「戦争……ね。そんな事があったら そりゃこいつらがこんだけ警戒するのも不思議じゃないか」
「はい。バルベールとの戦争の傷跡は、人のみならず我々にも深く、深く、残していってます。そして……休戦協定が終われば 全てが焼き払われて終わる
「
「はい。
「なるほどなるほど……って、謝んないでよっ!? それにそんな悲しそうな顔するのも禁止! ステイ! 俺は怪我してないし、もう蒸し返さないっつったろ!
「うぅ……、ほんとうにありがとうございます」
「……私も心より、感謝する」
何だかんだと打ち解け合ってる様子である。
何でも、この獣はウリボウと言う名の獣との事。……彼の知るウリボウとは程遠い、と思ったのは言うまでも無い。
どちらかと言えばデカい狼で
それは兎も角 この森の中の話し合い? はかなりの時間を要していた。
基本的に会話を交わすのは女性の方で、大きなウリボウはその横で鎮座。時折謝罪の相槌? を打ったりしてるが、要らない! と何度かいったのでそれも無くなった。
そして今の彼の状況。それは突如この場所に降り立ってしまって、当たり前だがそんな状況で彼が何か知ってる訳も無く、本当に頭が真っ白な状態に等しかった。
なので、現状での貴重な情報源でもあるウリボウの皆さんとの会話で今後の身の振り方や(出来れば)帰還方法を模索していたのだ。
だから気付いたら 結構話し込んでいたのである。時計が無いので詳しい時間は判らないが、体感で2~3時間程は話し込んでいただろうか。
そして、話を交わしていくうちに、一つの結論が出た。
彼はやはり この世界を
バルベール、イステリア……そしてグレイシオールの名。
それらは考えていた通り、この場所は古いライトノベルで書かれていた異世界と非常に酷似していた。
先ほど上げた地名や人物名まで。彼女との会話で聞いた限りでは、自分の知るモノと一致していたのだ。
その小説との出会いは たまたまネットで目に入っただけであり、その題名に少なからずインパクトを受けて読んでみたのが始まりだった。
宝くじで40億と言う現実味に欠けるトンデモナイ額を引き当てた強運の持ち主が異世界へと誘われ 世界間を行き来し、一般的な知識と巨額にものを言わせて貧困に喘ぐ異世界の国を救うために奮闘する、と言う話だった筈。
そんな世界に何故自分が降り立ったのか、そもそもここはまだ仮想世界で、VR機器の故障が原因で此処にきてしまったのか、或いは超常的な存在か何かに電脳空間?にさらわれてしまったのか。
仮説は色々と思いつくが その説が正しいかどうかの確認は一切取れないのが難点だった。
仮にこの世界がまだ仮想世界なのであるのなら、消滅すれば最初のメインメニューに戻れる筈……だが、昨今のVR技術の凄まじさは目を見張るものがあり、現実と大差ない空間を生み出している。
そんな中で自傷行為……自殺行為などははっきり言って長くプレイしてきた自分でも少なからず勇気がいる行動。
その上に、この訳のわからない状況になってしまった所で、確認する為に死んでみよう! なんて到底思えないので、その確認の仕方は自分で自分に却下を下した。
なら、どうするのか……、と考えたら やはり この世界の神様の1人に合流するのが無難な行動だろうと判断した。
剣と魔法なファンタジー世界や海洋ロマン冒険ファンタジー世界なら、自分の能力を最大限に活かしてウハウハオラオラチートプレイ! を目指してみても面白いかもしれないが、そんな気は起きなかった。完全なジャンル別な世界だから、と言う理由が大きいかもしれない。
「うぅん……、さて 今後どうするべきか。一先ず会ってみるのも良いかな? と言うかそれしかないか」
「グレイシオール様……カズラ様にお会いなさるのですか?」
「うん。そうだね。だって ずっとこの森で暮らしていく訳にはいかないし、かと言って今の時点で帰る場所はないし、この世界の住人には俺の事説明しきれないって思うしなぁ。交渉するにしても彼の方が都合が良さそうだ。……後、色々と話は合いそうな気もするし。お互い世界を渡った間柄っていう共通点が一番気の合うポイントだ」
うんうん、と頷きながら決めていた。
この世界について 全てを完璧に思い出せる訳ではないが、覚えている1つとして 時間軸だ。ここと繋がっている地球……日本は、自分の故郷でもあるが ここから行ける日本は確か2010年代後半だったと記憶している。
自分が居た世界と違う点があるとすればその時間軸。
よしんばこの世界から 日本へ、東京へと還る事が出来たとして、
少なくとも30年以上昔の日本、と言う訳になってしまうから。20になったばかりの自分にとって 生まれる前の日本だと言う事だ。
生まれる前、と言う事だから 自分の親はいるかもしれないが、自分を息子だとはきっと思えないだろう。……貴方たちが将来授かる息子です! と暴露した所で 良い病院を紹介されるか通報されるかの二択だと思う。顔が似てる、と言ってみても世の中には似た様な人は3人居ると言われてるし、効果が無いかもしれないから。
なので、当面の身の振り方は 同じような境遇にあるカズラに頼ってみよう、と思った。単純に会ってみたいと言う気持ちも強い。
「カズラさんは、ちょっと前にこの森の奥に入っていったって言ってただろ?」
「はい。それは間違いないと思われます。
「ん。了解。だから 俺も奥に行ってちょっと待ってみるよ。……勿論、俺1人でな。こんな大勢で出迎えたら ひっくり返ってしまいそうだし。まだ会った事も無いんだろ?」
「はい。頃合いを見て接触をしてみようかとは思ってますが」
「ん。了解。一先ずお別れだな」
ひょいっと起き上がって、背筋を伸ばした。
光人間になっても腰は痛くなるんだな、と割とどうでも良い事を考えつつ 直ぐ隣で座してるウリボウの一匹の頭を撫でて、他の皆にも手を振った。
因みに、このウリボウは ついさっき、自分がぶん殴ったヤツで、話す間も きゅん、きゅん、と鳴きながら 頭を下げたり、ごろんっと転がって腹部を見せたり、自分に鼻を擦り付けたりされていた。
動物の世界の解りやすい圧倒的な力による主従関係(?)は、あまり好ましいとは思ってないので、気にしてないから、殴って逆に悪かったから、と伝えてから漸く大人しくなったが、それでも愛嬌振りまくような仕草を受けて 大きいサイズの動物も可愛いかも? と接している内に思ってしまったのはまた別な話。
「んじゃ、また」
「……はい」
手を振って森の奥の方へと歩いていく彼を見送って……黒い彼女は ほっと胸を撫でおろしていた。心底良かったと安堵していた。その表情に気付いたのか、一番彼になついていたウリボウが鼻を擦り付ける様に擦り寄る。
「赦していただいて良かったですね……、本当に」
「……ああ。今後は間違っても あの様な事はしないだろうが、我々でもよく言い聞かせておかないといけないな。迅速にだ」
「勿論です」
そう頷き合うと、黒い女性は黒いウリボウへと変化して、一際大きい長ウリボウと共に一族を引き連れ何処かへと走っていったのだった。
そして、もう1人の世にも不思議で奇妙な体験をしている男。いわばこの世界の主人公でもあるカズラはと言うと。
先ほど話をしていた通り、森を通って一時元の世界へと帰還していた。
その足で群馬県内にある実家へと顔を出した後、異世界の村 グリセア村で世話になっているバレッタと言う名の少女へのお土産用の本、そして他の住人の皆さんの為に石鹸などの日用品などを大量に仕入れ、また異世界へと戻ろうとしていた。
以前購入したリアカーがあるので とりあえずの持てるだけ沢山遠慮等無い爆買い、である。
ある程度時間をかけて色々と購入品を揃えて積み込み、リアカーを引っ張って異世界へと通じる群馬の山奥にある先祖代々から持っている屋敷へ。
屋敷の一室にある空間は、よく判らないトンデモ空間になっていて、傍から見ればただの六畳間の部屋なんだが、一歩踏み込むと がらりと変化し 石畳の通路が姿を現す。背後を見るとあるべき筈の屋敷の姿はなく真っ暗で行き止まりだ。だが、勿論恐れず引き返すとまた元の場所に戻れる。片道切符ではないので今の所安心して行き来出来ているのだ。
「んんー、逃げちゃってたけどやっぱり軍の人達も見てみたい気もするんだよなぁ……。バレッタさんたちには止められちゃったけど。まっ、よくある悪政を強いる悪い人達じゃないっぽいけど勤勉な人達みたいだし、俺不法入国も同然だし、普通に逮捕されるから残念だけど我慢我慢」
異世界に来た事で 元来 好奇心旺盛気味だった性格に拍車がかかっているカズラなのだが、郷に入っては郷に従え、とも言うだろうし そもそも捕まりでもしたら大変極まりない。この世界の法については詳しくないし、文明のレベルも決して高いとは言えないので、ひょっとしたら 魔女狩り宜しく火あぶりの刑だってあるのかもしれない。冗談抜きで異世界人なんてバレた日には、魔女と然程変わらないので 仮に軍人たちにコンタクトを取るとするなら、お近づきになれてから、段取り良く、が一番安心だ。
そんな事を考えながら、カズラは石畳の通路を通過。そして、この世界に初めて来た時に見つけた見知らぬ人骨に軽くお辞儀をして、森の中へと進んだ。
「ふぃ……、もっと体力つけないとなぁ」
腰をトントン、と叩きつつ前へ前へと進む。この雑木林内は整備されてない自然のままの状態なんだが、そんな凹凸激しい場所じゃないので、不幸中の幸いだ。もしも、道が最悪だったら、今の体力じゃ目も当てられない状態になってしまうのが目に見えてるから。
そんなこんなで、必死に運んでいる時だった。
「おぉぉい! あのーー、すみませーーーんっ! カズラさん、でしたっけ?? カズラさーーんっ!!」
背後から声が聞こえてくるのは。
思わず、カズラは呼ばれた方を凝視する。声がする方は自分が来た道で、こちらの世界の人は通れない場所となってる所だ。以前、バレッタを日本へ観光させようとして 森の中を進んでいったら、ある地点から強制的に森の入り口へと戻されてしまった出来事があるのだ。
この場所は、その
つまり、ここで会える人……となると 現時点では可能性は1つしかない。
「はぁっはぁっ、良かった……。入れ違いになる所だった」
「だ、誰だ君は!? 屋敷に勝手に入ったのか!?」
「へ? 屋敷?? あ、あ――、成程。違う違う。そうじゃないって」
「そうじゃないってどういう事だ? ここに入れるって事は君も日本から来たんじゃないのか??」
「あ、それは正しい。……でも、違うから。出身は同じだと思うけど、来た手段は違うから。とりあえず話を聞いてくれないかな。上手く説明できるかわからないけど、少なくとも此処で理解してくれそうな人は、貴方くらいしか居ないんだ。どうか宜しくお願い出来ないかな?」
両手をパタパタ、と振って軽くお辞儀をする男。
カズラが 見たところ歳は自分より若そうに見えた。そして、来ている服を見てみたら、ジャージの上下で どちらにしてもこの世界では手に入らないであろう衣類だから、自分と同じ日本出身なのだと言う事は解る。
でも、カズラが警戒しているのは 同じ出身だから安心、ではなく、この世界を繋ぐのは自分が確認できる範囲ではあるが 先祖代々続く屋敷が入り口になっているので、勝手に他人の家に不法侵入したのではないか? 泥棒か?? と言った点だった。
名前を知られているのは以前なら不思議に思うかもしれないが、カズラは宝くじで大金を当てた時から、見ず知らずの他人に名前を知られてしまった事が多かったので、全然不思議じゃないのだ。
でも、話を聞くくらいは問題ないだろう、とも判断した。そもそも生憎争いごとは苦手。暴力反対! なので、問答無用で叩き返すなんて真似できないから。
「えっと、初めまして。俺は
「……はい。私の名は ご存知かもしれないけど、一応。
カズキとカズラ。似た様な名を持つもの同士の自己紹介から始まり―――そして、カズキの現在について一通りの説明をカズラは受けた。
勿論 眉唾モノだった。
ゲームしてて、気付いたら違う世界でした、なんて どこのファンタジー小説だ? と。でも自身も似た様なモノなので、口に出してはいない。
カズキもカズラの心境を大体察した。
「そりゃ、なかなか信じられないですよね。……でも、現実なんです。それにこの世界? に来た時にすんごい能力も何か会得しちゃいまして」
「すんごい能力??」
「はい。ほら、そんなの会得して別の世界に来ちゃいました、なんてまさにファンタジーでしょ? 普通なら信じられないと思いますけど、こうやって、実演してみれば……」
「っっ!?」
そして、かねてより考えていた事を。異常な事が起きているのを一発で知らしめる手段を取る事にした。
そう、勿論 欲して欲して止まなかった 我が力! の解放である。
指先から発せられたのは一直線に伸びる光。
それだけだったら、手にペンライトか何かを仕込ませているだけじゃない? とも思えたのだが、ここからが違った。その光に吸い込まれる様に身体が消え去り……凄い速度で反対側へと移動していたのだ。まさに瞬間移動。光速移動だった。
「とある事情でゲーム……VRゲームにどっぷりハマりまして、廃人の手前まで、何千時間も費やしてゲームして、それでやっとこさ手に入れた力で、思う存分プレイを! って思ってたら、こんな所に来ちゃってたんです。……イキナリで納得するなんて難しいと思いますが、身分証明書みたいなの勿論持ってないので、これ以上の証明の仕様が無いんですよ……。信じてもらえないですかね?」
「い、いや、信じないもなにも、実際に見てるし。…………正直 カミサマだって言われても信じるしかないって。俺。トリックかトリックじゃないかくらい判別できるし。……こんな森の中で 種も仕掛けも出来ないトコで そんな事されちゃったら、ね……」
「!! 良かった!!」
ほっと一息つくカズキ。それを見たカズラは 友好的な性格で良かったと安堵したと同時に、もしも 好戦的で悪人で、いきなりの力で世界を支配! みたいな事にならなくて良かった、と自分で考えて背筋が凍っていた。あのグリセア村と言う場所を救う為に躍起になってるのに、こんな無茶苦茶な力を持った人間が現れて、蹂躙でもされたらたまったものじゃないからだ。
見た範囲ではあるが、そういった真似はしなさそうに思えた。……そう、信じたい、と言うのが正しいかもしれないが。
その後、リアカーを押すのを手伝ってもらいながら、村へと向かう。
その道中で色んな話を交わした。
ゲームの世界から此処へ、や自分の力について、と言うのは もうそれ以上説明の仕様がないので あまりしなかったが、一番は自分が居た世界……日本についてだ。
「へぇ……、そっちの日本じゃ そんな凄いゲーム機が開発されるんだ。SF映画とかじゃよく見る機器だけどさ」
「はい。良い時代に生まれた~って皆で感涙しましたよ。ま、ゲームやる前は失恋して号泣でしたが」
「そ、それはそれは……。でも、笑いながら言えるって事は吹っ切れたって感じかな?」
「勿論ですよ。勝手に男作ってどっか行った女なんて、もう知らね――! 考えても考えるだけ損だ――って感じです」
「うわぁ……。それは、大変だったね……」
「はい。……オレ、女を見る目無かったんスよ………」
たははは、とお互いに苦笑いした。
そして、次に話題に上がったのは、何故自分(カズラ)の名を知っているか? だった。
正直に全部話すかどうか迷ったが、一先ず 実際にこの世界で起きた事。ウリボウのお姉さんに教えてもらった事を話す事にした。古いライトノベルの登場人物でした、なんて説明で納得させる自信無いから。
「うぇぇぇ…… ここってそんなおっかない動物がいるんだ……。知らなかった……。普通に1人で行き来してたし」
「襲われた時生きた心地しませんでした……。でもま、それが合ってカズラさんの事聞けたし、自分のこの力も判ったし、良かったって事にしてます。あ、間違っても もう襲ってきたりはしないそうなんで」
「了解。でも一応……注意はしとこうかな。うんうん。……それにしてもカズキ君はポジティブだね。見習いたいトコだ。っとと、出口に到着したかな。……あっ、バレッタさん」
雑木林の先。丁度出口の陰が掛かった所に1人の女性が立っていた。
カズラは勿論、カズキも知っている少女。
もし――カズキの知っている通りの世界なのであれば、文武両道であり発明家でもあり、努力家であり――――と文句なしの天才少女である。勿論その原動力は自分の横にいるカズラである事も知っている。
「あっ、カズラさん。お帰りな―――さい?」
カズラが帰ってきてくれた事に喜んでお出迎えを~としてた時、その隣に居る人に気付けた。最初は困惑してしまっていたが、カズラがニコっと笑いながら 友人であると説明してくれたので、表情を緩めた。
その後、簡単にではあるがカズラは カズキの事をバレッタに説明をした。
最初はやや警戒をしていたバレッタだったが、カズラのおかげもあり あまり皆が混乱しないように、騒ぎにならないように、カズキをカズラの友……即ちグレイシオールの友である、と言う事を皆にバレッタの口から伝えてもらえる様に約束もしてくれた。
「初めまして。私はグリセア村のバレッタと申します」
「いえいえ。こちらこそ。おれ……私はカズキ、と申します」
「ははは、似た様な名前なので、間違えない様にしてもらえたら、と思います」
「あ、あははは。間違えるなんてとんでもありませんよ」
笑う姿も本当に可愛らしいバレッタ。こんな子の為なら、力になってあげたい、と思うカズラの気持ちもよく判ると言うものだ。女性関係で痛い目を見たカズキもすっかり忘れてしまいそうになる程の威力がバレッタの笑顔にはあったから。
「カズラさんの友として、俺もグリセア村の力になりますから! 何でも言ってくださいね? バレッタさん。オレ、頑張ります!」
「え、えっと…… そんな私達の為にそこまで」
「良いんです良いんです。ほら、オレの事を助けると思って。ね? カズラさん」
「ははは……そうですね」
元の場所に帰る手段を持ち得てるカズラと違って、一切の手段を持たないカズキの大変さはわかるので、最初は心から同情する想いだった。
もし――カズラが カズキの様に あの施錠された六畳間の部屋の中に入ってそのまま帰る事が出来なかったら?
と考えたら、正直恐ろしいものがある。
それに、日本へ帰る事が出来るからこそ、この村を救う事が出来たのだから。
因みに バレッタに会う前に色々とカズキと話していた内の1つとして、日雇いで護衛として雇ってくれ~的な話があった。能力ははっきり言って神様みたいなモノなので、そんな人が護衛なんてしてくれたら心強い事極まりないが、流石に会ったばかりで付き合いが浅すぎると言うのもあって断った。
なので、表向きは友(ゆくゆくは本当の友達になれたら一番良い)で、カズラと協力して一緒にグリセア村の復興を手伝う、と言う形で雇ってもらえる事になったのだ。
バレッタも困惑した様子で、申し訳ない、と断り気味だった様だが、カズラの言伝もあって最後は笑顔で了承してくれた。
カズキにとっては幸先の良いスタート。
ひょっとしたら、トンデモナイ額の宝くじに当たったカズラと同じくらい幸運だと言っていいかもしれない。
そして――カズラにとっても このカズキと言う男との出会いは、40億円というトンデモナイ大金を引き当てた強運をも凌ぐ程のモノになっていくのだった。