ゲームしてたら異世界に来てました。   作:ハイキューw

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22話 いつの間にか高待遇・高給取り

 

 

 

復興作業初日の夕刻。

 

一段落ついたので一時中断しナルソン邸へと戻ってきていた。

 

「ハベルさん、アイザックさん。今日はカズラさんの方を手伝っていただけると助かります」

「「は! 了解致しました!」」

 

今日も夜にカズキとの訓練がある! と半ばワクワクしているアイザックだったが、カズラの指示のもと、沢山の木材を運び込んでいるのを見て、カズキはそう提案した。

 

ハベルは兎も角 アイザックは 一瞬だけ、残念そうな顔をしていたが、カズラでもカズキでもこの身を全て捧げる所存だと言うのは変わらないので、間をおかず返答。

 

一糸乱れない返事に思わず仰け反りそうになったが、どうにか押し止め、カズキは軽く頭を下げて礼を言うと。

 

 

「発電機の目隠し小屋ですね? さっき言ってた」

「うん。今夜の内にやっときたくてね。……何せ音が凄いから。一番低温のecoモードでも周囲にかなり響くんだ……」

「仕方ないですね……。あの手の機械音は、ここじゃ カズラさんの発電機だけですから。似た様な音が無い分、余計に目立つんだと思います」

「ですよね~~」

 

 

完全なオーバーテクノロジーを持ち込む以上、ある程度は覚悟していたつもりだったが、やはり初日ともなれば、想定を超える事態が起きたって不思議じゃない。

アイザックは、一晩中見張りをする! と意気込んではいたが、それは カズラもカズキもやめさせている。

 

如何に栄養ドリンク リポDで言わばドーピングを施しているとはいえ、休む時はしっかり休んでもらいたいし、あまりにも超人的な働きをし続ければ、要らぬ噂が立ってしまいそうな問題点もある。日頃からアイザックは真面目であり、体力もずば抜けて高いとはいっても、普段以上を発揮し続ければ、誰もが訝しむ筈だ。……人の噂の広がる速度が速い事は、カズキの剣の訓練からよーく身に染みていると言うモノ、である。

 

 

「では、アイザックさん。ハベルさんもお手伝いをお願いします」

「じゃあ、一式取ってきますね、カズキさん」

「宜しくお願いします」

 

 

周囲の人払いもある程度済んだ。

材料となる木材も揃った。後は加工していくだけだ。4人いて、道具も有れば直ぐに終わるだろう。

 

 

因みに、最初は金槌、鋸、釘―――とやや原始的で、見ている人達にも解りやすい加工法を取ろうとしたのだが、結構めんどくさい。かと言って、カズキのピカピカの力で切ってもらっても良いかもしれないが、他の人に見られる可能性が跳ね上がるし、何より 神様(笑)の力をそんなお手軽に使うのもどうか? と言うのがカズラの意見だ。

 

 

と言うワケで、色々と考慮した結果、発電機もある事だし、電動工具の出番が来たのである。

 

 

カズキが工具一式をカズラの元へと持ってきた所で、準備完了。

 

「あ、ルートさんは今日はお疲れ様でした。ずっと長い間見張りをさせてしまってスミマセン……。また明日からも手伝いをお願いするかと思いますので今日は帰って休んでください」

 

因みにルートは、発電機の見張りに立っていてくれていた。

延々と直立不動で立ち続けるのもかなりの苦行だ。なのに、ルートは文句ひとつ言わず、表情ひとつ変えず、最後の最後まで見張り続けてくれた。

まだまだ若い筈なのに、本当に大した忍耐力・忠誠心だ。……だけど、流石にそろそろ休憩を……、というのがカズラの気持ち。

 

復興作業中は、時折 休憩も入れていたし、それを考えると延々と見張りを続けていたルートの方が負担が大きい筈だから。勿論、誰も見ていない所で、軽くサボりでもしていたら、そうでもないかもしれないが、ルートがそういう性格じゃない事はもう解りきっている。

 

 

……だが、カズラの申し出に首を大きく横に振った。

 

 

「――――いえ! どうか私にもお手伝いをさせて下さい! まだまだ元気ですので、なんでも致します! お心遣い、ありがとうございます!」

「おお……!」

 

 

目を輝かせながら張り切るルート。

その横でアイザックも同じような目でルートを見ていた。

 

【良くぞ言った!】

 

 

と胸を張っている様に見える。

アイザックとルートのその姿は本当に瓜二つだ。

容姿、その性格、まさにルートは プチ・アイザック、リトル・アイザックである。

 

 

そして、アイザックもルートに関して後押し・太鼓判を改めて告げる。

 

 

 

「――――そうですね。ルートは他人に秘密を漏らすような男ではありません。もとより、カズラ様、カズキ様が、グレイシオール様、メルエム様である事を知っていますし、今後も手伝わせても問題は無いかと思います」

 

 

最初は4人で作業を行うつもりだった。

それでも十分多い方だが、ルートを含めると更に1人加わって5人。

電動工具は1セットしかないので、木材運搬係、木材を切る係、打ち付ける係……と分担しても人が余りそうだ。

 

でも、後々の事を考えれば 秘密を共有出来るに足る人物が増えて、手伝ってもらえる人が増えるのは良い事だろう。

 

 

「んーー、ですね。なら、お願いしましょう。これだけ人数が居たならもっと早く終わるでしょうし」

「5人いるなら、工具、もう1セットくらいあった方が良かったですね。(………ちょちょっと、オレの力、使って切ってみても良いですか?)」

「ま、まぁ 目立たない程度にね………?」

 

 

 

と言うワケで、カズラ講師による、木材加工・工具説明 講義がスタートした。

 

 

 

 

勿論、電動(・・)工具だ。

この世界じゃ、それも当然ながらオーバーテクノロジー。

 

電動鋸を、じゃん! と出した途端に、アイザック・ルート・ハベルも顔をひきつらせた。

物騒な形状の刃で一体何を?? と思ったのだが……、カズラがそのまま高速回転する刃で、木くずを周囲にまき散らせながら、どんどん切っていく。

 

何でも、カズラは実家の畑、肥料つくりの為、木製コンポストボックスを作った事があるので、手際が良いのだ。

 

これまた当然だが、危険性はあるので、安全第一でどんどん木材を切っていく。

 

 

「な、なんと………」

「あの大きさの木が、あっという間に………」

「凄いです…………」

 

 

現代日本では当然驚かれる訳がない事なのだが、ここまで驚き、目を見張らせられると、何だか良い気分になるものだ。

別に自分が発明したワケでは無いのだが。

 

 

「私が板を切断している間に、アイザックさんにはこの道具を使って小屋の壁を作ってもらいたいんです。使い方はまた説明をします。今後にも活かせる加工法だと思いますので、他の皆さんもしっかり覚えておいてください」

「「「は!」」」

 

 

 

その後は驚いては、熱心に、また驚いては熱心に……の繰り返しだった。

特にネイルガンについては、こちらの世界ででも釘はあるから、金槌を使った打ち付けくらいは経験がある筈なので、特に驚いていた。

一瞬で釘が刺さってしまうのだから。

 

これも危険なので、安全性重視、安全教育は怠らない。

 

 

 

 

 

 

「ん~~♪ んっん~~~♪」

 

 

 

 

その横で、カズキは、鼻歌交じりに、指先から発せられた光の剣。光の刃で木の切断担当を担っていた。

 

一際大きな材木に関しては、電動鋸でも中々加工しずらいので、必要な部分を切り取る係だ。

切断面が少々ではあるものの、焦げ付きが残ってしまうから、大雑把で良い切り作業はカズキお手の物、なのである。

 

鼻歌交じりにどんどん、木を斬ってく後ろ姿は、何ともギャップがあり過ぎて思わず苦笑いしてしまう4人。

やっている事は凄まじい……、オーバーテクノロジーを遥かに超えた最早オカルト系なのに、本当に楽しそうにしているから、例え初見であったとしても、そこまで驚かない様な気もする。

 

 

 

 

 

 

そして、暫くして……。

 

「カズキさんのお陰で、後々に作成する資材置き場用の木材加工も済みましたし、皆さんのおかげで思ったよりも早く作る事が出来ました。ありがとうございます」

 

カズラたちが作成した小屋は、四方の柱が地中に埋まっており、地面と壁の間には10㎝程のすきまが取っている。

発電機なので、当然燃料を燃やす際に発生する一酸化炭素。それを換気する為の隙間だ。……危険なので、此処に顔を近付かせない様にも伝えてある。

 

不思議な空気は、吸い続けると死に至る――――と、脅かしているので、誰も近づきたがらない。見張りもしてくれているので安心だ。

 

 

「凄まじいですね……カズキ様も凄まじいですが、こちらも……。これ程までの道具が無ければ、こんなにも早く終わりませんでした」

「はい。……これなら本格的な家作りももっともっと時間が短縮されそうな……」

「あー、気持ちは解りますが、こちらの道具は大量生産するのが不可能です。なので、申し訳ないですが、大掛かりな建設関係は諦めて下さい」

 

カズラの一声で、少々惜しむ気持ちはあると思うが、ハベルは それ以上言わずに頷いて一歩下がるのだった。

 

そして、皆疲れてるだろうな……、と汗を拭い、ふと 周囲を見渡してみると……。

 

 

「宜しくお願いします!!」

「あ、はい。解りました」

 

 

何故こうなったのかは解らないが、ルートとカズキが互いに剣を構えていた場面が見えた。

カズラは目を擦って見直してみたが、何度擦っても、何度見しても、この光景が変わる事は無く……、武芸達者なカズキに挑む形でルートが剣を振るっていた。

 

 

「な、なな! おいルート! 何をしているんだ!?」

「っっ!! す、すみません! アイザック様! こ、これは……」

「あ、ああ。すみません。アイザックさん。こちらの作業が幾分か早く終わりまして……。カズラさん達の手伝いをとも思ったんですが、人が増えても、道具が無く作業効率が悪いと判断したので、私が提案したんです」

 

慌ててカズキが説明をする。

理由は、ルートと共に木材(大雑把)加工をしている際に、アイザック&ハベル との夜の訓練の話になり、ルートは先ほどの手伝います発言よりも更に目を輝かせた。

 

【おもちゃが欲しい、強請りたい、でもでも、……お兄ちゃんだから我慢する! 頑張って我慢する!】 

 

と言う感じの健気な男の子に見えたカズキが、ルートに提案したのが発端。

最初は、他の人の作業が……、まだアイザックやハベル、カズラが小屋を作っている最中、と渋ったのだが、好奇心がかなり高い事と、向こうに行っても 工具が無いので 手伝える事は少なく、逆に邪魔になりかねない事を告げる。

 

何より、メルエム()が良いですよ? と言えば、きっと大丈夫でしょう。とカズキは言ったのだ。……ちょっとズルい気もするが。

 

それに、ルートは、秘密を共有出来る数少ない兵士。

出来る事があれば、目をかけてあげたい、というのが心情だ。

 

 

 

 

その後、カズキの言葉を聞いて 一先ずアイザックは納得してくれた。

 

ただ、納得するだけで終わる筈もなく、その後はアイザックやハベルも含んだ4人で一気に剣の訓練開始となり、カズラは、ただの観客になってしまうのだった。

(見てるだけで凄いので、観戦するだけの価値は十分にある、というのがカズラの感想)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃――――。

 

 

ナルソン邸に戻ってきたジルコニアは マリー用の部屋を作らせていた。

元々は、物置部屋ではあったが、整理整頓し、家具をそれなりに揃えると、普通の部屋として十分に機能する。

ナルソン邸だから、その普通のレベルは、一般的な普通とはかけ離れているのは言うまでもない。

元々奴隷であるマリーにとって見れば、豪邸の一室、自身が仕えているルーソン家が霞む程のモノだった。

 

 

次々に必要物資が運び出されている様子をジルコニアが眺めていると、パタパタパタ、と慌ただしく足音が近づいてくる。

 

「お、遅くなり申し訳ございません! 私をお呼びでしょうか!?」

 

思いっきりダッシュでやって来たのだろう。……勿論侍女の制服が乱れない最低限度の気を使いながら。だから、普通に走るより遥かに疲れてしまう。

 

息を切らせ、どうにか呼吸を整え、それでいて、ジルコニアと言う自分にとって雲の上の人に失礼が無いように失礼が無いように、とだけ頭の中で念仏の様に唱えながら頭を下げる。

 

「あらあら。そんなに慌てなくても大丈夫よ。顔を上げなさい」

 

ジルコニアは、マリーがいつも一生懸命である事は知っている。

カズラの世話係に何度かあてられ、更にカズラとカズキの食事事情にもかかわりのある少女だ。普段の様子、勤務態度はしっかり確認はとっている。

 

結果、申し分ない。年齢を考えても非常に優秀と言えるだろう。

 

ルーソン家には先ほど足を運び、色々と内に潜むモノがあるのは感じていたが、それを考慮したとしても、マリーは良い子だ。

 

 

「今日からここがあなたの部屋よ。それと、あなたをカズラさん、カズキさんの従者に任命するわ。……どちらを優先的に、どちらを先に、というのは深く考えなくて良いからね。時間割をしっかり決めてから仕えてちょうだい。もちろん、専属料理人の仕事も兼務してね」

「っっ!?? か、かしこまりました!」

 

 

いきなりだ。

本当にいきなりの人事異動?? だった。新たな職務にも驚かされるし、何よりもこの豪勢な部屋を自分の部屋として使うなんて、高待遇……あまりの事で気絶してしまいそうだった。

 

それでもどうにか、踏ん張ると、また 呼吸が荒くなりそうだったので、しっかり整える。

 

 

例えいきなりだったとしても、……無理難題があったとしても、マリーがジルコニアに意見できるような立場ではないので、全て【はい】と答えるしかない。

 

 

これまででも、何度も何度も辛い事だってあった。【はい】しか言えず、苦しい事もあった。

今回のこれは、それらの意味とは180度違うので、あまりにも違い過ぎて、息は整いつつあっても、思考が纏まらない。

 

 

 

「どのくらいの時間になるかはわからないけど、あなたの身は一時的にイステール家が借り受ける事になったの。ノールには話を通してあるから、安心してね」

「!! はい! わかりました!」

 

 

そして、ルーソン家との話をつけている、というジルコニアの言葉を聞いて、兄 ハベルが言っていた事がこの事だったのだ、という結論に達する事は出来た。

 

どうにかして、あのルーソン家…… 奴隷の身分。決して良い待遇とは言えない扱いをされていた家から抜ける事が出来た。……まだ一時的なものではあるし、兄も自分も望んでいた事がこうも早くに訪れるなんて……、と油断をすれば涙が出てしまう。

 

兄も間違いなく喜んでくれるし、兄が喜んでくれる事が、マリーにとっても一番嬉しい。……更に、自分の環境が良くなった事で兄が喜んでくれるなんて、これ以上の幸せがあるだろうか。

 

 

色々と想いを馳せている時――――更にジルコニアからの驚愕な追い打ちがやってくる。

勿論、悪い意味ではない……が、それでもマリーにとっての衝撃は半端ではない。

 

 

「あと、あなたの私物も全部回収してきてあるから、ルーソン家にとりに戻る必要はないわ。服とか家具も用意させてるから、今後はそれを使いなさい。給金は月の終わりに1500アル出すわ」

「………えっ!?」

「諸経費は引いた状態で、現金で渡すから手取りはもっと少ないけどね。色々と勝手が解らないだろうから、あなたと一緒にもう1人、2人に対しての従者として正式につけるわ。解らない事は全部その娘に聞きなさい。もうここで10年働いている娘だから聞けば何でもわかるでしょう」

 

 

 

半端ない衝撃が、マリーを打ち抜いた。

頭の中で大噴火が沸き起こる。

 

 

まさかの給金と言う言葉の中の……桁がおかしい、という部分。

 

 

今までも確かに奴隷として働いていて給金は得ていたのだが………待遇は限りなく悪い。このイステリアでの最低賃金と言うモノは幾らなのかはマリーに解る由も無いが、それでも貰っている者限定と考えれば、自分より低い給金があるのか? と問われれば……なかなか首を横には振れない。

 

何せ、ルーソン家の給金は、貰っているのか貰っていないんだかわからなくなる程の薄給。必要な経費は勿論、給金から差し引かれるし、生活用品に関しても当然ながら自分の給金。

貰っているのか貰っていないのか解らない感覚に見舞われるのはここに原因がある。

 

幾ら数字を示されても、必要経費としてドンドン引かれていくのだから、手元に残らない。

衣食住にのみ困らないだけマシだと思うしかなかったのだが……、ここにきてまさかの1500アル。

 

この金額はかなりの高額。高給取りの仲間入りをしてしまったのだ。おまけに1人部屋ありの高待遇。

 

もう何が何やら訳が分からないと言うマリーの感覚は決して、決っっっして間違っていない。

 

 

「ちゃんと貯金すれば、その内身分を買い戻して解放奴隷になれるわ。今後の働きによっては昇給も考えるから、頑張りなさい」

「は、はい…………」

 

 

あまりの事に現実感が無い。

夢現か、白昼夢を見ているのか? と思えたが、この時不意に頭に感触を覚えた。

ジルコニアが触っている訳ではないのに、何故かこの瞬間、撫でられたような感覚………正確に言えば、マリーの記憶が蘇る。

 

それは、兄に撫でられたのではなく、………そう、従者として仕える対象の1人である、カズキ。

 

初めてルーソン家で短い時間だったが、お世話をした時に撫でられた感覚だ。

頻りに、【大丈夫】と言う言葉を頂いた。あの時はよく解らなかったが……、もしかしたら、全ては此処に繋がっているのでは? とも思えた。

兄のハベルが心から信頼しているのはよく知っているし、その人柄の良さはマリーもよく知っている。

 

身分が高い人の筈なのに、分け隔てなく、どんな人に対しても接し方が変わらないのだから。

 

 

心の中で、カズキに、そして勿論、これから仕えるもう1人のカズラにもお礼を……と思ったその時だ。

 

 

 

「あ、それと……」

 

またまたまたまた―――――――何度目か解らない衝撃が来たのは。

 

しかも、超高威力なのは同じだが、先ほどのジルコニアに呼ばれた事や、高い給金と言ったモノとは種類が違う(・・・・・)衝撃。

 

 

ジルコニアにとっては、忘れていた事項だし、別段深く考えた事ではないのだが。

何事も無い様にごく自然に通知する様に真顔で言う。

 

 

 

「いつ お2人から夜伽を申し付けられても良い様に、身体は常に清潔にしておきなさい。必要なら風呂を使う事も特別に許可するから、いつでも申し出てね? 勿論、体力だって必要な事だから、休む時は休む、特に睡眠時間はしっかり取るようにね。……じゃあ、よろしくね」

 

 

 

 

 

―――――………。

 

 

マリーの思考が完全に停止したのは言うまでもない。

優しかったあの手に…………自分の身体を………………

 

 

 

 

 

 

 

正直マリーを置き去りにした感はあるが、しっかり返事をした(殆ど条件反射)のを見届けたので、良しとして その場を離れるジルコニア。

 

「……ふぅ」

 

因みにジルコニアは、カズキとカズラの2人が、そう言うもの(・・・・・・)を求めている、とは正直考えてはいなかった。

2人の性格は、まだ接した時間が短いとはいえ、大体把握できている。

 

流石は神。と言うべきだろうか、こちらの世界の人間とは考え方が違った。

 

 

どんな者であっても、強大な力を持てば覇権を握りたくなるものだ。

歴史がそれを証明している。自分達は違うと言いたいが、それでも、ジルコニアは自分の為に利用している節があるのは否定できない。

 

最初は、マリーともう1人、カズラとカズキにそれぞれ従者を宛がうつもりだったのだが、兎に角 普通の待遇を、友人として接する事を願うカズキの事も有ったので、見知った間柄でもあるマリーを2人に宛がう事でどうにか、印象悪くならないようにしよう、というのがジルコニアの最低ラインだった。

 

マリーが良い子なのは間違いないし、更に嬉しい事に カズキとリーゼの交流する機会が増えている。

 

 

今後も、より良好な関係を築き上げる事が出来たのなら、ここイステリアもあのグリセア村のように――――。

 

嘗ての神話の様な 悪い領主が居る場所としてではなく、庇護するべき地だと思ってくれたなら……。

 

 

 

「………そうなったら、きっとバルベールだって……………」

 

 

 

ジルコニアは、ふと窓から顔を出した。

月明りが照らす夜空が広がっている。

 

届きそうで決して届かないその星々に手を伸ばしながら―――嘗て誓った、あの日の想いを、本懐を必ず遂げるのだと、胸に刻みつけるのだった。

 

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