ヒーリングっど♥プリキュア 〜プリキュアとドクターライダーズ〜   作:鈴闇

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遂に書きあげました。
最終回です。
ここまで応援してくださった方々に感謝を込めて遅くなりましたが完成致しました。

書いてるうちにああした方がいいこうした方がいいと迷走気味になってしまいましたが、最終的には鈴闇の望む形にできたと思います。

ご期待いただいた方々に応えられたら幸いです。
それでは最終回をよろしくお願いいたします。


最終話 花と水と光

ゲムデウス「ぐぬぅぅぅ…」

 

人間の世界とビョーゲンキングダムの狭間。そこは赤黒い靄がかかった宇宙のような場所でどちらの世界の住人も与することの無い無人の世界となっている。その場所でゲムデウスはワクチン投与による苦痛に悶えていた。

 

ゲムデウス「おのれぇぇ…小癪な真似を…ぐぉぉ!」

 

撃ち込まれたワクチンは少量であり、普段なら難なく対応出来るはずであったが、進化したワクチンはウイルスに敗れる度に進化して蘇り、ゲムデウスを無力化するべく奮闘する。それはゲムデウスにとって永遠に続く痛みとの戦いである。

 

ゲムデウス「このような場所で終わる訳にはァ…」

 

苦悶の声を上げるゲムデウスが手を伸ばした先にあるのは、宙に浮かぶ金色のガシャットだった。

 

 

ーーー沢泉

 

 

温泉旅館『沢泉』の一室。そこには朝から集ったドクター達が先日起こったゲムデウスによるゲーム病感染拡大防止の対策会議が執り行われていた。

 

永夢「ひとまずゲムデウスウイルスの被害は収まりましたが…」

飛彩「余談は許されない。街の人々も何時またゲーム病が再発するか不安に思っている」

大我「やることは決まってんだがな。奪われたガシャットを取り返した上でゲムデウスをぶっ潰す。だが…」

貴利矢「ゲムデウスがまた出てくんのをひたすら待たなきゃなんないって現状だな。そもそも前のワクチン投与で消滅したのかもしれないって可能性もある」

 

先日の戦闘で街に大きな被害をもたらした最強のバグスター、ゲムデウスは改良を施したワクチンガシャット『ドクターマイティXX II』により撤退し、姿を隠してしまっている。

 

貴利矢「いつまた出てくるか分かんないってのは患者にとって結構なストレスになっちまうぞ。次出てくんのが10年とか20年後とかだったらシャレにもならねぇ」

大我「どうにかしてゲムデウスを引きずり出す方法を考えるしかねぇか」

 

ドクターたちを悩ます問題は、ゲムデウスの逃げ込んだ先である。彼は空間を裂き、ビョーゲンキングダムと人間の住む世界の境目と言うような場所へ逃げ込んでしまい完全に行方を眩ましてしまっている為、永夢達ドクターにその足取りすら掴ませることは無かった。

 

飛彩「それだけじゃない。奴は地球を蝕む力を手に入れてしまった。最早人間の命だけじゃない、地球上の全ての命を脅かす存在となっている」

 

飛彩の言う通り、ゲムデウスはバグスターと異なる存在『メガビョーゲン』の力を新たに有していた。メガビョーゲンは地球を蝕みビョーゲンキングダムの者にとって住みやすい環境へ変化させてしまう力を持っている。

 

大我「そのせいで俺達の攻撃もまるで通用しなくなってやがる」

永夢「今僕達の手元にある対抗策は…リプログラミング能力のあるマキシマムマイティXと」

飛彩「監察医が強化したゲムデウスワクチン。ドクターマイティXX IIのみか」

 

現状の永夢達の装備を軸に、メガビョーゲン化したゲムデウスへの対策を模索していく。リプログラミングとワクチン、2つのガシャットを上手く使わなければゲムデウスを攻略することはまず不可能であると言うのが、4人共通の見解となっていった。

 

貴利矢「とりあえずゲーム病発症の通報もないし今回は解散ってことで。少し頭切り替える時間も必要だろ。じゃ、お先に失礼するわ」

 

対策は2本のガシャット以外特に思いつかず、会議は行き詰まってしまった。貴利矢が部屋を後にし、大我もひとまず自室へ戻っていった。

 

永夢「プリキュアの力が必要なんでしょうか…」

飛彩「そうかもな…だが、彼女らの攻撃も恐らく…」

 

永夢はふとメガビョーゲンへ対抗できる存在の名を呟く。実際にプリキュアの戦いを見た2人はその角度からも対策がないか模索したが、バグスターにプリキュアの攻撃が通らない以上戦力として数えられる望みは薄い。何より彼女達を自分達の戦いに巻き込みたくないという気持ちが大きかった。

 

飛彩「俺達も少し気分を変えよう。」

永夢「そうですね。何か甘いものでも食べに行きましょうか。」

 

永夢も飛彩も頭を唸らせるだけとなってしまい、気分転換のため部屋を後にした。

 

 

ーーーのどかの部屋

 

 

のどか「とりあえず街のみんなも永夢先生たちが治してくれたけど…」

ちゆ「またあの怪物が出てきたら…」

ひなた「同じことが繰り返されるかもしれないって事に…」

 

その頃、のどかの部屋に集まった3人も永夢たちと同じ話をしていた。ゲムデウスウイルスによるゲーム病の症状はまだ年端もいかない彼女らにとってかなり衝撃的な光景だった。

 

ラビリン「それだけじゃないラビ!あの怪物の攻撃で地球が蝕まれていたラビ!」

ペギタン「エレメントさんが取り込まれてたとしたら…助けられるのは僕達しかいないペェ…」

ニャトラン「けどプリキュアの攻撃はあの怪物には効かなくて…仮面ライダーの攻撃ではメガビョーゲンを倒せなくて…あぁ〜もう!ごっちゃになってくるニャ!」

 

パートナー達も交えゲムデウスの驚異に対して話し合うが、永夢達ドクターと違い具体的な対策は何一つ浮かばなかった。ビョーゲンズが絡んでいたことには間違いなさそうだが、前回ビョーゲンズが誰も現れなかったことを考えるとあちらでも想定外の事態なのだろう。しかしこのまま放っておけばどの道ゲムデウスが地球を蝕んでしまい、最終的にキングビョーゲンの復活を許すこととなってしまう。

 

のどか「それだけは絶対に止めないと…!」

ひなた「でもでも、あの怪物どこに逃げたの!?」

ラビリン「多分、のどか達の住む世界とビョーゲンキングダム。ふたつの世界の狭間にいるんだと思うラビ…」

ニャトラン「一種のワープホールみたいなもんだな」

ちゆ「それを鏡先生達に伝えられたらいいんだけど…」

のどか「そうしちゃうと私達がプリキュアだって言っちゃうようなものだもんね…」

ペギタン「そもそも伝えられたとしても怪物を倒しに行く方法がないぺェ…」

 

ゲムデウスの逃げ込んだ先に手を出せるのはビョーゲンキングダムから人間の世界へやってくる者たち。すなわちビョーゲンズの面々だけであった。3人と3匹はうんうんと唸り続ける。

 

のどか「あ!そうだ!始めからプリキュアになって色々教えに行くって言うのはどうかな!」

ラビリン「ダメラビ!」

 

ちゆ「先生たちが宿泊してる部屋にこっそりメモを仕込んでおこうかしら?」

ペギタン「それもそれで怪しまれるペェ…」

 

ひなた「アタシ達がプリキュアと友達ってことにすれば!」

ニャトラン「絶対すぐにバレるニャ…」

 

三者三様に案を絞り出すが、身バレのリスクがどうしても付きまとってしまい、パートナー達から止められてしまう。案を出しては振り出しへ戻るのを何度も繰り返すこととなった。

 

ひなた「ダメだぁ〜…これじゃあどうやってもタイガーたちに詳しく教えられないよ…」

ちゆ「早くあの怪物を倒さないと…もしビョーゲンズが怪物と同時に地球を蝕みに来たらお手当てどころじゃなくなるかもしれないわ」

 

その言葉で3人の脳裏に最悪の光景が浮かぶ。地球全土が赤黒く蝕まれ、全ての命が死に絶えてしまった世界を想像するだけでその場にいる全員が肩を竦める。

 

のどか「地球は私達が守らないと…!」

ちゆ「ええ、でも今は1度先生達にお話を伺ってみましょう。もしかしたら先生達も何か作戦があるかもしれないし」

ひなた「さんせーい!」

 

ちゆの提案で3人は永夢達の元へ向かうことにした。最も誰も連絡先などを知らないため行き当たりばったりだが、永夢たちと同様気分転換も兼ねて3人は花寺家を後にした。

 

 

ーーー沢泉

 

 

貴利矢「たっだいま〜……ってあれ?永夢も大先生も出かけてんのか。飯でも食いに行ったのかね」

 

1時間ほどして一足先に帰ってきた貴利矢は我が物顔で永夢と飛彩の部屋へ上がり込む。頭を切り替え、ゲムデウスを攻略するためのプランを再び模索し始めた。

 

貴利矢「これがこーなってあれがそうなっからー……ん?」

 

資料を手に攻略の糸口を探っていると、不意に戸がノックされた。

 

貴利矢「どぞー」

 

資料に目を向けながら特に拒むことも無く来訪者を部屋に通す。資料から目を上げた貴利矢の前に3人の少女が部屋に入ってきた。

 

ちゆ「失礼します。先生、お忙しい中ですが少しお話をさせて頂いてよろしいでしょうか?……あら?」

のどか「永夢先生、昨日の怪物のことで聞きたいことが…!……あれ…?」

ひなた「タイガー!いるー!?」

 

貴利矢「え?なに?永夢達のお客さん?そしてタイガーって誰?もしかして院長先生?」

 

3人の少女と貴利矢とは特に深い関わりが無いため、両者困惑の表情を浮かべた。

 

ちゆ「確か、先日先生方と共に戦っていた…」

貴利矢「あー、そういえばお嬢ちゃんたち昨日の避難誘導手伝ってくれてたっけ。悪いね、あん時バタバタしてたし」

のどか「い、いえ!こちらこそ突然お邪魔してすみません!それで…永夢先生は今日はお仕事でしたか?」

貴利矢「永夢達はどこかに出かけたみたいよ?行き先までは聞いてないけど」

ひなた「タイガーも出かけちゃったのかな?」

貴利矢「院長先生は隣の部屋だから覗いて見たら?」

ひなた「うん!」

 

すっかり大我に懐いたひなたは言われるがまま隣の部屋へ駆け込んで行った。

 

\タイガ-!/

\ハ!?ナンデオマエガココニインダヨ!/

 

貴利矢「会えたみたいだね」

ちゆ「ひなたが騒がしくてすみません…」

 

それぞれの質問に答え、隣の部屋から聞こえる喧騒をスルーした貴利矢はひとまずちゆとのどかを招き入れ話を聞いた。

 

貴利矢「なるほどねぇ。そっちのお嬢ちゃんが永夢が研修生時代に診療してた患者さんで、こっちのお嬢ちゃんがこの旅館の看板娘さんって訳か。そういや昨日もみんなで飯行ってたっけ?自分は急用入っちゃって行けなかったんだよね」

 

のどか「はい!永夢先生には昔も今もすごく良くしてもらってます!」

ちゆ「バグスターから人々を守る。九条先生も命を賭して戦っているドクターのひとりなんですね。」

 

貴利矢「そんな大層なもんじゃないって」

 

互いの自己紹介を終え、ちゆが本題を切り出す。話の内容はゲムデウスがどういう存在かという事、先日からのゲムデウスの足取り、倒す手段など、とにかくゲムデウスに関する情報を集めている感じだった。貴利矢はとりあえずゲムデウスがどういう存在なのかということに話の焦点を当てた。

 

貴利矢「とまぁゲムデウスのことについてはこんな感じだな。幻夢コーポレーションの馬鹿社長が生み出しちゃった最強のラスボスってワケ」

のどか「そんな大変なことになってたのに私全然覚えてないや…」

ちゆ「それは仕方ないわよ。のどかも私もまだ小さかったんだし」

貴利矢「そうそう。幸いなことにウイルスに感染もしてなかったみたいだし、覚えてなくても仕方ないっしょ」

ちゆ「それで…あの怪物…ゲムデウスを倒す手段はあるんですか!?」

貴利矢「ん〜それは…」

 

ちゆが若干食い気味に貴利矢へ肝心な質問を投げかけたが、貴利矢が返答を出す前に部屋の扉が勢いよく開かれ、誰かが慌ただしく部屋に入ってきた。

 

ひなた「助けてちゆちー!タイガーがめっちゃ怒ってる〜!」

大我「待てっての!」

ちゆ「ひなた!?」

貴利矢「あれ?どったの院長先生?」

 

部屋に飛び込んできたのは先程隣室の大我の元へ飛んで行ったひなたとそのひなたを血相を変えて追う大我だった。

 

大我「どうしたもこうしたもねえ!さっさとガシャットとゲーマドライバーを返せ!」

貴利矢「は…?」

 

大我の怒号を聞き、貴利矢は反射的にひなたを見る。ひなたは腰にゲーマドライバーを装着し、右手には大我の持つガシャット『バンバンシューティング』が握られていた。

 

貴利矢「ちょっとちょっと、危ないからそれ返しなさいって」

ひなた「1回だけ!1回だけアタシも変身してみたいの!すぐに返すから!」

大我「やめろっつってんだろ!レーザー!引っ捕らえるぞ!」

貴利矢「相手は女の子だけどコレはしょーがねぇなぁ…よっとぉ!」

ひなた「うわわわわ!」

 

ひなたからベルトとガシャットを取り返さんと2人は身を乗り出しひなたに迫った。が、偶然か狙ったのかは分からないが、ひなたは2人の間を縫うようにすり抜け、難を逃れた。それと同時に大我と貴利矢は敷いてあった座布団を踏んづけて滑り、バランスを崩して転倒してしまった。

 

大我「しまっ…」

貴利矢「っつぅ〜…」

のどか「だ、大丈夫ですか!?」

 

ひなた「今がチャ〜ンス!のどかっち!ちゆちー!見ててね!アタシの変身!」

 

\バンバンシューティング!/

 

好機到来と言わんばかりに自信満々にガシャットを起動したひなただったが、待っていたのは変身した自分ではなくつい最近経験したあの苦しみだった。ガシャットがタイトルコールをした瞬間にひなたの体にノイズが走る。

 

ひなた「うっ…なん…で…」ザザッ

のどか「ひなたちゃん!」

ちゆ「ひなた!」

 

ガシャットを起動と同時にゲーム病に感染したひなたはその苦しみに耐えきれずガシャットを手放し床にうずくまってしまった。ひなたを心配し2人が駆け寄る。

 

貴利矢「ホラ言わんこっちゃない!」

大我「だからやめろって言ったんだよ!」

ひなた「うぅ…」

 

ひなたのゲーム病は貴利矢が持ち込んだリボルワクチンにより程なくして沈静化した。回復したひなたはそのまま無罪放免…とはいかず、畳の上で直に正座させられていた。ひなたの前には腕組みをして立つ大我と貴利矢。そして何故かちゆが険しい表情で並び立っていた。

 

ひなた「足、痺れてきたし…」

大我「足痺れんのとゲーム病で苦しむのはどっちがマシだ」

ひなた「足痺れるほうで…」

貴利矢「医者の忠告はしっかり聞いといた方がいいぜ?」

ちゆ「そうよ!大体なんで急に変身しようとしたの?」

ひなた「うぅ〜、それは〜…」

 

立て続けに繰り出される叱責の言葉にひなたがどんどん小さくなっていくような感じがする。

 

ひなた「変身してみたかったのと…変身できたらあの怪物と戦えるようになってみんなを守れると思ったから…」

のどか「ひなたちゃん…」

 

変身してみたいと言う言葉の裏には、ひなたなりの考えと思いがあった。誰かを守るために変身しようとしたひなたの気持ちは大我にはよく分かった。

 

大我「ったく、もうガシャット持ち出すんじゃねえぞ」

ひなた「は〜い…」

 

ひなたの気持ちを汲みとり、矛を収めた大我は自室に戻っていった。貴利矢はやれやれと言ったように座り直し再び資料を手に取る。

 

貴利矢「ま、そういうことだから。変身できんのは俺たちドクターだけなのよ。適合してないとガシャットの起動だけでゲーム病になっちゃうから」

ひなた「それならそうと言って欲しかったし…」

ちゆ「それを言う前に変身しようとしたんでしょう?」

ひなた「う…ごめんなさいぃ…」

 

ばつが悪くなったひなたは大人しくその場に座り、項垂れるようにテーブルに突っ伏した。それに続きちゆとのどかも座り直した

 

ちゆ「それで…ゲムデウスへの対抗策とは一体…」

貴利矢「その前に、自分からもひとつ質問させてもらっていい?」

のどか「な、何でしょうか?」

貴利矢「そもそもなんでそんなにゲムデウスへの対策を聞きたい訳?」

ちゆ「そ、それは…」

 

貴利矢からすれば当然の質問なのだが、ゲムデウスへの対策で焦っていたちゆたちはそのことを失念していた。貴利矢はその焦りに違和感を覚えたのだ。

 

貴利矢「ただゲムデウスの事知りたいだけならさっきの説明だけで充分なはずだ。けど君たちは自分たちがどうやってゲムデウスを倒すかって事まで踏み込んできてる。医療関係者とかならまだしも、君らは普通の学生さんでしょ?それってちょーっとおかしくない?」

のどか「う…」

 

貴利矢の疑問にのどか達は言葉を詰まらせる。自分達がプリキュアである前にただの中学生だということを思い知らされた。

 

ちゆ「先生方の対策を知っておけば、私達もお手伝いが出来ると思って…」

のどか「そうです!この前みたいに避難誘導したり、患者さんのお手当てを手伝ったりするために…!」

貴利矢「なーるほど。確かにこないだ手伝ってもらったのはホントに助かったよ。………けど、本当にそれだけ?」

ちゆ「え…?」

貴利矢「自分には他に理由があるように見えるんだけど。それもかなり危なっかしい秘密がさ」

のどか「……それは」

 

貴利矢は死因が分からない遺体を調べ、遺体に隠された嘘を暴く監察医だ。今まで幾度となく嘘を見抜いてきた経験がここでも遺憾無く発揮された。

 

貴利矢「なんかさ、似てるんだよ。永夢達に」

のどか「永夢先生達に…ですか…?」

貴利矢「ああ。自分の危険も顧みず誰かのために何かをしようってところが特にな。あんなバケモン目にして自分たちを手伝うって言えるのは絶対何かあるでしょ。例えば…」

ちゆ「わ、私たちは…私達に出来ることをやろうと話し合って決めたんです!」

ひなた「そうそう!確かに怪物は怖いけど!アタシ達にも何か手伝わせて!」

のどか「お、お願いします!」

 

ガラッ

 

プリキュアの事に勘づかれそうになり冷や汗を流すのどか達が身を乗り出して貴利矢に迫ると同時に、部屋の扉が開けられた。振り返ったのどか達の前に、外出から戻った永夢と飛彩が現れる。

 

飛彩「さて、これからの話についてだが…ん?」

永夢「戻りました。ってあれ?のどかちゃん?」

貴利矢「おっ、おかえり〜。お客さn…」

のどか「永夢先生!」

ちゆ「鏡先生!」

のどか・ちゆ「あ、甘いもの食べに行きませんか!?」

ひなた「おぉ〜!いこいこ!」

 

救いの手が現れたと言わんばかりに貴利矢が言い終わる前にのどかとちゆは帰ってきた2人を連れ出す。ひなたは状況を特に理解せずに2人について行った。

 

貴利矢「んが来てる…ぜ…。あ、あのー?」

 

気づいた頃には1人になっていた貴利矢は、仕方なく隣室の大我の元へ向かった。

 

 

ーーー平光カフェ

 

 

飛彩「それで、どうしていきなり俺たちを連れ出したんだ?」

ちゆ「九条先生からゲムデウスのお話を聞いたんです。それで次は先生方からその対策を聞きたくて」

永夢「ゲムデウスの攻略法…?」

のどか「はい!それで、私達も何かお手伝い出来ることがあると思って!」

ひなた「何でもするし!」

 

話し相手を切り替えた3人はカフェへ移動し、改めて永夢達から話を聞いていた。

 

永夢「攻略法…か。飛彩さん」

飛彩「ああ。彼女たちをこれ以上巻き込んではならない」

のどか「えっ…?」

 

ゲムデウスの攻略法を聞けると意気込んでいたのどか達は永夢と飛彩の言葉に目を丸くした。

 

永夢「ごめんねのどかちゃん。ゲムデウスはとても危険な相手なんだ。成り行きだったけど昨日は手伝ってくれて本当にありがとう。でも、ここから先は僕達でゲムデウスを攻略する」

飛彩「そういうことだ。君たちの気持ちはサンキューだが、これ以上俺たちの戦いに関わる事はノーサンキューだ」

ちゆ「あっ…」

ひなた「ちょっ…!」

 

永夢と飛彩はそう言うと会計を全て済ませて沢泉に戻って行った。3人の女の子の前に残ったのはそれぞれが頼んだドリンクの容器だけになった。

 

ちゆ「そう…よね。私達、普通の女の子だもの」

ひなた「うん…プリキュアになってないとただの中学生だし…」

のどか「永夢先生…」

ラビリン「のどか…」

ペギタン「ちゆ…」

ニャトラン「ひなた…」

 

ひなた(タイガーたちはアタシたちが邪魔だなんてこれっぽっちも思ってない)

ちゆ(むしろ私たちのことを考えてくれているからこそ、巻き込みたくなくて遠ざけようとしている…)

のどか(でも、やっぱり私達も力になりたい…)

 

3人は言葉にしないものの、同じ思いを心に秘めていた。しかし、沢泉に戻った永夢を追いかけることは出来なかった。出来ることをやろうとする思いと自分たちの身を案じてくれる永夢達の思いがぶつかり合うように足を止めてしまった。3人はこれ以上ゲムデウスのことを話せず、それぞれ帰路についた。

 

 

ーーービョーゲンキングダム

 

 

ダルイゼン「結局あの身体はほっといていいの?」

キングビョーゲン「構わヌ…ナノビョーゲンを媒体としタことで奴ハ地球を蝕ムことが出来るようだからな。地球を蝕み終えたその時、我は我ノ肉体を甦らせることが出来る」

 

ゲムデウスが復活したビョーゲンキングダムでは、ビョーゲンズとキングビョーゲンが人間界でのゲムデウスの動きに注目していた。

 

シンドイーネ「でも、アイツは仮面ライダーの攻撃で撤退しちゃいましたよ?そんなことで地球を蝕んでられるのかしら?」

グアイワル「それでやられるようならそこまでの奴だったということだ。その時は俺たちがメガビョーゲンで地球を蝕みに行けばいい」

ダルイゼン「んじゃ、わざわざ地球に行くのもダルいし俺は適当に傍観しとく。仮面ライダーもプリキュアも倒せたら一石二鳥だしね」

 

キングビョーゲン「ククク…奴の力はあんなモノではナイ…恐らく今頃更なる力ヲその身に宿シているダろう…」

 

ビョーゲンキングダムにキングビョーゲンの勝利を確信したような笑い声が響き渡った。

 

 

ーーー花寺家

 

 

永夢と飛彩を見送り、夕方になる前に自宅へと帰ってきたのどかを待っていたのはいつもとは違う騒々しい父と母の姿だった。

 

のどか「ただいま〜」

やすこ「のどか!おかえりなさい!あなたも直ぐに準備して!」

 

帰宅したのどかはキョトンとした表情を浮かべた。この後出かける予定などないはずであるのに、両親は慌ただしく荷物を纏めている。

 

のどか「ど、どうしたの!?お父さん!お母さん!」

たけし「ついさっき衛生省から通達があったんだ。バグスターとの大規模な戦闘が始まるから住人の僕達はあらかじめ避難してほしいって」

のどか「えっ!?」

 

衛生省は永夢達が打ち出したゲムデウス攻略に基づき、激しい戦闘とウイルス感染の被害拡大を懸念し街の住民を避難させることにした。避難先はのどか達の通う中学校を含め、学校や森林公園と言った広いスペースを確保できる場所が選ばれている。

 

のどか「永夢先生…」

 

住民を全て避難させなければいけないほどに今回の相手は強大で、恐るべき力を持っているのだと突きつけられた気がした。街の人間全員を巻き込まないようにする判断をしなければならないほど、途方もない存在なのだと。

 

やすこ「さ!早く!」

たけし「生徒とその家族はみんな学校に避難することになってる。のどかの友達にもすぐに会えるよ」

のどか「う、うん!」

 

急いで荷物をまとめ、ラテを抱えたのどかは両親と共に学校へ向かった。学校までの道のりでは衛生省の職員と思われるスーツ姿の人間が何人も避難誘導にあたっている。

 

のどか「こんなに…大勢の人が…」

ラテ「わん」

たけし「ああ。昨日の病気の原因になっている怪物を倒すために、これだけの人達が頑張っているんだ。」

やすこ「ええ。私達の命を守るために最善を尽くしてくれているのよ。」

 

衛生省職員の誘導もあり、避難はスムーズに行われた。すこやか市から聞こえる声は徐々に数箇所に集まりつつある。程なくして学校に到着したのどかはちゆとひなたと合流することができた。

 

のどか「ちゆちゃん!ひなたちゃん!」

ちゆ「のどか!」

ひなた「のどかっち!」

 

のどか「ちゆちゃん!永夢先生達は…!?」

ちゆ「それが…私が帰った時にはもう居なくて…!」

ひなた「タイガーたち…どうやってあの怪物を呼ぶつもりなんだろ…」

 

ひなたの疑問はここにいる全ての人間が考えていてもおかしくないものだった。人間があの怪物を無理やり引きずり出すことなど不可能ではないのかという声も周囲から聞こえてくる。

 

職員A「先日ゲーム病を発症された方はこちらでワクチンの再発予防摂取をお願いします!発祥されていない方々にも後ほど予防接種をお願いいたします!」

職員B「慌てずに!ワクチンは皆さん全員に行き渡りますので!」

 

衛生省は貴利矢たちが増産したドクターマイティXXガシャットを使い、ゲムデウス出現に伴う感染拡大予防に追われていた。

 

男性「だけど!本当にその怪物は現れるんですか!?」

女性「大切な打合せがあったんですよ!?もしこのまま何も起こらなかったらどう責任を取ってくれるんですか!」

 

突然の避難命令に不満を持つ者も中には少なからずおり、職員へ抗議している人々の姿も見受けられた。

 

ちゆ「みんな…不安に苛まれてるわ…」

ひなた「アタシたち…本当に何も出来ないんだね…」

のどか「うん…」

 

プリキュアとしてビョーゲンズと戦ってきた3人は無力感に包まれる。カバンの中のパートナーたちと抱きかかえているラテが不安そうにのどかたちを見つめていた。

 

のどか「あれ……?なんだろう……?」

 

その時、のどかは街の上空に違和感を感じ取った。何かが円盤のように宙に浮いており、それが空中で静止した瞬間、空に1本の線が出来たように見えた。

しかしそう思ったのもつかの間、その線は瞬く間に数を増やしていった。

 

のどか「も、もしかして…!」

ちゆ「ゲムデウスが…!」

ひなた「出てきちゃうの!?」

 

距離こそ離れているが、しっかりと目視で確認できるほどハッキリと空にヒビが入っている。気づけば喧騒は止み、誰もが息を飲んで青空に浮かぶヒビを見ていた。そして…

 

パリィン!

 

と破砕音が聞こえてくるように空が割れ、眩い光と共に最強のバグスターが姿を現す。

 

のどか「え…?」

超ゲムデウス「………」

 

しかし、現れたバグスターは先日とは比べ物にならないほどの大きさに変貌を遂げていた。夕焼けに映し出された巨影は幻のように揺らめいていた。

 

 

ーーー1時間前

 

 

ゲムデウス攻略作戦が遂行される1時間前、ドクターたちは再び集結し、作戦の最終確認をしていた。ゲームスコープの通信で日向恭太郎も会議に参加している。

 

永夢「という作戦で、ゲムデウスを僕達の世界に呼び戻します」

恭太郎『そうか…わかった。では作戦を始める前に住民の避難を衛生省で行う。広い敷地内にすこやか市内の人々を集め、街をできる限り無人の状態へしておく』

飛彩「了解した。しかし、ゲムデウスが出現するとゲーム病の再発とそれに伴うパンデミックが起きる危険性があるのでは?」

 

飛彩は人々を密集させることへのリスクを問う。人々を集めることでクラスターが発生することを懸念しているのだ。

 

恭太郎『その点については…』

貴利矢「自分たちが作ったゲムデウスワクチンの量産型ガシャットで対応する。でしょ?」

恭太郎『ああ。九条君と八乙女先生の研究で強化されたゲムデウスワクチンには劣るが、それでも強力な効果を発揮してくれるだろう。これを街の人々に予防として接種してもらう』

大我「そいつも衛生省の職員が何とか出来んのか?」

 

ガシャットはゲーマドライバーやガシャコンウェポンシリーズに装填して効果を発揮するアイテムだが、一般の医療では当然使用する場面も器具もない。

 

恭太郎『その点についても心配はいらない。衛生省と幻夢コーポレーションが共同で改良したバグヴァイザーを使い、ワクチンを散布する。ガシャット自体は1スロット分の使い捨てだが、大量生産が出来ているため数に問題はない』

大我「…そうか」

 

バグヴァイザーと聞いて一瞬思う所があったようだが、現在の幻夢コーポレーションは信頼するにおけると判断したのかそれ以上大我は何も言わなかった。

 

恭太郎『では、避難のことは我々に任せてくれ。君たちはゲムデウスの速やかな攻略を頼む』

永夢「ハイ!」

 

攻略法を定め、身支度を終えたドクターたちは沢泉を後にする。程なくして、すこやか市中に避難命令が下された。

 

飛彩「街の人々には申し訳ないが、今は耐えてもらうしかない」

大我「ゲーム病になるよりマシだろ」

貴利矢「そうそう。それに今回はこっちがゲムデウスを引きずり出すんだ。余計な被害が出る心配も幾分マシになるでしょ」

 

永夢「そうですね。準備のし過ぎということはありません。ゲムデウスはそれだけの相手です」

 

衛生省の避難命令によって静寂に包まれた街中を歩く4人は先日戦った広場へと到着した。それぞれゲーマドライバーを腰に巻き、戦闘準備を終えるのと同時に永夢のゲームスコープが呼び出し音と共に振動する。

 

prrrrr♪

 

恭太郎『住民の避難は完了した。永夢…みんな…始めてくれるか…?』

永夢「ありがとうございます。恭太郎先生」

大我「ゲムデウスは俺たちがぶっ潰してやる」

飛彩「ああ、これ以上ゲムデウスの脅威はノーサンキューだ」

貴利矢「んじゃ、いっちょやりますか。永夢!」

永夢「ハイ!」

 

ゲムデウスへの対策は打てるだけ打った。後はゲムデウスを攻略するのみ。その信念を胸に永夢がポケットからガシャットを取り出す。永夢は一瞬ガシャットを見つめたが、すぐに空へ目を向ける。そしてガシャットの起動ボタンを力いっぱい押し込んだ。

 

\KAMEN RIDER CHRONICLE/

 

起動されたガシャットから低音の電子音声でタイトルコールが行われる。永夢が起動したのは大我が持ってきていた仮面ライダークロニクルガシャットであった。

そしてクロニクルガシャットからドクターたちの手元にあるアイテムが光と共に放出される。それぞれが手を差し出すとそれはクロニクルのバグスター攻略の証、『ガシャットロフィー』へと姿を変えた。

 

飛彩「行くぞ…」

大我「ああ…」

 

4人は13本のトロフィーを掲げる。するとトロフィーが輪を描くように宙に浮かび、空高く浮上していく。一定の高さに到達した時、オレンジ色になりつつある空に一筋の線が浮かび上がった。

 

飛彩「よし!これならきっとゲムデウスを呼び出せるはずだ…!」

永夢「それにしても、ニコちゃんが攻略したクロニクルガシャットにバグスターのガシャットロフィーが残ってて良かったです。それにガシャットを持ってきてくれていた大我さんにも感謝しないと」

大我「感謝されることなんか何もねえだろ」

 

そう。永夢達のゲムデウス攻略法の第一歩はゲムデウスを引きずり出すことである。

その第一歩の為に取った方法とは、ゲムデウスを呼び出す本来の手順。すなわち「13本のガシャットロフィーを集めゲムデウスを降臨させる」というものであった。実際上手くいくかは分からなかったが、この方法しかなかったのだ。

 

貴利矢「さーて、後は神のみぞ知るってやつだな」

 

貴利矢が呟くのと同じタイミングで夕焼けの空に架かる光の線は瞬く間に空間にヒビを作り始める。先日ゲムデウスが逃げた時と同じような光のヒビ。それを見たドクターたちは成功を確信した。

 

貴利矢「よっしゃ!後はラスボスを攻略するだけだ!チェッカーフラッグは貰ったぜ〜!」

大我「覚悟しやがれ、ゲムデウス…!」

飛彩「短期決戦だ。迅速にオペを終わらせる!」

 

ガシャットを構え、ゲムデウスが現れるのを今か今かと待ち構える。その中でただ1人永夢は強烈な違和感を感じ取っていた。

 

永夢「おかしい…前にゲムデウスが現れた時には、こんなに大きなヒビじゃなかった…。ゲムデウスを呼び出すことにはおそらく成功してる…だったら…………まさか!?」

 

永夢は何かに気づいたが、その予感は的中することとなってしまった。ヒビはどんどん大きくなっていくが、10階建てのビルほどの大きさまで広がったところでピタリと止まってしまった。

 

飛彩「これは…どういう事だ…!?」

大我「ゲムデウスが出てくんじゃねえのか!?」

 

流石に飛彩達も違和感を覚え、数歩後ずさった。が、それと同時にヒビを突き破るように双頭の龍が勢いよく顔を出した。

 

貴利矢「オイ!コイツはまさか!?」

 

永夢が確信したゲムデウスの状態に貴利矢も気づく。龍は空間を食い荒らすように残ったヒビを砕き、その姿の全貌を現す。

 

永夢「超…ゲムデウス…」

 

空間の向こうから巨大な姿へと変化したゲムデウスが悠々と降臨する。永夢達は予想だにしていなかった事態にしばらく飲み込まれてしまった。

 

 

ーーー学校

 

 

超ゲムデウスの降臨に怯える人々は体育館や教室に移動していた。そんな中、のどかはゲムデウスの方を見て不安の表情を浮かべていた。

 

ラテ「クシュッ!!」

のどか「えっ!?」

ちゆ「ラテ!」

ひなた「早く診察しなきゃ!」

 

そんな中、ゲムデウスが現れると同時にラテの体調が悪化してしまった。のどかはちゆとひなたと一緒に校舎の影に移動し診察を行った。

 

のどか「ラテ!大丈夫!?」

ラテ『あの怪物の中で、3つの力が泣いてるラテ…』

 

聴診器をあて、心の声を聞いたのどかは思わずゲムデウスに振り返る。ラテを治すには、あの怪物に立ち向かわなければならないことを意味していたからだ。

 

ひなた「あんなのと…戦わなきゃいけないの…?」

ちゆ「バグスターに私達の力は通用しないわ…でも…」

のどか「このままじゃ…ラテが!」

 

バグスターに対しては例外なくプリキュアの力は効かなかった。更に昨日のゲムデウスウイルスによるゲーム病を発症した人々の症状が脳裏をよぎり、のどか達の身体を強ばらせた。

 

ラテ「クシュッ!クゥン…」

ラビリン「ラテ様!?」

ペギタン「早くお手当てしなきゃペェ!」

ニャトラン「けどどーすりゃいいんだよ!アイツに攻撃が通用しないとどうしようも無いニャ!」

のどか「ラテ………ッ!」

 

ラテの苦しむ姿を見て、のどかは決心する。弱っていくラテを抱きかかえ、ラビリンをカバンに入れて駆け出した。まず向かったのは両親の元だ。

 

たけし「のどか?どうしたんだ?」

やすこ「まぁ!ラテちゃん!どうしたの!?」

 

一目でラテの様子がおかしいと分かるほど今のラテは苦しそうな表情をしている。

 

のどか「お父さん、お母さん。ラテ、具合が悪くなっちゃったみたいなの。だから……私……お薬とってくる!」ダッ

やすこ「のどか!」

 

のどかはその言葉を絞り出すように伝えた後、両親の返事も聞かず脱兎のごとく駆け出した。もちろんラテに効くお薬を探しに行くわけではない。

ラテを治すため、地球を守るため、プリキュアとして戦うために走り出したのだ。

 

???「待ちなさいっ!」

のどか「っ!」

 

校庭を抜け、校門に差し掛かったのどかを呼び止める声がした。母親が追いかけてきたと思ったのどかは振り返る。だが、そこに立っていたのはのどかの大切な友達の1人だった。

 

のどか「ちゆちゃん…」

ちゆ「私も戦うわ!私だってプリキュアの1人だもの。それに、どんなに絶望的な状況でも諦めずに力を尽くすことを鏡先生に教えてもらったから…」

のどか「うん!」

ちゆ「行きましょう!」

???「ちょーっと待ったー!」

 

走り出そうとする2人を呼び止めた声に、思わず顔を見合わせ笑みを零しながら2人は振り返る。全力で走ってきたのか膝に手を当てて息を整えているひなたも顔を上げ、輝くような笑顔を見せる。

 

ひなた「アタシも行く!ここで2人と一緒に行かなかったら絶対ぜ〜ったい後悔する!タイガーと約束したの!アタシは後悔しない選択をするって!」

のどか「ひなたちゃん…うん!」

ちゆ「ええ!」

 

ひなたの選択をしっかりと受け止め、3人はゲムデウスに向けて走り出す。例え適わなかったとしても、最後の最後まで諦めない意志を持って。

 

のどか「待っててね…ラテ!永夢先生!」

 

 

ーーー広場

 

 

のどか達がこちらへ向かっていることなど知る由もない永夢達は予想外のパワーアップをしたゲムデウスに驚愕していたが、すぐに変身のためガシャットを起動する。

 

\マキシマムマイティX!/

\タドルファンタジー!/

\バンバンシューティング!ドラゴナイト!ハンター!Z!/

\爆走バイク!ジェットコンバット!/

 

4人「変身!」

 

\ジェットコンバーット!/

\ドラゴナイトハンター!Z!/

\タドルファンタジー!/

\マキシマームパワー!X!/

 

エグゼイド「行くぜ!」

超ゲムデウス「我に挑む愚か者よ…我の力、存分に思い知らせてくれるわ!」

 

夕暮れの中、最終決戦が始まる。4人は持ちうるガシャットをフルスペックで投入しゲムデウスへ立ち向かう。

レーザーは上空からの牽制

 

レーザー「オラオラァ!」

 

スナイプはフルドラゴンの火力を最大威力で打ち続ける。

 

スナイプ「喰らいやがれ!」

 

ブレイブは魔法と剣技を駆使しゲムデウスへ取り付こうと奮闘する。

 

ブレイブ「はあぁっ!」

 

エグゼイドは伸縮自在の両腕両足をムチのようにしならせながらゲムデウスへ立ち向かう。

 

エグゼイド「なんとかしてダメージを与えるかワクチンを撃ち込む隙を作らないと…!」

 

先日撃ち込んだワクチンは完全に効果を失っていたようだ。ワクチンを無力化した理由は分からないが、どの道攻略法に変更の余地はなかった。

 

超ゲムデウス「ふはははは!その程度か!?そんな攻撃ではラスボスを攻略することなど出来ぬわァ!」

 

超ゲムデウスの両腕『デウスファーブニル』が青白い炎を吐き散らす。辺りに飛び火した炎は瞬く間に赤黒く変色し地球を蝕む。

 

ブレイブ「やはりあの姿になってもメガビョーゲンと同じ特性を引き継いでいるのか…!?」

 

ブレイブは魔法で地面に瘴気を張り巡らせ、地球の侵食を防いでいた。しかし広範囲に渡るゲムデウスの攻撃を全て防ぎきれず、魔法が及ばない場所が侵食されてしまっている。それに長時間の魔法の使用は飛彩の体にとてつもないバックダメージを与えることとなってしまう。

 

レーザー「ちょっとはダメージ受ける素振りくらいしろっての!……ん?」

 

上空でガトリングガンを撃ち放つレーザーはゲムデウスのある異変に気づいた。デウスファーブニルの先端。つまり龍の頭部がボコボコと変異し始めているのである。

 

レーザー「あんなの見たことねえぞ…永夢!様子が変だ!気をつけ…ぐあっ!」

エグゼイド「貴利矢さん!」

 

レーザーは警告を言い終える前に激しい衝撃に襲われた。バランスを崩し落下する中で見た光景を貴利矢は信じることが出来なかった。

それと同時に地上でも不可思議な現象が起こっていた。ブレイブが地球侵食を食い止めるために張り巡らせていた魔法が消し去られてしまった。それもゲムデウスの攻撃で吹き飛ばされたという訳ではなく、初めからそこになかったようにこつぜんと消滅していたのだ。

 

ブレイブ「なんだと!?」

スナイプ「余所見してんじゃねえ!」

 

自身の魔法が消されたことに動揺したブレイブを狙った攻撃をスナイプが察知し、ブレイブを押し出すようにして攻撃から逸らす。さっきまでブレイブが立っていた場所は一瞬で蝕まれてしまっていた。

 

ブレイブ「なぜ俺の力が失われたんだ…!」

スナイプ「野郎…まさか…」

レーザー「院長先生の予想、多分当たってるぜ…」

 

スナイプが気づいた変化を肯定するレーザーはゲムデウスが振るうデウスファーブニルを指差す。その右腕は白い羽根が生え始めており、あっという間に腕を覆い尽くす。左腕には戦艦の砲台のような武装が増えている。先程貴利矢を狙撃したのは間違いなくあの砲台であろう。そしてその特徴を持つゲームをライダー達は知っている。

 

ブレイブ「タドルレガシーと…」

スナイプ「バンバンシミュレーションズを…」

レーザー「取り込んじまったって訳か…」

 

だが、永夢達が先日の戦いで奪われたガシャットはもう一本ある。どんな強敵にも打ち勝ち、逆境を乗り越えてきた奇跡のガシャット『ハイパームテキ』だ。2つのゲームの能力が発動した今、必然と言わんばかりにゲムデウスの身体が輝き始める。辺りはすっかり暗くなっていたが、ゲムデウスの輝きが周囲を照らし出す。

 

超ゲムデウス「我の無敵時間は…無制限なり!さぁ!第2ステージの幕開けだ!」

エグゼイド「ムテキの…ゲムデウス…」

 

無敵の輝きで広場は昼間のように明るくなった。永夢達はここでワクチンが無力化された理由をようやく理解した。ゲムデウスはハイパームテキを取り込みその力を使うことでワクチンを打ち消し、自身はどんなダメージも通さないムテキの力を得たのだと。それも時間制限の無い永遠の無敵時間と一緒に。

 

本来バグスターがガシャットを取り込んでパワーアップするという事は万に一つも起こりはしない。だが、ガシャットを取り込んでワクチンを無力化し、超ゲムデウスへのパワーアップを果たした要因はゲムデウスを構築するナノビョーゲンの存在だった。

身体中のナノビョーゲンがガシャットを取り込むことで、ガシャットに秘められた能力をゲムデウスへ与えてしまっていた。

 

ブレイブ「馬鹿な…!」

スナイプ「ラスボスが制限時間無制限の無敵になるだと…」

レーザー「無理ゲー通り越してクソゲーじゃねえか!」

 

右腕は魔法で、左腕からは砲撃が、ゲムデウスそのものはムテキとなって仮面ライダーに襲いかかる。

ライダー達は身構えたが、突如として浮遊感に襲われる。タドルレガシーの魔法の力で4人まとめて浮遊する魔法を使役されたのだ。身動きの取れない4人にバンバンシミュレーションズの砲台が照準を定める。

 

スナイプ「くそっ…!」

 

スナイプが悔しげに吐き捨てるのと同時に砲弾が雨のように発射された。ライダー達は必死に砲弾を弾いていたが、全てを捌くことは出来ずに直撃を貰ってしまった。身体の拘束が解かれ、地面に転がり落ちるライダーを見てゲムデウスは高らかに笑い声をあげた。

 

ブレイブ「ヤツの力をどうにかして奪い返さねば…!」

レーザー「けど、ムテキの力まで手に入れられちゃかなりの無理ゲーだぜ…!」

エグゼイド「何か…何か方法があるはず…!」

 

絶望的な状況の中、それでも希望を見出そうとするライダーたちを嘲笑うようにデウスファーブニルが大口を開け、火炎を放とうとした。

 

超ゲムデウス「終わりだ!仮面ライダー!」

???「はぁーーーっ!」

 

その時、何者かが乱入し、デウスファーブニルの双頭を蹴り上げ、火炎の軌道をエグゼイドたちから逸らした。難を逃れたエグゼイドたちの前にピンク、青、黄色のコスチュームを纏う女の子らが着地する。

 

エグゼイド「プリキュア…!」

グレース「大丈夫ですか!?」

 

ブレイブ「何故ここに来た!」

フォンテーヌ「私達も、ただ見ていることなんて出来ないんです!」

 

スナイプ「遊びじゃ…ねえんだぞ…!」

スパークル「分かってるよ!でも…アタシたちにも戦う力がある!」

 

グレース「私達も、地球をお手当てするお医者さん…ううん、プリキュアとして!」

 

3人「一緒に、戦う!」

レーザー「だってさ。しょうがねぇなぁ」

 

思いがけない増援に窮地を救われた仮面ライダーはプリキュアと肩を並べる。その目はしっかりとゲムデウスを見据え、攻略の糸口を探っていた。

 

エグゼイド「君たちの攻撃は元々通用しない。その上ムテキの力が今のゲムデウスには宿ってしまっているんだ」

グレース「分かっています。けど…私たちにも出来ることがあります!みんな!」

プリキュア「キュアスキャン!」

 

グレースの掛け声でプリキュアはゲムデウスの身体をスキャンし、ガシャットが取り込まれている位置を特定する。プリキュアはそれぞれの龍の頭部とゲムデウスの胸の一部に取り込まれた煌めきを見逃さず、ガシャットを見つけ出すことに成功した。

 

フォンテーヌ「あの位置に、先生方のガシャットが取り込まれています!」

ブレイブ「サンキューだ!アレをどうにか摘出する方法を…!」

スパークル「危ない!」

 

だが、スキャンし終えたのを見計らったのか再びゲムデウスが攻撃を開始した。

 

レーザー「くそっ!やっぱ空中には弾幕かよ!」

ブレイブ「やはり魔法は使えないか…!」

 

再び空中へ飛び立ったレーザーを狙う無数の砲弾、地上を守ろうとするブレイブが使う魔法の無力化。ゲムデウスは二つの力を遺憾無く発揮し、仮面ライダーを追い詰めていく。レーザーを捉えられなかった砲弾はすこやか市の街中に飛来し、着弾地点を蝕んでゆく。

 

スパークル「街が!」

フォンテーヌ「私たちはあの砲弾を撃ち落としましょう!」

グレース「うん!」

 

攻略の糸口が見えるまで地球が蝕まれるのを少しでも食い止めようとプリキュアはステッキからビームを撃ち出して砲弾を撃ち落としている。

 

スナイプ「エグゼイド!ワクチンが無力化されてる以上、俺たちの切り札はお前のガシャットだ!リプログラミングしかムテキになったゲムデウスに対抗する術はない!」

 

スナイプは仮面ライダーとしての経験とゲームへの理解から、今のゲムデウスに対抗できる手段はリプログラミングしか無いと考えていた。

以前プレイした永夢の過去を元に作られたノベルゲーム『マイティノベルX』の世界でパラドがムテキゲーマーに対して放ったリプログラミングの一撃が有効であったことがその裏付けになっていた。

 

エグゼイド「けど!リプログラミングできたとして、ガシャットを摘出する方法が……!」

 

激しい攻撃に晒される中、エグゼイドは思慮を巡らせる。ゲムデウス攻略の手段を、手持ちの能力、アイテムで見出すことは正にゲームと同じであった。

途方もない力を得たラスボス。言うなればエグゼイドたちはそれを倒さんとする勇者のような立ち位置にいた。

 

スナイプ「それは後回しだ!今は俺達があの野郎を引きつける!その隙に最大火力で撃ち込め!ブレイブ!レーザー!」

ブレイブ「了解だ!」

レーザー「空中はノリが悪すぎるぜ…こっちに乗り換えだ!」

\シャカリキ!スポーツ!/

 

コンバットバイクゲーマーが不利と悟ったレーザーはスポーツバイクゲーマーへレベルアップし直し、ブレイブ・スナイプと共にリプログラミングの隙を作る。

ブレイブは消されると分かっていながら魔法の力でバグスター戦闘員を大量に呼び出しゲムデウスの気を逸らす。スナイプは火球やドラゴナイトガンをゲムデウスの頭部目掛けて放ち続ける。爆煙が晴れたゲムデウスの視線を誘導するようにレーザーの車輪ブーメランが横切っていき、ゲムデウスを技で翻弄していく。

 

超ゲムデウス「小癪!そのようなものが我に通用すると思っているのか!」

 

当然、ムテキの力を得ているゲムデウスにダメージはないが、煩わしい攻撃にゲムデウスは苛立っていた。全ての攻撃を振り払うと空中で円を描くように一回転する。それは胴体部分に接続された大剣『デウスカリバー』を思い切り振り下ろそうとする動作だった。

 

超ゲムデウス「消しとべ!仮面ライダーよ!」

 

勢いよく振り下ろされたデウスカリバーは広場に易々と深い傷をつけ、ライダーを弾き飛ばした。だが、それこそが3人の思惑だったのだ。大技を振るうため一瞬視界が外れたその瞬間を狙い、エグゼイドが上空へ飛び立っていた。狙いはもちろんゲムデウスのリプログラミングだ。

 

\MAXICIMAM MIGHTY! CRITICAL BREAK!/

エグゼイド「リプログラミング!はぁーーーっ!」

超ゲムデウス「何ィ!?ぐおおああああ!」

エグゼイド「おおおおおお!」

 

マキシマムゲーマーの必殺キックがゲムデウスの胸にヒットする。ムテキ状態にも関わらず、強烈な一撃を受けたゲムデウスは驚きと困惑の声を上げ、爆発に包み込まれた。エグゼイドは攻撃を回避したライダーたちの元へ着地する。

 

レーザー「へへっ!どーよ、乗せられたろ!」

スナイプ「これでムテキの力が失われたはず!」

ブレイブ「あとはガシャットを回収し、奴を切除するだけだ!」

 

希望の一撃を叩き込み、戦意を上げるドクターたち。しかし爆煙が晴れる前にその上空に無数の光が浮かび上がった。

 

エグゼイド「何だ!?」

 

光は形を変え剣の様な姿になる。永夢達がリプログラミング出来たのはムテキの力のみだった。タドルレガシー及びバンバンシミュレーションの力をリプログラミング出来なかった為、黄金の輝きを失ったもののゲムデウスは超ゲムデウスの姿のまま健在である。

 

レーザー「マジか!?」

ブレイブ「くっ…!これは防ぎきれない!」

フォンテーヌ「なんて数…」

スパークル「できるだけ…数を減らさないと!」

 

超ゲムデウス「貴様らの希望など、全て蝕んでくれるわ!」

 

ゲムデウスはそんなエグゼイドたちの考えを浅はかと言わんばかりに、魔法の力で更に光の剣を何本も形成する。生み出された無数の剣は勇者の力とは呼べないほどどす黒い色をしていた。

 

グレース「ダメーーーっ!」

 

グレースの悲痛な叫びも虚しく射出された剣は仮面ライダーやプリキュアだけでなく、広場全体に襲いかかる。広範囲に際限なく作られる剣を撃ち込まれ、辺りは一瞬で蝕まれていった。

 

スパークル「そんな…」

ニャトラン「スパークル!大丈夫かニャ!?」

フォンテーヌ「私達…地球を守れないの…?」

ペギタン「諦めちゃダメペェ!」

 

フォンテーヌとスパークルは目の前に広がる光景に思わずへたり込んでしまう。あまりに強大な力の前にその表情には絶望が浮かび上がっている。

 

スナイプ「無事か!」

ブレイブ「まだだ!まだ終わってはいない!」

フォンテーヌ「先生…」

スパークル「タイガー…」

 

2人に駆け寄るブレイブとスナイプはまだ諦めていない。ガシャコンソードの切っ先を、ハンターゲーマの銃口を向け、ゲムデウスに突っ込んでいく。既にエグゼイドとレーザーはゲムデウスへ肉薄していた。

 

グレース「諦められない…」

 

俯いている2人はその言葉にハッと顔を上げる。ゲムデウスを見つめるグレースは振り返り、フォンテーヌとスパークルに想いを伝える。

 

グレース「永夢先生達は私達に大切なことをたくさん教えてくれて…ゲーム病やビョーゲンズからみんなを救い出してくれた!今も私達の大切な街や人を守るために戦ってくれてる…!だから…私は絶対に諦めない!」

ラビリン「グレース…」

スパークル「そうだよね…アタシたちの大切な場所だもん…」

フォンテーヌ「ええ…!」

グレース「フォンテーヌ…スパークル…うん!」

 

手を取り合い、プリキュアは立ち上がる。

 

グレース「行こう!」

フォンテーヌ「ええ!」

スパークル「うん!」

 

3人は一歩、また一歩と踏み出していく。それは次第に駆け足となり、最終的にプリキュアはゲムデウスへ向かい全力で疾走する。そして仮面ライダーの横をすり抜けた後、ゲムデウス目掛け大きく跳躍した。

 

エグゼイド「グレース!危ない!」

ブレイブ「君たちの攻撃は効かない!下がっているんだ!」

 

咄嗟にプリキュアを止めようとするが、受けたダメージが大きく、声を上げることしか出来なかった。

 

グレース「やぁーーーっ!」

超ゲムデウス「何…!?」

 

予想だにしていなかった攻撃にゲムデウスは防御をすることもなくプリキュアの攻撃を身に受けた。が、攻撃自体は命中したにも関わらずやはりダメージとなってはいなかった。

 

フォンテーヌ「くっ…!」

スパークル「やっぱ意味無いかもだけど…!」

 

レーザー「頑張りすぎだよお嬢ちゃんたち!」

スナイプ「俺達も行くぞ!」

ブレイブ「ああ!」

 

効果を認められないにも関わらず攻撃の手を緩めないプリキュアに仮面ライダーは突き動かされる。全神経を集中させゲムデウスの攻撃を回避し、ただひたすらに攻撃する。

 

グレース「たぁっ!」

フォンテーヌ「はあっ!」

スパークル「やあっ!」

 

超ゲムデウス「ぐっ…ぬぉぉぉ!」

 

プリキュアの同時キックがゲムデウスのボディに命中する。ムテキ同様にダメージこそ無いものの衝撃によるノックバックでゲムデウスの巨体が仰け反る形になった。エグゼイドはこのチャンスを見逃さず、リプログラミングによって初期化され、ムテキの力を剥奪されたゲムデウスにワクチンを撃ち込もうとガシャコンキースラッシャーを取り出す

 

エグゼイド「こんなチャンスはもう来ない…!ここで決める!」

\キメワザ!/

 

ガシャコンキースラッシャーにガシャットを装填する。

 

グレース「みんな!今だよ!」

フォンテーヌ「ええ!」

スパークル「うんっ!」

 

プリキュア「エレメントチャージ!」

 

エグゼイドに続き、プリキュアも3人同時にそれぞれの技を発動させる。しかし、ゲムデウスもそのまま終わるラスボスではなかった。

 

エグゼイド「よし!………えっ?」

レーザー「マズイ…!永夢!」

スナイプ「ブレイブ!」

ブレイブ「分かっている!」

 

ガシャットを装填し、狙いを定めるために顔を上げたエグゼイドは目を疑った。ノックバックによって体制を崩されているはずのゲムデウスはデウスファーブニルをこちらに向け、出力最大のエネルギー砲を今にも放とうとしていたのだ。体制が崩れているためまともな照準を付けてはいないだろうが、巨大な口から放たれるビームは狙いなどつけずとも充分こちらに命中するサイズだ。

 

スパークル「嘘でしょ…」

フォンテーヌ「もう少しなのに…」

グレース「永夢先生…!」

 

超ゲムデウス「今度こそ、貴様らは完全にゲームオーバーとなるのだ!」

 

回避が間に合わないプリキュアの3人は反射的に目を閉じる。目を閉じたグレースのまぶたの裏にはこの街で育んだ思い出が映し出されていた。プリキュアになった時のこと、3人で遊びに出かけた時のこと、ビョーゲンズから地球を守ってきたこと、そして永夢達と過ごした時間のこと、その全てが一瞬で蘇る。目を開けたグレースの頬に一筋の涙が伝った。

 

 

グレース「ごめんね…」

 

 

青白い光線が発射される。その瞬間、その場だけが朝を迎えたように明るくなった。グレースは誰に向けた訳でもない謝罪の言葉を呟き、迫り来る一撃を受け入れようと再び目を閉じた。だが…

 

グレース「えっ…!?」

 

襲い来るはずの圧倒的な熱量は感じられず、目を開いたグレースの目の前には、先程までエグゼイドが装備していたマキシマムゲーマがキュアグレースを守るように射線上に割り込んでいた。

グレースは安否を確認するためフォンテーヌとスパークルを見る。目を向けた先ではブレイブとスナイプがそれぞれ身を呈して2人を守っていた。

ブレイブとスナイプはファンタジーゲーマーの魔法でプリキュアの眼前に瞬間移動し、気力でゲムデウスから放たれた一撃を受け止めていた。

 

フォンテーヌ「先生…!」

スパークル「なんでアタシ達のこと…!」

ブレイブ「そんなことは決まっている…!俺たちはドクターだ…!」

スナイプ「あの野郎に…ぐっ…!誰も消滅させられる訳にはいかねえんだよ!」

 

フォンテーヌ「先生…」

スパークル「タイガー…」

 

マキシマムゲーマをグレースの救援に向かわせたエグゼイドはレーザーが庇う。レーザーはエグゼイドがマキシマムゲーマを自分ではなくプリキュアの援護に向かわせると信じ、自らはエグゼイドの盾となったのだ。

 

レーザー「無事か!?永夢!ぐぅぅぅ!」

エグゼイド「貴利矢さん!?」

 

グレース「みんな!」

 

グレースは物言わぬマキシマムゲーマの影から必死に呼びかける。しかし、マキシマムゲーマも仮面ライダー達もゲムデウスの攻撃を受け止め続けることは出来なかった。それどころか、ライダースーツが赤黒く蝕まれていき、防御力がどんどん低下していた。それでも歯を食いしばり耐え続けていたドクター達の体は遂に爆煙に包まれてしまう。

 

エグゼイド「飛彩さん!大我さん!!貴利矢さん!!!うわぁぁぁっ!」

 

\ガッシュ-ン/

 

その身を盾にしたブレイブ達は爆風で吹き飛ばされ、赤黒い地面を転がる。エグゼイドはレーザー諸共弾き飛ばされていた。受けたダメージで変身が解除されたのが不幸中の幸いとなり、ゲームオーバーとなった者はいなかった。

 

飛彩「ぐ…」

大我「まだ、だ………!」

貴利矢「ゲムデウスのやつは…!」

 

超ゲムデウス「やはり貴様らはゲームオーバーとなる運命なのだ…」

 

永夢「ッ…!」

 

ダメージを負い、身動きの取れない4人に重苦しい重圧を含んだ声が降り掛かってきた。土埃の中でもハッキリと見える体躯、こちらを悠々と見下しているその存在は邪悪な笑みを浮かべていた。

 

永夢「ここまで来たのに…」

大我「クロノスの力なら…!」

飛彩「よせ!その状態ではお前の身体がもたない!」

大我「じゃあ他に策があるってのか!?」

飛彩「それは…」

貴利矢「打つ手なしかよ…」

 

大我の身を案じ、悔しげに漏らした貴利矢の言葉通り、現状で持ちうる最大の力で立ち向かったがゲムデウスを仕留めるまでに至らなかった。ワクチンの刺さったガシャコンキースラッシャーは衝撃で後方の地面へと飛ばされていたが、取りに向かう余裕はなかった。第一、取りに行くことが出来る状態だとしてもゲムデウスがそれを許すはずがない。

 

超ゲムデウス「貴様らの迎えるエンディングは…バッド…エンドだぁ!」

 

ゲムデウスは勝利宣言のようにエンディングを宣告し、右腕を頭上へ持ち上げる。そのまま振りかぶった腕を一息に振り下ろして幕引きの一撃が繰り出された。砂埃を巻き上げ、衝撃で大地が揺れたかのような重い

 

超ゲムデウス「これで我を阻む者は誰もいない…!我はこの世界の頂点に君臨するラスボスとなったのだァ!ハァーッハッハッハ!」

 

???「そんなの…絶対に認めない!」

 

超ゲムデウス「何…?」

 

???「まだ私達がいる!」

???「これ以上…大我たちを傷つけることは許さない!」

 

ゲムデウスの腕は永夢達に届く前に肉球の模様が入った光の盾に阻まれていた。シールドの下でプリキュアがゲムデウスを睨みつけている。

 

永夢「プリ…キュア…」

飛彩「ゲムデウスの攻撃を…」

大我「受け止めやがった…」

 

キュアグレース「あなたは私達が攻略する!」

キュアフォンテーヌ「この街も先生方も、私達の手で守ってみせる!」

キュアスパークル「だってアタシたち…!」

 

3人「プリキュアだから!!!」

 

その瞬間、3人のステッキに新たな光が宿る。だがその光に誰も気づくことはなく、プリキュアはゲムデウスめがけ飛びかかっていく。

 

フォンテーヌ「絶対に一矢報いて見せる!」

グレース「永夢先生達が教えてくれたやり方で!スパークル!」

スパークル「オッケー!」

 

\発光!/

 

グレースの指示と共にスパークルはエナジーアイテム『発光』を取得し、その身を眩い光が包みこむ。輝きの意味を持つスパークルの名に恥じない閃光が辺りを照らし出す。

 

超ゲムデウス「うぬぅ!?」

 

予想外の展開にゲムデウスは閃光をまともに受け、目を眩ませた。その隙を逃さずガラ空きの胴体部分に飛び蹴りを3人同時に叩き込んだ。ゲムデウスの体が大きく後退する。

 

飛彩「なんという力だ…!」

 

超ゲムデウス「おのれぇ!小娘共ぉ!!」

 

眩んでいた目が回復したゲムデウスは怒りの雄叫びと共に魔法の剣と砲弾の弾幕を形成する。

 

フォンテーヌ「もうその攻撃は喰らうものですか!」

 

\挑発!/ \反射!/

 

その動きを見越していたフォンテーヌは新たに出現したエナジーアイテム『挑発』と『反射』の2つを組みあわせて発動させた。挑発の効果でゲムデウスの攻撃が全てフォンテーヌへと引き寄せられるが、フォンテーヌは微動だにせず受け止めた。だが、剣も砲弾もフォンテーヌに命中することなく、反射の効果で全てゲムデウスへと打ち返される。流れる水が全てを押し返すように跳ね返った攻撃がゲムデウスへと降り注いだ。

 

大我「エナジーアイテムを使いこなしてやがる…」

 

ゲムデウス「何故だ!?何故こんな小娘共に我が押されているのだ!?」

 

グレース「あなたと戦っているのは私たちだけじゃない!街の人達の願いやこの街に宿る命の力、それに仮面ライダーの信念が私たちに力をくれているの!」

 

\分身!/

 

グレースはエナジーアイテム『分身』を使い自身の分身を形成する。花が咲き誇るように次々と複数のキュアグレースが並び立つ。

 

キュアグレース「みんなであの怪物を抑え込むよ!」

分身グレース「うん!」

 

本体であるキュアグレースの号令に応え、分身したグレースは次々とゲムデウスに取り付き、遂にデウスファーブニルを地に伏せる。分身体のグレース達は力を振り絞り両腕を拘束する。そしてゲムデウス本体にも無数のグレースが取り付くことで完全にゲムデウスを押さえ込んでいた。

 

貴利矢「マジかよ…ゲムデウスの動きを止めちまったぞ…」

永夢「すごい…」

 

天才ゲーマーと呼ばれた永夢も驚嘆の声を漏らさずにはいられなかった。自然と笑みが零れた永夢はふらつく足を支え立ち上がる。

 

グレース「みんな…いくよ!!」

フォンテーヌ「ええ!」

スパークル「うん!」

 

プリキュア「エレメントチャージ!」

 

先程撃てなかった浄化技を再度発動させる。技の発動と同時に分身したキュアグレースは本体の元へ戻っていく。

 

スパークル「プリキュア!ヒーリング・フラーッシュ!」

フォンテーヌ「プリキュア!ヒーリング・ストリーム!」

グレース「プリキュア!ヒーリング・フラワーッ!」

 

3本のステッキから放たれた光と水と花のエネルギーはゲムデウスが捕らえているガシャットに寸分たがわず命中・摘出する。その瞬間、力の源を失ったゲムデウスの体からナノビョーゲンが勢いよく吹き出していく。宿主を失ったナノビョーゲンは光に包まれて消えていった。ビョーゲンを浄化されたことで、蝕まれていた地球も元に戻り、ゲムデウスも元の人型へと戻っていく。

 

ゲムデウス「ぐぉおおおおお!バカな!こんなことがァァァァ!?」

 

飛彩「あれが奴の力となっていたのか…!」

大我「だったら…今のアイツはただのバグスターってことになるな…」

貴利矢「永夢のリプログラミングがバグスターの特性を初期化したから彼女達の攻撃が通ったのか…?」

 

永夢に続いて3人も立ち上がり、力を失ってゆくゲムデウスを見つめる。だが、ゲムデウスウイルスそのものは健在であるためゲムデウスを消滅させるまでに至らなかった。プリキュアは立ち上がった永夢、飛彩、大我の前にそれぞれ歩み寄り、手を差し出す。

 

スパークル「はいっ!大事なもの、取り返したよ!」

大我「奪われていた俺たちのガシャット…!」

 

フォンテーヌ「私達にとっての希望を助け出すことができました…」

飛彩「…サンキューだ」

 

先程摘出したガシャットギアデュアルβとタドルレガシーを持ったスパークルとフォンテーヌからガシャットを手渡される。グレースも続いて永夢にハイパームテキガシャットを差し出す。

 

グレース「私、ずっと思ってたんです。今までたくさんの人に助けて貰ったから、今度は私が誰かの役に立ちたい、誰かを助けたいって」

永夢「グレース…」

グレース「だから…先生たちの力を取り戻すことができて私すごく嬉しいんです!」

 

想いを伝えたグレースはとびきりの笑顔を永夢に向ける。かつて自分と真剣に向き合ってくれたドクターが教えてくれたことを心に刻み、今日まで生きてきたのどかにとってそれが最高の恩返しとなった。

 

永夢「…その笑顔は、紛れもなく健康の証だよ」

グレース「先生…これを!」

 

グレースからハイパームテキガシャットを受け取った永夢は大我、飛彩の元へ駆け寄る。3人の腰にゲーマドライバーが巻き直される。

 

大我「今のアイツになら俺たちの攻撃が効くんだろ?」

飛彩「ああ、俺達が最後の切除手術を行えば…!」

永夢「ええ…!このゲームは終わりです!」

 

貴利矢「悪いね、このお兄さん達美味しいとこもってっちゃうから」

 

ゲムデウスとの最終決戦を前にしてもなお、飄々とプリキュアに声を掛けた貴利矢もゲーマドライバーを装着し合流する。街並みはすっかり元に戻り、夜の街に煌めく街灯がドクターを照らし出す。横並びに立つ4人はガシャットの起動スイッチに指をかけた。

 

\爆走バイク!/

\バンバンシミュレーションズ!/

\タドル・レガシー!/

\ハイパームテキ!/

 

貴利矢「ゼロ速」

大我「第伍十戦術!」

飛彩「術式レベル100!」

永夢「ハイパー大!」

 

4人「変身!」

 

ゲムデウスを見据え、ガシャットを起動した4人は同時に変身する。

 

\爆走!独走!激走!暴走!爆走バイク〜!/

\スクランブルだ!出撃発進!バンバンシミュレーションズ!発進!/

\辿る歴史!目覚める騎士!タドルレガシー!/

\輝け!流星の如く!黄金の最強ゲーマー!ハイパームテキ!エグゼェ〜イド!/

 

レーザー「クライマックスだからな!ノリノリでいっちゃうぜ〜!」

スナイプ「ラストミッション…開始!」

ブレイブ「これより、ゲムデウス切除手術最終工程を開始する」

エグゼイド「ノーコンティニューで、ラスボスをクリアーしてやるぜ!」

 

ゲムデウス「おのれおのれおのれぇ!力を取り戻したからと言って、我に適うと思うな!それはただの思い上がりということを思い知らせてくれる!」

 

ナノビョーゲンの排出が終わったゲムデウスは激昂し、デウスラッシャーを薙ぐ。しかし繰り出された斬撃は空を裂いただけで誰にも命中することは無かった。それどころか斬撃よりも早くムテキゲーマーに変身したエグゼイドがゲムデウスへと差し迫る。

 

エグゼイド「思い上がりなんかじゃない!」

ゲムデウス「何ぃ!?」

 

懐に潜り込まれたゲムデウスは左腕のデウスランパートをエグゼイドに向け突き出す。だがエグゼイドはその動きを見切り、右腕でデウスランパートを受け止め左の拳でカウンターを撃ち込む。スペックが極限まで引き上げられたムテキゲーマーのパンチにゲムデウスの体が一瞬くの字に曲がった。

顔を上げたゲムデウスを待っていたのは空中に浮かぶ無数の光の剣だった。ブレイブが生み出す光の剣は勇者の剣の如く純白に光り輝いている。

 

ブレイブ「はあっ!」

ゲムデウス「ぬぅぅぅぅ!」

 

ブレイブが剣先をゲムデウスへと向けると同時に光の剣が一斉にゲムデウスめがけ襲いかかる。ゲムデウスはデウスラッシャーとデウスランパートを駆使し弾き返していたが、圧倒的な物量に次第に押されていく。

 

ゲムデウス「何故だ!?何故貴様らごときに苦戦するのだ!?ハッ!?」

 

思わず上空へ飛び退ったゲムデウスはシミュレーションゲーマーの全砲門に狙われていると悟った。

 

スナイプ「テメェが俺たちにしてきたことを今度はテメェが味わいやがれ!!」

 

スナイプの砲塔が火を噴き、弾幕を作り出す。10門全ての砲塔から砲弾が飛び立ち、空中のゲムデウスに迫る。更にシミュレーションゲーマーに備わっているレーダー機能が否応なしに命中率を高めていた。放たれた砲弾がゲムデウスを爆煙で包み込む。ゲムデウスは文字通り撃ち落とされ、地に伏せる。

 

 

スパークル「すごっ!」

フォンテーヌ「なんてスピードとパワーなの!?」

グレース「あれが永夢先生たちの全力…!」

レーザー「ちょーっとごめんよ、お嬢ちゃんたち」

スパークル「え?」

 

戦いに思わず魅入るプリキュアの横にレーザーがやって来てしゃがみこむ。レーザーは何かを拾い上げ、しばらくそれを見つめる。

 

レーザー「今の自分にならこいつを使いこなせるんだよな…」

 

それは先程飛ばされたキースラッシャーに挿しっぱなしになっていたドクターマイティXX IIガシャットだった。レーザーはゲーマドライバーのレバーを閉じて爆走バイクガシャットを引き抜く。

 

レーザー「バグスターとしての自分も嫌いじゃなかったけどそれじゃ自分が消滅しちゃうからね」

 

レーザーは白いガシャットを起動しゲーマドライバーへ挿し込んだ。そして勢いよくレバーを開き、ガシャットの効果を引き出す。

 

\ガッチャ-ン!ダブルア-ップ!/

\私が君を!自分がお前を!We're!何度も何度も倒して!Hey!ダブルエーックス!/

 

レーザー「人間として、自分もお前を攻略してやるよ!神の恵みってやつでなぁ!」

 

レーザーの身体はゲーマドライバーから放出されるゲムデウスワクチンによってに白くグラデーションされ、青白い光がその身を包み込む。

 

レーザー「へっ…正直半分くらい博打だったけど、上手くいったみたいね」

 

レーザーこと九条貴利矢は1度ゲームオーバーとなり、消滅したがバグスターとして蘇った。その後の戦いの中で彼は人間としての肉体を取り戻しつつあったため、本来バグスターが使用すれば消滅が免れないドクターマイティを使用しても身体を維持することが出来たのである。

 

レーザー「いくぜぇ!」

 

白い粒子を振り撒き、レーザーはゲムデウスに迫る。3人のライダーを相手に手間取っていたゲムデウスは容易く接近を許してしまった。

 

レーザー「オラァ!」

ゲムデウス「ぐおっ!?」

 

走ってきた勢いのまま放たれたレーザーのキックはゲムデウスの胸部を捉える。攻撃と同時にワクチンが撃ち込まれ、ゲムデウスのステータスを大きく下げていく。

 

ゲムデウス「!?何故だ!?この僅かなワクチン如きで我のステータスが下がるなどと言うことはありえん!」

 

ゲムデウスの言う通り、攻撃時のワクチン投与は微々たるものであり、連続で攻撃を受けない以上は効果がすぐに現れるような量では無いと確信していた。だが、ゲムデウスの胸部にはレーザーのブーツの形になるようにワクチンの光がしっかりと刻み込まれていた。

 

レーザー「へへっ、乗せられちゃったろ?そのワケはちゃんと教えてやるよ。お前が自分で気づくまで何度でも攻撃してなぁ!」

 

言葉を切ったレーザーは続けざまに右回し蹴りを放ち、ゲムデウスの左腕にワクチンを再び送り込む。その攻撃でようやくゲムデウスはワクチンの異常な効力の謎を解いた。

 

ゲムデウス「レベル0の…ウイルス抑制効果か…!?」

レーザー「さっすがラスボス。気づくのが早いね」

 

そう。レーザーは本来レベルを上げパワーアップする仮面ライダーの定石の外である、仮面ライダーレーザーターボに変身しており、そのレベルは『0』となっている。

このレベル0にはウイルスの抑制効果があり、レーザーターボは攻撃の際、攻撃箇所のウイルスを抑制したため少量のワクチンでウイルスを抑え込むことに成功していたのだ。

 

レーザー「やっぱ近接戦ならこの姿のがいいねぇ!」

 

身軽なレーザーターボはスピードとパワーを活かし、ゲムデウスに連続攻撃をお見舞いする。2度目のキックが再度胸を打ち据えた時、外殻が崩れ、内部に陰陽珠のような球体が確認できた。

 

エグゼイド「あれは…!?」

グレース「ナノビョーゲンと…」

ブレイブ「ゲムデウスウイルスか!?」

 

珠は白いゲムデウスウイルスと黒いナノビョーゲンが集合し、ゲムデウスを形成する核となっていた。神々しくも禍々しい光を放つ弱点を覆い隠すように外殻が再び形成される。

 

スナイプ「あれをぶっ壊せば!」

スパークル「アタシたちの勝ち!?」

 

4人の仮面ライダーと3人のプリキュアはようやく見えた希望を掴むべく奮起する。追い詰められ、弱点まで晒してしまったゲムデウスは最後の力を解き放つように吼える。

 

ゲムデウス「それがどうしたというのだァ!貴様らはここで終わる運命なのだ!」

 

デウスランパートの爪をレーザーに巻き付け、周囲を振り払うようにレーザーごと振り回す。ブレイブとスナイプがその攻撃に巻き込まれてしまい、弾き飛ばされてしまう。

 

フォンテーヌ「先生!」

スパークル「タイガー!」

エグゼイド「ゲムデウスッ!」

ゲムデウス「ぬうっ!」

 

レーザーを投げ飛ばしたところでエグゼイドが割り込み、ゲムデウスと組み合う。エグゼイドは素手で格闘戦を持ちかけるが剣と盾を装備しているゲムデウスに攻めあぐねてしまった。

 

スパークル「まだあんな力があるの!?」

フォンテーヌ「私たちに…もう出来ることはないの…?」

 

ゲムデウスの底力に驚愕するプリキュアはたじろぐ。だがキュアグレースは1歩踏み出し、戦おうと歩み始める。

 

グレース「私達も…最後まで戦うって決めたんだもん。だから…諦めないよ!」

フォンテーヌ「………そうね。例え出来ることがなかったとしても、諦めないことだけは出来るから!」

スパークル「アタシ達の持てる力をぜーんぶ!あの怪物にぶつけちゃおう!」

 

プリキュアの諦めない気持ちに応えたのか、3人のステッキが輝き始める。それは先程気付かれなかったあの光だが、今の光は先程の比ではない輝きを放っている。ステッキの光は球体となって空中へ昇る。3つの光が1つになった時、3人の手元に新たな力が舞い降りた。

 

スパークル「何これ!?」

フォンテーヌ「新しい…エレメントボトル…?」

ペギタン「こんなボトルは見たことないペェ!」

 

グレース「でも、これなら私達も!」

 

ヒーリングアニマルも知らない新たなエレメントボトルの力を信じ、プリキュアはステッキにボトルをセットする。

 

エグゼイド「貴利矢さん!」

レーザー「任せろ!永夢!」

 

エグゼイドはプリキュアの動きを見て、ワクチンを所持しているレーザーに呼びかける。先程投げ飛ばされたレーザーは瓦礫を掻き分け立ち上がった。

 

\ガッチョ-ン!キメワザ!/

 

レーザー「ラスボス攻略の第1コーナーだ!きめるぜ!」

 

\ガッチャ-ン!/

\DOCTOR MIGHTY CRITICAL STRIKE!/

 

ゲムデウスワクチンを最大放出させ、ゲムデウスめがけてライダーキックを放つ。エグゼイドはハイパーライドヘアーでゲムデウスを拘束し、回避と防御を封じ込める。そして、レーザーのキックはゲムデウスを蹴り抜いた。ヒットの瞬間に大量のワクチンが流し込まれる。

 

レーザー「自分の声入ってるとなんか変な感じだな…ま、いっか」

 

ゲムデウス「ぐがぁぁぁぁぁ!!?」

 

ワクチンにより苦悶するゲムデウスに今度はブレイブとスナイプが仕掛ける。

 

ブレイブ「もう一度あの珠を引きずり出す!」

スナイプ「外殻破壊は俺たちでやる…!いくぞ!」

 

\キメワザ!/

ブレイブ「これで終わらせる!もうお前の存在はノーサンキューだからな!」

\TADDLE CRITICAL FINISH!/

 

スナイプ「今度こそ決着を付けてやる!」

\BANGBANG CRITICAL FIRE!/

 

レガシーゲーマーの魔法の力で増幅した強烈な冷気がゲムデウスの足元を凍てつかせる。更に氷剣でゲムデウスを斬り付け胸部外殻を氷漬けにして強度を下げる。続けざまにスナイプが身動きの取れなくなったゲムデウスの胸にシミュレーションゲーマーの砲台を押し付け、最大火力を撃ち込む。至近距離からの高火力の攻撃に外殻は再び崩れ去った。

 

ゲムデウス「こんな…はずはぁ…!?」

 

レーザー「今だ!」

 

再び姿を現した珠に狙いをつけ、プリキュアとエグゼイドは最後の攻撃を放つ。先程手に入れた力をプリキュアは3人で発動させる。

 

プリキュア「トリプルハートチャージ!」

エグゼイド「ゲムデウス…お前を攻略する!」

\キメワザ!/

 

グレース「届け!」

フォンテーヌ「癒しの!」

スパークル「パワー!」

 

エグゼイド「フィニッシュは必殺技で決まりだ!」

\HYPER CRITICAL SPARKING!/

 

プリキュア「プリキュア!ヒーリング・オアシス!」

 

新たなボトルの力で、背面にオアシスを作り出したプリキュアのステッキから3本のエネルギーが同時に放たれる。一直線にゲムデウスの核へ向かったそのエネルギーはナノビョーゲンの塊を根こそぎ浄化し消滅していった。

 

エグゼイド「ゲムデウス…!お前の運命もここまでだ!」

 

残ったゲムデウスウイルスの核めがけ、ムテキゲーマーのキックが炸裂する。一瞬のうちにすれ違い、ムテキゲーマーはゲムデウスの背面に着地した。

 

ゲムデウス「オォ…我は…まだ、まだ終わらんぞ…!……ぐぉっ!?」

 

\究極の…一発ゥ!/

 

エグゼイドに向き直るため振り返った直後、ゲムデウスに多数のHITエフェクトが浮かび上がる。その数は10を優に超え、やがてGREATのエフェクトが発生し、ゲムデウスの身体が崩れていく。

 

ゲムデウス「我が敗れるだと…!?最強のラスボスとして君臨するこの我が!?」

エグゼイド「ゲームは終わった。僕達の…勝ちだ!」

ゲムデウス「ぐおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

永夢の宣言の直後、ゲムデウスはPERFECTのエフェクトと共に爆散する。ナノビョーゲンを削り取られた核も消滅し、ゲムデウスは完全に崩れ去った。

 

\完全勝利ィ!/

 

ムテキガシャットの言葉通り、仮面ライダーとプリキュアの戦いは完全勝利で終わった。激闘の果てに希望を捨てず、戦い抜いた7人は胸をなで下ろし、ある者は喜びの笑顔を咲かせ、ある者は回復した仲間を抱きしめて安堵の表情を浮かべ、ある者は街を守りきれたことへの涙を流した。

悪夢は終わり、すこやか市のゲーム病騒動は収束を迎えた。

 

 

ーーー1ヶ月後

 

 

のどか「行ってきまーす!」

やすこ「気をつけていくのよー!」

 

元気よく自宅から飛び出したのどかはちゆとひなたとの待ち合わせ場所に向かう。今日は3人でゆめポートに行く約束をしていた。その前にふと、のどかは1ヶ月前の戦いがあった場所を訪れた。

 

のどか「ここで、永夢先生達と一緒に戦ったんだよね…」

ラテ「わふ!」

 

広場に付いた戦闘の傷跡はまだ全て修復されていない。それでも街の雰囲気には以前と変わらないままの穏やかな日常が戻っていた。のどかは心から永夢との出会いに感謝し、これからもこの街を守っていく決意をする。

 

のどか「ちゆちゃんにひなたちゃん。それにラテやラビリンと出会って、私もなにか人の役に立つことができた。永夢先生たちの力もあって、私たち全員でこの大好きな街を守ることができたんだ…」

ラビリン「そうラビ!のどかは最高のパートナーラビ!」

 

カバンの中から笑顔で顔を出したラビリンにとびっきりの笑顔を返す。それが私が永夢先生から教わったこと。

 

のどか「私もだよ!ラビリン!私ね、今すっごくすーっごく!」

 

健康の、証

 

のどか「生きてるって感じ!」

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