REGAIN COLORS   作:星月

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玉狛支部

「おう。今日もみんなやっとるな」

「あっ、イコさん。お疲れ様です。ランク戦ですか?」

「せや。もうすぐ次のシーズンも始まるし肩ならししとこ思てな」

 

 土曜日の午前中。

 休みの学生も多く、個人ランク戦のブースは賑わいを見せていた。

 そんな中に攻撃手ならば知らぬものはいない実力者・生駒が現れる。米屋に用件を問われた生駒は目を光らせてそう口にした。

 今度のシーズンは今までとは比べ物にならない厳しいものになるだろう。それを生駒も理解しているのかもしれない。

 

「——ん。自分、ライがどこのブースに入っとるか知っとる? 結構ランク戦やっとるよな? ランク戦前にいっちょ手合わせしときたいんやけど」

「ライっすか? 今日はいないっすよ」

「えっ。珍し。あいつ、最近はランク戦やりこんどると聞いとったけど」

 

 生駒は幾度か周囲とモニターを見回し、目的の人物である弟子・ライの姿を探すも見つからなかった。疑問に思って頻繁に彼と戦っていると噂の米屋に問うも彼は今日不在であるという。

 あまり外部の人間との交流するという話を聞かない彼がいないという事実に生駒は首をかしげるが。

 

「今日は人と会う約束があるって言ってましたよ。朝早くに出かけたみたいっす」

 

 すでに話を聞いていた米屋があっさりとその答えを提示した。

 別に特段おかしなことではない。土曜日であるためライくらいの年代ならば誰かと外で会ってもおかしくはないだろう。

 

「……またか! あいつ、また女の子とデートしとるんか!」

 

 だが生駒は怒りを抑えきれずに感情を爆発させた。

 人と会うと聞いただけで女の子を想定しているあたり、彼が思い浮かべているライの人物像がよく理解できる。

 

「いや、相手の事までは言ってないっす。別に女子とは限らないんじゃ」

「それは違うで。そう言ってあいつ、この前も瑠花ちゃんとデートしてたんや。どうせ今日もそうに違いないわ」

「ん? でもさっき、紅月隊のオペレーターの子なら見かけましたよ」

「……ならきっと違う子とのデートやろな。ああいうやつに限ってちょっと好きな子と似ている子がいたら簡単に声をかけるねん。そうに違いない」

「ライってそこまで簡単に女の子と遊ぶようなイメージはないっすけど」

 

 これは言っても聞かないだろうなと、米屋は今はこの場にはいない友人を思ってため息を吐いた。きっと次に生駒と次に会った時は色々問い詰められることだろう。

 かわいそうにとライの事を気遣う米屋だったが、意外にもこの生駒の予想は非常に近しいものだった。

 

 

 

 同時刻、玉狛支部。

 ボーダーが管理する支部の一つであるこの施設に本部の車が一台訪れていた。

 

「到着しました。——どうぞ」

「ええ。ありがとう」

 

 一足先に助手席から降りて後部座席の扉を開けるライ。

 彼の手に招かれるような形で車両の後ろに乗っていた一人の女性、瑠花王女がゆっくりとこの地に降り立つのだった。

 

 

————

 

 

「るかねーちゃん!」

「陽太郎!」

 

 支部内に入るや否や、小さな男の子が瑠花王女の元に走り寄る。

 瑠花王女も彼の姿を見て笑顔があふれだし、二人は再会の抱擁を交わすのだった。

 

「彼が、瑠花王女の……」

「ああそうだ。名を林藤陽太郎という。一応林藤支部長の甥という事になっている(・・・・・・・・・・)

「なるほど。理解しました」

 

 ライの疑問に運転手として同行していた忍田が答える。

 瑠花王女は普段は本部に住んでいるものの、一週間に一回ほどのペースでこの玉狛支部を訪れることになっていた。今日はその護衛としてライも行動を共にしている。

 その目的はこの林藤陽太郎と会う事。瑠花王女の弟であり、こちらでは林藤の親戚という事で面倒を見ている少年だ。この説明でライは彼もまたボーダーにとって重要な人物であると理解し、同時に姉弟の温かい関係を目にして複雑な感情を覚えるのだった。

 

「まあうちではのびのびと暮らしてるよ」

「林藤支部長。お疲れ様です」

「護衛ありがとな。ま、こっちでの安全に関しては任せてくれ。うちも支部として最大限配慮しているからさ」

 

 彼の心境を配慮して林藤が声をかける。

 狙われかねない二人の皇族。複雑な立場ではあるが、だからこそ最低限の安全は保障すると林藤は力強く語った。支部長自らが語るのならば確かに陽太郎も不自由なく暮らせているのだろう。

 

「では、私はこれで。明後日になったら迎えに来る」

「うーす。了解ー」

「では紅月君、私は一足先に」

「わかりました。お疲れ様です」

 

 こうして送迎を終えた忍田は一足先にボーダー本部へと戻っていった。林藤たちに最後に一言かけて早々に車を走らせる。

 

「……さて。それじゃあ紅月君。君も用があるんだっけ?」

「はい。お二人はいらっしゃいますか?」

「もうすぐ戻ってくる。ちょっと別件があってね。来たらすぐに顔を見せるように言ってあるからそれまではちょっと待っていてくれ」

 

 一人残ったライにはまだ別に用があった。玉狛支部に所属する二人の隊員。その人物たちから話を聞く事、それもこの支部訪問の目的である。

 

 

————

 

 

「どうもー。戻りました」

 

 玉狛支部の応接室に一人の人物が陽気な声と共にもう一人の隊員を引き連れて入室した。

 声の主は迅悠一。言わずと知れたエリートボーダー隊員である。

 

「すまない。待たせてしまったか」

 

 もう一人は短い茶髪と大柄な筋肉質な体が特徴的な大柄な男性、木崎レイジだ。

 玉狛支部所属 木崎隊(玉狛第一)隊長 完璧万能手(パーフェクトオールラウンダー) 木崎レイジ

 

「おー。お帰り。お疲れさん」

「大丈夫です」

「じゃあ後はお前たちに任せるぞ。じゃあな」

 

 二人の帰還を確認した林藤は後の話を彼らに託し、一足先に部屋を後にした。

 こうして応接室にはライと迅、レイジ。3人の実力者が集う。

 

「久しぶりだね紅月君。レイジさんとは初対面かな?」

「ええ。ですが話はかねがね伺っています。ボーダーに所属する唯一の完璧万能手(パーフェクトオールラウンダー)と」

 

 完璧万能手。攻撃手・銃手あるいは射手・狙撃手。すべてのポジションのトリガーで個人ポイント8000点を獲得した隊員に与えられる称号だ。当然ながら獲得するのは並大抵のことではなく、数多く存在する防衛隊員の中でも現在はレイジだけが該当している。

 

「まああくまでもそれは肩書きだ。他にも状況に対応できる人物は多くいる。それに、紅月。もうお前の存在によって唯一ではなくなっただろう」

 

 だが当の本人はその名におごることなく平然と構えていた。

 名前だけでは意味がないと語るその姿は非常に落ち着いている。まさに玉狛支部の砦と言えるだろう。

 

「いいえ。唯一ですよ。僕はこの前のポイント剥奪で万能手ですらなくなりましたから」

 

 対してライは自虐的に笑う。

 彼も先の部隊ランク戦と度重なる個人ランク戦、訓練を経て完璧万能手を名乗ることを許されていた。だが先日の処分によってポイントが急激に減少したことにより今は万能手ですらなくなっている。

 

「……そうだったか。すまない、配慮が足らない発言だった」

「構いませんよ。いずれもう一度取り戻す予定ですから」

「ま、君ならまたすぐに戻ってこれるよ。次のランク戦は大変そうだけどね」

「ええ。それは瑠花ともよく話し、準備を進めている所です」

 

 謝罪するレイジだがライは問題ないと明るく振舞った。言葉の通りもう一度取り戻して見せる、必ず取り戻すと意気込んでいるのだろう。彼の力をよく知る迅は気遣いではなく本心から彼の背を押すのだった。

 

「で? 今日はどうしたの? 俺達に話があるとのことだったけど」

 

 世間話を終え、迅が早速本題へと切り込む。

 滅多に本部から出ないライだ。護衛の任務もあったとはいえ、彼がわざわざ名指しで二人を指名して話をしたいというなど滅多にあることではない。

 

「本部内ではできない質問、というより相談が二つありまして。それについて二人から意見を伺いたいんです」

「なんだい?」

「答えられる限りで良ければ力になろう」

 

 ありがとうございますと一言置いて、ライは相談の内容を話しはじめた。

 

「一つは瑠花王女についてです。王女の弟がいらっしゃり、こちらの玉狛支部で預かっているという話を聞きましたが。玉狛支部はつまりこのお二人を守護する役割を任されている、そのための支部、隊員という事ですか?」

 

 最初の疑問は彼が守護を期待されている王女および王子について。

 玉狛支部の木崎隊はボーダーでも最強と呼ばれている。そんな彼らが存在する部隊が同盟国の王族を預かっているとなれば疑問を抱いても仕方がないだろう。

 

「んー。そのあたりの話は少し長くなりそうだから答えを言うと、ちょっと違うかな。うちは元々近界民と仲良くしようというスタンスを持っている支部ってだけ。昔からある支部という事もあって陽太郎のことを任されているけど、そのための支部ってわけじゃないよ」

「ああ。今後新たに隊員が加わっても陽太郎たちの事を話すことはない。また、あくまでも陽太郎を預かっているだけであるため本部の方での護衛には深く携わっていないというのが現状だ」

 

 この疑問に対する返答はノーだった。

 あくまでも玉狛支部は『近界民とも友好な関係を築く』という方針のもとに集まっている。長く存在する支部でもあるからこそ強力な隊員も集うが、あくまでも王族守護の為の部隊というわけではなかった。

 

「……なるほど。瑠花王女が語っていた護る者が限られるというのは本当でしたか。よくわかりましたよ」

 

 先の王女との会話を思い出してライは一つ息を吐く。

 もしも玉狛支部が陽太郎を守護するための支部ならば王女にも同等の役割を持つ味方が当然いるという事になっただろう。だがそうではなかった。つまり瑠花王女が語っていたことが本当であり、味方が限られるという事になる。玉狛支部の隊員が本部の件にはあまり関わっていないとなればなおさらだ。余計に守らねばという思いは強まった。

 

「ではさらに王女に関する話題について聞きたいんですが」

「うん」

「……皆さんの接し方とかを少し聞きたくて」

 

 続いてライは新たな疑問を言いにくそうに語り始める。

 

「接し方? どうしたの急に」

「すでに王女とは何度も会話を経ていますが、正直複雑なんですよ。いまだに瑠花とイメージが重なる場面も多くて」

「ああ。そうか、お前の部隊のオペレーターが本部長の姪だったか」

 

 思い出したようにレイジが問いかけると、ライがゆっくりと頷いた。

 

「しかも最近、王女がわざとらしく『ライ先輩』と声の調子まで変えて呼ぶこともあったんですよ……」

「なるほど。余計に誤解する場面が多いわけだ」

「間違えそうになることもあって申し訳ないんです。今日もこちらへ来る時、瑠花に人と会う約束があるって説明したら『女の人ですか?』と聞かれて思わず否定してしまって……!」

「まさか自分と瓜二つな人と会うなんて想像もできないだろうしな」

「これじゃあまるで浮気相手と秘密裏に会う男じゃないですか!」

「真面目な性格と複雑な状況が合わさって最悪な想像になってるよ」

 

 珍しく声を荒げるライに迅やレイジは彼の状況を察して心の中で涙する。

 確かに自分の隊のオペレーターと、そのオペレーターによく似た身分が高く他人に公言できない女性との付き合いは難しいだろう。

 

「そこはとにかく割り切るしかないと思うが。お前の場合はオペレーターの方が付き合いも多いのだろう?」

「いっそ忍田さんとかに相談して瑠花ちゃんにも説明してもらったら? 彼女に関しては当事者みたいなものだし、本部長関連となればそう強く否定されないんじゃない?」

「いや、浮気相手の事を話す馬鹿がいますか?」

「まずそこから考えを離れようか」

 

 迅の提案は考えが偏ったライの前に一刀両断される。『どうも瑠花ちゃん絡みの話になると彼って思考が冷静じゃなくなるな』と迅は首をかしげるのだった。

 

「まああまり深く考えない方がいいよ。あくまでも紅月君の中では最も大切なのは瑠花ちゃんの方なんでしょ?」

「当たり前ですよ。瑠花の事は本当の妹のように思っていますし、出会ってからもう長く時も経ちます。その上に一緒に任務にも励んできたんですから。だからそんな、彼女とよく似た女の子に『お兄様』と呼ばれただけで心が揺らぐなんてことは……」

「ん? あれ? やっぱり浮気?」

 

 どうやらライは妹あるいはそれに近しい存在にはとても弱いようだ。絶対にこの話題で彼をいじらないようにしようと迅は強く決意する。

 

「まあなのでせめて二人を間違わないようにしたいなと思って。お二人はきちんと二人を見分けて、どのように接しているんですか?」

 

 初めて会った時、王女が演技をしていたことを思い出しながらライが話を戻した。

 二人の容姿は非常に酷似している。片方がもう片方に似せて振舞えば困惑しかねないほどに。だからこそ接する機会が多いライはなおさら必ず間違えないようにと二人に問いかけるが。

 

「ふむ。と言っても俺はオペレーターの方の彼女とは接点がないからな。参考にはならないな」

 

 あいにくとレイジは瑠花と交流がない。王女とも特に深く会話を交えているわけでもないため良い意見は浮かばなかった。

 

「そうでしたか。迅さんはどうです?」

「俺? んー。特に接し方は二人とも変わらないかな。見分け方については、そうだな」

 

 続いて視線の先が迅に集まる。

 話を振られた迅は今までの会話を思い返しながら軽い調子で話を続け——

 

「副作用で見えた、お尻を触った時の反応の違いで見極めてるかな」

 

 陽気な声でその場に爆弾を投じるのだった。

 

「————」

 

 無言で立ち上がり拳を振り上げたライをレイジが全力で拘束する。

 

「紅月、落ち着け! 迅はなぜ今の話を聞いてそんなことを言える!?」

「だって最近紅月君は俺が瑠花ちゃんたちの近くにいるだけで俺と戦闘する未来が見えるから判断つきにくくって」

「嘘をつくな!」

 

 本当でした。

 

「レイジさん、どいてください。そいつ殴れない」

「落ち着け。また処罰を食らうぞ」

「大丈夫です。顔以外なら殴っても問題ないと上層部からお墨付きです」

「お前まで嘘をつくな! 城戸司令がそんなことを言うか!」

 

 本当です。

 

「落ち着けるはずがないでしょう。つまり迅さんは、会うたびに脳内で瑠花たちを辱め、その反応を楽しんでいるという事になる!」

「ちょっと待って。楽しんでるとは言ってないよ」

「そうだ。落ち着け、話せばわかる」

 

 迅の言葉は右から左へと聞き流された。どうにかこの場でとどめなければとレイジは必死に力をこめる。さすがのライもこの拘束を振り切るのは難しかったのか、矛先をレイジへと変えた。

 

「ならばレイジさんに聞きます。例えば、レイジさんが恋してやまない女性がいたとしましょう」

「なっ!? 何故そこでゆりさんの名前が出てくるんだ!?」

「レイジさんも落ちついて。ゆりさんのゆの字も出てない」

 

 完璧万能手ってみんな女性の話題になると弱くなるのかなと迅は一人現実逃避を始める。一方でライはレイジの口から「ゆり」という言葉が出た事で確信を抱いた。

 

「そのゆりさんを迅さんが見かけるたび、迅さんは彼女をもてあそび、好き勝手しているんです。どう思いますか?」

「許さん」

「それと全く同じ事なんですよ」

「よくわかった。行け」

「説得されないで、レイジさん!」

 

 あっという間にレイジは掌を返し、ライの背中を後押しする。味方が一瞬で敵になった事で迅の表情に焦りが浮かぶも、ある未来が見えてその感情は消え去った。

 

「どうしたのです。少し騒がしいですよ」

 

 応接室の扉が開かれ、瑠花王女が入室したのだ。

 

「お嬢様。——申し訳ありません」

 

 その姿を確認したライはあっさりと引き下がり深く一礼した。彼も王女の目の前でむやみに手を挙げることはしないらしい。

 

「ライ。このように声を荒げるなんてあなたらしくありませんよ。一体なにがあったのですか?」

「いやー、別に何も大したことなんてないよ。ちょっと話をしていただけ——」

「この男が王女たちと会うたびに凌辱する姿を思い浮かべていたと耳にしまして」

「紅月君!?」

 

 だが何事か問いかけられると迅の言葉を遮ってライはあっさりと暴露した。やめてと叫ぶも時すでに遅し。すでに彼の言葉は瑠花王女の耳へと届いていた。

 

「そうですか。——ライ」

「はい」

「鈍器はありますか?」

「問答無用!?」

「イーグレットでよろしければ」

「イーグレットで!?」

 

 この時、迅は瑠花王女にイーグレットで勢いよく殴打される未来が見えたという。そしてこの数秒後にそれは現実と化すのだった。

 

 

————

 

 

「……痛い」

「トリオン体だから何も痛くないだろう?」

「心が痛いんだよ、レイジさん」

 

瑠花王女が去っていった応接室で、腫れ上がった左の頬をおさえながら嘆く迅。痛覚がない体とはいえ女の子に鈍器で殴られたとなれば心が痛んだ。

 

「これに懲りたらいい加減その思考をやめてください。——話がだいぶそれてしまいましたね。まあ瑠花王女たちの話題についてはもうやめにします。もう一つお二人に、特にレイジさんに聞きたい事があります」

「俺に? 何だ?」

 

 何度説得しても中々止まらない迅の癖に苦言を呈し、ライは今度こそ話題の本筋を話通そうと一つ咳を吐く。

 しかも今度は付き合いが長い迅ではなくレイジを名指しして。

 一体どういう事だろうとレイジも疑問を抱きつつ話の先を促したのだった。

 

「ボーダー隊員のある人物について、その性格やこれまでの言動など知る限りのことを知りたいんです。レイジさんならつながりもあると聞いたので、今日はそちらの方を特に話を聞きたくて来たんです。協力願えますか?」

「ふむ。まあ俺が知っていること、話せる内容でよければ構わないが。一体誰の事だ? こちらの支部の人間か?」

「いいえ」

 

 ライが知りたかったのは一人のボーダー隊員の詳細。

 レイジならば知っているだろうと彼は語るが、さすがのレイジもなんでも知っているわけではない。よく知る支部の人間ならば話せることもあるだろうが、一体誰のことなのか。様々な隊員の顔を思い浮かべながらレイジは相槌を打つと、ライは静かに首を横に振った。

 

「……元二宮隊狙撃手(スナイパー)、レイジさんの妹弟子にもあたる鳩原未来についてです」

 

 上がったのはかつて二宮隊に所属し、現在はC級へ降格した鳩原の名前だった。

 

 

 

 

 月日は流れ。

 ボーダーは新ランク戦のシーズンとなる。

 そしてB級ランク戦はこれまでに類を見ない変動の時期を迎えるのだった。

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