ハイスクールD×D 〜平成剣客浪漫譚〜   作:シグナル!

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しばらくぶりの投稿になりました。
皆様もお体にはお気をつけて下さい。


第七幕 リアスの婚約騒動

夜遅くに見知った美少女に抱いてほしいと懇願される、なんて急展開な夜を迎える事なくアーシアと一誠の学園生活は緩やかに続いていく。

既にクラス内では友人も出来て、楽しそうに時間を過ごすアーシア。

一誠もその事に素直にありがたいと気持ちを抱いている。

 

 

また今日も授業の終わりのチャイムが鳴り響いた。

 

「イッセー、今日は暇か?」

「すまないが、今日は部活に顔を出す予定が」

「く、くそ…お前がオカルト研究部に入るとは。それもアーシアちゃんと共に!」

 

友人二人から射抜かれそうな敵意と嫉妬に満ちた視線を受け、苦笑を浮かべる一誠。

その理由としては、一誠が所属する事になったオカルト研究部にあった。

この駒王学園は最近まで元々女子校であった為に、生徒の男女比が偏っている。勿論、女子に。

その数多く在籍している女子の中でもトップクラスの美貌と人気を持つ女子生徒らが在籍しているのがオカルト研究部。

同時に学年で一番の女子人気を誇る祐斗も在籍している事で、男子たちからは親の仇の様に敵視されている。

 

「あ、あははは…」

 

その人気者集団が、悪魔の主人とその下僕ですなんて言えるわけもないので、乾いた笑みで誤魔化しつつその場から離れる事を思索。既に仲良くなれたクラスメイトと談話を楽しむアーシアの元へ。

 

「アーシアさん、そろそろ…」

「あっ、イッセーさん」

 

談話を打ち切らせるのも悪かったが、この教室もとい男子たちの視線から流れるべくアーシアに声をかける。

アーシアも会話を打ち切り、ようやく二人は部室へと向かい始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日も部活動が楽しみです!」

「…そうですね、アーシア先輩」

 

オカルト研究部の部室でもある旧校舎へ向かう途中の下駄箱で、小猫と祐斗らと合流。

先を歩く女子二人の後ろで、一誠はふと昨晩のことを思い出していた。

 

 

『イッセー、明日の部活動のことなのだけれど…』

『アーシアさんと一緒に行くつもりですが、どうかしましたか?』

『いえ、なんでもないわ。一応、確認しておきたくて』

 

珍しくリアスからの電話があり、ものの数分の事であったがその時のリアスの声から不安や焦燥といった感情を感じ取れた。

彼女が今何かに悩んでいる事は分かったが、その背景や直接的な原因は把握しかねるのが現状。

 

「木場君、最近グレモリー先輩に何か変な事はありませんでしたか?」

「いや、特にそういった様子は見受けられなかったけど。どうしてだい?」

 

自分よりも長い時間彼女と過ごしてきた祐斗に聞いてみるも不発。会話の流れで、祐斗に事情を伝える。

指を口元に添えて考える仕草をしつつ、祐斗は言葉を返す。

 

「部長は悩みや不安といった物を眷属の僕らにはあまり見せようとしないんだ。けど、朱乃さんは違う。あの人は部長の懐刀みたいな人だからね」

「姫島先輩…か。なるほど、ありがとうございます」

 

ふと、一誠は足を止めた。

その行動に残る三人が疑問符を浮かべそうな顔で見つめる。

 

「今日は誰か客人でもくる予定が?」

「どういう事ですか、イッセー先輩」

「部室に誰がいる。…それも、とてつもなく強大な」

 

敵意や悪意は全くない。むしろ何処か喜びに近い感情を携えている第三者の存在に一誠は警戒心を解いた。

その回答を確認すべく四人は旧校舎へと足早に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

「開けます…」

 

小猫の声と共に部室前の扉が開き、一誠が感じ取った第三者が部室の中心に立っていた。

長い銀色の髪、洋風で見慣れないメイド服、美しいの一言に尽きる顔立ち、リアスや朱乃よりも大人びた色気。それらを放ちながら、同時に冷たさも感じさせる女性が一誠たちの前に立っている。

 

「アーシア・アルジェント様、兵藤一誠様、初めまして。グレイフィアと申します。グレモリー家に仕えさせていただいてる者です」

 

美しい所作で初対面の二人に挨拶を済ませる。一誠も静かにお辞儀をして、隣のアーシアも真似る形で挨拶を交わし終える。

そこで一誠は立ち上がっていたリアスにふと声を掛ける。

 

「今日、僕は帰った方が良かったですか」

 

グレイフィアというリアスの家の者が来ている以上、悪魔としての用件がある可能性は十分にある。そんな中で眷属、ましてや悪魔でもない自分がこの場にあるのは不味かろうと彼なりの気遣いから出た提案だ。

 

「…そうね、今から伝える件は貴方に関係ないわね。…だから」

 

そのまま帰るように、とリアスが伝えようとした途端、ドアの手前の空間から突如魔法陣が展開され始める。

部室の半分近くの大きさの魔法陣から炎が発火される。

 

「皆、下がってーーっ!!」

 

敵の襲来と判断し、逆刃刀を顕現させてそのまま突貫した一誠。しかし体を前に運ばせた直後、抜刀しようと柄に添えていた腕を横から現れたグレイフィアに捕まれる。

 

「ご安心を、兵藤様」

 

その言葉の後炎は治り、炎の中心だった場所には一人の青年が。

赤いスーツのセットアップ。明るく人目を惹く金髪、敢えて乱れたワイシャツとネクタイの着こなし。

謎の青年は静かに振り返ると、軽薄な印象を覚える笑みと共に一人の少女の名前を読んだ。

 

「会いに来たぜ、愛しのリアス」

 

ほぼ第一印象で、リアスの悩み種がこの男であることに確信を持った。

 

 

 

 

 

 

「いや〜美味いな。リアスの女王が淹れてくれた紅茶は」

「痛み入りますわ」

 

普段、部員たちが座るソファーに尊大な態度を隠さない男が座り込み、その隣にリアスを座らせる。

一応客人に紅茶を出した朱乃に、好色的な視線を向けるも朱乃は静かな言葉を返すのみ。朱乃は他の部員と同様にソファーの反対側の壁に沿う形で立ち並ぶ列に加わる。

 

『随分とつまらぬ男との将来になりそうだな、リアス・グレモリーは』

 

声からも分かる程に呆れた様子のドライグに苦笑を浮かべるしかないが、その感想は一誠もほとんど同じ様な物だ。

 

ーー確かに彼女が選んだ男には見えないな。

 

自身の隣に座るリアスの太腿を這うように触れ続け、彼女の自慢でもあり、象徴でもある紅の髪を無作法に撫で続ける男の態度に、冷ややかな視線を向けざるを得ない。

というか、この部屋にいる全員が同様の視線を男に向けている。

 

「離して頂戴、ライザー」

 

ようやくリアスの怒りも頂点に達し、自身の体を触れ続ける手を叩き、男の名前を静かに怒りを鎮めるように呼ぶ。

 

「おっと、これは失敬。愛しい婚約者に久しぶりに会えたから、つい…」

 

男ーーライザーフェニックスは、肩を竦めるような態度を見せるものの軽薄な印象はどうも拭えない。むしろ、こちらを小馬鹿にしてくる態度は継続中にさえ思える。

 

「悪いけど、私は貴方と結婚する気はないわ!!」

 

婚約者、という言葉に反射的に強く言葉を返したリアス。

その言葉には強い意志が込められており、彼女の頑固さが露わになる様に見える。

 

「くっくっくっ、俺と結婚はしない…か。数少ない純血悪魔の君が、今の冥界の事情を知らない訳はないだろう?サーゼクス様や、君のお父様やお母様がどうしてこの縁談を整えてくれたか、その意図も」

 

悪魔の事情に疎い一誠は、特に何も言えないが、純血であるが故の役目の様な物にリアスが縛られているのは話の流れで汲み取ることが出来る。

 

「えぇ、分かってるわ。でも…いくらなんでも急ぎ過ぎるわ。学校を卒業したら、即結婚なんて」

「それだけ事は重大って事さ。一人でも多くの純血悪魔の繁栄は」

 

ライザーの選んだ言葉に、リアスの思いや尊厳すらも軽んじた意図が含まれている様に思えた一誠。

思わず二人の間に割って入ろうとしそうとするも、再びドライグの声が。

 

『よせ、これは悪魔同士の問題だ。お前が口を挟むことではない』

 

ーーそれでも、グレモリー先輩が。

 

『あの娘は、グレモリーの次期当主。次世代の為に、政略的な婚姻を結ぶのは必然的な事だ。純血悪魔の数は今ではかなり少ないからな』

 

ドライグの正論に何処か罪悪感を感じるも、そこを突く事も出来ないので押し黙る一誠。

再び言い争うリアスとライザーに視線を向ける。

 

かなりヒートアップした二人は、冷静な態度とは言えない様子で言葉をぶつけ続ける。

 

「えぇ、貴方のいう通り私は結婚をするわ。でも、それは私の意思で選んだ相手よ。…少なくとも貴方ではない」

「そうか。…俺は、ライザー・フェニックスだ。つまり、フェニックス家の看板を背負っている。このまま婚約解消で、この縁談が破談になると我がフェニックス家の看板に泥を塗られる事になる」

 

瞬間、二人が同時に魔力を解放する。

迸る魔力を前に祐斗らは、リアスの名を呼ぶ。

一誠は、奥に立つ女性ーーグレイフィアの魔力を察知し、ひとまず安心する。

 

「お二人共、お納めください」

 

リアスとライザー、二人の魔力を圧倒的に上回る魔力を瞬間的に解放し、二人を一旦落ち着かせる。

 

「私はサーゼクス様の名でこの場におります故、容赦は致しません」

 

落ち着いた二人を確認しつつ、言葉を続けるグレイフィアにようやく二人も矛を収める。

一瞬、リアスに視線を向けたグレイフィアは、間を置いてから一つの提案を行う。

 

「旦那様方もこの様な形になるのは想定されていました。リアス様がご意志を貫き通したいので有れば…レーティング・ゲームにて決着をつけると言うのはどうでしょうか?」

 

新たに出てきた言葉、レーティング・ゲーム。

その意味を知らない一誠とアーシアの為に、朱乃がポツリと呟く様に補足を加えた。

 

「爵位待ちの悪魔が下僕悪魔を用いて行うチェスに似たゲームです」

「下僕を、用いて」

 

どういった内容の物かは、分からないが少なくとも自分を除いた全員が参加する事は確定事項の様だ。

そんな風に考えている中、ライザーがリアスに問いかけた。

 

「俺としては構わないぜ。…まぁ、こっちは駒がフルで揃っているし、ゲームを何度も経験してるしな」

突然、指を鳴らすと彼の背後から再び炎が上がる。

何秒間か炎が上がり続けてから、徐々に小さくなっていくと…そこからは十五人のタイプの異なる美女・美少女達が現れる。  

 

「これが俺の眷属だ。…おい、リアス。さっきから気になっていたが、そこの男はお前の眷族ではなく、人間だよな?」

 

ここに来てようやく、一誠の存在に触れたライザー。その瞬間に、ライザーをはじめとした多くの悪魔からの視線が一誠に向けられる。

 

「えぇ、彼は神器持ちで、一応私の元に居てもらってるわ」

 

ふと、一誠はより強く自分を見つめる視線に気付く。

その先を目で追うと、ライザーと同じ金髪でお嬢様然とした少女がポーっとした様子で一誠を強く見つめていた。

一誠も少女を見つめていた為か、二人の視線が交錯し合う。

 

「こ、コホン!」

 

何秒かした所で少女が、わざとらしく咳払いをすると少しばかり顔を赤らめて注視していた視線を外した。

 

「おろっ!?」

 

訳がわからずに困惑する中で、アーシアが腕を抓り、思わず驚きの声を上げる。

 

「アーシアさん、一体…」

 

同じくそっぽを向いたアーシアを前に言葉が見つからないままではあるが、少しずつ話が進みつつある。

 

「さっきも言ったが、こっちはフルメンバーで、そっちはその人間を除いて三人か。これじゃ、勝負にすらならないな」

「そうかしら…貴方のハーレムに負ける子達なんかではないわ」

「ほう…ならば、見せてやる。ミラ!!」

 

ライザーの売り言葉に買い言葉を叩きつけたリアス。

ニンマリと不適な笑みを浮かべたライザーは、自身の眷属の一人、ミラを呼び攻撃の指示を与える。

 

「はい、ライザーさま!」

 

その指示に応じて、ミラは前方に躍り出て、この場にいて攻撃して差し支えないであろう人物の前へ。

 

「待ちなさい、ミラ!」

 

先程、一誠を見つめていた少女がライザーの意図に気づき、静止の声を上げる。けれど、ミラはすでにこの場において唯一の人間、一誠に向けて己の持つ棍棒による刺突を放った。

 

 

「おっとっと」

 

その一撃を危なげさえも感じさせない様子で躱した一誠を前に余裕の表情が崩れる。鳩尾への一撃を察知された上に、棍棒を握りしめてからわずかに力を込めて体に当たらない様に逸らされてしまっていた。

しかもその際に無理に力を入れ、ミラの体に反動が来ない様に最低限の力のみで回避を行っていた。

 

「申し訳ありませんが、武器を収めてくれませんか?」

 

冥界で名だたる美男子達にも負けない程に整った顔立ちをわずかに近づけてながら、小さな子を諭す様な表情と言葉に素直に引き下がるミラ。

 

「ありがとうございます」

 

バカにされた様な気分にさえならず、ミラはそのまま先ほどまでの位置へ下がる。

 

「ライザー!!イッセーに何を!」

「君に俺の眷属の力を見せてあげようと思っただけさ。まぁ、そこの人間がそこそこやるみたいだったがね」

「……分かったわ。貴方とのレーティング・ゲームを受けるわ」

 

幾分か逡巡した上で、リアスは答えを出した。

その言葉を待っていたと言わんばかりに、ライザーは笑みを浮かべる。そのまま背中を翻し、冥界に帰ろうとする彼に一誠が静かに呼び止める。

 

「ライザー・フェニックス」

「様を付けろ、人間」

 

目を伏せながら、一誠はたった一つの質問を淡々と繰り出した。

 

「お前は、グレモリー先輩を愛しているのか?」

「あぁ、勿論さ」

 

 

 

「俺のハーレムの一人として、な」

 

 

その答えは、ある種想定していたが否定したかった物でもある。

同時にリアスは嫌悪に満ちた表情を浮かべる。

 

「そんなつまらない女性ではないですよ」

 

殺意に満ちた視線とそれに劣らないほどに強い意志を感じさせる視線が交錯する。とうとうライザーは痺れを切らして、眷属の少女達と共に冥界へ帰っていった。




感想や評価をお待ちしております。

ちなみに、今作の一誠はるろ剣実写版に準じた容姿の良さになります。
原作でも整った顔立ちであるのはわかりますけど。
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