「つーわけでルーちゃんの射撃訓練に付き合ってたけど、狙撃に早撃ちや乱射とか色々やってなかなか面白かったぜ。そっちは100人斬り達成かい?」
「正確には86人よ。まったく手合わせしたいってみんな集まり過ぎよ……。千景はクーリェと一緒にプログラム作ってたんだってね」
「そうだよー。まだまだあたしの足元には及ばないけど、千景兄ぃはいい筋してるよ」
「ほうほう、今日はみんな色々してたんだな。細かな準備はこっちで進めておくから、作戦にしっかり備えておくれよ」
食卓を囲みながら千景はみんなの今日の出来事を聞いていた。午後の実習はクーリェと一緒にプログラムを見つめていたが、イーサンはルーテシアに射撃を教えてアズライトは並み居る強者と彼女のファンが押しかけてきてかなり大変だったようである。
聞き役に徹しているのは千景以外に日向と家主たるユリアでイーサンの他の家族はストライダーの整備や運び屋業務に勤しんでおり、帰りは遅れるそうで食卓にはここにいるのは7人だけだ。頭脳労働や激しい運動を行った後なので自然と箸が進んでいく中で、アカデミーと対ガレリア作戦での子細を詰めている日向も疲れ気味な表情を浮かべる。
「こっちは万全ですぜ日向さんよっ。そっちの方が作戦会議なんかが沢山あって大変でしょ?」
「ああ、そんなのが半日もあってな……。でも皆を預かる者として責務は果たすからにはこれくらいなんともないさ。しいて言えば空中管制は1人じゃ忙しいからハートブレイカーに補助がほしいかな」
「飛行の方はパイロットポッドが代わりにしてくれてるけど、オペレーターは難しいっすもんね。オペレーターが出来る奴がいないかちょいと知り合いに声かけてみますわ」
「むーっ、そんな事ないもん。オペレーターポッドだってバッチリ作っちゃうもん!」
デアデビルのAWACS機ハートブレイカーに補助オペレーターを所望する日向へ、イーサンは知り合いからオペレーター候補がいないか思案してパイロットポッドを作り上げたクーリェがオペレーターポッドも作ってみせると対抗心を顕にする。食事中ながらひと騒ぎを起こしながら料理が盛られていた皿は次々に空になっていき、食べ終わる頃には皆仲良く手を合わせるのであった。
「ごちそうさまでしたーっと。ばーちゃん、後片付け手伝うぜー。オラオラァーッ!」
「まあまあ、相変わらず豪快ねー」
「すごい技だ……」
「全くね……」
テーブルの上に並んだ皿を手にしたイーサンはキッチンの壁に埋め込まれた食洗機の投入口へ向けて次々に投げ込んでいき、皿の全てが口の中へ綺麗に収まっていく。投擲と命中精度向上の一環ということだが百発百中の腕前に、ユリアは朗らかに笑ってクーリェは俄然気にせずヴィムの画面に視線を落としアズライトと日向は呆れ半分に感心し、イーサンなら忍者でもやっていけそうだと思う千景であった。
「クラリッサ会長の手伝い?」
『そうなの、作戦に向けて片付けなきゃいけない書類が山程あってね……。悪いけど生徒会に来れるかしら?』
「大丈夫、そっちにいくね」
午前の座学を終えて昼休みを迎えて弁当を空にした千景のもとへアズライトから連絡が入り、午後からの実習は休む事にして生徒会室の方へ足を向ける。実地訓練はアリーナなどが置かれた訓練エリアで行われるから午後になると学生棟はがらんどうで、広い廊下を歩いていてもすれ違う人はいなかった。
オペレーション・フォルトゥナに向けてランナーを管理するアカデミーは全体的に慌ただしく動いていて、上位機関の監査局や実働部隊となる正規軍とともに万全な準備を進めている。一方で千景達がいる学生部は作戦に参加する一部学生以外は比較的落ち着いているが、まとめる生徒会の方は色々と大変なようだ。
「手伝いに来たよ、アズライトさ――」
「あぁ~すんごい気持ちいい……、これは魔性、魔性だ……」
「あのね、クラリッサ。もう堪能したでしょ? そろそろ離れてくれないかしら、そろそろ千景も来る頃だし仕事に戻らないと……あ! 千景、いいとこに、さっ早く離れて、ってか離れなさいよ! あ、千景そっと閉じて見ないことしないで、このバカ離すのてつだってよ!」
アズライトとクラッリサの2人が乳繰り合っていた。ブラウスの下よりこんもりと盛り上がるアズライトの豊満な胸部にクラリッサの顔面が埋もれており、押し付けられた頭部を優しく包み込む様からその柔らかさが見て取れる。心地よい弾力であろう柔肌に包まれている少女の表情はわからぬが、胸を押されているアズライトは困惑と恥ずかしさが入り混じって顔を少し赤らめていた。
なんとも言えない背徳感を覚えてしまい途中まで開けたドアを思わず閉めようとしたが、それよりも早くアズライトからヘルプの声がかかる。それに押されてすんなりと生徒会室へ入るとアズライトにひっついたクラリッサを引き剥がすにかかるも、彼女は想像以上に強い力と意思をもって双丘に埋もれているのだった。
「クラリッサ会長、アズライトさんが迷惑してるんで離れて―うわっ!?」
「こっちは全然柔らかくない……。ってお前は男か、紛らわしい顔しやがって!」
「ちょっと、こっちに戻ってこないでよ! ―ひゃん!? どこ触ってんのよ!」
肩を掴んで静止させようとしたところでクラリッサはアズライトから離れたと思うと、今度は千景に飛びついてその胸板に顔を押し付けてくる。しかしすぐに顔を上げてじーっと凝視してきて間近で見つめ合う千景も思わず胸が鳴るも、彼女からは吐き捨てるような言葉を浴びせられ呆然としているとさっとアズライトの元へ戻っていった。
再びアズライトの胸元へ突っ込んでいくが今度は顔だけでなく両手で大きく柔らかな双丘を鷲掴みにして、その指先はブラウス越しでも分かる通りに深く沈んでいった。指が動く毎にアズライトは艶めかしい声を漏らしており、千景も顔を真っ赤に染まって動けずにいたが揉まれまくっていたアズライトが遂にキレる。
「ふぁあ……そこ、もんじゃ……! やっやめっ――いい加減にしなさい、この変態ッ!!!!」
「あっ痛ぁぁぁぁーーー!?」
「ごめんなさい、ちょっと取り乱しちゃって。これはまぁ、単なる発作」
「発作ね、人の胸を揉みまくる発作とか一体全体どんな病気かしらね!」
先程までの醜態など嘘かのようにクラリッサは澄まし顔で椅子に座っているが頭から大きく出ているタンコブにより台無しで、不機嫌そうに眉をひそめるアズライトより辛辣な言葉が向けられていた。一応2人とも手は動かして作業を進めているが、ヘルプで来た千景は先程の光景が焼き付いていて作業に集中できていないでいる。
生徒会用の円卓で対面に座っているアズライトが少し言いづらろうに額を抑えながら、クラリッサの“発作”について説明してくれた。どうもストレスがたまり過ぎると彼女はああして女性の特に大きな乳房を求めていき、思う存分堪能するまで収まらないのである。
「もういい加減にしてほしいわ……。私以外しかいない時しか発作は起こらないからいいけど、このままじゃ他の被害者が出てしまいそうよ」
「安心して、アズライトのおっぱいでしか満足できないから」
「全くこれっぽちも良くないわ、この変態!」
クールで落ち着いたクラリッサが実はおっぱい魔人だったという事実に驚きと困惑を覚えながらも、千景はようやく作業に集中していった。ちなみにクラリッサの幼馴染であるイーサンは前に千景と同じ場面に遭遇したのが、2人を視認した途端フリーズしたように動かなくなり30分後に再起動した時は直前の記憶を忘れていたそうな。
「あの純情精神年齢5歳児には刺激が強すぎたみたい」
「アイツ意外とウブなのよね。あ、クラリッサこっちのデータまとめ終わったわ」
「僕の方も1つ目終わりました。これってアカデミーから参加するランナーのまとめですよね? 生徒会がこれをしなくちゃいけないんですか」
「というよりはクラリッサ個人がってとこよ。これでも中佐の階級もってるからさ」
中佐という10代の少女に不釣り合いな階級に千景は驚くが、ランナーには学生でも正規軍との協働が多いので階級が与えられていた。アズライトは中尉の階級を持っていてランナーではないがクラリッサも学生ランナーの管理官をしているので高い階級を有している。
千景も少尉という最下級であるが士官であるという事に驚くもこの階級はランナーなら全員に与えられており、パイロットだからこそ士官になるのだろう。そしてその例外がイーサンで彼は更に下位となる准尉だ。
「アレだけやらかしても准尉に留まれてるとは、恐ろしい男ね……」
「ホント頭下げる身になってほしい。その分しっかり働いてもらわないと」
「……それはご愁傷様です」
避難民を守る為に戦艦どころか空中プラットフォームすら使い捨てにした時などそこからはクラリッサが堰を切ったようにイーサンのやらかしを暴露していき、話を聞きながらストレスが溜まって奇行に走ってしまうのも仕方ないと内心で同情する千景であった。