Fate/SERAPH Memory   作:超ローマ人

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月の爪紅

「あのくそったれBBめ!こんな悪趣味なものを用意しやがって!」

水色髪の少年はその外見に似つかわしくない低い声で怒鳴る。

「おい!さっさと動け!動くんだよ、このポンコツがぁ!!」

青髪の少年は『物語』を綴る。拘束されている大きな爪の少女を怒鳴り散らしながら。

 

 

「ここが研究所か……」

カルデア最後のマスター・藤丸が周囲を警戒しながら入り口の安全を確認する。

「どうやら入り口に罠らしき物は無いようですね。」

「だが、ガウェインよ。この研究所とは似つかわぬ、森の香りがするなぁ……」

「あっちの方角ね……これは明らかに罠だわ。どうするの?」

マスターは彼らに作戦を立てように促した。

 

 

「よし、分かれて行くぞっ!!」

カルデア一行は藤丸とネロが森の香りを辿る方へ行き、ガウェインとメルトリリスが逆方向の探索を行う方針で決まった。

そして、藤丸は緑色のマントを発見するが。

「………ッ!」

ナイフのように尖った蹴りが彼の首を刈り取ろうとする。

「やっぱり見切られるか……」

「良い蹴りだったぜ?」

ナイフを丸太で受けるような形で蹴りを防御した彼はそのまま

敵の胸部に打撃を与えた。

「今のカウンター……美しいではないかっ!」

「いやっ!仕留め切れてない!!」

緑色の弓兵は口を横に歪ませながらその姿を消した。

「マスターっ!余の後ろへ!!」

ネロと藤丸は背中合わせで敵が何処から来るのかを探ろうとするが。

「遅い…!」

一本の赤い矢が白い皇帝を射ぬこうとするが、叩き落とされる。

「余を嘗めるでないっ!」

「で、本命はこっちというわけか」

「……不正解だぜ、カルデアのマスターさん?」

藤丸の足元には、黒い玉が二つ程。

「しま──」

カルデアのマスターは紫色の霧に覆われる。

「毒……かっ!!」

「今更遅いッスよ!……弔いの木。牙を研げ……」

敵アーチャーのボウガンが死の旋律を奏でる。

「『弔いの木』っ!!」

巨大な木がカルデアのマスターを覆った。

「奏者──っ!!!」

 

 

ガウェインとメルトリリスは、ある部屋を見つけた。

「……そこにいるのは!?」

「作家さんとリップね。この装置が気にくわないから壊させてー」

メルトリリスが二人のサーヴァントを縛る装置を壊そうとしたその時。

一本の剣が矢の如く放たれた。

「フンッ!」

ガウェインが咄嗟に弾いた。

「チェッ、防ぐなッツーの。」

「この女狐めのお相手は私にお任せを!」

「フン、好きにすれば?」

メルトリリスは装置を壊そうと部屋に入ったが、罠が作動した。

装置によって暴走させられたパッションリップが解き放たれたのだ。

「AHHHH!!」

「ったく、世話が焼けるんだからっ!!」

 

 

「さてさて、後は死体とサーヴァントの消滅の確認だけ済ませて帰りますかね?」

アーチャーは不敵の笑みを浮かべながらも、用意周到に確認をしようとする。

そして、煙が晴れるとそこには…

「誰もいないっ!?」

「アーチャーぁぁぁ!!!」

白き皇帝が翠の反逆者を探すのに手間取るどころか、一直線に反逆者の位置へ直進した。

「!?これだからゴリラは……!!??」

翠の反逆者は気付いた。

自身の体が水に落ちた石のように愚鈍になっていることに

「嘘だろ、おいおい!?」

反逆者は胴体を大きく斬られ、壁に叩きつけられた。

「……ネロ、良い気迫だったぞ」

「くそ……作戦は全て盗み聞きさせてもらったのに」

「お前たちは、コレの重要さを知らなかったようだな。」

藤丸は自身の首にぶら下げた魔道書を見せ付けた。

「ってか、その鎧をいつの間に!?」

「あの煙の中で発動させたんだよ。そして、この鎧を来ている間は毒を無効化する。マシュやサーヴァントたちが回りに居なくても……。いや、それ以上に大切な者を守るために闘えるように、身に付けた能力だ。さて、お前は暫くここにいろ。私たちはBBとの決着をつけるために、仲間と合流する。」

藤丸はそう吐き捨てると、白い鎖で牢獄を造ったあとでその場を去った。

 

 

「あぁぁぁっ!!」

「っ!!」

爪は大きな虎ばさみのように、大きく開いて壁を食べるように壊していった。

「何なのよ、一体!」

「メルトリリスっ!私はリップの元へ行きます!その間にっ!!」

「アンタって……わっかり安いわねっ!」

 

 

「ロビンフッドの所には何も無かったな……ったく、こっちのほうだって分かってたらなぁ」

「仕方あるまい、あやつらもそれを承知の上でこの作戦に乗ったのだ。それよりも、言うべきことがあるのではないか?」

「ごめん、あんな作戦立てちゃって」

「次からは貴様が囮になる作戦などごめんだぞ?」

藤丸とネロの二人は施設内で走っていると、後ろから壁を砕く音がした。

「えっ……?」

「アァァァァアッッ!!」

大きな爪を持った少女が現れ、藤丸に襲いかかったのだ。

それは巨大な獣が小さなニンゲンを呑み込もうとするように。

しかし、その獣の牙は剣の一閃によってマスターの肌に触れるのを塞がれたのだ。

「マスター!ここはお任せをっ!!」

「うむ、頼むぞ!ガウェインっ!!」

ネロはマスターの手を引っ張り出して駆けた。

 

 

「さっきからちょこまかとっ!」

「捕らえきれるかしら?お稲荷さん?」

メルトリリスは敵を挑発していると、敵の背後から白い剣と一つの影が飛び出したのを確認した。

「取ったっ!!」

「しっかりしろ!!」

「過酷労働は断固反対だっ!というか、遅いっ!締め切りに間に合わないと作家としてダメだぞっ!!」

助け出されたアンデルセンを抱えながら藤丸は、サーヴァントたちに指示を出す形をとろうとする。

「くっ!中々に不利な状況っ!!」

鈴鹿御前は剣で土煙をあげると、行方を眩ました。

「逃げられたわね……」

「翠のアーチャーは我が奏者が捕まえたから大丈夫だ」

「後は……っ!」

 

 

再び壁が破壊される音と共に、ガウェインが飛び出してきた

「申し訳ございません、止めることが出来ませんでしたっ!!」

「ったく、最初から出直して来なさいっ!!」

「仕方無い……パワーにはパワーだっ!!」

藤丸は自身の体を青白い炎で包んだ。

「待って!今のリップは!!」

「ハァ……ハァっ!!」

パッションリップが息を荒くして、藤丸にゆっくりと近付いた。

「マスターっ!あの動きは宝具ですっ!!」

「そうだな……だったら強力な技で止める。ガウェイン、協力を頼む。」

「お任せをっ!」

聖騎士と魔導騎士はそれぞれの炎のエネルギーを形にした。

聖騎士は太陽を、魔導騎士は龍の形を造った。そして、その二つを黄金比で組み合わせパッションリップに放とうとする。

パッションリップもその爪をロケットのように飛ばして来た。

「そうは!」

「させないっ!!」

これをメルトリリスとネロが弾いた。しかし、パッションリップの攻撃は止まらなかった。

「あぁ、これが愛のカタチ………〈チガウチガウチガウチガウっ!〉どうしても愛されず、憎まれる位なら……いっそ、グチャグチャになってクダサイ!!アァァァァ──ッッッ!!!」

叫びながら大きな爪を獣の顎のように大きく開く。

「今ですっ!!」

「分かってる!!」

二人の騎士はその顎に突進した。

「「爆裂・赤龍剣〈ブリテンの炎〉!!」」

「『死がふたりを分断つまで』〈ブリュンヒルデロマンシア〉っ!!」

爪は熱量と爆発力を兼ね備えた炎に触れ、耐えきれずにその力を落としていった。

さらに少女の体も吹き飛ぶ。それと共に、彼女を拘束していた物がくだけ散った。

そして、体は聖なる騎士が受け止めた。

「大丈夫ですか?」

「『彼女を頼む。』、『抱えろ』の命令も無しにガウェインが動くって……」

「あぁ、分かりやす過ぎてイライラするわ」

 

 

どうにかして、パッションリップの正気化とアンデルセンの解放に成功した藤丸たち。

研究所のコンピューターを調べると様々な情報が飛び交った。

「これは……ここにいた人間の名前か……。」

「………っ」

藤丸は何故か唇を噛み締めた。

「どうしたの?」

「……いや、何でも無いんだ。ただちょっと、気分が悪いだけだ。」

その時、藤丸は自分の情報を見られたような気持ちであった。

 

 

次回予告:アンデルセンらの協力でアーノルドという生存者がまだいることを知ったカルデア一行。そこで、電子生物に襲われている一人の女性を保護することになった。そして、メルトリリスを『毒婦』と罵るサーヴァントは?!

次回Fate/SERAPH MEMORY 第五話『怒りのトリスタン』

 

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