「提案ですか?」
「そっ」
言葉を繰り返すライに、迅はゆっくりと頷いた。
「先に言っておきますが、三雲や空閑の修行相手を頼むというのならば謹んでお断りしますよ」
本来ならば迅は玉狛支部で空閑の勧誘を行っているはず。
その彼がこうして出向いていることからすでに勧誘は終了し、迅の思惑通りに事が運んでいるのだろうと予測したうえでライは話を続けた。
たとえボーダーに入ろうとも城戸が黒トリガーの奪還を狙うという事はライも直接話を聞いた為に確信を持っている。おそらくは迅もそれくらいは読んでいる事だろう。
ゆえにこれから先ボーダーの精鋭隊員たちに狙われる可能性が高い後輩たちの指導を頼もうというのならばそれは出来ないとライは先んじて釘をさすのだった。
「ああ、それなら大丈夫。うちの頼れる先輩たちが、メガネくんたちの指導をしてくれる事になったから」
「なるほど。それは豪華な顔ぶれだ」
先輩たち、すなわち木崎・小南・烏丸の玉狛第一の面々の事だろう。
ボーダー最強部隊ともうわさされる隊員たちが直々に指導するとなれば確かに問題はない。
迅自身を含めないという事は、彼自身は指導には当たらず他の仕事に集中するという意識の表れだろうか。
「ならば迅さんほどの人が一体僕に何の用です? 城戸さんたちの動向を知りたいというのならば無駄ですよ」
「そのようだね。どうやら君は、今後も遊真たちを監視する秀次たちとは別行動のようだし」
「——やはりあなたという存在は反則だ」
事の顛末を聞く事無く先を読む迅に、ライは呆れを含んだため息をこぼした。
迅の言葉通り、ライはすでに三輪隊と話を通し、防衛任務に戻る事を伝え、情報共有もこれ以上は必要ないと伝えている。ゆえに極秘任務を続行する三輪隊とはしばらくの間連絡を取る事すらなくなるだろう。
相変わらず未来が見えるという迅の存在はライにとっては複雑な存在だ。
様々な思惑や意思・目的をもってことに望む戦略家にとってはその展望を全て見透かされる存在など受け入れがたい一面がある。加えてかつて経験した過去の出来事を思い返し、もしももっと早くに出会っていれば悲劇を避けられたのかもしれないと思わざるをえない時があるが故に。
(いいや。それは今更か)
だがすでに終わった事に対して「もしも」を考える事は意味がない。いつまでも過去を悔やんでいては前へと進めないだろう。
ライはそれ以上深く考えるのをやめ、迅と向き直るのだった。
「そんな回りくどい事じゃなくて、君にはもっと直接動いてほしくてね」
「……あなたも、まだこの戦いが続くと考えているようですね」
「もちろん。そう言うって事は、君も同意見なんだろう?」
「ええ。——まもなくお嬢様たちが戻ってくるでしょう。手短にお願いできますか?」
「ああ。じゃあはっきりと言おうか」
今日でこの黒トリガーをめぐる戦いが終わるわけがない。迅はライや城戸司令の思惑を読み切り、ライに自らの思惑を告げるのだった。
続けられた内容は、ライが予想していた考えの一つだ。わざわざ迅が出向くのだからこれから起こる戦いは今日の戦いとは比べ物にならないほど規模で、実力者たちによって繰り広げられるのだろう。
わずかにライの目が細まる。
返答次第で事の顛末が変わりかねない。事の重要性を察したからだ。そんな提案を前に、ライは——
————
同時刻、玉狛支部。ここに玉狛支部に初めて出入りした三雲たちの姿もあった。本来3人は実家暮らしなのだがもう夜遅い事、本部から刺客が来る事を警戒して親と連絡を取り、支部に泊まることとなったのである。
「——今日一日は、色々あったな」
玉狛支部の屋上で三雲が一人つぶやいた。
今日だけで何日分もの情報量が頭の中に入ったような感覚がある。
雨取が近界民に狙われる原因、彼女が持つトリオン量、本部の隊員たちとの衝突、空閑が持つ黒トリガーとその影響力、派閥争い。ここまででも大層な話である上に、この支部に来てからも話題は尽きなかった。
「空閑が何とか話に乗ってくれたのは良かった。おかげでまだ可能性はつながっている」
驚くことにここの支部長である林藤と最初に話をした際に空閑はボーダー入隊の話を断ったのだ。
理由は空閑の目的がすでに達成困難であると判明したためだ。
ライの予想通り、空閑が探し求める最上とは迅が持つ黒トリガー・風刃そのものだった。しかも空閑の真の目的は黒トリガーとなってしまった父・空閑有吾を復活させる事であったとレプリカは語る。そのためボーダーの技術でも目的は果たせないと明確になってしまった事で彼の気力はそがれてしまったのだ。しかも今の空閑の体はトリオン体で出来た疑似的なものであり、本来の彼の体は今もゆっくりと死に向かっているという。ただでさえゆっくりできない現状下の中での悲報は彼を挫折させるには十分なものだった。
レプリカに『空閑へ生きる目的を与えて欲しい』と頼まれ悩む中、さらに予想外の事態が起きた。
『ちょっとでも可能性があるなら、わたしは自分で捜しに行きたいの』
玉狛支部のオペレーター・宇佐美からボーダーの話を聞いた雨取が入隊を決意したのである。彼女はかつて近界民に攫われて行方不明になった友人、そして兄の雨取麟児を探す事を望んでおり、近界へ遠征する事もあるというボーダーに加わり、遠征に出る事を望んだのだ。
当初は三雲は彼女の身を案じて反対したものの、彼女の意志は硬く、三雲が折れる事となる。さらに彼女を助けるために二人で部隊を新設する事を決意し、玉狛支部から遠征部隊の選出条件であるA級を目指すこととなった。
『仕方がない。じゃ、おれも手伝うよ。オサムとチカだけじゃすぐ死にそうだし、部隊での戦闘ってのも楽しみでもある。——オサムがリーダーになるって条件で、チームに入ろう』
三雲がこの話を空閑に打ち明けると、彼も思うところがあったのだろう。二人に力を貸す事を約束してくれた。
どういうわけか経験者である彼ではなく三雲をリーダーにするという条件に三雲が戸惑ったものの、雨取の推薦もあって三雲が隊長として部隊を組む事ととなる。
こうして空閑と雨取の入隊、三人で部隊を組む事を決断して改めて林藤の下へ向かうと、どうやら迅の未来予知によって彼らの動きはわかっていたようで、あっという間に入隊・転属手続きは済まされた。後は保護者の書類を残すのみである。
自分たちでできる事はもうなく、明日から本格的にA級を目指して動く事となった。
空閑や雨取は部屋に戻り、明日に備えて英気を養えている事だろう。
「僕も、じっとはしていられない」
だが三雲は違った。
彼は経験豊富な空閑、トリオン量に恵まれた雨取の二人と比べて自分の力が劣っていると自覚している。
その一方で二人と比べて有利な点もあった。
隊長となるならば自分が足を引っ張るわけにはいかない。
「……もしもし。三雲です。夜遅くにすみません。報告したい事と、相談したい事がありまして」
三雲は少しでも良いスタートを切るため、行動に移すのだった。
————
翌日の朝。
身支度と朝食を済ませた三雲たち三人は、迅と宇佐美からボーダーおよびトリガーについての説明を受けていた。
「——というわけで。これからみんなは遠征部隊入りを目標に、まずはA級昇格を目指します! そのために前提として、修くんに続いて千佳ちゃんと遊真くんもB級に昇る必要があります!」
片手でメガネをクイっと上げ、宇佐美がホワイトボードを駆使しつつ解説する。
ボーダー隊員はA級、B級、C級の三つの構成に分かれており、正隊員であるB級以上にならなければ部隊ランク戦には参加できない。そのためまずは遊真と千佳にもB級になるのは必要条件だ。
「次の正式入隊日が一月にあるからね。二人はその後から訓練や個人ランク戦という模擬戦に参加して、B級に上がるための個人ポイントを参加してもらうよ」
「なるほど。それまでは正規隊員にはなれないんだな」
「ちなみに遊真。お前の黒トリガーは使えないぞ。黒トリガーはその性質上、強すぎてS級扱いとなってランク戦から除外されるんだ。だから今の内からボーダーのトリガーに慣れておけ」
「うおっ。そんな仕組みがあったのか。了解です」
宇佐美の説明にさらに迅の指摘が加わり、空閑は残念そうにうつむいた。
戦闘慣れしている空閑は早いうちからポイントを稼ぎ、正規隊員に昇格したいくらいの感覚なのだが、制度がそれを許さない。さすがに初めて使うトリガーでは確かに勝手が違うため練習が必要となるだろう。三雲たちと別れるわけにもいかず、渋々と彼の話に従うのだった。
「遊真くんは戦闘員で行くとして、千佳ちゃんはどうしよっか。オペレーターという選択肢もあるけど……」
「いや、戦闘員一択でしょ。あんなトリオン量、戦闘に出さないのは勿体ないよ。近界民に狙われやすいみたいだし、戦う手段を身につけた方が良い」
一方、雨取はどうするべきだろうかと宇佐美が二つの方針を提示するが、空閑がその悩みを一刀両断する。一度彼女のトリオン量を確認した以上、あの才能を無駄には出来ず、加えて彼女の近界民に狙われやすいという傾向を考慮した当然の判断だった。
「……そこまで言うほど?」
「うん。見ればわかるよ」
重ねて問う宇佐美に遊真は小さく頷く。
「私もこれからの為にも自分で戦えるようになりたいです」
「そっか。じゃあ戦闘員だね。ポジションはどうしようか」
さらに雨取本人の強い意志もあって彼女も戦闘員としての道を考える事になった。
となれば続く問題はポジションとなる。できるだけトリガーを試す前から適正を考慮して彼女に合うポジションを選びたい。だが、雨取は運動神経が良いわけではなく、これまでスポーツの経験があるわけでも突出した思考力があるというわけでもなかったため中々名案は浮かばなかった。
「……千佳は足はそれほど速くないですが、長距離走は速い方です」
「おっ。なるほど、持久型か」
「はい。他にも根気強く忍耐力があって集中力が必要な作業も真面目に取りくむし、身体の柔軟性も高い方だと思います」
「おー。さすが良く見ている」
するとここで三雲が助け舟を出す。一番雨取と付き合いが長い彼は優れている点もよく知っており、全く嘘が含まれていない彼女の長所は空閑を感心させた。
「持久力があって、根気よく、集中力があって、柔軟性良しか。——うん、結論が出ました。これらの分析を踏まえた結果、千佳ちゃんに最も適したポジションは——」
「
「そう、狙撃——って迅さん! アタシが言おうとしたのに何で言っちゃうの!」
三雲の話から宇佐美が導き出した答えを出そうとしたその瞬間、ここぞとばかりに迅がおいしい所だけ持って行ってしまい、宇佐美は不満を露わにする。
悪びれる様子も見せない迅に宇佐美の機嫌はさらに悪化し、彼に不満をぶつけ続けて、
「——ちょっと!」
突如部屋の扉が乱暴に開けられ、一人の女性が姿を現したのだった。
「楽しみにしていたあたしのどら焼きがないんだけど! 一体誰が食べたの!?」
背中まで届くほどの明るい茶色の長髪に鳥の羽のようなクセ毛と緑色の目が特徴的な女性は玉狛支部が誇る精鋭隊員の一人。
玉狛第一のエース攻撃手・小南桐絵だった。
玉狛支部所属 A級隊員 攻撃手 小南桐絵
小南は涙交じりに自分のおやつが失われていた衝撃を声にし、部屋にいる面々を睨みつける。
やがて彼女の視線はカピバラ・雷刃丸の背中に乗って一人熟睡している陽太郎を捉え、乱暴に逆さまの状態でつるし上げた。
「さてはまたおまえか!? おまえの仕業か!? そうなんでしょ!?」
「うーん。たしかなまんぞく……」
「やっぱりお前かー!?」
陽太郎の寝言で自白ともとれる発言が飛び出し、小南の機嫌は悪くなる一方だ。そんな小南のお仕置きを初対面である三雲は冷や汗を浮かべて見守る。
「あー、ごめんねこなみ。昨日お客さん用のお菓子に出しちゃったの」
「はぁ!? どういう事!?」
「ゴメンって。今度奢るから許して」
「あたしは! 今! 食べたいの!」
すると見かねた宇佐美が陽太郎を助けるべく真相を暴露した。
しかしたとえ接待用だとしても小南が好物を勝手に使われて許せるはずもなく、怒りの矛先が宇佐美へと向けられる。
「どうした、小南。少し騒がしいぞ」
「いつもの事じゃないですか」
瞬く間に部屋が騒々しくなる中、さらに二人の男性が部屋の中へと入って来た。
木崎と烏丸、小南と同じ玉狛支部の隊員たちである。
「ん。……迅さん。ひょっとしてこの三人が玉狛支部に入る新人ですか?」
「はあ? 新人? 何それ、そんな話聞いてないんだけど!」
そして烏丸が宇佐美と向かい合うように座る三雲たちの姿を見つけ、迅に語り掛けた。
どうやら小南だけは話が通っていなかったようで、今度は彼女の視線が迅へと向けられる。
「ああ。まだ言ってなかったな。実は——この三人は、おれの弟と妹なんだ」
「……!?」
迅はおもむろに立ち上がると三雲たちが座る後ろのソファに回り、目を輝かせてそう説明した。
突発的な発言に三雲は驚愕し、木崎や烏丸は彼の意味不明な発言に開いた口が塞がらず。
「えっ。……いや、嘘でしょ! あんたライさんが来た時も同じ嘘ついて滅茶苦茶怒られていたじゃない!」
「あら。バレちゃった。小南なら通用すると思ったのに。腕をあげたな」
「あんたあたしのこと馬鹿にしてるの!?」
小南は一瞬だけ引っかかったものの、かつての経験から彼の嘘を見抜く事に成功した。
「修君たちに説明しておくねー。このすぐに騙されちゃう女の子が小南桐絵17歳」
「はぁっ!? これっぽっちも騙されてないんだけど!?」
宇佐美の説明に小南は目ざとくツッコむが、宇佐美は気にする事なく簡潔に紹介を続ける。
「で、こっちのもさもさした男前が烏丸京介16歳」
「もさもさした男前です。よろしく」
「こっちの落ち着いた筋肉が木崎レイジ21歳」
「人間やめてないか、その紹介?」
一方、烏丸や木崎は雑な紹介をされても深く言及するような事はせず、さらっと受け流した。対照的な反応に三雲たちは早くも玉狛支部内の人間関係を感じ取るのだった。
「——よし。全員揃ったし本題に移るとするか。レイジさんたちも聞いてくれ」
必要な人材がそろった事を確認し、迅は話を再開する。
この一言で緩んだ空気もすぐ引き締まり、木崎たちも迅の話に耳を傾けるのだった。
「この三人はこれから部隊を組んでA級を目指す。当然ながら簡単な道のりじゃない。だが、都合よく入隊式——彼らのC級ランク戦が解禁される1月8日まではまだ三週間と猶予がある。この期間で彼らを鍛えたい。そこで、レイジさんたちにはそれぞれ彼ら3人の師匠となって、マンツーマンの指導をしてもらう」
入隊式まではおよそ3週間ほどの余裕がある。
折角のボーダー隊員と関わりがあるというメリットを逃す手はなかった。この期間で3人には一段と強くなってもらおうと、迅はチームメイトへと協力を依頼する。
「ちょっと、何よそれ。私達何も聞いてないんだけど!」
「まあまあ、小南。これは
「……
突然の発言に小南は不満を呈するが、迅が林藤の名前を挙げると小南の反論は勢いを失った。長年ボーダーに在籍し、支部長として君臨する彼の存在は彼女の中でも大きなものなのだろう。
「そういわれては仕方がないな」
「そっすね。仕方ないっすね」
「……むー」
さらに同じ立場である木崎や烏丸が揃って了承の意を示した事で逃げ道はなくなった。
ここで一人駄々をこねては空気が悪くなるばかり。それくらい小南も重々理解している。
「わかったわよ。でもそれなら——こいつはあたしがもらうから」
ならば仕方がないと小南が渋々頷き、空閑の下へと歩み寄って彼の指導を受け持つ事を決断した。
「三人の中ならあんたがいちばん強いんでしょ? 見ればわかるわ。あたし、弱いやつはキライなの」
「ほう。よくわかっていらっしゃる」
長年戦ってきた中で身についた戦士の勘だろうか。
一目見て小南は空閑の実力を見抜いていたのだ。褒められた空閑も悪い気分ではなく、彼女の評価に笑顔で返す。
「じゃあ千佳ちゃんはレイジさんだね。狙撃手経験あるのうちではレイジさんだけだから」
「は、はい。よ、よろしくお願いします……」
「ああ、よろしく」
さらに狙撃手経験から雨取の担当も木崎一択であった。
宇佐美に指示されて雨取が小さな声で木崎に挨拶をすると、木崎もできるだけ怖がらせないように穏やかな声で応えた。
「となると、消去法で俺の相手は……」
「はい。よろしくお願いします」
残る烏丸は同じく取り残された三雲とペアを組む以外の選択肢はない。
こうして小南と空閑、木崎と雨取、烏丸と三雲という三組の師弟が成立したのだった。
「よーし。じゃあ皆、それぞれ師匠の指導をよく聞いて、入隊式までしっかり鍛えてもらってくれ!」
彼らならば問題ない。
迅は笑顔でそう言い、3人の奮闘を祈って話を締めくくるのだった。
「あれ。迅さんはコーチしないの?」
「3人がいれば必要ないよ。それに、やることもあるからな。じゃ、後は頼んだよ」
そう言って迅は宇佐美の誘いを丁重に断り、支部を後にする。
おそらくはまた何か暗躍するのだろうなと見送られ、街中に瞬く間に消えていくのだった。
「じゃあ行くわよ。トリガーの事とか教えてあげる」
「よろしくお願いします」
「狙撃手は他のポジションとは少し勝手が違う。まずは簡単な狙撃訓練を見せてもらうぞ」
「は、はい!」
迅に続き、小南や木崎も早速訓練に取りかかろうと行動を開始する。
空閑、雨取の二人も師匠の後に続き、部屋から退出するのだった。
「それじゃあ俺達も行くか」
「はい! ——あの、烏丸先輩」
「どうした? 何か用事でもあるか?」
彼らの続こうと烏丸も足を外へと向ける。
三雲も彼の後を追おうとして、ある事を思い出し師匠を呼び止めるのだった。
「実は、少し試したい事があります。よろしいでしょうか?」
「——なんだ?」
意外だな、と烏丸は心の中でつぶやく。
何か訓練する前に弟子の方から頼まれるとは思ってもいなかった。
一体何を頼むのだろうか。新弟子の提案に興味を抱きつつ烏丸は次の言葉を待つのだった。
「彼は、おれの弟なんだ」
「はっ?」
「えっ!? そうなの!?」
「はっ?」
「ごめん、思っていたより紅月君が怒っているから今のなしで。……そんなに駄目だった?」
「妹に手を出すような兄は殺されても文句はないですよね?」
「怖!」
※経験済み