ゲームしてたら異世界に来てました。   作:ハイキューw

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めちゃくちゃ遅れてしまいましたが……、こちらも更新します。
宜しくお願いします。


71話 バルベール産

 

 

 

「それで? ちゃんと話をしてくれるって約束できます?」

「は、はぃぃぃぃ……、やくそく、やくそくしますぅぅ……」

 

 

 

ぐすっ、ぐすっっ、と泣きべそをかいてるのはノワールである。

散々和樹をからかってきたのだが、逆にやられてしまって早々に折れてしまったようだ。Sっ気のあるものは、逆に責められるのは苦手……というのは異世界でも通じる本当の事らしい。

 

 

「んじゃ、ほら。ノワも。そんなに泣かないで泣かないで。なんだか俺が悪者みたいじゃん? 言っとくけど、絶対ノワの方が悪いからね? ねー、オルマシオール?」

「うむ……。誰がどうみても、アイツが馬鹿なだけ」

 

 

ハクを撫でている間に、いつの間にやらオルマシオールも傍に来ていた。

どうやら、ノワールの一番のダメージは、ハクに続き、オルマシオールまでが和樹の寵愛? を受けていて、自分はもう受けれない、蚊帳の外だ、と思ってしまったところに尽きるだろう。

 

なので、和樹に今撫でられているこの感覚、この感触、この心地よさ、すばらしさ。ありとあらゆる角度で正しく至高なものだ、と言って良いかもしれない。

 

 

「カズキさん……、とても、きもちいいです……」

 

 

ずっと、頭を下げていたので、和樹はノワールの頭を撫でていたのだ。

そんな彼女は、泣きべそだったのに、どんどん生気を取り戻していき、最初は子供のようにうれしそうに目を細め、次第にその頬は、身体は赤に染めていった。

潤んだ瞳で、和樹をじっと見つめていて、息遣いも荒くなっている。人型に変身中ゆえにしっぽは消えているんだが、その消えていて、本来はあるであろう場所の埃や地面の砂が急速に舞い上がっている。

どう見てもしっぽを高速で振っているのだろうことがよくわかるというものだ。

 

 

「あ、あの……カズキさん? その、私の事を抱い……いたっ!」

「不敬に不敬を重ねるな馬鹿者」

 

 

オルマシオールの大きな肉球付きの手で頭を叩かれてしまった。相応な威力? がありそうで、普通に人間だったら首がイッてしまわないか? と思えたが、それは杞憂である。

 

 

「うぅ……いいじゃないですか。あなたもハクも……その、カズキ様に……」

 

 

ハクは和樹に沢山撫でられて、オルマシオールは和樹に抱き着かれている。ハグをされている。正直嫉妬の念でいっぱいなのだ。

 

 

「そんなことよりノワ。話を聞かせてよ」

「そ、そんなこと!?」

 

 

ガーン、と思わず口に出してしまいそう。いや、実際口に出してしまった心の声。

次いでに、擬音(ガーン)もだ。

色んな感情が入り乱れて大変だったが、オルマシオールの表情を見て、我に返る。

言わずともわかる。自業自得だと。これ以上何かあったとしても知らんぞ、と言ってるようにも見えたのである。

 

 

「その、カズキさん。話とは?」

「うん。グリセア村のコルツの話」

 

 

そしてまた―――未来が変わる瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イステリアにて。

 

 

「あぁ~~~、やっぱカズキに会いたいなぁ……。ねぇ、カズラ? ここから一気にグリセア村へ行けたりしない?」

「いや、無茶言うなよリーゼ。あれはカズキさんだから出来る芸当で、日本(向こう)から色々道具を持ってきたとしても、直ぐには行けないって」

「ぶーーぶーー」

 

 

リーゼは、和良にパソコンの操作方法を教えてもらい、事務作業に精を出していた。

和樹が帰ってくるのが待ち遠しい。ならば何かに熱中していれば時間の流れも速くなるのでは? じゃあ、慣れてないパソコン作業、事務作業に注力しよう! と全身全霊で取り組んだところ……。

 

 

「いや、リーゼも十分天才じゃないかなぁ?」

「えー? そう?? 褒められて悪い気はしないけど、流石にバレッタ(あの子)と比べないでよ? 桁が違うもん」

「そうか? そうでもないって思う所は多々あるぞ」

 

 

あっという間にパソコン操作方法を覚えてしまった。

間違いなく自分より遥かに早い。未知の道具、オーバーテクノロジーだというのに、こうもあっさり素早く覚えてしまうのはとてつもない事だ。バレッタが傍にいて薄れると思われるかもしれないが、リーゼも間違いなく天才肌だ。おまけに努力も惜しまない。……今回に関しては和樹が原動力になっている、という面もあるだろうが。

まさに愛は強し、である。

 

 

そんな時だった。

 

 

「カズラさん―――!」

「ただいま戻りましたよーー」

 

 

扉が開いた。

その先に居たのは―――。

 

 

「え? バレッタさん? と和樹さん??」

 

 

和良が和樹の姿を確認するのとほぼ同時。

 

 

「おかえりーーーー!!」

「ぐほっっ!!!」

 

 

リーゼの腹部頭突き式タックルが和樹の腹部にめり込んだ。

そしてあまりの威力と速度故に、リーゼの華奢ともいえる身体でも十二分の威力を発揮したのだろう。

和樹はくの字に折れ曲がってリーゼと共に転がっていった。

 

 

「(あれ? 和樹さんのピカピカな身体を……実体を捉えた? ってやつ??)」 

 

 

と、和良は茫然とする。バレッタと一緒に帰ってきた~というのもそうだが、物理攻撃? の全てを無効化する和樹の身体にヘッドバッドを決めたリーゼの凄まじさたるや……。〇気の使い手だったのか? と思わず和良は思ったが。

 

 

「げほっ、げほっ、いや、リーゼ落ち着いて」

「おーちーつーけーまーせーーんーーー!! このまま捕食する!!」

「いや、捕食ってなんだ! こらこら、ほんと落ち着いてって」

 

 

しがみついたまま、頭をぐりぐり~~と和樹の身体を離さないので、取り合えず、ピカピカの力を使ってリーゼ諸共包み込んで立ち上がった。

 

 

「あははは……。やっぱ、能力が無くなってた訳じゃないって事か……。つまりリーゼの攻撃は和樹さんに通じるから……って、こほんっ、それより、バレッタさん? 山岳地帯に行っていたのでは?」

「はい。今朝がた全ての案内が終わったので。一足先に走って帰ってきちゃいました」

「そうですか……走って………」

 

 

和樹の力であればもっと早くつくだろうけれど、バレッタは、走って帰ってきた、と言った。そしてバレッタの脚力をもってすれば、容易に可能だという事を和良も知っている。

日本食(ブースト)ありとはいえ、生身最強は紛れもなくこのバレッタなのだから。

 

 

「バレッタさんもおかえりなさい」

 

 

キリッ、と艶々としているリーゼ。

和樹成分補充は問題ないようだ。

 

 

「あははは……ただいま戻りました」

「……それで、カズキの方は? たらしこんだりしてない??」

「大丈夫ですよ。村では子供たちと遊んでくれましたし。……あ、でも―――」

 

 

バレッタは少しだけ表情を落として。

 

 

「森の中まではついていけませんでしたので、何とも……」

「森の中って……、あ、前に言ってたオルマシオール様の??」

「はい……申し訳ありません。神域のようなもので、どうにも眠ってしまった感じで………」

 

 

ノワールと人の姿でやり取りするときは、周囲を無力化させている。一種の催眠術で、近づく事は叶わないのである。それはバレッタも例外ではない。……もしも、先に言ったのが和良だったなら話は変わってくると思うが。

 

 

「おお……徴税報告書、これ全部リーゼが作ったんですか?」

「うん。とてつもない速さでマスターしてて、今やオレよりすごいかも? 説明書とか読めないけど、ある程度把握したら、自分で色々試してみたり、トライ&エラーでどんどん吸収しててさ?」

 

 

グラフや表にしてわかりやすくしていたり、重要点はフォントを変えたり色を変えたり……非常に上手く、見やすくなっている。そしてマスターした後の作業時間が鬼のように早い。秘書とかにしたら、日本でもとてつもない成果を上げるだろうと思えるほどである。

 

 

「カズラさん、カズキさん。それは何です? あ、パソコンですか??」

「ええ。そうですよ。これがあればかなり便利で事務作業も物凄く早く済むので。……リーゼに教えたら、あっという間に覚えちゃって。今後領内の事務作業全部任せれそうだよ。――あ、バレッタさんも覚えてみます? パソコン使える人は幾らいてもありがたいので」

「! はいっ! ぜひお願いします! 教えてください!!」

 

 

バレッタは好奇心旺盛。知識欲の塊のような人だから、どんな事でも自分ができることなら、と嬉々として手を上げるのだ。

無論、そこに和良が絡んでくるなら、その欲は少なく見積もって倍増しになるだろう。

 

だからこそ、注視しなければならないとも思うが。まだ14程の年齢の少女なのだから。

 

 

「オレも一緒に―――」

「カズキはこっち!」

「……はいはーい」

 

 

腕をぐいっ、とリーゼに取られてしまった。

事務仕事は自分の領分ではないとはいえ、久しぶりにパソコン業務。古いタイプで、実際に自分が来た日本のそれとは型が何世代も前のものだが、大体ExcelやWordくらいなら解る。というより、また勉強しなおすのも悪くない~と思っていたのだが、和樹はリーゼに阻まれた。

 

 

「……バレッタに聞いたんだけど、しばらく森の中にいたんだって?? その……えと……」

「あー、うん。ノワの所ね。聞きたい事があったから。……もう、そんな顔しなくて大丈夫だって。後ろめたい事なんか無いし、そんな言い繕わなくてもストレートに聞いていいよ?」

 

 

リーゼの姿をみて笑うのは和樹である。

顔を見ていたら大体わかるので、バレッタ辺りに聞いたのだろうこともわかる。

 

で、バレッタに対しては、和良をしっかり見ておく、と言う恋路応援側になってるので、逆にバレッタが自分の事をリーゼに言っても構わない、とも言ってる。なので、特にリーゼにグリセア村でのことを報告されたとしてもかまわないのだが……。

 

 

「じゃ、じゃあさ? 夜森の中で、ヤっちゃったりしてない?? だって、そのノワールってひと? 物凄く美人さんなんでしょ?」

「ぶっっ!!」

 

 

そして、ストレートに言って構わない、と言ったのは和樹である。

なので、リーゼもそれに従っただけ。悪くない。悪くないのだが……。

 

 

「こ、こら! そこまでストレートに言って良い訳ないだろ??」

「何赤くなってるのよ。こんなの今時普通よ? 他の子と話す事だって多いんだし。カズキが初心過ぎるだけじゃない」

 

 

勢いあまって聞いたリーゼだったが、和樹の赤くなった姿を見て、安心すると同時に愛おしくも思う。とりあえず、何も無さそうなのが良かった、と。

 

 

「じゃあ、アイザックの従姉妹……シルベストリア! その娘とはどーなの??」

 

 

とりあえず、リーゼからこの手の話題で解放されるのはずいぶん後になりそうだ、と和樹は苦笑いをするのだった。

 

 

 

 

 

 

そうこうしている内に新たな来訪者が訪れる。

 

部屋をノックする音、そして、和良が招き入れて……その人物は入ってきた。

 

 

「ジルコニアさん、お疲れ様です」

「カズラさん。ガラスの売買について気になる報告が―――……ってあら? バレッタ? それにカズキさんも? 帰ってきていたの」

「はい。つい先ほど」

「要件も大体終わったので、ぴゅっ、とですね」

 

 

ひらひら~と手を振る和樹。バレッタも頭を下げた。

 

 

「アイザックさんたちは2,3日後にはこちらへ戻ってくると思います」

「まぁ、普通にグリセア村とイステリアじゃそれくらいは掛かるわよね。それで、採掘作業は問題なく行えそう?」

 

 

鉄の大鉱脈。

それが戦争を左右するともいわれている新たな鉱物。イステール領土内に資源があると聞いた時は安堵したが、採掘の目途が立ってないと安易なことは言えないのだ。

だから、バレッタの報告を求めたのである。

 

 

「はい。指示は細かく出してきました。何かあっても、グリセア村の人が近くで炭焼きをしているので大丈夫かと」

「そう。良かったわ。あとは製鉄炉を作って鉄の精製を行うだけね。明日にでもさっそく村に向かいましょう。……それと」

 

 

ジルコニアはバレッタの肩に触れながらつづける。

 

 

「鉱山のこと、もう少し詳しく聞きたいわあ。夕食を食べながら聞かせてくれない?」

「えっ! ご一緒させていただいてよろしいのですか?」

「勿論よ。良かったらこれからは食事は一緒にとるっていうのはどうかしら? しばらくは色々と手伝ってもらうことになるだろうしね」

「は、はい! ありがとうございます!!」

 

 

バレッタにとっては願ってもない事だ。

ジルコニアたちと一緒に食事をとる事、それ即ち、和良と一緒に居られる、一緒に食事ができるという事なのだから。ずっと傍にいさせてほしい、というのは比喩でもなんでもなく、ありとあらゆる時間帯、和良を守りたい、という気持ちから現れているのだから。……ゆくゆくはそのさらに先まで……を、考えてしまうとあっという間に顔が真っ赤になるので、妄想はこの辺りで止めておくが。

 

 

「それで一つ聞きたいんだけど……、バレッタ。ひょっとして、イステリア(こっち)に戻ってきた方法って……実はカズキさんに乗せてもらった~~……とかだったりしない?」

「―――え??」

 

 

和良とのピンクっぽい妄想が広がる寸前に、まさかの角度の質問がジルコニアから来てしまって、思わず慌ててしまうバレッタだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお……リーゼすごいじゃん」

「えっへへ。でしょー?」

 

 

パソコン操作は本当に覚えたての初心者なのか? と疑いたくなるレベル。これで昨日今日で覚えたというのであれば、間違いなくリーゼも天才と言って差し支えないだろう。

 

 

「あら? リーゼ。それって河川工事の写真を見せてもらった時の道具かしら?」

「はい! カズラに教えてもらって、もう大分マスターできたと思いますよ! この、えくせる? っていう機械だけですが」

 

 

まだまだ覚えれます、と言わんばかりに拳を握るリーゼ。

直ぐとなりでは、バレッタも新しいもう一台のパソコンで勉強中だ。

今この部屋はちょっとしたパソコン教室になっている。

 

 

「へぇ。私にもできるかしら?」

「あ、ジルコニアさんもやってみます? 丁度パソコンは全部で3台あるそうなので、一人1つで出来そうですよ」

 

 

丁度、和樹も久しぶりな事務作業~とカタカタ触っていたのだが、ジルコニアに覚えてもらった方が領的にも仕事量的にもメリットしかないので、有無言わさず~パソコンをジルコニアの方へ差し出した。

 

 

「ありがとうございます、カズキさん。あとで使い方を教わりますね。……その前に、皆さんに見てもらいたいものがあるんです」

 

 

うれしそうだった、ジルコニアの表情が少し陰りをみせる。

それは、ガラスの売買についての報告書。

 

 

そして―――その報告書には驚くべき事が記載されていた。

 

 

 

 

 

 

 

「マジか……。ガラスの持ち込みが、闇市場とはいえ少しずつ増えて価格低下……? それも――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

最も驚くべき事。それは持ち込まれているガラスは、バルベール領土。つまり、敵国から流れてきているだろうという報告である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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