ゲームしてたら異世界に来てました。   作:ハイキューw

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36話 夜の茶会での衝撃

 

 

カズラは、自室で酸素バーナーを使い透き通ったガラスロッドを只管溶かし……。

カズキは、訓練夜の部へと精を出していた。

 

 

それぞれが互いに成果を発揮する良い関係だ、と今更ながらカズラは実感する。

 

 

「……どう考えても、オレじゃ武力(あっち)関係はムリムチャだからなぁ………、せめて体力くらいはつけときたいけど」

 

 

左手にもったガラスロッドの先端に炎を当てつつ……、時折きこえてくる鍔迫り合いの音を聞き、まだまだ続いている訓練の光景を思い描いて、ややげんなりとしていた。

 

 

変にミスしない程度に考え事をしつつ、作業をしていたので、思った以上に完成数が多い。

 

 

「うん。結構作れたな。それにしても、いったい幾らくらいで売れるのかな?」

 

 

お世辞にも上手いとは言えない歪なガラス玉がクッキーの空き缶に入ってる徐冷材の中に放り込まれている。

 

 

あまりにも精度が良過ぎる(日本製のガラス)となると、価格がヤバすぎて、市場に混乱をきたしかねないし、他の宝石が暴落してしまう可能性も捨てきれないので、日本製バリの純度なガラス玉を量産するより、こちら側の世界に合わせた宝石を量産する方が良い……と言う訳で、カズラの様な素人技がいわば重宝となっているのである。

 

酸素バーバーと言ったオーバーテクノロジーを扱える、と言う面もある。

こちら側の世界の人間に教えるのも限度と言うものがあるから。

 

 

何はともあれ、凡そ30程のガラス球が出来上がった。

 

 

「ふぅ……。それにしても、あのばあさん。今頃左団扇なんだろうか。……今度様子を見に行ってみるか。カズキさんも気になってるみたいだし」

 

 

透明度の低い宝石でも、真円にカットされたものは、詳しくない、と言っていたナルソンでも1万アルは下らないのでは? と言う意見だった。

 

なのにも関わらず、カズラ1人……否、村の子供の1人ミュラと一緒だから2人で行った時、脇の甘さ故にかなりの安値で買いたたかれてしまった経緯がある。

 

子供であるミュラの方が遥かにしっかりしている。アンタもしっかりしな、と耳が痛いお叱りの言葉も貰えた。

 

 

「……でもまぁ、そんな凄い額の宝石売買できるパイプを持ってる、って事なんだろうなぁ、あのばあさん」

 

 

高額なシロモノを簡単に右から左へ、なんて上手い話なワケが無い。相応の太いパイプでもない限り、痛い目を見そうなのはカズラとて解る。……と言うより、前回その辺りもしっかりお叱りを貰った。

下手したら、捕まっていた、とも言われたのだから。

 

 

「……うん。近い内に。カズキさんに纏まったお給金(アル)を渡さないとだし」

 

 

カズラはそう一息つくと、テーブルの端に置かれている紙袋へと目をむけた。

カズキからも言われていた通り、ジルコニアだけでなく、ナルソンやその他の家臣、目まぐるしく働いている皆さんに渡すだけの本数入っているリポDだ。

近い内に渡すつもりで、持ってきている。

 

 

「さて、エイラさんはいるかな」

 

 

カズラはそう呟くと、リポDの入った紙袋とハーブティーの材料が入った加護を手に取って、調理場へと向かった。

 

 

少しだけ歩く……、ずっと座り仕事ばかりだったので、少しは身体を動かさないとな、と愚痴りながら、歩く事数十秒。

 

調理場へと到着。中を覗いてみると……。

 

 

「あ、エイラさん。こんばんは」

 

 

椅子に座ってるエイラを直ぐに見つけた。

エイラはカズラの姿をみて、ほっとした様子で立ち上がり深々と腰を折る。

 

これは夜のお茶会仲間としての会合だ。

 

 

「カズラ様。夜分遅くに失礼いたします。以前お話していたお菓子を作ってみたのですが……、その、ご迷惑ではなかったでしょうか」

 

 

エイラの傍にあるテーブルの上には、リンゴの様な果物のコンポートがのせられた銀の皿が置かれていた。

 

 

「いえいえ、迷惑だなんてとんでもないです! 凄く美味しそうなお菓子ですね。カズキさんも羨ましがっちゃいそうだ」

 

 

実を言うと、カズキも夜のお茶会にそれとなくお誘いをしているのだが、夜の訓練の方に時間がかかってしまえば、残念ながら参加はまた後日。開催中に間に合えば、是非。と言う話になっている。

 

その辺りはエイラも知っているので。

 

 

「ありがとうございます。カズキ様がいらっしゃったら、直ぐ用意できますので大丈夫ですよ」

「あはは。重ね重ねありがとうございます。食べ物の恨みは怖いですからね。カズキさんと一戦やり合う様になっちゃったら、大変なので」

 

 

カズラは、舌をぺろっ、と出して笑った。

カズラとカズキが一戦やりあう……、なんて想像が出来ない。2人とも傍から見れば大の仲良し。普通の友達。一応、周囲に説明している大貴族? には見えない程。

そして何より 神様同士とはどうしても思えない程のモノなのだから。

 

 

「ふふ。大丈夫ですからね。あ、お湯は先ほど沸かしておきました。今、お淹れいたします」

 

 

エイラからお茶を淹れて貰い、そしてデザートのコンポートを頬張るカズラ。

 

 

「うんうん、さっぱりした甘さで美味しいです。食後のデザートにぴったりだ」

「ありがとうございます! ……よかった」

「あ、エイラさんも食べてください。別に気を使う必要は無いですから、気楽に行きましょう! 因みに、これはカズキさんも同様です。……重要で大事な事ですからね? 気楽に、普通に、ですよ??」

「ぅ、は、はいっ!!」

「あははは……。重要で大事な事なのに、気楽って。すっごく矛盾しちゃいそうですね」

 

 

やや委縮し、固くなってしまったエイラを尻目に、カズラは笑う。

エイラも解ってはいても、やっぱり身分の違い、そもそも存在の違い等も有って、中々難しい所ではあるが、本人たちが望んでいる以上、相応の姿勢を持って臨まなければならないだろう。

 

そう、気楽に、気楽に―――――……。

 

 

 

「気楽、と言うのがこんなに難しく感じるなんて、初めての事です」

「心中察しますよ。でも、どうか頑張ってくださいね」

 

 

 

暫く、2人は談笑を続けるのだった。

 

 

 

そして、更にもう暫くした後。

 

 

 

「お疲れ様です~~」

「あ、カズキさん。お疲れ様」

「お疲れ様です、カズキさん」

 

 

カズキも夜の茶会に参加。

 

 

「今日も随分大変そうでしたね………、部屋まで聞こえてましたよ? その、鍔迫り合い、ってヤツが……」

「あははは。アイザックさんもハベルさんも、日に日に強くなっていってますから。オレも大分力が入っちゃってますからね」

 

 

ぶんぶん、と手を振って応えるカズキを見て、カズラは苦笑い。

 

 

「体力面を鍛える、と言うのなら、カズラさんも是非。お待ちしてますよ!」

「うぅ……、ってアレ?? 大所帯になるの複雑~~って言ってませんでしたっけ??」

「いや、もう流石に慣れちゃいましたよ。リーゼさんやジルコニアさん、マクレガーさん、……この国のトップの方々がこぞってやってくるんですから」

「……改めて聞くと、凄く疲れる内容ですね」

 

 

一兵卒を鍛え上げる!! みたいなノリであれば、そこまで気になる事でもない筈だが、メンバーがあまりにも凄過ぎる。

幾ら色々と規制をした所で噂と言うモノはどこからともなく駆け巡るものであり、更に言えばカズキもそこまで秘密に~としているワケでもなく、更に更に来る者拒まず、なスタンスなので、入り口の門が広い。

 

マクレガー教官までが顔を出すと言う事は、最早軍隊全員が知っていても不思議ではない。

かと言って、人数制限が無いワケじゃないので、ある程度は抑えて貰ってるかもしれないが。……訓練を行っている場所の広さ等も考慮して。

 

 

「(か、カズキさんってやっぱり凄い……)」

 

 

リーゼにアイザックにハベル、果てはマクレガーやジルコニア。

リーゼは、確かに努力を積み重ねているし、剣術に関してはかなり高い水準でいるだろうけれど、それでもアイザックに迫る程の力量を有していたとしてもおかしくない。

アイザックとハベルは、言うまでもなく、近衛隊長クラス。評価するのも烏滸がましい程の実力者。

マクレガーは、教官として上に立つ存在。……剣の腕に関しては同じく言うまでも無く。

 

更に更に、ジルコニア。

 

常勝将軍と称されており、アルカディアの剣としてすさまじい力量を持つと言うのは、市井までに響く武勲だ。

実際に、汗1つかかずに何人もの兵士を地べたに薙ぎ倒し、その討ち取った? 数は数えきれず。鬼教官とも呼ばれて、死を覚悟する程の恐怖を味わった者もいるとか。その辺りは侍女であるエイラには噂として巡ってくる。

 

 

集まってる者たち、誰も彼もが文句なし、国トップクラスの実力者と言っても過言ではないと言うのに、当のカズキはと言うと………、こんな感じだ。

 

 

 

「(メルエム様……だから、かなぁ………?)」

 

 

 

エイラは話しは聞いている。

2人の正体について。

 

でも、武を司る神と言えば、オルマシオールだし、そもそもメルエムとは《光》を意味する言葉であって、神では無かった筈……と、頭の中が混乱したりもしている。

 

 

「エイラさん?」

「ひゃっ! ひゃいっっ!! なな、何でしたっけ!? 申し訳ありません!!」

 

 

いつの間にか、カズキから話を振られていたというのに、心ここにあらずだった様で聞き流してしまった様だ。

慌てて頭を下げるが、カズキは笑って手を振る。

 

 

「いえいえ、ほんと気楽にしてください。私も普通に接して頂けるのが何よりも嬉しい事なので」

 

 

両手を振って笑って言うカズキ。

その言葉を聞いて、先ほどのカズラとのやり取り、重要にして大切だと言っていた事を思い返す。

 

 

気楽にする事。

 

 

「あ、エイラさんひょっとして眠たくなったんじゃ?」

 

 

気を利かせて、渡り船~と言った様にカズラがそう聞くが。エイラは慌てて手を振った。

 

 

「いえ! まだ大丈夫ですよ!! すみませんっ。カズキ様がお相手をしている人達があまりにも凄いので、やっぱり思い返しては驚いてしまって」

「あははは……それはそうですよね……。っとと、話しを戻しますと、エイラさん達はいつ頃食事をとってるのかな~~って話です。いつも忙しく動き回ってるイメージが強いので」

「因みに、私とカズキさんの両方の侍女さん達へとイメージですね。いつもよくして貰ってる分、大丈夫なのかな、と」

 

 

カズラとカズキの気遣いには、非常にありがたく思う。

アルカディア、ナルソン家を除き、昨今、どの貴族でもここまで気にかけてくれる人なんて、殆ど居ないと言うのに。

 

 

エイラはありがたい、と思いつつ、質問内容について答える。

 

 

「はい。朝と昼は、お2人の食事の後に、当番の者がまとめて作っておいた料理をぱぱっと食べる感じですね。夜は此の食堂が解放されるので、手の空いた時間にやって来て好きなものを注文して食べています。結構美味しいんですよ」

「成る程……」

「ん? あれ? 好きなモノって、メニューは固定じゃないんですか?」

「はい。その日ある食材にもよりますけど、融通が利きますね。前もって、料理人に希望を出しておけば、大抵のものは用意しておいてくれますよ。夜は夜勤者位しか食べに来る者がいないので、そこまで沢山食材を用意しなくても良いから、かもしれないですが」

 

 

エイラの話を聞いて、カズキとカズラは目を合わせた。

2人して、夜間の仕事は夫々別作業? で行っている。

 

知っての通り、カズキは武芸。

カズラは、復興支援関係(ガラス球作成の様に、あまり一目に晒す事が出来ないもの関係)。

 

色々と大変なのは事実なので、憩いの場的になっているのであれば……。

 

 

「今度食べに来ても良いですかね?」

「あ、私も思いました」

 

「えええ! それは料理人がすごくびっくりしてしまいそうです」

 

 

大貴族、と銘打ってる2人なので、専用・専属の料理人を宛がわれている中で、一般的な料理人がその相手に、ともなれば一体どういう心証、印象になってしまうのか……、実際に見て見なくても解る。

 

 

「むぅ……、気楽で良いんですが……」

「確かにね……。でも、ある程度は仕方ないのかな? あっ、そうだ! 変装とかどうでしょう?? 警備兵とかに変装して、紛れ込んで一緒に、なんて」

「おお、それなら自然かもですね。大目の人数の日に紛れてしまえば……」

 

 

カズラとカズキが2人して、何だか悪だくみの様に話し合ってる姿を見て、エイラは思わず笑ってしまいそうになるが、また慌てる。

 

 

「いえ、バレます。絶対バレます!」

 

 

ちゃんと人数や名前、名簿チェックはしている。バレないワケが無い。食糧難でもあるので、その辺りはしっかりしているのだ。

 

 

「だ、だめか……」

「もうちょっと馴染んでから、上手い事運べば行けそうな気も………、いつまでかかるか解りませんが」

 

 

いつの間にか、楽しそうに話す事が出来ているエイラは、自分自身に驚いている。

神話で出てくる神様は、ひょっとしたら、人間に憧れでもあるのだろうか? とさえ思ってしまえる。

 

それ程までに気さくで、何より心地良いから。

 

 

 

そんな時だ。ふと話題を変えたのはカズラ。

 

 

「あ、エイラさんって普段ジルコニアさんに会う機会はあります?」

「はい。毎日夕方になると、リーゼ様の次の日の予定調整と私の業務報告の為に、面談をしております」

「なるほど! あ、実はですね、1つ頼まれてほしいんですが。……最近スゴク忙しそうで、何だか渡しそびれちゃって」

 

 

カズラは、紙袋を取り出して並べて見せた。

リボD数本分。そして、紛れ込んでしまっていた化粧セット。

 

因みに、以前のカズキとジルコニアの夜這い? 事件に関してはカズラは知らない。

余ったので、こちらもどうぞ、と言った感じである。

 

 

エイラは、その化粧セットに目が釘付けになってしまった。

それも仕方が無い。彼女にとっては未知であり、何より容器が凄まじく美しい円を帯びた物だから。

 

 

「えっと、これは私の国の化粧品と薬で……って、そうだ。エイラさん?」

「あ、はい!」

「……エイラさんは、私とカズキさんの事ナルソンさんやジルコニアさんから聞いてますか?」

「――――……え」

 

 

カズラの言葉に、エイラは一気に表情を強張らせる。

今の今まで和気藹々……とまではいかずとも、緊張感は良い具合に解けた筈だったのだが、一遍に戻ってきてしまった。

 

 

「な、なにか……ですか?」

「(……この反応は、きっと聞いてるかな)」

「(…………)」

 

 

カズキは、再び聞くまでもなく、エイラは何か、聞いているだろう、と言う事は彼女の様子から一発で解った……が、しっかりと本人の口からきいて、話しておく必要はあるだろう。

カズラはそこまで気を回してはいない。

 

 

「そうですね、一応エイラさんの方からも聞いておこうかな、と思いまして」

「その方が更に気兼ねなく、って思いません?」

 

 

何とか笑みを保ち、緊張緩和に繋がれば~とカズキも頑張っている。

 

 

そして……、その何か(・・)についてだが、二通りの考えがあった。

 

 

① 高貴な家柄。他国の大貴族。

グレイシオールとメルエム(神々)

 

そのどちらかだ。

 

エイラの様子を見れば②が怪しいかな? と思うが、取り合えず本人と口からきいてみたかった。

 

 

「え、えっと……」

 

 

エイラはやたら緊張した様子。

これは俄然②か? と思ったカズキ。

カズラは、まだどちらとも言えない

 

 

だが、流石にエイラの口から発せられた次の言葉で、はっきりする。

 

 

 

「カズラ様が、グレイシオール様で、カズキ様がメルエム様……、イステール領に多大なるご支援をしてくださってる、と言う事と……」

「え……?」

「やっぱり②だった」

 

 

カズキは納得したのだが、カズラは驚いている。ある程度の設定を、と考えていた。即ち、カズラは①を意識していたのだが、まさかの展開だった。

 

カズキは兎も角、カズラの反応には、流石のエイラも肩を竦めてしまう。

1人は問題なくても1人が駄目だったら……本当に獲り返しがつかない事になるから。

 

 

「あ、ああ。すみません。続けてください。支援をしている、と言う事と、なんですか」

「……私達に、祝福の力を授けて下さると言う事です」

「「!!」」

 

 

流石にこの部分に関しては、カズキも驚いた。

慈悲と豊穣、グレイシオールの力は確かに御伽噺の通りではある、が……その説明は誰にもしていない筈だ。

 

カズラはチラリとカズキを見るが……、カズキも首を横に振る。伝えていない、と。

 

ならば、アイザックとハベル? 彼らはリポDを呑ませた事があり、秘薬と伝えて、その効能もはっきりと受けた相手だ。だから、食べ物を摂取して~~、と連想させても不思議ではない、が2人にはしっかりと口止めをしている。

アイザックはかなり真面目な性格をしているので、ハベルだったら……とも思ったが、それも無さそうなのだ。

 

何故なら、ハベルは兎に角カズキの方に感謝の念を忘れていない、と言う面が周りからも解る程だから。不利益になりかねない事は口が裂けてもしないだろう。

 

 

「エイラさん。祝福の力とは具体的にはどんなものだと?」

「その……まるで怪物の様な力とだけ聞いています。……詳しくは聞いていないので……」

「そうですか。では、他には誰が知っていますか?」

「そ、そこまでは私にはわかりません。ジルコニア様からお伺っただけで……。お2人の従者として申し付けられた時に簡単な説明を受けただけですので……」

「―――そうですか」

 

 

カズラは腕を組んで考えた。

エイラがジルコニアから色々聞いたのであれば不自然ではないだろう。……ただ、一言連絡が欲しかった、と言う気持ちはあるが、ジルコニアは恐ろしく多忙。合間を縫ってどうにかカズキの夜間訓練や早朝訓練に漕ぎ着けているが、本当に休まないと死にますよ! と言いたくなる程。

だから、ある程度のうっかりはあり得る話なのだが、剛力の話に関しては予想外だ。

 

 

「多分、グリセア村の野盗の件で、だと思いますよ」

「! ………うん。オレもそう思った」

 

 

予想外とはいえ、カズキが言う様にカズラも1つ浮かんだのは、グリセア村を野盗が襲った事件の事だ。

 

夜間の襲撃であるにも関わらず、村人は全員無事、野盗を全滅させた。

 

それもただの村人が、だ。ある程度の戦争経験者が居るとはいえ、グリセア村の平均年齢は決して低いものではない筈だから。

 

 

その後も、色々と考慮していたら……。

 

 

 

「あっ、エイラさん?? 大丈夫ですからね。気にしないで下さいよ! 怒ったり、とかありませんから」

「は、はい。その、私……」

「大丈夫です。ほんと、ほら、気楽。気楽ですよ?」

 

 

キーワードである、《気楽》を再び彼女に与えて……何とか立ち直らせる事が出来た。……多分だが。

 

 

「は、はい。ですが、その。申し訳ございませんでした」

「いえいえ。良いんです。ただの連絡漏れでしょう。エイラさんに非はありませんよ」

「そうですそうです。気にしないで下さい。ほら、私の件も聞いたのであれば。もう隠す必要もないので、ぱぱーーっと、です!」

 

 

 

おろおろしているエイラに向かって、カズキはピカピカを披露。

 

 

 

瞬間移動したり、指先で光を灯らせて操ったり、全身から神々しい光を、……外に漏れない程度に出したり。

 

ちゃんとした所謂証拠、を見せていた。

 

気軽に出せる、と言う事は、それくらいは 大丈夫なのだ、と安心させる為……だったのだが―――――それは悪手だった。

 

 

何故なら、エイラはカズキの力に関しての詳細はしっかりと聞いていない。

 

 

なので、超常的な光景をイキナリ目の前で見せられて………、驚き具合は先ほどの比ではなく、目を開けたまま気を失ってしまったのだ。

 

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