ゲームしてたら異世界に来てました。   作:ハイキューw

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25話 侍女のお仕事

 

 

 

 

 

 

 

 

侍女達の朝は早い。

 

 

早くに起き、身支度を整え まず初めに行う事は【朝礼】

 

夜勤者から日勤者への申し送りや連絡事項の通達、重要な事は再三確認し、漏れ・不備の無いように心がける。

そして、なるべく笑顔を絶やさない様に務めるのも重要だ。

 

このアルカディア、イステリアの領主 ナルソンは 黒い噂が蔓延る様な領主とは違う。自分達の雇い主であり、主であり、生活の基盤ともなる場所だ。少しでも居心地が良い様に、自他ともにより良い職場にするためには……、やっぱり自然な笑顔は重要な要素。

 

ストレスがあまりない職場だからこそ、出来る事かもしれないが。

 

 

 

 

 

 

そして、次に マリーとエイラの業務を見てみよう。

 

 

 

 

 

 

 

朝礼が終わった後は、専属従者が行う業務、それも重要なモノの1つ。

 

リーゼの部屋の整頓・身支度の手伝いを行う事。

 

朝礼後の時間帯はいつもリーゼはトレーニングに出かけていて、部屋を開けているので、その間に手早く済ませるのだ。

 

 

「……よしっ。マリーちゃんお疲れ様。随分慣れてきたね」

「はい。ありがとうございます!」

 

 

一度教えた事は大体熟してくれるマリー。

教育係に任命された時は、どうなるかと心配していたが……、いざ一緒に仕事をしてみると、まだ若いと言うのにかなり要領よく、そして積極的に熟してくれるのだから 心配は杞憂と言うものだ。

 

「おはよう、マリー」

 

そんな時、部屋の扉が開いたかと思えば、リーゼの声。

どうやら、トレーニングを終えたリーゼが帰ってきた様だ。今日の訓練も調子が良かったのだろう、と一目みたら解る表情、そして 多くの汗だった。

 

「「リーゼ様! おはようございます」」

 

マリーとエイラの2人は頭を下げる。

まだまだ、緊張している様で、マリーにはぎこちなさが残っている様だが、それでも一生懸命にしているのは見たら一目瞭然なので、リーゼは温かい目で見守っていた。

 

 

「マリーは、今日で3日目よね。仕事はどう? みんなとは上手くやっていけてる?」

「はい! 皆さん、とてもよくしてくださいます」

 

 

歳が比較的近いと言う事、何よりリーゼ自身の人柄(内面に関しては……、当然だが まだマリーは知らない)も有り、マリーは本心をそのままはっきりと口に出す事が出来ている。

 

これが、以前まで居たルーソン家であれば、ここまで淀みなく言えるだろうか?

事務的に、或いは同じ言葉を繰り返す人形の様に、受け答えをするだけになってしまっていたかもしれない。

ここに来てからのマリーは真面目で直向きなので、本当にそうなるのか? と問われれば首を横に振る者が多いだろうが、それ程までにルーソン家とナルソン家では待遇が違ったと言う事なのだ。

 

それを知るのは、ここではハベルと本人のみになるが……。

 

だが、それは最早過去の事だ。

 

マリーはただただ今ここで働ける事に対して幸せを感じつつ、そして兄のハベル、……カズキとカズラに迷惑が掛からない様、全力で仕事をするだけだ。

 

 

「よかった。でも、エイラにいびられたら直ぐに私に言ってね? 懲らしめておくから!」

「っ! ちょっ……人聞きの悪い事言わないでください!」

「ふふ、冗談よ」

 

 

エイラとリーゼの仲が良い事は日も浅いマリーでもよく解る。

誰が相手であっても分け隔てなく自然に接してくれるリーゼだが、やっぱりエイラは特別なのだと言う事が、言葉の要所要所でよく解るから。もう10年以上仕えているのだから、当たり前かもしれないが、2人のやり取りは、見ていてマリーも思わず頬を緩めてしまうものなのだ。

 

 

「こ、こほんっ! じゃあ、マリー。これを洗い場の方に持っていって。私はこれからカズラ様のお部屋に行ってくるから、マリーはカズキ様の方をよろしくね」

「はいっ!」

 

マリーは意気揚々と、洗濯籠を両手に抱えて、お辞儀をし 出て行った。

 

その後ろ姿を見送ったリーゼは、エイラに改めて聞く。

 

 

「――――どう? あの娘、大丈夫そう?」

「一通りの教育は受けている様で仕事は問題なく出来てますよ。他のみんなも気にかけているので、うまくやっていけるかと」

 

 

真剣身が一段階増した表情で聞くリーゼと、同じく嘘偽りのない、いつも通りの姿勢で答えるエイラ。

 

大丈夫だとは思っているが、万が一にでも、カズキやカズラに迷惑はかけられないから、ある程度は気に掛ける必要はあったのだ。

それに、2人がミス等で目くじらを立てる性格ではない事は、リーゼも解っている。

だから、もしも、マリーに問題があると言うのなら、それとなくフォローを入れて、好感度を上げる事にも繋がる。……と、色々と考えては居たのだが、良いのか悪いのか……、いや、間違いなく良い。マリーは問題なく働けていけそうな事にはリーゼも歓迎だ。下心があった事は否定しないが。

 

 

「そっか。でも、私より若い娘なんてね……。ん~、エイラはカズラ様で、マリーはカズキ様だから……、カズキ様の好み? エイラはカズラ様と同い歳っぽいしね」

「そ、それはどうでしょう? どうせ住み込みなら、兼任で従者も……といったところでは? 教養が行き届いていると言う所を見てもマリーは申し分ないと思いますし。ルーソン家で働いていた様なので、その辺りが行き届いているのは納得してますが」

 

 

 

 

ルーソン家……ハベルの家。

 

 

 

貴族に分類する身分で、重鎮である家の1つ。

家柄も申し分ないし、何より マリーの失態はルーソン家にとっても家柄に泥を塗るも同然だ。その辺りを気にする家柄である事は、ルーソン家の当主、ノールやハベルの()も同じだろうから。……当主程は解りやすくないが。

 

 

「ん~、でもそれにしては待遇が良すぎない? ルーソン家って言ったって、領主(うち)程じゃないんだし、屋敷の中に部屋もあるし。夜伽の為だ、って言われてもおかしくないと思うわ」

「えーっと、カズラ様もカズキ様もご多忙ですから。私もマリーも小間使いとしていつでも呼び出せるようにとの配慮かと。それに、夜伽の為なら、ルーソン家から【貸し出し】ではなく、【買い取り】になるのでは?」

「それもそっか……、じゃないとエイラも夜伽相手で住み込みになった、って事になるもんね。カズラ様はエイラ、カズキ様はマリーって感じで。もしも、カズキ様の好みがマリーで、カズラ様がエイラだったら……って考えたら、この待遇も納得できるし。………でもま、2人が、そういう事しなさそうなのは、一応分かったつもりだけど」

 

 

リーゼは、大真面目でそう答える。

夜伽とか、朝っぱらから出てくる単語じゃない気もするのだが……、リーゼの話を聞いて、はっ! と焦るのはエイラだ。

 

 

そもそも、エイラも突然の高待遇。

屋敷の中への引っ越しに加えて、お風呂の使用も許可されている。……何のために身体を清潔にしているのか? 誰の為に毎日入浴を? と考えたら……リーゼの言っている事が、極めて高確率で当たっている。

 

何故、今の今までそれを考えつかなかったのだろうか。

 

今回は、2人がその気がない? 様なので大丈夫だったが、もしも―――身体を求められ、夜伽に呼ばれでもしたなら…………、相手に恥をかかせない様に、ナルソン家に泥を塗らない様に、対応出来たかどうか正直解らない。

 

 

 

―――――と言うか、まだそんな覚悟は持ち合わせていない。

 

 

 

「エイラ?」

 

 

いつかは、そう(・・)なるかもしれないが、まだ遠い先、未来だと思っていた。と言うより、ひょっとしたら生涯……無いかもしれない、と思っていた矢先のまさかの展開。

エイラの中では一大事件だ。……結果論を言えば、カズラもカズキも女性を、夜伽の相手を求めていない様なので、起こっていない、起こらないのだが……、その辺は今のエイラには関係ない様子。

リーゼの前でなければ、もんどりうって七転八倒、ゴロゴロとベッドの上で転がっていただろう、と自覚している。

 

 

「………エイラ?? 大丈夫?」 

「!! も、申し訳ございません! 大丈夫です」

「そ? 大丈夫なら良いけど。……あまり無茶はしないでね。無理だったら直ぐに言って。出来る範囲になっちゃうかもしれないケド、しっかり伝えておくから」

「ありがとうございます。……大丈夫です」

 

 

半ばリーゼを無視して苦悶していたエイラだったが、二度目の訝し気な問いかけには流石に気が付き、答える。

いつも通りリーゼは優しい。……自分を信頼してくれているのも嬉しい。………が、リーゼの言葉で色々な悩みが頭の中を駆け回ったのだが……? と思ったのは、エイラだけの秘密である。

 

 

 

 

エイラは、その後分担して屋敷の掃除と洗濯を行っていた時、バッタリとカズキに出会った。

 

「おはようございます。カズキ様」

「おはようございます。エイラさん。私の方は終わりましたので、マリーさんに調理場に行ってもらいますから」

 

カズキがそういう後ろには、マリーが立っている。丁度影になりそうでならない絶妙の斜め後ろに居て 立ち位置は完璧に近い、とエイラは思った。

 

「(朝食作りかな?)かしこまりました。マリーちゃん、カズキ様とカズラ様の方を最優先させて。他の所は私がやっておくから」

「はい! 承知致しました。よろしくお願いします」

「さ、最優先にって……」

 

 

カズキは、【そこまでしなくても――――】と言いかけたが、直ぐに口を噤む。

別に希望をしたワケではないのだが、従者として配属された以上、その相手を優先させるのは当然の事だろう。後回し、蔑ろ、……2人に限ってそんな事はしないと思うが、万が一にでも、意に沿わない結果になったとしたら、色々と被害を被るのはその雇い主であるナルソンに向かうから。

 

 

従者としての義務はしっかりと果たす彼女たち。

なら、自分に何が出来るか? を考えたら、やっぱり1つしかない。

 

 

「肩肘を張らず、落ち着いてゆっくりで良いからね? そうそう、カズラさんもマリーちゃんが出してくれてる料理、美味しいって評判でね―――」

「あ、あぅ、あの、ありがとうございます……」

 

 

少しでも居心地が良い様に、変な態度を、ありきたりでベタだと思ってしまうが、そこらへんの悪貴族かの様な 意地が悪く傲慢な態度にならない様に、仕えてくれている彼女たちが伸び伸びと仕事が出来る様に配慮するだけだ。

 

 

「じゃあ、エイラさんもよろしくお願いします。カズラさん、まだ書類纏めてると思いますので、そろそろ朝食を~、私とマリーさんが行ってます~って事をそれとなくタイミングを見て伝えておいてもらえませんか?」

「かしこまりました」

 

 

 

人柄に関しては、リーゼではないがエイラもよく解っている。

 

 

彼らが夜伽を求める―――、と言うのは今の所想像が出来ないのだが、彼らだって男。

何日も何日も国を離れて……ふとした時に…………。

 

 

「(………カズキ様の様な優しい方が、最初なら……それも……………っっぅ!!? わ、私なにかんがえて……ッッ!!)」

 

 

エイラは、変な事を考えるな! と自分に戒める様に頬を思いっきり挟む様に叩く。

 

もう、カズキもマリーもこの場から去った後だったので、先ほどの痴態は見られていない。

本当に肝を冷やしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後――いつも通りカズラの部屋を掃除、洗濯ものの回収をし、カズキに伝えられた通りに熱心に書類を目に通していたカズラに朝食を促し……仕事の一区切りをつけた。

 

カズラの部屋は いつもの異音(発電機)が鳴っている様だが、お腹に響く様な音が止まる事なく成り続けている様だが、気のせい気のせい、幻聴幻聴、とエイラは気にした様子はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、更に時間が経ち、復興作業の為の穀倉地帯へ同伴もし、終えてナルソン邸に戻った後、最後の大きな業務ジルコニアとの面談開始。

 

 

「失礼します」

「いつもご苦労様」

 

 

その内容は主にリーゼ関係。翌日の予定の確認やその調整である。

だが、今回は異なってくる。カズキやカズラと言った別の重要事項が増えたからだ。

 

 

「えっと、今日はマリーと一緒にリーゼの作業……穀倉地帯まで同行したのよね? 暑かったでしょう?」

「はい。強い日差しに加え、地面からの照り返しが酷く……でも、みんな 文句を言わず一生懸命働いています」

「あはは……。先頭で働いてるのが、リーゼやカズラさん、カズキさんの3人だからね。それにカズキさんなんて、率先して作業者たちよりも仕事やろうとしているんだから」

「あ、あははは……、カズラ様やリーゼ様が次へ、と促さないとずっと最後までやる、って勢いですね……」

 

高貴な身分である筈なのに、云わば下っ端の仕事を笑顔で率先してやる姿に驚きもしていたが、今は好感度しかない。

それは、リーゼと同じ部類に入る。……流石にまだ自分達よりも若く、美しいリーゼに力仕事や比較的汚れる仕事をさせてたまるか、と作業員たちは躍起になるのだが、カズキはまた違う。

 

「競争、とまで言ってましたからね……。早く済ませたら、自分の小遣いから賞金、とかなんとか……」

「仕事がちょっとしたゲームになっちゃって……。それはそれで士気向上しそうね」

「おっしゃる通りで……。それに加えてリーゼ様も同じく身分問わず慕われてますし、カズキ様が頑張っておられる所に、混ざろうとして、でもカズキ様も自分が、と言ったりして……その、2人のやり取りを微笑ましくカズラ様が眺めていて。……私の方も暑さとはまた違う温かさを感じられました」

「あらあらまぁまぁ。それは良い事ね」

 

親密に接する事が出来ている報告を受けるのは、本当に好都合。……好都合、とは言いたくない自分も居るが、やっぱりそう思ってしまう。

親しくなれば成る程……、光の神の加護が得られるのだから。

 

カズキ本人からも、嬉しい事を沢山言って聞かせてくれているが……、やはり 一番は大らかに、全体を分け隔てなく……ではなく一個人を好きになってくれる事が一番だと思ったから。……ただただ、護りたくなる、と個人に思わせる事が。

 

画策しているとは思われたくない……が、どうしても、更に一手、もう一手と詰め寄りたい。

国の為に……、何より自分の為に。

 

 

「(あのカズキ(優しい神様)を利用してる、見たいに感じるのは正直、好ましくないけれど………。それでも)」

 

 

ジルコニアは過去の誓いを思い返しながら、万が一にでも何かがあったとしても、自分の全てを擲ってでも……。

 

 

色々とジルコニアが考えていた時、会話が止まったので、エイラが少し不安そうな顔をしていた。

 

その表情と視線に気づいたので、軽く咳払いをした後、続ける。

 

 

「カズラさんが好きなのって、人の手を煩わせない様に頑張ってる人………とかなのかしら? 勿論、カズキさんも一緒だと思うけれど、この間の復興作業中も同じ様に一緒に手伝ってくれていたから……なんというか、どんな新しい事でも一緒にやれる人。身分の違いとか仕事の違いとか関係なく接してもらえる人が好き……って事かしら?」

「……確かに、そのように感じますね。カズキ様は カズラ様より体力があるから~ と言って、カズラ様の分も身体を動かし、考える事をカズラ様に分担している様に見えました。対等である立場だと聞いてましたが……、カズラ様が指示をし、カズキ様が受けているので、少し違うのかな? とも思えましたが」

「ふふふ。それはエイラが多分間違えてると思うわ。本人たちから対等である、と聞いてるし、もしも主従関係、上下関係がはっきりしているなら、きっと表情に出てると思う。何より、カズキさん、楽しそうでしょう? とても」

「そう―――ですね。はい」

 

カズキの作業中の姿を見れば、解る事だ。

誰よりも身体を動かしている、働いている彼の背中を見れば。皆の士気も向上するし、暑い辛さも、疲れもへっちゃらになりそうな勢い。―――勿論、休憩は小まめにしているが。

 

 

「リーゼ様も、カズキ様も、カズラ様も、皆様楽しそうでした。リーゼ様から街の様子、市民の生活ぶりを話題に上げていて、お2方とも、興味があった様で食いつきが良かったです」

「ふふふ。リーゼが加わって、より楽しそうになったのなら、本当に良かった。……それにしても、やっぱりリーゼは……あの娘は凄いわね。―――前からそう(・・)なの?」

「はい。前からです。………私にはとても真似できません」

「そう。……私も見習わないといけないわね。……さて、引き続き、よろしくお願いするわね。それじゃリーゼとの面会希望のリストなんだけど……」

 

 

そして、リーゼの面会予定の人物、時間配分、指定場所等の打ち合わせをして、ジルコニアとの面談は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に、夕礼後、就寝するリーゼに挨拶を交わした後―――自由時間と言って良い大食堂にて自分の夕食時間だ。

 

「エイラお疲れー! こっち座りなよ」

「うん。お疲れ」

 

仲間や友達と、肩肘張らず、気を使わず リラックスできる場所。

勿論、ナルソン邸に来て日も浅いマリーは まだ気を張り巡らせている様だが、それは追々に慣れて行けば良い。

 

皆が友好的に接してくれているのは傍目から見ても一目瞭然だから。

 

 

「マリーちゃんすっかり人気ねぇ……、若いのによく働くものね。それもカズキ様の従者にいきなり抜擢されちゃったから、ひょっとしたら、カズキ様とデキちゃってるの……? 若いのにあっち(・・・)も凄いのね~ って」

「えええ! そ、それはないよ、流石に。ジルコニア様からの配属指示だから、そんな……」

「あはははは! わかってる、わかってるって。マリーちゃん見てたら、それくらいならわかるから。人を見る目ってヤツ、私は良い目を持ってるつもりだからさ」

 

エイラの友達、ラミアは、お腹を抱えながら笑う。

からかわれた? と思ったエイラは頬を軽く膨らませた。

 

ジルコニアからの人選を否定する様な事を言われたら、やはり普段から接している立場である自分には、重すぎる話題だから、あまりその手の話はしたくないのである。

 

 

「エイラもカズラ様とリーゼ様の兼任なんでしょ? おまけにマリーちゃんの教育係とか? 大丈夫なの?」

「うん。何とかね。マリーちゃんはスゴク頑張ってくれて、直ぐ覚えてくれたから、大丈夫」

「そっか。良かった。まぁ、マリーちゃんなら、カズキ様なら、ちょっと失敗したくらいじゃ、笑って許してくれそうだし。失敗しちゃうのは良くないけどさ。ああやって、声を掛けてくれる人って、素敵だよね。マリーちゃんも、今後 凄く上達していくと思うなぁ……」

 

 

カズキやカズラの話になった途端、わっ! と他の侍女たちが近寄ってきた。

 

 

「カズキ様の話!? この間、カズキ様、ちょっとした不注意でコケそうになっちゃった私を、抱きかかえてくれたんだー! 見た目と違って(結構失礼)すっごく力持ちで、優しくて、本当に素敵な方だった!」

「うんうん! あっ、でも優しさなら、カズラ様もそうだと思う! 廊下で名前を呼んで挨拶してくれたし!」

「そうそう! 名前まで呼んでくれる、覚えてくれたのって、リーゼ様以外いないもんね? カズキ様とカズラ様って、他の貴族の人とは何だか、根本的に違うっていうか、不思議なんだけど、何だか良いよね~~」

「ねーねー、カズラ様とカズキ様、どっちかがリーゼ様にくっつくとしたらどっちが良い??」

「うっわぁぁぁ、メチャクチャ贅沢な二択!! すっっっごく悩んじゃう二択!! どっちも素敵! そしてリーゼ様なら、お2人を娶る! なーんて」

「娶るって……、漢気あるリーゼ様はなんかやだよー!」

「うーん、カズラ様とカズキ様……、私はカズキ様の方、かな……」

「いやいや、リーゼ様は 有史以来初めての一妻多夫制度を作っちゃうかもよっ♪」

 

 

 

 

色々とうわさ話で持ち切りな大食堂。

エイラは、話を聞きながら、リーゼとくっつく、どっちがくっつく? 的な話で ジルコニアに昨日(・・)言われた事を思い出し、思わず咽てしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――胸中決して穏やかにはなれない、ジルコニアから告げられた命令(業務)を思い出して。

 

 

 

 

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