ゲームしてたら異世界に来てました。   作:ハイキューw

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9話 助けて神様

 

 

 

夕食会が終わって暫くした後、ナルソンはアイザックとハベルを屋敷内のとある一室に呼び出していた。

 

 

ナルソンから直々に新たな任務を与えられる事は、隊長格であるアイザックやハベルには珍しい事ではなく、これが基本となっていたりしていて いつもであれば如何なる命令でもアイザックやハベルは忠実に熟し、全うする事に全力を尽くすのみ……だったのだが、今回はどうやら雲行きが怪しい。

その原因はアイザックが、かなり動揺していて、愕然とした表情をしていたからである。

ハベルは実に対照的で、落ち着いていて ナルソンの言う事に対して同意を示す様に頷いていた。

 

「では、今後はカズラ様、カズキ様の側近と言う形でよろしいですね?」

「うむ。くれぐれも不興を買うようなことの無いように注意するんだぞ。カズキ殿は普通(・・)を特に、とおっしゃっていたが、接する回数を極力増やし、信頼と信用を得て、極々自然に……と言った形で調整しろ。無論、カズラ殿も同様にだ。技術支援、追加に関しては、カズラ殿が自ら行ってくださる支援が打ち止めになる気配が見えてからで良い。情に訴えるやり方も有りではあるが、それは最初にいった通り信頼を勝ち得てから行動に移せ。………アイザック。どうした? 何か不満か」

 

ナルソンの話が進めば進む程―――、アイザックの表情が重く沈んでいくのが見ていてよく判る。生真面目、実直な男だと言う事はナルソンはよく知っている。故にその表情が意味する所は解っているが、アイザック自身の口からそれを言う様にナルソンは促した。

 

「……ナルソン様。幾ら国の――……、民の為とはいえ、我らをお救いに現れて下さった神々に対して、更に支援を引き出すために画策するような真似は………。私は、お許しを頂けたとはいえ カズキ様……メルエム様に不敬を働きました。大罪を犯した身である、と自覚しています…………。故に、このようなことをするのは………」

 

一言一句、発する度に苦し気な表情を醸し出すアイザック。それを見たナルソンは顔を顰めた。カズキの姿を見てしまえば、確かにアイザックの言う様になるのも仕方ない。神を前に不敬を働き、あまつさえ それを笑って赦して下さった程の器の大きな相手。更に人間側の都合でこれ以上甘んじるにはあまりにも抵抗があるのだろう。

 

その横で、ハベルは冷めた様子でアイザックを見ていた。

常日頃の心構え、そして根幹にある国を、仕えし者の為に身を粉にして働く事を大前提においても、その他にも目的(・・)があって、軍隊に入隊したりするのだ。

それらの違いが、2人の様子を顕著に表していたのである。

 

「……アイザック。お前はバルベールと我が国アルカディアは、どれだけの国力の差があるか知っているか?」

「……はい」

「ならば、判るだろう。今はまだ不透明ではある、が、今後、カズラ殿がイステール領の食糧問題、治水や衛生面の問題、更には経済まで回復させたとしよう。その状態で4年後にバルベールと我が国が戦争状態に陥ったとして、我が国がバルベールに勝てる可能性がどれだけあると思う?」

「……休戦前の同盟国が再び手を取って連携すれば、少なくとも負ける事はないのでは」

「そうだな。……だが、それらの国が4年後に敵に回ったり、連携をとらず静観を決め込んだりしないと言う保証は何処にある? 前回の戦争では、バルベールが南側諸国を甘く見て、すべての国に同時攻撃を仕掛けてくると言う何とも馬鹿な真似があってこそ成立した同盟だったのだ。それに加えてその攻撃とほぼ同時期に北方の蛮族からバルベールに対して大攻勢があったということも有利に働いた」

 

話を聞けば聞く程……、ほんの些細な切っ掛けで、ほんの些細な歪で、全ては崩れ去ってしまう砂上の楼閣に聞こえてきたのは気のせいではない。

だからこそ、アイザックは聞いた。

 

「ナルソン様は、次にバルベールと戦争が起これば、我々は敗北する、と考えておられるのですか?」

「……悪条件が重なれば、敗北もあり得ると言う話だ。戦争に向けて我々も準備を進めているし、同盟関係維持のための外交も行っている。……我々だけだとしても、簡単に負けてやるつもりは無い」

「ならばなぜ!?」

 

とうとう批判めいた口調で問い詰めるアイザック。

負けるつもりは無い。寧ろ、次も打ち負かしてやる、と言う精神だったアイザック。それを否定されるような説明は、如何に領主のナルソンであろうと……、どうしても否定したかったのだ。

 

ナルソンは、その気概、気持ちは察するし、好感も持てる……が、現実は甘くないと言うことを誰よりもナルソンは知っているし、常に最悪と言うものを想定し、それに抗う為、確実とは言い難いが、それに近づける様に行動指示を出してもいるのだ。

 

そして今回……、非常に頭が痛くなる情報を得ている。

 

「……1ヶ月ほど前だ。バルベールが北方の蛮族の一部と和平を結んだ」

「ッ!!?」

「他の蛮族とも和平や停戦協定を結ぶために動いているだろう。奴らは背後の安全を確保し、再び攻めてくるつもりだ」

 

絶句するアイザックの隣では、流石にハベルも驚いた様に目を見開いていた。

 

正面と背後。

 

その2正面と戦わなくても良いともなれば、全力で攻めてくるのは目に見えている。国力差で圧倒、物量で圧し潰そうとしてきているのが判る。……更に言えば、手を組んだ蛮族たちとの共闘も考えられる。国力、兵力ともに前回よりも更に強固となるのが目に見えているのだ。

 

「せ、戦争を回避できる可能性はないのですか?」

 

流石のアイザックも想定外の事だったので、更に動揺し、狼狽えてしまう。

あまりにも突然の事だった。そして、ナルソンが言う様な事が起こってしまえばどうなるか。……最早精神論の様なモノだけで解決出来る、勝てる話じゃない。

 

「蛮族とは長年の確執があるらしい。そんな相手と和平協定を結ぶくらいだ。必ず攻めてくるだろう。……それに加え、バルベールは3年ほど前から徴兵制を廃止して志願制を採用している。貧民層から大量の人員を兵士として雇い入れて、常備軍の数を大幅に増やしている。……奴らの外交官は、経済政策である、と言っていたが、今回の和平協定で目的がはっきりと判った」

 

ナルソンの説明を聞いていた傍ら、ハベルがここで初めて口を開いた。

 

「……しかし、まだ休戦直後だと言っていいのに、大量の武具を国が用意し、尚且つ常備軍の維持費を賄う程の財源があるとは、バルベールと言う国は一体どうなっているのでしょうか。前回の戦争中にバルベールには錫が足りなくなった、と言う話を耳にした事がありますが、新たに大規模な錫の鉱脈が見つかったのでしょうか?」

 

 

当然ながら、膨大で強大な軍隊を維持する為には、それに見合う莫大な資金が必要だ。

資金不足が露呈すれば、それはそのまま士気に影響してしまう。亡命者まで出かねない。

 

今回蛮族と和平は結べたようだが、長年いがみ合った相手。和平を結んだとはいえ、資金面援助を……なんて事は考えにくい。

 

「……そうだな。高価な青銅武具を大量に雇い入れた兵士全てに支給できるとは にわかに信じられんが、実際武具は国が支給する、と銘打った上での志願制だ。直ぐには無理だとしてもどうにかして用意はする筈。……これは貧民層を抱き込む程だ。手だてはある、とみるのが妥当。そして、資金面に関してはハベルが言う様な可能性はある」

 

ナルソンはそこまで言うと再びアイザックに目を向けた。

 

 

「アイザックよ。お前の言う事も判る。言いたい事もな。私もお前の様に、かの御方を恐れ、畏怖の念を実際に感じた。目の前で見た私も お前と大差ない程判っているつもりだ。………我らの求めに応じて救いの手を差し伸べて下さった神々に、元を言えば人間同士の手前勝手な紛争。その中で我々への更なる支援を出そうと言うのだから。……なんとも恐れ多い事だと私も思う。……それでもやらなければならないのだ。……私はな アイザック。メルエム様に助太刀を……とも考えているのだ」

「!」

 

 

あの神の御業を目の前で引き起こしたこの世界の光の頂点に何たる物言いを! と思えたアイザック。かの神の耳に届けば 即座に裁きの光が落ちてくるであろう、とも。

だが、それ以上にナルソンの表情を見れば、何も言えなくなってしまった自分も居た。

もし、ナルソンがメルエムの事を見ていないし、何も知らない状態だったのなら、思わず怒鳴る程の勢いで言葉を制する所だが、今のナルソンは自分自身と同じ面識だ。その上で、神に人間の戦を、と言っている。―――計り知れない覚悟をその顔に見た。

 

 

「カズラ殿とカズキ殿は、仮にとはいえ私の()として、招かれている状態にある事を赦してくれた。友であれば……苦しむ我らを手を、と。……つまり友である事を利用すると言う事だ。……正直、恐れ多いと言う事は判っている。なかなか口に出して言えるものじゃない、と言う事も理解している。……だが、それでも取れる手立ての全てを行わなければならんのだ。バルベールとの戦争に敗れた国がどうなったかは知っているだろう。土地と財産はすべて奪われ、生き残った者は奴隷にされる。先に降伏して国ごとバルベールに組み込まれたとしても、土地と財産の損失は免れんだろう。奴らと戦い、勝利しなければ自由は永遠に失われる」

「…………」

 

ナルソンが言っている意味は分かるし、やらねばならない状態である事も理解している。

 

だが、アイザックは神相手……よりも、カズキと言う神に触れて、接して その優しさを目の当たりにしているのだ。不敬を働いた自分を赦し、カズラと一緒に国を助ける為に動く事を厭わないでいてくれている。

証明する為、足を運んでくれると自ら進言してくれた。

 

そんな心優しき神に……とアイザックは何ともやりきれない表情で俯いた。

ナルソンもアイザックの気持ちは十二分に理解できるが、それでも人の上に立ち、国とその民の為を想うなら、例え神の光で裁かれる日が来ようとも、最善と思える道を行く覚悟なのだ。

 

アイザックは俯てしまってナルソンの顔を見られなかったが、ハベルは違う。その表情に、決意の強さを見た。

そして、ナルソンにこのまま付き従えば……自身の目的も間違いなく達成できる、と強く思えた。

 

「話は以上だ。アイザック、ハベル。……しっかり頼むぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方―――……

 

とある一室にて。

 

「カズラさん。ありがとうございます」

「いや、ほんと大丈夫。ってか、そんなんで良いの? って思っちゃった程だよ。何せ、日本じゃ数百円くらいじゃん? ガラス玉とかちょっとしたペンダントとか」

「そうなんですけどね。ほら、以前イステリアに来た時 色々と売った、って話聞いたのを思い出して……、やっぱり資金確保するには、この世界じゃ宝石も同然! なこれに限るじゃないですか。なかなか、忙しいと思いますし、街を見て回る時間もないとは思うんですけど。チャンスがあれば観光してみたいんですよ」

 

カズラは、カズキが頼りたい、と言った部分を早速叶えていた。

 

それは、この世界の金銭に関してだ。

 

現代日本の通貨 【円】ではなく、ここアルカディアの通貨、【アル】の支給である。

それについては、カズキが以前カズラに聞いていたイステリアに来た時にちょっと怪しい雑貨屋の老婆に色々と売った、と言うのを思い出して、手っ取り早い宝石(ガラス玉、黒曜石等々)を頂けないか、と。

 

勿論、二つ返事でOK。

寧ろたったそれだけの報酬だと言うのは……、日本基準で考えたら、労働基準法に違反するじゃん? とカズラは思いながら苦笑いをしていた。

 

「あー、オレもそれは考えてたなぁ。この街に来た時にさ。……でも、あのおばあさんには気を付けてね。ほんっと老獪、って言葉そのものが具現化した人だから」

「色々と掬われない様に、ですね。OKですよ。何とか対処したり、出来るなら カマかけしてみたりします。勿論、騒ぎにならない程度に、ですが」

 

あはは、と笑うカズキ。

金銭面でのトラブルに関しては、事が大きくなればなるほど、物騒な事件に発展しかねないのは考えるまでも無い事だ。

大きな金の流れを扱っている店であるなら尚更。……色々と街政との癒着も無いとは限らない事だし、最悪 狭い場所に連れていかれて、寄ってたかって袋叩きに~ とも無いとは言えない。

 

その点、カズキなら絶対大丈夫だとは思うが、神に関してはあまり広まるのは現時点では好ましくないので、重々注意、である。

 

 

 

その後、話題はリーゼの話になった。

人当たりが良く、美人で気品にも満ち溢れていて―――非の打ちどころがないとはこの事。才色兼備、の言葉が最も当て嵌まりそうな美少女。

彼女に関しての話題はやっぱり男の性、と言うのもあるが 尽きる事が無い話題だ。……無論、バレッタの事もあるので 時折 カズキはバレッタの話を匂わせて、それとなく約束(笑)を果たそうとしていた。

 

「ペンダントの話の時、結構驚かれてましたね。あのハート形の」

「あー、うん。……安物のペンダントだったからさ。別に無くしちゃった所でどうって事ない、っていうのが本音なんだけど、カズキさんが言う様に、こっちの世界じゃ高価そのものだからなぁ……。そりゃ、驚かれるかな」

 

ペンダント、と言うのは 以前カズラがイステリアに来た時の話だ。

そこで、カズラはペンダントを紛失してしまっていて、それを回収してくれたのが、あのリーゼの侍女であるエイラだった。

確かにカズキやカズラ視点では明らかに安物のペンダントではあるが、……あの色の輝きはこちらの世界では見る事が出来ない程の希少なモノ。エイラがカズラの事をよく覚えていた事も、驚いた表情をしていた事も、その時理解出来た。

 

「リーゼさんにカズラさんがプレゼントしたんなら、オレはエイラさんにプレゼントしようかな? カズラさんから貰ったこのペンダント」

 

ひょい、と取り出したのは鉱物の一種 オパールのペンダント。俗にいうパワーストーンである。

 

「うーん……、さ、流石に侍女の身分の人に高価な品物をあげるのは……色々と問題が起きたりしない? これを期に、纏まったお金が入ったからエイラさんが仕事辞めちゃう、とか」

「う……、それはちょっと……確かに危ないですね。こっち価格は全然読めないですから」

 

カズラにそれとなく止められたので、カズキは出した手を引っ込めた。

リーゼ専属の侍女であるエイラがそんな理由で辞めない、と言う事は 朧気ではあるが知っているカズキ。……でも、100%絶対!とは言い切れないのも事実だ。

 

「あははは。そういえばカズキさんは、フラれた~女の子を見る目が~ って嘆いてたけど、もう完璧に吹っ切れてたみたいだね。女の人にプレゼント、って言えるくらいには」

「うっ……、ま、まぁ こちらの人達は、あーんな性格悪い人なんて……、きっと、その……たぶん?」

 

カズラは笑いながら、中々痛い所を攻めてきた。

カズキとて、あのトラウマはゲームで忘れようとして、どうにか忘れられた……と思っているが、ちょっとした切っ掛けで思い出してしまったりするのだ。

 

そんなカズキを見てカズラは笑う。

 

「大丈夫だと思うよ。カズキさんは ほんとオレよりもずっとしっかりしてるし、もう変な人になんか引っかからないよ。悪い女運をぜーんぶ、使っちゃった、って考えたら今後はもうバラ色って事じゃん」

「うぅ……、そう願いますよ」

「そうそう。ほら、リーゼさんとかスゴク可愛いですよね? そりゃもう反則的に! ………いっちゃってみたらどう?? アタックアタック(笑)」

 

親指でくいっ、くいっ、と指さすカズラ。何だか仕草がおっさん臭い。

 

カズキは、色々と(・・・)思い出した事があるので、カズラの半分からかい目的の提案は、苦笑いをしながら 受け流すのに留めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後―――カズラたちは、顔面蒼白を絵にかいた様な状態のアイザックとばったり出会った。生気と言う生気が抜け落ちてしまったかの様な顔は、顔が青い……ではなく、真っ白。

あまりの状態に驚きつつも、日本製で効果が抜群そうなハーブティーを振舞ってしっかりと介抱した。

 

 

その結果。

 

 

カズラとカズキは、アイザックとハベルの2人を部下に持つ事になったと言う報告を受け、……命を賭けてでも守り通す! と強く、堅く……何よりも重い忠義をアイザックから受ける事になったのだった。

 

 

 

 

 

 

でも、まだそれは良い。

今は神として対話しただけなので、相手が委縮したり崇め奉ったり、と言うのは当然で当たり前だ。徐々に、それでいて自重もしながら、友好的に~ と言うのが理想で平和的だ。

 

そう、今はまだ平和そのものだった。

 

 

―――グリセア村からの一報を聞くまでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ。

 

 

 

 

 

翌日の事。

 

「ふぅ……。きれい」

 

リーゼは自室にて、カズラから正式に貰ったペンダントを眺めていた。

透き通る鮮やかな桃色。ハートを象る曲線部は見事の一言で、どのように加工すればこうも滑らかになるのか想像がつかない。

超一流腕利き職人が丹精込めて作った一品。超高級品。

 

いつ見ても全然飽きない。吸い込まれるかの様な、思わず見惚れてしまう様な宝石。

 

「リーゼ様。失礼します。おはようございます」

「おはよう、エイラ」

 

お召し物を、と入ってきたのはエイラ。

エイラを見るなり、リーゼはペンダントを見せながらもう何度目になるか判らないが、言った。

 

「改めて見ても信じられないよね、エイラも見たでしょ?? これ、返そうとした時のカズラ様の反応!」

「え、ええ。……無くした事さえ気づいてない様子でした」

「あんなヘタな嘘ついてまで無くしてた、って事にしてたみたいだけど!? それにカズキ様も、ただただ笑ってるだけで、あげちゃえば? みたいな事いっちゃって。こんな高価な物なのに!?」

「あ、あはははは。カズラ様も【それもそうですね】ってあっさりと下さいましたね……」

 

度肝を抜かれる、とはこの事。

更に言えば、普段の凛として完璧な作法を怠らないリーゼのこの砕け切ったラフなやり取りも、いわば度肝、である。

エイラとは幼少期より共に暮らしている間柄。侍女と領主の娘で、立場の違いはあれど、一番信頼のおける人物でもあるのだ。

エイラの前だからこそ、自然体を出せると言える。

 

「うーん……、お母様にそれとなく聞いたけど、あの2人ってとある国の大貴族出身で、いくら使っても使い切れないくらいのお金持ちらしいけど……」

「……このご時世に、ですか。いったいどこの国の貴族様なんでしょう……?」

「さぁ。この辺で有力なのはクレイラッツかな、って思うけど…… そんな人の話なんて、噂でも耳にしてないよね。……うーん」

 

 

リーゼは考える。

このペンダントはカズラから貰ったものだが、もう1人カズキも同じくらいの金持ちである事は母親のジルコニアから確認済だ。

一体どれくらいの値打ちモノなのか不明だが、これまでで面会してきた相手よりは桁がひとつふたつと違う。

欲深そうで取り繕ってくるような様子も今の所だが全く見えない。寧ろこの国を救おうと動いてくれている。

 

そんな性格面も金銭面も……特に金銭面は合格ラインを遥かに突き抜けている人物が2人。

 

 

「カズラ様には、何となく女の気配がする話をしてたけど、カズキ様は無いよね。……でも、どっちでも良い! いつも以上に(・・・・・・)本気出して、私に惚れてもらって、どんどん貢いでもらうんだから……!!」

「あ、あははは…………」

 

聴く人が聴けば即倒してしまう程、いつものリーゼとはかけ離れた姿である。

 

因みに―――カズキは、このリーゼの姿を思い出している(・・・・・・・)のだ。

 

それが今後……吉と出るか凶と出るか、――現時点では誰にもわからないのだった。

 

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