ゲームしてたら異世界に来てました。   作:ハイキューw

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55話 写真撮影

 

何度も目を擦りつつも、書類に目を通し、手を動かし続けてるリーゼ。

時間も大分立ってきたし、休憩を挟んでいるとは言ってもかなりきつい筈だろう。

 

 

「リーゼ……、流石にもう休んだ方が良いと思うよ? と言うか寝た方が良い。全然寝てないでしょ?」

 

 

だから、休みを和樹は促した。

 

一良と和樹は十分休みを取れている。

何故なら、この世界でのオーバーテクノロジーを自由自在に動かすだけのスキルを身に着けているからだ。日本の更に遠い未来からやってきた和樹にとっては、一良の持ち込んだパソコン等は中々に古いと言わざるを得ないが、それでも身に着ける事は造作もなく、業務に支障はない。

 

つまり、互いに交代をしながら効率よく仕事を熟す事が出来ているのだ。

 

だが、リーゼやジルコニアたちはそうはいかない。

元々、彼女達の国、王国の問題だから、と言う面も勿論あるだろう。2人に、神々に任せっぱなしでは立つ瀬がない、と感じているのかもしれない。

基本的にこちら側の世界の住人は皆生真面目、超真面目。休むと言う概念が殆どない。

戦時中で余裕がないからだ、と言う事もあるだろうが、それでも休める時に休まないといけないのも事実。

身体に何かあっては元も子もないのだから。

 

それに、この工事計画書は文字も小さく、ハッキリ言って延々にしてたら身体に毒でしかない。ルーティンワークはしんどいのはどの世界でもきっと共通だと思うから。

 

 

「大丈夫。だって少しずつ夜更かしにも慣れてきたし? 無理そうだったら ちゃんと寝るから気にしないで。―――それに、私は和樹と一緒だし! 一緒に居られる為なら、秘薬がぶ飲みして頑張れるつもりだよ?」

「えぇ……マジ? ジルコニアさんでも降参したのに?」

「ふふんっ! 私の和樹への想いは並じゃない、って事だよっ!」

 

 

胸を張ってそう宣言するリーゼ。

とても可愛い……と思うのだが、それ以上に弄りたくなる衝動が抑えられない……。

 

 

「え~。ならなんでメロ―――」

「黒歴史出すの禁止!!」

「は、はい!! (早い……)」

 

 

メロメロばんばんネタはもうそろそろ完封される勢い。

ギロッ、とにらまれた上に、ペン類まで投げられたら大変だ。

 

 

「もうっ!」

「冗談は別として、やっぱりリーゼが無理するのだけはなぁ。……と言うより、一緒に居るから無理しないで」

「解ってるよ。……でも、私が居ないとこの翻訳作業だって全然進まないでしょ? こればっかりは一良にも和樹にも出来ない事だし?」

 

 

リーゼには無理させたくないのは本心。

でも、リーゼに抜けられて仕事が出来るか? と問われれば……。

 

 

「……ごもっともです。あ、でももう大分進んだんだし」

「じゃあ、後もう少しだし。頑張って全部終わらせちゃおう! 明日、一良が驚く顔が目に浮かぶよ」

「あぁ~~、予告してた地点よりずっと先に進んでるし。それはそうだなぁ」

 

 

一良から引き継ぎされて、今の地点。色々と考えてみれば、リーゼの奮闘もあって大分進んでいる。これなら、明日以降も楽出来る部分も出てくるだろう。

いや、明日以降も楽せずに仕事に慢心するだろうから、とてつもないペースで復興が進んでいっている気もする。

 

 

その後も、色々と確認を行いながら続ける。

大飢饉で発生した問題点は、とてつもないペースで進んでいったとしても、時間はいくらあっても無駄ではなく、足りない、と言う認識を持った方が良い。

こうしてる間でも、苦しんでいる領民が居るのだから、それを思えば当然だ。

 

国を、領民を、ここまで憂う為政者が居るのであれば、必ず発展する。

それを妨害する悪意ある者が居るのであれば、容赦はしない。

 

きっと、もう大丈夫……、と穏やかな表情をしながらリーゼの方を見ていた和樹は。

 

 

 

「……あのさ。この間、グリセア村の視察報告書を見たんだけど、一良はそこで1ヵ月くらい生活してて、和樹は丁度一良がイステリアに来る頃――――つまり、1ヵ月後に合流した、って形なんだよね?」

「ん? うん。そうだね。後で合流する~って話はしてたんだけど、ちょっぴり遅くなっちゃって。オレにもいろいろあるからなぁ……」

 

 

不意打ち気味な神様設定の話も自然に返す事が出来ている合格点。

一良と和樹が入念な打ち合わせをしている賜物だと言えるだろう。

 

 

だが、リーゼの真骨頂はここからだ。

 

 

 

「全てに光を齎すメルエム様と、慈悲と豊穣のグレイシオール様。………一良と、和樹はどうして急に村へとやってきたの?」

 

 

 

随分久しぶりだった。

一良、和樹で定着していた筈の名前呼びが、公の場所でもないのに、神様名称に変わった事に少々面を喰らう。

 

 

「あの村は、一良さん……グレイシオールにとって大切な村だからね。そこが苦しんでる、日照りで苦しんでる村を見捨てる事なんて出来なかった。なら、オレだって友達として一緒に―――」

「本当に?」

 

 

和樹に最後まで言わせる事なく、リーゼは再び問う。

 

 

 

 

 

「本当にそう――――なの?」

 

 

 

 

 

 

真っ直ぐ、和樹の目の奥まで見据える様に、その榛色の瞳を真っ直ぐに向けてくる。

 

 

 

 

「ッ――――――」

 

 

 

不審な点があったのだろうか?

でも、例えそんなものがあったとしても、有無を言わさぬ証拠と言うモノが備わっている。

そう、ピカピカの力だ。コレは人なら出来る訳がない人外の証拠そのもの。

一良に関しては人間の身体だから説得力と言う面では落ちるかもしれないが、この世界に存在しえない機械をいくつも持ってきているのだから、それを十分補ってると言える。

 

なぜ、リーゼはここまで思う所が?

 

 

 

「――――やっぱり、今のなし。忘れて」

「! ええ、ここまで来て?」

「あはははっ。だって、和樹思いつめちゃってる顔してたし? それに――――」

 

 

 

リーゼは少しだけ俯かせた。

最後の最後まで踏み込まなかった理由がここに有る。

 

 

 

「……和樹が消えちゃうのは困るから、さ」

 

 

 

光である事は間違いない。

それは歴然たる事実。

 

でも、光が有れば闇があるのと同義で、夜になれば光は落ちる。

ありとあらゆるものの光の総称とは言っても……だからと言って消えない理由にはならないのだから。

 

 

「……ふふ。消えないよ」

 

 

そんなリーゼの心境を読み取ったのか、和樹はふわりと右手を動かし、空気を撫でる様に上下させた。

すると、光の粒子がリーゼを包み込む。

 

軈て、光は頭部へと集まり、彼女の頭を撫でる。

以前から、事ある事に撫でて欲しい、とせがまれてた事もあり、これがリーゼが一番好きな事だと知ってるから、和樹は安心させたい、と言う理由も込めて撫でる事にした。

 

……勿論、絶対の保証がないのも事実。

和樹自身も踏み込めない最大の理由がソレ(・・)だから。

 

 

 

「―――ありがとっ」

 

 

 

リーゼは仄かに表情を赤く染めて……目を閉じて心行くまで堪能した。

 

そして少しして。

 

 

「そうだ! 前にした約束ってまだ有効だよね?」

「約束? ―――ああ、今度出かけよう、って話?」

「そうそう」

「勿論大丈夫! ……でも、明るい内の空の旅はお控えくださいよ? お姫様」

「も、もうっ! 解ってるよ! 皆に見られたら大変だし、……(それに、あれを知るのは私だけで………)」

「なら、OK! ささっ、手早く済ませてひと眠りしよう!」

「よっしゃ! 頑張るよー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして次の日。

一良は2人が想像してた通りに目を丸くさせて驚いていた。

残りを最後にやって、今日の夜には報告会を行おうと思ったのだが、時間を前倒しにして朝から行えるから。

ナルソンにはリーゼから話を通しているし、後は機器の準備をするだけだ。

 

和樹は、自分は寧ろリーゼが凄かった、と説明。

領民を、大切に想うトップに立つに相応しい人だと。

 

そして一良は、和樹と一緒だからこそだよ、と笑って言うのだった。

 

 

 

 

 

それは兎も角、ここからは一良も一緒に行う。

まずはプロジェクターを起動させて、画質は問題ないかを確認。

窓を締めれば十分薄暗くなるので、視覚的にも問題ない。

 

河川工事計画書も解りやすくまとめられており、時折リーゼの筆跡、綺麗な手書きにも感銘を覚えつつ、説明を続ける。

因みに、写真技術はもう既に伝えてるので問題なし。

少々躊躇ったが、デメリットよりもメリットの方が圧倒的に大きい事を考慮し、2人で考えた結果だ。

 

 

「まずは洪水が起きる可能性が高いのはこの高い場所で、そこから改修工事を行います。地区はこことここで、担当は――――」

 

 

一良のレーザーポインターと指の指示を読み取って和樹がPCを操作。

画面を次々切り替えて、質問等があればいつでも聞く様にし、元の画面にも戻したりしている。

 

質問~~に関しては、最初こそは初めてプロジェクターを見るので、凄く驚いて声を漏らしていたから、プロジェクターについての質問が飛ぶかな? と思ったが驚く程度でそれ以上の事は無い。

有意義で生産性のある質問ばかりが飛ぶ。

 

 

「一良殿。質問なのですが、工事に用いる材料は木材と石材、それにモルタルだけでよろしいのですかな? 今のうちから用意しておく他の材料等はありますか?」

「それだけで大丈夫ですよ。来年行う本改修でも、材料は同じなので作業員と合わせて都合をよろしくお願いします」

「畏まりました。計画書は職人も閲覧できる形にしたいのですが、問題ありませんか?」

「ええ。大丈夫です。流石にこの規模ともなると彼らに見て貰わなければ、上手く進みませんし」

「あ、光については私の名を出してくれて大丈夫ですよ? 納得できず、更に私の事を知らない人が居れば、ちゃんと教えますのでいつでも呼んでくださいね」

「畏まりました。写真についても、メルエム様、そしてグレイシオール様のお力添え、と説明致します」

 

 

プロジェクターもそうだが、写真技術もそう。

被写体が人であれば、その写真1まいで誰も知る事が出来る。記録を残す、記念を残す、と使用用途は多岐に渡るし、寸分も違わない姿を映し描いているので、圧倒的時短にもなる。

 

更に恐ろしい、と思えたのは自分の知らない第三者がいつの間にかこれを所持、広くに知られると言う可能性が極めて高いからだ。

 

まさしく恐ろしい道具、とナルソンもジルコニアも思った。

 

でも、よくよく考えたら光を自在に操るメルエムの方が遥かに上に居るので、直ぐにその考えは吹き飛んだが。

あまりにも親しみやすい人格者なので、ついつい忘れそうになってしまうのだ。

和樹は和樹で、それを大歓迎しているから猶更。

 

 

「写真に関しては本当に、例え相手の顔を忘れてしまっていても、いつでも思い出せますね。和樹さんや一良さんの様に、いつまでも記憶に、心に、留めて置けるひとたちなんて限定されてしまいますから」

 

 

ジルコニアは少しだけ笑みを浮かべた。

和樹と一良の事はもう生涯忘れる訳がない。どれ程歳を迎えたとしても、永遠に、だ。

それは当然家族と呼べる相手もそう言えるが、それでも全員がそうか、と言われれば無理だ。

 

 

「犯罪を犯してしまった者の写真を作って、記録として取っておけば、絶対に逃げようがありませんし、抑止力にもつながる力かと」

「確かに。使い方によってはそうですね。非常に便利なものです」

「一瞬で記録が獲れるって言うのがね~。それに私の光が合わされば、もう逃がしませんよ」

「……和樹殿から逃げる事など、考えられませんな」

 

 

一良も頷く。

普通に撮影し、息をする様に記録を残す世界から来た身とすれば忘れがちだが、写真の技術はとんでもない、と痛感させられる。

和樹に関しては写真など無くても、本当の意味で目にもとまらぬ動きで瞬く間に移動するから、逃げる~なんて考えられないし、そんな機会等絶対にないしない、と宣誓する。

 

 

そんな時だった。

 

 

「―――その写真って、簡単に撮れるものなの?」

 

 

リーゼが違う質問を投げかけた。

 

 

「ああ、色んな事が出来るぞ。今直ぐリーゼを撮って、そのまま印刷……何枚でも!」

「高性能だから、画質もヨシ読み込みも早い。本当にあっと言う間に」

 

 

一良や和樹からも太鼓判。

それを聞いて、リーゼは少しだけ考えて―――。

 

 

「……撮りたいものがあるんだけど、お願いできないかな?」

「! リーゼ……」

「まぁまぁ、いいですよ。全く問題なしです」

 

 

ナルソンが諫めようとするが、それを制する様に一良がさっさと立ち上がって準備。

 

 

「綺麗に残したいモノ、記録と記憶に残したいモノ、なんて沢山あるし。リーゼは何を撮りたいんだ?」

 

 

リーゼの考えに同調する様に一良が準備する横でうんうん頷く和樹。

すると、リーゼは少しだけ気恥ずかしそうにしながら……。

 

 

 

「家族3人で、撮った写真が欲しいな……って」

「「―――!」」

 

 

 

リーゼの望みは家族写真だった。

十分あり得る選択肢だったが、それ以上にリーゼの想いを感じて、笑った。

 

 

「家族写真! いいね! 絶対良い!」

「最初にデジカメ説明する時に撮っておけばよかった! 是非是非、今とろうっ!」

 

 

2人は大賛成。

でも手放しで喜べないのはジルコニアだ。

 

 

「―――ッ! あ、あの、私は……」

 

 

ジルコニアは公言している。

戦争が終われば貴族をさり、平民に戻ると。

つまり、これは仮初の家族だと。

 

だから、家族写真(・・・・)に残すのは……と。

 

 

「良いじゃないですか、ジルコニアさん!」

「直ぐ準備しますよ」

「あ、そう言えばジルコニアさんは、何かあったら何でも言ってください~って言ってくれましたよね?? 今それ使いますよ!」

「えええ!」

 

 

以前、和樹に言っていた事を、今このタイミングで使われるとは、と思わず声に出す。

それでも尚……。

 

 

「で、でも……」

 

 

頷けなかった。

だから、ナルソンの方を見た。

全てをナルソンも知っているからだ。

 

 

そんなナルソンは、ただ笑顔で言う。

その横ではリーゼが真剣な顔つきでナルソンに続く。

 

 

 

「……お二方もここまで勧められてるのだ。お言葉に甘えようではないか、ジル」

「お母様。……お願いします」

 

 

2人からの願い。

皆からの願い。

 

それを聞き入れない……なんて、出来る筈もない。

 

 

ハベル・アイザック、皆も一緒に。

家族写真の次に全員写真、と言うのも悪くない。

 

 

「ナルソンさん! 表情がちょっと硬いですよ、笑って笑って」

「む、難しいですな……」

「お父様、肩の力を抜いてください」

「ふ、ふむ……」

 

「ジルコニアさんも、ちょっと硬いですよ~~。ほらほら、リラックスリラックス!」

「わ、解りました!」

 

 

結論から言えば、写真撮影は大盛り上がり。

何だか、工事計画が次いで~~みたいな感じになってきた。

 

 

更に、ジルコニアからの逆襲(笑)もあった。

 

 

 

「和樹さんとの2人きりの写真も欲しいですね」

「!! あの、ジルコニアさん?? ナルソンさんが傍に居るトコで堂々とそれ言うのはどうかと思うのですが?」

「はっはっはっは~~」

「ナルソンさんは笑い過ぎですー! 笑ってられる話じゃない、って思うんですけどねーー!」

「あっ、お母様狡い!! 私も和樹と一緒に撮る!!」

「や、一良さんもいますし? 皆で全員写真撮りましょうよ……??」

「いやいや~~お2人の御指名は和樹さんですし? そこはお譲りして……」

「一良さんまで不倫推奨しないでくださいよっ!! バレッタさんに言いつけますよ!?」

「えええ!! なんでバレッタさんが出てくるんですか!?」

 

 

 

 

その後はアイザック、ハベル、エイラ、マリーと沢山の思い出が鮮明に記録されていく。

 

今日と言う日を大切に―――とこの場の誰もが思うのだった。

 

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