「Seeeee!!!」
「………マシュっ!!」
藤丸は後輩を元に戻そうと、施設の外まで誘導するので精一杯だった。
「しっかりしろ、小僧!!」
「アワリティア、俺はマシュを止めたい!だが、傷付けたくない!!」
「だが、このままでは殺られるぞ!!?ブラッディムーンを使えっ!!!」
藤丸は外に誘い出すことを目的としたため、シルバームーンというソードブレイカー型の剣で対応していた。しかし、止めるとなるとシルバームーンでは威力が足りない。
そこで、藤丸の中にいる魔王龍・アワリティアはブラッディムーンの使用を提案したのだ。
「悪いな、マシュ。こんな先輩で。ちょっと我慢してくれよ?」
藤丸は赤い剣を取り出し、振り下ろしたが。
「Raaaaaa!!!」
剣が届く前に左肩を斬られてしまったのだ。
「この程度!!」
藤丸は痛みに耐え、マシュの鎧の胸当てに傷を残した。
すると、マシュは突然姿を消した。
「マスター!無事か!?」
「大丈夫だ、エミヤ。左肩を軽く負傷しただけだ。」
「奏者よ、傷口が開かぬように慎重に歩いて帰るんだぞ?」
藤丸がサーヴァントと会話していると、アンデルセンから連絡が届いた。
「あの後輩面ポンコツAIの居場所を特定した。座標を提示する。」
「よし!ありがとう、アンデルセン。」
「ったく、私たちがSERAPHのサーバーに侵入するという身体を張ったサポートがあったこともお忘れなく。」
メルトリリスが拗ねた口調で話していると、再びあの声が。
「メルトリリスにもそのような一面があるんですね。お母さん、感激です♪」
「願い下げよ。このクソババア!」
「なんだ?新種のオヤジギャグか?腹を抱えながら死ぬかと思ったぞ?」
アンデルセンの毒舌レビューが始まろうとしたとき、視界もろともハッキングを受けBBチャンネルは開かれた。
「とうとう、ここがバレてしまいましたか……。」
BBは溜め息を付くと、目を赤く輝かせ部屋の奥からマシュを引っ張り出しては鞭で叩いた。
「ったく!言うことを聞きなさい!この駄犬!」
その様子を見て、マシュの襲撃がBBの指図によって行われたことではないのは明確だ。
「先程までの余裕ぶりは消えてしまったようだな?」
「……っ!」
BBは引き釣った笑顔を藤丸たちに向け、後が無いような様子だった。
「全くもう、先輩ってば早とちりなんですねぇ?」
「焦ってるのが丸分かりだぜ?観念しろ!」
すると、BBは明朝に宣戦布告をした。
「精々足掻いてください♪豚さんたち♪」
笑顔の仮面を被りながら、少女は通信を閉ざした。
「敵将のなかで二人は倒した……残りの敵を抑えつつBBを討つ!」
「だが、誰がBBを討つ?」
エミヤの問答にネロが手を挙げる。
「あやつは余が倒す!」
「……なるほど。しかし、どうやって倒す?」
沈黙が続いたが、メルトリリスとパッションリップがそれを割った。
「私たちに良い考えがある」
「……なるほど、それなら!」
管制室で会議をした後、カルデア一行は教会で休憩を取ることにした。
「ところで、マスター。傷はまだ癒えないのか?」
「……そういえば、治りが遅いな……。」
「マシュに付けられた傷か……。大変なことになっちゃったね、マスター君」
傷口を診てもらっている際に、ダヴィンチは調べあげたことを話した。
「その傷はマシュの剣を折らないと治らない」
「!マシュの剣の正体はなんなんだ!?」
狂ったマシュが持つ黒い剣・災いの剣には「最も愛する者」と決闘する呪いが掛けられている。
過去において、それを所持した者は「愛する者」諸とも死んだとされる。
「これはマズイな。メルトリリスか私をマスターの援護に」
「いや……私とマシュの一対一の勝負にさせてくれ。」
エミヤの提案を藤丸は断った。
当然、エミヤはマスターが狂気の沙汰かと疑った。
「これは俺の責任だ……その呪いを解いてやる!そして、マシュを救う!もう覚悟は決まっている。」
藤丸は続けた。
「人間が闘うことが罪なら……『魔王』が背負わないとな!」
礼拝堂に戻った藤丸はサーヴァントたちが集めたSERAPHに関する資料や映像に目を何度も通した。
「……………これは………」
藤丸の頭に脱落者たちの最後を誰かが見届ける記憶が甦る。
虚ろになった目で虚空を睨みながら左胸に拳を当てた。
「………お前たちの無念………今ここで……」
訳も分からずしかし自然にその言葉が出てしまった。そして、視界が滲み頬に一筋の光が零れ落ちる。
その時、カルデアのマスターの背中は聖杯戦争の敗者を弔い労っていた。
完
資料を閲覧し、アーノルドとマーブルにSERAPHで何が起こったかを問い詰める藤丸。
しかし、彼らは恐怖に駆られ多くを話そうとはしなかった。
そして、その日の夜にガウェインとエミヤオルタが行方不明となる。
そこでアーノルドに自分のサーヴァントを疑われた藤丸が取った行動とは?
Fate/SERAPH MEMORY 『離反』(後編)