ゲームしてたら異世界に来てました。   作:ハイキューw

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48話 夜の宴会

 

 

「凄い……、ほんとにお風呂場まで作っちゃったんだ……。以前作りたいって聞いたばかりだった筈だけど」

「はいっ! 以前、カズラさんに頂いた本に乗っていた五右衛門風呂を作りました! 自信作ですよ。是非、入ってください」

「あ、カズラさんに一番風呂は譲りますよー。オレ、これからちょっと森に、用事があるので」

 

 

思い出した様に手をひらひらとさせるのはカズキだ。

 

色々とグリセア村を改めて紹介された。

元々、この村を拠点にしていた筈なのに、まるで違う。まったく違う村に来た様な、……カルチャーショック? 的なのを受ける。

 

朧げだが知っているカズキは兎も角、カズラは来たばかりのころのグリセア村もしっかり覚えている事もあって、その衝撃度合いは計り知れない。

 

 

「今から森って、あ! ノワさんに会いに?」

「そうですね。外にも沢山いますが。なので、また食料関係を貰っていきますね? 大分好物みたいで。貰えるなら、ってみんな張り切っちゃってて。最近じゃ、盗賊崩れの連中もいたとか、仕留めたとか、何とか」

「え!? それって、この村周辺を護ってくれてるって事?? それは聞いてないよ??」

「あれ? 言ってませんでしたっけ? 以前の事もあって、結構気にかけてくれてるんですよ。あまり大っぴらに動いたら騒動になるかもしれないから、何かアレば会う時に言って、とも言ったけど、今の所は問題なく治めれてるそうで」

 

 

黒いウリボウ事、ノワールやあの大きなウリボウ、オルマシオールの話はしていても、グリセア村を護ってくれている、と言った話は聞いてない。

そういえばカズキも言ってなかった、と改めて思い返す。

勿論、バレッタも同様だ。

 

それにバレッタは、つい先日オルマシオールと思われる大きなウリボウと出会っている事もあり、衝撃は相応に大きい。

 

 

「私の所にも、その……オルマシオール様は来られて……」

「あ、それ聞きましたよ。バレッタさん、すっごく勉強してて、自然を大切にしてくれてる、考えてくれてるって言ってました。流石ですね!」

「え!? そ、そんな。私は……。でも、とてもうれしいです。決して、約束を違える様な事はしません」

「バレッタさんなら安心です」

 

 

オルマシオールとの件。

すでにカズキに伝わっている事に驚くよりも、あの時の訴えを、決して禿山にはさせず、植林も行い、緑を守る事を信じてくれた事が嬉しかった。

 

そして、何より――――。

 

 

「えと……、他にはカズキさんはその、オルマシオール様から何か聞いてますか……?」

 

 

神に何か言われたか? 

バレッタは勿論、普通の人間であれば、それは物凄く気になる事だろう。

 

普通じゃない方の人間、この世界の神様的な立ち位置であるカズラだって、まだ喋るウリボウ、人の姿に成れるウリボウには合ってない。

虎サイズの犬の群れ、その中でも一際大きいのがオルマシオールで、某長編アニメに出てくる山犬クラスかそれ以上の大きさだ、カズキから聞いているだけだ。想像しただけで縮み上がる。

 

 

「いえいえ、そう畏まらなくても大丈夫ですよ、バレッタさん。まぁ、彼らを見たら、そうなっちゃうのはすごーーーく理解できますが」

 

 

バレッタの気持ちも解る、とカズキは苦笑い。

何せ、この世界に来たと同時に、あのウリボウの……虎サイズの犬たちの総攻撃を受けたのだから。

当時は、ピカピカな身体である事も知らなかったし、ゲームの世界だと思っていてもあまりにも情報量がVRゲームのソレとは違い、死の予感がした。走馬灯に似た何かも感じたのだから。

 

 

―――当時の事はある意味トラウマ級なのだが、カズキ以上にウリボウ達の方が辛く、悲しく、それこそトラウマ大なので、話題には出さない様にしているが。

 

 

 

「では! カズラさん、行ってきますね? もしジルコニアさんやリーゼから何か聞かれたら、上手く伝えておいてくれたらありがたいです」

「一緒にご対面、って訳にはいかないしね。了解。オレも機会があれば……と言うより、カクゴが決まれば会ってみたいですから……」

 

 

 

まだ対面を果たしていないカズラ。

普通にカズキに言えば、会う事は直ぐ出来るだろう。

 

でも、まだ対面してない、と言う事はカズラの覚悟が決まってない、と言う事なのだ。

幾らカズキが一緒とはいえ、幾ら大丈夫だ、と言っているとはいえ、柵のない場所に猛獣クラスの獣と対面するなど……、やっぱり難しい。

 

 

「バレッタさん。また、戻ってきたらグリセア村の変化、オレにも教えてください」

「はい。勿論です! その、オルマシオール様に、決して約束を違えない、とお伝えくだされば……」

「勿論! 伝えておきますよ」

 

 

カズキを伝令役に使うなどと不敬極まりない、と思えるが、流石にある意味神との対談に一緒についていくのも難しいと言わざるを得ないだろう。

 

だが、そういった細かい事? を気にするカズキではないので、いつも通りのノリと雰囲気で、手をひらひらと振りながら了承してくれて、自然とバレッタの顔にも笑みが浮かぶ。

 

 

 

「では、カズラさんはお風呂堪能してきてくださいね~! なんなら、バレッタさんに背中流してもらっても良いのでは?」

「!!」

「ええ!!?」

 

 

軽い冗談のつもり、なのだが、結構のこの手の冗談は、面白い様に反応するのがこの2人。

 

 

「な、何言ってんだー!」

「あ、あぅぅ、えと、その、す、すみません! そこまで広いお風呂場では……」

「いえいえいえいえ、バレッタさん本気にしないでくれて良いですから!?」

 

 

と顔を真っ赤にさせて抗議をしている間に。

カズキはいつの間にか、身体を光に変えていた。

 

 

「あっはっはっは! ジョーダンですよ」

 

 

カズキはそう言いつつも――――。

 

 

「本気になってくれたら、御祝儀ですけどね! ニィナさん達と一緒にパーティーしましょう!」

 

 

そう言い残すと、文字通り見た通り、光の速さで森の中へと消えていくのだった。

 

 

 

「ま、全く……(うぉぉぉ、へ、変な意識しちゃって、風呂に行きにくくなった……!)」

「か、カズラさんの………っっっ」

 

 

 

何処の世界であったとしても、女は強し、である。

でもバレッタの年齢がカズラの認識では中学生くらい。日本では手を出すと犯罪に成っちゃう。

 

―――でも、ここは日本ではなくアルカディア王国だ。14で婚礼期。郷に入っては郷に従え、と言うヤツだろうか。

 

 

「(い、いやいやいや、何考えてんのオレ! いつも通りのカズキさんの冗談じゃん!!)あ、えっと―――、あれ? あの大きな柵ってありましたっけ!?」

 

 

誤魔化す様にカズラは周囲を見渡して、ほんのちょっとでも気になった場所を指をさした。

 

 

「あ、はい。あれは飼育小屋ですね。根切り鳥が逃げないように、柵を高くしてるんです」

「へ――――、ってえ?? あの鳥ってあんな高く跳んでましたっけ?」

 

 

誤魔化す為だけの話題だったのだが、幸運にも結構気を逸らせる事が出来るくらいには気になる話題だった。

何せカズラが以前根切り鳥を世話していた時は、大人しい……極めて温厚なニワトリのような印象だったから。簡単に捕まえる事が出来るし、滅多に飛び跳ねたりしない。

一度、飛び跳ねた場面をカズラは見たことがあるが、それでも10㎝くらいしかできてなかった筈だから。

 

 

 

「ワタシもあそこまで跳ねるなんて知らなくて、初めて見たときはビックリしました。多分、あの根切り鳥たちも、私たちみたいに、日本食で強化されたんだと思います」

「うへぇ、ほんとに万能感が凄い……動物まで強化されるなんて。ん? 大きさはどうですか? あの野菜みたいにオバケになってません?」

「物凄く元気になっただけで、大きさは変わってませんね。卵もたくさん産んでくれますし、雛もたくさん産まれました」

「おぉ……それは凄い。でも生き物だったら生態系とかもあるし、あまり逃げられない様にする事が課題ですかね。流石にあの高さの柵を超えてくるとは思いにくいですが」

「あはは……、確かに前に逃げられた時はすごかったです。卵を取りにいったら、2羽が一斉に跳びはねて逃げて行っちゃって……、私たちのスピードでも捕まえきれませんでした」

 

 

カズラはそれを聞くと改めてギョッとする。

何せ、バレッタの人並外れた身体能力は、もう既に目の当たりにしているから。

車並みの速度に加えて、常人以上の反射神経を持つ。そんな超人であったとしても、やはり素の野生には追いつく事は叶わないのか、と。

 

 

「う~む、それはほんと大変そうですね……」

「でも、そこまでの心配はしてませんよ。結局森に逃げられちゃったんですけど、美味しいごはんが森にはなかったみたいで、夕方にはしょんぼりして村に戻ってきましたから」

「おー、餌付け出来てるって事ですか。ちょっぴり心配してましたが、大丈夫そうですね」

 

 

いい具合に緊張? がほぐれたので、流れに身を任せてそのまま五右衛門風呂へ。

 

 

 

 

 

それでも、やっぱり完全に気を逸らせる事などできる訳もない。

カズラは風呂の中で、当然裸だ。それをバレッタは想像してしまう。

カズラもカズラで、お背中お流しします~なんて、画面の向こうの世界だと思っていたのに、まさか実現しそう? と恥ずかしくて顔の紅潮が止められない。

 

 

「カズラさん、湯加減はどうですか?」

「ッ! あ、はい、えと……もうちょっと熱いくらいが、良いかな? って思います……」

「わかりました。薪をくべますね」

 

 

会話はあるのはあるが、それでも、ちょっぴり沈黙の時間が長くなる2人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同日同刻、グリセア村・グレイシオールの森にて。

 

 

「ほらほら、どうどう、ハク、落ち着いて。お前が落ち着かないと、みんなも落ち着けないよ」

「くぉんっ!」

 

 

カズキが入ってくるや否や、一目散に駆け寄るのはウリボウの中の1匹、ハクである。

単純にカズキが来てくれた事が嬉しいのもあるが、それ以上にカズキから出ている香ばしさに身を引かれた、と言う理由も当然あるだろう。

 

そして、ハク自身はちょっとしたリーダー職。

ノワやオルマシオールをトップにした中間管理職的なポジションなので、他のウリボウ達を上手く管理している。

 

なので、ハク自身がはしゃぎまわると、みんなも一斉にはしゃぐのだ。

 

 

「お疲れ様です、カズキ様」

「夜分恐れ入ります」

 

 

ぺこり、と首を垂れながらやってくる一際大きなウリボウ、オルマシオールと人間の姿のままであるノワール。

 

 

「いやいや、みんなには聞きたい事があったし、それに約束したしね? ほら」

 

 

そう言って、一緒に持ってきた段ボール4つ分の箱を指さした。

リーゼを空に浮かせた時の応用だ。何処まで持ち上げられるのかは試した事は無いが、少なくとも人力で運べる代物は特に問題ない。

以前の農業運搬車で、何度も往復した時の肥料――――までは流石に難しい。難しいというか、物凄く目立ちそうだからやらないだけだが、いつかは限界まで試してみたかったりもしている。

 

 

「本当に、申し訳ない。感謝致します」

 

 

物凄く丁寧に言葉を選び、慎重に――――としている反面、段ボール箱の中身が何なのか分かっているからか、或いはハクの様にその香りに心躍らせているのか、物凄く尻尾を左右に振り回している。

ちょっとした旋風が起きているかの様だ。

口からは涎の勢いが物凄い。

 

 

「そう、畏まりまる必要はもうそろそろ無くしてくれて良いよ。2人は、オルマシオールって皆には伝えているし、《神》って括りじゃ、上下関係は無い。あるとしたら、えっと、リブラシオールだろうけど、それっぽいヒト? にはあってないから」

「いや、ですが……」

「砕けた口調で話してくれないんなら、ごはん没収しちゃうかもだけど、どうする?」

「いや、わかった。了解した!! 今後ともよろしく頼む!」

 

 

一瞬で変えた。

食欲の方が遥か高い位置にある事が解り、カズキは苦笑いをしながら、段ボール箱を左右に開いて見せた。

 

 

 

 

 

ちょっとした森の中の宴会だ。

獣たちのお祭り騒ぎ、ともいえる。

 

 

ここだけを切り取ってみると、本当にファンタジーな世界だな、と思う。

 

 

沢山食料を広げて、みんな踊り食いを始めた。

前回よりも更に多く持ってきているから、直ぐになくなる事も無く、満遍なくウリボウ全体を満たす事が出来るだろう。

 

加えて、日本食の効能を得たウリボウ達の強さは、この世界での獣の中でも間違いなくトップクラスに躍り出る。

 

これで、警備対策もバッチリだ。

ここまで慕ってくれているウリボウ達にケガをさせたりするのは、カズキも嫌だから。

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は、カズキ様とお話するのは、この口調が良いのですが、許してくれますか?」

「ノワだけ、ゆるしませーーん、なんて言わないよ。ほら、オルマシオールの場合はさ、見てくれとかもあるし、それに戦いの神様(オルマシオール)だから、色々威厳もあった方が良いから」

 

 

カズキはカラカラ、と笑いながらそう告げる。

ノワールは、そんなカズキを見て微笑むと。

 

 

「最初は、私はあまり人とは関わり合いにならない方が良い、って考えていたんです」

「未来が悪い風に変わるから――――でしょ?」

「!」

 

 

ピタリと言い当てたカズキに、ノワールは珍しくも驚きの表情を見せた。

そんなノワールの顔を見て、してやったり、とカズキはハニカム。

 

 

「ノワにはいつもいつも悪戯で驚かされてるから、丁度良い仕返しになって良かったよ」

「あ、あぅ……」

 

 

心地良く、柔らかいカズキの掌を頭に受けて、ノワールは頬を紅潮させた。このまますり寄りたい気分になりつつあったが。

 

 

「人間と関わる事が悪い未来に繋がる。……これまで繋がってたっていうならさ。包み隠さず、全部オレに教えてくれよ? ノワ」

 

 

次の真剣な顔つきになったツカサを見て、それをピタリと辞めた。

 

 

「生憎、未来視なんて便利な力はオレは持ち合わせてない。でも、この国で災いが起こる、それが見えたっていうなら、全力でそれを止めに行くから。……他の誰に内緒にしたとしても、オレにだけは話して欲しい。……約束してほしい」

 

 

 

まっすぐノワールを見つめる。

その黒い瞳は、まるで吸い込まれそうな程に澄んでいて、綺麗だった。

 

 

「約束致します。…………ありがとうございます、カズキ様。私たちを――――救ってくれて」

 

 

 

実を言えば、もう悪い未来は見えていない。

霧がかかった様に、先が見えないのは確かだが、全て終わりを告げていた未来は、もう既に霧の彼方へと散っている。

 

 

彼らがこの世界に来てから、全てが変わった。

未来は、明るくなったんだ。

 

 

 

 

 

 

「では、私からもお願い、しても良いですか? いえ、聞いてみたい事がありまして」

「うん? 聞いてみたい事? 良いよ。なんでも聞いて」

「あの娘。リーゼさん、でしたよね? カズキ様とは、どういったご関係でしょうか? どういったお話をして、……その、夜空高く、共に空を駆けた時、どの様な事をしたのでしょうか? 以前お話してくれた女性関係からの不信の件は、どうなったのですか? すごく気になります」

 

 

矢継ぎ早のリクエスト。

オルマシオールやハクたちは食料に夢中なのだが、ノワールは色恋沙汰に興味津々な様だ。

 

それに、リーゼとの夜空を飛んだ場面もしっかり見ていた様子。

見てくれで忘れそうになるが、ノワールもウリボウ。夜目は効く様だ。

 

 

その後 リーゼとのやり取りや、以前ぼそっ、と話を零してしまったカズキ自身の過去のトラウマの件。

 

それをノワールにしっかりと話したのか、そしてノワールはどう思ったのか。

―――その詳細は省く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

 

 

「ちょっぴり心配しましたよ? まさか朝帰りだとは思ってなかったんで」

「あはは……、すみません。事前に伝えに戻ったらよかったですね。思いの他盛り上がっちゃったんで……」

「おぉぉ……、ウリボウ達と宴会。ファンシーなのか、ファンシーなのかファンタジーなのか……、ちょっと想像しにくい光景だ」

「今度はカズラさんも一緒に会いましょうね。2人とも話をしてみたい、って言ってましたし」

 

 

朝帰りをしたカズキに、ちょっとだけ苦言を呈するのはカズラだ。

カズキの力は知っているし、何か事故があったのでは? とは正直思ってはいない。

だからと言って、心配しないという理由にはならない。

 

あまり考えたくない事ではあるが……、もう帰って来なくなる可能性も決してゼロではないのだから。

 

 

 

 

 

「それはそれとして、明るくなったら更に凄い事になってますね……、グリセア村」

「あ、やっぱり……? 夕べは暗くてよくわからなかったんだけど、明るくなったら村の進化っぷりの全容がハッキリとまざまざと………」

 

 

ついこの間までの村と同じである、とは到底思えない。

見張り台もそうだが、水道橋も張っており、水車を回してその動力を利用し―――と、様々な施設がハッキリ見て取れる。

 

これは見るだけでもイステリアの職人たちは勉強になる事だろう。

まず驚愕して目が点になっただろうが。

 

 

「あ、カズキさん。おかえりなさい」

 

 

とて、とて、と小走りでやってくるのはバレッタだ。

その手には、お弁当が二つ、備わっている。

 

 

「バレッタさんにも、心配、かけちゃいましたかね?」

「ふふ。そうですね。私だけじゃなく、ニィナや、特にリーゼ様も心配されてましたよ? リーゼ様は森に自分もいく! って言っちゃったらしくて」

「ええっ!」

「あ、勿論ジルコニア様が止めてくれましたが」

「ほっ……」

 

 

それに、リーゼの行動力、バイタリティなら、例え薄暗い森の中だって突っ切ってきそうな気がする。

如何に危険のない森とはいえ、ケガしないとは絶対に言えないから。

 

 

「昨日は流れのまま、リーゼには何にも伝えてなかったからなぁ……、今日はしっかりしとかないと。心配かけちゃったなら猶更」

「あ、ならカズキさん。今日はオレ一人だけ日本で買い出ししてきますよ? そんな大きな用事はありませんし、一日リーゼと一緒にこちらの仕事を貰っても大丈夫」

 

 

今日も2人で日本へと向かう―――予定だったのだが、カズラは予定変更を提案。

 

 

「えっ? ほんと大丈夫です? 荷物持ちとか、大きな買い物ってありませんでしたっけ?」

「全然大丈夫ですよ。PCソフトとか、河川工事計画の打ち合わせとかだから。車は1台あれば余裕だし」

 

 

指をおりおり、カズラは考えていくと、にやっと笑って言った。

 

 

「何なら、昨日のお詫びにリーゼにサービスとかしてあげたらどうかな? お背中お流しします、とか」

「えー、それじゃ、昨日の……って、逆じゃないですか! オレがリーゼの背中流すんですか?」

「それは良いですね。リーゼ様、とてもお喜びなると思います」

 

 

リーゼの背中を流す。

バレッタまで推奨する。

 

それ即ち三助をするという事か。

 

江戸時代くらいには日本でもポピュラーな存在だったが……現在では絶滅危惧種。

 

それも、お相手がリーゼの背……

 

 

「っ~~~」

「あっはっは! 赤くなりましたね~~? 昨日の仕返し成功だよ、バレッタさん」

「えへへ、そうですね」

 

 

リーゼの背中姿を想像した瞬間、カズキも思わず赤く顔を染めたのを見逃さず、カズラとバレッタはハイタッチを交わした。

 

 

「うぐぐ、一本取られちゃいました……、そういうのは、こっちが十八番だって思ってたんですけど………」

 

 

バレッタとカズラの初々しい関係性。

それを見て微笑ましく感じながらも揶揄うのが常だったが、今回はしてやられた形だ。

 

 

「バレッタもいつまでもヘタレでお子様って訳じゃない、って事ですね。少し前までは、そっち系なら、ちょっとした事でも赤くなってまともに話出来なかったのに。(香油利用したって件は、例外)」

「あ、ニィナさん」

 

 

ニヤニヤ、と笑いながらやってきたのはニィナだ。

いつもいつも、目を光らせて、隙あらばカズラとバレッタをくっつけようと画策している。

 

今回は、カズキとリーゼのネタを言う事で、ちょっとした下な話でもカズラと一緒に出来てる時点で、大分前進出来た、と言えるだろう。

 

ただ、カズラ自身に照準が合わさった状態であれば、速攻でヘタレると思うが。

 

 

「リーゼ様、凄く心配してましたよ? 早くお詫びをした方が良いです~、と、提案しておきます」

「……おっしゃる通りに」

 

 

ニィナにも釘を差されるカズキ。

 

その後、朝帰りしたという事実を知ったリーゼと再会した後、一悶着あったのは言うまでもない事だった。

 

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