完璧で瀟洒な老従者   作:たぶくむ

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後一話投稿すると言ったのですが、前話でもう終わってもいいんじゃないかっていう気持ちが心を支配し、レミリア♂の方もあったので、エタろうかなと思っていたのですが。


続きを待ってくれているという読者様がいらっしゃり、そういった方々のメッセージに突き動かされ、ならば、投稿せねばという気持ちになりました。


私の勝手な判断で、迷惑をおかけしてしまった読者様方にお詫びいたします。


予定、予告通り、少々遅ればせながらこの話で最終話といたします。


彼女は語りたがらない

ん?前のメイド長のことを聞きたい?

 

あー…… そうね、紅茶を淹れるのは上手かったかな、うん。

 

……え、いやそれだけですかって……。

 

あーもー、他の奴らのとこに聞きに行きなさい。

 

あいつらの方が詳しく教えてくれるわ。

 

……はぁ?聞きに行ったら全員私のとこに行けって言われた?

 

……あんにゃろうども、分かってて寄越しやがったな。

 

後で見てなさい。

 

 

で、やっぱり聞きたい? 

 

はぁ、そう……。

 

いや別に嫌な思い出があるんじゃなくて……はぁ、ちくしょう。

 

あれこれ深く思い出すと涙腺が緩むのよ

 

いや、あいつが言うには私は泣いたら駄目らしくてね……。

 

おいこら、にやにやと笑うなこっ恥ずかしいわ。

 

 

ったく……。まぁいいや。

 

今から丁度あいつの墓参りに行くとこよ。

 

 

せっかくだからお前も先輩に顔見せに付いて来い、メイド長。

 

 

まずは、外出の支度をしなさい、三十秒で。

 

 

ほらッ!駆け足ッ!

 

……………………………………はぁ。行ったかしら。

 

 

…………………………我儘で自分勝手でいつもやりたい放題で周りを巻き込む、だけど、意外と律儀なとこもある主様でした

 

ってね。

 

 

まぁ、出来るだけ、約束は守り通すわ。吸血鬼だもの。

 

だから、気が向いたら帰って来なさい。いいえ、必ず帰って来なさい。

 

いい加減、まともな紅茶が飲みたいもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ええ、いつかきっと―――

 

 

 

 

………………フッ、約束には、私は五月蠅いわよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

お嬢様。

 

 

………美鈴。聞いていたわね。

 

 

フフッ、ええ、しっかり、この耳で。

 

 

………………はぁ、悪趣味になったわね。貴女も。

 

 

……………本当に、来てくれますかね?

 

 

勝手に来て勝手に帰って行きゃいいわ。

どうせここの門はいつも開きっぱなしでしょう?

 

 

いやはは……。

 

 

それに、幻想郷では、常識にとらわれてはいけないもの。

すんなり帰ってきてしまうかもしれないわ。

 

 

……………………。

 

 

…………美鈴、貴女も支度をしなさい。墓参りよ。

 

 

かしこまりました。傘をお持ちしましょうか?

 

 

あら?そしたら、帰ってきたときの仕事の一つが無くなってしまうじゃない。あいつ以外には持たせないわ。

フランも、連れてくるから、そっちの方にすれば?

 

 

…………ええ、かしこまりました。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

顔も知らない先輩へ

貴女の敬愛する主は、私が思っていたよりもずっと我儘で奔放で、されど私が思っていたよりも遥かに美しい御方でした。

 

まだまだあの主にはついてくのもやっとという有様ですが、貴女のように、主の後ろが定位置となれるように、今日もまた振り回されながら頑張りたいと思います。

 

 

 

 

そして、尊敬する貴女へ。

お嬢様の信頼を一心に勝ち取り、唯一無二のメイドとまで謳われた貴女。

いつか、きっと、帰ってくることを願って。

 

 

貴女に捧げるのは、クレマチスとシオンの花。

 

この二輪の花を。

 

 

 

 

 

 

「ほれ、置いてくぞー」

「っとと、待って下さいよ」

 

 

 

そう、高潔で美しい貴女へ、一時の旅人の喜びを。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

……………おや、あなたですか。

 

 

 

案外、長生きしたものですね。

 

 

さて、あなたに積むように言った善行、しっかりとこなしているのでしょうね?

 

 

………………ふむ、まぁ、いいでしょう。

 

 

そうですね。そこに関しては私の見通りが甘かったということを謝罪する他ありません。

 

 

 

少々冷たすぎるとは思ってはいましたが、人間以外でも、金属は血を通わせることが出来た。ということですね。

 

 

しかし、目の前の花に気を取られてしまっている所はお変わりありませんね。

 

 

残念と言った所でしょうか、それとも、喜ぶところでしょうか。

 

 

 

今を大切にすることを善だと思う人間が増えたのは、非常に嘆かわしい事です。

 

 

ああ、それと、少しは優しくなったようですね。

 

 

………いいえ、体に、ではなく、全体的に。

 

 

 

 

 

 

………………………『戻りたい』、ですか?

 

 

あちらの方で、私を呼ぶ声がする。

 

それならば、応えてあげたい。ですか。

 

 

………………あくまで、私は公平に判決を下す裁判官です。

 

 

そういった私情に流されることは許されていません。

 

 

本来、死者が現世に戻ることなど、到底許されるべきではありません。

 

 

ええ、『本来』は、ですが。

 

 

今あなたの『全て』を見て、そして、今、珍しく、貴女の本心からの、人間らしい『欲望』という物が垣間見えました。

 

 

しかし、それは浅ましいものではなく、添い遂げたい、きっと、『主従』の域を超えた、『敬愛』という念からの物であると。

 

 

そこまで、魅せられてしまえば、私も鬼ではありませんし、何か響かざるを得ません。

 

 

ですが、戻るには、相当の罪の清算、まぁ、色々この世で課せられ、それが成ったときにのみ許されることになる。

 

 

相当の、時間を要しますよ?それも、あの時の姿、かつての姿とはかけ離れてしまうくらいの年月が経ってしまう。

 

 

………………そうですか。

 

 

ああ、そうでしたね。そういえば、それが貴女の能力でしたものね。

 

 

ええ、解りました。それでは、しばらく、こちらで罪の清算に励みなさい。

 

 

戻れるといいですね。いいえ、きっと戻れます。断言しましょう。

 

 

それでは、全力で励みなさい。

 

 

 

『十六夜咲夜』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ええ、いつかきっと、戻ってきますわ。

 

 

 

―――それまで、今しばらくお待ちください。

 

 

 

それまで、私の仕事は誰にも奪わせないように。

 

 

 

言ったでしょう?お嬢様。

 

 

 

『生きている間は』ずっと一緒にいますから。

 

 

 

 

 

 




色々、皆様の御迷惑をおかけしながら、終わらせることが出来ました。


これで、私の処女作が完結いたしまして。皆様の御愛読に、心からの感謝を。

ジャンル等、変わりますが、よろしければレミリア♂の方もご愛読いただけると幸いです。
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