PROJECT HEALINGOOD THOUSER〈完結済〉   作:TAMZET

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これまでのあらすじ

ビョーゲンズからの刺客・メツビョーゲンは、仮面ライダーゼロワンとサウザーによって撃破された。安堵するのどか達の前に現れたイズは、この戦いが誰かの手によって仕組まれたものだと告げる。
真犯人の名は……


Episode10:【皆既世食】

ここはデイブレイクタウンの一角。

重要な荷物の保管場所となる、金庫室である。

巨大な広場の形を取るその奥には、巨大な錠前のついた鉄の扉があり……そこでは、戦闘が行われていた。

 

ランペイジバルカンの銃撃が、暴走したトリロバイトマギアの群れをなぎ倒す。彼の眼前に聳え立つは、巨大な鉄の扉だ。

 

「あいつがいるのは、この奥か。待ってろ、今助けてやる」

 

手に持った蒼銃に手をかけるバルカン。しかし、トリロバイトマギア達は際限なく徒党を組み、再びバルカンの前に立ちはだかった。

 

「チッ!!流石に統率が取れてやがる!」

 

トリロバイトマギアによる銃撃に、思わず防御の構えをとるバルカン。銃撃は彼の構えを崩し、床に倒れさせる。

絶体絶命のピンチ……

しかし直後、彼らは、なだれ込んできた別の集団によって崩される事になる。

 

「キエエエエーッ!!」

 

奇声を上げて現れたのは、赤面のマギア達だ。数は40ではきかないほどだろうか。

 

「アレは、暗殺野郎の……あの頭の触覚は、さっきの奴らか」

 

バルカンが茫然と見つめる横で、雛達は凄まじい連携でトリロバイトマギアを片付けてゆく。

ドードーマギア達は金庫から彼ら遠ざけるつもりのようだ。それを見たバルカンは、「フン」と心地よさげに鼻を鳴らす。

 

「なるほど。奴を味方に引き込んだと言うわけか。敵の敵は味方……アイツの秘書も、なかなかやるじゃないか」

 

バルカンは懐から武器を取り出すと、ベルトのスイッチを入れた。武器の先端には、虹色の光弾が充填される。

 

「下がってろよお前ら!!」

 

叫ぶと同時に、バルカンは銃の引き金を引いた。超高出力の光弾は斜線上にいたドードーやトリロバイトをなぎ倒し、鉄の扉に直撃する。

 

【ランペイジ・オール・ブラスト】

 

派手な爆発と共に、鉄の扉は吹き飛んだ。辺りに煙が充満し、揺れが起き始める。

 

「試作品ってのは、威力のタガが外れてるって意味か……だが、この方が都合はいい」

 

慌てるマギア達を押し除け、バルカンはその中に顔を出した。

 

「助けにきたぞ」

 

「ああ、ありがと。けど、まさかアンタが来るとはね」

 

中にいた人物は、だいぶ疲れた顔で。それでも笑顔で、彼の手を取った。

 

 

 

___________________________

 

 

 

イズさん指の先にいた人物……それは意外にも、彼女の近くにいた。彼女のすぐ隣にいる人物。そう、或人さんである。

 

「あなたが、飛電インテリジェンス社長・飛電或人誘拐事件の犯人です」

 

「えっ!?俺!?てか、誘拐されたのも俺!?」

 

「白々しい。あなたは或人社長ではありませんね。非常に完成度の高い偽物……ですが、私の目はごまかせませんよ」

 

「偽物って……それ本気で言ってんの?」

 

驚いているのは或人さんだけじゃない。天津さんや私もそうだ。

ひなたちゃんの方を見る。ひなたちゃんはおどろいて……ない。ちゆちゃんも同じようだ。

イズさんからすでに犯人を聞いていたという事なのだろうか。

復活した天津さんが、ずんと割って入る。眉間に寄せられた皺で小川が作れそうだ。

 

「何を言い出すかと思えば。私と同じ推理とは。やはりヒューマギアではこの程度が限界ですか」

 

「あなたの推理は間違っていました」

 

イズさんの放つ言葉のボディーブローが天津さんの心に突き刺さる。

 

「ただ一点、犯人を除けば」

 

「どういう事ですか?」

 

「彼は或人社長を誘拐し、デイブレイクタウンの一角に監禁しました。そして、社長に化けて業務をこなす傍ら、ビョーゲンズにプリキュアの方々を襲わせたのです」

 

「ちょっと待ってよイズ。本当に俺が犯人だっての?てか、何のためにそんなことするのよ」

 

或人さんの疑問はもっともだ。そんな周りくどいことをする必要がどこにあるんだろうか。

推理の説得力で言えば、イズさんのものも天津社長と大差ない。仮に或人さんが犯人だったとして、動機が分からないのだ。

しかし、ひなたちゃんもちゆちゃんもそこに突っ込む事はない。なんだか、私だけ仲間外れみたいでちょっと寂しい。

 

「あなたが、芝居を打ってまで天津社長に協力した理由。それは、ここに私達全員を集め、始末するためですね。社長……いえ、こう呼んだ方が宜しいでしょうか。フィーニス」

 

集めることそのものが、狙い?

イズさんの言っていることがわからない。

 

「私は一度たりとも、『あなたの事』を『或人社長と呼んだ事はありません。あなたに気取られないよう送り続けていた小さなメッセージでしたが、それに気がついた不破様が、先ほど救出に成功しました。時間稼ぎは、ここまでです」

 

「えー、と。マジで何言ってるか分からないんだけど。もし俺が」

 

刹那、或人さんの言葉は、どこかから飛んできた投刃によって遮られた。刀は彼の頬をかすめ、血を流させる。

 

「答えは、これだ」

 

一同の視線の先……そこには、ドクロの面をつけた鳥のような怪人がいた。

ちゆちゃんが臨戦体制をとる。

 

「あなたは、アンサツ!?」

 

「キュアフォンテーヌか。安心しろ、今は味方だ」

 

「じゃあ、イズさんの言ってた助っ人って……」

 

「お前の推察通りだ。それよりも見てみろ。あの男の顔を」

 

アンサツに言われた通り或人さんの方を見てみると、或人さんの顔からは血が流れていた。その他の色は……青。

他の色が青って……人間じゃないってこと!?

天津さんも驚いているようだ。

 

「ったいなぁ。せっかく演技してたのに、どうしてバラしちゃうかねぇ」

 

或人さんの頬が、口裂け女のようにキュッと裂けてゆく。その姿のあまりの不気味さに、私は目を逸らす事ができない。

あの顔は笑っている、のだろうか?

 

「貴様がアークの意思の外で動いていた事は分かっている。この周囲は既に100のヒナ達が包囲している。逃げられんぞ」

 

「どうやら敵は同じようだ。奴を倒すためにここは協力するとしよう。ニワトリ君」

 

髑髏面は軽く舌打ちをし、天津社長の横に並んだ。気がつくと、辺りの建物の影から赤い面の人物達が覗いている。

 

「ふふ、共通の敵を前にして、手を組むというわけだね。けど天津社長、それは弱者の選択ではないかい」

 

酷く不気味な笑みを浮かべる或人さん。その全身が、蜃気楼に包まれるようにぼやけてゆく。

 

「逃すかッ!!」

 

ぼやけゆく或人さんの影に、天津さんが蹴り込む。途端、霧は晴れ、或人さんの懐にシルクの爪先が突き刺さる姿が露わになった。

否、そこにいたのは或人さんではない。

背の低い、黒フードの人物だ。

 

「それが、君の本来の姿というわけか」

 

「そうさ。ボクはタイムジャッカーのフィーニス……その模造品だ。アークの『失われた過去の記録』によって復元されたヒューマギア。もっとも、力はオリジナルには遠く及ばないけどね」

 

『タイムジャッカー』その言葉に聞き覚えは無かった。

だが、同時に感覚が告げていた。

この人は、私達とは異質の存在なのだと。

彼女は足元に倒れていたメツビョーゲンを踏みつけ、ケタケタと笑ってみせる。

 

「メツビョーゲンはボクのパートナーだったんだ。死に瀕し、誰からも見捨てられた医師が、人間を恨みぬいた末に変身した怪人を、ボクとビョーゲンズで改良したのさ。もっと力をつけた暁には、アイツはボクも倒そうとしてたみたいだけどね」

 

そんな彼女を、私はキッと睨みつけた。

仲間を自分で倒しておいて、笑えるなんてあり得ない。

 

「タイムジャッカーのフィーニス。アークのロストファイルに君のデータがあった。情報によれば、君は存在ごと消滅したはずだが」

 

「そうだね。今のボクはアークの意思に作られたヒューマギアに過ぎない。迅やドードーと同じ、ただの複製品さ」

 

「なるほど……ッ!?」

 

天津さんの言葉を遮り、フィーニスの拳が天津さんの顔面へと飛んだ。辛うじて払い落とす天津さんに、さらなる乱撃が襲い掛かる。

 

二人は生身のまま、打撃の格闘戦を繰り広げる。鋼が肉を打つ鈍い音が幾度となく響く……聞いているだけで痛いが、二人とも怯む様子を見せない。

 

「戦いに疲れた君達を後ろから撃つか、飛電或人を人質に君たちから力を頂く作戦だったんだけどね。まったく、ゼロワンの残した忌々しいヒューマギアのせいで、全てが台無しになってしまったよ」

 

「どうやらその作戦は失敗のようだ。今この場には私と3人のプリキュアがいる。滅亡迅雷.netも君を見限った。これ以上の戦いは無意味だと思うが」

 

「本来なら撤退するべきだろうね。けど、ボクにはもう時間がない」

 

フィーニスが、天津さんに蹴りを放つ。辛うじて防御した天津さんだが、距離を離されてしまったようだ。

コートを翻し、ベルトを構える天津さん。対するフィーニスも、ローブの内側からドライバーを取り出す。

さっきのゼロワンのものじゃない、もっと小さいドライバーだ。

 

「あれ、迅が使ってたやつと同じ!」

 

ひなたちゃんが叫ぶ。

どうやら、見覚えのあるものらしい。

フィーニスがそれを腰元にあてがうと、ヘビのように長いベルトがガッチリと彼女の腰を押さえ込んだ。

 

「フォースライザーか……面白い。型落ちした我が社の商品と、ヒーリングッドサウザンドライバー。格の違いを見せてあげよう」

 

両手にキーを持つ天津社長。

 

『ゼツメツ!Evolution! 

トライヒーリング! 』

 

両方のキーをサウザンドライバーに装填し、社長はポーズを取る。

 

「変身」

 

鋭い声と共に、ベルトのスイッチが入る。彼の周りで、薔薇と水流、そして無数の星達が踊りを始め、サイのような見た目をした獣の周りを取り囲んでゆく。

 

『パーフェクトライズ!

When the horns and triple healing power cross, the golden soldier HEALINGOOD THOUSER is born.

 

"Presented by ZAIA." 』

 

読み上げられる口上の後、そこには黄金の騎士、ヒーリングッドサウザーが現れていた。

 

夜風に臙脂のマントをはためかせ、ひかる紫の双眸で敵を見つめるサウザー。その先のフィーニスもまた、プログライズキーを取り出していた。

 

変な手のような形をした、青いキーだ。

 

それを目にしたイズさんが、少し焦ったように距離を取る。

 

「どうしたんですか?」

 

「メタルクラスタじゃない……天津社長、気をつけてください。あのゼツメライズキーは、危険です」

 

フィーニスの口元が歪み、白い歯が見える。

 

「ふふ、流石は飛電の秘書、わかってるじゃないか。これは『ビリオンクラスタホッパーゼツメライズキー』。メツビョーゲンとキュアスパークル、仮面ライダーゼロワン、そして仮面ライダー迅。彼らの戦闘データをラーニングさせ進化させたものだ」

 

その言葉に、ひなたちゃんが飛び上がる。

 

「アタシも!?いつデータ取られたの?」

 

「全てメツビョーゲンがやってくれたよ。まぁ、彼も用済みになったから倒してしまったけどね。そして、今から君たちの力も戴き、ボクは皆既世食を完成させる!!」

 

「カイキ……セイショク?」

 

フィーニスはプログライズキーをドライバーに装填した。途端、凄まじい量の黒霧がフィーニスの身体から吹き出し始める。

その勢いの凄まじさたるや、耐えていないと吹き飛ばされてしまいそうだ。

 

『Everybody Fear……』

 

気を失っている刃さんを背負いながら、イズさんが叫ぶ。

 

「プリキュアの皆様、変身してください。この出力、余波だけでも危険です」

 

イズさんの言葉通り、私たちはプリキュアに変身した。

それでもなお、霧の勢いは耐え難いものである。安定しない視界の中で、サウザーだけが不動で立っている。

 

『FORCE RIZING……BREAK DOWN』

 

やがて、霧は放出するのをやめたかと思うと、全てフィーニスの元へと戻っていった。

霧が晴れた時、そこにいたのは先程までのフィーニスではなかった。全身をメタリックな青色の鎧に包んだ、ゼロワン。

姿形は、先程サウザーと共に戦っていたゼロワンの姿に似ている。けれど、その禍々しさと威圧感は完全に別格だ。

 

「『仮面ライダーゼロワンビリオンクラスタホッパー』。ボク専用のオーダーメイドだ。君の言葉を借りるなら、桁違いってやつさ」

 

「それは面白い。是非手合わせ願おう!」

 

仁王立ちする青いゼロワンに、金槍サウザンドジャッカーを片手に飛びかかってゆくサウザー。

月の真ん中が、輪っか状に黒く染まっている。黒い部分は少しずつ大きくなっているようで、まるでブラックホールか何かのようだ。

黒く染まっていた夜空が、薄い紫を帯びた夕焼け空へと変わってゆく。

 

「あの空、一体、何が起きてるの……?」

 

ひなたちゃんは首を傾げている。ちゆちゃんは……じっと見つめている。どうやら、この現象に心当たりがあるようだ。

尋ねてみると、ちゆちゃんは神妙な面持ちで「月食よ」と答えた。

 

「……だけど変よ。月食があるなら、もっと大々的にニュースになってるはずだわ。それに、空もあんな風に変わったりはしないはず」

 

「それって、どういう事……?」

 

ちゆちゃんは黙ってしまった。

気がつくと、辺りには赤い画面をつけた人々が集まっていた。皆が一様に、青いゼロワンに向けて戦闘の構えをとっている。

 

「あの人達……」

 

「大丈夫、今は味方よ。強さは私が保証するわ」

 

そう言うちゆちゃんの顔が、なんだか苦々しい。あの人たちと何かあったんだろうか。

ゼロワンも、それと対峙するサウザーも、構えをとったまま動かない。互いが動くのを待っているのだ。

蒼いゼロワン、フィーニスは、仮面の奥から笑いを漏らす。

 

「世界は一つじゃない。そう言ったら君たちは信じるかい?」

 

「何の話だ?」

 

「ボクのオリジナルは元々、この世界とは違う別の世界の住人だった。各世界にはその核となるヒーローの力が存在するんだ。このビリオンクラスタはそれをラーニングする能力を持っている。もうすぐ、世界と世界による月食……世食が異世界への扉を開く。この世界だけじゃない、もっとたくさんの世界の力を手に入れて、ボクは全てを超える存在になるのさ」

 

「なに……?」

 

何を話しているのか全く分からない。

分かるのは、あの青いゼロワンがとてつも無く怖いって事だけだ。

 

「なんで……?」

 

「うん?」

 

「何で、そんな存在になりたいの?私には分からない……人を傷つけて、みんなを敵に回してまで、どうして強くなりたいの?」

 

「それがボクの存在意義だからさ。オリジナルのボクは始まりのライダーになろうとした。その意思を継いで作られたボクが彼女を超えるには、その始まりの力を変える、全ての力を手に入れるしか無いんだよ!!」

 

「自分が戦う理由も分からないなんて……空っぽの人」

 

「うるさいなぁ。ここはお姫様の来るところじゃない。君達は白衣でも着て、お医者さんごっこをしていればいいじゃないか」

 

あり得ない量の悪意が、風を伴って私たちに吹きつける。その凄まじさに膝をつきそうになる私の肩を、ひなたちゃんが優しく叩いた。

 

「難しい事は分かんないけど、多分アイツが全部悪いんでしょ?だったら、私達でなんとかすればいいじゃん」

 

ひなたちゃんの指す先にいるのは、あの青いゼロワンだ。うん、確かにそうだ。こんなので負けてちゃいけない。

私達が、みんなを守るんだ。

私は拳を硬く結び、両隣の二人を見る。二人とも、決意の瞳をしている。私と同じ気持ちだ。

 

「行こう、みんな!」

 

「うん!」

 

「分かった!」

 

膠着する状況を打破するため、私達3人は飛ぶ。狙うは一人、あのフィーニスという仮面ライダーだ。

私達の後に続くように、フィーニスを囲んでいたドードーマギア達が一斉に襲いかかる。押し寄せる無数の攻撃……それに対し、フィーニスは、ゆっくりと、手を月に掲げた。

 

「ドードーマギアのヒナたち、雑魚をあしらっておいてくれ」

 

フィーニスの掌が、くるりと甲に翻る。

瞬間、私の視界の中で、突進をしていた赤い仮面の人々が瞬時に動きを止めた。

直後、それを指揮していたらしい髑髏面の人物が苦しみだす。赤い仮面の人たちも含めて、その目は紫色に染まっている。

 

「貴様、一体俺たちに何をした!?」

 

「君達の頭のツノは、ビョーゲンズの力……君が裏切る事を、ボクが予見しなかったとでも思うかい?」

 

「……ッ!?ハッキングがその対策か!!」

 

一旦元の位置に戻り、背を向け合って警戒する私達。髑髏面の男は、苦しみながらも赤い仮面の人々の一部を切って破壊し、道を作った。

髑髏面はイズさんの腕を乱暴に引き、赤面の人々が作る円の外に追い出す。

 

「何をするのですか」

 

「逃げろ。俺は、この意思には逆らえん……ゼロワンを呼んでこい。この状況を打破できるのは、ヤツくらいのものだ」

 

イズさんは髑髏面の伝えたい事を察したのか、早々に腰を折ると、気を失っている刃さんを抱えて輪から離れてゆく。

 

「承知しました。私は或人社長を迎えに行きます。不破様と或人社長がいれば、きっと……」

 

しかし、フィーニスはさらに手を翻した。今まで停止していた赤面の人物達が、一斉にイズさんの方へと襲いかかる。

 

「逃しはしないよ。君達は皆、ここでボクに倒されるんだ」

 

赤面達の刀がイズさんへと振り下ろされる。

その前に、髑髏面の男が立ちはだかった。

髑髏面の肩から跳び放たれるミサイルが、赤面を吹き飛ばす。

 

「行け!!!!」

 

「……はい」

 

イズさんは離れていった。

荒れ狂う赤面達をさばきながら、私達はフィーニスへと迫る。

ヒーリングッドサウザーとゼロワンビリオンクラスタホッパー。混乱する戦局の中で、二人だけが互いを捉えていた。

 

「別世界の扉が開く皆既世食の時まであと少し。二つの世界が完全に重なるその時に、4つの光と闇の力を持つボクは、世界の壁を越える。それまでに、君の力だけでも貰っていくよ?サウザー」

 

「むざむざ渡すと思うか。君にはここで私に倒されてもらおう」

 

満を辞して、二人が動いた。

ぶつかり合う槍と剣。その衝撃波は私達と赤面達を吹き飛ばし、壁に叩きつける。いくつかの赤面が、そのまま動かなくなった。

 

「やるね。このビリオンクラスタは4人の戦士の力を合わせたものだというのに」

 

「君こそ、模造品の分際でこのヒーリングッドサウザーと拮抗するとは。身の程を弁えて欲しいものだ!!」

 

繰り出される斬撃と突撃の応酬。それら全ては拮抗し、生み出される衝撃波がモールの石畳を崩してゆく。

暗闇に染まる空の下で、最後の戦いが始まった。




第10話をお読みくださり、ありがとうございます。
訳がわからないという方のために補足しておくと、まずこの物語の裏では、飛電或人誘拐事件という事件が起きていました。
犯人はタイムジャッカーのフィーニス。飛電或人に化けたフィーニスですが、イズはその正体を見破り、彼女に気がつかれないよう密かに裏で仲間を増やしていました。仲間が揃い次第フィーニスから或人を奪還する計画でしたが、フィーニスの行動の早さは彼女の予想を超えており、やむなく彼女は不破や暗殺ちゃんに協力を依頼したという訳です。
一方、フィーニスの目的は、時たま現れる『世界と世界を繋ぐ月食』皆既世食を……利用し、世界の壁を変える事でした。世界の先にある力を手にし、オリジナルのフィーニスをも超えた存在になるために、彼女は今まで動いていたのです。
ビョーゲンズと仮面ライダー、プリキュアに滅亡迅雷、四つの力を手に入れたフィーニスと、改心したサウザーの戦いが幕を開けます。
次回、最終話です。


※この小説は、以前pixivに投稿した作品を編集したものです。
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