Fate/SERAPH Memory   作:超ローマ人

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最後のほうに「完」と書いてますが、来週エピローグやりますのでもう一話続きます。


さらばムーンセル

青年は全てを思い出した───

以前にも目の前の魔性菩薩と闘っていたことを──

その拳を同じように向けたが、その時の力では相手を封印することしか出来なかったことを。そのあと彼自身が一つの魂となったことを。

「そうか──あの時からの縁だったんだな── 」

小さな魂が自分より偉大な魔物の背中に乗る様を──

 

 

「お前は!ここで!倒す!!」

「嫌です!死にたくありません!この世全ての快楽を得るまでは!!」

竜の鱗を持った巨大な戦士が巨悪を掴み、天に舞い挙げた!

「その野望で!一体、何人の人たちを食べ尽くした!?」

そして、その翼を広げ腕槌で舞い上がった菩薩を打ち落とした。

「今だ!叩け!!」

藤丸は巨大な姿ではなく、人間大の大きさに戻りサーヴァントたちと連携技を叩き込んだ。

「エンキドゥ!幕間の時だ!!」

黄金の鎧を着込んだギルガメッシュは金の鎖とドリルのように刃が回転する剣を使い、菩薩と化したキアラの角に攻撃した。

藤丸は炎を鉄拳に纏わせながら回転を加えて同じところを殴る。

すると、角は悲鳴をあげ大きな鋸に切られた巨木のように倒れた。

「マスター!動きを止めましょう!!」

「あぁ!!」

菩薩の悲鳴の中で、弦の騎士の風の刃と竜の戦士の掌から放たれた火の玉が合わさり大きな炎の刃へ変化した。刃は両足を切り落とし電子の海にその体を埋めることに成功した。

「調子に乗るのも大概に!!」

「今まで散々図に乗っていたてめぇに!」

「言われたくはないわ!!!」

大きな金の掌に乗った二つの影が菩薩を睨んでは苦言を返した。

「行きますよ、二人とも!!」

大きな手が土台となり、二人が舞い上がる。

竜の戦士は足にマグマを、スケートを履いた少女は高潮の如く大量の水をその足に纏った。

その足は菩薩に当たると、その腕を再起不能にし体の自由を岩に閉じ込めることで完全に無くした。

「そんな!!」

「ヴァージン!」

「ボルケーノ!」

「「パラディオン!!」」

更に海中で噴火することで島を造り挙げるような槍が残った角に放たれた。

「我が才を見よ!万雷の喝采を聴け!インペリウムの誉れをここに!

咲き誇る花のごとく…… 開け! 黄金の劇場よ!!」

「止めだ!!」

敵を弱体化させる黄金のドームが世界の一部となり、白い剣と赤黒い剣の両方が炎を纏いながらキアラを貫いた。巨体は火柱を挙げながら城が崩れるが如く崩れ落ちた。

 

──「ったく、俺に止めを刺せば良かったものを生かされるなんてな……!」

一方で海に漂った黒い体は最後の使命を思い出し、再び立ち上がった。

 

 

「やったか!?」

「いや…僅かに魔力を感じ取れる……。」

すると、底から笑い声が響いた。

SERAPHの海は黄色く変化し、巨大な穴を覗くと泡に包まれた巨大なキアラがいた。

「フフフ…アハハハ!認めましょう、藤丸立香──『岸波白野』。貴方たちをこの聖杯戦争の勝利者のことだけはあります。後はそこで見ていてください……」

キアラの言葉を無視するように、金色の王が動き出した。

「全てを手に入れる様を我が黙って見ていると思うか?たわけっ!!」

「貴方は…!」

「起きよ……エア!そして、アレを使え!マスター!!」

藤丸は普通の魔術師としての姿に戻ると、右手に浮かんだ赤い紋様を光らせた。

「令呪を以て命ずる!『全力』でやれ!ギルガメッシュ!!」

「今回だけの大出血サービスだ!!悦べ!!」

 

 

「そして、菩薩よ。貴様には!裁きの時だ!」

空間から剣のように持ちながら剣とは区別出来ない物を取り出した英雄王は赤い魔力を暴走させ、光の渦を形成した──そして赤い光は菩薩を呑み込むように放たれた。

「世界を割くは我が乖離剣!受けよ!!天地乖離す開闢の星天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!!」

「そのエネルギーを使えばSERAPHは!!」

「たわけ─エアは貴様のみを『壊すべき世界』と見なし暴れている。精々あがけ」

菩薩の片目に空洞が出来上がった。キアラはまだしぶとく生きていた。

「くっ!」

「…………」

その様子をメルトリリスは監察し、一つの回答を口にする。

「今のでキアラの防御力が低下してることが分かったわ──」

「どういうことだ?」

「SERAPHと繋がり、私たちをアレは場外に出そうとしている。それはアレの最大のベールを解いたってこと。……ところで、マスター?一つお願いがあるのだけれど」

「……あぁ……分かった。」

藤丸は再び右手を胸部の高さまで挙げる。赤い光が再び光る。

「BB!私とリップ以外を回収頼むわ!!」

藤丸は回収されたあとでも冷静な表情でいた。

「あとは任せたぞ。メルトリリス…パッションリップ………生きて戻って来い!」

 

 

メルトリリスはマスターからの最後の言葉を受け止めた。

「クライマックスだもの…最高のフラックを見せて挙げる!」

「フフフ──ここでは失敗しました…しかし、直ぐに戻って来てあげますよ?」

菩薩の煽り文句が鳴り響く。

しかし、メルトリリスはそれを一蹴するように笑った。

電子の光る海の景色を見ながら悲しみを忘れ、楽しかった日々を思い出したからだ。

「わかってるわね、リップ?これが私たちのフィナーレよ!!」

「もちろんよ!メルト!!」

羽を取られてもなお、大切な人を守りたい─その一心で羽ばたいた白鳥は何よりも美しかった。

今その輝きは甦り、最後の輝きを発揮させた。

白鳥は矢となり、黄金の大きな弓に乗る。

そして、矢は魔性の心臓を捕らえようと放たれた!

「「その愛楽は流星のようにその愛楽は流星のように(ヴァージンレイザー・パラディオン)!!」」

青い流星が泡に包まれた魔性の左胸に当たる。

 

 

「アァァァァ─ッッ!!この痛みはぁぁぁ!!!」

断末魔が月を揺らした。

「やめろ!やめなさぁぁぁぁぁい!!!」

「同じ『快楽』を求める者同士!!ここで果てましょうかっ!!!」

メルトリリスの加虐体質。それは相手が嫌がることを無防備にも行ってしまう精神を表す。

そこを魔性は突く。

「ここで失敗しますが…目の前に良い器が有りますね……」

キアラはその髪を蛸の触手のように伸ばし、メルトリリスを絡めとろうとした。

「往生際が悪い!!」

「往生際が悪い…?結構!これが年の功というヤツです!これでBBもパッションリップも回収し、あの憎き人類愛の塊を倒す…!」

 

 

一方でBBのアジトで待機していた藤丸は、何者かのメッセージを受信した。

「カルデアのマスターか?魔力をこちらに回せ……あの菩薩を終わらせてやるからよぉ!」

藤丸には聞き覚えのある声だ。そして、その要求を飲むように岸波も背を押した。

「その令呪はあと4画…つまりあと四回も使える……。使うしかない……だろ?」

「令呪を以て命ずる…!」

マスターの選択は黒い男の口を歪ませ、頬を吊らせた。

 

 

「さぁ…私の体()となるのです!」

「くっ!!」

メルトリリスは回転することでの脱出及び再攻撃を試みるが触手はカビのようにビクリとも動かない。

「今度こそ、月を頂く!」

その時、男の声がした。

「『今度こそ』は無い。このクレーターの海が最後だ、ビーストⅢ」

触手は銃弾によって次々と散った。

「貴方は!赤いほうに倒されたはずじゃ!?」

「それは残念だったな、トリックだよ。まぁ、ここまで頑張った貴様には帰りの切符をやろう。」

「死に損ないがぁ!!」

ビーストⅢが吠えた。男は気障な物言いでビーストの気が紛れてる間に、槍を持った白鳥は何かに引っ張られた。

「なっ!?」

「さて、これで邪魔が入らなくなったな。悪党とは違うひっそりとした─それ相応な最後を送ってやろう……。」

男は最後の力を振り絞り、引き金を引く。

一つの弾丸がビーストⅢに届いた。そして、その邪な『世界』を『壊した』

「I was born of my sword……so, I was pray……『Unlimited Lost Works』!!!」

「あっ!ガガガ……アァァァァァァ!!!」

 

 

「ビーストⅢ、消滅確認。」

「全くあの女は……アホを上回る馬鹿だったとはな。自分の弱点に気付かぬまま闘うとはな!」

カルデアの勝利で終わった闘い。メルトリリスとパッションリップは無事に回収された。

しかし、彼らは忘れなかった。この作戦で自身を犠牲にしてでも一行の背を押してくれた存在のことを。

そして、人類最後であり月の勝利者でもあったマスターは月から地球へ戻った。

Fate/SERAPH Memory 完

 

 

次回作予告

「カルデアのマスターよ!聞いてくれ!!」

「この竜、ファヴニールに似てるが何なんだ!?」

「俺はジーク!聖杯大戦を止めるのを手伝ってくれ!!」

Fate/Grand Order 『邪竜ノ終着』

 

「手伝っても良いが……私は人間を殺めたことがある男だぞ?」 

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