ゲームしてたら異世界に来てました。   作:ハイキューw

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32話 ただいま、イステリア

 

「結構夜遅くに作業? したつもりだったんですけど……、グリセア村の皆さん気付いた様で……」

「あ、あははは。よくよく考えてみれば、皆さん野盗の一件から、敏感になってる、とバレッタさんも言ってたから仕方が無かったんじゃないかな?」

「んでも、15里(約3.9km×15)も離れた場所だったんですよ? おまけに山の中。………日本食、凄まじすぎやしません?」

「それは…………、まぁ 同感です」

 

 

 

それはグリセア村を出発した時の馬車内での事。

 

 

丁度、昨日の夜の事を話していた。

 

 

カズキは昨夜の【穴掘り作業】を終えてグリセア村に帰還した時驚いていた時の事だ。

何せ、カズキが戻ってきてみれば、なんとなんと! 村中の皆さんが目を覚ましていて、子供まで目を覚ましていて、空に向かって頭を下げていた場面に遭遇したから。

 

 

いったい何事!? とカズキはあたふたしていたが、カズキが帰って来るや否や、またまた頭を下げていた…。

 

 

穴を掘る仕事に関しては、グリセア村の皆には伝わっている。

その使用用途も勿論伝えていて、冬の氷を夏に利用する旨も伝えている。正確にその穴を掘る作業日程の様なモノはバレッタに伝えていたのだが、皆に気付かれない様に余計な心配をかけない様に寝静まったであろう夜、加えて村から遠くに行っていたのだが………カズラの言う通り グリセア村の皆さんを侮る事無かれ、である。

 

彼らの感覚神経はトンデモナイ程研ぎ澄まされているから。

老若男女問わず、グリセア村の面々のパワーはすさまじいの一言。

 

如何に遠く離れた場所で会ったとしても、所謂 爆弾(ダイナマイト)とは比べ物にならない程の爆音・轟音と、空気を弾く甲高い音、更には極めつけの夜の空に伸びる光の柱。

 

 

 

神々しいそれらの光景を、遠い空の上だとしても、聞き逃すような村人は居なかった様だ。

 

 

 

カズキが帰ってきた時こそ、崇め奉る~~ と言った様子だったが、戻ってきた人は、一応神様(メルエム様)(笑)だが、カズキだ。慌てたり 止めさせたりと色々慌てふためいている姿を見て、直ぐに村人たちは 緊張を解いた。

解いたのは良いが……次は矢継ぎ早の称讃、感謝の声、子供たちにも囲まれて、篝火も上げて、ちょっとした深夜パーティとなってしまったのである。

 

 

因みに、カズラは スヤスヤと寝息を立てていたそうだ。日本での買い物が結構大変な肉体労働(これまでは2人で手分けしていたが、1人だった為、結構見誤った)だったので、こちらもある意味仕方が無い。

 

 

「今度からも、比較的グリセア村に近い場所の穴掘りに関しては、バレッタさんを通じて村の人達に周知しますね? 予告なしの爆破? よりは 予告ありの方が心労は無いと思いますから……」

「それが良いよ」

 

 

楽しかったのは事実だが、【ピカピカの穴掘り】をする時は、グリセア村の人達には事前に伝える様にするカズキだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、更に翌日の深夜。

イステリア・ナルソン邸に無事到着。

 

馬車での長旅はやっぱり慣れてないカズラは、馬車から降りると腰をぐっ、と逸らせる。カズキは全く問題ない様子なので、せっせと荷物を外へとおろしていた。

 

 

「カズキさん、カズラさん」

「「!」」

 

 

そんな時、灯りを持った人影から声が聞こえてくる。

足早に近づいてくる人影の正体は、グリセア村の人達の様な超感覚を駆使するまでも無い。良く知っている人物。

ジルコニアだ。

 

 

「おかえりなさい、長旅お疲れ様でした」

「ただいまです、ジルコニアさん」

「ただいま戻りました!」

 

 

カズラは、とりあえず腰を逸らせて、叩いていたのを一時中断。

カズキも荷物の運搬を一度止めて、ジルコニアの方へと身体を向けた。

 

 

「取り合えず、予定通りに戻ってこられました。道具に関しては、バッチリです。……つかれた」

「私の方も、とりあえず試験的ではありましたが、問題なくバッチリです! 人件費、節約ですね」

 

 

腰を抑えながら顔に疲れが出ているカズラと、ブイッと子供の様にピースサインを見せるカズキ。

実に対照的な2人を見て思わず笑うのはジルコニアだ。

 

 

「うふふ。お疲れ様です。ありがとうございました。さぁ、ずっと馬車移動も大変だったでしょう? お風呂を沸かしてありますわ。どうぞお入りください」

 

 

疲れた身体にやっぱり効くのは入浴。

古今東西、どんな世界でもそれは共通だろう。

 

 

「カズラさん、お先にどうぞ? 私は全然大丈夫なので、ささっと 部屋に荷物運んでおきますね」

「え! でも、何だかそれは悪いよ。ずっと働いてくれたんだし」

「ふっふっふっふ……。大丈夫ですよ。その分、こちらの方もよろしくです!」

 

 

カズキはイヤらしい笑みを浮かべながら、右手の人差し指と親指で○の形を作り、手のひらを上に向けた。所謂残業代・お給金を弾んでね? と言う所作。

それは当然の事。山に空けた穴に関しては、カズラも写真で確認したが(航空写真の様にカズキが撮った)、アレは普通に何10人分の仕事だと言って良いし、工期? を考えたら、それこそ何100人分の働きをしたと言っても過言ではない。

 

お給金など 最初から当然用意するつもりなのだが。

 

 

「解りました! 思いっきり弾みますんで、楽しみにしていてください」

「しゃーーすっ!」

 

 

カズラの一言で喜び、更に更に仕事量を増やして、どんどん荷物を運んでいくのだった。

 

 

「うふふふ」

 

 

ジルコニアは、そんな2人のやり取りを見ていて、ただただ湧いて出てくる止まらない笑みに身を任せながら、笑い続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その後―――――。

 

 

カズキの部屋にて。

 

 

「上がりましたよ~、カズキさん」

「あ、解りました」

 

 

風呂から上がったカズラが、カズキを呼びに部屋に来ていた。

疲労困憊な様子だった顔がすっかり良くなり、仄かに赤みがかっている。後ひと眠りでもすれば 疲れもバッチリと取れる事だろう。

 

 

「あっと、忘れてました、これこれ……」

 

 

カズラの顔を見て、カズキは思い出した様に 部屋の隅に置いてある荷物に手を伸ばし、中をガサゴソ~と、手探りで探し出して取り出した。

 

 

これ(・・)、ジルコニアさんへのお土産を渡すの忘れてました……」

「あ! そうだったそうだった! 日用品セットは、そっちに入れてたんだった」

 

 

パっ、と取り出したのは 鮮やかな黄色いキャップにプラ容器の筒状の入れ物。表紙には【温泉の元】と書かれている所謂バスソルトである。

 

香り等の効能は、身体の疲れや肩こり、眼精疲労、その他諸々に書かれているだけでも相当な効能。……普通の日本人なら、そんな直ぐに効果が表れるワケも無いが、こちらの世界の人であれば相応の効力が得られるだろうとある意味確信している。

 

因みに、バスソルト(これ)に関してはカズキとカズラは事前打ち合わせをしていた。

 

バスソルトだけでなく、石鹸やシャンプー、コンディショナー等もある。

食べ物の様に、直接身体に作用する様なモノをプレゼントするのは、超人的な力を与える事も同義だから、一先ず保留して、飲食物ではなく、こう言った日用品の様な、身体の内部ではなく、外身への影響ならば、大丈夫だろう……と思っての事だ。

 

単純にお世話になっているからプレゼントをしたいと言う気持ちがあるのは2人ともが同じ。

 

 

「う~~ん、渡しそびれちゃいましたね」

「でもまぁ、大丈夫でしょ。渡すのはいつできるよ。明日にでも」

「それもそうですね………。何なら、夜にひょっこり来てくれたら嬉しいけど。早くやってもらって実感して貰いたい、かな? って」

「それは、オレも同じ気持ちかな? でもまぁ、最初はカズキさんに譲りましょう!」

 

 

ジルコニアの喜ぶ姿を見るのは、2人にとっても癒しだ。比較的歳が近い美人なジルコニアに喜んでもらえて、嬉しくない男なんて恐らくこの世には居ないだろう、と断言出来たりする。

日用品プレゼントの発案者はカズキだったから、今回のプレゼントに関してはカズラはカズキに譲る、としていた。

 

 

 

 

 

ただ―――――2人は思いもしなかった。

 

 

 

【ッ……ッッ………】

 

 

 

この何気ないやり取りを、部屋の外で聞いていた者が居たと言う事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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