アンケートに答えてくださった皆様、ありがとうございます。
「寝てしまったようですね…アルジェントさんは」
深い夜の中、一誠達はオカルト研究部に集まっていた。
そこにはアーシアの救助に協力したオカルト研究部全員と、ソーナと匙を除いた生徒会役員が全員集まる。
「彼女も大変でしたから。…間に合ってよかった」
ソファーで安らかに睡眠にふけるアーシアを見て、胸を撫で下ろす一誠。
「この場に全員が集まったのは彼女と、そして貴方のこれからの身の振り方を考える為です」
「俺も、ですか」
「えぇ、貴方は匙と個人的な交友関係を持っていて、この街に侵入するはぐれ悪魔の対処も任せていました」
ソーナの説明に、一誠は素直に頷く。
はぐれ悪魔…匙や裕斗達の様に主人を持っていた元眷属悪魔達を指す。しかし、主を裏切り己の欲のままに生きており、その被害は人間が主に被る事が多い。
この街にも幾度かはぐれ悪魔が侵入しており、一誠もその度に戦っていた。
「でも、会長。こいつが、イッセーはバカな真似をすると思ってるですか?」
ソーナの口振りは、まるで一誠が敵であるかの様な表現に聞こえてしまい、主人に対して少しばかりの反抗心を匙は覗かせる。
「…いえ。少なくとも普段の彼を見れば、この街に厄災を齎す存在ではない事など明白です」
「むしろ、彼の為なのよ。…今回の一件は冥界にも伝わっていて、上層部には兵藤君の事は上手く言い包めるには私達が監視するって体裁が必要なのよ」
リアスとソーナの顔色からは、幾分か嫌悪の色が見える。
皆がどういう事かと考える中で、リアスの懐刀とも呼べる存在の姫島朱乃が静かに口を開く。
「一人で複数の堕天使を倒せる力を持った
朱乃の言葉は、一誠がこの面々に赤龍帝である事を黙っている理由にも起因していた。
力は力を呼ぶ。その意味を理解しているからこそ、一誠は悪魔に転生することを拒否している。
「それで、オカルト研究部に正式に入部する事にしようと思うのよ。私の監視下にあると報告すれば、問題ないと思うわ。…兵藤君はどう?」
「勿論です。こちらこそお願いします」
静かに頭を下げ、自分の事情を察してくれているリアスやソーナ達に素直に感謝していた。
次いで、皆の視線が眠りにつくアーシアに移る。
「彼女に関してですが……。少し複雑な事情がありまして」
ソーナの言葉に、この面々でアーシアの事情を聞いていない一誠と匙と裕斗は首を傾げる。
「部長達と合流した時に、アルジェントさんが教えてくれたんです」
小猫がポツリと呟き、三人はますます訳がわからない。
リアスも流石に知らないままでいいとも思えず、目を伏せながら語り出した。
「元々彼女はーーー」
アーシア・アルジェントは、元々孤児だった。ヨーロッパの小さな国の生まれ。生まれた直後に親に教会の前に捨てられていた。その教会で育てられていたが、5歳の頃に全てが変わった。
教会の前で倒れていた犬を助けようと神に祈りを捧げた時、彼女の神器は覚醒した。そこから彼女は、聖女として祭り上げられて、大きな教会で怪我人や病に冒された人達を癒す役目を言いつけられた。
そんな日々を過ごしていたある日、教会の前で一人の男性の傷を癒した。
ところが、その男性が実は悪魔であったのが問題となった。聖女と祭り上げられた彼女は一変して魔女の烙印を押されて、教会を追放された。
そして、今に至る。
「なんて奴らだよ!あの子の力が
「いい気分ではないね。…やはり変わらないのか、教会は」
匙が机を叩きつけ、怒りを露わにする。裕斗も端正な顔に怒りを含ませ、怒りの言葉を吐き捨てる。
二人が感情に基づいた反応を見せる中、ただ一人冷静な顔を見せる一誠。
それなりの付き合いのある匙が、不思議そうに声をかける。
「随分と冷静だな、イッセー。お前なら、なんかキレそうな話なのによ」
「…いや、気分のいい話ではない。だが、それ以上に可笑しなところがあってな」
そう呟いた一誠はこの場にいるメンバーの中で、悪魔の事情や情勢に詳しいであろうリアスとソーナに視線を向ける。
「部長さん、会長さん。…悪魔がたまたま教会の前に倒れている様なケースはありますか?」
「どういう意味ですか、兵藤君」
「人間の世界で怪我をした悪魔が、偶然傷を癒す力をもった聖女の前で倒れて、その傷を治す所を都合よく他の教会の人に見られるという事が…どうにも」
「「っ!?」」
二人とも一誠の言葉の真意を察して、小さく息を飲む。
つまり、アーシアが追放される経緯の全てがその悪魔の男の計画だとすれば。
その推論が本当だとすれば敵はまだいる、という事になる。
「まだあいつら以外にも、あの子を狙う奴がいるってのかよ!?」
「…いや、あくまでも俺の考えだ」
あくまでも推論でしかないが、一誠には嫌な予感が拭い切れない。
そんな一誠の推論を咀嚼し、吟味した上でソーナが静かに言葉を繋ぐ。
「悪魔が教会の前に倒れていたとしたら、即座に悪魔払いやエクソシストが動く筈です。勿論、悪魔の男が悟られる様に細工をしていたとしても、後から気付かれる程度には魔力や気配を漂わせていたはずです。悪魔である事が気付かれなければ人間への治癒として処理されてしまいかねない。仮に第一発見者が、アルジェントさんの様に命を見捨てられない人だとすれば…」
「助けてしまう…かもしれない」
リアスの付け足された言葉。静かな筈のオカルト研究部室に、ひゅっと誰かの引きつった様な呼吸が聞こえた。
「…………そうでない事を、祈りましょう」
今の推理はあくまで、仮説でしかない。
真実を知るのは、その悪魔の男だけ。
現状で、アーシアの保護をリアスに任せる事になり、その日は解散。
数時間後には、いつも通りの朝が来る。
どんなに深い夜にあったとしても、悲しく、辛い試練の様な時間があっても、必ず朝は来る。太陽は必ず昇るのだから。
アーシアの奪還から数日。
一誠は、どこか上の空で日々を過ごしていた。
「………」
「おいおい、どうしたイッセー」
「体調でも崩したのかよ」
頭に浮かぶのは、アーシアの事だ。
一誠自身が提示した推論は、彼自身は限りなく正解に近いのではないかと直感が告げていた。
これから先、彼女を守る。それは一誠の変わらない決意でもあり、誓い。
例え剣一本でもーー。
「おーい、静かにしろ。今日は転校生を紹介するぞ」
朝のホームルームの時間の時間となり、担任の教師が教室に入り、いまだ喧騒の中にある生徒達を鎮める。それと共に転校生というフレーズに、生徒達は声を抑えながらウキウキとした様子で席についた。
「なあなあイッセー、お前どんな子がくるとおもうよ!」
「あっ、俺黒髪ロングの美少女!!」
「女医さんみたいな大人の魅力のある子!」
「苦無を飛ばしてきそうな健康的なロリっ子!」
「口数の少ないメイド服の似合う可愛い子だ!」
後半はやけに限定的で尚且つ何処かで覚えのある転校生の想像、もとい妄想を口々に叫ぶ男子達。
冷ややかな目で女子達は見つめる中、ふと一誠の隣の席に座る神谷咲が一誠の肩を叩く。
「兵藤君は、どんな子が来ると思うの??」
「俺は…」
簡単な人物像を述べようと当たり障りのない言葉が頭の中で錯綜する中で、教室の扉がガラリッと空いた。
皆の期待の視線を一心に受けながら現れた転校生は、男子達の妄想とは全く違いながらもその期待を全く裏切らなかった。
「今日からこのクラスでお世話になります。アーシア・アルジェントですっ!!」
「おろっ〜〜〜っ!!!」
「「「「「「ヨッシャァぁぁぁ!!!」」」」」」
クラスの男子全員の、驚嘆と喜びの咆哮が校内に響き渡るーー
「ど、どういう事ですか。何故アーシアさんがこの学校に!?」
リアスの伝手で既にこの街を離れている物とばかり思っていたアーシアがこの駒王学園に、それも自分のクラスに編入生として現れるとは露程にも思っていなかった。
その事について、放課後のオカルト研究部の部室にてリアスに問い詰める様に訊ねる一誠。
「編入に関しては、貴方を驚かせようとアーシアと私で考えたサプライズよ。…驚いてくれて何よりだわ」
優雅に紅茶を堪能しながら、流し目で見つめてくるリアスに肩の力を抜かれかける。
その後ろでは、他の部員達がニコニコしつつ見つめている。
「さ、サプライズって」
「それにまだ終わりじゃないわ。…アーシア、皆」
リアスの言葉を合図に、一誠以外の全員の背中から黒い羽が出現。
そう、リアスや朱乃達ーー悪魔が持つ羽をアーシアも背中から生やしていた。
つまり、アーシアは。
「えぇ、私の新しい眷属として迎え入れる事になったの」
「アーシアさんは、…それでよかったんですか?」
「確かに迷いもしましたが、私も部長さんや皆さんのお力になりたくて。主への愛は忘れられませんが」
「そうですか。それなら、良かった」
本人が選んだのであれば、他人である自分にどうこう言う資格はない。
素直に彼女の言葉を飲み込み、一誠も前を向いた。
「新入部員も増えた事だし、歓迎パーティーといきましょう!」
「はい。アーシアちゃん、こちらへ」
朱乃に呼ばれて、テーブルに座るアーシア。その目の前には紅茶やケーキやクッキーと言ったメニューが並ぶ。
その正面で、小猫も持参のお菓子を片手に紅茶を。祐斗も紅茶を飲みながらアーシアや朱乃らと会話を弾ませる。
「あの子を眷属に入れたのは、人員補給の面もあるけどそれだけじゃないわ」
「何か進展が?」
「えぇ。私の兄とソーナのお姉様に頼み、今回の一件とアーシアの件の調査をしてもらう事になったの。アーシアの一件は教会側の事もあって調査は進捗具合は遅いのだけれど」
「じゃあ、今回の一件について何かあったんですか?」
「貴方が祐斗や小猫や匙君と攻め込んだ教会。その近くで転移用の魔力を使用した形跡が発見されたの。…冥界から使われた事までは判明したわ。ただ、使用者の特定は難しいわ。本人の魔力ではなく、第三者の魔力を介して冥界と人間界を行き来していたのよ。これが今のところの収穫ね」
「…その魔力、を介した第三者が見つかればその犯人は分かるんですか?」
「えぇ、でも何重にも細工を施していて解析が難しいわ。後は時間経過での進捗に期待といった所かしら」
現状ではここまで。
しかし、アーシアを狙う者はほぼ間違いなく存在している。
一旦はその事実が明らかになっただけでも良しとしよう。
「さぁ、貴方の歓迎会でもあるのだから楽しんで頂戴」
「えぇ、そうします…ッッ!!」
リアスに手を引かれ、ソファーに座る様に催促される。
その瞬間、部室の外から視線と様々な感情の込められた殺気を叩きつけられる。
一誠はリアスの手を握りながら窓まで走り、勢いよく窓を開ける。
窓の外には学園やその先にある街並みが望め、一誠は視線と殺気の元を辿る。
「…あそこかッ!」
「どうしたの、兵藤君!」
猛る一誠にリアスは驚きながらも、彼の見つめる先を同じように見つめる。すると…。
「あの時の…はぐれエクソシスト」
神父服に身を包んだフリードが、ケタケタと笑いながらこちらを見つめていた。その隣には黒いローブを羽織った体格からしてフリードや一誠らと同年代の者と見られる者が。
その姿を何秒か捉えていると二人から強い光が発せられ、その光が止むと二人の姿は忽然と消えていた。
「あ、あの…イッセーさん、何かあったんですか?」
窓の外を睨みつける一誠に、アーシアが恐る恐る問いかける。
彼の表情からしてただ事ではない事も、リアスのはぐれエクソシストと言う呟きも聞こえていた。
「いや、なんでもないです」
「さぁ、兵藤君ーーイッセーも怖い顔をやめて、歓迎会を始めるわ!」
リアスが開いていた窓を閉めて、高らかに歓迎会は始まろうとしていた。
冥界、とある場所。
「おいフリード、いったいなんの真似だ!!」
「アンタの性癖のせいで、イッセー君にバレちったからトンズラしちゃいました」
「イッセー…?あぁ…あの奇妙な刀使いか。それしても奴がグレモリー眷属とシトリー眷属と手を組んで、アーシアを助け出すとは」
「お姫様も掻っ攫われちゃったねぇ、お坊ちゃん」
「黙れッ!!……アーシアは、渡さない。…フリード、貴様はアーシアの監視をって聞いているのか!」
「いや、無理でしょ。あのイッセー君相手じゃ、監視なんてバレちまうよ」
「そうか、それならば。アーシアとあの男を引き裂き、彼女が自らの意思で僕の元にくるようにすればいい」
力は力を引き寄せる。
アーシアの光を穢さんと一匹の蠅が集ってきた。
一誠の更なる敵が、ヒッソリとその牙を研ぎ始めたーー。
おまけ予告(嘘予告)
原作×平成剣客浪漫譚×ハイスクールfaiz
本来は繋がり合うはずのない平行世界。
一つ一つが独立している、その理を崩す者達が居た。
突如駒王町に出現した灰色の怪物と彼らを統率する仮面と鎧を纏ったライダー達。
「何だよ、こいつら!!」
兵藤一誠やその仲間たちは、街や友人達を守らんと戦いを挑む。
「次元の狭間とも違う場所に通じた奇妙な時空間の穴が発見された。恐らくは奴らはそこから…」
そこから現れるのは敵だけではない。
この世界を救う、希望となれる者達も現れる。
「乾巧でいい、同じ面で名前も同じだと面倒だ」
「なら、俺も緋村剣心でいい。…その名前も呼ばれ慣れてる」
三人の兵藤一誠が集う時、世界は変わり始める。
「もう、王は居ない!ならば、俺がその名を継ぐ!!」
新たな王を名乗る男とその軍勢。
彼らからこの世界と二つの並行世界を守るため、彼らは立ち上がる。
おっぱいドラゴンと不殺の赤龍帝と赤き閃光の救世主が今、並び立つ。
「変身っ!!」
「
「解放」
三人は、世界を守れるのか。
平行世界のエンド・ウォー
cooming soon
一応、最後のアレは冗談です。
でも、三人の掛け声の中で剣心のみ適当です。
いい掛け声があれば、教えてください。
感想や評価もお待ちしてます。出来れば評価の方…お願いします。
一巻で終わりか、続けるか
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とりあえず二巻まで
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取り敢えず進めて欲しい
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一巻で終わりでいい。