それではどうぞ
赤木を殺害したルナは、数分前まで実験体が入っていた装置に目を向けた。
「さてと、仕上げといきましょうか」
横にある端末を操作し、実験のデータを読み込んでいく
「ふむふむ、個体名は...プロト01、ホントに出来上がったばっかりの試作品だったのね、きちんとした名前すら付けてあげてないのね」
足元に崩れ落ちている肉塊を見下ろしながらそう呟く
「実験名...ネクストステージ...ええと、この実験は延々と続く紛争の終結を目的とした兵器を創り出すものである...
使用細胞...第13位吸血鬼の細胞を適応率が最も高い幼児に植付け、そのまま成長させる....と、ここまでやるのに一体何人殺したんでしょうね。」
さらに端末を操作し、出てくる情報を記憶に保存していく
「戦闘実験...実験用に作成したキメラ三体を相手に行う、第一回目の実験では決着までに約1分掛かったが、第二回目の実験では約20秒で殺戮...なるほど、高度な学習能力もあると。」
そして第三回目の映像では、殺害したキメラの骨をまるで武器の用に扱い、残り2体を相手取っていた。
「人間を遥かに上回る身体能力、高度な学習能力、その場にある物を使って即席の武器を作る器用さ、そして何より死ぬことを全く恐れない精神性...ここまで出来たら恐らく現代兵器をも使いこなせるでしょうね、そしてコレを量産することができていたら...」
そこまで考えて1度ルナは思考を止めた
(さて、このデータは頂いて、後は帰ってからやりましょうか。)
そしてルナはふと思い出す。
「シク君、遅いな、何してるんだろ?」
この時シクは戦闘実験の残りであるキメラを討伐するための計画を立てているのだが、それをルナは知らない。
「まぁ、先に家に帰って料理でも作ってててあげようかな〜」
笑顔でそう呟くと、ドロリとまるで闇も一体化するようにして消え、数秒後には荒れ果てた実験室にボロボロの機械があるだけだった。
そして場面は今へと移る
「あいったたた」
夜の街で、身体中に傷を負い、ボロボロになった少年が歩いている
「ホンットにアイツ無茶苦茶しやがるな」
今シクがいるのは地下にある研究所ではなく、孤児院周辺の路地裏だ
「まさか爆発を気にせす突っ込んで来るとは」
シクが計画したキメラ爆殺計画は結果としては失敗に終わった、その理由は簡単、爆発だけではキメラを殺せなかったのだ。
爆発の中、キメラはそのままシクに突進を仕掛け、身体を跳ね飛ばした。
尋常な人間ならば即死は免れない圧倒的な質量が驚異的なスピードで移動するそのシンプル且つ原始的な攻撃は、現在進行形で吸血鬼化が進んでいるシクにも深刻なダメージを与えた。
だがしかし、攻撃をした側にもそれなりのダメージがあったようで、シクを跳ね飛ばして直ぐに闇の中に消えていった
「はぁぁぁ〜きっっっっついよ全く、身体中の骨が折れてやがる」
折れた右足と左腕をかばいながら少しづつ、ゆっくりと進んでいく
「ふい〜、とりあえずこれだけ離れてたら大丈夫だろ」
シクは孤児院から300メートル程離れた道路の脇に座り込む
(とり、あえず、少し、休もう、もう体が動かないや)
肉体の損傷は今も少しづつ治癒してきている。行儀は悪いがここで少し寝て治癒が終わってから帰ることにしようと決めて、ゆっくりと目を閉じて疲労からくる睡魔に身を任せようとした時
ドガァァァァァァァァン!!
辺り一面に爆発するような衝撃音が鳴り響き、寝かけていたシクは叩き起される羽目になってしまった。
「ったく何だよいったいぜんたいこんな時間に...」
途端にシクの体に寒気が走った
シクの視線の先には....闇の中に撤退した筈のキメラが4本足で堂々と力強く立っていた。その身体にはシクが起こした爆発のによる怪我がところどころ見えているが、それらも目に見えるスピードで治癒していっている
「あっ、ちょっ、タンマ」
シクは情けない声をあげながら逃げようとしたところでキメラもシクを見つけ、まるでようやく出会うことができた運命の恋人の様に嬉しそうに(と言ってもここでは恋人ではなくようやく見つけた獲物なのだが)シクの元に突っ込んできた。
誤字や表現の間違いの指摘など、是非教えてください。
それではまた