔で手を振った。

 

「大丈夫ですよ。この子たち皆も頑張ったんですから。ね?」

「うんっ!!」

 

一番先頭に居た女の子――ミューラが胸を張っていた。

何でも、野盗に襲われた時は幸い眠っていたので、怖い思いはしなかった。その後、所々壊された家の扉や少しだが荒らされた畑等の片づけを手伝ってくれたらしい。

まだまだ遊びたい盛りな年ごろの子たちのたまにのわがままくらい聞いて上げたい、と思うのがカズキだ。――元々、子供が好き(変な意味ではない)だったから、と言う理由もある。

 

 

「じゃあ、カズラさんが帰ってくるまでで良いかな?」

「うんっ!!」

「やくそく――っ!」

 

 

と言うワケで、カズラが軍隊と共にやってくるまでの間、カズキは子供たちと一緒に遊ぶことにするのだった。

 

最初は、まだまだ幼さが残る子供たちの為に、元気いっぱいに付き合うぞ! と微笑ましく腕まくりをしていたカズキだった………のだが。

遊び始めて、ものの数分で その余裕は吹き飛んでしまった。

 

原因はと言うと、勿論子供たちにあった。

グリセア村の子供たちは、カズラがやって来たお陰で大飢饉からの生還を果たし、今も尚元気に健やかに、村で育っている。……ここまで言えば、もう解るだろう。カズラが日本から持ってきた食料をベースに、この子たちも育っているので、動きや体力が最早オバケなのだ。瞬発力もさることながら、跳躍、目の前から突然消えてしまう程の緩急のついた敏捷性。メルエムと言う光を称する者、言わば神と名乗っている自分だが、この子らは正直、韋駄天の生まれ変わり、末裔、等と呼んでも良いとカズキは思った。

韋駄天は 日本の神様なので、グレイシオールやメルエム、オマイシオール等を考えたら 畑違いな気もするが。

 

 

あまりにも凄まじい体力なので、カズキは途中から時折光の力を使って、子供たちを楽しませる方向へと持っていくのだった。

 

 

追いかけっこ、鬼ごっこ等で光の力を使う様な大人げない真似はとりあえずせずに済み、そろそろカズラが帰ってくるかもしれない時間、と子供たちに伝えてお遊び会はお開きになった。

子供たちも遊んでもらえて満足したのか、グズるような子は一切おらず満足のまま家に帰っていく。

 

皆を見送った後に、カズキは どしゃっ と地べたに座り込んだ。

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ……、いや なんていう体力してんの、あの子たち……」

「あははは……。皆カズラ様に力を授けてもらった子供たちですから。それに加えて子供っていうのは、元が体力底なしなので、相乗効果で凄い事になってるんだと思いますね」

「ふへぇー。ニィナさんも付き合ったりしてるの? 大変だよなぁ……」

「私もあの子たちと一緒! 力は大分付いてますよ!」

 

ぐっ、と力こぶを作る仕草をするニィナ。……ニィナとはバレッタと同じく、このグリセア村で育ち、暮らしている娘の1人。歳はバレッタと同じだ。

 

「カズキ様、本当にありがとうございます。あの子たち皆、間違いなく不安がってると思うんです。カズキ様のお陰で、皆元気になってくれました」

「いえいえ。あ、お礼は【様】を除けて呼んでくれればで良いですよ?」

「あー……うー……、そ、それは……」

「あはは。直ぐに、とは言いません。それに言ってみただけでもありますよ。徐々に慣れてくれれば。私はここに来てまだまだ日も浅いですから」

 

ふぅ、とため息を吐いた後に、カズキは空を見上げる。

 

丁度、太陽の日の光も黄金色になっており、後少しで夜空に変わる黄昏時。

空が本当に綺麗だな、と改めてカズキは思っていた。この世界には排気ガスの様なモノが無いからだ。……カズラの居る日本より先、未来から来たカズキ。科学は確かに進んでいるが、まだまだこの世界の空の綺麗さには及ばない、とカズキは思った。

 

「私はカズラさんの友ですから。当然の事をしただけです」

 

カズキはそう言ってニィナに笑いかけた。

その笑顔を見て、ニィナも同じく笑い、暫くの間2人で談笑していたのだった。

 

―――それを後日、他の村娘たちに加えて、バレッタまでにも色々と追及されたりするのはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

そして、更に数時間後。

カズラが部隊を引き連れて、グリセア村へと到着した。

 

「皆さん。無事でしたか………」

【カズラ様!】

【カズラさまーー!】

 

村の中が一気ににぎやかになった。

バリン宅で休ませてもらっていたカズキにもすぐに分かったので、外へと出る。

 

 

「みんなも無事で本当に良かった……」

「カズラさまー。カズキさまがね! あそんでくれたのーー!」

「うんっ、ぼくもぼくも!!」

 

 

子供たちが笑顔でカズキの名を言っているのを見て、カズラは更に力が緩んだ。

村を見てくる。全力を尽くす、と言ってくれた通りにカズキは頑張ってくれていたんだろう事が直に分かった。

子供たちだけでなく、他の住人の皆も一様に頷いていたから。

 

安心し、力が抜けた所でカズラはバレッタを見つけた。バレッタは早足でカズラの元へ。

 

「村が無事で、皆さんが無事で、……バレッタさんが無事で良かった。本当に良かったです」

「はい。正直、肝を冷やしましたが、カズラさんが授けてくださった力のおかげです。……カズキさんも、村の皆を元気付けてくれました。もう、グリセア村は大丈夫です」

 

笑顔でそう言ってくれるバレッタを見て、カズラは再び安堵する。

そして、直ぐ後ろにはカズキが居た。

 

「大体考えてた時間通りの到着ですね、カズラさん。お疲れ様です」

「カズキさん!」

「はい! 全力は尽くせました! ……とは思います。自己判断ですが」

「とても大助かりですよカズキさん! 皆皆笑顔でしたから!」

 

 

カズキが色々としてくれた事。子供の遊び相手から始まり、荒らされた村の片づけを手伝ったりと、大活躍だった、と説明をしてくれた。

子供たちも口をそろえて、うんっ! と。

 

カズキは、何だか照れくさいのか頭を掻いて笑っていて、つられてカズラも笑顔を見せるのだった。

 

 

 

 

 

――その後。

 

 

カズラを交えて、村の防衛について、自衛についての話し合いをバリンの家にて実施。

バレッタが設計した改善策である村の見取り図は、ぱっと見【砦!】と思える程の出来であり、カズキは勿論、カズラも野盗に襲われる心配はなし! と太鼓判。

だが、問題点も勿論ある。それは村の周囲を堀で囲む為、今まで水路を引っ張っていたのだが、その水路が使えなくなってしまう、と言う点だ。……だが、その辺りは バレッタが既に解決済みである。

 

「サイフォンの原理までバレッタさんは勉強してて本当に凄いんですよ。従来なら考えもつかない高低差も超えて水を運ぶ。……オレ、見せてもらった時 【天才っているんだな~】って思いました」

 

カズキはニコニコと笑いながらバレッタを持ち上げた。

カズラも、【サイフォン……マジで?】と目を見開いて驚く。

 

バレッタ自身は謙遜しつつも、2人がかりで褒めてもらえるので、最終的には 顔を真っ赤にして笑っていた。

 

「上手くいかない場合は、水道橋を設置して水は必ず村へひく予定です。川に繋がる水路も改良して、村の炉も大型化して―――やる事いっぱいで大変ですけど、楽しいです」

 

カズラがプレゼントしたノートとボールペンを使って、これからの作業計画書なるものを見せてもらった。カズキが聞いていたのは、サイフォンの原理を利用した地下水路までであり、そこから先、サイフォンが失敗した事も想定した上での第2案まで纏めて、更に更に他の水路も――。

 

先の先の先くらいまで考えているバレッタ。

 

 

カズキは、カズラに目で。

 

 

【ね? 天才デショ?】

 

 

と同意を求めると、カズラもコクコクっ、と頷いてこたえていた。

 

 

 

 

その後は、水路に必要になる石灰をカズラに頼む形で、今日の所は終わりとするのだった。

 

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