REGAIN COLORS   作:星月

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始まり

 日曜日、定期的に行われる狙撃手訓練ではいつも通りの光景が広がっていた。

 奈良坂や鳩原をはじめとした優秀かつ真面目な性格の隊員が成果を残しつつ、当真や絵馬と言った訓練に対しては本来の調子では臨まない隊員は実力に反して低い順位に収まっている。

 訓練後は各々の調子を語りつつ、さらに反省点をあげたり今後の予定を振り返ったりしていた。

 

「あかんなあ。通常訓練では敵わんなあ」

「でも隠岐はこの前の捕捉訓練がよかったじゃないか。今はまだそこまで順位を気にする時じゃないよ」

「せやね。まだシーズンまでは時間があるし、ぼちぼちと上げていくようにしますわ」

 

 隠岐が愚痴をこぼすと、ライが彼を励ますように肩を叩く。

 同じB級同士という事もあって互いに遠慮はない。

 今は12月だ。次の部隊ランク戦までは期間が残されているのだ。少しずつならしていくか、と隠岐は軽い調子で笑った。

 

「お疲れ様、二人とも」

「……お疲れ様」

「おお、鳩原先輩、ユズル。お疲れさんです」

「お疲れ様」

 

 すると、反対側から歩いてくる鳩原・絵馬の師弟と鉢合わせた。

 

「相変わらず鬼みたいな精度やなあ、鳩原先輩。精密無二って感じですわ」

「鳩原と奈良坂のそれは、本当に並外れてるよね」

 

 鳩原の撃った的へ視線を移し、隠岐とライは呆れを含んだ声色で口にする。

 彼女と奈良坂が撃った的は中心部だけがくりぬかれていた。何発も撃った後にも関わらずである。つまり二人の狙撃は全てが的の中心部を撃ち抜いたという事になる。狙撃手が多いとはいえ、ここまで安定した技量を持つ隊員はこの二人くらいだろう。

 他にいるとするならば、

 

「ユズルは相変わらず遊んどるし」

「そこは当真と同じだね」

 

 目の前の少年と、ナンバーワン狙撃手くらいだろう。

 今日の絵馬の的を見ると、どうやら台形の形を作りたかったらしい。銃痕が綺麗な直線に並び、台形をかたどっている。

 本気になれば中心へぶつける事くらいたやすいだろうに、遊び感覚が抜けないのは彼も当真と同じ感覚のようだ。

 

「いいじゃん。別に訓練なんて本気でやらなきゃいけない理由なんてないんだしさ」

「あはは。まあユズルがそれでいいならいいかなって」

「師匠である君がそういうならば、僕もこれ以上は口出しはしないよ」

 

 本来はよくないのだが、本人の気質というものもある。

 師匠が認めているならば下手な指導はかえって気を悪くするだけだ。ライは大きく息を吐き、二人の対照的な師弟をじっと見つめた。

 

「……そういえば、ユズルは今中学二年生だっけ?」

「え? そうだよ。どうして?」

「そうか。それなら彼女と同い年か。ちょうどいいかも」

「彼女? 紅月先輩、誰の事?」

 

 ふと絵馬に思い返した事を確認すると、ライは『いい機会だ』と笑みを繕った。

 絵馬が首を傾げる中、ライは『もしも都合がよければ』と尋ねたうえで訓練の後にある人物と引き合わせたのだった。

 

 

————

 

 

「——おお。確かにこの姿勢だと余計に安定するかも」

「そう。なら良かった。俺もそうだけど、夏目は先輩たちと違って小柄だし、狙う前に姿勢とかポジションをよく意識した方が良いかもしれない」

「なるほどー」

 

 訓練場の一角で夏目を指導する絵馬。

 今日初めて会ったばかりの二人であったが、ライの仲介に加えて同じ学年、同じポジションを志すものとあって打ち解けるのは早かった。

 今日、夏目はライに頼み込んで連日の訓練を希望していたのである。昨日当真の教えもあって徐々に上手くなっていく感覚に気をよくしたのだろう。

 まだ二日目ではあるものの、今日はさらに似た体格の絵馬の指導もあってより精度が上がっているようであった。初心者であるからこそ伸びしろも大きいという事だろう。

 ボーダー隊員の中でも若い二人が試行錯誤を繰り返す、よい傾向だろう。その二人の様子を、少し離れた位置でライと鳩原、隠岐にさらに当真を加えた4人が見守っていた。

 

「なんだなんだ。ユズルにもモテ期が来たかー?」

「そういう君とて彼女に指導していたじゃないか、当真」

「いやいや。俺はちょっとアドバイスを送っただけだぜ。あいつみたいに懇切丁寧ではねえよ」

 

 茶化す口ぶりの当真はそう言ってライの指摘も笑い飛ばした。

 狙撃手は他のポジションと比べて希望人数が限られており、その分コミュニケーションも同じポジション内で完結しやすい。だからこそ絵馬にとってもこうして貴重な同年齢の話し相手ができる事は良いつながりになるだろう。その事実を喜んでいるように見えた。

 

「ユズルの年齢だとただでさえ隊員が少ないからね。表情には出さないけど、ユズルも嬉しいんじゃないかな」

 

 師匠である鳩原も同じ心境であった。特に鳩原は一度自分の事で彼にも大きな負担をかけてしまった。その彼が同じ年齢の隊員となじめている姿は師として純粋に嬉しく思う。

 

「彼女がこのままボーダーに入れば、また狙撃手界隈がにぎやかになりそうやなー。元気そうな子やし。しかも紅月先輩や当真先輩、さらにユズルも彼女に仕込んどるとは。これは先が楽しみですわ」

「……まあ、時間はかかるかもしれないけどね」

 

 頼れる師匠の顔ぶれは非常に恵まれた環境と言える。夏目の明るい未来を想定して隠岐ははにかんだ。

 その一方で、ライも同意を示しつつ、今の狙撃手の環境を考えて曖昧に言葉を濁した。

 

(狙撃手のB級への昇格条件は訓練に参加し、三週連続で上位15%に入る事だ。決して簡単な話ではない。どうなるかな)

 

 狙撃手というポジションは他と比べて昇格条件が順位に依存するという特殊なものだ。

 絵馬や当真のように訓練では本気を出さない者もいるとはいえ、15%の中に入るには長い期間を擁する事になるだろう。

 夏目の成長を期待しつつも、彼女の早い成長のためにはどう教えていくのが最善なのか、ライは一人思考に暮れた。

 

 

 

「ユズルは、紅月先輩とは親しいの?」

「ん? どうしたの、急に?」

「いや、紅月先輩にはこの前話をしておいたけどさ。ユズルには今日いきなりの頼みだったじゃない? なのに快く応じてくれたからさ。リーゼント先輩も来てるけど今日はユズルに任せてるみたいだから」

「……当真先輩の事かな」

 

 チラッと絵馬が視線を逸らすと、当真の特徴的なリーゼントが目に入った。まず間違いないだろう。

 

「まあね。同じポジションの武器を使うし。……前は、少し俺の方が紅月先輩に突っかかった時もあったけど、今はそうでもないよ」

「え? なんで? 何かあったの?」

「大したことじゃない。忘れて」

 

 失言だった。

 絵馬はそれ以上は何も答えないと夏目を手で制し、それよりも訓練に集中するようにと改めて指示を飛ばすのだった。

 

 

 

————

 

 

 

 鳩原の降格、C級落ちという話を聞いた時、絵馬は何が何だかわからなくなった。

 二宮隊の誰に聞いてもまともに相手にしてもらえず、本人に聞いても彼が満足する答えが返ってくる事はない。

 そんな絵馬にとって、彼女と同じく降格したというライの存在は、良いものとしては映らなかった。

 

「あんたが、何かしたのか、紅月先輩……! あんたも、何か絡んでるんじゃないのか……!」

 

 時を同じくして降格となった二人。

 その事実から絵馬は何かしらの繋がりを理解したものの、しかし正しい判断を得られなかった。

 師匠が重大な規定違反を犯すなんて一人でするとは思えない。

 ライが鳩原を唆し、そしてこのような結果に導いたのでは。そんな思いが先行し、ライを問い詰めた事もあった。

 

「……僕が答える事は何もないよ、絵馬」

「ふっざけるな!」

「おい、やめとけユズル!」

 

 強張った顔で尋ねられたライは、何も答えない。

 言い訳も、弁明もなに一つしないまま絵馬の糾弾を受け止めた。

 そのあと絵馬は彼に何を言ったのかは覚えていない。ただ、胸の内に留めておけない怒りを吐き散らして、当真達に止められた事だけは覚えている。

 結局それでも感情が収まる事はなく、しまいには上層部の元へと強引に押し入って話を聞きに行ったことがあった。

 それが影浦の暴走につながり、影浦隊までもが降格となってしまった事は非常に申し訳がなかった。

 それからほどなくして、絵馬の部隊までが降格となった事を心配して、謹慎が解けた鳩原が彼の元へと訪れた。

 心配をかけた事について謝罪すると、鳩原は絵馬を窘めるように語った。

 

「違うんだよ、ユズル逆なんだよ」

「逆?」

「紅月君たちがいなかったら、きっとあたしはむしろここにいる事さえできなかったと思う。それに——まだ言えないけど、多分、さらに助けられる事になると、思う」

 

 その時はどういう意味か理解できなかった。

 だが次のシーズン、鳩原が紅月隊に加わったという話を耳にして、ようやく理解する事ができた。

 

「鳩原先輩! ……紅月隊、そっか。良かった……!」

 

 もしもライが元凶だとするのならば彼の部隊に加わるなんて真似をするはずがない。逆に鳩原の言う通りだとするのならば、彼の部隊に加わるという話にも頷ける。

 ここでようやく絵馬は自らの勘違いに気づくと、そのランク戦が終わった直後、ライの元へ改めて赴き、そして謝罪するのだった。

 

「紅月先輩。ごめん。俺が前に紅月先輩に怒鳴り散らしたことがあったと思うけど、鳩原先輩がいるのを見て自分が間違っていたとわかったよ。本当に、ごめん」

「……構わないよ。勘違いの元となったのは僕だ。君が謝罪する必要はない。それより今後も絵馬が僕たちと良い関係を築いてくれるのならば、それに越した事はない」

「うん。ありがとう。——ユズルで良いよ。皆、そう呼んでるし。師匠も紅月先輩の部隊に所属するなら、そう呼んで欲しい」

 

 ライが絵馬を許し、先の付き合いを約束すると、絵馬は下の名前で呼ぶ事を望み、ようやく二人の勘違いは解消することとなった。

 ただ、その代わりとして元々鳩原が在籍していた二宮隊が鳩原を戻そうとしなかった事について、隊長である二宮に対してはより強い敵意のようなものを抱くようになってしまったのだが、それはまた別の話。

 

 

————

 

 

 

「んじゃ、俺は用があるし、先に抜けるぜ」

「あたしたちも今日はユズルとご飯に行く約束してるから」

「お疲れ様。夏目も頑張って」

 

 夏目の個人練習を終えると、当真と鳩原・絵馬の三人が一足先にその場を後にした。

 三人の姿が見えなくなると、ライ達も訓練室の片づけを終えて帰り支度を始める。

 

「さて、俺はイコさんたちと飯行く約束しとるけど、お二人はどうするん?」

「僕は彼女を送ってから作戦室に戻りますよ」

「何から何までありがとうございます!」

「いいよ。来たばかりで迷いやすいしね」

「ほなら途中まで一緒に行こか。イコさんとかもその辺におるやろし」

 

 準備を済ませ、三人も本部の出口へ向かって歩き始めた。

 途中、夏目の視線が右往左往する。ボーダー本部は広く、曲がり角も多いため複雑な構造に戸惑っているのだろう。

 

「さっすが。本部っていうだけあってすごいっすね」

「そうだね。僕はここで過ごす時間が多いから今は大丈夫だけど、昔は人に頼って教えてもらう事も多かったな」

「知り合いがおらんと迷った時に困るからなあ。同じ場所に戻るのも一苦労や。夏目ちゃんも何かあったら俺らを探してくれてええで」

「そうするっす」

 

 先輩たちの優しい気遣いに夏目は素直に甘える事とした。まだ中学生とあってこの素直さは訓練でも内容を吸収するにあたってよい方向につながるだろう。

 

「おっ? 隠岐、こんなとこおったんか」

「ん? おお、イコさん。ちょうど向かうところでしたわ」

「イコさん、お疲れ様です」

「なんや。ライも一緒かいな」

 

 すると、曲がり角を曲がったところで生駒と遭遇した。弟子であるライも一緒にいる事に気づくと『ちょうどいい』と手を叩く。

 

「今から水上達と飯行くんや。この前の料理の話も合ったし、良ければ瑠花ちゃんもつれて飯でも——」

 

 行こう、と続けようとして。

 生駒はライの影に控えていた夏目と視線が合った。

 

「あ、どうもっす」

 

 小さく会釈する夏目。その夏目をじっと見て、そしてライへと視線を戻し、

 

この、裏切りもんがああああああああああああああああああああ

 

 喉がはち切れんばかりの怒声をあげた。

 生駒は激怒した。必ずやかの邪知暴虐の王を除かなければならないと決意した。

 生駒にはモテ方がわからぬ。けれども弟子のモテる事に対しては、人一倍に敏感であった。

 

「……念のため聞きますけど、一体何を裏切ったと?」

「もう自分なんて弟子やない! 散々嘘をついて、騙して、裏切って! 自分だけまた新しい女の子に声をかけるなんて!」

「イコさん。それは違います。あなたは勘違いしています」

「何がや?」

「僕は声をかけられた側です」

「なお悪いわ! なんで俺が一緒の時に声をかけられんねん!」

 

 そんな事を言われましても、とライが弁明するが生駒は聞く耳を持たない。

 

「いやいや、イコさん。女の子の前で大人気ないですって。彼女ビックリしとりますよ?」

「なんや。隠岐、お前も共犯かいな。モテない男はそんなに邪魔か?」

「アカン。俺まで共犯扱いなっとるわ」

 

 しまいには仲介に入ろうとした隠岐でさえ敵と見做され、生駒の暴走は止まる気配が見られなかった。

 

「イコ、さん。ひょっとして紅月先輩が言っていた生駒隊長っすか?」

 

 するとここまで静観を決め込んでいた夏目がライの話を思い返し、生駒へと尋ねる。

 女子からの声掛けとあってか、生駒は幾分か気を落ち着かせて夏目に視線を合わせて語り掛けた。

 

「ん? なんや、話聞いとるんか。君、こいつの言う事なんて鵜呑みにしたらあかんで。どうせ俺の事も『ちょっと強い芸人(笑)がいるんだよ』とか言って笑っとったんやろ?」

「僕が今まで一度でもそのような発言をしましたか?」

 

 ライを指さしてありもしない話を展開する生駒。そんなわけないとライが反論するが、その言葉を右から左へと聞き流す。

 

「いえ。『——生駒達人。僕も師事した剣の達人で、抜刀術で右に出るものはいない歴戦の猛者』って言ってましたけど」

 

 その言葉を否定するように、夏目はライが語っていた生駒の評価をそっくりそのまま口にする。

 約三秒。沈黙の時間が流れる。

 

「——その通りや。俺こそが歴戦の猛者や」

 

 すると沈黙を破って、生駒がその評価は正しいと断定した。

 

「ライ。わかっとるやん、自分。ええで。その感じ。その感じで俺を知らん相手にはバンバン師匠の事を語り伝えるんやで?」

「……もう僕は弟子ではないと仰ったはずでは?」

「わかっとらんなあ。そんなん弟子を超える弟子・真弟子にするって事に決まっとるやろ」

「なるほど。よくわかりました」

 

 何一つわからないが、この場は頷いておくのが正解だろう。

 知略に長けた策士は順応性にも長けていた。

 

「まあそういう事や。君も何か俺に教わりたい事とかあったらいつでも」

「あ。イコさん、彼女は狙撃手志望という事なので、残念ながらイコさんが役に立てる事は何もないかと」

「なんでや」

 

 気をよくした生駒は夏目にもライに続くように、と声をかけようとしたものの、ライの指摘に表情が固まる。

 

「どちらかというと隠岐に聞くかもしれませんが」

「せやなあ。俺も訓練の後とかなら時間もあるし」

「おい。ライと隠岐は良くて俺はダメやと? 結局顔か。男は顔なんか!」

「いえ、ポジションです」

 

 至極当然の話なのだが、生駒は都合の悪い話に耳を貸そうとしない。

 ずるい、と子供のように駄々をこねる姿に弟子と部下はため息をこぼした。

 

「でも、なんか俺にできる事とかあるんやないの? たとえば、ほら。的になるとか」

「むしろイコさんはそれで良いんですか?」

 

 それでも必死に何か自分にもないだろうかと、ライ達へ縋りつく。

 しかしまだ夏目が仮入隊という事もあり、基礎を固める時期であるためその願いは却下された。最後まで生駒は抵抗した。

 

 

————

 

 

 こうしてライは瑠花や夏目の世話をしながら日々を過ごして行った。

 

「あれ? 紅月君、今日はどこかお出かけ? クリスマスだし、誰かと出かけるの?」

「そういう予定はないけどね。ただ今日は加古さんの誕生日でもある。加古さんにつかまったら危ないかもしれない。先に誕生日プレゼントは双葉に渡すように伝えておいたから、今日は一日どこかに身を隠す事にするんだ」

「暗殺者に狙われている標的みたいな言い方」

「ですがライ先輩。今年の加古さんはそのライ先輩の行動を予想したのか、ライ先輩がいない間に炒飯をお皿ごと送ってきています」

「何で受け取ったんだ瑠花……」

「双葉ちゃん経由だったので多分ライ先輩は断らないだろうなって」

「舐められたものだな。僕が双葉の頼みとあれば大局を見誤るとでも思っているのか……!」

「見誤りそう」

 

 クリスマスは今年も加古炒飯を堪能し、無事に死亡して。

 

(瑠花の高校受験が成功しますように)

 

 お正月にはお参りをし、瑠花の受験祈願を行って。

 その日は、あっという間にやってきた。

 一月八日、ボーダー隊員正式入隊日。

 

「さて、みんなはどういう経過をたどるかな?」

 

 狙撃手の指導員として呼ばれていたライは狙撃手用訓練場で待機し、新入隊員がやってくるタイミングをじっと待っていた。

 その頃、新入隊員が集まる会場には彼が見知った顔がいくつもあった。

 

「うわー。結構いるなー」

 

 一人は夏目。あれ以降もライ達と共に訓練に励んだ少女だ。

 予想以上の人ごみに冷や汗を浮かべている。

 

「——よし、頑張れよ二人とも」

 

 さらに別用で本部に用があった三雲が付き添いとしてきており、三雲は横に控えている二人へと声をかける。

 

「うん!」

「ああ。いよいよスタートだ!」

 

 その三雲に声をかけられた、雨取、そして空閑。

 玉狛支部に加入した新星二人である。

 雨取はオドオドしながらもしっかり前を見据え。

 空閑は自信満々に腕を鳴らし、始まりの時はまだかと好戦的な笑みを浮かべていた。

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