ゲームしてたら異世界に来てました。   作:ハイキューw

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32話 作業名「穴を作る」

それは、丁度昼休憩の時。

バリンの家にて。

 

「ふむふむ、この場所なら大丈夫……で良いですか? バレッタさん」

「はい。その場所は鉱床も無く、深い森があるワケも無く、ただの荒れ地。如何に利用して頂いても大丈夫かと思います。その周辺に集落等はありません」

「ん! 了解です! (一応、ノワにも聞いておこうかな……。結構大規模な自然破壊には違いないし)」

 

 

グリセア村周囲の地図を広げ、バレッタに確認をしているのはカズキ。

現在、カズラは日本に帰還中だ。実家に頼んでおいた資材・金属が幾つかあるとの事。1人でも問題ないと判断して、カズラのみ日本へと向かったのである。

 

 

「今夜にでも早速取り掛かります。バレッタさんも、ため池に活用する、様な【穴】がご所望ならいつでも頼ってくれて構いませんからね? ……作るのは、正直バレッタさんに及ぶワケもないですが、穴をあける………壊す分野は大丈夫ですから! ………あ、それって結構イメージ悪くなっちゃいそう」

「ふふふ。ありがとうございます、カズキさん。イメージの方は全然大丈夫ですよ! だって、カズキさんなのですから!」

「あ、あははは……。こちらこそありがとうです、バレッタさん」

 

 

作る事よりも壊す事が得意……、何だか悪党が使いそうな、若しくは兵士? 等が使いそうな言葉だ。神様(笑)にあるまじき発言な気がして、自虐的に笑うカズキを全否定するバレッタ。

そもそも、神様を……光を否定など、出来るワケが無い。

 

 

「よっしゃ、休憩後に下見に行こう……っとと、それともう1つ忘れてました」

「?」

 

 

まずは現場にて、自分の目で確認を……と思い行動をしようとしたカズキだが、ぴたっ、と足を止めてバレッタに向き直した。

 

バレッタにはまだ伝えてない事があるから。

 

 

「カズラさんから、美容系のモノを貰いました?」

「え? あ、はい。とても綺麗な容器に入った薬品ですね。頂いてます」

 

 

本当にありがとうございます、とバレッタはカズキにも礼を言いつつ、肯定した。

カズキも大体わかった上での再確認だ。何せバレッタの肌艶が素晴らしい事になっている。

元々健康的、シミ1つ無い綺麗な顔立ちに加えて、比喩抜きで輝いてる様に見れる。

 

あの美容品の謳い文句通り、全てを体現出来ているので、もしも日本に行く事が出来るのなら、きっと各メーカーのイメージガールとして引っ張りダコな気がしてならない。

 

それはさておき……本題に。

 

 

「美容品ですが、実はバレッタさんの他に、ターナさんとニィナさんにも渡してるんです」

「え?」

「あ、あははは。私を下宿させて貰ってますからね。そのお礼に、と同じモノを。ニィナさんはたまたま、居合わせたので。彼女にもお世話になってますから。なので、色々と使ってみた感想や情報交換をしてもらいたいな、と。ひょっとして体質的にその人に合う・合わないがあるかもしれませんから」

「そこまでして頂いてるんですね……、私達こそがお世話になってるのに………。ありがとうございます……」

 

 

幾度もカズキは【世話になってる】等の言葉を使ってくれるが……やっぱり畏れ多いどころか、自分達が貰ったモノの方が遥かにデカいので少なからず委縮してしまうと言うモノだ。

 

カズラもそうだが、こればっかりは性格なので仕方なし、と思う事にしているバレッタだが……、どうにかもっともっと2人に出来る事、お返し出来ることは、と考えたら………、中々難しい。つり合いがどうしても取れない。

 

未知の道具を食料を、更に天候を雨に代えて見せた。

そして、光の加護も授けてくれている。……どうすれば良いのか? と何度も何度も悩んでしまう。

 

 

「バレッタさん」

「! は、はい!」

 

 

表情に出ていたのだろうか、カズキが顔を覗き込む様にして、笑顔を見せてくれた。

この笑顔は知っている。グリセア村の皆が知っている。……或いは、イステリアの人達も見た事がある人が多いのではないだろうか。

 

この、心から安心できる笑顔を。

 

 

「バレッタさんは、グリセア村の皆さんは いつも自然な笑顔でカズラさんや私を待ってくれてます。とても歓迎してくれてます。私はそれで十分です。……あ、美味しい美味しい料理も振舞ってくれてるんですから、尚更十分ですよ! 私も沢山沢山頂きましたから! ターナさんのごはんも凄く美味しい」

 

 

ニッ、と笑みを見せてくれるカズキ。

カズラとはまた違った心温まるものを、心の安らぎを与えてくれる。

光の力を見た時とはまた違う、云わば人としての力なのだろう、とバレッタは思った。

 

 

バレッタは、笑顔には笑顔を返し……、そして懐から布吟着袋を取り出し、中身を出してカズキに差し出した。

 

 

「ありがとうございます、カズキさん。……これ、作ってみたんです」

「え? わ……、いい匂い……凄い、え? ええ?? これ、バレッタさんが作ったんですか? 売り物じゃなくて??」

 

 

手渡されたのは、木製のペンダント。それを見てカズキは目を丸くして驚いていた。

小さく掌に収まる、筒状のそのペンダントには 全面に花の絵柄満遍なく掘られている。小さいのに細かく、綺麗に。

 

 

「はい。お礼を、と思いましたが。私自身がプレゼントをしたくて アロマ・ペンダントを作ってみたんです。カズキさんにはカモミールを」

「わーー、ほんと凄い。こんな細かに…… 職人技と言うヤツでは?? んんん!」

 

 

突然のプレゼントに嬉しくて舞い上がってしまっていたが、一先ず休憩(インターバル)

 

 

には(・・)、って事は カズラさんにも渡せてます?」

「っ、あ、はい! カズラさんにはラベンダーのペンダントをプレゼントしました」

「あははは。愚問でしたね! こほんっ。失礼しました。まずはしっかりと、ですね」

 

 

カズキは、カズラネタでバレッタをからかうよりも先に、言うべき事があるのを思い返し、バレッタを正面から見て告げる。

 

 

「ありがとうございます、バレッタさん。大切に、大切に使わせてもらいますね」

「いえ、こんな物で宜しければ。……私の方がカズキさんに沢山頂いてます。私達は、お2人に、本当に返しても返しきれない程、頂いてるんです。だから、カズキさんも私達に出来る事があれば、なんでも言ってください。私達も何でも頑張りますから! 村を上げて、みんなで応援に駆け付けますから!」

 

 

グッ、と両拳を握り締めて、奮起するバレッタを見て、カズキも笑顔になる。

そして、一頻り笑い合った後。

 

 

「―――あ、そうだ。一応教えておきますね。ニィナさんからの密告。私の耳に入ってきてますから。流石にカズラさんには伝えてないですから、その辺りは安心してください」

「え? あ、そ、その…… あ、あぅあぅ……」

 

 

笑い合ってた筈なのに、ニィナの名を聞いた途端、顔を赤くさせて萎んでしまったバレッタ。

先ほどまでの勇ましさは何処へやら……。

 

 

「バレッタさん! ファイトですよ! きっと大丈夫! それに【女は度胸】と言う言葉が日本にはあります! 是非是非、頑張ってください。ずっと応援してますから」

「えぇぇ? カズキさん、それって【男は度胸、女は愛嬌】では……?」

「おお、流石バレッタさん! 凄く勉強熱心なのが伝わりますよ!」

「ご、誤魔化さないでくださいよ……。嘘言っちゃ駄目です!」

「あ、強ち嘘だと言う事でもないですよ? 時代は変わるモノですから~」

 

 

 

最後はバレッタは頬を膨らませて怒っていたが、それも何処か楽しんでいたりもした。カズキだけでなく、バレッタ自身も。……この近い親近感は、何処かカズキの事を兄の様に慕う感覚に近いのかもしれない……と感じ始めたりしたのは別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バリンの家で休憩を取った後、カズキは軽く外で準備体操。

 

別にピカピカの能力を使うと、身体が疲れる~ なんて事は今の所無いし、身体の調子がおかしくなる、変に筋を痛める、と言った普通な身体なら起こりそうな事も無いので、準備体操は身体能力的には、殆ど意味ないも同然なのだが……いうなら気分だ。

気持ちの部分を切り替える為に行ってるのである。

 

 

「カズキ様、お疲れ様です」

「あ、アイザックさん。お疲れ様―――です? あれ??」

 

 

体操中にひょっこりと姿を見せたのはアイザック。

本日は一度も顔を合わせてなかったので、しっかりと挨拶を―――と、アイザックの顔を見た時、その顔の違和感、異変に気付く。当然だ。鼻が赤くなっており、保護テープを付けているから。何処かでぶつけたのだろうか? とも思ったがアイザックの身体能力は、手合わせをしているのだから勿論知っている。顔面と言う人体の急所をむざむざ……と言うのは、なかなか想像出来る事では無かった。

 

 

「顔、どうしたんですか? 大丈夫ですか?」

 

 

十中八九、何かあった……、と勘づいたカズキは心配する様にアイザックに聞く。

アイザックはと言うと、何処か気恥ずかしそうにしていた。カズキに心配してもらえるのが、気にかけて貰えるのが嬉しくもある様子。まだまだフランクには程遠い感性、である。

 

 

「はっ! 大丈夫です。……少々、良い一撃を貰っただけですから」

「へぇー、グリセア村に来ても訓練を。復興の合間に……。お疲れ様です。……って、えええ! 待ってください、アイザックさんに一撃入れたんですか!? マジですか? 一体誰に?」

 

 

先ほども思ったが、アイザックの実力は解っているつもりだ。

訓練ともなれば、アイザックの性格上、手を抜く様な事だってしないだろう。なのに、顔面に入れる……とは。

 

カズキの頭の中では、アイザック相手に そこまでの力を見せれるのはイステリアではジルコニア位だろうか? と思っていた。

 

 

 

「あ、あ……その……… ええっと……」

 

 

アイザックはただただ顰めるだけであり……、いや 言いたくても言えない、そんな気配がその表情から読めてきた。

ただ、当然の事ながら カズキは アイザックの中では最上位の存在、神様(笑)だ。そんな相手に隠し事を、と言うのは……と言う葛藤も少なからず存在するのだろう。

 

直ぐに折れず、言わなかったのは、云わばカズキの優しさに甘えている面がある、と言う事なのだ。

 

 

「あ、ああ。大丈夫です大丈夫です。アイザックさんが大丈夫なら、無暗矢鱈に聞こうとはしませんよ。っと、そうだったそうだった。アイザックさんが居るなら伝えておかないと……」

 

 

カズキは大体のアイザックの心情を察知して、少々強引ではあったがアイザックとの話の話題を変える。

強引でも話を変える、それも重要な話に代えてあげないと、アイザックはいつまでも気にしてしまう事を知っているから。持ち場に戻り、部下たちの前では兵士として隊長として、勤めを全うする為に切り替えると思うが……カズキやカズラと接している時。

 

それに アイザック首さし出します~ の件でも、結構長引いたから。

 

 

 

カズキは咳払いを1つ、2つした後。

 

 

 

「ジルコニアさん達と話していた、冬場に氷を切り出す様の池、ため池の件です。一応、モデルケースとして、グリセア村の傍、あの山に作ろうと思ってるんです。村の皆さんには了承を貰ってるので、後はアイザックさんやイステリアの皆さんにも連絡を、と」

「は! 何か指示を頂ければ何なりと! 人員等の配置は任せて下さい。私自らも使っていただいて構いません!」

 

 

これは以前、カズラと共に進言した氷室の件だ。

冬までにしっかりと水を確保する様のため池を幾つか作っておこうと言うモノで、山の上に作ろう、と言う話も出ていたが、当然 優先度を考えれば、少々後ろの方にしている。

 

それには勿論理由があり、一番大変な穴掘りの仕事が、此処にいる神様(カズキ)ならば、あっさりとやってしまえるから、と言うモノ。引きつった笑みを最初は浮かべていたが、大体は頼れる、信頼できる、そう言った種類のモノに変化していくのがお決まりであり、その辺りは、日頃のカズキの姿を見ているから、その人徳と言うモノだろう。

 

神様だ、とそれを持ち出して無茶をするような事は一切カズキ自身がしてこなかったから。

 

 

 

「ふっふっふ、穴に関しましては、私がちゃちゃ~~っと、開けてきますので、事後調査とか、報告書みたいなのはお任せするかもしれませんね。ため池を作る数とかもある程度は多いので、私はソッチに集中しておきたいですから」

 

 

指先に光をぴんっ! と作って それを地面にインサート。

すると……、丁度指先がすっぽり入る位の直径の穴が出来上がってしまった。

昼の明るさに紛れ込ませた光度。なので、アイザックの様に近くに居ない限りは ある程度は隠せれる。……流石に、ため池を作るレベルの仕事は、隠せれるモノじゃないので、ある程度の対策(大騒ぎにならない様に)は必要になってくるが、その辺りはしっかりと考えている。

 

 

アイザックは、それを見て ビックリ仰天、してしまったが………直ぐに落ち着く。

カズキの光は、照明の様な役割を果たしたり、光そのものであり、文字通り光の速度で動いて見せる瞬間移動等は幾度となく一見してみたが、直接的なモノは少ない。

 

光を形に変え、剣状にしての手合わせの事を思い返せば……、この神業も可能なのだろう、ととりあえず納得。

 

 

アイザックの表情を見て、その心情を察して、やっぱり、能力を数度見た程度では仕様がないかな、と納得したカズキはと言うと、もう一度咳払いをした後。

 

 

「やっぱり、驚いちゃう人は出てくると思うんで、私も作業時間は配慮する予定です。つきましては―――アイザックさんに、大体の大穴を開けるタイミング・帰還するタイミング・場所を伝えておきますので、騒ぎにならない様 最小限度に抑えてもらえたらな~、と思いまして」

 

 

そう、山岳地帯とはいえ、振動や光源等で気付かれる可能性だって高いだろう。

ため池レベルの穴をあけるとなると……。村や駐屯地からは離れているには離れているのだが、実験したワケでも、及ぶ範囲を正確に解っているワケでも無いから。

 

なので、相応の対応策を講じる必要があるのだ。心配をかけない様に。

気付いたら大穴が開いてた、と言うのが好ましい。………無論、大穴を開けるまでのストーリーはジルコニアやナルソン、アイザック達が作ってくれるので、その辺りも大丈夫。

 

 

 

カズキの言っている事を直ぐに理解したアイザックは、呆けている頭に活を入れる様に両頬を叩くと、胸を張って。

 

 

「失礼しました! そちらは私に任せて下さい!!」

 

 

と力強く言ってくれた。

 

その答えを貰い、安心すると同時に 続いて カズキは森の中へと入っていくのだった。

もう2人?(匹?)にも、事を話しておかなければならないだろうから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グレイシオールの森。

 

別に待ち合わせたワケではないのだが、カズキが呼ぶよりも早く直ぐに出てきてくれた。 

 

 

「ノワ。ちょっとお願いと言うか相談があって……。あの長のウリボウ、オルマシオールを呼んでもらえないかな?」

「え、あ、はい。解りました。…………」

 

 

折角2人切り、と思った矢先、もう1人を呼んでくれと言われて、正直ガッカリ気味なノワールだったが、茶化したりフザケけたりするつもりは毛頭ない。

 

ノワールが呼ぶと……直ぐにハクよりも一回りも二回りも大きなウリボウ達の長……オルマシオールが出てきた。

 

 

因みに、ノワールと同じく喋る事が出来るウリボウだ、人間の言葉を発し、理解でき、更に精霊に位置する分類である、と言われているので名前がある方が良いのでは? とノワールが彼に進言。

無論、初めは最初ノワールと言う名を貰った時に問題ない、と一蹴していたのだが、カズキからの言葉ともなれば、無下にする事も出来ず。

と言う事で、【戦いの神 オルマシオール】の名を冠する事になった、と言うのが真相である。

 

 

「じゃあ、この辺りの長、と言う立場、視点から相談に乗ってもらいたい事があって……」

 

 

カズキは、周辺地図を広げる。

 

「「!!」」

 

因みに、その周辺地図のクオリティは、ノワールやオルマシオールが驚くほどのモノ。

まるで空から大地を見下ろしたかの様な繊細極まる絵に、暫く絶句していた。

 

カズラからカメラを借りて、簡易版航空写真の様に該当位置を数枚写真に収めて作った代物である。

 

 

「ここから北に、丁度15里程言った先の山の絵だよ。荒廃して禿山に成りかかってるこの部分を、ため池が出来る様に加工しようと思うんだけど………どうかな? 一応 慎重に厳選して選んだつもりなんだ。他にも幾つか候補はあるけど、一応 自然に手を加えるワケだから、ノワとオルマシオールに相談しておいた方が良いかな、って」

「はい。私はこの場所ならば大丈夫だと思いますが……それよりも、物凄く綺麗な絵ですね……、このようなモノが存在するとは……。まるで、見てきたままの姿をそのまま映しているかの様……」

 

 

ノワールは、マジマジとその地図を見て驚きが収まらない様子。

オルマシオールは、ノワールの様に最初こそ驚いたが、それ以上の反応は見せず、ただただじっ、とその禿た部分を見入っていた。

 

 

「……加工、と言うのは。どの様な?」

「雨が降った時、ため池を作れる様の穴を作るんだ。ある程度溜まったら放流できる様にする為の水路……川とかも作って、定期的な放流を~とかも考えてるから。他の動物たちにも優しい作りに出来ると思うケド……」

 

 

水は生きとし生ける者にとって必要不可欠の命そのもの。干ばつによって枯渇する、水不足となる危険を少しでも回避できる案。

ただし、先ほど言った通り 自然に手を加えるのだからその辺りの線引きもしっかりしておかないといけないだろう。

 

 

「――――奴ら(・・)は、手当たり次第に目につくすべての木を切り倒していた。……貴方様は、その様な御考えをなさらない様だ。……妙に疑ってしまい申し訳ない」

「へ?(あれ? 疑ってる感じだった? 普通に場所の確認とか、写真に注目してたと思った)」

 

 

何やら、オルマシオールはまた頭を伏せて……謝罪をしていた。

そんな風には感じなかったカズキは一瞬呆気にとられたが、直ぐに手と顔をプルプルと左右に振って問題ない事を伝える。

 

 

「ないないない。好き勝手山々を荒らしたらどうなるかなんて、簡単に想像がつくし。森林の重要性、自然は大切。それは オレも解ってるつもりだよ。なんてったってメルエム()だ。………森の根の支えが途絶えたら地滑りだって起こりそうだし、洪水も同じ理由でそう。……自然との共存は大切」

「―――感服致しました。奴ら(・・)も、貴方様と同じ考えだったらどれだけ………」

 

 

頭を上げてはいるが、伏目がちなオルマシオール。

そして会話の中で、何度か出てくる【奴ら】。

 

 

それが何を意味するかは、カズキにも解っている。聞くまでも無く、解っている。

 

 

 

「ノワ。オルマシオール」

「はい」

「は」

 

 

 

カズキは真剣な面持ちで、そして 身体から光源を発しながら、断言する。

 

 

 

全てが燃えて終わり(・・・・・・・・・)だった、って言ってたよな?」

 

 

カズキの言葉に、ノワールもオルマシオールも何も言わなかった。

それは嘗て見たこの世界の未来の話。

 

今でこそ、カズキが、カズラがやって来た今でこそ、見えない、見る事が無くなった未来ではあるモノの、怖くないか? と聞かれれば……怖い。あの悪夢のような光景をまた見てしまうのが怖い。どうしようもなく。

 

でも――――。

 

 

 

「―――絶対にさせない(・・・・・・・)。少なくとも、オレが居る間は」

 

 

 

今は、心から安心できる光が見える。光を感じている。……目の前の温かい光が身体を包んでくれるから。

 

 

「ただ、オレにも出来る事と出来ない事はあるから、オルマシオールやノワも、何かあったら(・・・・・・)オレに伝える様にして欲しい。……それも、頼めるかな?」

「もちろんです」

「了解致しました」

 

 

心優しき神に、何処までも付いて行く。……従う、と首を垂れる2人だった。

 

 

勿論、カズキは直ぐに、光を消して頭は上げさせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その夜。

 

 

 

バレッタを通じてグリセア村の人達にも了承を得て、アイザックとの打ち合わせを済ませた。更にノワールやオルマシオール達とも話を済ませている為、これから起こる事(・・・・)で騒ぎになる様な事は無いだろう。…………多分。

 

 

「うっし、やるか!」

 

 

皆が寝静まった深夜の時間帯。

カズラも無事戻ってきたのを確認し――――自分が向かう事、山を加工する旨を伝えて準備は完璧。

 

カズキは指先に力を凝縮する様に集中させる。

 

それは、某黄色い猿が、よく足で使っていたビーム? に酷似しているだろうやり方。

蹴りでも良いかな? とは思ったが……、生憎 今は遊び心は皆無で集中している。指先の方が狙い易いし、下手なミスはしないだろう。

 

光の力を凝縮し、凝縮し……素早く一気に破裂する事をイメージ。

勿論無駄な破壊はしない。設計・設定通りの直径と深さの球状の穴を作る。

 

 

「―――これが戦いとかだったら、絶対 技名とか叫んでそうだけどなぁ……。えー、この場合は、【天岩戸(あまのいわと)】って感じで? あははは……」

 

 

前の自分の事を少し思い返して笑うカズキ。

ピカピカの実の力を得たら、思う存分敵相手に無双する事をいつも考えていたのに、今はそんなつもりはさらさらなく、光の力で復興のお手伝い? なのだから、人生とは何が起こるか本当に解らないな、とつくづく思う。

 

 

そして―――悪い気は決してしない。

 

 

カズキは、光の力を凝縮させた拳大の球体を生み出し、そのまま地面に放った。

瞬く光は、まるで流れ星が地上に落ちるかの様。

 

 

 

 

 

たちまち、上空から地上の指定位置まで落下すると、一気に発光と共に大爆発。

ドンッ!! と言う凄まじい轟音、そして空にまで伝わってくる空気の震え。

自身の高さにまで上ってくる光の柱。

 

 

 

 

 

業を放って、結果を知った直後に……冷や汗が出てきた。

 

 

「や、やり過ぎたかな……?」

 

 

某黄色い猿の様に、やる気のある木を蹴り倒した時の様に笑えない。

 

カズキは慌てて着弾地点へと戻り……確認すると。

 

 

「ほっ………。威力が殆ど空に逃げちゃって、地上は最小限で済んだんだね………」

 

 

あの光の柱は、威力を空に逃がす役目を果たしていたらしい。

力の全てが下に伝わってしまっていたら、山を貫いてしまってたかもしれないので、恐ろしい。

 

 

「…………絶対に練習しとこ。もっともっと練習しとこ………。時間かかっても良いから ちょっとずつ穴、大きくしよ……、次のトコ」

 

 

 

改めて人間兵器である事を理解したカズキ。

その他の穴に関しては、入念な準備と穴を徐々に広げていく、と言う段階を得て行うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因みに、カズキの光は 何と離れているグリセア村にも届いていた様で。

 

 

【メルエム様!】

 

 

と言う声援が、村中から沸き起こったとか起こってなかったとか……。

 

 

 

 

 

 

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