「う〜んそれは無理があると思うのだけれど」
実験体がルナに襲いかかり、鋭い爪でルナを切り裂こうとした瞬間、変わった、
空気が、いや、正確にはルナが纏う独特の雰囲気が、今までの冷たい氷の様なものから一変し、全てを呑み込む深海の様などす黒い殺意に変わったのだ。
ルナは気だるそうな声で呟き、襲いかかってきた実験体の爪を身体の軸移動で避け、そのままカウンターの拳を胴体に叩き込んだ。
上位吸血鬼の圧倒的な膂力によるスピードで打ち出された拳は、同種の細胞で出来ている実験体の体を貫通し、そのまま実験体は動かなくなった。
「ヒィイィィ!嘘だ!嘘だァ!私の、私の最高傑作がァぁァァァ!!」
ルナは腕を引き抜き、自らの腕に付着した血をペロりと舐めた。
「うん、この血は....十二、いや十三位...かな?無理だよ、そんな低い位の子の細胞使ってもたかがしてれる。どうせやるならもっといい子のを使わないと」
全く面白くない...そう呟いた
「まぁ確かに人間から見たらこのレベルでも十二分に脅威ね、下手したらこの子1人で一国を落とせるかも。やっぱり来てよかった〜」
自らの生涯の約半分を費やして創った生物をこんなにもあっさりと殺戮して....
「イヤ、いやだ、助けて、許して、殺さないで....」
「あ〜あ、心、折れちゃったか〜けどね〜殺さないと怒られちゃうんだ〜」
人の命などまるでどうでもいいように
「けど貴方みたいに心が折れた人間なんて殺してもね〜....そうだ!いいこと思いついた!今から10秒あげるから、その間に逃げれらだけ逃げていいよ、大サービスで目も閉じてあげるから!」
じゃあやるよー
軽い調子で始まったそれは赤木にとって生きる最後のチャンスで
「うぁぁぁぁあ!」
情けない声をあげながら死にものぐるいで走る他なくて
「い〜ち、に〜い、さ〜ん」
聞こえてくる声は自らの終わりを唄う鐘の様で
「し〜い、ご〜お、ろ〜く」
着々と近づく終わりに背を向け、少しでも距離を取ろうと普段運動しない足を酷使し
「ひ〜ち、は〜ち、きゅ〜う」
あぁ終わりだ、と、もう助からないと絶望し
「10!さぁ〜て赤木君は何処に逃げたのかな〜...まあ、何処に逃げてももう終わりなんだけどね」
来ない終わりに希望を見出し
「もうすぐ、もう少しで外に...」
「じゃあ、リセット」
そしてその希望はいつの間にか絶望に変わり
「ばいば〜い」
いつの間にかルナの手刀がまるで刀のように赤木の体を貫ぬいていて、赤木の人生はそこで、幕を閉じた。
いや〜これ1回やってみたかったんですよね、1回逃がして希望与えてからぶち殺すやつって色んな作品にあるんで楽しみしてました。
あと赤木みたいな小物で金にうるさい悪党大好きですね、人間臭くて。
ということで、次回も読んでくれたら嬉しいです。