ヒーリングっど♥プリキュア 〜プリキュアとドクターライダーズ〜 作:鈴闇
第3話です。
コロナウイルスでの外出自粛要請中の中、少しでも楽しんでいただけたらと思います。
???「お前たちの存在は、ノーサンキューだ。」
バグスター戦闘員「グゲーーーーッ!」
バグスター戦闘員を蹴散らしたのは、シアンをメインカラーとする鎧に身を包み、剣を一振携えた騎士をモチーフとする『仮面ライダーブレイブ』だ。
\ガッシュ-ン/
ブレイブはベルトに装填されているガシャットを引き抜き、変身を解除する。変身者は『鏡飛彩』。宝生永夢と同じ聖都大学附属病院に務める天才外科医である。
飛彩「片付いたな…ん?」
スマホ「prrrrrr♪」
飛彩「親父からか。」ピッ
通信機能を備えたゲームスコープではなく、飛彩のスマホに直接かけられた電話の相手は実の父であり、聖都大学附属病院の院長を務める『鏡灰馬』からであった。電話の内容を聞くと、飛彩は颯爽と身を翻しその場を後にした。
ーーー次の日のすこやか市
ひなた「おーにーいーさーんー!はーやーくー!」
永夢「待ってよ〜!というか、前見て歩かないと危ないよ!」
ひなたの明るい声が響き渡る。彼女におにいさんと呼ばれているのは休暇ですこやか市を訪れている宝生永夢である。永夢は昨日、ゲーム病に感染し、消滅の危機にあった花寺のどかを仮面ライダーに変身し治療したため、その友人の1人である平光ひなたから「友達の命を救ったお礼がしたい」と誘いを受けたのである。
のどか「それにしても、永夢先生が仮面ライダーだったなんてビックリしたよ〜」
ちゆ「そうね、私たち昨日も一昨日も助けられてるもの、お礼のひとつくらいは当然よね。」
もちろん、のどかともう1人の友人、沢泉ちゆも同行している。ちゆとひなたはのどかの大切な友達であり、2人ものどかのことを大切に思っている。そして、永夢には明かしていないが3人はプリキュアとして地球を守る戦いに身を投じている1面を持っている。
永夢「のどかちゃん。今日は体調に問題ない?昨日みたいな感覚がもしまたあったらすぐに言ってね。」
のどか「はい!バッチリ元気です!本当にありがとうございます!永夢先生!」
ちゆ「そういえばひなたは?」
永夢「あぁ…それが…」
永夢が目をやった先には頭を抑えてこちらへ歩いてくるひなたがいた
ひなた「うぅ〜…電柱に頭ぶつけたぁ〜…」
ちゆ「まったく…しっかり前を見て歩かないからよ。」
のどか「大丈夫?ひなたちゃん」
ラテ「わん!」
ひなたに駆け寄る2人と1匹。そしてのどかの提げているカバンの中の…
ニャトラン(inカバン)「大丈夫か〜?ひなた?」ゴニョゴニョ
ラビリン(inカバン)「あんまり動いちゃ駄目ラビ!のどかのお医者さんにバレるラビ…!」ゴニョゴニョ
ペギタン(inカバン)「ホコリがたっちゃうペェ…」ゴニョゴニョ
ヒーリングアニマルたちもひなたを心配し声をかける。ラビリンたちは空を飛んだり言葉を話すことが出来るが、プリキュアと自分たちのことは他人には秘密としている為、永夢にバレないようコッソリとのどか達に同行しているのだ。
永夢「あれ?なんだか今変な声が聞こえたような…?」
3人・3匹「!」ドキ-ン!
そんな努力を無慈悲に打ち砕くように、永夢はどこからが聞こえた声に疑問をもったようだ。
ひなた「そそそそそうかなー!?アタシは聞こえなかったけどなー!」
のどか「気のせいですよ!永夢先生!気のせい!」
永夢「そ、そう?」
ちゆ「そうです!」
ラテ「わふ」
3人が必死に誤魔化す中、、、
ペギタン(inカバン)「クシュン!」
3人・2匹「!!!!!」ビックゥ!
カバンの中に隠れているペギタンがホコリに鼻をくすぐられたか、小さくくしゃみをしてしまった。
永夢「…?今誰かくしゃみを…」
ひなた「は、はーくしょん!はくしょん!あー、花粉かなー?ちょっちくしゃみがー」
のどか「お花さんの季節だもんね!」
ちゆ「あ!そろそろ着くわよ!」
ひなた「んじゃー誰が1番に着くか勝負!」ダッ
のどか・ちゆ「おー!」ダッ
永夢「ええっ!?待って!待って!」
早口でまくし立て、目的地まで走り出す3人に慌ててついて行く永夢。程なくしてひなたの姉、平光めいが経営しているワゴン式カフェに到着した。
ひなた「とうちゃーく!」
永夢「ここは…カフェと…動物病院?」
ひなた「そ!正しくはアタシの実家なんだけどね!」
のどか「ひなたちゃんのお姉さんがお店開いてるんだよね〜」
ちゆ「今日は私たちがご馳走させていただきます。」
カフェの隣には動物病院があり、そちらはひなたの兄、平光ようたが獣医として務めている。店に到着した4人をめいは快く迎えた。
めい「いらっしゃいませ。ひなたからお話は聞かせてもらいました、ひなたの姉のめいです。ゆっくりしていって下さいね。」
永夢「ありがとうございます。」
ひなた「お姉ー!特製ジュース4つお願いー!」
めい「はいはい、少々お待ちをー」
妹からのオーダーを聞き、キッチンに向かうめいを別の方向から呼び止める声がした。
飛彩「すまない、ブラックコーヒーをひとつ。」
めい「ありがとうございます。少々お待ちください。」
永夢「あれ…今の声…」
永夢はその声に聞き覚えがあった。ワゴンの影に隠れて見えなかったがどうやら向かいにも席があるようだ。永夢は回り込み、先客の姿を見る。
永夢「飛彩さん!?」
飛彩「小児科医?なぜここにいる?」
永夢「僕は休暇で…飛彩さんはどうして?」
そこには、年齢こそ永夢と変わりはしないが永夢の先輩にあたる、鏡飛彩の姿があった。お互い、すこやか市に来ることなど伝えあってはいないため、顔を合わせたことに驚きの声を上げる。
飛彩「俺は出張だ。衛生省から依頼があってな。」
永夢「衛生省から…?」
衛生省は永夢らCRのドクターのバックアップなどを手がけており、そこの衛生大臣官房審議官を務める『日向恭太郎』から飛彩に向け今回の出張の依頼が来たようだ。スーツ姿も出張という飛彩の言葉を裏づけている。
ちゆ「先生のお知り合いですか?」
ひなた「この人も仮面ライダー???」
永夢が飛彩と話す姿を見て、ちゆとひなたが話しかける
飛彩「何?どういう事だ小児科医。」
永夢「実は…」
永夢は先日あった出来事を話した。バグスターがレベルアップして復活したこと、のどかの治療をしたこと、そのため少女達と行動を共にしていたということを順序だてて説明した。その後、3人に飛彩のことを説明した。
永夢「という訳なんです。」
飛彩「なるほど。話は分かった。」
ひなた「おにーさんの先輩で天才外科医だってー!めっちゃすごい人だね!」
ちゆ「そういえば、雑誌やテレビで聞いたことがあるわね。失敗しない外科医って呼ばれることもあるそうよ。」
のどか「ふわぁ〜、そんな人があの病院にいたなんて知らなかったよ!」
永夢「それにしても…」チラッ
ひととおり説明し終えた永夢は飛彩の座っている席のテーブルに目をやる。そこには数々の甘味が並べられていた。
永夢「なんですかこの甘いものの量…」
飛彩「長距離移動は疲労が溜まりやすいからな。疲労回復の為の糖分補給だ…。」
永夢「それでも多すぎるでしょう!?」
実際、テーブルは隙間がないくらいの甘味で埋め尽くされていた。ドーナツやバームクーヘン、アップルパイ。更にはカステラやごま団子と言った和洋中の菓子が勢ぞろいしている。効率良く疲労回復するための糖分補給とはいえ、普段の飛彩が摂取する倍の量は軽く超えている。
ちゆ「確かに…見てるだけで胸焼けしそうではあるわね…」
のどか「こ、これ、全部一人で食べるんですか?」
ひなた「というかフォークは分かるんだけどナイフが置いてあるのはなんで?」
のどかとひなたがもっともな疑問を投げかける。
永夢「飛彩さんはナイフとフォークを使って食べるのが普通なんだ。やっぱり、いくら飛彩さんでもこんな量一人で食べきれないでしょう?何があったんですか?」
飛彩「実はだな………」
ーーー回想
灰馬『遠方への出張は疲れが溜まるだろうからな。これを持っていくといい。』つバームクーヘン
ポッピー『飛彩〜!はいコレ!疲労回復の為の甘いもの!向こうで食べてね!』つドーナツ
みずき『先生、出張とお聞きしたのでこちらをお持ちしました。』つアップルパイ
さつき『長旅では知らずのうちに疲れが溜まってしまいますので、お持ちになってください。』つカステラ
貴利矢『ゴマは体にいいぜ〜』ニヤニヤ つごま団子
ーーー回想終了
飛彩「ということだ。ここは持ち込み可能ということなので休憩させてもらっている。」
永夢「それ、貴利矢さんは絶対面白がってますよ…。」
飛彩「とにかく、この量を一人で食べきるのは無理がある。日持ちはある程度するが…もし良ければ君たちも消費に協力してくれないか?」
1人では減らしきれない膨大な量の菓子。そこで飛彩は永夢と共に現れた3人の少女達に助けを求めた。
ひなた「いいの!?めっちゃラッキー!」
ちゆ「このままじゃダメになっちゃうものね、協力させていただきます。」
のどか「ふわぁ〜!ありがとうございます!」
甘いお菓子に目を輝かせる少女たちは思い思いに手を伸ばす。
ちょうどそこにドリンクを用意しためいがやってきた。
めい「お待たせしました。ブラックコーヒーです。それと、特製ジュースです。」
永夢「ありがとうございます。あっ、このジュースグミが入ってるんですね。」
ひなた「それアタシのアイデアなんだ〜!あ、次はドーナツ食ーべよ!」モグモグ
ちゆ「このカステラ、フワフワで美味しい…!」モグモグ
のどか「サクサクのパイに甘いリンゴ…はむっ……ふわぁ〜、とっても美味し〜い!」モグモグ
永夢たちのテーブルはちょっとしたお菓子パーティーだ。
飛彩「」スッ
ごま団子「スパッ」
ちゆ「一瞬でごま団子をナイフで4等分に!?」
ひなた「今のどうやったの!?」
のどか「すごい…!」
飛彩「俺に切れないものはない。」
ーーーテーブルの下
ラビリン「甘くて美味しいラビ…!」モグモグ
ペギタン「やっとカバンから出られたペェ…」モグモグ
ニャトラン「まぁいいじゃねーか、こうやってお菓子も食べれるんだし!」モグモグ
テーブルの上も下も含め、みんなでお菓子をつつく中永夢がふと思い出した。
永夢「そういえば出張って言ってましたけど、飛彩さんが呼ばれるくらい難しい手術があるんですか?」
そう、すこやか市を訪れた飛彩の目的である。飛彩はコーヒーを飲む手を止め、説明する。
飛彩「オペの依頼じゃない。この街に出現した怪物のことで衛生省から調査を頼まれた。怪物が出現した報告を受けてから出動するのでは衛生省の対応が間に合わないらしくてな。」
永夢「怪物…?バグスターじゃないんですか?」
飛彩「ああ。衛生省から預かった写真が1枚ある。まだ名称も決まってないらしいが…」スッ
そう言って飛彩はスーツのポケットから1枚の写真を取りだした。
永夢「これは…」
そこに写っていたのは周囲の木々よりも背丈が高く、赤黒い体躯を持つ怪物『メガビョーゲン』だった。
飛彩「その怪物は不定期に現れるのだが、いずれも職員が到着する頃には姿を消してしまっている。それに再び現れた時には姿形が変化しているとも聞き込みによる証言が出ているらしい。」
永夢「姿を変える能力があるのか…元から別の個体なのか…」
飛彩「それを調べるのが俺の仕事だ。」
と、ドクター2人が話していると
ひなた「あ、メガビョーゲンじゃん!」
ちゆ「!?」
のどか「あえ!?」
ふと写真を横目で見たひなたが反射的にその名を口にしてしまった。驚きの表情でひなたの方を向く。
永夢「ひなたちゃん、この怪物を知ってるの!?」
飛彩「メガビョーゲン…それがこの怪物の名前なのか…?」
当然その名前に食いついた2人に慌ててちゆとのどかが話を合わせる。
のどか「急に現れて街で暴れる怪物だよね!!!めがびょーげーーんっていつも言ってるからそういう名前になったのかな!」
ちゆ「そうね!いつのまにかいなくなってるから私たちも詳しいことは分からないです!」
永夢「そっか…でも、名前が分かっただけでも良しとしましょうか。」
飛彩「そうだな、調査するにしても情報が少ない。しばらくはこの辺を探索し土地柄を見ておこう。」
今後の方針を固め、飛彩はのどかたちの協力のおかげで残り僅かとなった甘味を食べ進めていく。一方その頃…
ーーービョーゲンキングダム
キングビョーゲン「我が仮初の肉体トなるボディは完成シた…後ハこの身体に力を注グのだ…」
ゲムデウス「……………」
ビョーゲンキングダムに流れ着いたバグスターウイルスを元に生成された最強のバグスター、ゲムデウス。その体をスペアの肉体とし、キングビョーゲンは自身の復活を目論んでいた。
シンドイーネ「かしこまりましたぁ!キングビョーゲン様!」
グアイワル「なら一丁、オレ様が出向いてやろう!」
シンドイーネ「ちょっとグアイワル!私が真っ先に行くって言ったでしょ!黙って見てなさいよ!」
グアイワル「そんなことは知らん!先に行ったもの勝ちだ!」
ダルイゼン「ギャーギャー言いあってるのを見てるのもダルいし…オレがさっさと終わらせてくるか…」シュン
どちらが人間界を蝕みに行くかで口論となっている2人を後目に、抜けがけのような形でダルイゼンが出撃する。残った2人がそのことに気づくのはもう少し後であった。
ーーーカフェ
のどか「ごちそうさまでしたー!」
ちゆ「しばらく甘いものは控えないとね。」
ひなた「糖分は当分いい?なんちゃって〜」
ちゆ「フフっ!ちょっ!ひなた!急にやめて!」
永夢「今のでウケるんだ…」
飛彩の持ち込んだ菓子は綺麗に無くなっていた。今はジュースや紅茶を嗜みながら小休止といった時間となっている。
飛彩「ふぅ……サンキューだ。君たちがいてくれて助かった。」
ちゆ「いえ、こちらこそごちそうさまでした。」
ひなた「うんうん!めっちゃおいしかったです!」
のどか「この後はどうするんですか?」
飛彩「ひとまず宿泊施設に荷物を預けに行く。その後はこの街を見て回る予定だ。…すまない、会計を頼む。」
めい「かしこまりました。」
出張とはいえ、今日すこやか市に到着したばかりの飛彩には土地勘がないため、まずは街を見ておくらしい。会計のために飛彩は席を立つ。
飛彩「コーヒー代と、彼女らのドリンク代もまとめて計算してくれ。」
めい「よろしいんですか?」
飛彩「ああ、持ち込ませてもらった菓子は彼女らがいたおかげで全て消費できた。その礼とさせてもらいたい。」
めい「ふふっ、わかりました。」
コーヒー代とのどかたちのジュース代を支払った飛彩は荷物をまとめる。
永夢「そういえば飛彩さん、宿泊施設って言ってましたけどどこに泊まるんですか?」
飛彩「沢泉という温泉宿だ。」
飛彩の答えはテーブルを囲んでいた4人にとって馴染みのある場所であった。4人は驚嘆の声を上げる。
ひなた「おにーさんと同じ所じゃん!」
飛彩「何?」
永夢「しかもそこは…」
のどか「ちゆちゃんの…」
ちゆ「実家ですね。」
どうやら飛彩も永夢と同じくしてちゆの実家が経営する温泉宿『沢泉』への宿泊を予定しているようだ。
ちゆ「よろしければ、私がご案内しましょうか?」
そこへ、ちゆが実家への案内を提案する。飛彩にとってはありがたい話だ。
飛彩「それはありがたいのだが、君たちは予定があるのではないのか?」
ひなた「確かに…今日はおにーさんへのお礼する日だし…」
永夢「ありがとう、ひなたちゃん。僕は大丈夫だよ。こんなに美味しいジュースをご馳走してもらったからね!」
たくさんお礼はしてもらったと永夢は伝える。その上で、ちゆに飛彩の案内を永夢からも頼んだ。
ちゆ「ありがとうございます、先生。では参りましょうか。」
飛彩「ああ、すまないがよろしく頼む。」
ちゆも自分のカバンを持ち、2人は沢泉に向けて歩き始める。ちゆのカバンの中にはヒーリングルームバッグが入れられており、ペギタンはその中に隠れている。
ーーー永夢・のどか・ひなたサイド
ひなた「それじゃーアタシたちもそろそろ行こっか!お姉ー!お会計お願いー!」
めい「ふふっ、もうひなた達の分のお代は頂いてるわよ。さっきのお医者様からね。」
永夢「飛彩さんが?」
のどか「ええっ!?私たちの分もですか?」
めい「ええ、お菓子を食べきってくれたことへのお礼ですって。サラッとそういうことが出来るのってカッコイイわよね。」
ひなた・のどか「「大人だぁ…」」
ラテ「わふぅ〜」アクビ
ーーー飛彩・ちゆサイド
ちゆ「こちらの丘を越えればもうすぐです。」
飛彩「ああ。」
よく晴れた昼下がりの空の下、2人は並んで沢泉へと向かう。
ちゆは飛彩のクールな振る舞いを見てあまり話に花を咲かせるタイプではないと判断し、最小限の会話で留めている。
そんな矢先、飛彩が口を開いた。
飛彩「いい街だな…ここは。この街では誰もが明るく笑っていた。それは身体だけでなく、心も健康な証だ。」
ちゆ「ええ、私もとても大好きな街です。みんなと一緒に過ごしていく1日1日が大切な思い出です。」
この街に来てから感じたことを飛彩は述べた。ちゆは自分の想いでそれに答える。
飛彩「だからこそ、俺はこの街で暴れ出す怪物を調べ、対策を打たなければならない。それが俺の仕事だからな。」
ちゆ「鏡先生…」
決意を新たに、飛彩は歩みを進める。すこやか市の人々に触れ、飛彩の心にはこの街を守りたいという強い思いが備わっていた。永夢がずっとそうしてきたように、飛彩もまたドクターとして人々の笑顔を守ろうとしている。
ちゆ「見えてきました。あれが当温泉旅館、沢泉になります。」
飛彩「立派な宿だな。これからしばらく世話になる。」
ちゆ「ええ、ご利用ありがとうございます。私は中居の手伝いもしてますので、何かわからないことがあったら聞いてくださいね。」
飛彩「ああ、サンキューだ。……む?」クンクン
ちゆ「あら?何かいい匂いがしますね。」クンクン
旅館に近づくにつれ何かが焼ける香りが漂う。近くで家族連れがバーベキューでもしているのだろう。時折子どものはしゃぐ声も聞こえてくる。
ちゆ「ふふふっ、とても楽しそうな雰囲気ですね。」
飛彩「ああ。」
その時だった。突如として木々が震え、鳥が一斉に羽ばたいた。
ちゆ「な、なに!?」バッ
飛彩「地震…!?いや、違う!」バッ
2人が振り返るとそこには…
メガビョーゲン「メガ!ビョーーゲーン!」
飛彩が衛生省から調査を依頼された対象である怪物、メガビョーゲンが前触れもなく出現していた。
ーーーほんの少し前、キャンプ場
父親「ほーら焼けたぞ〜!」
男の子「わーい!いただきまーす!あむっ!」
女の子「いただきまーす!はむ!」
子供「「おいしー!」」
母親「ふふ、美味しい?慌てなくても沢山あるからね。」
子供「「はーい!」」
沢泉からすぐの所にあるキャンプ場でバーベキューを嗜む家族がいた。火を起こし、肉や野菜を焼きながら家族団欒を楽しんでいる。そんな空間を面白く思わない影がひとつ。
ダルイゼン「なーんか生きてるって感じがするなぁ…オレたちビョーゲンズにとっては面白くないし、さっさと蝕んじゃおう」ファサ
ビョーゲンキングダムから出撃していたダルイゼンは髪を靡かせた。そこから紫色の球体にコウモリのような羽がついた生命体『ナノビョーゲン』が召喚される。
ダルイゼン「進化しろ、ナノビョーゲン。」
ナノビョーゲン「ナノー!」
エレメントさん「」
ナノビョーゲンは火を起こしている土台となっている石に寄生し、そこに宿る石のエレメントさんを瞬く間に蝕んでいく。そしてバーベキューセットを蹴散らしながらあっという間に巨大化し、メガビョーゲンへと変貌を遂げた。
メガビョーゲン「メガビョーゲン!」
進化したメガビョーゲンは赤黒い体躯に無骨な形をした手足を持っていた。その手足は石を模したような印象を受ける。更に胴体は巨大なバーベキューコンロのようなもので覆われている。周囲の物を取り込みながら進化した結果だろう。進化したメガビョーゲンは地球を蝕むため暴れだした。
メガビョーゲン「メガァ!」
父親「な、なんだコイツ!みんな、逃げろぉ!」
母親「こっちよ!早く!」
男の子「うわあああああ!」
女の子「あっ!」ドテッ
先程の家族もメガビョーゲンから逃げ出していたが、女の子が足を引っ掛けて転んでしまった。そこへ運悪くメガビョーゲンの攻撃が飛んでくる。
ちゆ「あぶない!」
駆けつけたちゆが間一髪で女の子を抱きかかえて攻撃を回避する。女の子がさっきまでいた場所は赤黒く蝕まれていた。
ちゆ「もう大丈夫よ、ここから早く逃げて。」
女の子「うん!お姉ちゃんありがとう!」
父親「ありがとうございます!さっ、行こう!」
女の子たち一家は父親に連れられ離れていく。あれなら巻き込まれる心配はないだろうとちゆはひとまず安堵する。
飛彩「大丈夫か!?」
遅れて飛彩が駆けつける。陸上部に所属しているだけあってちゆは飛彩より先に到着したのだ。
ちゆ「はい!それより、あの怪物を何とかしないと…!」
メガビョーゲン「メガビョーゲーン!」
そうしている間にもどんどん周囲を蝕んでいくメガビョーゲンの前に、飛彩が立ちはだかる。
飛彩「君も早く逃げるんだ。ヤツは俺が切除する。」スチャッ
ちゆ「は、はい!」
\タドルクエスト!/
ちゆが遠ざかるのを横目に飛彩はゲーマドライバーを装着しタドルクエストガシャットを起動する。ゲーム起動の音声とともに、ゲームエリアが展開される。タドルクエストは剣と魔法のファンタジーRPGゲームであるため、アイテムボックスは宝箱となっている。
飛彩「術式レベル2、変身!」
\ガシャット!/
\ガッチャ-ン!レベルアップ!/
\タドルメグル、タドルメグル、タドルクエスト〜♪/
ガシャットをゲーマドライバーに装填し、レバーを開いて一気にクエストゲーマーレベル2へ変身。ブレイブは専用武器『ガシャコンソード』を携えその切先をメガビョーゲンへと向ける。
ブレイブ「お前の存在はノーサンキューだ。はあっ!」
メガビョーゲン「メガッ!?」
ダルイゼン「何あれ?」
見慣れない相手に首を傾げているダルイゼンには気づかず、ブレイブは一気にメガビョーゲンへ接近し、ガシャコンソードによる斬撃を繰り出した。メガビョーゲンはそのスピードに驚いたのか反射的に手でガードした。
ガキィン!
ブレイブ「何っ!?」
ガシャコンソードの一撃は咄嗟に出された石の腕で弾かれてしまった。見た目にはただの石に見えるが、とてつもない硬度を有しているようだ。
ブレイブ「くっ、弾かれる……ならば!」
弾かれてしまうならとブレイブはさらに深く踏み込み、メガビョーゲンの胴体を狙った。だが…
メガビョーゲン「メガビョーゲーン!」
ブレイブ「ぐあっ!」
メガビョーゲンの胴体部分のバーベキューコンロから光線が発射された。攻撃モーションに入っていたブレイブは回避できず、光線を喰らってしまった。
ブレイブ「この程度…!」
ちゆ「鏡先生!」
ペギタン「ちゆ!僕達も変身してお手当てするペェ!」
飛彩がいた手前、少し離れていたちゆは木々に身を隠しながら戦闘の様子を伺っていた。メガビョーゲンが現れ地球を蝕んでいるということは、のどかたちと一緒にいるラテの具合が悪くなってしまっているはずだ。一刻も早くメガビョーゲンを浄化しなければ、ラテの命に関わる。
ちゆ「ええ、いきましょう。ペギタン!」
ペギタン「ペェ!」
ペギタン「スタート!」
ちゆ「プリキュア!オペレーション!」
掛け声と同時にヒーリングステッキが召喚され、ちゆはステッキに水のエレメントボトルを装填する。
ペギタン「エレメントレベル!上昇ペェ!」
ちゆ・ペギタン「「キュアタッチ!」」
\キュッ!/
ヒーリングステッキの肉球をタッチし、ステッキを掲げると白衣が出現した。その白衣を纏い、水色を基調としたコスチュームへと変化させる。髪も伸び、水色へと色が変わっていきハートや雫の形をしたシンボルが散りばめられる。
\キュッ!/
フォンテーヌ・ペギタン「「交わるふたつの流れ!」」
フォンテーヌ「キュアフォンテーヌ!」
ペギタン「ペェ!」
ブレイブに気づかれることなく無事に変身を終えたフォンテーヌはブレイブの元へ駆け寄る。
ブレイブ「少女…!?何をしている!ここは危険だ!」
フォンテーヌ「大丈夫です。私も戦います!それが私の使命だから!」
ブレイブ「使命…?」
フォンテーヌ「はあーっ!」
ステッキからビームを放ち、メガビョーゲンを牽制しながら隙を伺う。縦横無尽に周囲を飛びまわるフォンテーヌにメガビョーゲンは困惑していた。
ブレイブ「仕方ない…ならば、こちらは足元から切り崩す!」
\コ・チ-ン!/
ブレイブはフォンテーヌがメガビョーゲンの意識を空中に向けていることを悟り、ガシャコンソードのAボタンを叩いて刀身のモードチェンジを行う。モードチェンジ前は燃えるような赤い色の炎剣モードだったが、モードチェンジ後の刀身は凍てつくような薄い青色の氷剣モードとなる。
ブレイブ「はあっ!」ヒュオッ
ブレイブは氷剣モードに変化したガシャコンソードを振るい、メガビョーゲンの足元を凍結させる。
メガビョーゲン「メガッ!?メ、メガーッ!」
フォンテーヌに気を取られ、氷に足を取られたメガビョーゲンは滑って大きく転倒した。
フォンテーヌ「もらったぁ!」
ブレイブ「!?…待て!」
メガビョーゲン「メガビョーゲン!」カッ
仰向けに転倒したメガビョーゲンに追撃を仕掛けたフォンテーヌだったが、メガビョーゲンは胴体から先程と同じ光線を放った。回避が間に合わないと判断したペギタンが咄嗟にシールドを展開しダメージを抑える。
フォンテーヌ「きゃああっ!」
ダルイゼン「なーんだ、プリキュアも1人だけじゃん。これなら楽勝だね。」
後方に大きく吹き飛ばされるフォンテーヌを嘲笑するかのようにダルイゼンが呟く。フォンテーヌはアイテムボックスとして配置された宝箱にぶつかり、その場に倒れ込んだ。
ブレイブ「くっ…大丈夫か!?」
フォンテーヌ「う、うう…。あ、あら?」
ブレイブ「何…?ダメージはなかったのか?」
フォンテーヌを気遣い駆け寄ってきたブレイブの前で、フォンテーヌは一瞬苦しげな表情を見せたが、直ぐにその表情が和らいだ。その時、困惑するブレイブとフォンテーヌの背後から聞きなれた声が響いた。
永夢「『回復』のエナジーアイテムを取ったみたいですね。多分さっきの宝箱から出たんでしょう。」
ブレイブ「小児科医…!」
永夢「遅れてすいません。ここからは僕も戦います!」
永夢によると飛彩達と別れ街並みを見ながら散歩していると、突然爆発音が聞こえたという。おそらく、ブレイブが受けた光線だろう。フォンテーヌが『回復』のエナジーアイテムをたまたまゲットしたため、ダメージが回復したのだと説明した永夢は仮面ライダーへと変身する。
永夢「大変身!」
\MIGHTY MIGHTY ACTION!X!/
エグゼイド「よっしゃ!ノーコンテニューで、クリアしてやるぜ!」
エグゼイドへ変身した永夢はブレイブと並び立ち、メガビョーゲンへ向き合う。
ブレイブ「小児科医、ここからはチーム医療だ。お前はそのガシャットしか持っていないのだろう?」
エグゼイド「分かりました!お願いします!」
\ドラゴナイト!ハンター!Z!/
フォンテーヌ「あれは…ドラゴン…?」
ブレイブが『ドラゴナイトハンターZ』のガシャットを起動させる。ガシャットは起動と同時にゲームエリアとドラゴンを模したゲーマ『ハンターゲーマ』を召喚する。更に、ガシャットが2つに増え、エグゼイドとブレイブの手元へと舞い降りる。
\ファング!/ \ブレ-ド!/
2人のライダーはもう一度ガシャットのボタンを押し、モード選択を行う。そしてレバーを閉じ、ベルトの空きスロットへとガシャットを装填する。
エグゼイド「大・大・大・大・大変身!」
ブレイブ「術式レベル5!」
\ガッチャ-ン!レベルアップ!/
\ド・ド・ドラゴ!ナ・ナ・ナ・ナーイト!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター!エグゼイド!ブレイブ!/
エグゼイドは頭部と胸部へ、ブレイブは右腕にそれぞれゲーマを纏う。1つのゲームを複数人で共有するのがドラゴナイトハンターZガシャットの最大の特徴となっている。
エグゼイド「行くぜ!」
ブレイブ「はあっ!」
メガビョーゲン「メガビョーゲーン!」
2人のライダーがメガビョーゲンへと立ち向かう中、フォンテーヌの元へのどかとひなたが駆けつけた。のどかの手の中には具合が悪くなっているラテが抱かれている。
フォンテーヌ「のどか!ひなた!」
ひなた「遅れてごめん〜!アタシたちも変身するよ!」
ニャトラン「やっと出番だぜ!」
ラビリン「その前に隠れるラビ!」
のどか「ラテ、もう少し我慢してね…すぐにお手当てするから!」
永夢と飛彩にバレないよう、木陰に移動してプリキュアへと変身する。手順はフォンテーヌの時と同様だ。
ラビリン「ここなら大丈夫ラビ!」
ラビリン・ニャトラン「「スタート!」」
のどか・ひなた「「プリキュア!オペレーション!」」
ラビリン「エレメントレベル、」
ニャトラン「上昇ニャ!」
のどか・ラビリン「「キュアタッチ!」」
ひなた・ニャトラン「「キュアタッチ!」」
\キュアッ!/ \キュン!/
グレース・ラビリン「「重なるふたつの花!」」
グレース「キュアグレース!」
ラビリン「ラビ!」
スパークル・ニャトラン「「溶け合うふたつの光!」」
スパークル「キュアスパークル!」
ニャトラン「ニャ!」
コスチュームを纏い、高らかに名乗りを上げた2人はフォンテーヌと共にメガビョーゲンへ対峙する。
ダルイゼン「なーんだ、結局全員集合じゃん。よくわかんないのももう一人増えたし…」
エグゼイド「えぇ!飛彩さん!彼女たちは!?」
ブレイブ「俺に聞くな!だが、ヤツと戦える力はあるらしい。」
スパークル「アタシたちも戦うよ!」
グレース「エレメントさんを救い出さなきゃ!」
エグゼイド「エレメントさん…!?というか、君たちは…!?」
プリキュアは仮面ライダーの2人に敵怪人の能力や目的を伝えた。自然の事象に宿る妖精のエレメントさんがいること、エレメントさんを助け出さないとメガビョーゲンを浄化できないこと、メガビョーゲンの目的が地球の侵略ということなど、知っていることは一通り共有した。当然、正体については伏せたままだ。
ブレイブ「なるほど、それなら俺達はサポートに回る。」
エグゼイド「そうですね、僕達の攻撃ではそのエレメントさんを救い出せなさそうですし。ここはプリキュアの援護を!」
グレース「お願いします!」
プリキュアを援護するため、エグゼイドはドラゴンファングからの火球で、ブレイブは右腕に装備されたドラゴナイトブレードを振るい応戦する。プリキュアはステッキからのビームや格闘戦でメガビョーゲンの体力を少しづつ、それでいて確実に削っていく。
スパークル「すごい!めっちゃ戦いやすいよ!」
フォンテーヌ「先生方の援護のお陰ね!」
グレース「このまま一気に!」
しかし、順調な展開はすぐに終わりを迎えた。これまで視界に捉えた敵を狙っていたメガビョーゲンが突然腕を振りかぶり、一気に振り下ろした。誰を狙っているのかと身構えたグレース達であったが、メガビョーゲンの狙いはライダーでもプリキュアでもなかった。
メガビョーゲン「メガァ!」ズドォン!
グレース「えっ…!?」
スパークル「うわっ!」
フォンテーヌ「腕を思い切り地面に…!?」
メガビョーゲンが腕を振り下ろしたのは自身の足元であった。強力な一撃を叩きつけられた地面は、衝撃で石や土砂を空高く巻き上げた。プリキュア達それぞれの足元も例外ではなく、5人はまとめて空中へと投げ出された。
ブレイブ「なんてデタラメな力だ!」
フォンテーヌ「くっ…!それなら!グレース!スパークル!」
グレース・スパークル「「うん!」」
エグゼイド「ダメだ!危ない!」
フォンテーヌの意図を察したグレースとスパークルが同時攻撃を仕掛ける。しかしそれは、メガビョーゲンの思う壺であった。メガビョーゲンの挙動に唯一気づいていたエグゼイドが警告するが、既に遅かった。
メガビョーゲン「メガァァァァ!!!」ギュルルル
メガビョーゲンはその場で高速で回転し始める。回転速度がどんどん上がり、巨大な竜巻のようになる。
グレース「きゃあああっ!」
フォンテーヌ「ううっ!」
スパークル「うわああっ!」
ブレイブ「ぐあああっ!」
エグゼイド「くうっ!飛彩さん!みんな…!ぐあっ!」
メガビョーゲンは回転しながらめちゃくちゃに光線を放ち、コマの要領で遠心力のついた腕を振り回しながら周囲を薙ぎ払う。舞い上がっていた石や土もつぶてとなり、エグゼイド達を襲った。
ドサドサドサッ
攻撃が止んだ直後、ダメージを受けボロボロになったプリキュア達が落下する。3人は近い位置にいたため、周囲にシールドを張っていたが、縦横無尽に襲い来るつぶてなどもあり、攻撃を防ぎきれなかったようだ。気絶しているのかピクリとも動かない。
ブレイブ「ぐっ…なんて威力だ…」
ブレイブもかなりのダメージを負い、ハンターゲーマの武装が強制解除されてしまった。胸のゲージも残り僅かというラインまで減ってしまっている。
エグゼイド「みんな…!大丈夫!?」
エグゼイドは攻撃を察知し、何とか最小限のダメージで食いとどめた。とっさにエナジーアイテム『鋼鉄化』を取得し、防御力を上げたが、それでもライダーゲージが半分近くまで削られてしまった。
ダルイゼン「ふーん、今回のメガビョーゲン、なかなかやるじゃん。今ので一気に地球を蝕んだみたいだし。」
高みの見物を決め込んでいるダルイゼンは周囲に目をやった。先程の回転攻撃の際に放たれた光線は広範囲に飛散し、周りの土地を大きく侵食していた。
ダルイゼン「んじゃメガビョーゲン、トドメやっちゃって。」
メガビョーゲン「メガビョーゲン!」
グレース「う、うう…」
フォンテーヌ「なんて、、力なの…」
スパークル「もしかして…今めっちゃ…ピンチ…?」
動けないプリキュア達へトドメを刺そうと、メガビョーゲンは胴体から高出力の光線を出すのか、溜めを作り始めた。プリキュアは意識を取り戻しつつあるが、ダメージが大きいのか動けない。
エグゼイド「!?…絶対にさせない!」
\ガッチョ-ン/
ブレイブ「小児科医!?」
エグゼイド「はあっ!」
\高速化!/
メガビョーゲン「メガ!ビョーゲーーーン!」
グレース「ああっ…」
フォンテーヌ「そんな…」
スパークル「嘘でしょ…」
チャージを終えたメガビョーゲンがプリキュアに目掛け特大の光線を発射する。光線がプリキュアに命中する寸前、高速化したエグゼイドがその間に割って入った。
\ド・ド・ドラゴ!ナ・ナ・ナ・ナーイト!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター!ゼッート!/
エグゼイド「ぐぅぅぅぅ!」
ハンターゲーマを全て装着し、フルドラゴン状態となったエグゼイドは高出力の光線を正面から受け止める。更にそこからドラゴナイトハンターZガシャットを引き抜き、キメワザスロットホルダーへ装填する。
\キメワザ!/
エグゼイド「みんなは絶対に守る!守ってみせる!うぉぉぉぉ!!!」
\DRAGONIGHT!CRITICAL STRIKE!/
エグゼイドはキメ技を放つ。炎をまとったエネルギー弾がメガビョーゲンの光線を押し戻す。しかし、押し戻せたのは一瞬だけだった。ジリジリと押され始め、遂に光線はエグゼイドに直撃してしまった。
エグゼイド「うわああああーーーッ!」
ブレイブ「小児科医!」
\ガッシュ-ン/
永夢「ぐうっ…」ドサッ
ブレイブ「小児科医!」バッ
爆煙が晴れ、飛彩たちの目に映ったのは強制的に変身を解除され、ボロボロになりその場に倒れ込んだ永夢の姿だった。
フォンテーヌ「先生!」
スパークル「アタシたちを…守って…?」
グレース「そんな…」
ブレイブ「しっかりしろ!小児科医は死んではいない!」
絶望の表情を見せるプリキュアを叱責するように、永夢の元に移動したブレイブが叫ぶ。ブレイブは簡易的に脈を測り、永夢の状態を確かめていた。
スパークル「で、でも!またさっきみたいな攻撃が来たら…!」
ニャトラン「シールドも意味がなかったニャ…」
グレース「永夢先生…嫌…嘘…」
ラビリン「グレース!しっかりするラビ!」
スパークルとグレースは先程の攻撃と永夢の戦線離脱で戦意を根こそぎ削がれたようだ。スパークルは体の芯にまで響くような痛みに、恐怖を感じているのだろうか。体を抑える手が小刻みに震えている。グレースは永夢が倒れたことが余程ショックだったのか半ば放心状態となっている。
フォンテーヌ「それでも…私たちがやるしか…!」
ペギタン「フォンテーヌ…」
ブレイブ「ああ…それに、まだ手はある!」スチャッ
1人まだ闘志が折れていないフォンテーヌに応えるようにブレイブは新たなガシャットを取り出した。
\タドルファンタジー!/
\Let's Going King of Fantasy! Let's Going King of Fantasy!/
そのガシャットは2つのゲームを内蔵する複合型ガシャット『ガシャットギアデュアルβ』だ。ブレイブはダイヤルを回し、タドルファンタジーを起動する。
ファンタジーゲーマ『…………』
メガビョーゲン「メガッ!?メガァ…!」
起動すると共に召喚されたファンタジーゲーマがメガビョーゲンを牽制し、攻撃を向けさせないように務める。
ブレイブ「術式レベル50!変身!」
\デュア-ル!ガシャット!/
\ガッチャ-ン!デュアルアップ!/
その隙にブレイブはガシャットをドライバーに装填し、レバーを開く。十分な隙を作ったファンタジーゲーマがブレイブの元へと身を翻す。
\タドルメグルRPG!タドルファンタジー!/
ファンタジーゲーマを装着し、ブレイブはレベル50へとレベルアップを果たした。レベル2のボディに深紅や黒を基調とした鎧が追加され、まるで魔王が乗り移ったかのような姿をしている。
ブレイブ「これより、メガビョーゲン切除手術を開始する。執刀医は…君だ。」
フォンテーヌ「えっ…?」
オペの開始宣言をしたブレイブは、フォンテーヌがメインで戦うということを告げる。
ブレイブ「俺たちの攻撃ではヤツを倒せない。ならば、今ヤツを倒せるのは君だけだ。」
フォンテーヌ「………」
ブレイブ「出来るか?」
ブレイブの問に、決意を固めたフォンテーヌが答える。
フォンテーヌ「やります。それが今、私に出来ることなら!」
ブレイブ「よし!……いくぞ!」
フォンテーヌ「はいっ!」
ペギタン「ペェ!」
メガビョーゲンに向き直り、駆け出す。ブレイブは魔法でフォンテーヌを援護する。
ダルイゼン「また正面から来るだけ?メガビョーゲン、やっちゃって。」
メガビョーゲン「メガビョーゲン!」
メガビョーゲンは巨大な腕でパンチを繰り出した。しかし、その攻撃は空をかすめる。そこにはプリキュアの姿も仮面ライダーの影もなかった。
ブレイブ「どこを狙っている?」
メガビョーゲン「メガ!?」
ファンタジーゲーマーとなったブレイブは魔法を使用することが出来る。メガビョーゲンの攻撃を回避してみせたのは瞬間移動の魔法だ。
ブレイブ「はあっ!」
続けざまにガシャコンソードから無数の光弾を放ち、メガビョーゲンの注意をフォンテーヌから逸らす。
\キュッ!/
フォンテーヌ・ペギタン「「キュアスキャン!」」
その隙にブレイブの瞬間移動魔法でブレイブとは反対側に移動していたフォンテーヌがステッキの肉球を押し、キュアスキャンでメガビョーゲンに囚われているエレメントさんを見つけ出す。エレメントさんはメガビョーゲンの左胸の位置に囚われているようだ。
フォンテーヌ「あそこね!」
ペギタン「早くエレメントさんを助け出すペェ!」
その時、メガビョーゲンが再び腕を大きく振りかぶった。先程大ダメージを与えたあの攻撃の動作だ。
フォンテーヌ「あれはさっきの!」
先程の状況とは訳が違う。傷だらけの永夢にダメージが回復しきっていないプリキュアたち、それらを全て守りきることなど不可能だ。とフォンテーヌは愕然とした。
フォンテーヌ「ここまできて!」
メガビョーゲン「メガァー!」
フォンテーヌの叫びも虚しく、再びメガビョーゲンの両腕が地面目掛けて振り下ろされ、地面が抉れ舞い上がった。フォンテーヌはグレースとスパークルの元へと全力で戻り、ぷにシールドを展開したが足元を崩されてしまい、バラバラに飛ばされてしまった。メガビョーゲンは既に回転の動作へと移っている。
フォンテーヌ「そんな…私たち、勝てないの…?」
その時、フォンテーヌの体がなにかに受け止められたのか空中で静止する。何事かと思ったフォンテーヌが周りを見る。
ブレイブ「大丈夫か?」
フォンテーヌ「ええっ!?え、あ……はい…///」
フォンテーヌはブレイブに空中で受け止められてもらっていたようだが、受け止められている格好がいわゆるお姫様抱っこであるため、フォンテーヌは顔を赤く染める。その姿はまるで姫を守るナイトのような絵になっていた。
フォンテーヌ「ハッ!み、みんなは!?」
ブレイブ「案ずるな。全員無事だ。」
戦意喪失しているグレースとスパークル、戦闘不能の永夢を包むように球体のバリアが張られていた。このバリアもブレイブの魔法で生成されており、メガビョーゲンの攻撃からみんなを守っていた。
グレース「あ…あれ?」
スパークル「アタシたち…もうダメかと…」
フォンテーヌ「よかった…」
ブレイブ「このまま決めるぞ!」
ブレイブは瞬間移動で地上に降り、メガビョーゲンへのトドメのための隙を作る一撃を炸裂させた。
\ガッチョ-ン!キメワザ!/
ブレイブ「地球を脅かすお前の存在は…ノーサンキューだ!」
\ガッチャ-ン!/
\TADDLE CRITICAL SLASH!/
ブレイブ「はああああっ!」
メガビョーゲン「メガ!?メ、メガ…」
パキィン!
ブレイブは氷剣状態のガシャコンソードを振るい、冷気を増幅させてメガビョーゲンを一瞬の内に氷漬けにすることで動きを封じる。
ブレイブ「今だ!」
フォンテーヌ「はい!」
メガビョーゲン浄化のチャンスに、フォンテーヌはステッキをかざす。三日月形の模様を描き、浄化技のチャージを行う。
フォンテーヌ「エレメントチャージ!」
\キュッキュッキュッ!/
フォンテーヌ・ペギタン「「ヒーリングゲージ、上昇!」」
フォンテーヌ「プリキュアッ!ヒーリング〜!ストリーム!」
ステッキを突き出し、メガビョーゲンへ向けて螺旋状の水流を放つ。それは氷漬けのメガビョーゲンが捕らえているエレメントさんの位置を寸分違わず捉えた。
メガビョーゲンに命中した水流は形を変え、囚われのエレメントさんを包み込むように救出する。
メガビョーゲン「ヒーリン、グッバーイ…」
エレメントさんを摘出されたメガビョーゲンは浄化され、安らかな顔で消滅する。後には崩れたバーベキューセットと積まれた石が残っていた。
フォンテーヌ・ペギタン「「お大事に」」
ダルイゼン「あ〜あ、いいとこまでいってたんだけどな。」シュン
ダルイゼンは人知れず撤退する。メガビョーゲンから解放されたエレメントさんは再び石に宿り、辺りの蝕まれた土地を元に戻す。
ラテ「わふぅ〜!」
メガビョーゲンを浄化したことにより、地球とリンクしているラテの体調も元通りになった。
ブレイブ「はぁ…はぁ…」
\ガッチョ-ン! ガッシュ-ン!/
飛彩「やはり久々の使用は負担が大きかったか…」
変身を解除した飛彩は地面に膝をつき、息を荒らげている。レベルを克服しているとはいえ、最近は使用することのなかったファンタジーゲーマーへの変身は飛彩の肉体に相当な負荷をかけていた。
フォンテーヌ「先生!」
飛彩「サンキューだ…君のおかげで…」ドサッ
飛彩はそこで力尽きてしまい気絶した。変身に加えてゲーマーの能力である魔法を多用したフィードバックが襲ってきたようだ。
フォンテーヌ「先生…ありがとうございました…!」
ラテ「わふっ!」
ペギタン「ラテ様も元に戻ったペェ!良かったペェ。」
フォンテーヌの元にラテが飛び込んでくる。ラテを抱えたフォンテーヌが顔を上げるとグレースと少し離れた位置にいるスパークルがこちらに歩いてくるのが見えた。
グレース「フォンテーヌ…ごめんなさい!私…」
スパークル「アタシも…動けなかった…」
フォンテーヌ「グレース…スパークル…」
グレース「メガビョーゲンと戦わなくちゃいけないのに…動けなくって…」
スパークル「………」
フォンテーヌの傍に2人はメガビョーゲンとの戦闘をフォンテーヌに任せてしまったことへの謝罪を述べた。
フォンテーヌ「謝らないで、今回のメガビョーゲンはとても強かったもの。次は油断せず戦いましょう。」
グレース「フォンテーヌ…うん!」
スパークル「ハッ…!」
フォンテーヌの言葉にグレースは頷く。スパークルは「次」という言葉に強く反応した。その目に浮かぶのは困惑の表情だった。しかし、グレースとフォンテーヌはそれに気づかなかった。
フォンテーヌ「とにかく、先生たちをうちに運びましょう。」
グレース「う、うん!」
変身を解除した3人は永夢たちを抱え沢泉へと向かった。ちゆの母親の沢泉なおからは驚かれたが、永夢は階段から転倒、飛彩は貧血と言うことにしてなんとか誤魔化した。だが、1つ問題が生じた。
ーーー1日後。温泉宿沢泉
飛彩「なぜ小児科医が部屋にいる?」
飛彩はちゆたちに寝かされた布団の中で天井を見つめ呟く。その隣には同じように寝かされている永夢がいた。
永夢「実は…休暇は昨日で終わりだったんです。泊まってた部屋は次の予約があるみたいで…」
飛彩「……ノーサンキューだ…」
部屋は飛彩の予約した部屋だったが、永夢の部屋には次の利用客が入るらしく、2人まとめて同室に寝かされていた。永夢の体には至る所に絆創膏や包帯での治療の痕がある。
永夢「あのプリキュアの女の子たちが運んでくれたんでしょうか…?のどかちゃんたちは無事に逃げてくれてたし。」
飛彩「分からん。今までのメガビョーゲンは彼女らが全て倒してきたから衛生省も対応が間に合わなかったということになるのか。」
横たわりながら飛彩はゲームスコープを掲げ、通信を試みる。会話のために映像を映し出した先には永夢にも馴染みのある人物が映し出されていた。
恭太郎『待たせた。分かったことはあるか…?鏡先生。』
永夢「恭太郎先生!?」ガバッ
永夢「痛っ…」
通信の相手は永夢もよく知っている衛生省の役員。日向恭太郎だった。今回の飛彩の出張を依頼したのも恭太郎の采配である。
恭太郎『永夢…?なぜ君が?それにその怪我は…?』
永夢「それが…」
永夢は飛彩に説明したように恭太郎へ自身の動向を説明する。
恭太郎『そうか…分かった。バグスターの出現報告まであるならば永夢も出張としてすこやか市にとどまって欲しい。院長には私から説明しておく。』
永夢「はい!分かりました!」
飛彩「しかし、小児科医はレベル2のガシャットしか所持していない。1度戻った方がいいのでは?」
恭太郎『そこは心配ない。信頼できる者に依頼し永夢の装備を届けてもらう。』
素早く判断を下し、テキパキと今後の方針を決めていく恭太郎は本題に入った。
恭太郎『そして、あの正体不明の怪物…メガビョーゲンと言ったか。君たちの攻撃では完全に倒しきることは出来ないとのことらしいが…』
永夢「はい…メガビョーゲンを倒すには僕らを助けてくれたプリキュアでないと対処出来ないみたいです。」
飛彩「まだ年端もいかない少女達のように見えるが、その力は本物だ。だが、プリキュアの正体については分かっていない。」
正体不明の怪物の正体を暴くという飛彩の目的は半ば達成はしたが、ライダーの力では倒すことが出来ないとなってしまうと対応が難しい。
恭太郎『だが、このまま放っておくわけにもいかない。今後メガビョーゲンが現れた際に浄化自体はプリキュアに任せ、君たちはプリキュアと連携し、被害の拡大をできるだけ早期に抑えて欲しい。バグスターの動向にも気をつけてくれ。対応が決まり次第、衛生省の職員もすこやか市に駐屯させる。それまで君たちで対応して欲しい。』
飛彩「了解した。」
恭太郎『では、よろしく頼む。』ピッ
メガビョーゲンに対しての方針を伝え、通信を終える。一息ついた飛彩がおもむろに口を開いた。
飛彩「ところで…」
永夢「どうかしたんですか?」
飛彩「まさか小児科医と同じ部屋で生活することになるのか?」
永夢「あ…」
ーーー花寺家
のどか「永夢先生たち、目が覚めたかな?」
ちゆ「後でお見舞いに行きましょうか。ね、ひなた。」
ひなた「え…?う、うん!だよね〜!お見舞いしないとだよねー!」
ニャトラン「んん?」
3人はのどかの部屋に集まっていた。メガビョーゲンの事や永夢らの事を話し合っていた。のどかとちゆは普段通りだが、ひなたは考え事をしているのかいつもの明るさがない。ちゆに話を振られて無理に明るく振舞っているような印象になっている。
ちゆ「ひなた…なにか無理してない?」
ひなた「うぇ!?いや全然ぜーんぜん無理してないよ!あ、アタシちょっと用事思い出しちゃった!ごめん!行ってくるね! 」ダッ
のどか「あっ!ひなたちゃん!」
ひなたはニャトランも連れず花寺家から飛び出していった。のどか達が止める間もなくあっという間の事だった。
ニャトラン「なんか…ひなたの様子が変だぜ…」
ちゆ「何があったのかしら…」
のどか「ひなたちゃん…」
ひなた「はぁ、はぁ…」
花寺家を後にしたひなたは芝生の上に腰を下ろし膝を抱えた。
ひなた「アタシ…プリキュアやめようかな…」ジワッ
瞳を滲ませたひなたの口から零れた言葉は風と共に消えていった。
ーーーゆめポート屋上
???「………」カチッ
\バンバンシューティング!/
第3話 [完]