この作品は超ローマ人の二次創作の中盤にあたります
ついに藤丸立香の正体が分かりますので、お見逃しなく
第1話 SE.RA.PH
私の名はマシュ・キリエライト。私のような年頃の少女は恋愛するようです。
私にも……思いを寄せる人はいます。……ですが。その人はまるで遠くにいるかのようで、とてもじゃないですが『人間』を避けてるように見えます。彼はサーヴァントにしか心を開いていないようにも見えてしまって堪りません。
そんな彼が気にかかった私はその人の部屋をノックしました。
「先輩。いますか?」
すると、彼は扉越しに言葉を発しました。
「今取り込み中なんだ。後にしてくれない?」
「そ、そうですか。……すみませんでした。」
私は廊下を出た途端、先輩の部屋から女の声が聞こえたのです。
「奏者よ……。もう平気か……?」
私はぎょっとして、廊下の隅っこに隠れました。
暫くすると、先輩が出てきました。そして、側には。赤いドレスを来た女が―。
私の心は一気に天の果てから地の底まで落とされました。
「先輩……勝手に行かないで…。嫌だ……行かないで……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ行かないで行かないで行かないで行かないで行かないで!!」
私は泣きながら座り込んでいました。
すると、桜が舞い散りそこには居なかったはずの人影が移り混んでました。
「私は泣く乙女の味方です。」
私は身構えました。しかし、後ろの人影は女性特有の甘い口調で囁いて来たのです。
「貴女は『恋』してますね?」
「な───」
「そして、恋の相手は自分とは違う女に現を抜かして。貴女をちっとも見ようとしていない。そのことに対して心に負荷をかけていますね?」
女性の矢
私は左胸を握りしめました。そして、私はつい自らの欲望をさらけ出してしまいました。
「『先輩』が………ほ…し……『欲しい』!!こんなにも!彼のことを愛してるのにっ!!どうしてっ!!?どうしてっ!!?『伝わらない』っ!!!!!???あの女…っ!あの女と鈍感な男のせいで私はっ!!」
すると、桜が似合う美貌を持った女は愉悦の微笑みを浮かべ、手を差しのべました。
「大丈夫。私が!貴女を『しっかりと』サポートしますので」
私は、傷心のあまりにその手を握ってしまった。
それが悪魔との契約であることも知らずに
─数時間後─
「いやぁ、食った食った。」
カルデアのマスターこと藤丸は、味方の英霊の一人・エミヤの作る料理をゆっくりと味わっていた。
「うむ、アーチャーの料理は相変わらずの良い腕前よな。」
赤セイバーことネロも称賛の声を挙げた。
「全くOFFの時だけのんびりなのですから。」
オフの時になると子どもっぽくなるマスターを見て、巫女狐・玉藻の前は苦笑を浮かべた。
「私って、オンとオフで大分違うかな?」
「えぇ、それは私めもひっくり返ってしまうぐらいに」
「マジで?」
「そんなんで大丈夫なのかね、君は?」
藤丸はエミヤたちと談笑していると、金色の鎧を着た男がワインを持ちながらやってきた。
「こんなところで屯していたとはな、雑種。」
「あっ、英雄王。」
藤丸は金色の英雄王・ギルガメッシュの高圧的な態度も軽く受け流し、場を和ませた。
「けど、朝からワインって中々インパクトが。」
「これぐらいのことせずして、何が王かっ!」
「うむ、余もやるぞ」
「なんだって?それは本当かいっ!?」
「マスター、軽い冗談でも直ぐに信じてしまいそうなぐらい危なっかしいことになってませんか?セイバーさんの言っていることは本当だとは思いますが。」
暫く会話していると、警報が鳴り響いた。
「あぁ、もう少し話したかったところでコレか。」
「では行こうか、マスター。」
管制室に駆け込んだ皆は、違和感を感じた。
「ダヴィンチちゃん、マシュは何処へ?」
「それがよく分からなくてね、私もこう見えて焦っている。」
藤丸も不思議な顔をした。そして、背筋が凍り付くのを感じた。
「で、何故警報を鳴らした?」
「そうだね、月に亜種特異点が出来たんだ。三つのロストベルトを攻略したマスター君でも、苦戦するかもレベルの危険度の物ね。」
「………っ!」
藤丸は驚いたが、直ぐに平静を保った。
「誰が仕掛けたことか知らないが、俺たちの敵なら。倒すまでだっ!」
マスターがそう豪語すると、特異点の様子を映していたモニターに砂嵐が走った。
すると、桜の花が映し出された画面が映し出された。
「『BBチャンネル』………?うっ………!!!!」
「どうした、マスター?!」
「これは……っ!」
藤丸が首からぶら下げている、魔道書・アークミネルバは金髪の幼女の姿になると主人の頭部を光に包み頭痛を和らげた。そして、契約の影響からか何かしらの情報を得て息を呑んだ。
「マスター………お前……」
すると、画面には紫の髪を持った少女が映っていた。
「BBチャンネルへようこそ!私は貴方の素敵な後輩の『水先案内人』のBBちゃんですっ!」
「『水先案内人』って。……どういうことだ?」
藤丸は頭を抑えながらBBと名乗る少女を睨んだ。
「怒った顔が怖くて鈍感なカルデアのマスターは、何のことだか分かってないようなので説明しますね。」
藤丸は煽るような口調のBBに苛立ちは感じたが、冷静さを保てていた。
「…マシュさんは、マシュさんの愛しい先輩が来るまで耐えれるかしら?」
「!マシュはそこにいるんだなっ!?」
「こうなれば助けに行くしかあるまい。奏者よっ!!」
ダヴィンチが座標を特定すると、藤丸たちは直ぐにレイシフトの準備に取りかかった。
「私たちも同行します、ご主人様。」
「君たち二人じゃ心配でね。」
「贋作者『フェイカー』と同行するのはちと癪だが、仕方あるまい。精々向こうで心地よい足掻きを見せろよ?雑種。」
藤丸は計四体のサーヴァントを見て、少し微笑んだ。
「こいつは、頼もしいや。これから戦場に行くってのに、ニヤニヤしてしまうぐらいにな。」
何故自分が笑っているのか分からないまま、レイシフト専用室へ向かった。
「3…2…1…レイシフトのスタンバイ完了!開始っ!」
月へと赴く旅が始まったが…。
「んっ!?これは!」
「アハハハ!残念ながら、レイシフト出来るのは一人分にさせて頂きました♪カルデアのマスターさんは、SERAPHへは一人で直行してください。」
BBの嘲笑がカルデア内に鳴り響いた。
すると、藤丸の雷が鳴った。
「おい、BB!……てめぇの思うように事が運ぶと思うなよ!? 」
藤丸はエコーがかかった雷鳴を発すると手の甲が赤く輝いた。
「無駄な足掻きを!…アレ?これは一体!?」
「来い!俺の……セイバーぁぁぁ!!」
藤丸は渾身に叫んだ。すると、一つの赤い光が青い光の中へと入っていった。
「そんな…あのような令呪の形の変容、そして一瞬映った茶色の頭髪。まさか……。」
BBは呆然としたが、甲高い笑い声を響かせた。そして、笑いながら艶やかな声で囁いた。
「お帰りなさい…セ・ン・パ・イ」
次回予告
何故か純白な姿になったセイバーのサーヴァント・ネロと漆黒な制服を着用した藤丸の月の裏側探索が始まった。
そこで出会ったのは、BBにそっくりなサーヴァントであった。彼女は敵か味方か?
次回、Fate/SERAPH Memory 第二話『月の生命たち』